図1は本発明に係る故障診断システムの一実施形態を示す構成図である。
図1に示す故障診断システムは、通信網100、1又は複数の電子回路装置1000から100n、及び故障診断装置9000で構成される。
通信網100は、例えば、LAN(Local Area Network )、WAN(Wide Area Network)、MAN(Metropolitan Area Network)、又は公衆回線網で構成され、電子回路装置1000から100nと故障診断装置9000とを通信可能に接続する。
電子回路装置1000から100nの構成、接続、及び機能は、それぞれほぼ同様であるので、以下単に、電子回路装置1000についてのみ説明する。
電子回路装置1000は、例えば、画像形成装置で構成される。画像形成装置は、ファクシミリ機能(FAX機能)、通信機能、読取機能(スキャン機能)、出力機能(プリント機能)、及び複製機能(コピー機能)を有する複合機等で構成される。
ここで図2を参照して、電子回路装置1000の構成について説明する。図2は、電子回路装置1000の一構成例について説明するための図である。
電子回路装置1000は、FAX機能部1010、通信機能部1020、読取機能部1030、出力機能部1040、及び制御機能部1050で構成される。
FAX機能部1010、通信機能部1020、読取機能部1030、出力機能部1040、及び制御機能部1050の各機能は、電子回路装置1000が実行するソフトウェア制御により実現できる。
ここで図3を参照して、ソフトウェア制御を実行するための電子回路装置1000の構成について説明する。図3は、このソフトウェア制御を実現するための電子回路装置1000の一構成例を表す構成図である。
電子回路装置1000は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の演算部1911、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の読み出し専用メモリであるROM1912(Read-Only Memory )、DRAM(Dynamic RAM)又はSRAM(Static RAM)等の揮発性メモリ及びNVRAM(Non Volatile RAM)等の不揮発性メモリで構成されるRAM1913(Random Access Memory)、並びにハードディスク等の外部記憶装置である外部記憶部1914で構成され、演算部1911、ROM1912、RAM1913、及び外部記憶部1914は互いにバス1915によって接続している。
ソフトウェア制御は、ROM1912に格納したプログラムを演算部1911が読み、読込んだプログラムに従って演算部1911が演算を行うことにより上記各部の機能を実現する。なお、RAM1913には、演算結果のデータが書き込まれ、特にNVRAMには、電源オフ時にバックアップが必要なデータが保存される。
ここで、図2に戻り、電子回路装置1000の構成について引き続き説明する。
FAX機能部1010は、通信網100及び制御機能部1050に接続している。FAX機能部1010は、制御機能部1050に制御されて、例えば、G3又はG4等の通信規格で情報を通信網100に対して送受信することでFAX機能を提供する。
FAX機能部1010は、FAX通信部1011で構成される。FAX通信部1011は、例えば、FAXモデムで構成され、通信網100及び制御部1051に接続している。
FAX通信部1011は、後述する読取部1031で読取られた画像(以下単に、読取画像という)又は通信機能部1020が受信した画像を制御部1051から取得する。次に、FAX通信部1011は、取得した画像を、例えば、G3又はG4等のプロトコルに従って通信網100へ送信する。
また、FAX通信部1011は、同様に、画像を表す画像情報をG3又はG4等のプロトコルに従って受信する。FAX通信部1011は、受信した画像情報を制御部1051へ出力する。
尚、制御部1051は、FAX通信部1011から取得した画像情報を出力機能部1040に出力し、出力機能部1040は画像情報が表す画像を印刷出力する。
通信機能部1020は、通信網100及び制御機能部1050に接続している。通信機能部1020は、制御機能部1050に制御されて、例えば、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等のプロトコルで情報を通信網100に対して送受信することで通信機能を提供する。
通信機能部1020は、通信部1021で構成される。通信部1021は、例えば、ネットワーク・カードで構成され、通信網100及び制御部1051に接続している。通信部1021は、通信処理を実行することで、故障診断装置との間で故障診断に必要な情報の送受信を行う。
ここで図4を参照して、通信部1021が実行する通信処理について説明する。図4は、通信部1021が実行する通信処理の一例を表すフローチャートである。
先ず、通信部1021は、制御部1051から故障時提供機能を識別する機能識別情報と不具合種類と装置識別情報とを取得する(ステップST0001)。
尚、故障時提供機能とは、電子回路装置1000に故障が発生した際に提供していた機能をいう。また装置識別情報とは、例えば、グローバル又はプライベートなIP(Internet Protocol)アドレス、MAC(Media Access Control)アドレス、及びマシン名(ホスト名)、若しくはこれらに関連付けたドメイン名であって、電子回路装置1000を識別するための情報をいう。
更に、不具合情報とは、故障により生じた不具合を識別する情報をいう。故障により生じた不具合は、電子回路装置1000が出力した画像又は読取った画像が有する画像不良を含む。
尚、画像不良は、シミ、ムラ、線又は画像の欠損を含む。シミとは、点状の欠陥が所定の数を超えて連結した欠陥をいい、ムラとは濃度の不均一をいう。
次に、通信部1021は、故障診断装置9000へ取得した故障時提供機能を識別する機能識別情報と不具合情報と装置識別情報とを送信する(ステップST0002)。
尚、通信部1021は、以下の処理において、故障診断装置9000へ情報を送信する際に装置識別情報をも共に送信するが、便宜のために説明を省略する。
その後、通信部1021は、故障診断装置9000から診断画像を受信する(ステップST0003)。尚、診断画像とは、電子回路装置1000を構成する部品又は部品群に発生する故障を診断するために用いる画像をいう。
また、本実施例では、診断画像は、電子回路装置1000が有する機能を提供する際に、機能を提供するために用いる部品又は部品群に発生する故障を診断するための画像であるとする。
具体例を挙げると、読取機能を提供する際に用いる部品又は部品群に発生する故障を診断するための診断画像としては、読取部1031の分解能を判断できる特殊な模様を有する画像を採用できる。
ここで図5を参照して、電子回路装置1000が有する出力機能を提供するために用いる部品又は部品群に発生する故障を診断するための診断画像の一例を説明する。図5は、診断画像の一例を表す図である。
図5に示す診断画像は、図形を表す画像F1からF3を有する。画像F1からF3の結合で表される図形は、1回回転対称な図形である。つまり例えば、正方形のように4回回転対象な図形と異なり、0度から360度までの間において、360回転した場合の1回のみ、回転する前と後との区別をすることができない図形である。
ここで図4に戻り、通信部1021が実行する通信処理の一例について引続き説明する。
