図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。以下、弾球遊技機としていわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明する。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。
ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、ガラス扉13、上球皿15、下球皿16、発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有する枠体であり、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置にて固定される。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、外枠11へ開閉自在に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
ガラス扉13は、前枠12へ開閉自在に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。遊技者が発射ハンドル17を回動させると遊技球が発射される。
ぱちんこ遊技機10の遊技盤には、遊技部品として多数の遊技釘20、風車21、外レール22および内レール23、一般入賞口24、アウト口25、図柄表示装置26、センター飾り部品27、第1種始動入賞口(以下、「始動口」という)28、大入賞口29、普通図柄作動口30、普通図柄表示装置32、各種遊技効果ランプ35が設けられる。外レール22は発射された遊技球を遊技領域31へ案内し、内レール23は遊技領域31を区画する。一般入賞口24等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口25に流入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本明細書において「落入」は「通過」を含むものとする。各種遊技効果ランプ35は、その点滅により演出または装飾としての役割を果たす。
始動口28および大入賞口29は、図示のごとく遊技領域31に配設されて、遊技者に有利な第1状態(開放状態)と、遊技者に不利な第2状態(閉鎖状態)とに変化可能な可変入球口として構成される。なお、ここでいう有利または不利は、相対的なものであり、第1状態に対して第2状態が不利であり、また第2状態に対して第1状態が有利であることを意味している。
始動口28は、例えばセンター飾り部品27の下方等の位置に設けられる。始動口28の内部には、始動口28への遊技球の落入を検出する入賞検出装置60が設けられている。始動口28は、普通電動役物、例えば電動チューリップとして構成され、この電動チューリップが、遊技球が入賞しやすい開いた状態(すなわち有利な状態)と、遊技球が入賞しにくい閉じた状態(すなわち不利な状態)の2つの態様をとる。なお本実施例では1つの始動口28を例示したが、複数の始動口28が遊技領域31に設けられてもよい。大入賞口29は、特別図柄が特定の態様にて停止したときに「大当たり」として開放状態となる横長方形状の入賞口であり、例えばアウト口25の上方等の位置に設けられる。大入賞口29の内側は、特定領域(いわゆるVゾーン)と一般領域に区画されている。大入賞口29の内部には、大入賞口29への遊技球の落入を検出する入賞検出装置62が設けられている。大入賞口29は特別電動役物として開閉板を有して構成され、この開閉板が、遊技球が入賞可能な開いた状態(すなわち有利な状態)と、遊技球が入賞できない閉じた状態(すなわち不利な状態)の2つの態様をとる。
図柄表示装置26は、その画面に第1種特別図柄と呼ばれる図柄(以下、「特別図柄」という)と、特別図柄に連動する装飾図柄を変動させながら表示する。ここで、特別図柄は、始動口28への遊技球の落入を契機として行われる抽選の結果に応じて大当たりを発生させるか否かを示すための図柄であり、装飾図柄は、抽選の結果を視覚的に演出するための図柄である。図柄表示装置26は、例えば液晶ディスプレイで構成されるとともに、装飾図柄としてスロットマシーンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を画面の中央領域に表示する。
