JP4634529B1 - 蓄熱装置及び該蓄熱装置を備えた空気調和機 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧縮機で発生した熱を蓄積する蓄熱材の劣化を防止することができる蓄熱装置及びこの蓄熱装置を用いた空気調和機を提供すること。
【解決手段】圧縮機6を囲むように蓄熱装置を配置し、この蓄熱装置を、圧縮機6で発生した熱を蓄積する蓄熱材を収容し圧縮機6の材質よりも収縮性が高い材質で形成された本体46を有する蓄熱槽32と、蓄熱槽本体46に収容された蓄熱用熱交換器34とで構成した。
【選択図】図4

Description

本発明は、圧縮機を囲むように配置され圧縮機で発生した熱を蓄積する蓄熱材を収容する蓄熱装置及びこの蓄熱装置を備えた空気調和機に関する。
従来、ヒートポンプ式空気調和機による暖房運転時、室外熱交換器に着霜した場合には、暖房サイクルから冷房サイクルに四方弁を切り替えて除霜を行っている。この除霜方式では、室内ファンは停止するものの、室内機から冷気が徐々に放出されることから暖房感が失われるという欠点がある。
そこで、室外機に設けられた圧縮機に蓄熱装置を設け、暖房運転中に蓄熱槽に蓄えられた圧縮機の廃熱を利用して除霜するようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図12は、従来の蓄熱装置の一例を示す縦断面図である。図12において、蓄熱装置100は、圧縮機102の隔壁104の外周面に固設されている。また、蓄熱装置100は、アルミ箔板や銅板等の金属部材106を有しており、この金属部材106は、隔壁104の外周面に当接するように巻回されている。
蓄熱装置100の内部には、圧縮機102で発生した熱を隔壁104を介して蓄積する蓄熱材108が収容されており、この蓄熱材108は、縦断面形状がコ字状の収容部材110と上述した金属部材106とで形成された空間部に充填されている。この空間部中には、蓄熱材108と共に、流入した冷媒を加熱する加熱配管112が配設されている。
特許第2705734号公報
上述したように、図12に示される従来の蓄熱装置では、金属部材106は、圧縮機102の隔壁104に当接するように巻回されているが、圧縮機102の運転中、隔壁104の温度はかなり高い温度(例えば、100℃以上)まで上昇するため、蓄熱材108も高温になってしまう。蓄熱材108自体が高温になると、蓄熱材108が沸騰し、さらには、蓄熱材108が劣化するという問題がある。なお、蓄熱材108の沸騰は、蓄熱材108の急速な蒸発等を招く。
本発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、圧縮機で発生した熱を蓄積する蓄熱材の沸騰や劣化を防止することができる蓄熱装置及びこの蓄熱装置を用いた空気調和機を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は、圧縮機を囲むように配置された蓄熱装置であって、圧縮機で発生した熱を蓄積する蓄熱材を収容し、圧縮機の材質よりも収縮性が高い材質で形成された本体を有する蓄熱槽と、蓄熱槽本体に収容された蓄熱用熱交換器と、を備えている。
本発明によれば、圧縮機の温度が上昇すると、その周囲を囲むように配置された蓄熱槽の温度も上昇する。また、蓄熱槽は圧縮機よりも収縮性の高い材質で構成されているので、蓄熱槽の温度が上昇すると、蓄熱槽は膨張し、蓄熱槽において圧縮機と対向する部分が圧縮機から離隔して圧縮機と蓄熱槽との間には空気層が生じる。この空気層は断熱材として働くので、圧縮機が過度に高温になると、圧縮機で発生した熱が蓄熱槽内の蓄熱材に伝わり難くなる。これにより、蓄熱材の沸騰や劣化を防止することができる。
また、圧縮機の温度が低下すると、蓄熱槽は収縮するので、蓄熱槽は圧縮機に密着することになり、圧縮機で発生した熱を蓄熱材に良好に伝えることができる。
