JP4630857B2 - 二次電池の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の二次電池に使用するイオン伝導構造体は、層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有するものとすることができる。そのような構成とした場合、その層状もしくは柱状(カラム)構造に沿った方向または層状構造に垂直な方向に、実質的にイオンの移動距離が最も短くなるイオンの伝導経路(イオンチャンネル)が形成され、この経路でのイオン伝導度が最も高くなり異方伝導性を示す。本発明の二次電池では、対向する負極及び正極平面に垂直方向にイオン伝導度の高い、上記層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有するイオン伝導構造体を負極と正極間に挟持して構成することができる。
イオンチャネルの配向したイオン伝導構造体である高分子ゲル電解質の母材となる、層状構造もしくは柱状(カラム)構造の架橋高分子を調製する方法は、モノマーを重合及び架橋させする方法(上記(a)の方法)と、高分子を架橋させる方法(上記(b)の方法)とに分けられる。
層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有した架橋高分子(高分子ゲル)調製の際に用いる前記鋳型となる分子構造を有した化合物は、電場、磁場、光、温度、濃度、圧力、接触する材料の表面形状もしくは材料、及びそれらの組み合わせによって、ある方向に配向するもしくは規則的に並ぶ材料である。本発明では、鋳型となる分子構造を有した化合物を使用して、モノマーを重合及び架橋することによって、または高分子を架橋することによって、層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有した架橋高分子(高分子ゲル)を調製し、これを母材にしたイオン伝導構造体を形成することができる。
前記棒状の液晶性を示す分子構造としては、1以上の環状基に異なる末端基が結合したもの、環状基と環状基を中央基(結合基)で結合しかつ異なる末端基が結合したもの、から選択される、分子構造であることが好ましい。かかる環状基としては、例えば、ベンゼン環(フェニル基)、トランス型シクロヘキサン環(シクロヘキシル基)、ヘテロ六員環、他のヘテロ環状基、多環状基が挙げられる。かかる中央基(結合基)としては、例えば、−CH=N−、−CO−O−、−N=NO−、トランス型−N=N−、トランス型−CH=CH−、−C≡C−、−C6H4−、トランス型−C6H10−が選択される。前記末端基としては、例えば、化学式、CnH2n+1−、CnH2n+1O−、CN−、から選択される基であることが好ましい。
配向剤として用いられる、ジアセチレン化合物は、ポリマー化して配向剤として機能させる。かかるポリマー化のモノマーの例としては、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール、ジアセチレンカルボン酸、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール−ビス−フェニルウレタン、オルト位もしくはメタ位置換のジフェニルジアセチレン、3,6,13,16−テトラオキサオクタデカ−8,10−ジイン−1,18−ジオール、などが挙げられる。
両親媒性化合物の分子は、界面活性剤のような分子内に親水基と疎水基(親油基)を有し、疎水性相互作用という水分子が関与するエントロピー効果によって分子集合体(会合体)を形成し、リオトロピック液晶として振る舞う。この両親媒性分子によるリオトロピック液晶の構造は、円筒状の会合体が六方晶系を構成しているヘキサゴナル、両親媒性分子の二分子膜と水が交互に配列したラメラ、アルキル鎖を外側に向けた逆ヘキサゴナルなどの構造を取る。両親媒性化合物としては、脂肪族セッケン、モノアルキルリン酸塩アルキルリン酸アルギニン、長鎖アルキルグリセリルエーテル、オクタエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル、オクタエチレングリコールモノドシルエーテル、レシチン、などが挙げられる。両親媒性化合物の種類と濃度を選択することによって、先のヘキサゴナル構造、ラメラ構造、逆ヘキサゴナル構造を選択して形成することが可能であり、層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有した架橋高分子(高分子ゲル)の調製の鋳型原料として安価である利点がある。
次に、イオン伝導ガラスを用いたイオン伝導構造体の製造方法の具体例を説明する。
本発明の二次電池は、負極と正極の間に、上述したように得られる層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有したイオン伝導構造体を、負極と正極面の方向に望ましくは垂直方向に、イオン伝導度が最も高くなるように設けた構成とすることができる。本発明の二次電池は、上述したように調製した層状もしくは柱状(カラム)構造に沿った方向または層状構造に垂直な方向に実質的にイオンの移動距離が最も短くなるイオンの伝導経路(イオンチャンネル)が形成されたイオン伝導構造体を負極と正極間に接した状態で設け、出力端子を取り出し外装材で密閉することによって作製することができる。
イオン伝導構造体の母材に、前述した架橋高分子の高分子ゲルを用いる場合、当該高分子ゲルは、架橋構造などの溶媒に不溶の三次元網目構造を有している高分子または溶媒を吸って膨潤状態にあるものである。その溶媒が水である高分子ゲルをヒドロゲル、溶媒が有機物質である高分子ゲルをオルガノゲルと呼ぶ。高分子ゲルからなるイオン伝導構造体を、リチウムイオンの酸化還元反応を利用したリチウム二次電池に採用する場合には、高分子ゲルとしてはオルガノゲルを、他のアルカリ蓄電池や鉛蓄電池に採用する場合にはヒドロゲルを用いる。
負極は集電体(図6では606)と活物質層(図6では605)から構成されている(尚、本発明では、“活物質”とは電池における充電及び放電の電気化学的反応(該反応の繰返し)に関与する物質を総称する)。
正極は集電体(図6に示す例の609)と活物質層(同608)から構成されている。
本発明の二次電池をリチウムイオンの酸化還元反応を利用したリチウム二次電池に適用する場合、イオン伝導構造体で保持する電解液に用いる支持電解質とその溶媒は以下に示すものが、好適に用いられる。
本発明の二次電池の具体的な形状としては、例えば、扁平形、円筒形、直方体形、シート形などがある。又、電池の構造としては、例えば、単層式、多層式、スパイラル式などがある。その中でも、スパイラル式円筒形の電池は、負極と正極の間にセパレータを挟んで巻くことによって、電極面積を大きくすることができ、充放電時に大電流を流すことができるという特徴を有する。また、直方体形やシート形の電池は、複数の電池を収納して構成する機器の収納スペースを有効に利用することができる特徴を有する。