図柄表示装置26の周囲には、センター飾り部品27が設けられており、遊技球の流路、図柄表示装置26の保護、装飾等の機能を有する。普通図柄表示装置32には普通図柄として数字等の図柄が変動表示される。普通図柄の変動表示は、作動ゲートとも呼ばれる普通図柄作動口30に遊技球が落入したときに開始される。普通図柄表示装置32は、例えば7セグメント表示器で構成される。普通図柄の停止図柄が当たりの態様となる場合は、始動口28が所定時間開放される。
遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ遊技領域31へ発射され、遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域31の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘20に当たりながらその当たり方に応じた方向へ落下し、一般入賞口24や始動口28等の各入賞口へ落入するとその入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15に払い出される。遊技球が始動口28に落入すると、図柄表示装置26において特別図柄および装飾図柄が変動表示される。特別図柄および装飾図柄の変動表示は一定時間経過後に停止され、停止時の特別図柄が所定の態様である場合、いわゆる「大当たり」として大入賞口29の開閉動作を開始する。すなわち所定の特別図柄の停止図柄が、特別遊技開始時の大入賞口29の開放条件として予め設定されている。このときスロットマシーンのゲームを模した装飾図柄は、3つの図柄を一致させるような表示態様をとる。
大入賞口29は、約30秒間開放された後、または10球以上の所定数の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。この所定の開放時間や遊技球の所定数は、大入賞口29の閉鎖条件として予め設定されている。大入賞口29の開放中、遊技球が特定領域へ少なくとも1球落入した場合、大入賞口29は再度開放される。大入賞口29の閉鎖状態から開放状態への変化を複数回数連続して継続する特別遊技において、開放中に遊技球が特定領域へ落入することは、次の開放動作を行うための開放条件となる。特定領域への落入を条件に、大入賞口29の開閉が所定回数、例えば15回繰り返される。
操作ボタン33は、前枠12の表面に設けられ、遊技者により操作される。遊技者は発射ハンドル17を右手で操作するため、操作ボタン33は、遊技者の左手で操作しやすい位置に設けられることが好ましい。遊技者は操作ボタン33を操作することで、始動口28および/または大入賞口29などの可変入球口の開閉を制御することができる。以下では、操作ボタン33により1つの可変入球口の開閉が制御される場合を説明するが、全ての可変入球口の開閉が1つの操作ボタン33で制御されるように構成されてもよく、また別の例では可変入球口ごとに操作ボタン33が設けられてもよい。なお、操作ボタン33は、機械式、タッチ式、光学式など、様々な形態のものであってよく、遊技者の操作が検出できるものであればよい。
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板41は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、特に始動口28へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板49は、液晶ユニット42を備え、図柄表示装置26における表示内容を制御し、特にメイン基板41による抽選結果に応じて表示内容を変動させる。メイン基板41およびサブ基板49は、遊技制御装置100を構成する。セット盤14は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域31へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
図3は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄の変動表示や電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御するメイン基板41と、図柄の演出等を制御するサブ基板49とに機能を分担させた形態で構成されてもよい。遊技制御装置100は、ハードウェア的にはデータやプログラムを格納するROM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。本実施例の遊技制御装置100は、入賞に関する抽選の当否を判定する当たり判定手段110、図柄や電飾等の表示を制御する表示制御手段120、大当たり中の特別遊技を実行させる特別遊技実行手段130、始動口28などの普通電動役物の開閉を制御する普通電動役物開閉制御手段140、および大入賞口29の開閉を制御する大入賞口開閉制御手段150を備える。