本発明に係る蓄熱装置を備えた空気調和機の構成を示す図 図1の空気調和機の通常暖房時の動作及び冷媒の流れを示す模式図 図1の空気調和機の除霜・暖房時の動作及び冷媒の流れを示す模式図 圧縮機とアキュームレータを取り付けた状態の本発明に係る蓄熱装置の斜視図 図4の蓄熱装置の分解斜視図 図4の蓄熱装置の組立手順を示す分解斜視図 図6(d)における線VII-VIIに沿った断面図 図4の蓄熱装置に設けられたシート部材を樹脂層と金属層の2層積層構造とした場合の拡大断面図 図4の蓄熱装置に設けられたシート部材を樹脂層と金属層と樹脂層の3層積層構造とした場合の拡大断面図 図4における線X-Xに沿った断面図 図4の蓄熱装置の正面図 従来の蓄熱装置の縦断面図
本発明は、圧縮機を囲むように配置された蓄熱装置であって、圧縮機で発生した熱を蓄積する蓄熱材と、蓄熱材を収容し、圧縮機の材質よりも収縮性が高い材質で形成された本体を有する蓄熱槽本体と、蓄熱槽本体に収容された蓄熱用熱交換器と、を備え、圧縮機で発生した熱が蓄熱槽本体の外壁を介して蓄熱材に蓄積されるとともに、蓄熱槽本体は、圧縮機の線膨張係数より大きい線膨張係数を有することで、圧縮機の外壁面温度変化に応じて圧縮機と蓄熱槽本体との密着度を変化させ、低温時には密着度を高めて圧縮機から蓄熱槽本体への伝熱性能を向上する一方、高温時には密着度を低くして圧縮機から蓄熱槽本体への伝熱性能を低下さるようにしたものである。
この構成により、圧縮機の温度変化に応じて蓄熱槽と圧縮機との密着度が変化し、低温時には圧縮機から蓄熱槽への伝熱性能が向上する一方、高温時には圧縮機から蓄熱槽への伝熱性能が低下するので、蓄熱材の沸騰及び劣化を防止することができる。
具体的には、蓄熱槽本体の側壁が弾性変形領域で自己復元力を持つ。これにより、圧縮機の温度変化に応じて圧縮機と蓄熱槽との密着度を効果的に変化させることができる。
また、好ましくは、蓄熱槽本体の線膨張係数は、圧縮機の線膨張係数の概ね2倍以上である。これにより、圧縮機の温度変化に応じて圧縮機と蓄熱槽との密着度を効果的に変化させることができる。
また、好ましくは、蓄熱槽本体の線膨張係数は、23〜110×10 −6 /Kである。これにより、圧縮機の温度変化に応じて圧縮機と蓄熱槽との密着度を効果的に変化させることができる。
また、例示的には、圧縮機は金属製で、蓄熱槽本体は樹脂製である。これにより、圧縮機の温度変化に応じて圧縮機と蓄熱槽との密着度を効果的に変化させることができる。
また、蓄熱槽本体が1.0〜3.0mmの肉厚を持つことが好ましい。これにより、圧縮機の温度変化に応じて圧縮機と蓄熱槽との密着度を効果的に変化させることができる。
また、蓄熱槽本体は、その下部が固定される一方、その上部が固定されないことがさらに好ましい。これにより、温度変化の大きい蓄熱槽本体の上部の膨張・収縮を許容して、温度上昇時に蓄熱槽本体を圧縮機から離隔させ、温度低下時には蓄熱槽本体を圧縮機に密着させることが可能となる。
また、本発明の他の態様は、圧縮機と、圧縮機を囲むように配置された上述した蓄熱装置と、を備える空気調和機である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る蓄熱装置を備えた空気調和機の構成を示しており、空気調和機は、冷媒配管で互いに接続された室外機2と室内機4とで構成されている。
図1に示されるように、室外機2の内部には、圧縮機6と四方弁8とストレーナ10と膨張弁12と室外熱交換器14とが設けられ、室内機4の内部には、室内熱交換器16が設けられ、これらは冷媒配管を介して互いに接続されることで冷凍サイクルを構成している。
さらに詳述すると、圧縮機6と室内熱交換器16は、四方弁8が設けられた第1配管18を介して接続され、室内熱交換器16と膨張弁12は、ストレーナ10が設けられた第2配管20を介して接続されている。また、膨張弁12と室外熱交換器14は第3配管22を介して接続され、室外熱交換器14と圧縮機6は第4配管24を介して接続されている。
