JP4634652B2 - 耐食性に優れた溶融Zn−Al−Mg−Si合金めっき鋼管 - Google Patents

耐食性に優れた溶融Zn−Al−Mg−Si合金めっき鋼管 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐食性に優れた溶融Zn−Al−Mg−Siめっき鋼管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
Zn、Zn−Al合金めっき層を有するめっき鋼管はめっき鋼板を鋼管に成型するプレめっき鋼管と、鋼管に成型後に溶融めっきを施す、ポストめっき鋼管とがある。特に前者は造管時のコストが後者に比べ良好であることから使用が広まってきている。プレめっき鋼管には、Znめっき鋼管、Zn−5%Alめっき鋼管、55%Al−Zn−1.6%Siめっき鋼管、Alめっき鋼管等がある。溶接ビード部近傍を切削し、ここに、Zn、或いはZn−Al系の溶射を行うビード補修溶射も一般的に行われている。しかし、ビード溶射を施したとしても、溶射層は、気孔が多く、耐食性が良好でないことから、特開2000−239818号公報ではめっき層にMgを適量添加させ、保護性の高いMg含有Zn系腐食生成物にて、溶接部を保護被覆させるとともに、Alを含有させることにより溶接部近傍のめっき層の耐食性を向上させたプレめっき鋼管の技術が開示されている。しかしながら、ビード近傍の熱影響部において、Fe−Zn、Fe−Alの合金化が進行することによる、めっき密着性や耐食性の劣化、また、特に高強度化の際に母材部の脆化割れが生じる恐れがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明では、造管安定性と耐食性に優れた溶融Zn−Al−Mg−Si合金プレめっき鋼管および、その製造方法を提供することを課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、めっき鋼管の製造安定性及び耐食性を向上させるため、鋼成分、溶融めっき成分、造管条件について研究し、特定鋼成分と特定のめっき組成、製造条件により、耐食性の優れた合金めっき鋼管が得られることを知見した。本発明はこの知見により完成されたものであって、発明の要旨は次の通りである。
【0005】
(1)重量%で、Al:3〜20wt%、Mg:0.1〜10wt%、Si:0.01〜2.0wt%、残部Zn及び不可避的不純物とからなるめっき層を有する耐食性に優れた溶融Zn−Al−Mg−Si合金めっき鋼管。
(2)重量%で、Al:3〜20wt%、Mg:0.1〜10wt%、Si:0.01〜2wt%、さらに、Ti、Sn、Ni、Crを1種又は2種以上を0.01〜2%含有し、残部Znおよび不可避的不純物とからなるめっき層を有する耐食性に優れた溶融Zn−Al−Mg−Si合金めっき鋼管。
(3)前記(1)又は(2)のめっき層の下層にNi層を0.1〜10g/m2有する耐食性に優れた溶融Zn−Al−Mg−Si合金めっき鋼管。
(4)重量%で、C:0.01〜0.2%、Si:0.001〜1.0%、Mn:0.01〜2.5%、P:0.001〜0.04%、S:0.001〜0.05%、Al:0.005〜0.1%、N:0.001〜0.1%、或いは更にNbを0.01〜0.1%、残部Fe及び不可避的不純物とからなる鋼板の表面に(1)又は(2)又は(3)記載のめっき層を有する耐食性に優れた溶融Zn−Al−Mg−Siめっき鋼管。
(5)前記(1)、又は(2)、又は(3)、又は(4)記載のめっき鋼管の造管時に、Zn又はZn−Al系の金属溶射を行った耐食性に優れた溶融Zn−Al−Mg−Si合金めっき鋼管。
(6)前記(1)、又は(2)、又は(3)、又は(4)、又は(5)記載のめっき鋼管のめっき層上に、さらに、無機系化合物から成る無機皮膜を、70mg/m2〜2000mg/m2有することを特徴とする耐食性に優れた溶融Zn−Al−Mg−Si合金めっき鋼管。
(7)前記(1)、又は(2)、又は(3)、又は(4)、又は(5)、又は(6)記載のめっき鋼管のめっき層上に、さらに、有機樹脂から構成される有機樹脂皮膜を、100mg/m2〜2000mg/m2有することを特徴とする耐食性に優れた溶融Zn−Al−Mg−Si合金めっき鋼管。