ステップST0003を実行した後に、通信部1021は、制御部1051へ診断画像を出力する(ステップST0004)。次に、通信部1021は、故障診断装置9000から第1の指定情報と第2の指定情報とを受信する(ステップST0005)。
尚、指示情報とは設定情報の内容を変更することを指示する情報であり、設定情報とは出力部1042が出力する画像の形式及び読取部1031が読取る画像の形式の少なくとも1つ以上を定める情報をいう。
具体的には、設定情報は、読取部1031が読取対象とする、例えば、印刷用紙などの印刷媒体又は出力部1042が診断画像を印刷する印刷媒体の大きさ及び印刷濃度、読取画像処理部1032が読取った読取画像に対して行う又は出力画像処理部1041が出力対象とする画像に対して行う拡大又は縮小処理の拡大率又は縮小率、並びに回転処理の回転度数、並びに読取部1031の分解能のいずれか1つ以上を含む。
特に指示情報は、第1の指示情報と第2の指示情報とを含む。第1の指示情報は第1の設定情報の内容を変更することを指示する情報であり、第2の指示情報は第2の設定情報の内容を変更することを指示する情報である。
また、第1の設定情報は、故障診断装置9000が故障診断をする場合に診断対象とする電子回路装置1000が最初に出力する診断画像の形式及び最初に出力された診断画像を読取って得る画像(以下単に、第1の読取画像という)の形式のいずれか1つ以上を定める情報をいい、第2の設定情報は、次に出力する診断画像形式及び出力された診断画像を読取って得る画像(以下単に、第2の読取画像という)の形式のいずれか1つ以上を定める情報をいう。
本実施例において、第1の指示情報は、出力画像処理部1041が診断画像を操作方向Xに対して0度回転処理することを定める情報へと第1の設定情報の内容を変更するよう指示する情報を含み、第2の指示情報は、診断画像を操作方向Xに対して90度数回転処理することを定める情報へと第2の設定情報を変更するよう指示する情報を含む。
次に、通信部1021は、制御部1051へ第1の指定情報と第2の指定情報とを出力する(ステップST0006)。その後、通信部1021は、制御部1051から第1の読取画像を取得する(ステップST0007)。
次に、通信部1021は、故障診断装置9000へ第1の読取画像を送信する(ステップST0008)。その後、通信部1021は、制御部1051から、第1の設定情報と第1の証拠情報とを取得する(ステップST0009)。
尚、証拠情報とは、電子回路装置1000に不具合が発生した場合における部品又は部品群の状態に関する情報を言う。より具体的に説明をすると、証拠情報は、部品群に関する環境情報、部品群又は部品群が実行していたプログラムの機能診断結果を含む。
この証拠情報は、記憶部1052が記憶する電子回路装置1000の動作履歴、及び電子回路装置1000の内部の状態情報を記述するログ情報ファイルを制御部1051が解析することで得られる。
ここで証拠情報は、第1の証拠情報と第2の証拠情報とを含む。第1の証拠情報は、故障診断装置9000が故障診断をする場合に診断対象とする電子回路装置1000が最初に診断画像を出力した際、又は出力された診断画像を読取った際における部品又は部品群の状態に関する情報を言う。同様に、第2の証拠情報は、次に診断画像を出力した際、又は出力された診断画像を読取った際における状態に関する情報を言う。
次に、通信部1021は、故障診断装置9000へ、第1の設定情報と第1の証拠情報とを送信する(ステップST0010)。その後、通信部1021は、制御部1051から第2の読取画像を取得する(ステップST0011)。
次に、通信部1021は、故障診断装置9000へ第2の読取画像を送信する(ステップST0012)。その後、通信部1021は、制御部1051から、第2の設定情報と第2の証拠情報とを取得する(ステップST0013)。
次に、通信部1021は、故障診断装置9000へ、第2の設定情報と第2の証拠情報とを送信する(ステップST0014)。その後、通信部1021は、故障診断装置9000が電子回路装置1000から受信した情報に基づいて故障診断をした結果として故障原因の候補であると判断した故障原因と、故障原因に対する措置とを受信する(ステップST0015)。
次に、通信部1021は、制御部1051へ受信した故障原因の候補と故障原因に対する措置とを出力する(ステップST0016)。その後、通信部1021は、通信処理の実行を終了する。尚、制御部1051は、取得した故障原因の候補と故障原因に対する措置とを表示部1055が表示するよう制御する。
ここで図2に戻り引続き電子回路装置1000の構成について説明する。
読取機能部1030は、制御機能部1050に接続している。読取機能部1030は、制御機能部1050に制御されて、例えば、読取対象、複写対象、又はFAX送信対象とする印刷媒体に印刷された画像を光学的に読取る機能(つまり、読取機能)を提供する。
読取機能部1030は、読取部1031、及び読取画像処理部1032で構成される。読取部1031は、例えば、スキャナ等で構成され、読取画像処理部1032及び制御部1051に接続している。読取部1031は、制御部1051に制御されて、読取処理を実行することで、読取対象とする印刷媒体に描かれた画像を光学的に読み取る
ここで図6を参照して、読取部1031の構成について説明する。図6は、読取部1031の一構成を表す図である。
読取部1031は、光源制御部1311、光源部1312、受光センサ部1313、及び画像信号補正処理部1314で構成される。
光源制御部1311は、制御部1051及び光源部1312に接続している。光源制御部1311は、制御部1051から実行命令と設定情報とを取得し、取得した命令に従って、印刷媒体SCである原稿へ設定情報で定められた強度の光を照射するよう光源部1312を制御する。
光源部1312は、例えば、光源ランプで構成され、光源制御部1311に接続している。光源部1312は、光源制御部1311に制御されて原稿へ光を照射する。
受光センサ部1313は、例えば、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサ、又はCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサで構成され、画像信号補正処理部1314に接続している。
受光センサ部1313は、光源部1312が照射した光であって、原稿に照射した光の反射光を受光する。次に、受光センサ部1313は、受光した反射光に基づいて電気信号を生成し、生成した電気信号を画像信号補正処理部1314へ出力する。
画像信号補正処理部1314は、受光センサ部1313と制御部1051とに接続している。画像信号補正処理部1314は、制御部1051から設定情報を、受光センサ部1313から電気信号を取得する。
画像信号補正処理部1314は、取得した設定情報に従って受光センサ部1313の出力した信号を補正し、補正した信号で表される読取画像を読取画像処理部1032へ出力する。
尚、光源部1312及び受光センサ部1313は、回路基板で構成されるIIT(Image Input Terminal)PWBA(Printed Wiring Board Assy)1315上に交換可能に設置される。
また、IIT PWBA1315は、光源制御部1311及び画像信号補正処理部1314を実現するための回路を搭載した基板であり、交換可能に電子回路装置1000の内部に設置される。
ここで図7を参照して、読取部1031が実行する読取処理について説明する。図7は、読取部1031が実行する読取処理の一例を表すフローチャートである。