第4配管24の中間部には四方弁8が配置されており、圧縮機6の冷媒吸入側における第4配管24には、液相冷媒と気相冷媒を分離するためのアキュームレータ26が設けられている。また、圧縮機6と第3配管22は、第5配管28を介して接続されており、第5配管28には第1電磁弁30が設けられている。
さらに、圧縮機6の周囲には蓄熱槽32が設けられ、蓄熱槽32の内部には、蓄熱熱交換器34が設けられるとともに、蓄熱熱交換器34と熱交換するための蓄熱材(例えば、エチレングリコール水溶液)36が充填されており、蓄熱槽32と蓄熱熱交換器34と蓄熱材36とで蓄熱装置を構成している。
また、第2配管20と蓄熱熱交換器34は第6配管38を介して接続され、蓄熱熱交換器34と第4配管24は第7配管40を介して接続されており、第6配管38には第2電磁弁42が設けられている。
室内機4の内部には、室内熱交換器16に加えて、送風ファン(図示せず)と上下羽根(図示せず)と左右羽根(図示せず)とが設けられており、室内熱交換器16は、送風ファンにより室内機4の内部に吸込まれた室内空気と、室内熱交換器16の内部を流れる冷媒との熱交換を行い、暖房時には熱交換により暖められた空気を室内に吹き出す一方、冷房時には熱交換により冷却された空気を室内に吹き出す。上下羽根は、室内機4から吹き出される空気の方向を必要に応じて上下に変更し、左右羽根は、室内機4から吹き出される空気の方向を必要に応じて左右に変更する。
なお、圧縮機6、送風ファン、上下羽根、左右羽根、四方弁8、膨張弁12、電磁弁30,42等は制御装置(図示せず、例えばマイコン)に電気的に接続され、制御装置により制御される。
上記構成の本発明に係る冷凍サイクル装置において、各部品の相互の接続関係と機能とを、暖房運転時を例にとり冷媒の流れとともに説明する。
圧縮機6の吐出口から吐出された冷媒は、第1配管18を通って四方弁8から室内熱交換器16へと至る。室内熱交換器16で室内空気と熱交換して凝縮した冷媒は、室内熱交換器16を出て第2配管20を通り、膨張弁12への異物侵入を防止するストレーナ10を通って、膨張弁12に至る。膨張弁12で減圧した冷媒は、第3配管22を通って室外熱交換器14に至り、室外熱交換器14で室外空気と熱交換して蒸発した冷媒は、第4配管24と四方弁8とアキュームレータ26を通って圧縮機6の吸入口へと戻る。
また、第1配管18の圧縮機6吐出口と四方弁8の間から分岐した第5配管28は、第1電磁弁30を介して第3配管22の膨張弁12と室外熱交換器14の間に合流している。
さらに、内部に蓄熱材36と蓄熱熱交換器34を収納した蓄熱槽32は、圧縮機6に接して取り囲むように配置され、圧縮機6で発生した熱を蓄熱材36に蓄積し、第2配管20から室内熱交換器16とストレーナ10の間で分岐した第6配管38は、第2電磁弁42を経て蓄熱熱交換器34の入口へと至り、蓄熱熱交換器34の出口から出た第7配管40は、第4配管24における四方弁8とアキュームレータ26の間に合流する。
次に、図1に示される空気調和機の通常暖房時の動作及び冷媒の流れを模式的に示す図2を参照しながら通常暖房時の動作を説明する。
通常暖房運転時、第1電磁弁30と第2電磁弁42は閉制御されており、上述したように圧縮機6の吐出口から吐出された冷媒は、第1配管18を通って四方弁8から室内熱交換器16に至る。室内熱交換器16で室内空気と熱交換して凝縮した冷媒は、室内熱交換器16を出て、第2配管20を通り膨張弁12に至り、膨張弁12で減圧した冷媒は、第3配管22を通って室外熱交換器14に至る。室外熱交換器14で室外空気と熱交換して蒸発した冷媒は、第4配管24を通って四方弁8から圧縮機6の吸入口へと戻る。
また、圧縮機6で発生した熱は、圧縮機6の外壁から蓄熱槽32の外壁を介して蓄熱槽32の内部に収容された蓄熱材36に蓄積される。
