JP4633883B2 - 熱変性たらこの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たらこ(スケソウダラの卵)などの魚卵を加熱する調理法による熱変性たらこの製造方法に関し、特に、プチプチ感(卵粒感)を失うことなくまた重量の減少を伴わずに熱変性たらこを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
魚卵、特にスケソウダラの卵であるたらこは、生のまま塩漬けなどの加工を施して調理する場合と、加熱して焼いた状態にする場合とがある。いずれの状態にして食べるかは、地域によって或いは個人的な嗜好により選択される。このうち、加熱した熱変性たらこは、例えば関東地方などにおいて多く食べられる。従って、この熱変性たらこの加工食品の製造方法が検討されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般的に、熱変性たらこを製造する為に、たらこ(或いはばらこ、バラたらこ)などの魚卵を加熱して内部を蛋白変性させる場合、魚卵の細胞膜(外皮)が破壊され、内部から水分が流出して収縮し、重量の大幅な減少を伴う。重量の減少は、内部からの水分の流出によるもので、多い場合は50%以上も減少してしまう。その結果、魚卵内部の主として味覚の作用を有する水分が失われてジューシー感が失われ、また、細胞膜が破壊されたことで魚卵が本来持つプチプチ感(卵粒感、粒が潰れておらず一粒毎に歯ごたえがある感じ)も失われ食感を著しく悪化させる。
【0004】
従来の製造方法では、破壊された細胞膜を乾燥させると共に流出した水分を濃縮して粉にし、それを乾燥した細胞膜にまぶすことなどが提案されているが、そのような熱変性たらこでは、上記したジューシー感がなく、食感も悪くなっている。
【0005】
そこで、本発明の目的は、細胞膜の破壊を伴わないで加熱して蛋白変性させることができる熱変性たらこの製造方法を提供することにある。
【0006】
更に、本発明の目的は、プチプチ感があって食感が良い熱変性たらこを混入した竹輪または蒲鉾の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、生のたらこ或いはばらこ(バラたらこ)を耐熱性の袋や容器内に密封し、レトルト釜内に入れて熱変性させるに当たり、レトルト釜内の圧力を大気圧より上昇させた状態で熱変性させることを特徴とする。レトルト釜内の圧力を上昇させることで、熱変性に伴って魚卵の細胞膜内圧力が上昇しても、魚卵の細胞膜内外の圧力差を一定の範囲内に保つことができ、細胞膜の破壊を伴わずに魚卵を蛋白変性させることができる。従って、細胞膜の破壊による水分の流出はなく、ジューシー感が保たれプチプチ感も失われずに食感を悪化させることもない。このような加工法により製造した熱変性たらこは、そのまま食品として使用することもでき、更に、それを蒲鉾や竹輪などの練り物に添加して加熱加工しても、すでに蛋白変性した熱変性たらこは細胞膜が破壊することはないので、上記のジューシー感とプチプチ感を維持した熱変性たらこが混入した蒲鉾や竹輪などを得ることができる。
【0008】
本発明による熱変性たらこの製造方法では、好ましくは、耐熱性の袋や容器内に生のばらこを密封してレトルト釜内に入れて熱変性するに当たり、レトルト釜内の圧力を上昇させ、加熱した状態で細胞膜内圧力よりもレトルト釜内圧力が一定値だけ高くなる様にレトルト釜内の圧力を維持することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0010】
図1は、本実施の形態例における製造工程の概略を示す図である。また、図2は、本実施の形態例における製造方法のフローチャート図である。まず、図1(a)に示される通り、卵巣の房1に入った生の状態のたらこから、図1(b)に示される通り魚卵一つ一つを取り出して生のばらこ2の状態にする(工程S2)。そして、図1(c)に示される通り、例えば耐熱性の軟包装材からなるパウチ3の中にばらこ2を入れて、含気状態で或いは脱気状態で密封する(工程S4)。この耐熱性の軟包装材以外に、プラスチックなどの耐熱性容器内に入れて、含気状態でビニールなどにより密封してもよい。そして、図1(d)に示される通り、ばらこを密封したパウチ3をレトルト釜内に入れて、レトルト釜内の圧力を上昇させた状態で65〜130℃に加熱してたらこを熱変性させる。この時の温度の下限は、熱変性させるためには68℃程度が好ましく、70℃程度あるとより望ましい。