先ず、読取部1031を構成する光源制御部1311は、制御部1051から実行命令と設定情報とを取得する(ステップST0101)。次に、読取部1031を構成する光源部1312は、実行命令に従って設定情報が定める強度で印刷媒体に光を照射する(ステップST0102)。
その後、読取部1031を構成する受光センサ部1313は、印刷媒体からの反射光を受光する(ステップST0103)。次に、読取部1031を構成する受光センサ部1313が受光した光に基づいて信号を出力する(ステップST0104)。
その後、読取部1031を構成する画像信号補正処理部1034は、制御部1051から設定情報を取得する(ステップST0105)。次に、読取部1031を構成する画像信号補正処理部1034は、受光センサ部1313が出力した信号を設定情報に基づいて補正して読取画像を取得する(ステップST0106)。
次に、読取部1031を構成する画像信号補正処理部1034は、読取画像処理部1032へ読取画像を出力する(ステップST0107)。その後、読取部1031は、読取処理の実行を終了する。
ここで図2に戻り、引続き電子回路装置1000の構成について説明する。
読取画像処理部1032は、読取部1031及び制御部1051に接続している。読取画像処理部1032は、読取部1031から読取画像を取得し、制御部1051から設定情報を取得する。
次に、読取画像処理部1032は、取得した読取画像に対して必要に応じて設定情報が定める画像処理を施す。その後、読取画像処理部1032は、画像処理を施した読取画像を制御部1051へ出力する。
尚、読取画像処理部1032が読取画像に施す画像処理は、拡大又は縮小処理、若しくは回転処理、色を補正する色補正処理、絵(Image)と文字(Text)とを分離するTI分離処理、下地を除去する下地除去処理を含む。
出力機能部1040は、制御機能部1050に接続している。出力機能部1040は、制御機能部1050に制御されて、出力対象とする画像を印刷媒体に印刷出力する機能(つまり、出力機能)を提供する。
出力機能部1040は、出力画像処理部1041、及び出力部1042で構成される。出力画像処理部1041は、制御部1051及び出力部1042に接続しており、制御部1051から出力対象とする画像と設定情報とを取得する。
次に、出力画像処理部1041は、取得した設定情報に従って画像処理を施す。その後、出力画像処理部1041は、画像処理を施した画像を出力部1042へ出力する。
尚、出力画像処理部1041が施す画像処理は、読取画像処理部1032が読取画像に施す画像処理と同様であるので説明を省略する。
出力部1042は、例えば、プリンタ等で構成され、出力画像処理部1041及び制御部1051に接続している。出力部1042は、制御部1051に制御されて、出力処理を実行することで、出力対象とする画像を印刷媒体に印刷出力する。
ここで図8参照して、出力部1042の構成について説明する。図8は、出力部1042の一構成を表す図である。
出力部1042は、画像形成制御部1421、アクチュエータ制御部1422、アクチュエータ1423、及び画像形成部1424で構成される。
画像形成制御部1421は、出力画像処理部1041及び制御部1051に接続している。画像形成制御部1421は、出力画像処理部1041から画像処理の施された画像、特に、画像処理の施された診断画像を取得する。
また、画像形成制御部1421は、制御部1051から設定情報を取得する。その後、画像形成制御部1421は、印刷出力を行う対象とする印刷媒体の大きさを定める設定情報をアクチュエータ制御部1422へ出力する。
更に、画像形成制御部1421は、アクチュエータ1423が搬送する印刷媒体に対して、取得した診断画像を取得した設定情報が定める印刷濃度で印刷出力するよう画像形成制御部1421を制御する。
アクチュエータ制御部1422は、画像形成制御部1421及びアクチュエータ1423に接続している。アクチュエータ制御部1422は、画像形成制御部1421から設定情報を取得し、取得した設定情報が定める印刷媒体を搬送するようアクチュエータ1423を制御する。
アクチュエータは、アクチュエータ制御部1422に接続している。アクチュエータは、印刷媒体を搬送する搬送路に設置され、アクチュエータ制御部1422に制御されて印刷媒体を搬送する。
画像形成部1424は、画像形成制御部1421に接続している。画像形成部1424は、画像形成制御部1421に制御されて、アクチュエータ1423が搬送する印刷媒体に画像、特に診断画像を印刷出力する。
具体的には、画像形成部1424は、例えば、ROS(Raster Output Scanner)で構成されるレーザ駆動部、トナーカートリッジ、感光性ドラム、及び転写ベルト等で構成される。レーザ駆動部は、診断画像に基づいてレーザービームを感光性ドラムに照射し、一様に帯電電荷を有していた感光性ドラムはレーザービームの照射により部分的に帯電電化を除去され、残存した帯電電荷により診断画像を現す。
次に、感光性ドラムは帯電電荷により電気的にトナーカートリッジの有するトナーを吸着し、吸着されたトナーは転写ベルトにより搬送された印刷媒体へ転写され、転写されたトナーは熱と圧力を加えられて印刷媒体に溶着する。
尚、アクチュエータ1423及び画像形成部1424は、回路基板で構成されるIOT(Image Output Terminal)PWBA(Printed Wiring Board Assy)1425に接続する。また、IOT PWBA1425は、画像形成制御部1421及びアクチュエータ制御部1422を実現するための回路を搭載した基板であり、電子回路装置1000に交換可能に設置される。
ここで図9を参照して、出力部1042が実行する出力処理について説明する。図9は、出力部1042が実行する出力処理の一例を表すフローチャートである。
先ず、出力部1042を構成する画像形成制御部1421が制御部1051から診断画像を取得する(ステップST0201)。次に、出力部1042を構成する画像形成制御部1421が制御部1051から設定情報を取得する(ステップST0202)。
その後、出力部1042を構成するアクチュエータ制御部1422が設定情報で定められた印刷媒体を搬送するようアクチュエータ1423を制御する(ステップST0103)。
次に、出力部1042を構成するアクチュエータ1423が印刷媒体を画像形成部1424へ搬送する(ステップST0204)。その後、出力部1042を構成する画像形成制御部1421は、設定情報が定める濃度で診断画像を印刷するよう画像形成部1424を制御する(ステップST0205)。
次に、出力部1042を構成する画像形成部1424は、アクチュエータ1423が搬送した印刷媒体に、設定情報が定める濃度で診断画像を印刷出力する(ステップST0206)。その後、出力部1042は、出力処理の実行を終了する。
ここで図2に戻り引続き電子回路装置1000の構成について説明する。
制御機能部1050は、FAX機能部1010、通信機能部1020、読取機能部1030、及び出力機能部1040に接続している。制御機能部1050は、FAX機能、スキャン機能、プリント機能、コピー機能を提供するために、FAX機能部1010、読取機能部1030、及び出力機能部1040を制御する制御機能を提供する。
制御機能部1050は、制御部1051、記憶部1052、U/I制御部1053、入力部1054、及び表示部1055で構成される。