次に、図1に示される空気調和機の除霜・暖房時の動作及び冷媒の流れを示す模式的に示す図3を参照しながら除霜・暖房時の動作を説明する。図中、実線矢印は暖房に供する冷媒の流れを示しており、破線矢印は除霜に供する冷媒の流れを示している。
上述した通常暖房運転中に室外熱交換器14に着霜し、着霜した霜が成長すると、室外熱交換器14の通風抵抗が増加して風量が減少し、室外熱交換器14内の蒸発温度が低下する。本発明に係る空気調和機には、図3に示されるように、室外熱交換器14の配管温度を検出する温度センサ44が設けられており、非着霜時に比べて、蒸発温度が低下したことを温度センサ44で検出すると、制御装置から通常暖房運転から除霜・暖房運転への指示が出力される。
通常暖房運転から除霜・暖房運転に移行すると、第1電磁弁30と第2電磁弁42は開
制御され、上述した通常暖房運転時の冷媒の流れに加え、圧縮機6の吐出口から出た気相冷媒の一部は第5配管28と第1電磁弁30を通り、第3配管22を通る冷媒に合流して、室外熱交換器14を加熱し、凝縮して液相化した後、第4配管24を通って四方弁8とアキュームレータ26を介して圧縮機6の吸入口へと戻る。
また、第2配管20における室内熱交換器16とストレーナ10の間で分流した液相冷媒の一部は、第6配管38と第2電磁弁42を経て、蓄熱熱交換器34で蓄熱材36から吸熱し蒸発、気相化して、第7配管40を通って第4配管24を通る冷媒に合流し、アキュームレータ26から圧縮機6の吸入口へと戻る。
アキュームレータ26に戻る冷媒には、室外熱交換器14から戻ってくる液相冷媒が含まれているが、これに蓄熱熱交換器34から戻ってくる高温の気相冷媒を混合することで、液相冷媒の蒸発が促され、アキュームレータ26を通過して液相冷媒が圧縮機6に戻ることがなくなり、圧縮機6の信頼性の向上を図ることができる。
除霜・暖房開始時に霜の付着により氷点下となった室外熱交換器14の温度は、圧縮機6の吐出口から出た気相冷媒によって加熱されて、零度付近で霜が融解し、霜の融解が終わると、室外熱交換器14の温度は再び上昇し始める。この室外熱交換器14の温度上昇を温度センサ44で検出すると、除霜が完了したと判断し、制御装置から除霜・暖房運転から通常暖房運転への指示が出力される。
図4乃至図7は蓄熱装置を示しており、蓄熱装置は、上述したように、蓄熱槽32と蓄熱熱交換器34と蓄熱材36とで構成されている。なお、図4は、圧縮機6と、圧縮機6に組み付けられるアキュームレータ26を蓄熱装置に取り付けた状態を示している。また、図5は蓄熱装置の分解斜視図であり、図6は蓄熱装置の組立手順を示しており、図7は図6(d)における線VII-VIIに沿った断面図である。
図5及び図6に示されるように、蓄熱槽32は、側壁46aと底壁(図示せず)を有し上方が開口した樹脂製の蓄熱槽本体46と、この蓄熱槽本体46の上方開口部を閉塞する樹脂製の蓋体48と、蓄熱槽本体46と蓋体48の間に介装されシリコンゴム等で作製されたパッキン50とを備え、蓋体48は蓄熱槽本体46に螺着される。また、蓄熱槽本体46の側壁46aの一部(つまり、側壁46aで圧縮機6と対向する部分)は開口しており、この開口部46bの周縁には、圧縮機6の外周面と密着する密着部材52が接合される。
密着部材52は、枠体54とシート部材56とで構成されており、全体として所定の直径の円筒の一部を切り欠いた形状を呈している。なお、密着部材52の内側には、圧縮機6が収容されることから、取付公差等を考慮して密着部材52の内径は圧縮機6の外径より僅かに大きく設定される。
また、枠体54には、上下方向の中間部から下部にかけて開口部54aが形成されており、この開口部54aを閉塞するようにシート部材56は枠体54に接合される。
蓄熱熱交換器34は、例えば銅管等を蛇行状に折曲したもので、蓄熱槽本体46の内部に収容されており、蓄熱熱交換器34の両端は蓋体48から上方に延出され、一端は第6配管38(図1参照)に接続される一方、他端は第7配管40(図1参照)に接続される。また、蓄熱熱交換器34が収容され、側壁46aと底壁と密着部材52で囲繞された蓄熱槽本体46の内部空間には、蓄熱材36が充填される。
