以下に、この発明に係る実施例を図面に基づいて説明する。
図1aには本発明に係る加速度センサの第1実施例が模式的な斜視図により示され、図1bには図1aの加速度センサの模式的な平面図が示されている。また、図2aには図1bのa−a部分の模式的な断面図が示され、図2bには図1bのb−b部分の模式的な断面図が示され、図2cには図1bのc−c部分の模式的な断面図が示されている。さらに、図3aには図1bのA−A部分の模式的な断面図が示され、図3bには図1bのB−B部分の模式的な断面図が示され、図3cには図1bのC−C部分の模式的な断面図が示されている。
この第1実施例の加速度センサ1は、互いに直交するX軸とY軸とZ軸の三軸方向の加速度をそれぞれ検出することができるものである。この加速度センサ1は基台2を有している。この基台2は、X軸およびY軸を含むXY平面に平行なXY基板面3を持ち、このXY基板面3の上方側には、枠状の梁部4が浮いた状態で配置されている。この枠状の梁部4は方形状と成し、当該梁部4のX軸方向の両側からそれぞれX軸方向に沿って外向きに支持部5(5a,5b)が伸長形成されている。これら支持部5a,5bは、それぞれ、基台2に対して浮いた状態と成し、支持部5a,5bの各伸長先端部は固定部6に連接されている。この固定部6は、梁部4および後述する錘部7(7a,7b)の形成領域を間隔を介して囲む枠状の形態を有し、当該固定部6は基台2に固定されている。換言すれば、梁部4は、支持部5a,5bを介して基台2に両持ち梁状に支持固定されている。すなわち、この第1実施例では、支持部5(5a,5b)と固定部6によって梁部支持固定部が構成されている。
錘部7a,7bは、梁部4を間にしてY軸方向に配列配置され、かつ、基台2のXY基板面3の上方側に浮いた状態で配置されている。これら各錘部7a,7bは、それぞれ、梁部4のY軸方向の両側からそれぞれY軸方向に沿って外向きに伸長形成された連結部8(8a,8b)によって、梁部4に連接されている。連結部8(8a,8b)は基台2に対して浮いた状態と成し、錘部7a,7bは、梁部4の撓み変形によって、X軸方向とY軸方向とZ軸方向の三軸方向に変位可能な構成となっている。
第1実施例では、各支持部5a,5bのX軸方向に沿った中心軸は同一直線上に配置され、また、各連結部8a,8bのY軸方向に沿った中心軸は同一直線上に配置されている。梁部4は方形状と成し、当該梁部4は、支持部5a,5bの中心軸を通るX方向中心軸に対して対称な形状であり、かつ、連結部8a,8bの中心軸を通るY方向中心軸に対して対称な形状となっている。
また、第1実施例では、梁部4において、各連結部8a,8bからそれぞれ連結部8の幅をもって梁部4の領域へY軸方向に延長した連結部側帯状梁部部位15(15a,15b)(図4の点線Z15で囲んだ領域を参照)のZ軸方向の厚みは、連結部8のZ軸方向の厚みと同じ厚みとなっている。また、各支持部5a,5bからそれぞれ支持部5の幅をもって梁部4の領域へX軸方向に延長した支持部側帯状梁部部位16(16a,16b)(図4の点線Z16で囲んだ領域を参照)のZ軸方向の厚みは、支持部5のZ軸方向の厚みと同じ厚みとなっている。第1実施例では、梁部4における連結部側帯状梁部部位15(15a,15b)および支持部側帯状梁部部位16(16a,16b)のZ軸方向の厚みが、例えば約400μm程度であるのに対して、梁部4のそれ以外の部分のZ軸方向の厚みは、例えば約5〜10μm程度というように、梁部4のそれ以外の部分のZ軸方向の厚みは、梁部4における連結部側帯状梁部部位15(15a,15b)および支持部側帯状梁部部位16(16a,16b)のZ軸方向の厚みよりも薄くなっている。
この第1実施例では、錘部7のZ軸方向の厚みは、例えば約400μm程度というように、支持部5や連結部8のZ軸方向の厚みとほぼ同様な厚みとなっている。また、錘部7(7a,7b)の重心は、例えば図3bに示される点W7の位置であり、錘部7(7a,7b)を支える梁部4の支点は、例えば図3bに示される点W4の位置となっており、錘部7の重心位置と、錘部7(7a,7b)を支える梁部4の支点位置とは、高さ位置(Z軸方向の位置)がずれている。
この第1実施例では、上述した梁部4と支持部5(5a,5b)と固定部6と錘部7(7a,7b)と連結部8(8a,8b)は、SOI(Silicon-On-Insulator)基板(つまり、Si層10とSiO2層11とSi層12が順に積層形成されている多層基板)13をマイクロマシニング技術を利用して加工して形作られたものである。