(1)前述したような方法で負極(701)と正極(703)の間にイオン伝導構造体(702)を挟持させた積層体を形成し、正極缶(705)に組み込む。
(2)負極キャップ(704))とガスケット(706)を組み立てる。
(3)上記(2)を、かしめることによって、電池は完成する。
ガスケット(706)の材料としては、例えば、フッ素樹脂,ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂,ポリスルフォン樹脂,各種ゴムが使用できる。電池の封口方法としては、図7のように絶縁パッキングを用いた「かしめ」以外にも、ガラス封管,接着剤,溶接,半田付けなどの方法が用いられる。また、図7の絶縁板の材料としては、各種有機樹脂材料やセラミックスが用いられる。
二次電池において各部材を収容する電池ハウジングは、図7に示す例では、電池の正極缶(705)及び負極キャップ(704)から構成される。図7に示す例では正極缶(705)及び負極キャップ(704)が、電池ハウジング(ケース)と出入力端子を兼ねているため、ステンレススチールが好ましく用いられる。
実験例1
まず、還流装置、滴下装置、攪拌装置及び加熱装置をつけた三つ口フラスコの反応容器内に乾燥した窒素ガスを充填した。この三つ口フラスコ内に、鋳型となる分子構造を有した化合物として非イオン界面活性剤のポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル15.0部及びイオン交換水275部を入れ、攪拌した。次いで、ジエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート8.76部及びエチレングリコールジメタクリレート0.24部を良く攪拌して滴下装置を用いて三つ口フラスコ内に滴下し、系が均一になるまで良く攪拌した。さらに、重合開始剤としてペルオキソ過硫酸カリウム0.03部をイオン交換水10部に溶かした水溶液を滴下装置を用いて三つ口フラスコ内に滴下し、三つ口フラスコ内を攪拌しながら75℃で7時間重合を行った。その後、得られた粒状高分子ゲルを水およびエタノールで洗浄し、乾燥して、粉末架橋高分子を得た。
実験例1同様まず、還流装置、滴下装置、攪拌装置及び加熱装置をつけた三つ口フラスコの反応容器内に乾燥した窒素ガスを充填した。この三つ口フラスコ内に、イオン交換水290部を入れ、攪拌した。次いで、ジエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート8.76部及びエチレングリコールジメタクリレート0.24部を良く攪拌して滴下装置を用いて三つ口フラスコ内に滴下し、系が均一になるまで良く攪拌した。さらに、重合開始剤としてペルオキソ過硫酸カリウム0.03部をイオン交換水10部に溶かした水溶液を滴下装置を用いて三つ口フラスコ内に滴下し、三つ口フラスコ内を攪拌しながら75℃で7時間重合を行い、得られた粒状高分子ゲルを水およびエタノールで洗浄し、乾燥して、粉末架橋高分子を得た。
モノマーとしてメチルメタクリレート29.8部、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート0.2部、鋳型となる分子構造を有した化合物としての低分子液晶のN−(4−エトキシベンジリデン−4’−ブチルアニリン)50部、開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1部を添加し、プロピレンカーボネートを20部添加した。上記混合液を、2枚のITOコーティングガラス基板から成る100ミクロンのセルギャップのセル内に挿入し、このITO電極間に交流100V(400Hz)の電界を印加した。次いで上記のセルを電界を印加した状態のままネマティック状態を示す75℃で加熱して重合反応と架橋反応を起こし、フィルム状高分子ゲルを得た。
実験例2において、使用した低分子液晶のN−(4−エトキシベンジリデン−4’−ブチルアニリン)の代わりに、プロピレンカーボネートを添加して実施例2と同様にして高分子ゲル電解質を調製した。実験例2と同様にしてミリオームメータを用いたインピーダンス測定で抵抗値を測定し、厚みからイオン伝導度を計算した。イオン伝導度は実験例2の約1/5であった。
モノマーとしてメチルメタクリレート50部、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート5部、鋳型となる分子構造を有した化合物として低分子液晶のN−(4−エトキシベンジリデン−4’−ブチルアニリン)40部、開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル5部を添加し、テトラフルオロホウ酸リチウムの0.5モル/リットルの1,4−ジオキサン溶液200部を添加した。上記混合液を、予め表面にレシチンを塗布した2枚のガラス基板から成る50ミクロンのセルギャップのセル内に挿入し、このギャップセルを残留磁束密度1テスラのサマリウム−コバルトの異方性磁石のN極とS極で挟みを磁界を印加した。次いで低分子液晶がネマティック状態を示す75℃で加熱して重合反応と架橋反応を起こし、フィルム状高分子ゲルを得た。
実験例3において、使用した低分子液晶N−(4−エトキシベンジリデン−4’−ブチルアニリン)の代わりに、プロピレンカーボネートを添加して実施例3と同様にして高分子ゲル電解質を調製した。
モノマーとしてメチルメタクリレート45部、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート5部、鋳型となる分子構造を有した化合物として低分子液晶のN−(4−エトキシベンジリデン−4’−ブチルアニリン)40部、1モル/リットルのテトラフルオロホウ酸リチウムのプロピレンカーボネート溶液9部、開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1部を混合した。上記混合液に、1対のSUS(ステンレススチール)製電極を挿入し、この電極間に交流2V(400Hz)の電界を印加し、ネマティック状態を示す75℃で加熱して重合反応と架橋反応を起こして、高分子ゲルを得た。
実験例4において、使用した低分子液晶のN−(4−エトキシベンジリデン−4’−ブチルアニリン)の代わりに、プロピレンカーボネートを添加して実施例2と同様にして高分子ゲル電解質を調製した。