入賞検出装置60は始動口28に設けられたセンサであり、始動口28への遊技球の落入を検出し、その落入があったことを示す始動入賞情報を入賞処理手段111へ送る。入賞処理手段111は、始動入賞情報を受け取ると、始動入賞に対して乱数を取得する。特別電動役物当たり決定手段113は、その乱数を取得して抽選当否を判定する。
特別遊技実行手段130は、特別遊技、すなわち大当り遊技への移行および特別遊技を制御する。特別遊技移行判定手段131は、特別電動役物当たり決定手段113による判定結果により、特別遊技を開始するか否かを判定する。特別遊技は、大入賞口29の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、特別遊技に移行すると、遊技者は相当数の出球を期待することができる。サイクル遊技実行手段132は、1回の大入賞口29の開閉を実行する。具体的にサイクル遊技実行手段132は、大入賞口開閉制御手段150を制御して、大入賞口29の開閉を実行する。特別遊技終了手段133は、継続ラウンド数、大入賞口29の特定領域への通過検出の有無に基づいて、サイクル遊技を継続させるか否か、すなわち次回のサイクル遊技を開始するか否かを判定する。次回のサイクル遊技を開始するための開始条件が満足されない場合、またはサイクル遊技の所定のラウンド数を消化した場合には、特別遊技終了手段133が特別遊技を終了させる。
大入賞口開閉制御手段150において、開閉条件設定手段151には、大入賞口29を閉鎖状態から開放状態に変化させる開放条件および閉鎖状態から開放状態に変化させる閉鎖条件が設定されている。例えば、開放条件は、前回のサイクル遊技中に遊技球が大入賞口29の特定領域を通過したことである。また、閉鎖条件は、大入賞口29の開放中に入賞数が所定数に到達したこと、または大入賞口29の開放時間が所定時間に到達したことである。開放中の入賞は、入賞検出装置62により検出される。
開放制御手段152は、開閉条件設定手段151に設定された開放条件が達成された場合に、大入賞口ソレノイド63に開放指示を送り、大入賞口29の開閉板を開放させる。これにより、大入賞口29は、遊技者にとって有利な状態に変化する。一方、閉鎖制御手段153は、閉鎖条件が達成された場合に、大入賞口ソレノイド63に閉鎖指示を送り、大入賞口29の開閉板を閉鎖させる。これにより、大入賞口29は、遊技者にとって不利な状態に変化する。
さらに、大入賞口開閉制御手段150は、操作ボタン入力受付手段154を備える。操作ボタン入力受付手段154は、遊技者による操作ボタン33の操作入力を受け付ける。操作ボタン33の操作入力は、大入賞口開閉制御手段150において、大入賞口29の開放動作または閉鎖動作の指示入力として処理される。これにより、例えば上球皿19に遊技球が不足している場合には、遊技者が大入賞口29を開放させないように制御することができ、また開放中に遊技球が不足したり、また球詰まりが発生したような場合には一旦開放動作を中断させて閉鎖させることで、遊技者は、不都合な状況を改善するための時間的余裕を得ることができる。特別遊技中に、やむを得ない事情、例えばトイレに行きたくなることもあり、そのような場合に大入賞口29の開放動作を一旦停止できることは遊技者にとって好ましい。さらに、自身の都合のよいタイミングで大入賞口29を開放させることができれば、遊技者の技術介入性が向上することにもなり、遊技興趣が向上する。このように大入賞口29の開閉動作を制御可能とすることで、開放中の大入賞口29に入賞させることができないことにより生じるパンクなどの遊技者の不利益を抑止することが可能となり、また遊技興趣を向上させて、遊技者に飽きさせないぱちんこ遊技機10を実現することができる。
普通電動役物開閉制御手段140において、開閉条件設定手段141には、始動口28などの普通電動役物を閉鎖状態から開放状態に変化させる開放条件および閉鎖状態から開放状態に変化させる閉鎖条件が設定されている。始動口28の開放条件は、普通図柄表示装置32の停止図柄が当たりの態様となることであり、閉鎖条件は開放後、所定の時間が経過したことであってよい。普通図柄の抽選の当否は、普通電動役物当たり決定手段112により決定される。