第1実施例では、Siにより構成される梁部4の次に示すような部位を加工して、加速度を検出するためのピエゾ抵抗部が設けられている。すなわち、図5の模式的な拡大図に示されるように、梁部4において、連結部側帯状梁部部位15aの帯幅両側にピエゾ抵抗部RX1,RX2がそれぞれ配設され、連結部側帯状梁部部位15bの帯幅両側にピエゾ抵抗部RX3,RX4がそれぞれ配設されている。これら4つのピエゾ抵抗部RX1,RX2,RX3,RX4は、X軸方向の加速度を検出するためのX軸方向加速度検出部を構成している。梁部4や支持部5(5a,5b)や固定部6には、それらピエゾ抵抗部RX1,RX2,RX3,RX4による図6aに示されるようなブリッジ回路を構成するための配線パターンが形成されている。
例えば、図7には、その配線パターンの一配線例が模式的に表されている。この例では、配線パターンLによって、連結部側帯状梁部部位15aの帯幅両側に配設されているピエゾ抵抗部RX1,RX2の一端側同士が電気的に接続されて電圧検出部Px1が形成されている。固定部6の表面には、図1に示されるように、複数の外部接続用の電極パッド18が形成されており、電圧検出部Px1は、配線パターンLによって、当該電圧検出部Px1に個別に対応する外部接続用の電極パッド18に電気的に接続されている。同様に、連結部側帯状梁部部位15bの帯幅両側に配設されているピエゾ抵抗部RX3,RX4の一端側同士が電気的に接続されて電圧検出部Px2が形成されている。この電圧検出部Px2は、配線パターンLによって、当該電圧検出部Px2に個別に対応する外部接続用の電極パッド18に電気的に接続されている。また、ピエゾ抵抗部RX2,RX4の他端側は、それぞれ、配線パターンLによって、外部の電圧電源Vsに接続するための外部接続用の電極パッド18に電気的に接続されている。さらに、ピエゾ抵抗部RX1,RX3の他端側は、それぞれ、配線パターンLによって、外部のグランドGNDに接続するための外部接続用の電極パッド18に電気的に接続されている。
また、梁部4において、支持部側帯状梁部部位16aの帯幅両側にピエゾ抵抗部RY2,RY3がそれぞれ配設され、支持部側帯状梁部部位16bの帯幅両側にピエゾ抵抗部RY1,RY4がそれぞれ配設されている。これら4つのピエゾ抵抗部RY1,RY2,RY3,RY4は、Y軸方向の加速度を検出するためのY軸方向加速度検出部を構成している。梁部4や支持部5(5a,5b)や固定部6には、それらピエゾ抵抗部RY1,RY2,RY3,RY4による図6bに示されるようなブリッジ回路を構成するための配線パターンが形成されている。
例えば、図7に表されている配線パターンの配線例では、配線パターンLによって、支持部側帯状梁部部位16aの帯幅両側に配設されているピエゾ抵抗部RY2,RY3の一端側同士が電気的に接続されて電圧検出部PY1が形成されている。この電圧検出部PY1は、配線パターンLによって、当該電圧検出部PY1に個別に対応する外部接続用の電極パッド18に電気的に接続されている。同様に、支持部側帯状梁部部位16bの帯幅両側に配設されているピエゾ抵抗部RY1,RY4の一端側同士が電気的に接続されて電圧検出部PY2が形成されている。この電圧検出部PY2は、配線パターンLによって、当該電圧検出部PY2に個別に対応する外部接続用の電極パッド18に電気的に接続されている。また、ピエゾ抵抗部RY2,RY4の他端側は、それぞれ、配線パターンLによって、外部の電圧電源Vsに接続するための外部接続用の電極パッド18に電気的に接続されている。さらに、ピエゾ抵抗部RY1,RY3の他端側は、それぞれ、配線パターンLによって、外部のグランドGNDに接続するための外部接続用の電極パッド18に電気的に接続されている。
さらに、支持部5a,5bのX軸方向に沿う各中心軸上にはそれぞれピエゾ抵抗部Rzが形成され、梁部4における支持部側帯状梁部部位16aの片端側(図5の例では上側)にはピエゾ抵抗部Rz2が形成され、支持部側帯状梁部部位16bの片端側(図5の例では下側)にはピエゾ抵抗部Rz4が形成されている。これら4つのピエゾ抵抗部Rz,Rz,Rz2,Rz4は、Z軸方向の加速度を検出するためのZ軸方向加速度検出部を構成している。梁部4や支持部5(5a,5b)や固定部6には、それらピエゾ抵抗部Rz,Rz,Rz2,Rz4による図6cに示されるようなブリッジ回路を構成するための配線パターンが形成されている。