層状構造を形成するアニオン界面活性剤のドデシルスルホン酸ナトリウム25部及びイオン交換水100部を入れ、攪拌した。次いで、アクリロニトリル16.5部及びエチレングリコールジメタクリレート1.5部を良く攪拌して、アルゴンガスをバブリングさせ酸素を置換させた後、光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン1.5部を混合し、混合溶液を調製した。その後、得られた混合溶液をインジウム−スズ酸化物(ITO)でコーティングされたガラス基板上にキャストし、500ワットの高圧水銀灯にて光照射して重合架橋反応を起こし高分子フィルムを得た。ついで、ガラス基板上に得られた高分子フィルムを新鮮なメタノールに繰り返し浸漬し、界面活性剤を除去した。ついで、テトラフルオロホウ酸リチウムの1モル/リットルのプロピレンカーボネート溶液を吸液させて、イオン伝導構造体を作製した。
実験例5において、界面活性剤の混合をすること無しに、モノマーと架橋剤を重合架橋させた後は、実験例5と同様にして、インジウム−スズ酸化物(ITO)でコーティングされた高分子フィルムをガラス基板上に得た。ついで、ガラス基板上に得られた高分子フィルムを新鮮なメタノールに繰り返し浸漬し、洗浄した。ついで、テトラフルオロホウ酸リチウムの1モル/リットルのプロピレンカーボネート溶液を吸液させて、イオン伝導構造体を作製した。
モノマーとしてメチルメタクリレート90部、液晶性のモノマーとして4−(6−アクリロイルオキシヘキシロキシ)−4’−シアノビフェニル10部、架橋剤として液晶性を示す構造に類似したビスフェノールA ジアクリレート5部、開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル5部を添加し、プロピレンカーボネートを100部添加した。上記混合液を、50ミクロンの2枚のITOコーティングガラス基板から成るセルギャップのセル内に挿入し、このITO電極間に交流100V(400Hz)の電界を印加した。次いで上記のセルを電界を印加した状態のまま70℃で加熱して重合反応と架橋反応を起こし、フィルム状高分子ゲルを得た。得られた高分子ゲル中の低分子液晶をテトラヒドロフランで洗浄除去した後、テトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートに溶解させた1モル/リットルの電解液を吸液させて高分子ゲル電解質のイオン構造体を調製した。
実験例6において、液晶性のモノマーとして4−(6−アクリロイルオキシヘキシロキシ)−4’−シアノビフェニルに替えてメチルメタクリレート、架橋剤として液晶性を示すビスフェノールA ジアクリレートの代わりに、エチレングリコールジメタクリレートを添加して実験例6と同様にして70℃で加熱して重合反応と架橋反応を起こし、フィルム状高分子ゲルを得た。得られた高分子ゲルをテトラヒドロフランで洗浄除去した後、テトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートに溶解させた1モル/リットルの電解液を含浸保持させて高分子ゲル電解質のイオン構造体を調製した。
液晶性を示す高分子ポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)の20部、1,4−ジオキサン80部に、トリエチレンテトラミン1.7部、テトラフルオロホウ酸リチウム3.6部を混合した。この混合液を2枚のテトラフルオロエチレンポリマーシートから成る50ミクロンのセルギャップのセル内に挿入し、このギャップセルを残留磁束密度1テスラのサマリウム−コバルトの異方性磁石のN極とS極で挟みを磁界を印加した。ついで70℃で7日間放置し高分子ゲルフィルムを得た。さらに、得られたフィルムを1,4−ジオキサンで洗浄した後、テトラフルオロホウ酸リチウムを1,4−ジオキサンに溶解させた0.5モル/リットルの電解液を含浸保持目的のフィルム状高分子ゲル電解質を得た。
実験例7において、使用した液晶性を示す高分子ポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)の代わりに、ポリ(メチルメタクリレート)を使用して実験例7と同様にして高分子ゲルフィルムを調製した。さらに実験例7と同様にして、高分子ゲル電解質を調製した。次に、実験例7と同様にしてミリオームメータを用いたインピーダンス測定で抵抗値を測定し、厚みからイオン伝導度を計算した。イオン伝導度は実施例の約1/4であった。
界面活性剤としてのパルミチン酸カリウム30部とイオン交換水70部の混合溶液に、窒素ガスをバブリングしてガス置換をした後、エチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート8.76部及びエチレングリコールジメタクリレート0.24部、重合開始剤としてペルオキソ過硫酸カリウム0.03部を添加し攪拌した混合溶液を調製した。その後、得られた混合溶液をインジウム−スズ酸化物(ITO)でコーティングされたガラス基板上にキャストし、75℃に加熱し重合架橋反応を行い、高分子フィルムを得た。ついで、ガラス基板上に得られた高分子フィルムを新鮮なメタノールに繰り返し浸漬し、界面活性剤を除去した。ついで、テトラフルオロホウ酸リチウムの1モル/リットルのプロピレンカーボネート溶液を吸液させて、イオン伝導構造体を作製した。
実験例8において、界面活性剤を用いずに実施例8と同様にして、電子線を照射して架橋反応を起こし、高分子ゲルフィルムをITOコーティングガラス基板上に調製した。もう一枚のITOコーティングガラス基板で挟み、実験例1と同様にしてインピーダンス測定を行い、厚みからイオン伝導度を計算した。抵抗値の測定から計算されたイオン伝導度は実施例8の約1/2の値であった。
高分子の母材としてポリカーボネート40部に、低分子液晶のN−(4−エトキシベンジリデン−4’−ブチルアニリン60部に、テトラヒドロフランを添加し溶解させた後、テトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートに溶解させた1モル/リットルの電解液を混合しペーストを調製し、ITOコーティングガラス基板にで塗布し、電磁石にて2テスラの磁界をITOコーティングガラス基板に垂直方向に印加して静置した後、電子線を照射して架橋反応を起こし、高分子ゲルフィルムを調製した。ついでアセトニトリルで洗浄した後、テトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートに溶解させた1モル/リットルの電解液を含浸保持させて高分子ゲル電解質を調製した。得られた高分子ゲル電解質フィルムをもう一枚のITOコーティングガラス基板で挟み、実施例1と同様にしてインピーダンス測定を行い、厚みからイオン伝導度を計算した。
