JP4633373B2 - 生体情報処理システム - Google Patents

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Description

この発明は、ユーザの生体情報を収集し、処理・利用するシステムに関する。
特許文献1には、ユーザが心電図センサその他のセンサを用いて自己の生体情報を収集し、センサ・モジュールに接続された携帯端末を用いて遠隔のサーバに生体情報を送信し、サーバでこの生体情報を詳細に解析し、ユーザの健康状態を診断するシステムが記載されている。センサ・モジュールは、心電図波形、脈拍波形その他の生体情報の信号処理を行って、簡易に異常が発生したかどうかを判断する。異常が発生していると判断されると、携帯端末を介してサーバにデータが送信され、サーバでより詳細な診断が実行され、結果がユーザに返送され、登録された緊急連絡先に緊急連絡がなされる。
特許文献2には、血圧、脈拍、呼吸数などの生体情報を検出するための測定装置および胸部、脚部などの運動の加速度を測定する加速度センサを被験者に取り付け、これらの測定装置から得られる生体情報をブルートゥース(Bluetooth)を用いて施設内のプロセッサ装置に送信し、または測定装置に接続された携帯端末から遠隔のプロセッサ装置に送信することが記載されている。プロセッサ装置は、受信した加速度情報から被験者の運動量を算出し、この運動量に応じた血圧、脈拍、呼吸数などのしきい値を算出する。プロセッサ装置は、被験者の測定装置から得られる血圧、脈拍、呼吸数がこれらの運動量に応じたしきい値を超えているとき、身体異常を被験者に通知する。
特許文献3には、加速度センサなどを組み込んだ腕時計型の表示装置を備える生体情報収集装置を使用者に装着して、生体情報をこの収集装置のメモリに保存することが記載されている。加速度センサの出力を分析することにより、使用者の動きを検出し、睡眠中の動きであるか、覚醒中の動きであるかを判定することができる。PCに接続されたドッキング・ステーションにこの生体情報収集装置を接続し、PCに組み込まれたプログラムにしたがって使用者の精神状態の問診(なぜそのような動きをしたかなど)が行われる。
特許文献4には、腕などの身体に加速度センサおよび角速度センサを装着するとともに脈波センサを装着し、これらのセンサからの検出信号を無線送信することが記載されている。加速度および角速度の運動に関する情報と、脈波の生体情報との組み合わせで身体状態の監視を行う。たとえば、運動量が小さいにもかかわらず脈拍数が異常に高い場合、警報信号が出力される。
特開2003-299624号公報 特開2003-220039号公報 特開2003-290176号公報 特開2003-24287号公報
健康管理を充実させ、適切な医療サービスが受けられるようにするためには、心拍数、呼吸数その他の生体情報を日常的にモニタすることが望まれる。そのためには、ユーザによる操作を極力減らし、服装のように着用するだけで簡単に利用可能な健康管理システムが切望される。
特許文献1に記載の技術は、生体情報を収集する際に心電電極その他のセンサを身体の複数の箇所に取り付けるもので、ユーザによる操作が必要である。
特許文献2および3に記載の技術は、腕にセンサを取り付けて生体情報を常時収集するもので、腕に装着するセンサから得られる生体情報は極めて限られており、健康状態の十分なモニタを行うことはできない。
特許文献4に記載の技術は、身体の複数の離れた箇所にセンサを取り付けて健康状態の検出を行うものであり、日常的に使用するには操作が煩雑すぎる。
この発明の生体情報処理システムは、ユーザの健康状態に関係する信号を出力する生体センサを備えた、ユーザの胴体に装着するためのセンサベルトを備えている。生体情報処理システムは、このセンサベルトに着脱可能な生体センサ処理装置を備えており、生体センサ処理装置は、センサベルトの生体センサからの検知出力を処理するためのプロセッサ、このプロセッサが実行するコンピュータ・プログラムを格納する第1のメモリ、このプロセッサによる処理結果の生体データを記憶する第2のメモリ、および電源となるバッテリを備えている。
この発明に係るセンサベルトは、ユーザの胴体、すなわち胸部又は腹部に装着されるベルトで、心電信号を検出するための心電電極、体脂肪率を推定するための電流電極、電圧電極などの複数の生体センサを取り付けることができ、ユーザの健康状態を判断するための生体情報を収集することができる。このセンサベルトには、生体センサ処理装置が着脱可能であり、生体センサ処理装置は、プロセッサを含んでおり、生体センサからの出力を処理するので、ユーザによる格別の操作を必要とすることなく、ユーザの生体情報をモニタすることができる。
この発明の一形態では、生体センサ処理装置は、ユーザの携帯電話または携帯端末装置と通信する通信手段を備え、プロセッサによるモニタの結果、ユーザの健康状態に異常が検出されるとき、通信手段を起動して、異常を携帯電話または携帯端末装置に通信するよう構成されている。
この形態によると、ユーザは、自己の健康状態に異常が生じると、速やかにその異常を知ることができる。
また、この発明の一形態では、生体センサ処理装置は、ユーザの携帯電話または携帯端末装置と通信する通信手段を備え、プロセッサによるモニタの結果、ユーザの健康状態に異常が疑われるとき、通信手段を起動して、異常に関連する生体データを携帯電話または携帯端末装置を介して生体情報処理センタのコンピュータに送信するよう構成されている。
この形態によると、ユーザの健康状態に異常が生じたとき、そのユーザの生体データが遠隔の生体情報処理センタのコンピュータに送信される。生体情報処理センタは、この生体データを解析して適切な対応をとることができる。