(8)前記(1)、又は(2)、又は(3)、又は(4)、又は(5)、又は(6)、又は(7)記載のめっき鋼管の造管時のビード部のアップセット量を板厚の5〜80%とすることを特徴とする耐食性に優れた溶融Zn−Al−Mg−Si合金めっき鋼管。
【0006】
【発明の実施の形態】
めっき層の成分を限定した理由について説明する。
めっき層中のMgは、耐食性を向上させる効果があり、0.1%未満では、その効果が得られず、一方10%を超えると、めっき浴が大気接触により酸化が進行し、黒色酸化物(ドロス)を生成し、めっき製造が困難となるので、0.1〜10%とした。
【0007】
めっき層中のAlは、不溶性腐食生成物を形成し、耐食性を向上させる効果を有する。その効果を発揮させるためには3%以上のAlが必要であるが、20%を超えると溶接時に、ビード部近傍のめっき層と鋼素地との界面に局部的にFe−Al金属間化合物が生成し、めっき密着性を阻害する。このためAlは3〜20%とした。
【0008】
めっき層中のSiは、本発明で重要な元素である。めっき鋼板を用いてめっき鋼管を造管する際には、一般的に抵抗溶接を行うことが多い。この際、溶接部分は局所的に溶融し、その部分のめっきは蒸発し、鋼は酸化する。この酸化部近傍のめっき層は溶融し、地鉄との反応や酸化が生じる。Siが0.01%未満であると、(1)地鉄−めっきとの反応が進行し、めっき密着性が劣化すること、(2)Fe−Al、Fe−Zn合金の生成、酸化により耐食性が劣化すること、(3)また、高強度鋼管を造管すると、熱影響部から溶融亜鉛脆化割れを生じる恐れがあること、(4)さらにめっき後溶射した場合に、溶射部近傍のめっき層が局部的に溶解・合金化し、密着性および耐食性の劣化を招くこと、などのように様々な、欠点が生じ、高耐食性めっき鋼管が安定的に得られない。また、(5)耐食性の観点からはSiがMgと共にZn腐食生成物中に混入及びMg-Si化合物の形で溶接部或いは溶射部に流れ出し、その表面を覆い下地を保護する効果があり、0.01%以上の添加が必要である。一方、Siが2%を越えると、この効果が飽和し、めっき鋼材製造上、めっき浴ドロスも多くなるため、0.01〜2.0%とした。
【0009】
Ti、Ni、Sn、Crは耐食性向上のために必要に応じて1種或いは2種以上添加されるものである。0.01%未満では耐食性向上効果がなく、2.0%を越えると、耐食性向上効果が飽和するので、0.01〜2.0%とする。
【0010】
めっき層の下層のNi層は、めっき密着性向上のために必要に応じて設けるものであり、0.1g/m2未満では、めっき密着性が優れず、10g/m2を越えると添加効果が飽和する。
【0011】
次に、鋼成分について述べる。
Cは高強度を確保するために必要な元素である。0.01%未満では、必要とする強度が得られず、脱炭コストが上昇する。また0.2%を超えると加工性が劣化するとともに造管後の脆化割れが起こりやすくなるため、0.01〜0.2%とした。
【0012】
Siは、鋼の溶製工程における脱酸剤であり、固溶強化元素として鋼の強度化に有効であるが、熱間圧延時のスケール疵の要因となり、1%を越えると冷延後の表面の品質にも悪影響を及ぼし、また、0.001%未満にすることは経済的に困難であるから、0.001〜1.0%とした。
【0013】
Mnは固溶強化元素として、鋼の強度化に有効であるほか、Sによる熱間脆性防止のために添加されるが、0.01%未満では効果がなく、また2.5%超ではコスト高の原因となることから0.01%〜2.5%とした。Pは、強度及び加工性に影響を与える元素であるが、0.04%を超えると脆性、及び加工性が顕著に劣化し、また0.001%未満ではさしたる影響もないことから、0.001〜0.04%とした。
【0014】
Sは不可避的に含まれるものであるが、0.05%を超えると熱間脆化のため表面が劣化し、また0.001%未満ではその影響も小さく脱硫コストも増大することから0.001〜0.05%とした。Alは脱酸、脱窒のために添加されるが、0.005%未満では添加効果がなく、一方、0.1%を超えると製鋼工程でのノズル閉塞の恐れがあり、また製品の表面性状が劣化するため0.005〜0.1%とした。
【0015】