実験例9において、低分子液晶のN−(4−エトキシベンジリデン−4’−ブチルアニリンを添加することなく、ポリカーボネートに、テトラヒドロフランを添加し溶解させた後、テトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートに溶解させた1モル/リットルの電解液を混合しペーストを調製し、ITOコーティングガラス基板にで塗布し、電子線を照射して架橋反応を起こし、高分子ゲルフィルムを調製した。ついでアセトニトリルで洗浄した後、テトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートに溶解させた1モル/リットルの電解液を含浸保持させて高分子ゲル電解質を調製した。
アクリルアミド8部、アクリル酸2部、メチレンビスアクリルアミド1部、アニオン界面活性剤のドデシルスルホン酸ナトリウム20部、開始剤としての2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4部、イオン交換水92部、を混合し、窒素雰囲気下で70℃で攪拌しながらラジカル重合すると粒状高分子ゲルが得られた。メタノールで洗浄し界面活性剤を除去し、乾燥した。得られた粒状高分子ゲル95部にカルボキシメチルセルロース5部を混合し、アセトン50%−イオン交換水50%の溶液を添加してペーストを調製し、ITOコーティングガラス基板に塗布し乾燥し、2重量%の水酸化リチウムを含む30重量%の水酸化カリウム水溶液を含浸させて50ミクロンの厚みに調製した高分子ゲル電解質層を形成し、もう一枚のITOコーティングガラス基板で挟み、実施例1と同様にしてインピーダンス測定を行い、厚みからイオン伝導度を計算した。
実験例10で使用した界面活性剤の添加をしないで、後の操作は実験例10と同様にして高分子ゲル粒子を得た。得られた高分子ゲル粉末95部にカルボキシメチルセルロース5部を混合し、アセトン50%−イオン交換水50%の溶液を添加してペーストを調製し、ITOコーティングガラス基板にで塗布し乾燥し、2重量%の水酸化リチウムを含む30重量%の水酸化カリウム水溶液を含浸させて、実験例10と同様にして50ミクロンの厚みに調製した高分子ゲル層を形成し、もう一枚のITOコーティングガラス基板で挟みイオン伝導度を測定した。抵抗値の測定から計算されたイオン伝導度は実施例10の約1/3の値であった。
酢酸ビニル5部、アクリル酸メチル5部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4部、界面活性剤としてのパルミチン酸カリウム40部、イオン交換水60部、を混合し、窒素雰囲気下で70℃で攪拌しながらラジカル重合させた後、40℃で1モル/リットルの水酸化ナトリウム20重量%メタノール水溶液でケン化し架橋させ、高分子ゲル粒子を得た。メタノールで洗浄し界面活性剤を除去し、乾燥した。得られた高分子ゲル粉末95部にカルボキシメチルセルロース5部を混合し、アセトン50%−イオン交換水50%の溶液を添加してペーストを調製し、ITOコーティングガラス基板にで塗布し乾燥し、2重量%の水酸化リチウムを含む30重量%の水酸化カリウム水溶液を吸液させて50ミクロンの厚みに調製した高分子ゲル層を形成し、もう一枚のITOコーティングガラス基板で挟み、実施例1と同様にしてインピーダンス測定を行い、厚みからイオン伝導度を計算した。
実験例11において、実験例11で使用した界面活性剤の添加をしないで、後の操作は実験例11と同様にして高分子ゲル粒子を得た。得られた高分子ゲル粉末95部にカルボキシメチルセルロース5部を混合し、アセトン50%−イオン交換水50%の溶液を添加してペーストを調製し、ITOコーティングガラス基板に塗布し乾燥し、2重量%の水酸化リチウムを含む30重量%の水酸化カリウム水溶液を含浸させて、実施例11と同様にして50ミクロンの厚みに調製した高分子ゲル層を形成し、もう一枚のITOコーティングガラス基板で挟み、実施例11同様にしてイオン伝導度を測定した。抵抗値の測定から計算されたイオン伝導度は実施例11の約1/3の値であった。
液晶性を示すポリマーのヒドロキシプロピルセルロース70部にイオン交換水30部を混合しペーストを調製し、ITOコーティングガラス基板にで塗布し、ヒドロキシプロピルセルロースがリオトロピック液晶の状態で電子線を照射して架橋反応を起こし、高分子ゲルフィルムを調製した。ついで乾燥後、2重量%の水酸化リチウムを含む30重量%の水酸化カリウム水溶液を含浸させて50ミクロンの厚みに調製した高分子ゲル層を形成し、もう一枚のITOコーティングガラス基板で挟み、実施例1と同様にしてインピーダンス測定を行い、厚みからイオン伝導度を計算した。
実験例12において、液晶性を示すポリマーのヒドロキシプロピルセルロースの代わりにポリビニルアルコールを用いて実施例12と同様にして、電子線を照射して架橋反応を起こし、高分子ゲルフィルムを調製した。ついで乾燥後、2重量%の水酸化リチウムを含む30重量%の水酸化カリウム水溶液を含浸させて50ミクロンの厚みに調製した高分子ゲル層を形成し、もう一枚のITOコーティングガラス基板で挟み、実施例1と同様にしてインピーダンス測定を行い、厚みからイオン伝導度を計算した。抵抗値の測定から計算されたイオン伝導度は実施例12の約1/2の値であった。
実験例1〜12及び比較実験例1〜12で得られたイオン伝導構造体(高分子ゲル電解質)のインピーダンス測定により得られたイオン伝導度を対応する比較例のイオン伝導度に対する実施例のイオン伝導度の割合を表1にまとめて示した。
実験例13
本発明のイオン伝導構造体のイオン伝導度の異方性を測定するために、以下の方法で高分子ゲル電解質の調製を行い、イオン伝導度を計測した。
実験例13において、高分子ゲルの原料の混合液を以下の異なるものを用いて加熱により開始剤を分解させ重合架橋反応を起こした点を除き、実験例13と同様にしてイオン伝導度の異方性を測定するための高分子ゲル電解質の調製を行った。即ち、実験例13の混合液の代わりに、モノマーとしてメチルメタクリレート50部、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート5部、鋳型としての低分子液晶のN−(4−エトキシベンジリデン−4’−ブチルアニリン)40部、開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル5部を添加し、プロピレンカーボネートを100部添加して得られた混合液を用い、実験例13と同様にしてガラス容器901内にニッケル板の電極902が覆われるように挿入し、対向する一組のニッケル板を電極として電極間に交流100V(400Hz)の電界を印加し液晶モノマーを配向させた。もう一組の対向するニッケル板には電界は印加しなかった。