この発明の一つの形態では、生体情報処理システムは、生体センサ処理装置のバッテリを充電するドッキング・ステーションを備え、このドッキング・ステーションは、生体センサ処理装置のメモリに記憶された生体データを生体情報処理センタのコンピュータに送信する通信手段を備える。
この形態によると、生体センサ処理装置をそのバッテリを充電するためのドッキング・ステーションに結合するとき、生体センサ処理装置に蓄積された生体データがセンタのコンピュータに送られる。この生体データは、ユーザの健康判断のためコンピュータによって処理されることができ、そのデータはコンピュータに関連するデータベースに保存することができる。
この発明の一形態では、ドッキング・ステーションは、生体情報処理センタのサーバ・コンピュータに新しいバージョンの生体センサ処理装置用処理プログラムが格納されている場合、生体センサ処理装置に格納されている処理プログラムを更新するよう構成されている。
この形態によると、生体センサ処理装置の処理プログラムは常に最新の状態に維持される。
この発明の一形態では、生体情報処理センタのコンピュータは、生体センサ処理装置のリアルタイム解析でユーザの異常が疑われて、送られてくるデータの受信に応じて、更にその生体データを詳細処理してユーザの健康状態を判定し、ユーザに助言メッセージを送信する。緊急時、医師やサポータなどとユーザとの間の音声リンクを即時に確立するよう構成されている。
この形態によると、生体センサ処理装置がユーザの健康状態の異常を検出すると、そのユーザの生体データがセンタに送られ、即時にデータ処理が実行されて詳細な健康判断がなされ、ユーザに助言メッセージが送られる。このようにリアルタイム健康管理サービス、又は緊急時の安全確保と救援サービスを提供することが可能になる。
また、この発明の一形態では、生体情報処理センタのコンピュータは、ドッキング・ステーションから送られてくるユーザの生体データをバッチ処理してユーザの健康状態を判定し、定期的に健康管理レポートをユーザに送信するよう構成されている。さらに一形態では、生体情報処理センタのコンピュータは、ドッキング・ステーションから送られてくるユーザの生体データをバッチ処理してユーザの健康状態を判定し、健康状態に問題があると判定されるとき、助言メッセージをユーザに送信するよう構成されている。
この形態によると、ユーザの日常的な生体データは、生体センサ処理装置からドッキング・ステーションを介してセンタに送られ、サーバの負荷が小さい時間帯にバッチ処理される。更にこのように長期蓄積したデータを解析し、個人別の健康管理基準を確立することが可能になる。ドッキング・ステーションは、たとえばADSLのような広帯域の通信手段を用いて相当な容量の生体データをセンタに送ることができる。
この発明で用いられるセンサベルトは、心電電極のほかに、ユーザの体温を測定する温度センサ、ユーザの体脂肪率を推定するための、およびインピーダンス脈波を計測するための電流電極および電圧電極を備えることができる。また、センサベルトまたは生体センサ処理装置にユーザの姿勢や動きを検出するための3方向(前後、左右、上下)加速度センサを備えることができる。
次に図面を参照して、この発明の実施形態を説明する。図1は、この発明の実施例の全体的なシステムの構成を示すブロック図である。ユーザが使用する装置10には、ユーザが胸部に着用するセンサベルト12、センサベルト12に着脱可能な生体センサ処理装置14、および生体センサ処理装置とブルートゥース(Bluetooth)または赤外線で結合して通信する携帯電話機16が含まれる。携帯電話機16の代わりに携帯端末装置(PDA)を用いることもできる。
センサベルトには、後に図2を参照して説明するように、心電電極、インピーダンス測定電極、温度センサの内の1つまたは複数が取り付けられている。生体センサ処理装置14は、後に図3を参照して説明するように、加速度センサ、信号増幅・処理回路、A/D変換回路、CPU、RAM、および書き換え可能なROM(EEPROM、FEPROM等)を備えており、センサベルトのセンサからの信号を処理して、ユーザの生体データをモニタし、メモリに保存するとともに、健康状態を推定する。推定の結果、異常が疑われると、生体センサ処理装置14は、ブルートゥース(Bluetooth)を起動して携帯電話16に信号を送り、ユーザの生体データをインターネットなどのネットワーク11を介してセンタ70に送信する。
ユーザ10の装置には、ドッキング・ステーション50が含まれる。ドッキング・ステーション50は、後に図4を参照して説明するように、生体センサ処理装置14のバッテリを充電するための充電回路、および生体センサ処理装置14に保存されたユーザ10の一定期間(たとえば、1日間)の生体データをインターネット11を介してセンタ70に送信するための通信装置を備えている。ドッキング・ステーション50は、この生体センサ処理装置との結合に機能を限定した全自動の専用装置であることが望ましい。代替的には、パーソナルコンピュータのアタッチメントとして構成することもできる。
センタ70には、ユーザ、サポータ、およびシステム管理者にインターフェイス画面を提供するウェブサーバ72、データベースサーバ74および解析サーバ76が備えられる。これらのサーバは、コンピュータ・システムで構成されるので、ハードウェアとしては、処理能力に応じて1台または複数台の小型・中型または大型のコンピュータで構成することもできる。図1は、機能ごとにコンピュータが設置されているものとして表現している。データベースサーバ74には、システム管理データおよびサービス管理データ、ユーザの健康状態を判定するための判定ルール、およびユーザに与える助言データを格納するシステム・データベース74A、およびユーザそれぞれの個人データ、それぞれのユーザの生体センサ処理装置から送られてきた生体データを格納するユーザ・データベース74Bが含まれる。