Nは、固溶Nがストレッチャー・ストレインの原因となり、表面性状が劣化するため少ない方が望ましく、0.1%を超えるとその影響が顕著となる。しかし、0.001%未満にすることは工業上困難であることから0.001〜0.1%とした。
【0016】
Nbは鋼を強化するために必要に応じて添加する。添加する場合、少なくとも0.01%以上とする必要がある。0.1%を越えると脆化割れが起こりやすくなるので、0.01〜0.1%とした。
【0017】
次に製造方法について述べる。
鋼の製造方法や、熱間圧延、及び酸洗は通常の方法で行ってよく、熱延酸洗材、冷延材、更に電気清浄をした材料を使用しても勿論問題ない。めっきは、ゼンジミアタイプ、フラックスタイプ、プレめっきタイプ等の製造方法に依らず、本技術は適用可能である。
このようにして出来ためっき鋼板上に水系、有機系後処理を施しても特に問題ない。これは、造管前に行っても、造管後に行っても、また双方行ってもかまわない。
【0018】
めっき後のめっき層上に、さらに、Mg、Zr、Mo、Ce、Ca、V、Tiの酸化物から選ばれる少なくとも1種以上の無機酸化物を被覆させることにより、耐食性をさらに向上させることが出来る。この場合、例えば硫酸塩、硝酸塩、燐酸塩、アンモニウム塩等の複合酸化物とすることも何ら問題ない。これらの合計が、70mg/m2未満であると、耐食性向上効果が小さい。これらの合計が2000mg/m2を越えると、耐食性向上効果が飽和するので70mg/m2〜2000mg/m2の範囲とする。
【0019】
また、この代わりに有機樹脂皮膜を被覆させることによっても耐食性向上を図ることが出来る。この皮膜の付着量が100mg/m2未満では、この効果が少なく、2000mg/m2を越えると耐食性向上効果が飽和するので100mg/m2〜2000mg/m2の範囲とする。有機樹脂としては、水系樹脂、溶剤系樹脂、粉体系樹脂、無溶剤系樹脂のどのような形態でもよい。ここで言う水系樹脂とは水溶性樹脂のほか、本来水不溶性でありながらエマルジョンやサスペンジョンのように水不溶性樹脂が水中に微分散された状態になりうるもの(水分散性樹脂)を含めて言う。有機樹脂として使用できる樹脂としては、特に制限はないが、ポリオレフィン系樹脂、アクリルオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂、その他の加熱硬化型の樹脂などを例示でき、架橋可能であることがより好ましい。有機樹脂は2種類以上を混合してあるいは共重合して使用してもよい。また、必要により各種メラミン樹脂、アミノ樹脂等の架橋剤を添加してもよい。有機樹脂に加えて微粒シリカや潤滑剤の若干の添加も問題ない。もちろん各種クロメート処理を行うことも問題ない。これらの処理により耐傷つき性、摺動性は向上する。
【0020】
これら、無機酸化物或いは有機皮膜を形成させるための塗布方法としては、スプレー、カーテン、フローコーター、ロールコーター、バーコーター、刷毛塗り、浸漬およびエアナイフ絞り等のいずれの方法を用いても良い。また、到達焼き付け温度は80〜250℃とするのが望ましい。80℃未満では、塗料中の水が完全に揮発しづらいため耐食性が低下し、250℃を越えると有機物である樹脂のアルキル部分が熱分解等の変性を起こしたり、皮膜の硬化が進みすぎて耐食性や加工性が低下したりするため好ましくない。70〜160℃がより好ましい。また、乾燥設備については特に規制するものではないが、熱風吹き付けによる方法や、ヒーターによる間接加熱方法、赤外線による方法、誘導加熱による方法、並びにこれらを併用する方法が採用できる。また、使用する有機樹脂の種類によっては、紫外線や電子線などのエネルギー線によって硬化させることもできる。
また、調質圧延を行ってもかまわない。
【0021】
次に造管であるが、造管方法には高周波溶接などの電気抵抗溶接やアーク溶接、また、レーザー溶接などが適用できる。造管時にアップセット量を板厚の5〜80%とすることは、造管時のめっき脆化割れを防止する上で重要であり、アップセット量が5%未満、或いは80%を越えても安定的な造管が出来なくなる。
【0022】