実験例1〜12と同様の手法で作製した高分子ゲル電解質を使用し、図6に示す形状であって名刺サイズ(55mm×90mm×厚み0.5mm)のシート形二次電池を作製した。また、本発明の二次電池との性能を比較するために、比較実験例1〜12と同様の手法で作製した高分子ゲル電解質を使用し、図6に示す形状であって名刺サイズ(55mm×90mm×厚み0.5mm)のシート形二次電池を比較例において作製した。二次電池の作製では、実施例、比較例とも正極の容量を負極の容量より大きくした負極容量で電池の容量が決定される電池を作製した。
先ず、負極と正極の調製を行い、対向させる表面に高分子ゲル電解質層を形成し、高分子ゲル電解質層側を対向させて負極と正極を張り合わせた後、防湿性性フィルムで密閉して、シート形電池を作製した。作製手順を図6を参照して以下に説明する。
〔1〕厚さ18ミクロンの銅箔の集電体606をアセトンとイソプロピルアルコールで洗浄し乾燥の後、該銅箔をカソード、SUS板を対向電極のアノードとして、スズの電解メッキ液(硫酸第一スズ40g/l、硫酸60g/l、ゼラチン2g/lを含有した水溶液)を使用して、28mA/cm2の電流を流し、銅箔(集電体606)の片面に粒径10ミクロン以下のスズの層(第一の層)605を厚さ30ミクロンに形成した。
〔2〕次いで、所定のサイズに切断し、ニッケル線のリードをスポット溶接で上記電極に接続し、負極604を得た。
〔1〕炭酸リチウムと炭酸コバルトを、1:2のモル比で混合した後、800℃空気気流で熱処理して、リチウム−コバルト酸化物を調製した。
〔2〕上記〔1〕において調製したリチウム−コバルト酸化物92部に、アセチレンブラックの炭素粉3部とポリフッ化ビリニデン粉5部を混合した後、N−メチルピロリドンを添加した。
すべての操作はアルゴンガス雰囲気下で行った。
すべての操作はアルゴンガス雰囲気下で行った。
以下の点を除き実施例1と同様にしてシート形電池を作製した。本比較例では、実施例1の(3)の負極と正極面への高分子ゲル層の形成で、液晶性のモノマーとして4−(6−アクリロイルオキシヘキシロキシ)−4’−シアノビフェニルの代わりにメチルアクリレートを使用した点が実施例1と異なる。すなわち、本例では、実施例1における鋳型としての液晶モノマーの使用は実施しなかった。
上記手順で作製した実施例1と比較例1の二次電池について、実験例1と同様の装置(図8に示す装置)を正極端子と負極端子に接続して1キロヘルツの測定信号にて内部抵抗を測定した。
先ず、負極と正極の調製を行い、対向させる表面に高分子ゲル層を形成し、高分子ゲル層側を対向させて負極と正極を張り合わせた後、防湿性フィルムで密閉して、図6に示すような構造のシート形電池を作製した。作製手順は図6を参照して以下の通りに行った。
反応容器内に乾燥したアルゴンガスを充填し、鋳型となる分子構造を有した化合物として非イオン界面活性剤のポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル15.0部及びイオン交換水275部を入れ、攪拌した。次いで、ジエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート8.76部及びエチレングリコールジメタクリレート0.24部を良く攪拌して滴下装置を用いて三つ口フラスコ内に滴下し、系が均一になるまで良く攪拌した。さらに、重合開始剤としてペルオキソ過硫酸カリウム0.03部をイオン交換水10部に溶かした水溶液を滴下装置を用いて三つ口フラスコ内に滴下し、三つ口フラスコ内を攪拌しながら75℃で7時間重合を行った。その後、得られた粒状高分子ゲルを水およびエタノールで洗浄し、乾燥して、粉末架橋高分子を得た。
実施例1と同様の手順で、負極604を得た。
〔1〕硝酸リチウムと炭酸ニッケルを、1:1のモル比で混合した後、750℃空気気流中で熱処理して、リチウム−ニッケル酸化物を調製した。
〔2〕上記〔1〕において調製したリチウム−ニッケル酸化物に、アセチレンブラックの炭素粉3wt(重量)%とポリフッ化ビリニデン粉4wt%と(1)の操作で得られた粒状高分子ゲル1wt%を混合した後、N−メチルピロリドンを添加した。
すべての操作はアルゴンガス雰囲気下で行った。
〔1〕(1)の操作で得られた微細な粒状の高分子ゲル90部に粒状高分子ゲルの支持材としてポリエチレンオキサイド10部を混合し、n−ヘキサンを添加して、ペーストを調製した。
〔2〕上記(2)で作製した負極活物質層と(3)で作製した正極活物質層の上に〔1〕で調製したペースト塗布し、乾燥し負極活物質層と正極活物質層の表面に高分子ゲル層を得た。
すべての操作はアルゴンガス雰囲気下で行った。
以下の点を除き実施例2と同様にしてシート形電池を作製した。本比較例では実施例2の(1)の粒状高分子ゲルの調製で、界面活性剤を使用すること無しに調製した。
上記手順で作製した二次電池に対して、実験例1と同様の装置(図8に示す装置)を正極端子と負極端子に接続して1キロヘルツの測定信号にて内部抵抗を測定した。
先ず、負極と正極の調製を行い、対向させる表面に高分子ゲル層を形成し、高分子ゲル層側を対向させて負極と正極を張り合わせた後、防湿性フィルムで密閉して、図6に示すような構造のシート形電池を作製した。作製手順を図6を参照して説明する。
アルゴンガス気流中2000℃で熱処理した天然黒鉛の微粉末95部及びポリフッ化ビニリデン粉5部にN−メチル−2−ピロリドンに添加してペーストを調整し、厚さ18ミクロンの銅箔の集電体606に調製したペーストを塗布乾燥した後、ロールプレス機で活物質層(黒鉛層)605の厚みを90ミクロンに調整して負極604を得た。
実施例1と同様の手順で、正極607を得た。
すべての操作はアルゴンガス雰囲気下で行った。
すべての操作はアルゴンガス雰囲気下で行った。
以下の点を除き実施例3と同様にしてシート形電池を作製した。本比較例では実施例3の(1)の高分子ゲル電解質形成のためのモノマー混合液の調製で、配向剤を兼ねる液晶性のモノマーとして4−(6−アクリロイルオキシヘキシロキシ)−4’−シアノビフェニルの代わりに2−エトキシエチルアクリレートを使用した。
以下の点を除き実施例3と同様にしてシート形電池を作製した。本比較例では実施例3の(1)の高分子ゲル電解質形成のためのモノマー混合液の調製及び(4)の高分子ゲル電解質層の形成を行わず、実施例3の(2)と(3)で作製した負極と正極の間に、厚み25ミクロンの微孔性ポリプロピレンフィルムのセパレータを挟み、そのセパレータにテトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートとエチレンカーボネートの重量比50:50の溶媒に溶解させた1モル/リットルの電解液を含浸保持させて、ポリプロピレン/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレートのラミネートフィルムである防湿性フィルム2枚で、負極/セパレータ(電解液)/正極をサンドイッチした後、防湿性フィルムのエッジ部を溶着して密閉して、シート形電池を作製した。