サポータ60は、医療機関、保険会社、公共機関、製薬会社、老人ホーム、ケアマンションなど、このシステムと協調してサービスを提供したりデータを利用したりする組織であり、クライアントPC62、又は携帯電話などを介して、ユーザまたはこのシステムのリクエストに応じてサービスに関与する。
図2は、この発明の一実施例のセンサベルト12を示す。センサベルト12は、身体の胸部あたりに直接装着するもので、背中または胸部に着脱用のホックまたはスナップを備えている。女性のブラジャーと同様の態様でブラジャーの下端付近で身体に取り付けられる。一つの変形として、着用位置を安定させるため、ブラジャーと同様の肩ひもをセンサベルトに備えることができる。また、女性用のセンサベルトは、ブラジャーの下端部に組み込むことができる。
図2(A)は、生体センサ処理装置14が取り付けられたセンサベルト12を示し、図12(B)は、センサベルトの断面をブロック図的に示す。センサ処理装置14は、センサベルト12のコネクタ部13に電気コネクタにより着脱可能であり、コネクタ部13に取り付けた状態では、センサ処理装置とセンサベルトは、電気的に接続されている。センサベルト12は、電源を備えておらず、センサ処理装置14のバッテリから電力の供給を受ける。ユーザによる操作を簡単にするため、この実施例では、センサ処理装置14がコネクタ部13に結合され、センサ処理装置14の電力端子がコネクタ部13の電力端子に接続されると、センサ処理装置14からセンサベルトに電力が供給される構造とする。
センサベルト12の内側には心電電極18A、18B、18Cが設けられている。心電電極18Aは共通電極(接地電極)であり、電極18Aおよび18Bで第1の心電計測チャンネルを形成し、電極18Aおよび18Cで第2の心電計測チャンネルを形成する。第1および第2の心電計測チャンネルは、両チャンネルの間に心臓19が位置するよう配置される。これらの心電電極は、導電性ゴムまたは導電性繊維で作られており、センサベルトに埋め込まれた導電線によりコネクタ部13の端子に接続されている。
電極20A、20Bは、身体の体脂肪率を計測するためのインピーダンス測定用の定電流供給電極である。インピーダンスの測定は、電極20Aと20Bとの間に電流を流し、電圧電極20C、20D間の電圧、すなわち電流が身体を流れるとき、電極20C、20D間の電圧降下を測定することによって行われる。電極20A、20Bは、センサベルト12に埋め込まれた導電線、およびこれに接続されたコネクタ部13の端子を介してセンサ処理装置14の定電流発生回路37から供給される。電圧電極20C、20Dは、センサベルト12に埋め込まれた導電線およびコネクタ部13の端子を介してセンサ処理装置14に電気的に接続され、振幅復調の専用検出回路33で処理される。センサベルト12の内側には、体表面温度を計測するための温度センサ22が配置され、外側には温度補正用として外部温度を計測するための温度センサ23が配置されている。
加速度センサがセンサ処理装置14に配置されている。加速度センサは、フィルム状の圧電素子を用いたセンサで、アナログデバイス社の2軸加速度センサADXL202(商品名)、(株)東京センサの3軸加速度センサACH-04(商品名)などを用いて構成することができる。この実施例では、身体の左右方向をx軸、前後方向をy軸、上下方向をz軸として、3つの直交方向の加速度と重力方向を検出する。
図3は、センサ処理装置14の全体的な構成を示す機能ブロック図である。センサ処理装置14は、入力インターフェイス26、CPU30、CPU30の演算処理とデータ蓄積に必要なメモリ領域を与えるランダムアクセス・メモリ(RAM)42、CPUが実行するプログラムおよびデータを記憶する書き換え可能な読み出し専用メモリ(EEPROM、FEPROM)44、および後述するドッキング・ステーションとのインターフェイス40を備える。さらにセンサ処理装置14は、必要に応じて携帯電話16と通信する通信装置38を備えている。この実施例では、通信装置38は、ブルートゥース(Bluetooth)通信装置であるが、代替的に赤外線または近距離FM波を用いた通信装置を用いることもできる。携帯電話16は、代替的にはPDAのような無線端末装置を用いることができる。携帯電話16は、ネットワーク11(図1)を介してセンタ70と通信する。
センサ処理装置14は、充電式のバッテリ45を備えており、このバッテリ45は、家庭またはオフィスの交流電源に接続されたドッキング・ステーション50により充電される。
図4は、ドッキング・ステーション50の機能ブロック図である。ドッキング・ステーション50は、生体センサ処理装置14と結合し、生体センサ処理装置14の充電式バッテリ45を充電し、RAM42に記憶されたユーザの生体データをセンタ70に送信するためのものである。ドッキング・ステーション50は、生体センサ処理装置14と電気的に結合するためのドッキング・インターフェイス51を備えている。一実施例では、ドッキング・インターフェイス51は、生体センサ処理装置14と電磁誘導結合する。代替的には、通常の接続端子による結合方式を用いることもできる。ドッキング・ステーションは、マイクロプロセッサで構成されるコントローラ53、充電回路54、RAM55、およびインターネット11に接続し、センタ70と通信する通信装置57を備えている。
生体センサ処理装置14がドッキング・ステーション50のドッキング・インターフェイス51に結合されると、充電回路54がバッテリ45の充電を開始する。これと並行してコントローラ53は、生体センサ処理装置のRAM42に記憶されたユーザの一日分の生体データをRAM55に読み込み、通信装置57によりセンタ70に送信する。通信装置57は、一実施例では、ADSL又はその他の通信方式によりインターネットを介してセンタ70に常時接続されている。代替的には、通信装置57は、ダイヤルアップでプロバイダを介してインターネットに接続し、センタ70に接続する方式をとることができる。この場合、コントローラ53は、生体センサ処理装置14がドッキング・インターフェイス51に結合されることに応じて、ダイヤラーを起動し、自動的にダイヤルアップ接続を実行するようプログラムされる。