例えば、図7に表されている配線パターンの配線例では、配線パターンLによって、支持部5aのピエゾ抵抗部RZと、支持部側帯状梁部部位16aの片端側のピエゾ抵抗部RZ2との一端側同士が電気的に接続されて電圧検出部PZ1が形成されている。この電圧検出部PZ1は、配線パターンLによって、当該電圧検出部PZ1に個別に対応する外部接続用の電極パッド18に電気的に接続されている。同様に、支持部5bのピエゾ抵抗部RZと、支持部側帯状梁部部位16bの片端側のピエゾ抵抗部RZ4との一端側同士が電気的に接続されて電圧検出部PZ2が形成されている。この電圧検出部PZ2は、配線パターンLによって、当該電圧検出部PZ2に個別に対応する外部接続用の電極パッド18に電気的に接続されている。また、配線パターンLによって、ピエゾ抵抗部RZ2の他端側と、支持部5bのピエゾ抵抗部RZの他端側とは、それぞれ、配線パターンLによって、外部の電圧電源Vsに接続するための外部接続用の電極パッド18に電気的に接続されている。さらに、配線パターンLによって、ピエゾ抵抗部RZ4の他端側と、支持部5aのピエゾ抵抗部RZの他端側とは、それぞれ、配線パターンLによって、外部のグランドGNDに接続するための外部接続用の電極パッド18に電気的に接続されている。
この第1実施例では、加速度が発生していないときに図6a〜図6cの各ブリッジ回路を構成している4つのピエゾ抵抗部の抵抗値が均衡状態となるようにピエゾ抵抗部が形成されている。
この第1実施例の加速度センサ1は上記のように構成されており、次に述べるように加速度を検出することができる。例えば、X軸方向の加速度が発生すると、その加速度に起因したX軸方向の力が錘部7(7a,7b)に作用する。この錘部7へのX軸方向の作用力によって、錘部7(7a,7b)は、図8aのモデル図の点線に示される基準状態から、例えば図8aの実線および図8bの模式的な断面図に示されるように、X軸方向に振れ変位する。このような錘部7のX軸方向の変位によって連結部8を介して梁部4が撓み変形し、これにより、梁部4には次に示すような応力が発生する。
例えば、錘部7が図8a、図8bに示されるように変位した場合には、図8cのモデル図に示されるように、梁部4において、連結部側帯状梁部部位15aの左側ALには引っ張り応力が、また、連結部側帯状梁部部位15aの右側ARには圧縮応力が、さらに、連結部側帯状梁部部位15bの左側BLには引っ張り応力が、さらにまた、連結部側帯状梁部部位15bの右側BRには圧縮応力が、それぞれ、発生する。また、支持部側帯状梁部部位16aの両側CU,CDには、それぞれ、圧縮応力が発生し、支持部側帯状梁部部位16bの両側DU,DDには、それぞれ、引っ張り応力が発生する。このように錘部7のX軸方向の加速度に起因して応力が発生する梁部4の各々の部分AL,AR,BL,BR,CU,CD,DU,DDには、それぞれ、ピエゾ抵抗部RX2,RX1,RX3,RX4,RY2,RY3,RY1,RY4,RZ2,RZ4が設けられている。これらピエゾ抵抗部RX2,RX1,RX3,RX4,RY2,RY3,RY1,RY4,RZ2,RZ4は、それぞれ、X軸方向の加速度に起因した応力発生によって、電気抵抗値が変化する。図6bのブリッジ回路において、X軸方向の加速度が発生しているときには、ピエゾ抵抗部RY1,RY4は、例えば引っ張り応力に基づいた抵抗値変化を示すのに対して、ピエゾ抵抗部RY2,RY3は、例えば圧縮応力に基づいた抵抗値変化を示すというように、ピエゾ抵抗部RY1,RY4と、ピエゾ抵抗部RY2,RY3とは、加速度が発生していないときの基準の抵抗値から互いに正負(増減)逆向きに抵抗値が変化することから、ピエゾ抵抗部RY1,RY4と、ピエゾ抵抗部RY2,RY3との抵抗値変化は互いにキャンセルされ、これにより、図6bのブリッジ回路の出力には大きな変化が無い。
また、図6cのブリッジ回路を構成しているピエゾ抵抗部RZ,RZの配設部分の応力変化は殆ど無い。また、ピエゾ抵抗部RZ2は、例えば圧縮応力に基づいた抵抗値変化を示し、ピエゾ抵抗部RZ4は、例えば引っ張り応力に基づいた抵抗値変化を示すというように、加速度が発生していないときの基準の抵抗値から互いに正負(増減)逆向きに抵抗値が変化することから、ピエゾ抵抗部RZ2,RZ4の抵抗値変化は互いにキャンセルされ、これにより、図6cのブリッジ回路の出力には大きな変化が無い。
これに対して、図6aのブリッジ回路においては、X軸方向の加速度が発生しているときには、ピエゾ抵抗部RX1,RX4は、例えば圧縮応力に基づいた抵抗値変化を示し、また、ピエゾ抵抗部RX2,RX3は、例えば引っ張り応力に基づいた抵抗値変化を示すことから、図6aのブリッジ回路の抵抗値の均衡状態が崩れて、図6aのブリッジ回路の出力が変化する。X軸方向の加速度の大きさに応じて図6aのブリッジ回路の出力の変動幅が変化することから、図6aのブリッジ回路の出力に基づいてX軸方向の加速度の大きさを検出することができる。
例えば、Y軸方向の加速度が発生すると、その加速度に起因したY軸方向の力が錘部7(7a,7b)に作用する。この第1実施例では、錘部7の重心位置と、錘部7を支える梁部4の支点位置との高さ位置がずれているので、この重心と支点の位置ずれによって、錘部7(7a,7b)にY軸方向の力が作用すると、錘部7a,7bは、図9aのモデル図の点線に示される基準状態から、例えば図9aに示される実線および図9bの模式的な断面図に示されるように、錘部7a,7bの一方側(図9aおよび図9bの例では錘部7a)は基台2に近付きながらY軸方向に変位し、他方側(図9aおよび図9bの例では錘部7b)は基台2に対して持ち上がりながらY軸方向に変位する。これにより、連結部8および梁部4が撓み変形して、梁部4には次に示すような応力が発生する。