上記手順で作製した二次電池に対して、実験例1と同様の装置(図8に示す装置)を正極端子と負極端子に接続して1キロヘルツの測定信号にて内部抵抗を測定した。
先ず、負極と正極の調製を行い、対向させる表面に高分子ゲル層を形成し、高分子ゲル層側を対向させて負極と正極を張り合わせた後、防湿性フィルムで密閉して、図6に示すような構造のシート形電池を作製した。作製手順を図6を参照して以下に示す。
すべての操作はアルゴンガス雰囲気下で行った。
〔1〕界面活性剤としてのパルミチン酸カリウム30部とイオン交換水70部の混合溶液に、窒素ガスをバブリングしてガス置換をした後、エチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート8.76部及びエチレングリコールジメタクリレート0.24部、重合開始剤としてペルオキソ過硫酸カリウム0.03部を添加し攪拌した混合溶液を調製した。
〔2〕厚み50ミクロンのポリプロピレン不織布を、上記〔1〕で調製したモノマー混合液に浸し、75℃で加熱して重合反応と架橋反応を起こし、ポリプロピレン不織布を支持材としたフィルム状高分子ゲルを得た。得られた高分子ゲルをメチルアルコールで洗浄除去した後、加熱ロールプレス機で厚みを均一にして、テトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートに溶解させた1モル/リットルの電解液を吸液させて高分子ゲル電解質を得た。
厚さ20μmのニッケルのエキスパンドメタル606を所定のサイズに切断した後、厚み25μmの金属リチウム箔605に圧着し金属リチウム内に埋設し、金属リチウム表面はアルゴンガスをプラズマ化してエッチングして負極604を作製した。
〔1〕電解二酸化マンガンと炭酸リチウムを、1:0.4のモル比で混合した後、800℃で熱処理して、リチウム−マンガン酸化物を調製した。
〔2〕上記〔1〕において調製したリチウム−マンガン酸化物に、アセチレンブラックの炭素粉3wt(重量)%とポリフッ化ビリニデン粉4wt%と実施例4の(1)の操作で得られた粒状高分子ゲル1wt%を混合した後、N−メチルピロリドンを添加してペーストを調製した。
すべての操作はアルゴンガス雰囲気下で行った。
以下の点を除き実施例4と同様にしてシート形電池を作製した。本比較例では実施例4の(1)の高分子ゲル電解質の調製の〔1〕で、界面活性剤を使用しないで調製した。
以下の点を除き実施例4と同様にしてシート形電池を作製した。本比較例では実施例4の(1)の高分子ゲル電解質の調製を行わず、実施例4の(2)と(3)作製した負極604と正極607の間に、テトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートとエチレンカーボネートの重量比50:50の溶媒に溶解させた1モル/リットルの電解液を含浸保持させた厚み50ミクロンの微孔性ポリプロピレンフィルムのセパレータを挟み、ポリプロピレン/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレートのラミネートフィルムである防湿性フィルム2枚で、負極/セパレータ(電解液)/正極をサンドイッチした後、防湿性フィルムのエッジ部を溶着して密閉して、シート形電池を作製した。
上記手順で作製した二次電池に対して、実験例1と同様の装置(図8に示す装置)を正極端子と負極端子に接続して1キロヘルツの測定信号にて内部抵抗を測定した。
先ず、負極と正極の調製を行い、対向させる表面に高分子ゲル層を形成し、高分子ゲル層側を対向させて負極と正極を張り合わせた後、防湿性フィルムで密閉して、図6に示すような構造のシート形電池を作製した。
〔1〕実験例1と同様にして、反応容器内に、鋳型となる分子構造を有した化合物として非イオン界面活性剤のポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル15.0部及びイオン交換水275部を入れ攪拌し、アルゴンガスをバブリングしてガス置換を行なった。次いで、ジエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート8.76部及びエチレングリコールジメタクリレート0.24部、重合開始剤としてペルオキソ過硫酸カリウム0.03部添加し、攪拌しながら75℃で7時間重合を行った。その後、得られた粒状高分子ゲルを水およびエタノールで洗浄し、乾燥して、粉末架橋高分子を得た。
〔2〕上記〔1〕の操作で得られた粉末架橋高分子をカレンダー加工して、架橋高分子フィルムを得た。
アルゴンガス気流中2000℃で熱処理した天然黒鉛の微粉末95部及びポリフッ化ビニリデン粉4部に、上記(1)で得られた架橋高分子粉末をさらに微粉末に粉砕したもの1部を加え、N−メチル−2−ピロリドンに添加してペーストを調整し、厚さ18ミクロンの銅箔の集電体206に調製したペーストを塗布乾燥した後、ロールプレス機で活物質層(黒鉛層)の厚みを90ミクロンに調整して負極604を得た。
〔1〕炭酸リチウムと炭酸コバルトを、1:2のモル比で混合した後、800℃空気気流で熱処理して、リチウム−コバルト酸化物を調製した。
〔2〕上記〔1〕において調製したリチウム−コバルト酸化物92部に、アセチレンブラックの炭素粉3部、ポリフッ化ビリニデン粉4部、上記(1)で得られた架橋高分子粉末をさらに微粉末に粉砕したもの1部を加え混合した後、N−メチルピロリドンを添加した。
テトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートに溶解させて、1モル/リットルの電解液を調製した。
すべての操作はアルゴンガス雰囲気下で行った。
以下の点を除き実施例5と同様にしてシート形電池を作製した。本比較例では実施例5の(1)の高分子ゲル電解質の形成の〔1〕で、界面活性剤を使用しないで調製した。すなわち、本例では、実施例5における鋳型用の化合物の使用は実施しなかった。
上記手順で作製した二次電池に対して、実験例1と同様の装置(図8に示す装置)を正極端子と負極端子に接続して1キロヘルツの測定信号にて内部抵抗を測定した。
以下の手順で、図6に示したようなシート形のニッケル−水素二次電池を作製した。
高周波溶融で得られたMg2Ni合金粉とニッケル粉をモル比1:1に混合した後、遊星ボールミルで混合し非晶質化したマグネシウム−ニッケル合金粉を調製した。次に、導電補助剤として上記非晶質化したマグネシウム−ニッケル合金粉に対して重量比3の銅粉を混合し、この混合粉をニッケルのパンチングメタルにローラープレスで圧着し、所定の大きさに切断し、ニッケル線のリードをスポット溶接で上記電極に接続し、負極を得た。