【0011】
上記の加熱工程(熱変性工程)では、単にたらこの蛋白変性のみを目的とする場合は、例えば68〜100℃の温度範囲にレトルト釜内の温度を上昇させる。また、たらこの蛋白変性に加えて商業的無菌たらこを製造する場合は、例えば100〜120℃の温度範囲にレトルト釜の温度を上昇させることが必要である。また、加熱工程において、加熱に伴い魚卵の細胞膜内圧力が上昇するが、細胞膜内圧力とレトルト釜内圧力とを一定の範囲で均衡を維持することにより、細胞膜内圧力が細胞膜外圧力より著しく高くなって破裂することが防止される。最も理想的には、レトルト釜内に熱水を供給したり熱水シャワーを放出したりしてレトルト釜内の温度が上昇するに伴い、レトルト釜内圧力を上昇させて、細胞膜内外の圧力が均衡を保つようにし、加熱して魚卵の蛋白変性を行っている間も、細胞膜内外の圧力が均衡を保つようにし、加熱終了後にレトルト釜内の温度を常温まで冷却するに伴い、レトルト釜内圧力を大気圧付近まで低下させて、細胞膜内外の圧力が均衡を保つようにすることが望ましい。その場合、レトルト釜内の温度に若干のばらつきがあるので、細胞膜の内圧に対して外圧が、0.1〜0.3kg/cm2以上高く保たれることが好ましい。それにより、常に魚卵の細胞膜に外から圧力をかけ続けることができ、加熱工程において細胞膜が破壊することは防止できる。
【0012】
或いは、レトルト釜内の温度を上昇させる前に、レトルト釜内の圧力を大気圧から上昇させても、レトルト釜内圧力を適切に選択すれば細胞膜の破壊を防止することができ、圧力制御も容易になる。また、同様に、レトルト釜内の温度を下降させた後に、レトルト釜内の圧力を高圧力から大気圧近傍まで低下させる場合でも、細胞膜の破壊を防止することができる。例えば、通常使用されるパウチ内に生のばらこを入れて脱気密閉した場合は、加熱温度(熱変性温度)が90℃以下であるなら、レトルト釜内の圧力をあらかじめ0.8kg/cm2以上に上昇させておき、その後レトルト釜内の温度を上昇させても、細胞膜の破壊は十分に防止される。もちろん本発明は、上記の0.8kg/cm2以上に限定されるわけではなく、細胞膜が破壊されない程度の圧力であれば良い。
【0013】
尚、本明細書において、レトルト釜内圧力を0.8kg/cm2にするとは、大気圧よりも0.8kg/cm2だけ圧力を高くすることを意味する。従って、レトルト釜内圧力を0.8kg/cm2にする場合は、大気圧(例えば1.0kg/cm2)を考慮すると、絶対圧力1.8kg/cm2にしたことを意味する。以下同様の圧力の表現で説明する。
【0014】
さて、上記の通り、レトルト釜内の圧力をあらかじめ0.8kg/cm2に保つ場合、レトルト釜内の温度が常温であっても、魚卵の細胞膜の内圧よりも外圧のほうが高く保たれるので、細胞膜を外側から高圧により抑えている状態となり、細胞膜が破壊することはない。また、レトルト釜内の温度が90℃以下程度まで上昇する限りは、上記の釜内圧力であれば、細胞膜の内圧が外圧より高くなって破壊に至ることはない。従って、その場合は、レトルト釜内の温度の上昇や下降に連動させて、レトルト釜内の圧力を制御する必要はない。
【0015】
図2に示した通り、上記の加熱工程をとる場合は、パウチや容器に密閉されたばらこをレトルト釜内に入れた後、まずレトルト釜の圧力を上昇させる(S8)。この圧力値は、その後の加熱温度によってその適正な範囲が異なる。例えば、加熱温度が90℃以下であれば、釜内圧力は0.8kg/cm2以上に設定される。或いは、商業殺菌を伴い加熱温度が100〜120℃になる場合は、釜内圧力は更に高い1.3kg/cm2程度に設定される。
【0016】
レトルト釜内の圧力が高められてから、レトルト釜内の温度が上げられる(S10)。この加熱は、後述する通り種々の方法が考えられるが、一般には、130℃程度の熱水をレトルト釜内に供給することで行われる。或いは、高温の蒸気をレトルト釜内に供給することで行われる。