例えば、錘部7が図9a、図9bに示されるように変位する場合には、図9cのモデル図に示されるように、梁部4において、支持部側帯状梁部部位16aの上側CUには引っ張り応力が、また、支持部側帯状梁部部位16aの下側CDには圧縮応力が、それぞれ、発生する。さらに、支持部側帯状梁部部位16bの上側DUには引っ張り応力が、また、支持部側帯状梁部部位16bの下側DDには圧縮応力が、それぞれ、発生する。このようにY軸方向の加速度に起因して応力が発生する梁部4の各々の部分CU,CD,DU,DDには、それぞれ、ピエゾ抵抗部RY2,RY3,RY1,RY4が設けられている。これらピエゾ抵抗部RY2,RY3,RY1,RY4は、それぞれ、Y軸方向の加速度に起因した応力発生によって、電気抵抗値が変化する。図6bのブリッジ回路において、Y軸方向の加速度が発生しているときには、ピエゾ抵抗部RY1,RY2は、例えば引っ張り応力に基づいた抵抗値変化を示し、また、ピエゾ抵抗部RY3,RY4は、例えば圧縮応力に基づいた抵抗値変化を示すことから、図6bのブリッジ回路の抵抗値の均衡状態が崩れて、図6bのブリッジ回路の出力が変化する。Y軸方向の加速度の大きさに応じて図6bのブリッジ回路の出力の変動幅が変化することから、図6bのブリッジ回路の出力に基づいてY軸方向の加速度の大きさを検出することができる。
なお、この第1実施例では、支持部側帯状梁部部位16aの上側CUにはピエゾ抵抗部RZ2が、また、支持部側帯状梁部部位16bの下側DDにはピエゾ抵抗部RZ4が、それぞれ、配設されている。Y軸方向の加速度に起因した梁部4の応力発生により、ピエゾ抵抗部RZ2,RZ4の抵抗値も変化するが、ピエゾ抵抗部RZ2は例えば引っ張り応力に基づいた抵抗値変化であり、ピエゾ抵抗部RZ4は例えば圧縮応力に基づいた抵抗値変化であるというように、ピエゾ抵抗部RZ2,RZ4の抵抗値の変化は、加速度が無い状態での基準の抵抗値から正負逆向きに変化することから、ピエゾ抵抗部RZ2,RZ4の抵抗値変化は互いにキャンセルされ、これにより、図6cのブリッジ回路の出力には大きな変化が無い。また、図6aのブリッジ回路を構成するピエゾ抵抗部RX1,RX2,RX3,RX4は、Y軸方向の加速度が発生しているときに応力変化が殆ど無い部分に配設されているので、それらピエゾ抵抗部RX1,RX2,RX3,RX4の抵抗値の変化は殆ど無く、図6aのブリッジ回路の出力にも大きな変化が無い。
例えば、Z軸方向の加速度が発生すると、その加速度に起因したZ軸方向の力が錘部7(7a,7b)に作用する。この錘部7へのZ軸方向の作用力によって、錘部7(7a,7b)は、図10aのモデル図の点線に示される基準状態から、例えば図9aに示される実線および図10bの模式的な断面図に示されるように、錘部7(7a,7b)はZ軸方向に変位する。これにより、連結部8および梁部4が撓み変形し、梁部4には次に示すような応力が発生する。
例えば、錘部7が図10aや図10bに示されるように変位する場合には、図10cのモデル図に示されるように、梁部4において、支持部側帯状梁部部位16a,16bのそれぞれの両側CU,CD,DU,DDには、それぞれ、引っ張り応力が発生する。このように梁部4には応力が発生することから、支持部側帯状梁部部位16a,16bのそれぞれの片端側に配設されたピエゾ抵抗部Rz2,RZ4は、引っ張り応力によって電気抵抗値が変化する。また、この第1実施例では、ピエゾ抵抗部RzはZ軸方向の加速度によって応力変化が殆ど無い部分に配設されており、ピエゾ抵抗部Rzの電気抵抗値の変化は殆ど無い。これらのことから、Z軸方向の加速度が発生しているときには、図6cのブリッジ回路の抵抗値の均衡状態が崩れて、図6cのブリッジ回路の出力が変化する。Z軸方向の加速度の大きさに応じて図6cのブリッジ回路の出力の変動幅が変化することから、図6cのブリッジ回路の出力に基づいてZ軸方向の加速度の大きさを検出することができる。
なお、図6aのブリッジ回路を構成するピエゾ抵抗部RX1,RX2,RX3,RX4が設けられている梁部部分は、Z軸方向の加速度に起因した応力が殆ど発生しないので、図6aのブリッジ回路の抵抗値の均衡状態は維持されたままで、図6aのブリッジ回路の出力変化は殆ど無い。また、図6bのブリッジ回路を構成するピエゾ抵抗部RY1,RY2,RY3,RY4が設けられている梁部部分は、何れも同様の応力が発生し、ピエゾ抵抗部RY1,RY2,RY3,RY4は同様に抵抗値が変化する。このため、Z軸方向の加速度が発生しているときには、図6bのブリッジ回路の抵抗値の均衡状態は維持されたままで、図6bのブリッジ回路の出力変化は殆ど無い。