ドッキング・ステーション50は、生体センサ処理装置14にインストールされている生体データ処理プログラムを自動更新する機能を持っている。生体センサ処理装置14がドッキング・ステーション50のドッキング・インターフェイス51に結合されると、生体データ処理プログラムのバージョンとセンタ70のサーバにアップロードしたバージョンを比較し、新しいバージョンがサーバに存在する場合、この最新バージョンのプログラムを生体センサ処理装置14に自動的にインストールする。このような機能は、マイクロソフト社のWindows(商品名)で用いられているほか、ウィルス対策ソフト、たとえばトレンドマイクロ社のウィルスバスター(商品名)でも使われているが、ユーザの関与が要求される。この機能により、生体センサ処理装置14のプログラムは、常に最新の状態に保たれる。
ドッキング・ステーション50は、一実施例では生体センサ処理装置14専用の装置として構成されており、充電状態、データの通信状態、プログラムの自動更新機能の作動状態などを示す複数の発光ダイオード(LED)表示器を備えている。代替的には、ドッキング・ステーション50は、汎用のパーソナル・コンピュータにアタッチメントとして、ドッキング・インターフェイス51および充電回路54を加えた形態で構成することができる。
図5は、生体センサ処理装置14に備えられる生体データ処理プログラムによる生体データのパラメータ計測処理のフローを示す。生体センサ処理装置14がセンサベルト12のコネクタ部13(図2)に接続されると(101)、コネクタ端子の接続によりセンサベルトに備えられた各種のセンサへの電力供給が開始される(102)。
生体センサ処理装置14は、ブルートゥース(Bluetooth)通信装置38(図3)のペイジング(paging)機能を起動させ、ユーザの携帯電話16と通信可能かどうかを調べる(103)。通信可能でなければ節電(park)モードに入り(105)、所定の時間、たとえば1分おいて再度接続を試みる。代替的には、所定回数の試行によっても携帯電話16に接続できないときは、ステップ103をスキップして、次のステップ109に進んで、生体データを収集するようプログラムしてもよい。
ペイジングに成功すると、センサベルト12の各種センサからの信号をディジタル信号に変換する(109)。それぞれのサンプリング周波数は下記の通りである。心電信号は250Hz、加速度信号は100Hz、体温信号は0.1Hz、インピーダンス信号は100Hzである。次いで、それぞれの信号品質指標SQI(Signal Quality Index)が予め定めたしきい値を超えているかどうか判定する(111)。心電信号についてSQIは、信号の尖度Kurtと、前述した2つのチャンネルの信号の間の相互相関係数Corrの関数として、たとえば次のように定義することができる。

SQI = 0.6 × (Kurt-3)2 + 0.3 × Corr, Kurt > 3
SQI = 0.4 × Kurt3 + 0.5 × Corr, Kurt ≦ 3

SQIがしきい値を超えていないときは、ブルートゥース(Bluetooth)接続を行い(113)、ユーザの携帯電話16にセンサベルト装着の不良を示す信号を送信する(115)。これを受信した携帯電話16は、液晶ディスプレイ(LCD)に装着不良のメッセージまたはアイコンを表示する(116)。生体センサ処理装置14は、ブルートゥース(Bluetooth)接続を切断(park)し、プロセスを終了する。
SQIがしきい値を超えるときは、信号にノイズおよび基線変動を除去する処理を施す(121)。この処理は、ステップ109のA/D変換処理と同時に実行してもよく、信号処理の分野で知られている手法を用いてノイズを除去し、基線の変動を除去する。
パラメータ計測
次いでパラメータの計測が行われる(123)。図3に示されるように、生体センサ処理装置14の演算部30は、ノイズと基線変動などの信号処理を経て得た信号に、パラメータ計測の処理を行う。心電信号、加速度信号、体表面温度信号、インピーダンス信号についてのそれぞれの処理内容は、次のとおりである。
心電信号
1次信号処理34Aは、ノイズと基線変動などの除去である。処理結果は順次にリングバッファに入れ、2次データ計測に備える。2次データ計測34Bは、1次信号処理34Aから心電信号を受けとり、この信号に基づいて心拍数を計測し、心電信号のPR時間、QT時間、QRS幅と振幅を計測する。
3次データ計測34Cは、2次データ計測で得られたパラメータに基づいて、心拍数のデータから心拍変動を求め、QRS幅と振幅から呼吸数を推定する。このプロセスについては、後に図6を参照して詳細に説明する。
加速度信号
加速度センサからの出力は、入力回路32で検出され、1次信号処理部34Aに送られる。1次信号処理部34Aは、3軸加速度センサとして構成された2つの加速度センサからの3軸の信号をノイズ除去して、それぞれのリングバッファに入れ、次の処理に備える。
2次データ計測部34Bは、リングバッファからx、y、z軸の加速度信号を取り出して分析し、ユーザの体位や歩行リズム・速度などを検出する。すなわち、3軸の加速度信号を一定時間にわたって分析することにより、うつ伏せに伏せた状態(伏臥位)、仰向けに寝た状態(仰臥位)、横向きに寝た状態(側臥位)、座っている状態(座位)、立っている状態(立位)を判定することができる。この分析の一形態として、ユーザの転倒を検出することができる。さらに、加速度信号から歩数、歩行速度、歩行距離を測定することができる。
3次データ計測部34Cは、2次データ計測で得られた歩数などからユーザのカロリ消費量を求める。この演算には、歩数だけでなく歩行速度を入れて演算することもできる。
体表面温度