【0017】
そして、レトルト釜内の圧力を魚卵の細胞膜内圧力と均衡させて、より好ましくは、細胞膜内圧力よりも細胞膜外圧力を0.1〜0.3kg/cm2程度以上高くした状態で、加工温度を保つ(S12)。この状態を、たらこの蛋白変性に必要な加工時間が経過するまで保つ(S14)。予めレトルト釜内の圧力を高くしているので、加熱によりレトルト釜内の温度が上昇する過程では、魚卵の細胞膜内圧力が細胞膜外圧力より著しく高くなる状態が避けられ、細胞膜が破壊することは防止される。そして、加工温度を保つうちに魚卵の細胞膜内部が蛋白変性され、硬化することで、細胞膜内の圧力の上昇の危険がなくなり、細胞膜が破壊されることはない。
【0018】
加工時間が経過すると、冷却によりレトルト釜内の温度が常温近くまで下げられる(S16)。そして、同時に或いはその後レトルト釜内の圧力も大気圧近傍まで下げられる(S18)。加工時間が経過した段階で、魚卵内部が蛋白変性されている。従って、冷却工程においては圧力によって細胞膜が破壊される危険性は少なくなっているので、レトルト釜内の圧力を温度低下よりも先に行っても、それほど問題はない。そして、最後にレトルト釜から加工されたばらこが密封されたパウチ或いは容器を取り出す(S20)。
【0019】
上記の製造方法により加工された熱変性たらこは、製造工程中に魚卵の細胞膜が破壊されずに内部の水分が流出することなく蛋白変性される。従って、ジューシー感は失われず、プチプチ感(卵粒感)が保たれて食感の悪化がない熱変性たらこを得ることができる。
【0020】
上記の製造工程で使用されるレトルト釜について説明する。図3はシャワー式のレトルト釜の構造を示す図であり、図4は熱水式のレトルト釜の構造を示す図である。図3に示したシャワー式のレトルト釜は、釜10に内部の圧力を上昇させる為のポンプ11が取り付けられる。また、釜10内には、前述のパウチや容器が並べられる棚12が設けられ、図示しない開閉扉が取り付けられる。また、釜10には、内部の温度を上昇させる為のシャワー吹き出し口14が設けられる。そして、図示しない温水供給手段からシャワー吹き出し口14を介して、釜10の内部に温水が供給され、内部温度が上昇される。
【0021】
図4に示した熱水式のレトルト釜は、同様に、釜10に内部の圧力を上昇させる為のポンプ11が取り付けられ、釜10内には棚12が設けられ、図示しない開閉扉が取り付けられる。また、釜10には、内部の温度を上昇させる為の温水槽16が、バルブ18を介して設けられる。温水糟16内に蓄えられた温水が、バルブ18を開くことにより釜10内に供給され、釜内の温度が上昇される。また、釜10には温水を別に供給するためのシャワー吹き出し口20が設けられ、加熱後の温度調整に利用される。
【0022】
本実施の形態例では、上記のいずれのレトルト釜でも、釜内の圧力を上記した通り制御することで、熱変性たらこを製造することができる。
【0023】
【実施例】
[第1の実施例]
次に、実施例について説明する。図5は、第1の実施例における釜内温度や釜内圧力などのタイミングチャート図である。
第1の実施例では、耐熱性パウチにバラたらこを1kg入れ、脱気密閉包装し、スプレー式のレトルト釜(図3参照)内の棚に並べ、釜を密封する。その後、図5に示される通り、時間t1においてポンプ11を駆動してレトルト釜10内の圧力を大気圧(ここでは0kg/cm2)から、1.0kg/cm2まで上昇させる。レトルト釜10内の圧力が1.0kg/cm2まで上昇した後に、時間t2において、約90℃の温水シャワー14をレトルト釜10内に放出する。これにより、レトルト釜内の温度は室温(常温)から約90℃まで上昇する(時間t3)。このレトルト釜内の温度の上昇に伴い、バラたらこの温度も上昇し、魚卵の細胞膜内の圧力(図5(c)中破線)も上昇する。細胞膜内の圧力は、およそ0.7kg/cm2程度までしか上昇せず、レトルト釜内の圧力(細胞膜外圧力)の1.0kg/cm2よりも低く抑えられ、魚卵の細胞膜が外部から内部に向かう0.1〜0.3kg/cm2程度の圧力を受けることになる。