水酸化ニッケル粉92%、酸化コバルト粉2%を混合後、結着剤としてカルボキシメチルセルロースが6%になるようにカルボキシメチルセルロース2重量%の水溶液を用いてペーストを得る。このペーストを厚さ1.5mm孔径200ミクロン多孔度95%の発泡状ニッケル基板609に充填塗着し、120℃1時間乾燥した。得られた電極は加圧して厚さを調整した。次いで、所定の大きさに切断し、ニッケル線のリードをスポット溶接で上記電極に接続し、正極607を得た。
〔1〕液晶性を示すポリマーのヒドロキシプロピルセルロース60部にイオン交換水40部を混合しポリマー溶液を調製した。
上記(3)で得られた負極上に形成したポリプロピレン不織布で支持された高分子ゲル電解質層の上に上記(3)で得られた正極を密着させ、この時各リード部が短絡しないようにし、ポリプロピレン/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレートのラミネートフィルムであるガスバリアー性フィルム2枚で、張り合わせた負極と正極をサンドイッチした後、真空ポンプから成る排気装置が接続された減圧装置に挿入して減圧雰囲気にして、ガスを抜いた後、防湿性フィルムのエッジ部を溶着して密閉して、シート形電池を作製した。
以下の点を除き実施例6と同様にしてシート形電池を作製した。本比較例では実施例6の(1)の高分子ゲル電解質の形成を行わないで、20の(1)と(2)作製した負極と正極の間に、2重量%の水酸化リチウムを含む30重量%の水酸化カリウム水溶液を含浸保持させた厚み200ミクロンの親水処理したポリプロピレンフィルム不織布のセパレータを挟み、ポリプロピレン/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレートのラミネートフィルムである防湿性フィルム2枚で、負極/セパレータ(電解液)/正極をサンドイッチした後、防湿性フィルムのエッジ部を溶着して密閉して、シート形電池を作製した。すなわち、本例では、実施例6における高分子ゲル電解質の使用は実施しなかった。
上記手順で作製した二次電池に対して、実験例1と同様の装置(図8に示す装置)を正極端子と負極端子に接続して1キロヘルツの測定信号にて内部抵抗を測定した。
本例では、以下の手法で図7に示した断面構造のコイン形のニッケル−亜鉛二次電池を作製した。
酸化亜鉛粉末95部、亜鉛粉末5部の混合物に、混合物と結着剤としてのテトラフルオロエチレンポリマーの重量比が95:5になるように、酸化亜鉛粉末と亜鉛粉末の混合物にテトラフルオロエチレンポリマー分散水溶液を加えて混練してペースト状にし、銅のパンチングメタル板に塗着し、乾燥した後、ロールプレス機でプレスすることによって、亜鉛負極板を得た。得られた亜鉛負極板を所定のサイズにパンチで打ち抜き、負極701を得た。
水酸化ニッケル粉92%、酸化コバルト粉2%を混合後、結着剤としてカルボキシメチルセルロースが6%になるようにカルボキシメチルセルロースの2重量%の水溶液を用いてペーストを得る。このペーストを厚さ1.5mm孔径200ミクロン多孔度95%の発泡状ニッケル基板に充填塗着し、120℃1時間乾燥した。得られた電極は加圧して厚さを調整した。次いで、裏面の活物質を超音波で剥離し、集電体のニッケルを露出させた後、所定のサイズにパンチで打ち抜き、正極703を得た。
〔1〕液晶性を示すポリマーのヒドロキシプロピルセルロース60部にイオン交換水40部を混合しポリマー溶液を調製した。
〔2〕上記(1)で作製した負極の上に親水処理した厚み130ミクロンのポリプロピレン不織布を重ね、上記〔1〕で調製したポリマー溶液を塗布し、静置した後、電子線を照射して架橋反応を起こし、ポリプロピレン不織布で支持された高分子ゲル層を調製した。ついで乾燥後、2重量%の水酸化リチウムを含む30重量%の水酸化カリウム水溶液を含浸させて高分子ゲル電解質層702を形成した。同様にして、上記(2)で作製した正極を上記〔1〕で調製したポリマー液に浸し、電子線を照射して架橋反応を起こし、高分子ゲル層をニッケルが露出した面と反対側の正極面に形成した。次に高分子ゲル層が形成された正極を乾燥後、重量%の水酸化リチウムを含む30重量%の水酸化カリウム水溶液を含浸させ、高分子ゲル電解質層702が形成された正極を調製した。
上記(3)で得られた負極上に形成したポリプロピレン不織布で支持された高分子ゲル電解質層に上記(3)で得られた正極を密着させ、正極の集電体のニッケルの露出した面を、チタンクラッドのステンレススチール材のコイン形電池缶705の底と接するように、負極701/高分子ゲル電解質層702/正極703を電池缶705に挿入した後、ポリプロピレン製のガスケット706をはめ、負極キャップ704をかぶせて、かしめてコイン形電池を作製した。
以下の点を除き実施例7と同様にしてコイン形電池を作製した。本比較例では実施例7の(3)の高分子ゲル電解質の形成を行わないで、負極701と正極703の間に、高分子ゲル電解質層の代わりに、2重量%の水酸化リチウムを含む30重量%の水酸化カリウム水溶液を含浸保持させた厚み200ミクロンのポリプロピレンフィルム不織布のセパレータを挟み、正極の集電体のニッケルの露出した面を、チタンクラッドのステンレススチール材のコイン形電池缶705の底と接するように、負極/セパレータ(電解液)/正極を電池缶に挿入した後、ポリプロピレン製のガスケット706をはめ、負極キャップ704をかぶせて、かしめてコイン形電池を作製した。すなわち、本例では、実施例7における高分子ゲル電解質の使用は実施しなかった。
上記手順で作製した二次電池に対して、実験例1と同様の装置(図8に示す装置)を正極端子と負極端子に接続して1キロヘルツの測定信号にて内部抵抗を測定した。
本例では、以下の手法で図7に示した断面構造のコイン形の空気−亜鉛二次電池を作製した。
実験例10と同様にして、アクリルアミド8部、アクリル酸2部、メチレンビスアクリルアミド1部、アニオン界面活性剤のドデシルスルホン酸ナトリウム20部、開始剤としての2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4部、イオン交換水92部、を混合し、窒素雰囲気下で70℃で攪拌しながらラジカル重合すると粒状高分子ゲルが得られた。メタノールで洗浄し界面活性剤を除去し、乾燥した。
酸化亜鉛粉末95部、亜鉛粉末5部の混合物に、さらに、結着剤としてのテトラフルオロエチレンポリマーと上記(1)で得られた高分子ゲル粉末を重量比で94:5:1になるように混合し、銅のパンチングメタル板に、ロールプレス機で圧着加熱することによって、亜鉛負極板を得た。得られた亜鉛負極板を所定のサイズにパンチで打ち抜き、負極701を得た。