この第1実施例の加速度センサ1は、上記のように、X軸方向とY軸方向とZ軸方向の三軸方向の加速度をそれぞれ別々に検出することが可能である。
第1実施例では、梁部4は支持部5(5a,5b)によって両持ち梁状に固定部6に支持され、また、錘部7(7a,7b)は連結部8(8a,8b)によって梁部4に片持ち梁状に支持されている構成である。このため、支持部5aが接続されている固定部6の部位と、支持部5bが接続されている固定部6の部位との間の距離を短く形成できる。これにより、基台2や固定部6が周囲の温度変化などによって歪んだとしても、その基台2や固定部6の歪みに起因した固定部部位間の歪みによる絶対変位が小さい。また、梁部4は枠状であり、当該枠状の梁部4が支持部5(5a,5b)によって両持ち梁状に固定部6に支持されているので、基台2や固定部6の歪みによってX軸方向の応力が発生した場合に、梁部4の角部領域が変形して応力を逃がすことができる。さらに、基台2や固定部6の歪みによってY軸方向の応力が発生した場合には、支持部5(5a,5b)が変形して応力を逃がすことができる。このようなことから、基台2や固定部6の歪みに起因した梁部4の撓み変形を緩和できる。このため、周囲温度変動に起因した問題(例えば、温度変動によって図6a〜図6cの各ブリッジ回路の出力電圧値が変動してしまうという温度ドリフトの問題など)を小さく抑制することができる。
また、この第1実施例では、錘部7a,7b間の領域に配置された梁部4に加速度を検出するためのピエゾ抵抗部を集約的に配設した。このため、全てのピエゾ抵抗部をほぼ設計通りに製造することが可能となって、図6a〜図6cに示されるブリッジ回路の出力のばらつき等を小さく抑えることが容易となる。つまり、梁部4を構成するSiにボロン(B)やリン(P)をドープしてピエゾ抵抗部を作製するが、ピエゾ抵抗部の配設位置が集約されていることにより、各ピエゾ抵抗部におけるボロンやリンのドープ濃度を均一にすることが容易にできることとなる。このため、各ブリッジ回路の抵抗値の均衡状態が取り易くなり、加速度検出の精度を高めることができる。
さらに、第1実施例では、全てのピエゾ抵抗部を集約的に配設したので、図6a〜図6cの各ブリッジ回路を構成するための配線パターンの引き回し経路を簡素化することができる。
さらに、第1実施例では、梁部4は、連結部8a,8bのY軸方向に沿った中心軸を通るY軸方向中心軸に対して対称な形状であり、かつ、支持部5a,5bのX軸方向に沿った中心軸を通るX軸方向中心軸に対して対称な形状となっている。このため、加速度発生に起因した梁部4の撓み変形が単純化でき、梁部4の撓み変形による応力変化を利用した加速度検出の精度の向上に寄与することができる。
さらに、第1実施例では、梁部4における連結部側帯状梁部部位15(15a,15b)および支持部側帯状梁部部位16(16a,16b)は、梁部4の他の部分よりもZ軸方向の厚みが厚くなっている。この厚みの差のために、連結部側帯状梁部部位15(15a,15b)や支持部側帯状梁部部位16(16a,16b)と、梁部4の他の部分との境界部分における応力の強弱が明確となる。第1実施例では、梁部4の応力変化を利用して加速度を検出していることから、そのように応力の強弱を明確にすることにより、X軸方向とY軸方向とZ軸方向の三軸方向のそれぞれの加速度をより明瞭に分離して検出することが可能となる。
以下に、第2実施例を説明する。なお、この第2実施例の説明において、第1実施例と同一構成部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
この第2実施例では、第1実施例の形態に加えて、枠状の梁部4に図11に示すような補強部20を設けてもよい。この補強部20は、枠状の梁部4により囲まれている空間部において、支持部5aが接続されている梁部4の部位Mと、支持部5bが接続されている梁部4の部位Nとを結ぶ直線に沿って伸長形成され、当該補強部20の両端はそれぞれ梁部4の内側縁部に接続されている。このような補強部20を設けることによって、梁部4の剛性を高めることができて、例えば基台2や固定部6の歪みに起因した梁部4の撓み変形を小さく抑制することができる。これにより、基台2や固定部6の例えば熱応力による歪みに起因した加速度の誤検出を防止することができる。