体表面温度センサ22の出力は、入力回路32で検出され、1次信号処理部34Aでノイズを除去し、リングバッファに入れられる。2次データ計測部34Bは、1次信号処理部34Aのリングバッファから体表面温度の値を受けとり、脇に体温計を挟んで測定する場合の体温、または口に体温計をくわえて測定する場合の体温や肛門に体温計を挿して測定する場合の体温に変換する。この変換は、予め実験で求めた統計データに基づく変換テーブルを用意し、これをROM44に格納しておき、この変換テーブルを参照することにより行う。
3次データ計測部34Cは、2次データ計測部34Bで求められた体温に基づいて、ユーザの発熱を推定し、ユーザが女性の場合、生理周期リズムの測定や排卵期の予測を行う。求めたデータは、RAM42に記憶される。
インピーダンス
インピーダンス測定用の電圧電極20C、20D間の電圧は、振幅変調(AM)された信号であり、入力回路32で復調され、1次信号処理部34Aでノイズを除去し、リングバッファに入れられる。2次データ計測部34Bは、リングバッファから復調され且つノイズ除去された信号を取り出し、その変動(交流)成分はインピーダンス脈波信号として出力する。その直流成分(DCレベル、抵抗値)は体脂肪率に比例するものとして出力する。
3次データ計測部34Cは、こうして求められた直流成分(抵抗値)からユーザの体脂肪率を求める。予め実験によって統計的に求められた抵抗値と体脂肪率との関係から変換テーブルを用意してROM44に格納しておき、この変換テーブルを参照して抵抗値から体脂肪率を求めることができる。また、前記の心電信号とインピーダンス脈波信号から脈波伝搬時間(QRSピークから脈波の立ち上がりまでのインターバル)を求め、血圧変化、動脈弾性を推定することができる。
リアルタイム判定
再び図5にもどると、このようにしてパラメータ計測(123)がなされると、続いてリアルタイム判定がなされる(125)。リアルタイム判定は、演算部30の判定部35が、2次データ計測部34Bまたは3次データ計測部34Cで得られたパラメータに、ROM44に格納されている判定ルールを適用することによって実行される。心電信号については、2次データ計測で得られる心拍数および3次データ計測で得られる心拍変動を、ROM44に格納されている判定ルールと比較することにより、心臓拍動リズムの乱れ(調律異常)、自律神経系の異常を推定する。また2次データ計測で得られるPR時間、QT時間、QRS幅と振幅をそれぞれの判定ルールと比較し、心臓電気伝導系の伝導障害を推定する。さらに3次データ計測で得られる呼吸数を用い、睡眠時の無呼吸症や呼吸の一時停止現象を推定する。
心電信号と脈波信号から得られる脈波伝搬時間に基づいて得られる血圧変化および動脈弾性に、ROM44に格納される判定ルールを適用して、血圧変動の動態、または動脈硬化の進行具合を推定することができる。
また、判定部35は、データ計測部から得られるユーザの動きに関する(姿勢、体位、歩行リズムなど)データ、カロリ消費量を判定ルールと比較して運動不足、運動過剰などを推定する。判定部35は、体表面温度センサからの出力に基づいて変換された体温データを用いて、ユーザの体温異常を検知する。ユーザが成人女性の場合は、連続的な体温データに基づいて、生理周期リズムを解析し、排卵期を予測することができる。
判定部35は、電圧電極20C、20Dから検出された直流電圧成分を用いてデータ計測部で求められる体脂肪率をROM44に格納されている判定ルールと比較し、肥満度の推定をすることができる。
ここでは、技術的に実施可能な判定項目の一部を列挙したが、生体センサ処理装置14の演算負荷を軽減するため、緊急性の要求の高い項目についてだけ生体センサ処理装置14によるリアルタイム判定を行うようにする。体脂肪率のようなリアルタイム処理の必要でない項目については、1次信号処理までをセンサ処理装置14で行って、結果のデータをRAM42に保存しておき、センサ処理装置14をドッキング・ステーションに結合したときに、バッチ処理としてこのデータをセンタに送信し、センタにおいて2次データ計測以下の処理を行う。たとえば、センサ処理装置14は、リアルタイム処理としては、心拍数および呼吸数の異常判定、ならびに転倒の検出だけを行い、その他の項目はセンタによるバッチ処理とすることができる。
リアルタイム判定によって異常が判定されると(127)、センサ処理装置14は、ブルートゥース(Bluetooth)を起動して、ユーザの所持する携帯電話に接続し、携帯電話を介してセンタにデータを送信する(137)。このデータは、公知の圧縮技術を用いて圧縮して送信される。送信後、ブルートゥース(Bluetooth)を切断して、センタから処理結果が送信されてくるのを待つことになる。
リアルタイム判定によって異常なしと判定されると、データの蓄積周期の到来を待って(129)、データをRAMに保存する(131)。データの蓄積周期が来ていないときは、データを廃棄する(133)。データ項目の医学的意義とRAMの容量およびドッキング・センタへの送信容量を考慮して、蓄積周期は、データ項目に応じて10分から2時間の範囲で設定される。体脂肪率のような変化の小さいパラメータについては、1日10回測定し、信頼性の一番高い1つのデータだけを保存するようにシステムを構成することができる。
心電データ処理
次に図6を参照して、心電データ処理の詳細を説明する。上に述べたように、この発明の実施例では、電極18A、18Bによる第1チャンネルと電極18A、18Cによる第2チャンネルとの2つのチャンネルで心電信号を測定する。250Hzでサンプリングされ、ディジタル化された第1および第2チャンネルのデータの10秒間分がバッファに蓄積される(201)。これらのデータは、それぞれが2秒間ずつの5つのデータブロックに分割され(203)、それぞれのブロックについて、信号の尖度Kurtを算出し、2つのチャンネルの信号の相互相関係数Corrを算出する。