アセチレンブラックに二酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化コバルトを混合した混合物に、結着剤としてのテトラフルオロエチレンポリマーと上記(1)で得られた高分子ゲル粉末を重量比で94:5:1になるように混合し、ニッケルメッシュに塗布しロールプレス機で圧着加熱することによって成形したものを、所定のサイズにパンチで打ち抜き、正極703を作製した。
上記(1)で得られた高分子ゲル粉末と粒径10ミクロンのコロイダルシリカを97:3の重量比で混合し、これを(2)で得られた負極面に分散し、2重量%の水酸化リチウムを含む30重量%の水酸化カリウム水溶液を添加し高分子ゲル電解質層702を形成した。
チタンクラッドのステンレススチール材の空気取り込み孔付き電池缶(正極缶)705に空気拡散紙とはっ水膜のテトラフルオロエチレンポリマーフィルムを挿入し、上記(3)で得られた正極703、上記(4)で得られた高分子ゲル電解質層702被覆の負極701を密着させて順次挿入し、正極の集電体のニッケルは電池缶705に接して導通するようにした。その後、ポリプロピレン製のガスケット706をはめ、負極キャップ704をかぶせて、かしめてコイン形電池を作製した。
以下の点を除き実施例8と同様にしてコイン形電池を作製した。本比較例では実施例8の(4)の高分子ゲル電解質の形成を行わなかった。さらに、実施例8の(2)と(3)で作製した負極と正極作製で高分子ゲル粉末の代わりにテトラフルオロエチレンポリマー粉末を用いて負極と正極を作製した。電池の組み立てでは、正極と負極の間に2重量%の水酸化リチウムを含む30重量%の水酸化カリウム水溶液を含浸保持させた厚み200ミクロンのポリプロピレンフィルム不織布のセパレータを挟んだ。
上記手順で作製した二次電池に対して、実験例1と同様の装置(図8に示す装置)を正極端子と負極端子に接続して1キロヘルツの測定信号にて内部抵抗を測定した。
201,401,501,601 層状もしくは柱状(カラム)構造に沿ってイオンチャネルが配向したイオン伝導構造体
202 配向したイオンチャネル
403,502,602 層状もしくは柱状(カラム)構造
504,604,701 負極
505,607,703 正極
507 負極端子
508 正極端子
506 電槽(ハウジング)
605 負極活物質層
606 負極集電体
608 正極活物質層
609 正極集電体
610 外装材(ハウジング)
204,205,304,305,802,902 電極
206,306 電源
301 イオン伝導構造体
302 無配向のイオンチャネル
203、303 母材部
402 層状もしくは柱状(カラム)構造の粒状イオン伝導体
503、603 層状もしくは柱状(カラム)構造イオン伝導構造体の母材
803 インピーダンス測定装置
901 容器
704 負極キャップ(負極端子)
705 正極缶(正極端子)
706 ガスケット
Claims (15)
- 対向して設けられる正極及び負極の間に、イオン伝導構造体を配し、前記イオン伝導構造体の、前記正極面と負極面とを結ぶ方向のイオン伝導度が高くなるように、イオンチャネルを配向させる二次電池の製造方法であって、
ビニル化合物のモノマーと、二つ以上の不飽和結合を有するジビニル化合物、トリビニル化合物から選択される架橋剤に、液晶性化合物、ジアセチレン化合物、両親媒性化合物から選択される前記モノマー及び/又は架橋剤を配列させるための鋳型となる化合物を添加し、重合架橋することによりイオン伝導構造体の母材である架橋高分子を調製する工程を経て層状もしくは柱状(カラム)構造を有するイオン伝導構造体を作製することを特徴とする二次電池の製造方法。 - 前記重合架橋の前に、不織布、無機酸化物から選択された補強材を添加することを特徴とする請求項1記載の二次電池の製造方法。
- 前記層状もしくは柱状(カラム)構造を有するイオン伝導構造体は、光照射、磁場印加、電場印加、加熱から選択される一種類以上の工程を経て作製される請求項1記載の二次電池の製造方法。
- 前記鋳型となる化合物が両親媒性化合物である請求項1記載の二次電池の製造方法。
- 前記架橋高分子に、電解液(支持電解質を溶媒に溶解させて得られる溶液)を吸液させ、固形化させて前記イオン伝導構造体を作製する請求項1記載の二次電池の製造方法。
- 前記架橋高分子の調製時(架橋反応前)に、電解液(支持電解質を溶媒に溶解させて得られる溶液)を添加して前記イオン伝導構造体を作製する請求項1記載の二次電池の製造方法。
- 前記架橋高分子の形状がシート状もしくはフィルム状である請求項1記載の二次電池の製造方法。
- 前記架橋高分子の形状が粒状もしくは粉末状である請求項1記載の二次電池の製造方法。
- 負極、層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有するイオン伝導構造体、及び正極をこの順序で積層して積層体を形成する工程を含む請求項1記載の二次電池の製造方法。
- 負極、層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有する架橋高分子、及び正極に電解液(支持電解質を溶媒に溶解させて得られる溶液)を吸液させる工程と、吸液した前記負極、吸液した前記架橋高分子及び吸液した前記正極をこの順序で積層して積層体を形成する工程と、を含む請求項1記載の二次電池の製造方法。
- 負極と正極間にスペーサーを挟み、負極と正極の接触を避け、負極と正極間に一定の距離を保った後、負極と正極間に、層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有するイオン伝導構造体を形成する請求項1記載の二次電池の製造方法。
- 負極及び正極の少なくとも一方の表面に、層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有するイオン伝導構造体を形成する請求項1記載の二次電池の製造方法。
- 負極及び正極の少なくとも一方の表面に、層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有する高分子層を形成し、該高分子層に電解液を吸液させて前記イオン伝導構造体を形成する請求項1記載の二次電池の製造方法。
- 前記重合架橋の後に、前記鋳型となる化合物を除去してイオン伝導構造体を作製することを特徴とする請求項1記載の二次電池の製造方法。
- 前記架橋高分子を、表面配向処理された基体上に前記モノマー及び/又は架橋剤を配列させるための鋳型となる化合物を配置した上で調製することを特徴とする請求項1記載の二次電池の製造方法。
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