制御部1051について説明する前に、記憶部1052、U/I制御部1053、入力部1054、及び表示部1055について説明する。
記憶部1052は、図3を用いて説明したROM1912、RAM1913、及び外部記憶部1914で構成され、制御部1051に接続している。
ROM1912は、電子回路装置1000の有する各機能を提供するために演算部1911が実行するファームフェアを格納する。尚、電子回路装置1000の有する機能は、スキャン機能、プリント機能、FAX機能、コピー機能、及びデータ転送機能のみならず、待機機能、省電力機能、及び起動機能を含む。
RAM1913は、演算部1911がファームフェアを実行する際に使用するワーク領域を提供する。外部記憶部1914は、電子回路装置1000が機能を提供する際に使用される画像情報、特に、電子ソートされて複写、又はプリントされる、若しくはFAX送受信される画像情報を記憶する。
また、外部記憶部1914は、電子回路装置1000の動作履歴、及び電子回路装置1000の内部の状態情報を記述するログ情報ファイルをも記憶する。特に、ログ情報ファイルは、起動時に記録されたブートログ情報、及び機能の提供時に記録された動作ログ情報、故障発生時の機能診断テストから抽出されたテストログ情報、又は検査結果を記録したファイルを含む。
U/I制御部1053は、制御部1051、入力部1054、及び表示部1055に接続している。U/I制御部1053は、表示部1055の表示を制御し、入力部1054により入力された信号に基づいて制御部1051へ各種命令及び情報を出力する。
入力部1054は、例えば、タッチパネル、キーボード、又はマウスで構成され、U/I制御部1053に接続している。入力部1054は、ユーザに操作され、スキャン機能、プリント機能、FAX機能、コピー機能、データ転送機能、待機機能、及び省電力機能を選択し、選択した機能の提供を指示する信号を入力する。
また、入力部1054は、ユーザに操作されて、不具合を引き起こした故障を診断するための操作のみを受け付ける状態(以下単に、故障診断モードと言う)に移行する命令を入力する。
更に、入力部1054は、故障により生じた不具合であって、電子回路装置1000を使用する使用者が認識した不具合を識別する情報(つまり、ユーザが認識した不具合の不具合情報)を入力する。本実施例においては、具体例として、線状の欠陥という画像不良を識別する不具合情報を入力したとして説明する。
表示部1055は、例えば、液晶ディスプレイ又はCRT(Cathode Ray Tube)で構成され、U/I制御部1053に接続している。表示部1055は、U/I制御部1053に制御されて、各種の情報を表示する。尚、表示部1055が表示する情報については後述する。
ここで、制御部1051について説明する前に、図10を参照して、制御機能部1050を構成するハードウェア部品について説明する。図10は、制御機能部の一実施形態を示す構成図である。
制御機能部1050は、ハードウェア部品であるROM1912、RAM1913、外部記憶部1914、ファン1511、ESS PWBA1512、UI PWBA1531、タッチパネル1541、及びディスプレイ1551で構成される。
ROM1912、RAM1913、外部記憶部1914、ファン1511、UI PWBA1531、タッチパネル1541、ディスプレイ1551、及びESS PWBA1512は、それぞれ交換可能に電子回路装置1000に設置される部品である。
ROM1912、RAM1913、及び外部記憶部1914は、記憶部1052を構成する。ROM1912、RAM1913、及び外部記憶部1914は、ESS PWBA1512に接続している。
ファン1511、及びESS PWBA1512は、制御部1051を構成する。ESS PWBA1512は、ファン1511、及びUI PWBA1531に接続している。ESS PWBA1512は、演算部1911を含む回路の中心部であるESS(Electric SubSystem)が配置された回路基板(Printed Wiring Board Assy)である。
ESS PWBA1512は、ファン1511を制御してESS PWBA1512の加熱を抑制する。また、ESS PWBA1512は、UI PWBA1531を介してタッチパネル1541から各種情報及び信号を取得し、取得した情報及び信号に基づいて電子回路装置1000の有する機能を提供する。また、ESS PWBA1512は、UI PWBA1531を介してディスプレイ1551が表示する情報を制御する。
ファン1511は、ESS PWBA1512上に交換可能に設置され、ESS PWBA1512により制御されてESS PWBA1512に対して送風する。
UI PWBA1531は、U/I制御部1053を構成し、ESS PWBA1512、タッチパネル1541、及びディスプレイ1551に接続している。
UI PWBA1531は、ユーザインタフェース(User Interface)に関連した部品であるタッチパネル1541、及びディスプレイ1551との情報の入出力を制御する回路を配置した回路基板である。
タッチパネル1541は、入力部1054を構成し、UI PWBA1531に接続している。タッチパネル1541は、ユーザに操作されて各種の情報及び信号をUI PWBA1531へ入力する。
液晶ディスプレイ1551は、表示部1055を構成し、UI PWBA1531に接続している。液晶ディスプレイ1551は、UI PWBA1531に制御されて、各種の情報を表示する。
尚、例えば、タッチパネル1541等の入力部1054を構成するハードウェア部品、及び例えば、液晶ディスプレイ1551等の表示部1055を構成するハードウェア部品を合わせてUI1238と呼ぶこととする。
ここで、制御機能部1050は、制御機能と言う同様の機能を達成するために使用される複数のハードウェア部品(つまり、ROM1912、RAM1913、外部記憶部1914、ファン1511、UI PWBA1531、タッチパネル1541、ディスプレイ1551、及びESS PWBA1512)で構成される部品群である。
同様に、図示及び説明を省略するが、FAX機能部1010はFAX機能、通信機能部1020は通信機能、読取機能部1030は読取機能、出力機能部1040は画像出力機能という同様の機能を達成するために使用される複数のハードウェア部品で構成される部品群である。
制御部1051は、FAX通信部1011、通信部1021、読取部1031、読取画像処理部1032、出力画像処理部1041、出力部1042、記憶部1052、及びU/I制御部1053に接続している。
制御部1051は、記憶部1052に記憶されたファームウェアを実行することで、FAX通信部1011、通信部1021、読取部1031、読取画像処理部1032、出力画像処理部1041、出力部1042を制御して、電子回路装置1000が有する機能を提供する。
また、制御部1051は、入力部1054が入力した故障診断モードへの移行を命じる命令(以下単に、診断モード移行命令という)を取得する。
次に、制御部1051は、制御処理を実行することで、故障診断装置9000による故障診断を受けるために必要な処理を行うよう、電子回路装置1000を構成する各部を制御する。
ここで図11から13を参照して、制御部1051が実行する制御処理について説明する。図11から13は、制御部1051が実行する制御処理の一例を表すフローチャートである。
先ず、制御部1051は、入力部1054から診断モード移行命令を取得する(ステップST0301)。次に、制御部1051は、記憶部1052が記憶するログ情報ファイルを参照し、故障時提供機能を識別する情報を取得する(ステップST0302)。