開放制御手段142は、開閉条件設定手段141に設定された開放条件が達成された場合に、普通電動役物ソレノイド61に開放指示を送り、始動口28を開放させる。これにより、始動口28は、遊技者にとって有利な状態に変化する。一方、閉鎖制御手段143は、閉鎖条件が成立したことを判定すると、普通電動役物ソレノイド61に閉鎖指示を送り、始動口28を閉鎖させる。これにより、始動口28は、遊技者にとって不利な状態に変化する。
さらに、普通電動役物開閉制御手段140は、操作ボタン入力受付手段144を備える。操作ボタン入力受付手段144は、遊技者による操作ボタン33の操作入力を受け付ける。操作ボタン33の操作入力は、普通電動役物開閉制御手段140において、始動口28などの普通電動役物の開放動作または閉鎖動作の指示入力として処理される。これにより、例えば上球皿19に遊技球が不足している場合には、普通電動役物の開放タイミングを遅らせるように制御してもよく、遊技者は、不都合な状況を改善するための時間的余裕を得ることができる。また、自身の都合のよいタイミングで普通電動役物を開放させることができれば、遊技者の技術介入性が向上することにもなり、遊技興趣が向上する。このように普通電動役物の開閉動作を制御可能とすることで、遊技者の不利益を抑止することが可能となり、また遊技興趣を向上させて、遊技者に飽きさせないぱちんこ遊技機10を実現することができる。
表示制御手段120は、当たり判定手段110において決定される抽選の当否をもとに、図柄表示装置26および普通図柄表示装置32に表示させる表示内容を制御する。また、表示制御手段120は、遊技効果ランプ35および操作可能報知ランプ34のランプ表示も制御する。操作可能報知ランプ34は、例えば半透明の凸状プラスチック体により形成される操作ボタン33の内部に設けられて、遊技者の操作入力が可能なときに点灯される。遊技者は、操作可能報知ランプ34の点灯を見て、操作ボタン33を操作可能であることを認識することができる。
図4は、電動チューリップなどの普通電動役物を開閉制御するフローを示す。以下では、電動チューリップで構成された始動口28の開閉を制御する方法を示す。なお、普通電動役物は始動口28以外のものであってよく、また可変入球口としては電動チューリップ以外の他の形態をとってもよい。
まず、普通図柄作動口30を遊技球が通過すると(S1)、入賞処理手段111が、その通過情報に基づいた乱数を取得し、普通電動役物当たり決定手段112が、その乱数をもとに当たりか否かを決定する(S2)。表示制御手段120は、普通図柄表示装置32に普通図柄を変動表示させ、抽選の当否を示す停止図柄を表示させる(S3)。当たりの場合には、普通電動役物開閉制御処理が実行される(S4)。
図5は、普通電動役物開閉制御処理のフローを示す。この制御処理フローは、普通電動役物開閉制御手段140において実行される。まず、始動口28の開放動作に対してウェイトタイマWT1が既に設定されているかどうかを判定する(S10)。ウェイトタイマWT1が設定されていない場合(S10のN)、開放制御手段142が、開閉条件設定手段141において設定されている開放条件が成立しているか否かを判定する(S12)。開放条件が成立している場合、すなわち普通図柄の停止図柄が当たりを示す態様である場合(S12のY)、開放制御手段142は、ウェイトタイマWT1をセットして(S14)、表示制御手段120を介して操作可能報知ランプ34を点灯する(S16)。これにより、遊技者は、操作ボタン33が操作可能な状態にあることを認識することができる。S10においてウェイトタイマWT1がセット済みの場合には(S10のY)、操作可能報知ランプ34は点灯した状態にある。
従来の弾球遊技機において、始動口28のウェイトタイマは、大体0.5秒程度に設定されているのが一般的である。それに対して、本実施例では、遊技者により始動口28の開放タイミングを制御できるように、ウェイトタイマWT1は、例えば3〜5秒程度の所定時間に設定されることが好ましい。遊技者は、ウェイトタイマWT1の範囲内で、始動口28の開放タイミングを決定することができる。