なお、図11の例では、補強部20の幅は、支持部5(5a,5b)の幅と等幅であるが、補強部20の幅は、支持部5(5a,5b)の幅より太くともよいし、細くともよい。また、補強部20のZ軸方向の厚みは、支持部5(5a,5b)の厚みと同様な厚みであってもよいし、支持部5(5a,5b)の厚みよりも薄くてもよい。このように、補強部20の幅や厚みは、梁部4自体の剛性等を考慮して適宜設計してよいものである。
以下に、第3実施例を説明する。なお、この第3実施例の説明では、第1や第2の各実施例と同一構成部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
第3実施例では、図12に示したように、支持部5(5a,5b)は、それぞれ、弾性部25(25a,25b)を介して固定部6に連接されている。この第3実施例の加速度センサにおける上記構成以外の構成は、第1又は第2の実施例と同様である。
この第3実施例において特徴的な弾性部25(25a,25b)は、支持部5(5a,5b)の伸長形成方向(X軸方向)に交差する方向(この例では直交するY軸方向)に伸長形成されている梁(応力軽減梁)26を有して構成され、当該梁26は、その両端部がそれぞれ固定部6に固定されている。この梁26の中央部に支持部5(5a,5b)が連接されている。当該梁26は、固定部6のX軸方向の歪みに応じて弾性変形し、この弾性変形によって、固定部6の歪みに起因して固定部6から支持部5に加えられる応力を軽減することができる。なお、梁26は固定部6の歪みに応じて弾性変形することができれば、その幅やZ軸方向の厚みは特に限定されるものではないが、この第3実施例では、梁26のZ軸方向の厚みは、固定部6や、梁部4における支持部側帯状梁部部位16と同様の厚みとなっている。
この第3実施例では、弾性部25を設けたことによって、上記したように、例えば熱変動による基台2や固定部6の歪みに起因した固定部6から支持部5に加えられる応力を軽減することができる。このことは、本発明者の実験(シミュレーション)によって確認されている。その実験では、第1実施例に示した加速度センサの構成(例えば図1参照)を持つサンプルAと、このサンプルAの構成に加えて第2実施例に示した補強部20が設けられている構成(図11参照)を持つサンプルBと、さらに、サンプルBの構成に加えて第3実施例に示した弾性部25が設けられている構成(図12参照)を持つサンプルCとを用意した。そして、各サンプルA〜Cのそれぞれについて、梁部4におけるピエゾ抵抗部が設けられている部位の応力をシミュレーションした。その結果が表1に表されている。ここでは、サンプルAにおける梁部4のピエゾ抵抗部の形成部位の応力を1.00とし、サンプルB,Cに関しては、サンプルAに対する相対値で表されている。
表1からも明らかなように、例えば熱変動等によって基台2や固定部6が歪んだときに当該歪みに起因して固定部6から支持部5を介し梁部4に加えられる応力を、第1実施例の構成のものよりも、補強部20を設けたことにより、軽減できることが分かる。さらに、弾性部25を設けることにより、基台2や固定部6の歪みに起因した梁部4の無用な応力の発生をより一層軽減できることが分かる。なお、もちろん、第1実施例の構成においても、例えば図15aに示されるような加速度センサに比べれば、基台や固定部の歪みに起因した梁部の歪みを小さく抑制することができるものである。参考までに、図15aに示される加速度センサについて、枠部41の歪みに起因した梁部43a,43b,44a,44bのピエゾ抵抗部の形成部位の応力を上記同様にシミュレーションした。この結果をサンプルA(第1実施例の構成のもの)に対する相対値で表すと、7.67となった。この結果からも分かるように、第1〜第3の各実施例に示した構成を備えることによって、従来の構成のものよりも、例えば熱変動等による基台や固定部の歪みに起因した梁部の歪みを小さく抑制することができる。
上記のように、熱変動等に因る基台2や固定部6の歪みに起因した梁部4の歪みを小さく抑えることができるので、加速度検出のためのピエゾ抵抗部により構成されるブリッジ回路の出力の温度ドリフトを抑制することができる。これにより、加速度検出に対する信頼性を高めることができる。
なお、この発明は第1〜第3の各実施例の形態に限定されるものではなく、様々な実施の形態を採り得る。例えば、第1〜第3の各実施例では、加速度を検出するX軸方向加速度検出部とY軸方向加速度検出部とZ軸方向加速度検出部は、それぞれ、ピエゾ抵抗部を有して構成されていたが、例えば、静電容量を利用して錘部7の変位を検出して、X軸方向の加速度と、Y軸方向の加速度と、Z軸方向の加速度とをそれぞれ検出する構成としてもよい。
また、第1〜第3の各実施例では、梁部4は、連結部側帯状梁部部位15(15a,15b)および支持部側帯状梁部部位16(16a,16b)が他の部分よりもZ軸方向の厚みが厚くなっている構成であったが、梁部4はそのZ軸方向の厚みが全体に渡って等しい又はほぼ等しい構成としてもよい。