造管の際に、ビード部に溶射を行うことは、本発明の効果をさらに、向上させる。すなわち、通常のめっきでは、溶射部の溶射が不均一なため、特にプレめっき層との境界付近のめっき密着性と耐食性が十分でないが、本発明のめっき層では、めっき層中に含まれるSiが地鉄とめっきとの過度の合金化を抑制し、Mgの耐食性向上効果とあいまって優れた耐食性を発現する。溶射金属としては、Zn、Zn−Al系など、従来使用されているものが使用できる。特にめっき層中のAl含有量(3%Al〜20%Al)と同様な溶射ワイヤーが特に耐食性を向上させる。
【0023】
また、先にのべたように、造管後に各種後処理を行うことも、全く問題なく、耐食性を向上させる。
【0024】
【実施例】
〔実施例1〕
表1に示す鋼スラブを溶製して通常の方法で、めっき鋼板を製造した。表2〜5に水準を示した。鋼種Noは表1の鋼Noを示している。めっきは、ゼンジミアタイプの連続溶融めっきラインにて、焼鈍、めっきを行った。板厚は、1mmから3.2mmである。焼鈍雰囲気は、10%水素、残窒素ガスであり、露点を-20℃とした。焼鈍温度は720℃、焼鈍時間は3〜5分である。めっき浴組成は表2〜5に示した。めっき付着量は、80g/m2とした。めっき後の後処理は、表2〜5に示す、クロメート処理、無機系後処理、有機系後処理を必要に応じて実施した。鋼管への造管は、高周波溶接であり、外径は、28.6〜54mmとし、アップセット量を40%とした。なお、アップセット量は、板厚に対する造管直後のめっき溶融部の山の高さの比で表現する。溶射は、必要に応じて行った。溶射合金はZn-Al系合金である。
【0025】
造管後のめっき密着性は、JIS G 3474に記載されているへん平試験を行い、溶接部近傍のめっき剥離を目視で観察して行った。○は、めっき剥離がなく、合格である。×は、剥離の発生を示し不合格である。外観は、目視で、鋼管表面にキズがないかを調査した。○は外観上問題なく、合格である。×は、外観が悪く、不合格である。耐食性は、複合腐食試験を行った。サイクルは、(1)塩水噴霧(JIS Z 2371準拠:5%NaCl、35℃)3時間、(2)乾燥(60℃、相対湿度30%)3時間、(3)湿潤(50℃、相対湿度98%)3時間を1サイクルとする試験である。鋼管試験片は130mm長さずつ切り出し、両側端面を塗装シールした。試験片は、JIS H 8502に準拠し、サンプルを鉛直方向に対して20度傾け、溶接部を横向きにして試験した。これを100サイクル行い、それぞれの板厚・管径の、めっき層にSiのない試験片と溶接部近傍の赤錆発生面積率を比較することによって行った。×は、その基準となる試験片であり、それぞれ、めっき密着性が悪いことや、めっき合金化の影響で赤錆発生が多い比較例である。△は、赤錆発生面積率が基準のものに比べ、50%を越えるものである。○は、30%を越え50%以下であるもの、◎は、10%を越え30%以下であるもの、◎◎は、10%未満であるものであり、○、◎、◎◎が合格である。
【0026】
溶射なしについては、表2、3に示す通り、No1からNo64が本発明例である。No65からNo70は比較例である。No65はめっき層中のAlが高すぎて、溶接時にFe-Al金属間化合物が生成し、造管後のめっき密着性が劣化するため、耐食性が悪い。No66はめっき層中のMgが高すぎて、ドロス状物質がめっきに付着し、造管後の外観が顕著に悪い。No67はめっき層中のSiが高すぎてドロス状物質がめっきに付着し、造管後の外観が悪い。No68からNo70は、めっき層中にSiがなく、造管後の溶接部近傍のめっき密着性が悪く、耐食性が劣る。
【0027】
溶射ありについては、表4、5に示す通り、No71からNo141までが本発明例である。No142からNo145まではめっき層中にSiがなく、造管後の溶接部近傍のめっき密着性が悪く、耐食性が劣る。
【0028】
〔実施例2〕
表1に示す鋼スラブを溶製して通常の方法で、めっき鋼板を製造した。試験水準を表6〜9に示した。鋼種Noは表1の鋼Noを示している。めっきは、プレメッキタイプの連続酸洗・溶融めっきラインにて、焼鈍、めっきを行った。板厚は、1.6mmから8.5mmの熱延材である。焼鈍雰囲気は、1%水素、残窒素ガスであり、露点を-20℃とした。焼鈍温度は450℃、焼鈍時間は3〜5分である。めっき浴組成は表6〜9に示した。めっき付着量は、80g/m2とした。めっき後の後処理は、表6〜9に示す、クロメート処理、無機系後処理、有機系後処理を必要に応じて実施した。鋼管への造管は、高周波溶接であり、外径は、25.4〜114.3mmとし、アップセット量を50%とした。なお、アップセット量は、板厚に対する造管直後のめっき溶融部の山の高さの比で表現する。溶射は、必要に応じて行った。溶射合金はZn-Al系合金である。