続いて、開放制御手段142は、ウェイトタイマWT1が満了するまで(S20のN)、遊技者による操作ボタン33の入力を監視する(S18のN)。操作ボタン入力受付手段144が操作入力を受け付けると(S18のY)、開放制御手段142は、ウェイトタイマWT1をリセットして(S22)、表示制御手段120を介して操作可能報知ランプ34を消灯する(S24)。また、ウェイトタイマWT1が満了した場合も(S20のY)、操作可能報知ランプ34を消灯する(S24)。ウェイトタイマWT1を設けて、遊技者が操作ボタン33を操作可能な時間に制限を設けることで、ぱちんこ遊技機10の稼働率を上げることができ、遊技が継続されないことによるぱちんこ店の不利益を回避できる。また、遊技者にとっても、操作ボタン33を押し忘れていた場合に、ウェイトタイマWT1の満了後、自動的に始動口28が開放されることになるため、遊技を円滑に継続することができる。このような両者のバランスを図るべく、ウェイトタイマWT1は、3〜5秒程度の適切な範囲内で設定されることが好ましい。
開放制御手段142は、開放タイマKT1をセットする(S26)。開放タイマKT1は、始動口28の開放時間を定めるものであり、例えば数秒程度に設定される。開放制御手段142は、普通電動役物ソレノイド61を制御して、始動口28を開放する(S28)。開放制御手段142は、遊技者の操作入力をもとに始動口28を開放するため、遊技性を向上することができるだけでなく、遊技球が不足している場合などの事態にも遊技者が時間的余裕をもって対応することが可能となる。
閉鎖制御手段143は、開放タイマKT1が満了するのを待機する(S32のN)。なお、S12において、開放条件が成立していないか(S12のN)、既に開放中である場合も(S30のY)、同様である。開放タイマKT1が満了すると(S32のY)、閉鎖制御手段143は、始動口28を閉鎖して(S34)、本フローを終了する。S32における条件は、開閉条件設定手段141において設定されている閉鎖条件に相当する。なお、S30において、開放中でない場合も(S30のN)、本フローを終了する。
図6は、普通電動役物の開閉制御処理におけるタイミングチャートである。図6(a)は、操作ボタン33の入力がない場合のタイミングチャートを示し、図6(b)は、操作ボタン33の入力がある場合のタイミングチャートを示す。横軸は時間を示し、図6(a)および図6(b)において、5段に並べられたタイミングチャートは、上から順に、作動ゲートの通過の有無、普通図柄の表示状態、普通電動役物の開閉状態、操作ボタンの入力可能な有効時間、および操作入力の有無を示している。
図6(a)に示すタイミングチャートにおいて、時間t1で遊技球の作動ゲートの通過が検出されると、普通図柄が時間t1から時間t2まで変動表示される。普通図柄が当たりの態様で停止すると、時間t2から時間t3までの例えば3〜5秒程度の間、操作可能報知ランプ34が点灯し、操作ボタン33を入力可能なウェイト時間に入る。ウェイト時間中に操作ボタン33の入力がなされなければ、ウェイト時間の終了後、普通電動役物が開放され、遊技球が入賞しやすい状態となる。この開放動作は、時間t3から時間t4までの所定時間行われ、時間t4から次の入賞に対する普通図柄の変動表示が行われる。
図6(b)に示すタイミングチャートにおいても同様に、時間t2から操作可能報知ランプ34が点灯し、操作ボタン33を入力可能なウェイト時間に入る。このウェイト期間中の時間t5に遊技者が操作ボタン33の入力を行うと、時間t6までの所定時間、普通電動役物が開放される。このようにして、遊技者は、自身の都合のよいタイミングで普通電動役物を開放することができ、ぱちんこ遊技機10の遊技性が向上するだけでなく、発射不能などの状態を改善する時間的余裕を得ることも可能となる。
図7は、大入賞口29である特別電動役物を開閉制御するフローを示す。まず、始動口28に遊技球が入賞すると(S5)、入賞処理手段111が、その始動入賞情報に基づいた乱数を取得し、特別電動役物当たり決定手段113が、その乱数をもとに当たりか否かを決定する(S6)。表示制御手段120は、図柄表示装置26に特別図柄および装飾図柄を変動表示させ、当否を示す停止図柄を表示させる(S7)。当たりの場合には、特別遊技実行処理が行われ(S8)、大入賞口開閉制御処理が実行される(S9)。
図8は、大入賞口開閉制御処理のフローを示す。この制御処理フローは、大入賞口開閉制御手段150において実行される。まず、大入賞口29の開放動作に対してウェイトタイマWT2が既に設定されているかどうかを判定する(S110)。ウェイトタイマWT2が設定されていない場合(S110のN)、開放制御手段152が、開閉条件設定手段151において設定されている開放条件が成立しているか否かを判定する(S112)。開放条件が成立している場合、すなわち特別図柄の停止図柄が当たりを示す態様である場合(S112のY)、開放制御手段152は、ウェイトタイマWT2をセットして(S114)、表示制御手段120を介して操作可能報知ランプ34を点灯する(S116)。これにより、遊技者は、操作ボタン33が操作可能な状態にあることを認識することができる。S110においてウェイトタイマWT2がセット済みの場合には(S110のY)、操作可能報知ランプ34は点灯した状態にある。