さらに、第1〜第3の各実施例では、枠状の梁部4は方形状であったが、例えば、枠状の梁部4は、図13aに示されるような円形状であってもよいし、図13bに示されるような菱形状であってもよいし、図13cに示されるような楕円形状であってもよい。また、枠状の梁部4は、X軸方向中心軸に対して対称な形状となり、かつ、Y軸方向中心軸に対して対称な形状となっていたが、枠状の梁部4は、X軸方向中心軸に対して非対称な形状であってもよいし、Y軸方向中心軸に対して非対称な形状であってもよい。
さらに、第1〜第3の各実施例では、加速度を検出するためのピエゾ抵抗部は、図5に示されるように配設されていたが、ピエゾ抵抗部の配置位置は、X軸方向の加速度と、Y軸方向の加速度と、Z軸方向の加速度とをそれぞれ梁部4の撓み変形による応力変化を利用して検出することができれば、図5の配置位置に限定されるものではなく、適宜設定してよいものである。また、各ピエゾ抵抗部間を接続してブリッジ回路を構成する配線パターンの配線例も、適宜設定してよいものであり、図7の例に限定されるものではない。
例えば、図14aにはピエゾ抵抗部および配線パターンのその他の配置例が表されている。この例では、梁部4には第2実施例に示したような補強部20が設けられている。また、この例では、図5や図7と同様にピエゾ抵抗部が設けられているのに加えて、支持部5a,5bのそれぞれにピエゾ抵抗部Rz',Rz'が設けられ、また、支持部側帯状梁部部位16aの図の下側にはピエゾ抵抗部Rz3が設けられ、さらに、支持部側帯状梁部部位16bの図の上側にはピエゾ抵抗部Rz1が設けられている。上記ピエゾ抵抗部Rz',Rz',Rz1,Rz3は、図5や図7の例にも設けられているピエゾ抵抗部Rz,Rz,Rz2,Rz4と共に、Z軸方向の加速度を検出するためのものである。図14aの例では、ピエゾ抵抗部Rz1,Rz3,Rz,RzはX軸方向に沿って伸長形成された形状と成し、ピエゾ抵抗部Rz',Rz',Rz2,Rz4は、ピエゾ抵抗部Rz1,Rz3,Rz,Rzの伸長形成方向と直交するY軸方向に沿って伸長形成された形状と成している。それらZ軸方向の加速度検出に関わるピエゾ抵抗部は、次に示すような配線パターンによって、図14bに示されるようなブリッジ回路を構成する。
図14aに示される配線パターンの配線例では、図14cの模式的な断面図に示されるような、例えばSOI基板13のSi層12にボロンやリン等をドープして形成された配線パターンLsと、SOI基板13の表面に蒸着やスパッタ等の成膜形成技術を利用して形成されたアルミニウム等の金属製の配線パターンLmとによって、ピエゾ抵抗部から成るブリッジ回路を構成している。なお、図14aでは、配線パターンLsは点線により表され、配線パターンLmは実線により表されている。
図14aの例では、配線パターンLsと、配線パターンLmとのそれぞれの特徴を利用した次に示すような特有な配線パターンLs,Lmの配線が成されている。つまり、SOI基板13のSi層12の表面には、配線パターンLsの形成後に、必然的に酸化膜21が形成されることから、この酸化膜21によって、配線パターンLsと、配線パターンLmとの絶縁を確保しながら、配線パターンLsと、配線パターンLmとのクロス配線が成されている。また、配線パターンLsが形成されている部分の酸化膜21の一部が除去されて孔部22が形成され、この孔部22内に配線パターンLmの構成材料の導体材料が入り込んで配線パターンLsに接合することで、配線パターンLsと配線パターンLmが電気的に接続されている。さらに、図14aの例では、支持部5a,5bと、梁部4における連結部側帯状梁部部位15a,15bおよび支持部側帯状梁部部位16a,16bと、補強部20とは、例えば約400μm程度の厚みであるのに対して、連結部側帯状梁部部位15a,15bおよび支持部側帯状梁部部位16a,16b以外の梁部4の部位は、例えば5〜10μm程度の厚みとなっている。そのように梁部4の薄い部分の表面に、金属製の配線パターンLmを形成すると、その配線パターンLmの内部応力によって、梁部4の薄い部分が反ってしまう虞がある。これに対して、配線パターンLsは梁部4を構成しているSi層にボロンやリン等の不純物をドープして形成されるものであり、配線パターンLsの形成による梁部4の薄い部分の反り等の変形は殆ど発生しない。このことから、梁部4の薄い部分に金属製の配線パターンLmを形成することは避け、当該梁部4の薄い部分には、配線パターンLsが形成されている。