【0029】
造管後のめっき密着性は、JIS G 3474に記載されているへん平試験を行い、溶接部近傍のめっき剥離を目視で観察して行った。○は、めっき剥離がなく、合格である。×は、剥離が発生し不合格である。外観は、目視で、鋼管表面にキズがないかを調査した。○は外観上問題なく、合格である。×は、外観が悪く、不合格である。耐食性は、複合腐食試験を行った。サイクルは、(1)塩水噴霧(JIS Z 2371準拠:5%NaCl、35℃)3時間、(2)乾燥(60℃、相対湿度30%)3時間、(3)湿潤(50℃、相対湿度98%)3時間を1サイクルとする試験である。鋼管試験片は130mm長さずつ切り出し、両側端面を塗装シールした。試験片は、JIS H 8502に準拠し、サンプルを鉛直方向に対して20度傾け、溶接部を横向きにして試験した。これを100サイクル行い、それぞれの板厚・管径の、めっき層にSiのない試験片と溶接部近傍の赤錆発生面積率を比較することによって行った。×は、その基準となる試験片であり、それぞれ、めっき密着性が悪いことや、めっき合金化の影響で赤錆発生が多い比較例である。△は、赤錆発生面積率が基準のものに比べ、50%を越えるものである。○は、30%を越え50%以下であるもの、◎は、10%を越え30%以下であるもの、◎◎は、10%未満であるものであり、○、◎、◎◎が合格である。
【0030】
溶射なしについては、表6、7に示す通り、No146からNo209までが本発明例である。No210からNo220までは比較例である。No210はめっき層中のAlが高すぎて、溶接時にFe-Al金属間化合物が生成し、造管後のめっき密着性が劣化するため、耐食性が悪い。No211はめっき層中のMgが高すぎて、ドロス状物質がめっきに付着し、造管後の外観が顕著に悪い。No212はめっき層中のSiが高すぎてドロス状物質がめっきに付着し、造管後の外観が悪い。No213、No215、No217、No219は、めっき層中にSiがなく、造管後の溶接部近傍のめっき密着性が悪く、耐食性が劣る。No214、No216、No218はめっき層の下層のNiめっき厚みが薄すぎて造管後のめっき密着性が悪い。
【0031】
溶射ありについては、表8、9に示すとおり、No221からNo289までが本発明例である。No290からNo300までは比較例である。No290はめっき層中のAlが高すぎて、溶接時にFe-Al金属間化合物が生成し、造管後のめっき密着性が劣化するため、耐食性が悪い。No291はめっき層中のMgが高すぎて、ドロス状物質がめっきに付着し、造管後の外観が顕著に悪い。No292はめっき層中のSiが高すぎてドロス状物質がめっきに付着し、造管後の外観が悪い。No293、No295、No297、No299は、めっき層中にSiがなく、造管後の溶接部近傍のめっき密着性が悪く、耐食性が劣る。No294、No296、No298、No300はめっき層の下層のNiめっき厚みが薄すぎて造管後のめっき密着性が悪い。
【0032】
〔実施例3〕
表1に示す鋼スラブを溶製して通常の方法で、めっき鋼板・鋼管を製造した。試験水準を表10、11に示した。鋼種Noは表1の鋼Noを示している。めっきは、ゼンジミアタイプ又はプレメッキタイプの連続溶融めっきラインにて、焼鈍、めっきを行った。板厚は、2.3mmの熱延材である。焼鈍雰囲気は、ゼンジミアタイプは、10%水素、残窒素ガス雰囲気であり、プレメッキタイプは1%水素、残窒素ガスであり、露点をそれぞれ-30℃とした。焼鈍温度はゼンジミアタイプは730℃、プレメッキタイプは450℃、焼鈍時間はそれぞれ3〜5分である。めっき付着量は、80g/m2とした。鋼管への造管は、高周波溶接であり、外径は、42.7mmとし、アップセット量を3〜85%とした。
【0033】
造管後の割れはJIS G 3474に記載されているへん平試験を行い、溶接部近傍の母材割れを目視で観察して行った。○は、母材割れがなく、合格である。×は、母材割れの発生を示し、不合格である。外観は、目視で、鋼管表面にキズがないかを調査した。○は外観上問題なく、合格である。×は、外観が悪く、不合格である。