本実施例では、遊技者により大入賞口29の開放タイミングを制御できるように、ウェイトタイマWT2は、例えば5秒程度の時間に設定されていればよい。遊技者は、ウェイトタイマWT2の範囲内で、大入賞口29の開放タイミングを決定することができる。
続いて、開放制御手段152は、ウェイトタイマWT2が満了するまで(S120のN)、遊技者による操作ボタン33の入力を監視する(S118のN)。操作ボタン入力受付手段154が操作入力を受け付けると(S118のY)、開放制御手段152は、ウェイトタイマWT2をリセットして(S122)、開放タイマKT2をセットする(S126)。また、ウェイトタイマWT2が満了した場合も(S120のY)、開放タイマKT2をセットする(S126)。ウェイトタイマWT2を設けて、遊技者が操作ボタン33を操作可能な時間に制限を設けることで、ぱちんこ遊技機10の稼働率を上げることができ、遊技が継続されないことによるぱちんこ店の不利益を回避できる。また、遊技者にとっても、操作ボタン33を押し忘れていた場合に、ウェイトタイマWT2の満了後、自動的に大入賞口29が開放されることになるため、遊技を円滑に継続することができる。このような両者のバランスを図るべく、ウェイトタイマWT2は、5秒程度の適切な値に設定されることが好ましい。
開放タイマKT2は、大入賞口29の開放時間を定めるものであり、例えば30秒程度に設定される。開放制御手段152は、大入賞口ソレノイド63を制御して、大入賞口29を開放する(S128)。開放制御手段152は、遊技者の操作入力をもとに大入賞口29を開放するため、遊技性を向上することができるだけでなく、遊技球が不足している場合などの事態にも遊技者が時間的余裕をもって対応することが可能となる。
閉鎖制御手段153は、開放タイマKT2が満了するのを待機する(S132)。なお、S112において、開放条件が成立していないか(S112のN)、既に開放中である場合も(S130のY)、同様である。開放タイマKT2が満了する前に(S132のN)、入賞検出装置62において検出された遊技球数が所定の上限、例えば10個に到達した場合(S134のY)、閉鎖制御手段153は、大入賞口29を閉鎖する(S136)。なお、開放タイマKT2が満了したときも(S132のY)、大入賞口29を閉鎖する(S136)。S132およびS134における条件は、開閉条件設定手段151において設定されている閉鎖条件に相当する。
S130において、開放中でない場合は(S130のN)、中断フラグがオンになっているか否かを判定する(S138)。中断フラグのオンは、遊技者が操作ボタン33により大入賞口29を開放状態から閉鎖状態に変化させたことを示し、図9に関連して詳細に説明する。中断フラグがオンである場合(S138のY)、中断処理フローを実行する(S140)。なお、入賞個数の上限値に満たない場合は(S134のN)、原則として入賞個数の監視を続行するが、本フローでは、この場合に中断処理に移行する例について説明する。なお、S138において中断フラグがオフの場合は(S138)、大入賞口29の開閉制御処理を終了する。
図9は、大入賞口開閉制御処理における中断処理のフローを示す。開放制御手段152または閉鎖制御手段153が、遊技者による操作ボタン33の入力を監視する(S210)。大入賞口29が開放中である場合は、閉鎖制御手段153が操作入力を監視し、閉鎖中である場合は、開放制御手段152が操作入力を監視する。ここで、操作ボタン入力受付手段154が、遊技者からの操作入力を受け付ける場合(S210のY)、大入賞口29が開放中であれば(S212のY)、閉鎖制御手段153が中断タイマSTをセットして(S214)、開放タイマKT2を停止し(S216)、大入賞口ソレノイド63を制御して大入賞口29を閉鎖する(S218)。このとき、閉鎖制御手段153は、中断フラグをオンし(S220)、中断フラグのオン時間を累積してカウントする(S222)。
このように、閉鎖制御手段153は、遊技者の操作入力により大入賞口29を閉鎖するため、遊技者は、遊技球を発射不能な状態にある場合に大入賞口29を閉鎖することができ、発射不能な状況に起因したパンクなどの不利益を回避することができる。また、遊技者による閉鎖制御が行われる場合は、開放タイマKT2を停止させることで、30秒に設定されている開放時間のメリットは変わらずに享受でき、次の操作ボタン33の入力により、大入賞口29の開放動作が再開されることで、遊技者の利益を保持することができる。
