JP4632224B2 - 配送伝票 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流通業界で使用される配送伝票の技術分野に属し、特に百貨店やスーパーなどでお中元やお歳暮を配送する際に好適に用いられる配送伝票に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種の流通業界において商品を配送する際に使われる配送伝票の1パート化が進んでいる。その理由としては、IT化の進展による情報ネットワークの整備が急速に進展し、これまで配送中の中継基地にて抜き取っていた数々の控え片が不要になったことが挙げられる。
【0003】
さらに、通販業界のようにもともと顧客や商品のデータをデジタル化して保管してあり、このデータを印字して配送伝票を発行するような業種においては、従来の多パート配送伝票では、現在では旧式とされるドットインパクト方式のプリンタでは使い勝手が悪いということもあった。
【0004】
ドットインパクト方式のプリンタは、現在主流のLBP(レーザービームプリンタ)やIJP(インクジェットプリンタ)、サーマルプリンタといった非インパクト方式のプリンタと比較して、一般的に速度が同等以下で、加えて印字品質が劣り、また印字時の騒音が大きいといった問題がある。通販業界のように非インパクト方式プリンタを業務主力機としている場合、従来の多パート配送伝票を発行するためだけにドットインパクト方式のプリンタを購入しなければならず不便であった。そこで、配送伝票を1パート化することにより、これらの課題から解放されるようになり、急速に進展しているのである。
【0005】
1パート配送伝票の基本的な考え方は、これまで多パート搬送伝票で必要としていた複数枚の控え片を、1)デジタルデータとして保管(必要に応じてネットワークから取り出す)、2)同じデータを複写して同一平面上に複数印字、という形に置き換えることで実現している。
【0006】
開発当初の1パート方式の配送伝票は、同じデータを複写して同一平面上に設けるという構成上の特徴により、従来の多パート方式の配送伝票と比較して、伝票自体のサイズが大きくなりやすく、小型の荷物に貼りにくいという課題があったが、LBP等は印字解像度が高いため、文字を一回り小型化することで実用サイズを実現し、現在に至っている。
【0007】
さて、この1パート配送伝票は、その他にも様々な特徴がある。一つはコストメリットである。すなわち、前述したドットインパクトプリンタを新たに用意する必要がないという設備投資メリットに加え、従来の配送伝票が、複数枚の紙を必要とし、個々の枚目に印刷加工を行うことから比較すると、実質2枚(2パート)からなる1パート方式の搬送伝票は紙が少なくなるため、配送伝票自体が単価ダウンに直結しやすい。特に、1ヵ月に何十万個、何百万個も発送する業者にとって、この部分の魅力は極めて大きい。
【0008】
そして、もう一つのメリットはハイブリッド化である。本発明者は、これまでも「商品明細書」や「ピッキングリスト」と呼ばれる1枚の紙片と、(タック紙が貼り合わされた)1パート配送伝票とが合体した新形態のフォームを提案してきたが、これも1パート化によって対応可能なプリンタ機種が増加した結果から生まれたものである。
【0009】
上記の「商品明細書」は、通販業界において商品を箱詰めする際にピッキングするためのリストであり、箱詰めした後は箱の最上部に入れておき、商品を受け取った顧客(消費者)が注文した商品と照合する際に使用できるようにしたのである。
【0010】
これまでは、配送伝票をドットインパクト方式プリンタで印字しておき、この伝票とは別に、例えばLBPやページプリンタと呼ばれる非インパクト方式プリンタで印字した商品明細書を用意し、これら2種類の伝票を目視するか或いは機械読取にかけ、人手かマッチング機で紐付けしていた。しかしながら、このやり方では、1)マッチングに時間がかかるため、注文から発送までに時間を要し、顧客満足度が低下する、2)人手でも機械でもタダではないので、マッチングに費用がかかる、3)作業ミスがあるため、無駄な物流費用を必要とする、といった課題があり、作業フローそのものの見直しを提案してきた。
【0011】
つまり、配送伝票と商品説明書を同時に印字し、箱詰めした商品の中身を確認し、商品明細書を箱に入れる段階で前述した2種の伝票を分離して、1パート方式の配送伝票を箱に貼り発送する、といった方法である。
【0012】
このように、上記のようなメリットが相乗的に効いて、配送伝票の1パート化が急速に進展している訳である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
これまで述べてきたように、通販業界では1パート方式の配送伝票の導入により、比較的大きなメリットを享受できている。しかしながら、百貨店やスーパーといった流通業界では、慣習やしきたりに根ざす部分も少なくないため、まだ導入は試験的であることが多い。中でも、顧客に頼まれた荷物を(同一ないし近しい関係の)相手に届けることが最大の業務である通販業界や運送業界にはなく、流通業界特有のものとして「お中元」や「お歳暮」がある。
【0014】