【0034】
No301からNo340は本発明例であり、溶接部割れ、外観も良好である。No341からNo345はアップセット量が低すぎて、正常な溶接が出来ていない。No346からNo350は、アップセット量が大きすぎて脆化割れを起こしている。No351はC量が高すぎて、脆化割れを生じている。No352は、Siが高すぎてスケールキズが造管後も残り、外観が悪い。No353はMnが高すぎて脆化割れを生じている。No354はPが高すぎて、脆化割れを生じている。No355はSが高すぎて脆化割れを生じている。No356はAlが低すぎ、Nが高くなり、造管時に表面欠陥が生じる。No357はNbが高すぎて、脆化割れを生じている。
【0035】
【表1】
Figure 0004634652
【0036】
【表2】
Figure 0004634652
【0037】
【表3】
Figure 0004634652
【0038】
【表4】
Figure 0004634652
【0039】
【表5】
Figure 0004634652
【0040】
【表6】
Figure 0004634652
【0041】
【表7】
Figure 0004634652
【0042】
【表8】
Figure 0004634652
【0043】
【表9】
Figure 0004634652
【0044】
【表10】
Figure 0004634652
【0045】
【表11】
Figure 0004634652
【0046】
【発明の効果】
このように、本発明で得られためっき鋼管は、看板支柱や道路標識支柱、防風柵、角パイプ、樹脂被覆鋼管などの土木、建築用資材や、ビニールハウスやフロアダクト、電線管などの住宅用途や、或いは、マフラー、下回り部材などの自動車部材として有用である。

Claims (8)

  1. 重量%で、Al:3〜20wt%、Mg:0.1〜10wt%、Si:0.01〜2wt%、残部Zn及び不可避的不純物とからなるめっき層を有するめっき鋼板を溶接して造管されている、耐食性に優れた溶融Zn−Al−Mg−Si合金めっき鋼管。
  2. 重量%で、Al:3〜20wt%、Mg:0.1〜10wt%、Si:0.01〜2wt%、さらに、Ti、Sn、Ni、Crを1種又は2種以上を0.01〜2%含有し、残部Znおよび不可避的不純物とからなるめっき層を有するめっき鋼板を溶接して造管されている、耐食性に優れた溶融Zn−Al−Mg−Si合金めっき鋼管。
  3. 請求項1又は2のめっき層の下層にNi層を0.1〜10g/m2有する耐食性に優れた溶融Zn−Al−Mg−Si合金めっき鋼管。
  4. 重量%で、C:0.01〜0.2%、Si:0.001〜1%、Mn:0.01〜2.5%、P:0.001〜0.04%、S:0.001〜0.05%、Al:0.005〜0.1%、N:0.001〜0.1%、或いはさらにNb:0.01〜0.1%、残部Fe及び不可避的不純物とからなる鋼板の表面に請求項1又は2、又は3記載のめっき層を有するめっき鋼板を溶接して造管されている、耐食性に優れた溶融Zn−Al−Mg−Siめっき鋼管。
  5. 請求項1、又は2、又は3、又は4記載のめっき鋼管の造管時に、溶接ビード部にZn又はZn−Al系の金属溶射を行った耐食性に優れた溶融Zn−Al−Mg−Si合金めっき鋼管。
  6. 請求項1、又は2、又は3、又は4、又は5記載のめっき鋼管のめっき層上に、さらに、無機系化合物から成る無機皮膜を、70mg/m2〜2000mg/m2有することを特徴とする耐食性に優れた溶融Zn−Al−Mg−Si合金めっき鋼管。
  7. 請求項1、又は2、又は3、又は4、又は5、又は6記載のめっき鋼管のめっき層上に、さらに、有機樹脂から構成される有機樹脂皮膜を、100mg/m2〜2000mg/m2有することを特徴とする耐食性に優れた溶融Zn−Al−Mg−Si合金めっき鋼管。
  8. 請求項1、又は2、又は3、又は4、又は5、又は6、又は7記載のめっき鋼管の造管時のビード部のアップセット量を板厚の5〜80%とすることを特徴とする耐食性に優れた溶融Zn−Al−Mg−Si合金めっき鋼管。
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