S212において、大入賞口29が閉鎖中である場合(S212のN)、開放制御手段152が中断タイマSTをリセットして(S226)、開放タイマKT2を再開させ(S228)、大入賞口ソレノイド63を制御して大入賞口29を開放する(S230)。このとき、開放制御手段152は、中断フラグをオフし(S232)、中断フラグのオン時間の累積カウントを停止する(S234)。なお、S226からS234の処理は、S210において操作入力がなく(S210のN)、中断タイマSTの値が所定値に到達した場合(S224のY)にも実行される。
このように、開放制御手段152は、遊技者の操作入力により大入賞口29を開放するため、遊技者は、発射不能な状態が改善された場合などに大入賞口29を開放することができ、遊技者にとって都合のよいタイミングで大入賞口29の開放を再開させることができる。また、遊技者による開放制御が行われる場合は、開放タイマKT2を再開させることで、1サイクルの遊技中に30秒に設定されている開放時間を順守することができる。さらに、中断タイマSTを設けて、遊技者が1回の操作入力により大入賞口29の開放を中断することのできる時間に制限を設けることで、ぱちんこ遊技機10の稼働率を上げることができ、遊技が継続されないことによるぱちんこ店の不利益を回避できる。また、遊技者にとっても、操作ボタン33を押し忘れていた場合に、中断タイマSTの満了後、自動的に大入賞口29が開放されることになるため、遊技を円滑に継続することができる。
中断タイマSTの設定値は、例えば数分程度に設定してもよい。特別遊技実行中は、払い出しされる出球数が増えるため、出球がドル箱に入りきらないこともある。打球が停止するとパンクするおそれがあるため、遊技者は新たなドル箱を用意する必要があるが、近くに店員がいない場合などには、現状のぱちんこ遊技機では対処が困難である。そのような場合に、本実施例のぱちんこ遊技機10によると、中断タイマSTの設定値を数分程度に設定しておくことで、開放動作を一旦中断して、その間に遊技者が対処することが可能となり、パンクすることによる不利益を回避することが可能となる。
なお、開放制御手段152は、特別遊技中に操作入力に基づいて大入賞口29を閉鎖状態とした時間を累積計時し、その累積計時した時間が所定の時間に達した場合に、次の操作入力を無効とするようにしてもよい。この累積時間は、S222の処理として説明したように、操作入力により中断している時間を累積してカウントすることで算出される。具体的には、中断フラグがオンとされている時間を累積することで、中断の累積時間を求めることができる。なお、この累積時間は、1サイクルにおける遊技中の累積時間であってもよく、また全サイクルにおける遊技中の累積時間であってもよい。開放動作を中断する時間に制限を設けることで、ぱちんこ遊技機10の稼働率を上げることができ、遊技が継続されないことによるぱちんこ店の不利益を回避できる。
なお、特別遊技中に複数回の中断がなされることも想定されるが、ぱちんこ遊技機10の稼働率を上げるという趣旨のもとでは、開放制御手段152が、一度中断タイマSTが満了した後の同一特別遊技中の中断時間は、STよりも短くするように制御してもよい。度々、長い中断時間を与えることは、ぱちんこ店にとって好ましくないためであり、以後の中断時間を短くすることで、稼働率を向上させることができる。
また、閉鎖制御手段153は、特別遊技中の操作入力の回数をカウントして、中断回数が所定の閾値に達した場合に、次の操作入力を無効とするようにしてもよい。この所定の閾値は、1サイクルにおける遊技中の中断回数の上限値であってもよく、また全サイクルにおける遊技中の中断回数の上限値であってもよい。中断回数を規制することによって、ぱちんこ遊技機10の稼働率を上げることができる。
図10は、大入賞口の開閉制御処理におけるタイミングチャートである。図10(a)は、操作ボタン33の入力がない場合のタイミングチャートを示し、図10(b)は、操作ボタン33の入力が2回あった場合のタイミングチャートを示し、図10(c)は、操作ボタン33の入力が1回あった場合のタイミングチャートを示す。横軸は時間を示し、図10(a)、図10(b)および図10(c)において、3段に並べられたタイミングチャートは、上から順に、大入賞口の開閉状態、操作ボタンの入力可能な有効時間、および操作入力の有無を示している。