それぞれのデータブロックにおける信号の尖度Kurtが10を超え、それぞれのデータブロックにおける2つのチャンネルの相互相関係数が0.5を超えるときは(205)、ステップ209に移り、独立成分分析(ICA)による信号分離処理に入る。ステップ205において、条件が満足されないときは、この10秒間の心電データは、信号品質が低いものとして廃棄する(207)。
ステップ209では、2つのチャンネルのうち、尖度の高い信号に対して、独立成分分析法(ICA)を適用し、心電波形(211)と呼吸波形(233)とに分離する。呼吸と心電の発生源は異なり、統計学的意味で互いに独立だと考えられるので、両者の結合分布の確率密度関数が周辺分布の確率密度関数の積となる。この特徴を利用して信号分離を行う。
心電波形はカットオフ周波数60Hzを持つローパスフィルター(213)を通り、信号の間引き(219)および補間(221)処理(マルチレート処理)により緩慢変動成分(基線ドリフト)を抽出する。間引きによって高周波成分は抑制されて低周波成分のみが取り出される。補間処理によってスムージングを行い、元の250Hzサンプリング周波数まで復元する。この一連の処理で基線を抽出する。この処理は、マルチレート処理とも呼ばれる。心電波形は、一方において、ステップ219および221の処理時間に相当する遅延時間をおいてから(215)、加算器に入れられ(217)、上記で求めた基線ドリフト成分と差分演算を行う。こうして、心電波形の基線変動成分が抑制される。
こうして処理された心電信号をマッチドフィルター(Matched filter)223に入れて、ROM44に格納されているQRSテンプレートと照合し、QRS信号成分を強調する。このQRS信号から予め定めたしきい値を超える箇所からR信号のピークを検出する(227)。連続するR信号の間隔、すなわちRR間隔を測定し、60秒間のR信号の数に換算することにより、心拍毎の瞬時心拍数を求める(231)。
一方、呼吸波形はカットオフ周波数1Hzを持つローパスフィルターを通り(235)、センタリング(平均値をゼロにするように信号レベルをシフトする)を行い、ゼロ交差を検出し(239)、60秒間のゼロ交差数を算出することにより呼吸数を求める(241)。
図7は、心電データ処理の第2の実施例のフローを示す。第1および第2チャンネルの心電データの10秒間分を収集し(251)、2つのチャンネルのデータの相互相関係数を求めるとともに、それぞれのチャンネルについて信号の尖度を求める(253)。相互相関係数Corrが0.5を超えるときは(255)、チャンネル1の尖度k1およびチャンネル2の尖度k2が所定値Th1=5とTh2=10との間にあるときは、両チャンネルの状態が良いと判定して(257)、信号分離処理(267)に進む。この信号分離以下の処理は、図6に示した実施例と同じである。ステップ257で、条件が満足されないときは、この10秒間のデータは、信号品質が低いとし、廃棄する(259)。また、片方のチャンネルだけがステップ257の条件を満足するときは、ステップ211に進み心拍数の計測処理に入る。
ステップ255において、相互相関係数Corrが0.5以下のときは、第1チャンネルの心電信号の尖度k1または第2チャンネルの心電信号の尖度k2のいずれかまたは両方が所定値Th3=10以上であるかどうか判断する(261)。片方のチャンネルだけがステップ261の条件を満足するときは、ステップ211以下の心拍数計測処理に入る(265)。両方のチャンネルがステップ261の条件を満足するときは、ステップ267以下の処理に入り、どちらのチャンネルもステップ261の条件を満足しないときは、この心電信号の品質は低いとし、心電信号を廃棄する(263)。
センタリアルタイム処理
図5のステップ125において、生体センサ処理装置14におけるリアルタイム判定で異常の判定がなされると、生体センサ処理装置14が自動的にユーザの所持する携帯電話にブルートゥース(Bluetooth)による通信を開始し、携帯電話を介してセンタに生体データを送信する(図5、137)。この生体データは、生体センサ処理装置14の入力インターフェイス26(図3)でA/D変換された後のディジタル・データのうち、今回の異常発生時点の前後部分(例えば、心電信号の場合は、前後10〜30秒間)のデータである。
図8を参照すると、センタの解析サーバ76は、この生体データを受けとり(301)、送信のために圧縮されたデータを伸張する(303)。伸張されたデータは、データベース・サーバ74を介してシステムの個人情報データベース74Bに保存される。また、この生体データは、医療情報交換のための世界的標準規約であるHL7(Health Level 7)に変換して(307)、データベースに保存する。受信した生体データと、後のパラメータ計測処理で得られるデータを個人情報データベース74Bに長期保存する。
解析サーバ76の信号処理のための演算部の構成は、演算処理能力が格段と大きく、演算速度が格段に速い点で生体センサ処理装置14と相違する。解析サーバ76は、伸張された生体データからノイズおよび基線変動を除去し(311)、パラメータ計測を実行する(313)。生体センサ処理装置14での処理がリアルタイムに行うため、整数処理などに工夫され、高速化したプログラムで実行されていたのに対し、解析サーバ76では、より精密な解析手法を用いて詳細解析を実行する。また、解析サーバ76は、生体センサ処理装置より多くのパラメータを計測することができる。たとえば、心電データに関連し、生体センサ処理装置14では、心拍数と呼吸数の計測をしていたのに対し、センタでは、これに加えて、心拍変動、脈波伝搬時間を計測し、脈波伝搬時間に基づいて血圧変化、動脈弾性を推定することができる。これらの計測手法は医療技術の分野で知られているもの(特開2001-095766)なので、詳細な説明は省略する。