お中元やお歳暮は、新聞等のメディアによれば、時代の流れで少なくなっているとの報告もあるが、百貨店や大手スーパーなどでは依然として膨大な量の依頼がある。そして、このお中元やお歳暮は、個人や法人から比較的社会的地位の高い人に送られるといった特徴があるため、届くだけでは不十分で、送付先に失礼がないように十分配慮する必要がある。
【0015】
一般に、お中元やお歳暮には「熨斗」という紙片を荷物に貼る慣習があり、本来、送付する人がその紙片の一部に名前を入れるものであるが、お中元もお歳暮も一時期に大量に発送する必要があることから、これまでは名前の記載されていない状態の熨斗を予め貼っておき、これに発行した配送伝票のみを貼り付けて発送することで簡略化していた。
【0016】
しかしながら、前述した「しきたり」に根ざすものであり、顧客が望めば名前を入れる必要があり、この場合は通常ラインとは別に顧客対応していた。そして、熨斗に記入する相手先の「名前」も、もちろん書いてあればよいという性質のものではなく、書道の有段者等、百貨店内で資格を有する人に限られていた。
【0017】
なお、一部では、熨斗用プリンタという専用設備を導入しているところもあるが、コストがかかる上に、保管や設置のためのスペースも必要であり、使用期間が一時期に限られるという多くのデメリットがあり、実用的ではない。
【0018】
以上のことを整理すると、1パート方式の配送伝票を導入しても、現在では熨斗に名前を入れるために、手書きや専用設備で別に用意する必要が生じ、結果として熨斗と1パート配送伝票のマッチングが必要となるため、業務効率の改善が難しかった。
【0019】
本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、顧客に対しては高い満足度を与えつつ、百貨店等に対しても高い作業性と経済性を与えることのできる熨斗付きの配送伝票を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明である配送伝票は、各種プリンタに応じた印字適性を有する表側用紙と、ラベル基材用紙/粘着剤層/離型紙の順に積層されたタック紙との略全面が、表側用紙/ラベル基材用紙/粘着剤層/離型紙の順になるように貼り合わされた1パート方式の配送伝票であって、表側用紙を貫通してタック紙の離型紙の手前に至るハーフカットにより、表側用紙の一部に印字可能な熨斗部分が区画されており、表側用紙の裏面には剥離層が形成され、表側用紙とタック紙とが接着剤層により貼り合わせられ、その剥離層と接着剤層は剥離可能構造をしており、剥離層は熨斗部分の一部分を除いて全体に設けられ、その剥離層なしの部分に応じてタック紙にハーフカットが設けられており、それによって、熨斗部分は、その一部を除いて表側用紙のみが分離可能となるように剥離可能構造を有することを特徴としている。
【0022】
請求項2に記載の発明である配送伝票は、請求項1に記載の配送伝票において、熨斗部分の天面に、剥離可能構造を持たない分離不能部分が設けられたことを特徴としている。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0025】
図1は本発明に係る配送伝票の一例を示す平面図で、図2は図1のX−X断面図、図3は図1のY−Y断面図である。
【0026】
図1に示す配送伝票は、配達票11、貼付票12及び作業控え13からなる伝票部分とそれらの横に熨斗部分14を並べた状態でこれら伝票部分と熨斗部分14を2組配列した1枚目の表側用紙10と、これと同サイズの2枚目のタック紙20とを接着剤層30により貼り合わせた構成をしており、表側用紙10の裏面には剥離層40が形成されている。
【0027】
表側用紙10は、上質紙やインクジェット用紙といった各種プリンタに応じた印字適性を有する紙で構成される。また、タック紙20は、図示のように、ラベル基材用紙21の裏側に粘着剤層22を形成し、その粘着剤層22に離型紙23を貼り合わせた公知のものである。そして、配達票11、貼付票12、作業控え13及び熨斗部分14を区画する位置には、表側用紙10を貫通してタック紙20の一部に至るハーフカットaが形成されている。
【0028】
また、剥離層40は、貼付票12の部分と、熨斗部分14の上部の一部分14aを除いて帳票全体に設けられている。そして、熨斗部分14におけるこの剥離層なしの部分14aに応じてタック紙20に矩形のハーフカットαが設けられている。したがって、熨斗部分14は、表側用紙10のみが分離可能ではあるが、一部分14aは接着剤層30、ラベル基材用紙21及び粘着剤層22と分離不能になっており、熨斗部分14の表側用紙10を剥がすと一部分14aにタック紙20の粘着剤層22が自動的に露出することになる。
【0029】
剥離層40と接着剤層30は剥離可能構造を形成している。この剥離可能構造は剥離インキと熱可塑性接着剤との組合せで構成することができ、この場合、熱可塑性接着剤として、熱可塑性樹脂に顔料分として微細粒子が混合された擬似接着剤、熱可塑性樹脂に硬化剤を添加して皮膜性を向上させた擬似接着剤、接着剤粒子自体を微粒子化した擬似接着剤のいずれを使用してもよい。また、剥離可能構造は、オレフィン系素材と非オレフィン系素材の共押出しによって形成された擬似接着フィルムで構成することもできる。この剥離可能構造の接着力については特に制限はない。
【0030】