その後、制御部1051は、表示部1055が所定のメッセージを表示するよう制御する(ステップST0303)。ステップST0303における所定のメッセージは、電子回路装置1000を使用する使用者が認識した不具合を識別する不具合情報を入力することを促すメッセージをいう。
次に、制御部1051は、入力部1054から不具合情報を取得する(ステップST0304)。その後、制御部1051は、故障時提供機能を識別する機能識別情報と装置識別情報とを通信部1021へ出力する(ステップST0305)。
次に、制御部1051は、通信部1021が故障診断装置9000へ機能識別情報と不具合情報と装置識別情報とを送信するよう制御する(ステップST0306)。
尚、制御部1051は、以下の処理において、通信部1021が故障診断装置9000へ情報を送信するよう制御する場合には、装置識別情報をも共に送信するよう制御するが、便宜のために説明を省略する。
その後、制御部1051は、通信部1021から診断画像を取得する(ステップST0307)。次に、制御部1051は、出力画像処理部1041へ診断画像を出力する(ステップST0308)。
その後、制御部1051は、通信部1021から第1の指示情報と第2の指示情報とを取得する(ステップST0309)。次に、制御部1051は、第1の指示情報に基づいて設定情報を更新する(ステップST0310)。
その後、制御部1051は、出力画像処理部1041へ設定情報を出力する(ステップST0311)。次に、制御部1051は、出力画像処理部1041が設定情報に基づいて診断画像を処理するよう制御する(ステップST0312)。
その後、制御部1051は、出力部1042へ設定情報を出力する(ステップST0313)。次に、制御部1051は、出力部1042が設定情報に基づいて、出力画像処理部1041が画像処理をした診断画像を出力するよう制御する(ステップST0314)。
その後、制御部1051は、所定のメッセージを表示するようにU/I制御部1053を介して表示部1055を制御する(ステップST0315)。
尚、ステップST0315における所定のメッセージとは、例えば、出力部1042が印刷出力した診断画像を読取部1031が読取れる位置に設置した後に、画像を読取る命令(以下単に、読取命令という)を入力することを、電子回路装置1000の使用者に促すメッセージをいう。
その後、制御部1051は、入力部1054から読取命令を取得する(ステップST0316)。次に、読取部1031に設定情報を出力する(ステップST0317)。
その後、制御部1051は、読取部1031が設定情報に基づいて画像を読取るよう制御する(ステップST0318)。次に、制御部1051は、読取画像処理部1032に設定情報を出力する(ステップST0319)。
その後、制御部1051は、読取画像処理部1032が設定情報に基づいて画像処理を行うよう制御する(ステップST0320)。次に、読取画像処理部1032から、画像処理を施された第1の読取画像を取得する(ステップST0321)。
ここで図14を参照して、不具合を有する第1の読取画像について説明する。図14は、第1の読取画像の一例を説明するための図である。
第1の読取画像は、操作方向Xに対して0度だけ回転処理した診断画像を出力部1042が出力した画像を、更に読取部1031が読取った画像である。
第1の読取画像は、診断画像が有する画像F1からF3のみならず、診断画像が有しない副操作方向軸に平行な幅1mm以下の線状の画像欠陥D1を有している。本実施例においてこの画像欠陥は、電子回路装置1000に生じた故障により引き起こされた不具合であって、設定情報が定める形式により生じる画像の特徴ではないとする。
ここで、第1の読取画像が有する画像欠陥は、第1の読取画像を作成する基礎とした診断画像が有さない点、シミ、ムラ、線又は第1の読取画像の欠損部分をいう。
また、設定情報が定める形式により生じる画像の特徴とは、設定情報が定める印刷媒体の大きさが適当でないために生じる読取画像の途切れ、又は印刷媒体の縁部分の影により読取画像に生じる線、若しくは設定情報が定める濃度が適当でないこと若しくは設定情報が定める拡大又は縮小率が適当でないことにより生じる点、ムラ又はシミを含む。
ここで図12に戻り引き続き制御部1051が実行する制御処理について説明する。
ステップST0321を実行した後に、制御部1051は、通信部1021へ第1の読取画像を出力する(ステップST0322)。次に、通信部1021が故障診断装置9000へ第1の読取画像を送信するよう制御する(ステップST0323)。
次に、制御部1051は、記憶部1052が記憶するログ情報ファイル等を参照し、第1の証拠情報を取得する(ステップST0324)。その後、制御部1051は、通信部1021へ第1の設定情報と第1の証拠情報とを出力する(ステップST0325)。
次に、制御部1051は、通信部1021が第1の設定情報と第1の証拠情報とを送信するよう制御する(ステップST0326)。
その後、制御部1051は、第2の指示情報に基づいて設定情報を更新する(ステップST0327)。次に、制御部1051は、ステップST0328からST0337の処理を実行する(ステップST0328からST0337)。
尚、ステップST0328からST0337の処理は、図11及び12を参照して説明したステップST0311からST0320の処理と同様であるので説明を省略する。
その後、制御部1051は、読取画像処理部1031から第2の読取画像を取得する(ステップST0338)。次に、制御部1051は、通信部1021へ第2の読取画像を出力する(ステップST0339)。
ここで図15を参照して、不具合を有する第2の読取画像について説明する。図15は、第2の読取画像の一例を説明するための図である。
第2の読取画像は、走査方向Xに対して90度回転処理した診断画像を出力部1042が出力した画像を、更に読取部1031が読取った画像である。
第2の読取画像は、診断画像が有する90度回転した画像F1からF3のみならず、第1の読取画像と同様の位置に(つまり回転することなく)、第1の読取画像が有するのと同様の欠陥である画像欠陥D2を有している。
画像欠陥D2は、第1の読取画像が有する画像欠陥D1と同様に、副走査方向軸に平行な幅1mm以下の線状の欠陥であり、電子回路装置1000に生じた故障により引き起こされた不具合であるとする。
ここで図13に戻り引き続き制御部1051が実行する制御処理について説明する。
ステップST0339を実行した後、制御部1051は、通信部1021が第2の読取画像を故障診断装置9000へ送信するよう制御する(ステップST0340)。
次に、制御部1051は、記憶部1052が記憶するログ情報ファイル等を参照し、第2の証拠情報を取得する(ステップST0341)。その後、制御部1051は、通信部1021へ第2の設定情報と第2の証拠情報とを出力する(ステップST0342)。
次に、制御部1051は、通信部1021が第2の設定情報と第2の証拠情報とを送信するよう制御する(ステップST0343)。その後、通信部1021から故障の原因候補と対処方法とを取得する(ステップST0344)。
次に、制御部1051は、表示部1055が故障の原因候補と対処方法とを関連付けて表示するよう制御する(ステップST0345)。その後、制御部1051は、制御処理の実行を終了する。
次に、図1に戻り引き続き故障診断システムの構成について説明する。