なお、図10のタイミングチャートでは、大入賞口29の開放動作に関する制御を主として示している。大入賞口29の閉鎖動作については、図6に示した普通電動役物の閉鎖動作と同様である。具体的には、図6における普通電動役物の開閉状態、操作ボタンの入力可能な有効時間、および操作入力の有無のタイミングチャートを、図10における大入賞口の開閉状態、操作ボタンの入力可能な有効時間、および操作入力の有無のタイミングチャートにそのまま対応させることで、大入賞口29の閉鎖動作に関する制御を説明できる。
図10(a)に示すタイミングチャートにおいて、時間t10で大入賞口29が開放されると同時に、操作可能報知ランプ34が点灯し、操作ボタン33が入力可能な状態となる。時間t10から時間t11までの操作入力可能な有効時間内に操作ボタン33の入力がなされなければ、時間t12にて大入賞口29が閉鎖される。時間t10から時間t12までの時間が30秒程度に設定される場合、時間t10から時間t11までの時間は、開放時間よりも僅かに短い27秒程度に設定される。
図10(b)に示すタイミングチャートにおいて、時間t13で操作入力がなされ、解放動作が中断されて、閉鎖状態になる。時間t13から中断タイマSTの満了前の時間t14に再度操作入力を行うと、時間t14から大入賞口29が開放される。このようにして遊技者は、自身の都合のよいタイミングで大入賞口29を開閉することができ、ぱちんこ遊技機10の遊技性が向上するだけでなく、発射不能などの状態を改善する時間的余裕を得ることも可能となる。
図10(c)に示すタイミングチャートにおいて、時間t13から中断タイマSTが満了するまで操作入力が行われなかったため、中断タイマSTの経過後、自動的に大入賞口29が開放されている。中断タイマSTを設定しておくことにより、ぱちんこ遊技機10の稼働率を上げることができ、遊技が継続されないことによるぱちんこ店の不利益を回避できる。また、遊技者にとっても、操作ボタン33を押し忘れていた場合に、中断タイマSTの満了後、自動的に大入賞口29が開放されることになるため、遊技を円滑に継続することができる。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
例えば、実施例においては、始動口28などの普通電動役物の開閉制御に関して主として開放制御について説明したが、大入賞口29の閉鎖制御と同様の制御を行うことも可能である。すなわち、普通電動役物の開閉制御に関しても、図8および図9に関して大入賞口29の開閉制御に関して説明したのと同様の制御を適用することが可能である。また、普通電動役物と大入賞口29の開閉制御について別々に説明したが、双方の可変入球口の開閉制御を1つのぱちんこ遊技機10において実現してもよい。これにより、遊技性を向上させることができ、遊技者の不利益を効果的に回避することが可能となる。
なお、実施例では、第1種ぱちんこ遊技機について説明したが、可変入球口を備えた第2種ぱちんこ遊技機、第3種ぱちんこ遊技機、アレンジボール、雀球遊技機などの弾球遊技機についても、本発明を適用することが可能である。例えば、第2種ぱちんこ遊技機の可変入球口は、有利な状態を開閉動作により実現するが、本発明を適用することで、遊技者からの操作入力により、それ以降の開閉動作が中断されるように構成されてもよく、遊技者は、自身に都合のよいタイミングでその開閉動作を中断することが可能となる。また第1種ぱちんこ遊技機について説明したように、遊技者からの操作入力により、開閉動作が開始されるように構成されてもよい。
10・・・ぱちんこ遊技機、28・・・始動口、29・・・大入賞口、30・・・普通図柄作動口、31・・・遊技領域、33・・・操作ボタン、34・・・操作可能報知ランプ、60・・・入賞検出装置、61・・・普通電動役物ソレノイド、62・・・入賞検出装置、63・・・大入賞口ソレノイド、100・・・遊技制御装置、110・・・当たり判定手段、111・・・入賞処理手段、112・・・普通電動役物当たり決定手段、113・・・特別電動役物当たり決定手段、120・・・表示制御手段、130・・・特別遊技実行手段、131・・・特別遊技移行判定手段、132・・・サイクル遊技実行手段、133・・・特別遊技終了手段、140・・・普通電動役物開閉制御手段、141・・・開閉条件設定手段、142・・・開放制御手段、143・・・閉鎖制御手段、144・・・操作ボタン入力受付手段、150・・・大入賞口開閉制御手段、151・・・開閉条件設定手段、152・・・開放制御手段、153・・・閉鎖制御手段、154・・・操作ボタン入力受付手段。