上記構成の蓄熱装置を製作するに際し、図6(a)に示されるように、蓄熱槽本体46
、蓋体48、蓄熱熱交換器34、枠体54、シート部材56等をまず所定の形状に形成し、図6(b)に示されるように、シート部材56を枠体54の開口部54aを閉塞するように接合して密着部材52とする。次に、図6(c)に示されるように、密着部材52を蓄熱槽本体46の開口部46bを閉塞するように接合し、図6(d)に示されるように、蓋体48を蓄熱槽本体46に螺着し、さらに蓄熱槽32の内部に蓄熱材36を充填すると、蓄熱装置が完成する。
なお、図6において蓄熱熱交換器34は省略しているが、蓄熱熱交換器34は、蓋体48を蓄熱槽本体46に螺着する前に蓋体48に取り付けられ、蓄熱槽32の内部に収容される。
次に、上記構成の蓄熱装置の作用を説明する。
上述したように、蓄熱装置は、暖房運転時に圧縮機6で発生した熱を蓄熱材36に蓄積し、通常暖房運転から除霜・暖房運転に移行したときに、第2配管20における室内熱交換器16とストレーナ10の間で分流した液相冷媒の一部が、蓄熱熱交換器34で蓄熱材36から吸熱し蒸発、気相化するためのものであることから、圧縮機6で発生した熱の吸熱効率は高いほど好ましい。
吸熱効率は、蓄熱槽本体46と圧縮機6との密着度に依存しているが、圧縮機6は金属製でその外周面には凹凸があり、蓄熱槽本体46と圧縮機6との密着度を向上させるのは容易ではない。
そこで、本発明に係る蓄熱装置においては、蓄熱槽本体46に柔軟性のある密着部材52を設けており、蓄熱槽32に蓄熱材36を充填すると、蓄熱材36の液圧によりシート部材56が圧縮機6の外周面に向かって膨れることになり、シート部材56が圧縮機6の外周面に密着することで、吸熱効率を向上させている。
したがって、シート部材56は耐熱性に優れ、蓄熱槽本体46よりも高い柔軟性を有し変形しやすいものが好ましく、例えばPET(テレフタル酸ポリエチレン)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の材料で作製され、液圧に応じて変形自在の構成である(特に肉厚に依存し、自己復元力がない)。
一方、枠体54は、シート部材56との接合を考えると、シート部材56と同じ材料が好ましいが、シート部材56との接合強度が十分であれば、任意の耐熱性樹脂を採用することができる。
また、シート部材56は樹脂の単層構造でもよいが、熱伝導性、強度等を考慮して、樹脂層に金属層を積層した積層構造とすることもできる。
積層構造の場合、図8に示されるように、外側(圧縮機6との対向面)に金属層58を配置し、内側(蓄熱材36との接触面)に樹脂層60を配置するのが好ましい。金属層58を圧縮機6側に配置するのは、例えば、圧縮機6表面の凹凸でシート部材56が傷むことを防止するためである。また、金属層58よりも蓄熱材側に樹脂層60を配置するのは、金属層58の腐食を防止するためである。
さらに、図9に示されるように、金属層58に、圧縮機6と密着する第2の樹脂層62を積層してもよく、この場合、蓄熱材36と接触する樹脂層60を第2の樹脂層62より厚く設定するのがよい。なぜなら、蓄熱材36の金属層58への樹脂内浸透を防止することができるからである。
一方、蓄熱槽本体46の材質は圧縮機6の材質(金属)を考慮して、圧縮機6の材質より収縮性が高い材質(樹脂)を選定することで、圧縮機6が冷たく蓄熱材36が冷たいときは、圧縮機6が発生した熱を素早く蓄熱材36に蓄熱する一方、蓄熱材36が所定温度(例えば、100℃)になると、蓄熱材36の劣化防止の観点から、蓄熱材36にさらに蓄熱しないようにしている。
すなわち、図10に示されるように、蓄熱槽本体46の内壁の直径は、圧縮機6の外径よりも若干大きい値(例えば、2mm程度)に設定されている。蓄熱槽32の圧縮機6への組み付けに際し、蓄熱槽本体46は上方から圧縮機6に外装され、蓄熱槽本体46はバンド64により圧縮機6に緩く固定される(図4参照)。緩く固定することで、蓄熱槽32の圧縮機6への組み付け後、低温時、蓄熱槽本体46の内周面と圧縮機6の外周面との間には、1mm程度の空隙ができる。