故障診断装置9000は、例えば、パーソナル・コンピュータで構成され、通信網100を介して1又は複数の電子回路装置1000から100nに接続している。
故障診断装置9000は、接続する電子回路装置1000から100nに発生した故障を診断する。尚、説明の便宜のため、以下、電子回路装置1000についてのみ説明する。
ここで図16を参照して、本発明に係る故障診断装置9000の構成について説明する。図16は、本発明に係る故障診断装置9000の一構成例を表す図である。
故障診断装置9000は、受信部9021、送信部9022、故障診断部9051、及び記憶部9052で構成される。
受信部9021、送信部9022、及び故障診断部9051が有する各機能は、故障診断装置9000が実行するソフトウェア制御により実現できる。
ここで故障診断装置9000がソフトウェア制御を実行するための構成については、図3を参照して説明した電子回路装置1000の構成とほぼ同様であるため、説明を省略する。
受信部9021は、例えば、ネットワークアダプタで構成され、通信網100及び故障診断部1051に接続している。受信部9021は、受信処理を実行することで電子回路装置1000から故障診断に必要な情報を受信する。
ここで図17を参照して、受信部9021が実行する受信処理について説明する。図17は、受信部9021が実行する受信処理の一例について説明するためのフローチャートである。
まず、受信部9021は、電子回路装置1000から、故障時提供機能を識別する機能識別情報と不具合情報と装置識別情報とを取得する(ステップST0401)。次に、受信部9021は、故障診断部9051へ機能識別情報と不具合情報と装置識別情報とを出力する(ステップST0402)。
尚、受信部9021は、以下の処理においても、電子回路装置1000から情報を受信する際に装置識別情報を共に受信し、故障診断部9051へ受信した情報と共に装置識別情報を出力するが、便宜のために説明を省略する。
その後、受信部9021は、電子回路装置1000から第1の読取画像を取得する(ステップST0403)。次に、受信部9021は、故障診断部9051へ第1の読取画像を出力する(ステップST0404)。
その後、受信部9021は、電子回路装置1000から第1の設定情報と第1の証拠情報とを取得する(ステップST0405)。次に、受信部9021は、故障診断部9051へ第1の設定情報と第1の証拠情報とを出力する(ステップST0406)。
その後、受信部9021は、電子回路装置1000から第2の読取画像を取得する(ステップST0407)。次に、受信部9021は、故障診断部9051へ第2の読取画像を出力する(ステップST0408)。
その後、受信部9021は、電子回路装置1000から第2の設定情報と第2の証拠情報とを取得する(ステップST0409)。次に、受信部9021は、故障診断部9051へ第2の設定情報と第2の証拠情報とを出力する(ステップST0410)。その後、受信部9021は、受信処理の実行を終了する。
ここで図16に戻り引き続き故障診断装置9000の構成について説明する。
送信部9022は、例えば、ネットワークアダプタで構成され、通信網100及び故障診断部9051に接続している。送信部9022は、送信処理を実行することで電子回路装置1000へ故障診断に必要な情報を送信する。
ここで図18を参照して、送信部9022が実行する送信処理について説明する。図18は、送信部9022が実行する送信処理の一例について説明するためのフローチャートである。
先ず、送信部9022は、故障診断部9051から装置識別情報と診断画像とを取得する(ステップST0501)。次に、送信部9022は、装置識別情報で識別される電子回路装置へ診断画像を送信する(ステップST0502)。
その後、送信部9022は、故障診断部9051から装置識別情報と第1の指定情報と第2の指定情報とを取得する(ステップST0503)。次に、送信部9022は、装置識別情報で識別される電子回路装置へ第1の指定情報と第2の指定情報とを送信する(ステップST0504)。その後、送信部9022は、送信処理の実行を終了する。
ここで図16に戻り引き続き故障診断装置9000の構成について説明する。故障診断部9051について説明する前に、記憶部9052について説明する。
記憶部9052は、例えば、ROM、RAM、又は外部記憶装置で構成され、故障診断部9051に接続する。記憶部9052は、電子回路装置1000が提供する機能を識別する機能識別情報と診断画像と第1の指定情報と第2の指定情報と診断モデルとを関連付けて記憶する。
診断モデルとは、電子回路装置1000を構成する部品又は部品群に生じる故障の原因と故障原因が引起す不具合とを因果関係により関連付けたモデルをいう。尚、診断モデルについては後に詳細に説明する。
更に、記憶部9052は、事前故障確率を有する確率表を記憶する。事前故障確率とは、診断モデルがモデル化する対象とした部品又は部品群が初期状態において故障状態にある確率をいう。尚、事前故障確率は過去の故障発生時のデータや部品の平均故障間隔MTBF(Mean Time Between Failure)を用いて決定される確率である。
また、記憶部9052は、部品又は部品群を識別する情報と、部品又は部品群に発生した故障の原因に対する対処方法を表す情報とを関連付けて記憶する。
故障診断部9051は、受信部9021、送信部9022、及び記憶部9052に接続する。故障診断部9051は、受信部9021及び送信部9022を介して電子回路装置1000から故障診断に必要な情報を送受信する。
故障診断部9051は、受信した情報に基づいて故障診断を行い、診断結果を送信部9022を介して電子回路装置1000へ送信する。
ここで図19を参照して、故障診断部9051の構成について説明する。図19は、故障診断部9051の一構成例を表す図である。
故障診断部9051は、選択部9511、抽出部9512、及び診断部9513で構成される。選択部9511は、受信部9021、送信部9022、記憶部9052、及び抽出部9512に接続している。
選択部9511は、選択処理を実行することで、送信部9022から故障診断の対象とする電子回路装置1000が故障時に提供していた機能を識別する機能識別情報を取得し、取得した機能識別情報に基づいて故障診断に用いる診断画像を選択する。
ここで図20を参照して、選択部9511が実行する選択処理について説明する。図20は、選択部9511が実行する選択処理の一例を表すフローチャートである。
先ず、選択部9511は、受信部9021から機能識別情報と装置識別情報とを取得する(ステップST0601)。次に、選択部9511は、取得した機能識別情報に基づいて、記憶部9052が記憶する機能識別情報に関連付けた診断画像を選択する(ステップST0602)。
その後、選択部9511は、送信部9022へ選択した診断画像と装置識別情報とを出力する(ステップST0603)。次に、選択部9511は、送信部9022が装置識別情報で識別される電子回路装置1000へ診断画像を送信するよう制御する(ステップST0604)。
その後、選択部9511は、受信部9021から取得した機能識別情報に基づいて第1の指定情報と第2の指定情報とを選択する(ステップST0605)。次に、選択部9511は、送信部9022へ選択した第1の指定情報と第2の指定情報と装置識別情報とを出力する(ステップST0606)。
その後、選択部9511は、送信部9022が装置識別情報で識別される電子回路装置1000へ第1の指定情報と第2の指定情報とを送信するよう制御する(ステップST0607)。