図14aの例では、配線パターンLsと配線パターンLmのクロス配線が可能であることと、配線パターンLsと配線パターンLmの電気的な接続が容易であることとを利用し、配線パターンの配線構成の簡略化を図ることを思慮しながら、配線パターンLsおよび配線パターンLmの配線構成が設計されている。これにより、図14aの例では、梁部4の形成領域から外部に引き出されている配線パターンの本数を、図7の例よりも減少させることができている。
図14aの例では、X軸方向の加速度に対しては、第1〜第3の各実施例と同様にX軸方向加速度検出用のピエゾ抵抗部から成るブリッジ回路の出力が変動して、X軸方向の加速度の大きさを検出することができる。また、Y軸方向の加速度に対しても、第1〜第3の各実施例と同様にY軸方向加速度検出用のピエゾ抵抗部から成るブリッジ回路の出力が変動して、Y軸方向の加速度の大きさを検出することができる。
さらに、Z軸方向の加速度に対しては、次に示すようにZ軸方向の加速度を検出することができる。つまり、Z軸方向の加速度が発生すると、前述したように錘部7(7a,7b)がZ軸方向に変位して、連結部8および梁部4が撓み変形する。これにより、図10cのモデル図に示されるように、梁部4において、支持部側帯状梁部部位16a,16bのそれぞれの両側CU,CD,DU,DDには、それぞれ、引っ張り応力が発生する。このように、支持部側帯状梁部部位16a,16bのそれぞれの両側CU,CD,DU,DDには同様の引っ張り応力が発生する。ところで、ピエゾ抵抗部Rz1,Rz3と、ピエゾ抵抗部Rz2,Rz4とは、互いに直交する方向に伸長形成された形状と成している。〔110〕方向のP型ピエゾ抵抗部の場合には、このように互いに直交する方向に伸長形成されている各ピエゾ抵抗部に、それぞれ、例えば、同じ応力が加えられた場合に、互いに直交する方向に伸長形成されている各ピエゾ抵抗部の電気抵抗値は、それぞれ、互いに正負逆向きに変化する。このピエゾ抵抗部の特性によって、Z軸方向の加速度印加による応力が梁部4における支持部側帯状梁部部位16a,16bのそれぞれの両側CU,CD,DU,DDに上記の如く発生したときに、ピエゾ抵抗部Rz1,Rz3と、ピエゾ抵抗部Rz2,Rz4とは、互いに正負逆向きに電気抵抗値が変化する。また、ピエゾ抵抗部Rz,Rz,Rz',Rz'はZ軸方向の加速度によって応力変化が殆ど無い部分に配設されている。これらのことから、Z軸方向の加速度が発生したときに、図14bのブリッジ回路の抵抗値の均衡状態が崩れて、図14bのブリッジ回路の出力が変化する。Z軸方向の加速度の大きさに応じて図14bのブリッジ回路の出力の変動幅が変化することから、図14bのブリッジ回路の出力に基づいてZ軸方向の加速度の大きさを検出することができる。
ところで、Z軸方向の加速度発生による梁部4の撓み変形量は、例えばY軸方向の加速度発生による梁部4の撓み変形量よりも大きい。また、複数のピエゾ抵抗部の電気抵抗値のばらつきを抑制するために全てのピエゾ抵抗部を同時に形成することにすると、全てのピエゾ抵抗部は電気抵抗値がほぼ等しいものとなる。この場合に、図5に示されるようにピエゾ抵抗部を配設して、図6a〜図6cに示されるようなブリッジ回路を形成すると、Z軸方向の加速度発生に起因した図6cのブリッジ回路の出力は、加速度の大きさが同じでも、Y軸方向の加速度発生に起因した図6bのブリッジ回路の出力よりも大きくなる。加速度センサの利便性を高めるためには、X軸方向とY軸方向とZ軸方向との何れの方向の加速度に対しても、その加速度の大きさに対するブリッジ回路の出力変動幅がほぼ等しいことが好ましい。
そこで、図14aの例では、Z軸方向の加速度発生によるブリッジ回路の出力の大きさがY軸方向の加速度発生による出力の大きさと同様となるように、ブリッジ回路の電気抵抗値を調整するための感度調整用のピエゾ抵抗部Rz,Rz,Rz',Rz'がZ軸方向加速度検出用の各ピエゾ抵抗部Rz1,Rz2,Rz3,Rz4のそれぞれに直列に設けられている。感度調整用のピエゾ抵抗部Rz,Rz,Rz',Rz'は、Z軸方向の加速度が発生しても電気抵抗値は変化しないので、Z軸方向の加速度が発生したときのブリッジ回路の各辺の抵抗値変化は、ブリッジ回路の各辺にそれぞれピエゾ抵抗部Rz1,Rz2,Rz3,Rz4がただ一つしか設けられていない場合に比べて、小さくなる。これにより、Z軸方向の加速度の大きさに対するブリッジ回路の出力変動幅を、X軸方向やY軸方向の加速度の大きさに対するブリッジ回路の出力変動幅に揃えることが可能である。
さらに、第1〜第3の各実施例では、固定部6は、梁部4および錘部7の形成領域を間隔を介して囲む枠状の態様であったが、固定部6は、梁部4を支持部5a,5bによって両持ち梁状に基台2に固定させることができる形態であればよく、枠状でなくともよい。
さらに、第1〜第3の各実施例では、梁部4と支持部5と固定部6と錘部7と連結部8はSOI基板により構成されていたが、それらはSOI基板で構成されていなくともよい。