【0024】
この状態で、約30分間温水シャワーの放水を継続して約90℃を維持し、バラたらこの加熱を行う。魚卵の細胞膜が外部から圧力をかけられた状態で内部が加熱されるので、細胞膜(皮)が破裂することはない。時間t3から時間t4まで約30分間加熱してから、時間t4で温水シャワーの放水を止めて、レトルト釜を冷却(或いは自然冷却)して内部の温度を室温(常温)付近まで低下させる。時間t5にてレトルト釜内の温度が室温付近まで低下したあと、時間t6でポンプ11の駆動を止めてレトルト釜内の圧力を大気圧近傍まで低下させる。大気圧まで低下してから(時間t7)、レトルト釜の開閉扉を開けて、内部のバラたらこを取り出した。
【0025】
加工されたバラたらこは、ほとんどドリップがなく、プチプチした食感を持った蛋白変性バラたらこを得ることができた。しかも、加工後の重量も最初の重量の1.0kgとほとんど変化はなかった。
【0026】
尚、本実施例でパウチを利用したが、例えば耐熱性のプラスチック容器にバラたらこを入れて、含気密封して、同様の加熱工程を施しても、同様の効果を得ることができる。また、レトルト釜を図4の如き熱水式レトルト釜に置き換えることも可能である。
【0027】
更に、図5(c)の一点鎖線で示される通り、時間t4で釜内の温度を下げるタイミングに合わせて、レトルト釜10内の圧力を下げることもできる。すでに魚卵の内部は蛋白変性しているので、圧力差による細胞膜の破裂の問題はほとんどない。
【0028】
[第2の実施例]
図6は、第2の実施例における釜内温度や釜内圧力などのタイミングチャート図である。第2の実施例では、加熱温度を約115℃まで上昇させることで、所謂商業的殺菌を行う。
【0029】
まず、耐熱性プラスチック容器にたらこを1kg入れて、含気状態で密封包装し、熱式レトルト釜内に並べ、釜を密閉する。その後、時間t1で、ポンプ11を駆動してレトルト釜10内の圧力を約1.3kgまで上昇させる。圧力が上昇した後、時間t2にてレトルト釜10のバルブ18を開いて熱水を釜内に供給する。この熱水が釜内に蓄えられることで、釜内の温度は約115℃まで上昇する。時間t3から約40分間釜内の温度を115℃に維持し、釜内の圧力を約1.3kg/cm2に維持する。その結果、魚卵の細胞膜には、外部から圧力を受ける状態で加熱され、内部の膨張による細胞膜の破裂は防止される。そして、時間t5で釜内の温度を常温付近まで低下させ、釜内の圧力を大気圧近傍まで低下させる。そして、時間t6以降に内部のたらこを取り出す。
【0030】
この場合も、加工されたたらこは、ほとんどドリップがなく、プチプチした食感を持った蛋白変性バラたらこを得ることができた。しかも、加工後の重量も最初の重量の1.0kgとほとんど変化はなかった。しかも、一般生菌数は1×102以下に抑えることができた。
【0031】
第2の実施例の変形例として、図6の一点鎖線に示される通り、釜内の温度を一旦約90℃に上昇させ、その後、時間t4にて約115℃に上昇させる。それに伴い、釜内の圧力も、一旦0.8kg/cm2に上昇させて、温度が90℃に上昇したあと、115℃に上昇させるに伴い釜内の圧力も1.3kg/cm2に上昇させる。このように、2段階で温度を上昇させることで、たらこへのストレスを抑えて加工後の熱変性たらこの味覚の低下を防止することができる。この場合も、魚卵の細胞膜の内圧に対して常にレトルト釜内の圧力が高く、約0.1〜0,3kg/cm2以上の圧力を細胞膜に対して外側から与えることができるので、魚卵の細胞膜が破壊されることはない。加工後の重量変化及び一般生菌数については、上記の例と同等であった。
【0032】
第2の実施例において、軟包装材からなるパウチ内にバラたらこを詰め込んで、脱気状態で密封しても、同様の熱変性たらこをえることができる。
【0033】
上記の加熱加工により生成された熱変性たらこは、そのまま食品とすることができる。或いは、熱変性たらこを竹輪や蒲鉾内の練り物に混入させて、所定の温度で加熱加工することもできる。この竹輪や蒲鉾の加熱加工において、熱変性たらこの魚卵内部はすでに蛋白変性しているので、魚卵の細胞膜が破壊されることはない。しかも、本熱変性たらこが練り込まれた竹輪や蒲鉾において、たらこにプチプチ感が残っているので、従来にない食感のある竹輪や蒲鉾を提供することができる。