解析サーバ76は、ユーザの過去に蓄積してきた生体データと計測されたパラメータの履歴をデータベース74Bから読み出して、今回のパラメータと比較し、後に説明する判定ルールを適用してユーザの健康状態を推定する(315)。
また、センタの解析サーバ76は、生体センサ処理装置14から加速度センサからのデータが送信されてくるときは、そのデータに基づいてユーザのカロリ消費量などを算出することができる。
図10は、解析サーバ76によって計測されるパラメータの例を示す。2次データ計測または3次データ計測によって得られた心拍数、心拍変動、呼吸数などのパラメータに判定ルールを適用してユーザの健康状態を推定する(315)。判定ルールは、それぞれのパラメータについてのしきい値を含み、さらに今回のパラメータと過去のパラメータとの比較についてのしきい値を含む。判定ルールは、個人情報データベース74Bに格納されている。
図8にもどると、上記のような判定ルールにしたがって健康状態が推定され(315)、その結果が直ちに対応を必要とするような重大なものであるときは(ステップ319に赤で表す)、解析サーバ76は、このシステムに登録されている医師やサポータに緊急メッセージを送信したり、また、ユーザとの間に音声接続を確立したりする処理に入る(321)。解析サーバ76がダイヤラーを起動して医師に電話をかけて音声合成によって作成される音声メッセージも送信できる。医師との通信に成功すると、解析サーバ76は、三者電話(会議電話)機能により、ユーザの携帯電話を呼び出して、医師とユーザとの音声通信を確立する(321)。
判定結果が緊急性は低いが要注意であることを示すときは(ステップ323に黄で表す)、データベース74Bから対応するメッセージを読み出してユーザの携帯電話に送信する(325)。この送信は、携帯電話のメールアドレスに送信するEメールの形でもよく、または携帯電話番号に直接送信するメッセージメール(たとえば、KDDI社のcメール)の形でもよい。さらに、並列的にメッセージの交換を行うチャットの形でもよい。
図11は、ステップ315で健康状態の推定結果(内容)に応じて、ユーザに送信される助言メッセージ(健康増進助言・コメント)の例を示す。
この実施例のシステムは、学習機能を備えており、最初は平均的な健康状態判定ルールから始め、長期の生体データ収集と解析結果に基づいて、個々のユーザに、加齢と伴い、最適合にするように個人別健康状態判定ルールを構成する(326)。その具体的な内容は、この明細書の範囲でないので、記載を省略する。
図9は、センタにおける解析サーバ76によるバッチ処理のフローを示す。このバッチ処理は、上に述べたように、生体センサ処理装置14がドッキング・ステーション50に接続されることに応じて、生体センサ処理装置14のRAM42に記憶された生体データすべてがセンタに送信された後に実行される。このモードでは、すべての生体データがセンタに送信され、すべての項目についてパラメータ計測が実行され、すべての項目について健康状態の判定が行われる。センタの解析サーバ76は、サーバの負荷の軽い深夜にこのようなバッチ処理を実行することができる。
サブルーチンの301から315までは、図8のものと同じであり、同じ参照番号で示されている。図8に示したリアルタイム処理では、緊急に分析する必要のある生体データだけを分析したのに対し、図9のバッチ処理では、原則としてすべての生体データをすべての項目について分析する。
健康状態の判定ルーチン315において、すべての項目について良好であると推定されると(ステップ318において緑で表す)、解析サーバ76は、データベース74Bから定期健康レポートおよび助言を編集する(322)。この定期健康レポートは、一定期間、たとえば1ヶ月ごとまたは半年ごとにまとめられてユーザに送信される(324)。定期レポートは電子ファイルで送信されてもよく、紙にプリントして郵送されてもよい。
健康状態の判定が緑ではなく、黄すなわち、重大な問題はないが要注意であるときは(323)、解析サーバ76は、健康増進のための助言などをユーザに送信する(325)。緑でも黄でもなく、赤すなわち重大な問題があるときは、医師およびユーザにその健康問題を知らせるメッセージが送信される(328)。
これらの処理の結果、判定ルールを更新する必要があるときは(326)、サブルーチン327において判定ルールを更新する。その詳細は、この明細書の範囲でないので記載を省略する。
本システムは単に病気の早期発見や治療に助け、自動的に日頃の複数の生体信号を常時収集・処理し、個人別の健康状態を総合的に推定した上で、健康増進のためのレシピ-を細かに提供するだけではなく、1つの統合されたヘルスケアプラットフォーム(Scalable Healthcare Integrated Platform、SHIP)として構築されるので、生体情報と関連する様々な業界へ異なるビジネス形態にて展開することができる。例えば、危険な現場に置かれる自衛隊員、警察、消防士の生体情報をリアルタイムに監視すれば、生命の危険が脅かされる時にいち早く対応できる。また、電車やバス運転手の健康状況が常時に把握できれば、乗客の安全確保が万全に期待できる。
実際応用時、必要に応じてカスタム可能な機能増減、データベーススキーマなどを用意し、外部システムとの相互操作性を持たせるようなシステムアーキテクチャーを構築することができる。
応用の一形態では、図12のように、自宅だけでなく、ケアマンションや老人ホームに入居している高齢者を対象とするリアルタイムケアサービスを提供する。ユーザは生体センサ処理装置とセンサベルトを着用する。生体センサ処理装置のリアルタイム解析でユーザの異常、例えば、不意な転倒、不整脈頻発、急性心筋梗塞などが検出されたら、直ちに生体情報処理センタのコンピュータへ異常発生を知らせる情報(ユーザID、時間、場所、事件)および発生時点前後の生体データが送られる。生体情報処理センタのコンピュータはデータの受信に応じて、更にその生体データを詳細処理しユーザの状態をより精密に推定し、速やかにユーザに適切な助言メッセージを送信する。同時に、医師やサポータなどに上記異常発生の情報を知らせる。また、必要なら、医師やサポータとユーザとの間の音声リンクを即時に確立するようシステムを構成することができる。