この空隙は空気層であり断熱材として作用するが、冷凍サイクルの停止時には、蓄熱材36の液圧によりシート部材56が圧縮機6の外周面に向かって膨れて密着することで、シート部材56と圧縮機6の外周面との間の空隙がなくなる。一方、この冷凍サイクルを用いて暖房運転(通常暖房)を行うと、圧縮機6の外壁面の温度は約100℃程度にまで達し、蓄熱槽32の温度は上昇して、蓄熱槽32は、図10に示される矢印の方向に膨張する。圧縮機6も温度上昇により膨張するが、圧縮機6の材質より収縮性の高い材質を蓄熱槽本体46の材質として選定しているので、圧縮機6の外周面と蓄熱槽本体46の内壁の間の空隙を大きくすることができる。
上述したように、この空隙は断熱材として作用するので、圧縮機6が高温になると、圧縮機6からの熱は蓄熱材36に伝わり難くなり、蓄熱材36の水分沸騰を防止することができ、ひいては、蓄熱材36の劣化を防止することができる。
また、例えば除霜・暖房運転等により蓄熱材36の蓄熱を消費することで蓄熱材36自体の温度が低下すると、蓄熱槽32は収縮する。その結果、圧縮機6の外周面と蓄熱槽本体46の内周面の間の空隙は小さくなり、蓄熱槽本体46の内周面が圧縮機6の外周面に近接することになるので、圧縮機6の外周面に対するシート部材56の密着性が向上し、圧縮機6で発生した熱を蓄熱材36に良好に伝達することが可能となる。
さらに、蓄熱槽32の内部に収容された蓄熱材36の温度は蓄熱材36の蓄熱槽32内の垂直方向位置に応じて変化し、この垂直方向位置が低いほど温度は低く、垂直方向位置が高いほど温度も高くなるので、蓄熱槽32の膨張・収縮は高さが高いほど大きくなる。
そこで、本発明においては、図11に示されるように、蓄熱槽32は、その底壁に形成された複数(例えば、三つ)の取付片66を介して室内機の底板(図示せず)に固定されており、蓄熱槽32の下部のみを固定(拘束)し、上部を固定しない(拘束しない)ようにすることで、圧縮機6から蓄熱材36への熱の伝達を効率的に行っている。より具体的には、高温になる蓄熱槽32の上端部分を拘束しないことで、高温時に蓄熱槽32の高温部分を圧縮機6から離隔させ、低温時に蓄熱槽32を圧縮機6に密着させることで蓄熱を早めることが可能となる。
なお、蓄熱槽本体46の側壁としては、その膨張・収縮を考慮して次のような材料が好ましく、その肉厚は1.0〜3.0mmの範囲が好ましい。なぜなら、弾性変形領域で自己復元力がある(温度変化に応じて変形自在)からである。
・圧縮機6の材質よりも収縮性が高い材質
・弾性変形領域で自己復元力がある(温度変化に応じて変形自在)
・圧縮機6の線膨張係数より大きな線膨張係数を有する材料
具体的には、蓄熱槽本体46の側壁の材料として、PPS(ポリフェニレンサルファイ
ド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PS(ポリスチレン)、PP(ポリプロ
ピレン)等の樹脂を採用することができる。これらの材料は、次のとおりの線膨張係数を持つ。
・PPSの線膨張係数:23〜32×10−6/K
・PBTの線膨張係数:約94×10−6/K
・PSの線膨張係数:約70×10−6/K
・PPの線膨張係数:約110×10−6/K
なお、樹脂の線膨張係数に関しては、グレードやフィラー等でかなり数値が変動するため、代表的なものを例示している。
因みに、圧縮機6の材料として鋼を採用した場合、その線膨張係数は、10〜12×10−6/Kで、蓄熱槽本体46の材料である樹脂より小さい。
なお、以上の実施の形態では、上述したように、圧縮機6と対向する側壁46aの一部は開口しており、この開口部46bの周縁には、圧縮機6の外周面と密着するための密着部材52が接合されている。しかしながら、本発明はこの構成に限定されるわけではなく、側壁46aに開口部46bが無い種類の蓄熱槽32であっても構わない。