【0034】
[第3の実施例]
第3の実施例は、加熱処理したばらこと味付けされただし汁とが混入された味付けたらこを製造する方法である。この味付けたらこを白米に混入させて例えば家庭用炊飯器で炊き上げることで、プチプチ感を保持したばらこが混入された炊き込みご飯を簡単に調理することができる。
【0035】
第3の実施例は、前述の第2の実施例の加熱処理において、最初に耐熱性プラスチック容器または軟包装材からなるパウチ内に、生のたらこに、味付けされた液体(たれと油の混合物)をたらこの重量に対し10〜50%程度混入する。その後の加熱工程は、第2の実施例と同じ図6に示される通りである。加熱工程において、生のたらこは蛋白変成すると同時に混入させたたれの味が染み込み、かつ熱工程終了後は、味付けたらことして流通過程に置くことができる。第2の実施例の加熱工程によれば、加熱温度が約115℃まで上昇するので、商業的殺菌済みであり、流通過程では常温流通させることができる。また、たらこの蛋白変成工程と味付け工程とを同時に行うことができ、製造工程を簡単にすることができる。
【0036】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、プチプチ感を失わず食感が悪化せず、重量の減少も少ない熱変性たらこの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態例における製造工程の概略を示す図である。
【図2】本実施の形態例における製造方法のフローチャート図である。
【図3】シャワー式のレトルト釜の構造を示す図である。
【図4】熱水式のレトルト釜の構造を示す図である。
【図5】第1の実施例における釜内温度や釜内圧力などのタイミングチャート図である。
【図6】第2の実施例における釜内温度や釜内圧力などのタイミングチャート図である。
【符号の説明】
2 バラたらこ、ばらこ
3 パウチ
10 レトルト釜

Claims (6)

  1. たらこを加熱して変性させる熱変性たらこの製造方法において、
    耐熱性袋または耐熱性容器内に密閉した生のたらこの細胞膜が破壊されていない魚卵を、レトルト釜内に入れる工程と、
    前記レトルト釜内の圧力を予め上昇させた状態で、前記レトルト釜内の温度を上昇させ65〜130℃に維持し、前記たらこの魚卵を熱変性させる工程とを有することを特徴とする熱変性たらこの製造方法。
  2. 請求項1において、前記熱変性工程で、前記たらこの魚卵の細胞膜が破壊されない程度に前記レトルト釜内の圧力と前記たらこの魚卵の細胞膜内圧力とを一定範囲で均衡させることを特徴とする熱変性たらこの製造方法。
  3. 請求項1において、前記熱変性工程で、前記レトルト釜内の圧力を予め第1の圧力にさせた状態で、前記レトルト釜内の温度を65〜100℃に上昇させ、その後、前記レトルト釜内の圧力を前記第1の圧力よりも高い第2の圧力及び前記レトルト釜内の温度を100〜120℃にそれぞれ上昇させることを特徴とする熱変性たらこの製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかにおいて、前記熱変性工程において、前記レトルト釜内の温度が90℃以下の時に、前記レトルト釜内の圧力が大気圧より0.8kg/cm2以上高い圧力に保たれることを特徴とする熱変性たらこの製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の熱変成たらこの製造方法によって製造された熱変性たらこを、蒲鉾材料或いは竹輪材料内に添付して練り込み、加熱を加えて加工する蒲鉾又は竹輪の製造方法。
  6. 請求項1乃至4のいずれかに記載の熱変成たらこの製造方法おいて、前記耐熱性袋または耐熱性容器内に密閉した前記生のたらこの魚卵に、所定の味付けされた液体を混入した状態で熱変成させることを特徴とする味付けたらこの製造方法。
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