この形態によると、生体センサ処理装置がユーザの異常を検出すると、そのユーザの生体データがセンタに送られ、即時にデータ処理が実行されて詳細な判断がなされ、その異常の対策としてユーザに助言メッセージが送られる。このようにして、リアルタイムケアサービス(不整脈などの調律異常、急性心臓疾患の監視とサポート)、又は緊急時の安全確保と救援サービス(転倒の即時検知と告知)を提供することが可能になる。
応用の一形態では、図13のように、公衆交通機関の電車やバスの運転中の運転手に生体センサ処理装置とセンサベルトを着用してもらい、生体センサ処理装置のリアルタイム解析で運転手の異常、例えば、居眠りや睡眠時無呼吸症などが検出されたら、直ちに生体情報処理センタのコンピュータへ異常発生の情報(ユーザID、時間、場所、事件)と発生時点前後の生体データを送る。生体情報処理センタのコンピュータはデータの受信に応じて、素早くその生体データを詳細処理しユーザの状態をより精密に推定し、速やかに電車やバスに緊急停止処置を施す。同時に、交通管理センタや警察署などに上記異常発生の情報を知らせるようシステムを構成することができる。
この形態によると、生体センサ処理装置が運転手の異常を検出すると、その運転手の生体データがセンタに送られ、即時にデータ処理が実行されて詳細な判断がなされ、その異常の対策として運転手を喚起したり自動緊急停車装置を起動したりする。このようにして運転手の健康異常状況を常時に把握でき、乗客の安全確保が万全に期待できる。
応用の一形態では、図14のように、スポーツジムの練習中の顧客に生体センサ処理装置とセンサベルトを着用してもらい、生体センサ処理装置のリアルタイム解析で顧客の異常、例えば、運動過ぎにより心拍数の過度上昇、不整脈頻発の状態などが検出されたら、直ちに顧客の携帯電話に助言メッセージを表示したりアラームを出したりする。個々の顧客にとって最適の運動量に調整するように助言できるようシステムを構成することができる。
この形態によると、生体センサ処理装置が顧客の異常を検出すると、その異常の対策として顧客に運動量を直ちに落とすよう助言する。このようにして顧客は常に最適な運動量に控えるように最高の運動効果を得ている。
以上に、この発明の具体的な実施例を説明したが、この発明はこのような実施例に限定されるものではない。
この発明の実施例の全体的なシステム構成を示すブロック図。 この発明の実施例におけるセンサベルトの概念図。 この発明の実施例における生体センサ処理装置の機能ブロック図。 この発明の実施例のドッキング・ステーションの機能ブロック図。 この発明の実施例の生体センサ処理装置における計測処理の例を示すフローチャート。 生体センサ処理装置における心電データの処理の例を示すフローチャート。 生体センサ処理装置における心電データ処理の第2の例を示すフローチャート。 センタにおけるリアルタイム処理の例を示すフローチャート。 センタにおけるバッチ処理の例を示すフローチャート。 計測されるパラメータと判定ルールとの関係を示すチャート。 判定ルールと判定結果および健康増進のための助言メッセージとの関係の一例を示すチャート。 ケアマンションや老人ホームへの本発明の適用例を示すブロック図。 公共交通機関などでの緊急事態対応への本発明の適用例を示すブロック図。 個人向け健康管理サービスへの本発明の適用例を示すブロック図。
符号の説明
12 センサベルト
14 生体センサ処理装置
16 携帯電話機
50 ドッキング・ステーション
76 解析サーバ

Claims (2)

  1. プロセッサを有する生体センサ処理装置および生体情報処理センタのコンピュータ・システムを含む生体情報処理・利用システムであって、
    前記生体センサ処理装置は、
    ユーザの健康状態に関係する信号を出力する生体センサと、
    前記プロセッサによる処理の結果、該ユーザの健康状態に異常が検出されるとき、該異常に関連する生体データを前記生体情報処理センタのコンピュータに送信する通信手段と、を備え、
    前記生体情報処理センタのコンピュータ・システムは、
    それぞれのユーザの生体センサ処理装置から送られてくる生体データを格納し、該生体データに基づいてユーザの健康状態を判定するための判定ルールおよびユーザに送信するための助言メッセージを格納するデータベースと、
    前記生体センサ処理装置から送られてくるユーザの生体データに、リアルタイムで前記判定ルールを適用してユーザの健康状態を判定し、該判定に従い前記データベースから助言メッセージを抽出してユーザに送信する解析サーバと、を備え、
    前記解析サーバは、前記データベースに蓄積された生体データを定期的に解析してそれぞれのユーザについて健康状態に関するレポートを作成するよう構成されており
    前記生体センサは、2つの心電計測チャンネルを構成する複数の心電電極を含み、
    前記生体センサ処理装置は、前記2つの心電計測チャンネルから得られる心電信号について、信号の尖度および前記2つのチャンネルの心電信号の相互相関係数の関数として信号品質指標を算出し、該信号品質指標がしきい値を超えるとき、前記心電信号をユーザの健康状態の検出に使用する、生体情報処理・利用システム。
  2. 前記生体センサ処理装置は、前記2つの心電計測チャンネルのうち尖度が高いチャンネルから得られる信号に独立成分分析を適用し、心電波形と呼吸波形に分離する、請求項に記載の生体情報処理・利用システム。
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