次に、選択部9511は、診断画像と装置識別情報とを抽出部9512へ出力する(ステップST0608)。その後、選択部9511は、選択処理を終了する。
ここで図19に戻り、診断部9513の構成について引続き説明する。抽出部9512は、受信部9021、選択部9511、及び診断部9513に接続している。
抽出部9512は、抽出処理を実行することで、受信部9021から読取画像を取得し、読取画像を特徴付ける特徴情報を抽出する。
ここで図21を参照して、抽出部9512が実行する抽出処理について説明する。図21は、抽出部9512が実行する抽出処理の一例を表すフローチャートである。
先ず、抽出部9512は、選択部9511から装置識別情報と診断画像とを取得する(ステップST0701)。次に、抽出部9512は、受信部9021から第1の読込画像と装置識別情報とを取得する(ステップST0702)。
その後、抽出部9512は、同じ装置識別情報と共に取得した診断画像と第1の読込画像との差分を表す第1の差分画像を生成する(ステップST0703)。
次に、抽出部9512は、第1の差分画像に対してパターン認識処理を実行して第1の特徴情報を取得する(ステップST0704)。第1の特徴情報とは、第1の読取画像を特徴付ける情報をいう。具体的には、例えば、1mmといった所定の大きさ以下(又は以上)の黒線、色線、黒点、又は色点、若しくは例えば、1平方mmといった所定の大きさ以下又は以上のシミ又はムラ等の第1の差分画像から抽出された所定のパターンを識別する情報を含む。
尚、本実施例においては、抽出部9512は、図14を参照して説明した第1の読取画像と、図5を参照して説明した診断画像との差分画像から、1mm以下の黒線を有するという特徴を抽出する。
次に、抽出部9512は、受信部9021から第2の読込画像と装置識別情報とを取得する(ステップST0705)。その後、抽出部9512は、同じ装置識別情報と共に取得した診断画像と第2の読込画像との差分を表す第2の差分画像を生成する(ステップST0706)。
次に、抽出部9512は、第2の差分画像に対してパターン認識処理を実行して第2の特徴情報を取得する(ステップST0707)。尚、本実施例においては、抽出部9512は、図15を参照して説明した第2の読取画像と、図5を参照して説明した診断画像との差分画像から、1mm以下の黒線を有するという第1の特徴情報が表す特徴と同じ特徴を抽出する。
その後、抽出部9512は、第1の特徴情報と第2の特徴情報と装置識別情報とを診断部9513へ出力する(ステップST0708)。その後、抽出部9512は、抽出処理を終了する。
ここで図19に戻り、診断部9513の構成について引続き説明する。診断部9513は、受信部9021、送信部9022、及び記憶部9052、抽出部9512に接続している。
診断部9513は、診断処理を実行することで、抽出部9512が抽出した特徴情報と受信部9021が受信した設定情報とを、記憶部9052が記憶する診断モデルに入力して故障を診断する。
ここで図22を参照して、診断部9513が実行する診断処理について説明する。図22は、診断部9513が実行する診断処理の一例を表すフローチャートである。
先ず、診断部9513は、受信部9021から機能識別情報と不具合情報と装置識別情報とを取得する(ステップST0801)。次に、診断部9513は、抽出部9512から第1の特徴情報と第2の特徴情報と装置識別情報とを取得する(ステップST0802)。
その後、診断部9513は、受信部9021から第1の設定情報と第1の証拠情報と装置識別情報とを取得する(ステップST0803)。診断部9513は、受信部9021から第2の設定情報と第2の証拠情報と装置識別情報とを取得する(ステップST0804)。
その後、診断部9513は、記憶部9052が記憶する診断モデルを選択する(ステップST0805)。ここで、診断部9513は、電子回路装置1000に故障が発生した際に提供していた機能毎及び発生した不具合毎に、異なる診断モデルを用いて故障診断する構成を採用する。
つまり、診断部9513は、故障時提供機能を識別する情報及び不具合情報に基づいて診断モデルを選択する構成を採用できる。
尚、本実施例では、選択部9511は、故障時に提供していた出力機能を識別する機能識別情報と、線状の欠陥という画像不良を識別する不具合情報とに関連づけられた診断モデルを選択するとして説明を行う。
また、診断モデルは関連付けられた機能を提供するために用いる部品又は部品群に生じる故障の原因と故障原因が引起す不具合とを関連付けたモデルである。
ここで図23を参照して、診断モデルについて説明する。図23は、診断モデルの構成例を概念的に表す図である。
図22に示す診断モデルは、電子回路装置1000を構成する物品群に生じ得る故障の原因と部品群の状態と原因により引き起こされる不具合とを因果関係により関連付けてモデル化したモデルである。
診断モデルは、状態ノードNG11から13及び21から26、不具合情報ノードNK、第1の証拠情報ノードNE1、第2の証拠情報ノードNE2、第1の設定情報ノードNS1、第2の設定情報ノードNS2、第1の特徴情報ノードNC1、及び第2の特徴情報ノードNC2で構成されるベイジアン・ネットワークモデルである。
尚、ベイジアン・ネットワークモデルは、ノード間の定性的な依存関係である因果関係をグラフ構造によって表し、変数間の定量的な因果関係をその変数の間に定義される条件付き確率によって表すモデルである。
状態ノードNG11から13及び21から26は、読取部状態ノードNG11、ESS状態ノードNG12、出力部状態ノードNG13、IIT PWBA状態ノードNG21、CCD状態ノードNG22、MEM状態ノードNG23、ESS PWBA状態ノードNG24、IOT PWBA状態ノードNG25、及びROS状態ノードNG26を含む。状態ノードNGは、電子回路装置1000を構成する部品又は部品群の正常不良の状態を表す確率変数とする。
つまり、読取部状態ノードNG11、ESS状態ノードNG12、出力部状態ノードNG13、IIT PWBA状態ノードNG21、CCD状態ノードNG22、MEM状態ノードNG23、ESS PWBA状態ノードNG24、IOT PWBA状態ノードNG25、及びROS状態ノードNG26は、読取部1031、ESS PWBA1512が搭載するESS、出力部1042、IIT PWBA1315、CCD1312、記憶部1052、ESS PWBA1512、IOT PWBA1425、及び画像形成部1424が有するROSの正常不良の状態を表す確率変数とする。部品群の状態を表す確率変数のとり得る具体値は、例えば、「故障(不良)」又は「正常」である。
本実施例においては、診断部9513がこのノードに対応した状態確率を計算して、部品又は部品群毎に故障の原因が生じている確率(以下単に、故障原因の発生確率と言う)を算出する。つまり、各ノードには、診断部9513が故障原因の発生確率を算出するために用いる確率表を対応させる。
この確率表は、部品又は部品群に生じ得る故障の原因と部品又は部品群の状態と故障の原因により引き起こされる不具合との因果関係の強さを定量的に表す確率をまとめた表である。また、確率表は、診断モデルがモデル化する対象とした部品又は部品群に関する事前故障確率を有する。
不具合情報ノードNKは、不具合情報に基づく状態変数であり、不具合情報を診断部9513が診断モデルに入力することで定まる。具体例を挙げると、不具合情報ノードNKは線状の欠陥が読取画像に生じている状態を表す確率変数であり、不具合情報ノードNKのとり得る具体値は、例えば、「発生」又は「不発生」である。