上記構成の配送伝票は、配達票11、貼付票12及び作業控え13からなる伝票部分とそれらの横の熨斗部分14に対してプリンタにより同時に印字が行われる。印字を終えた配送伝票は、配送センターにて、伝票部分と熨斗部分14をそれぞれ離型紙23より剥がし、図4に示すように、それぞれ贈り物としての配達物Cに貼り付ける。この場合、伝票部分の裏側には全面に粘着剤層22が露出し、熨斗部分14の裏側には一部分14aに粘着剤層22が露出した状態になる。したがって、熨斗部分14はその粘着剤により配達物Cに貼着することができ、これまでのように粘着テープ等で留める必要がなく、しかも見栄えが良くなる。また、表側用紙のみを貼り付けるので、従来の熨斗と同等の感触が得られる。
【0031】
上記のように、配送センターにて伝票部分と熨斗部分14とを図4に示す如く配達物Cに貼り付けた後、作業控え13を剥がし、その作業控え13は配送センターにて管理する。そして、配送過程では、配達作業者が配達票11をラベル基材用紙21から剥がし、配送先にて受領印をもらった後、配達証として持ち帰って保管する。一方、配達物Cに残る貼付票12の情報によりその配達物Cが管理されることになる。
【0032】
以上、一つの具体例を挙げて本発明の実施の形態について詳細に説明してきたが、本発明による配送伝票は、上記した実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは当然のことである。
【0033】
例えば、熨斗部分の粘着剤露出部分は、熨斗の上部に限らず、上部と下部の2ヶ所でもそれ以上でもよく、全面でも構わない。また、形態によっては、熨斗部分が伝票部分と一体化された状態であっても構わない。
【0034】
また、伝票部分の形態としてはカット紙状で単位帳票当たり3片が連設したものを例に挙げたが、連続紙であっても構わないし、単位帳票当たり2片でも4片でもそれ以上でもよく、これについても制約はない。
【0035】
さらに、複数小口対応等により、必ずしも伝票部分と熨斗部分の数量が同一である必要もなく、顧客の要望に応じて様々な変形が可能である。
【0036】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明は、各種プリンタに応じた印字適性を有する表側用紙と、ラベル基材用紙/粘着剤層/離型紙の順に積層されたタック紙との略全面が、表側用紙/ラベル基材用紙/粘着剤層/離型紙の順になるように貼り合わされた1パート方式の配送伝票であって、表側用紙を貫通してタック紙の離型紙の手前に至るハーフカットにより、表側用紙の一部に印字可能な熨斗部分が区画されており、表側用紙の裏面には剥離層が形成され、表側用紙とタック紙とが接着剤層により貼り合わせられ、その剥離層と接着剤層は剥離可能構造をしており、剥離層は熨斗部分の一部分を除いて全体に設けられ、その剥離層なしの部分に応じてタック紙にハーフカットが設けられており、それによって、熨斗部分は、その一部を除いて表側用紙のみが分離可能となるように剥離可能構造を有することを特徴としているので、従来のように熨斗と配送伝票を紐付けする必要がなくなり、また1パート配送伝票と基本構成が同じ、同一プリンタが使用できるため、新たな設備投資が不要であり、低コストでかつ確実な作業が期待できることから、顧客満足度の向上に貢献することができる。
【0037】
さらに、この配送伝票を用いたシステムを推進することにより、お中元やお歳暮といった季節商品に限らず、誕生祝、内祝、入園祝、入学祝、寿、無地といった種々の熨斗について容易に応えることができ、顧客のみならず百貨店などの店側にとっても人材不足問題やコストダウンといった面で高い効果を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る配送伝票の一例を示す平面図である。
【図2】図1のX−X断面図である。
【図3】図1のY−Y断面図である。
【図4】伝票部分と熨斗部分を配達物に貼付した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 表側用紙
11 配送票
12 貼付票
13 作業控え
14 熨斗部分
14a 一部分
20 タック紙
21 ラベル基材用紙
22 粘着剤層
23 離型紙
30 接着剤層
40 剥離層
C 配達物
a ハーフカット
α ハーフカット
Claims (2)
- 各種プリンタに応じた印字適性を有する表側用紙と、ラベル基材用紙/粘着剤層/離型紙の順に積層されたタック紙との略全面が、表側用紙/ラベル基材用紙/粘着剤層/離型紙の順になるように貼り合わされた1パート方式の配送伝票であって、表側用紙を貫通してタック紙の離型紙の手前に至るハーフカットにより、表側用紙の一部に印字可能な熨斗部分が区画されており、表側用紙の裏面には剥離層が形成され、表側用紙とタック紙とが接着剤層により貼り合わせられ、その剥離層と接着剤層は剥離可能構造をしており、剥離層は熨斗部分の一部分を除いて全体に設けられ、その剥離層なしの部分に応じてタック紙にハーフカットが設けられており、それによって、熨斗部分は、その一部を除いて表側用紙のみが分離可能となるように剥離可能構造を有することを特徴とする配送伝票。
- 熨斗部分の天面に、剥離可能構造を持たない分離不能部分が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の配送伝票。
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