本発明に係る蓄熱装置は、圧縮機で発生した熱を蓄積する蓄熱材の劣化を防止することができるので、空気調和機、冷蔵庫、給湯器、ヒートポンプ式洗濯機等に有用である。
2 室外機、 4 室内機、 6 圧縮機、 8 四方弁、 10 ストレーナ、
12 膨張弁、 14 室外熱交換器、 16 室内熱交換器、 18 第1配管、
20 第2配管、 22 第3配管、 24 第4配管、 26 アキュームレータ、
28 第5配管、 30 第1電磁弁、 32 蓄熱槽、 34 蓄熱熱交換器、
36 蓄熱材、 38 第6配管、 40 第7配管、 42 第2電磁弁、
44 温度センサ、 46 蓄熱槽本体、 46a 側壁、 46b 側壁開口部、
48 蓋体、 50 パッキン、 52 密着部材、 54 枠体、 54a 開口部、56 シート部材、 58 金属層、 60 樹脂層、 62 第2の樹脂層
64 バンド、 66 取付片。

Claims (11)

  1. 圧縮機を囲むように配置された蓄熱装置であって、
    前記圧縮機で発生した熱を蓄積する蓄熱材と、前記蓄熱材を収容する蓄熱槽本体と、前記蓄熱槽本体に収容された蓄熱用熱交換器と、を備え
    前記圧縮機で発生した熱が前記蓄熱槽本体の外壁を介して前記蓄熱材に蓄積されるとともに、前記蓄熱槽本体は、前記圧縮機の線膨張係数より大きい線膨張係数を有することで、前記圧縮機の外壁面温度変化に応じて前記圧縮機と前記蓄熱槽本体との密着度を変化させ、低温時には前記密着度を高めて前記圧縮機から前記蓄熱槽本体への伝熱性能を向上する一方、高温時には前記密着度を低くして前記圧縮機から前記蓄熱槽本体への伝熱性能を低下させることを特徴とする蓄熱装置。
  2. 前記圧縮機の材質は金属であり、前記蓄熱槽本体の材質は樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の蓄熱装置。
  3. 前記蓄熱槽本体は、弾性変形領域で自己復元力があることを特徴とする請求項1に記載の蓄熱装置。
  4. 前記蓄熱槽本体の線膨張係数は、前記圧縮機の線膨張係数の概ね2倍以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
  5. 前記蓄熱槽本体の線膨張係数は、23〜110×10 −6 /Kであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
  6. 前記蓄熱槽本体と前記圧縮機との間に前記蓄熱槽本体よりも高い柔軟性を有して変形しやすいシート部材を介在させた請求項1乃至5のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
  7. 前記蓄熱槽本体は、バンドによって前記圧縮機に固定されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
  8. 前記蓄熱槽本体は、前記圧縮機の外周のうちの180度以上に渡って前記圧縮機を囲んで設けられることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
  9. 前記蓄熱槽本体は、1.0〜3.0mmの肉厚を持つことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
  10. 前記蓄熱槽本体は、その下部が固定される一方、その上部が固定されないことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
  11. 圧縮機と、該圧縮機を囲むように配置された請求項1乃至10のいずれか1項に記載の蓄熱装置と、を備えることを特徴とする空気調和機。
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