第1の証拠情報ノードNE1は、ROS状態ノードNG26に関連付けられるフェイル情報、ブートログ情報、動作ログ情報、機能診断テスト等に基づく状態変数であり、第1の証拠情報を診断部9513が診断モデルに入力することで定まる。
第2の証拠情報ノードNE2は、第1の証拠情報ノードNE1と同様の状態変数であり、第2の証拠情報を診断モデルに入力することで定まる。
第1の設定情報ノードNS1は、第1の設定情報に基づく状態変数であり、第1の設定情報を診断部9513が診断モデルに入力することで定まる。具体例を挙げると、診断画像を操作方向Xに対して90度回転処理することを定める情報であるか否かという状態を表す確率変数であり、第1の設定情報ノードNS1のとり得る具体値は、例えば、「TRUE」又は「FALSE」である。
第2の設定情報ノードNS2は、第2の設定情報に基づく状態変数であり、第2の設定情報を診断部9513が診断モデルに入力することで定まる。
第1の特徴情報ノードNC1は、第1の特徴情報に基づく状態変数であり、第1の特徴情報を診断部9513が診断モデルに入力することで定まる。具体例を挙げると、特徴情報ノードNCは1mm以下の線状の欠陥が読取画像に生じている状態を表す確率変数であり、第1の特徴情報ノードNC1のとり得る具体値は、例えば、「発生」又は「不発生」である。
第2の特徴情報ノードNC2は、第2の特徴情報に基づく状態変数であり、第2の特徴情報を診断部9513が診断モデルに入力することで定まる。
ここで、ベイジアン・ネットワークである診断モデルは、ノード間の定性的な依存関係である因果関係をグラフ構造によって表す。具体的には、診断モデルは、「原因」と「結果」と言う因果関係を「原因」から「結果」へ向かう矢印で表すように結線される。
例えば、不具合情報ノードNKと読取部状態ノードNG11との関係は、読取部状態ノードNG11の状態変数を「原因」として、不具合情報ノードNKの確率変数が具体値「発生」(又は「不発生」)を取ることを「結果」とする定性的な因果関係を表す。
具体的には、読取部1031が異常状態にあることを「原因」として、読取画像に線状の欠陥という不具合が発生するという「結果」が引起される因果関係を表す。
また、読取部状態ノードNG11とIIT PWBA状態ノードNG21との関係についても、不具合情報ノードNKと読取部状態ノードNG11との関係とほぼ同様であるので詳細な説明を省略する。
つまり具体的には、IIT PWBA1315が異常状態にあることを「原因」として、部品であるIIT PWBA1315で構成される部品群である読取部1031が異常状態に陥るという「結果」が引起される因果関係を表す。
また、第1の証拠情報ノードNE1と、ROS状態ノードNG26との関係についても、不具合情報ノードNKと読取部状態ノードNG11との関係とほぼ同様であるので詳細な説明を省略する。
具体例としては、動作履歴から得られるROSの使用頻度が所定値を超えたことを「原因」として、ROSが異常状態となる「結果」が生じることを表す。尚、第2の証拠情報ノードNE2とROS状態ノードNG26との関係についても同様であるので説明を省略する。
更に、第1の設定情報ノードNS1と、IOT PWBA状態ノードNG25との関係についても、不具合情報ノードNKと読取部状態ノードNG11との関係とほぼ同様であるので詳細な説明を省略する。
具体例としては、IOT PWBA1045に対して正常な設定情報を設定したことを「原因」として、IOT PWBA1045が正常状態とである「結果」が生じることを表す。尚、第2の設定情報ノードNS2とIOT PWBA状態ノードNG25との関係についても同様であるので説明を省略する。
また、第1の特徴情報ノードNC1と、IIT PWBA状態ノードNG21との関係についても、不具合情報ノードNKと読取部状態ノードNG11との関係とほぼ同様であるので詳細な説明を省略する。
具体例としては、IIT PWBA1035が異常状態にあることを「原因」として、IIT PWBA1035を介して得られる読取画像に1mm以下の線状の欠陥が生じるという「結果」が生じることを表す。尚、第2の特徴情報ノードNC2と、IIT PWBA状態ノードNG21との関係についても同様であるので説明を省略する。
更に、その他ノード間の関係については、既に説明したノード間の関係のいずれかと同様であるため説明を省略する。
ここで図22に戻り引続き診断部9513が実行する診断処理の一例について説明する。
ステップST0805を実行した後に、診断部9513は、記憶部9052が記憶する事前確率を取得する(ステップST0806)。
次に、診断部9513は、診断モデルに不具合情報、第1の特徴情報及び第2の特徴情報、第1の設定情報及び第2の設定情報、第1の証拠情報及び第2の証拠情報、並びに事前確率を入力する(ステップST0807)。
その後、診断部9513は、診断モデルを解析することで故障原因の発生確率である事後確率を算出する(ステップST0808)。次に、診断部9513は、算出した事後確率に基づいて故障原因の候補を抽出する(ステップST0809)。
具体的には、故障の原因が生じている確率が高い部品又は部品群を、事後確率が高い順に所定の数だけ抽出して故障原因の候補とする。
その後、診断部9513は、故障原因の候補と故障原因に対する措置と装置識別情報とを送信部9022へ出力する(ステップST0810)。
尚、診断部9513は、故障原因の候補とした部品又は部品群に関連付けて記憶した故障原因に対する措置を記憶部9052から取得する。その後、診断部9513は、診断処理の実行を終了する。
本実施例において、第1の指示情報は、出力画像処理部1041が診断画像を操作方向Xに対して0度回転処理することを定める情報へと第1の設定情報の内容を変更するよう指示する情報を含み、第2の指示情報は、診断画像を走査方向Xに対して90度数回転処理することを定める情報へと第2の設定情報を変更するよう指示する情報を含むとして説明したが、これに限定される訳ではない。
例えば、第1の指示情報は、入力画像処理部1032が読取画像を走査方向Xに対して0度回転処理することを定める情報へと第1の設定情報の内容を変更するよう指示する情報を含み、第2の指示情報は、読取画像を走査方向Xに対して90度数回転処理することを定める情報へと第2の設定情報を変更するよう指示する情報を含む構成を採用できる。
また、指示情報は回転処理の回転度数を変更するよう指示するのみならず、印刷媒体の大きさ及び印刷濃度、拡大又は縮小処理の拡大率又は縮小率、若しくは分解能を変更するよう指示する情報を含む。
本実施例において、診断部9513は、第1の特徴情報及び第2の特徴情報、並びに第1の設定情報及び第2の設定情報を故障診断モデルに入力することで故障診断する場合について説明したが、これに限定される訳ではない。
例えば、第1の特徴情報及び第1の設定情報のみを故障診断モデルに入力する、若しくは第2の特徴情報及び第2の設定情報のみを故障診断モデルに入力する構成を採用できる。
本実施例においては、読取部1031が読取手段に相当し、出力部1042が出力手段に相当し、受信部9021が受信手段に相当し、送信部9022が送信手段に相当し、抽出部9512が抽出手段に相当し、診断部9513が診断手段に相当する。
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。
実施例2は、電子回路装置が故障診断機能を有する点で実施例1に示した電子回路装置と異なる。