JP4630857B2 - 二次電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、イオン伝導構造体を備えた二次電池の製造方法に関する。より詳細には、充放電の繰り返しによって電解液の分解を抑えた二次電池に関する。
最近、大気中に含まれる二酸化炭素ガス量が増加しつつある為、温室効果により地球の温暖化が生じると予測されている。このため、二酸化炭素ガスを多量に排出する火力発電所は、新たに建設することが難しくなって来ている。これに対して、火力発電所などの発電機にて作られた電力の有効利用として、夜間電力を一般家庭に設置した二次電池に蓄えて、これを電力消費量が多い昼間に使用して負荷を平準化する、いわゆるロードレベリングが提案されている。一方、大気汚染物質を排出しないという特徴を有する電気自動車用途では、高エネルギー密度の二次電池の開発が期待されている。さらに、ブック型パーソナルコンピューター、ワードプロセッサー、ビデオカメラ及び携帯電話などのポータブル機器の電源用途では、小型・軽量で高性能な二次電池の開発が急務になっている。
上記小型・軽量で高性能の二次電池としては、リチウム−黒鉛層間化合物を二次電池の負極に応用する例が非特許文献1に報告されて以来、例えば、炭素材を負極活物質に、リチウムイオンを層間化合物に導入したものを正極活物質に用い、炭素材の層間に充電反応でリチウムを挿入して蓄えるロッキングチェアー型二次電池いわゆる“リチウムイオン電池”の開発が進み、一部実用化されつつある。このリチウムイオン電池では、リチウムをゲストとして層間にインターカレートするホスト材料の炭素材を負極に用いることによって、充電時のリチウムのデンドライト成長を抑えて、充放電サイクルにおいて長寿命を達成している。
しかしながら、上記リチウムイオン二次電池のような、リチウムイオンによる電池反応(充放電反応)を用いた二次電池では、電解液の溶媒に有機溶媒を使用するために、過充電すると溶媒が分解して、炭酸ガスや炭化水素などを発生し、再結合反応によってもとの溶媒に戻ることはないので、電解液の劣化が起こり二次電池の内部インピーダンスの増加が起こる恐れがある。更に、過充電をすると電池の内部短絡が起こり発熱とともに急激な溶媒の分解反応が進行し、二次電池の破損に至ることも起こる場合がある。
このような二次電池の劣化を防ぐために、過充電防止回路、温度が上昇すると抵抗値が上昇するPTC(Positive Temperature Coefficient) 素子等が装着されているが、コスト高をもたらす要因となっている。
また、上記リチウムイオンによる充放電反応を用いた二次電池における電解液の分解、劣化に関する問題点を解決するために、特許文献1では、ジアクリレート系、モノアクリレート系、及びカーボネート基を含むアクリレート系の3種類のモノマーを有機溶媒と支持電解質の共存下でを共重合して得られる固体高分子電解質を電解質に採用し、コークスを負極にリチウムコバルト酸化物を正極に用いて二次電池を形成している。しかし、上記固体高分子電解質は、支持電解質を溶媒に溶解した液体の電解質に比較してイオン伝導率は1/4以下であるため、二次電池における電流密度も制限され、エネルギー密度も小さくなっていた。
一方、水素吸蔵合金などを負極に使用した高性能なアルカリ蓄電池(二次電池)においても、性能を極力低下することなく、液漏れを防ぐ、電解質の固形化の技術が要求されていた。
米国特許5609974号明細書 JOUNAL OF THE ELECTROCHEMICAL SOCIETY 117,222 (1970)
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その課題とするところは、二次電池に使用する電解質であって、二次電池の充放電反応において、劣化、分解が防止された電解質、及び該電解質を用いた二次電池を提供することである。
本発明の第一は、対向して設けられる正極と負極の間に、イオン伝導構造体を配して構成される二次電池において、前記イオン伝導構造体は、前記正極面と負極面とを結ぶ方向にイオン伝導度が高くなるように、イオンチャネルが配向しており、前記イオン伝導構造体が、層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有し、イオン伝導性ガラスである、もしくは、支持電解質と該支持電解質を溶解する溶媒から成る電解液を吸液し膨潤した有機高分子ゲルである、ことを特徴とする二次電池である。そしてこの二次電池は、イオン伝導構造体が層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有し、支持電解質と該支持電解質を溶解する溶媒から成る電解液を吸液し膨潤した有機高分子ゲルであり、不織布、無機酸化物から選択された補強材で補強されているものを包含する。
本発明の第二は、対向して設けられる正極及び負極の間に、イオン伝導構造体を配し、前記イオン伝導構造体の、前記正極面と負極面とを結ぶ方向のイオン伝導度が高くなるように、イオンチャネルを配向させる二次電池の製造方法であって、ビニル化合物のモノマーと、二つ以上の不飽和結合を有するジビニル化合物、トリビニル化合物から選択される架橋剤に、液晶性化合物、ジアセチレン化合物、両親媒性化合物から選択される前記モノマー及び/又は架橋剤を配列させるための鋳型となる化合物を添加し、重合架橋することによりイオン伝導構造体の母材である架橋分子を調製する工程を経て層状もしくは柱状(カラム)構造を有するイオン伝導構造体を作製することを特徴とする二次電池の製造方法である。
本発明の二次電池を構成するイオン伝導構造体は、層状もしくは柱状(カラム)構造であり、その層状もしくは柱状(カラム)構造に沿う方向または垂直な方向に、実質的にイオンの移動距離が最も短くなるイオンの伝導経路(イオンチャンネル)が形成されるので、この経路でのイオン伝導度が最も高くなり異方伝導性を示す。そして、本発明の二次電池では、該イオン伝導構造体のイオン伝導度の高い方向を対向する負極と正極の平面に垂直な方向と一致させることで、内部抵抗を低減でき、かかる構造のイオン伝導構造体を採用しない二次電池に比較して高い効率及び高電流での充放電が可能になる。
また、かかる構造のイオン伝導構造体は、層状もしくは柱状(カラム)構造の母材となる高分子に電解液(支持電解質を溶媒に溶解した溶液)を吸液し形成される高分子ゲル電解質であることが好ましい。
本発明の第二の二次電池の製造方法は、負極と正極間に挟持させるイオン伝導構造体を、層状もしくは柱状(カラム)構造とするものである。上記イオン伝導構造体は、層状もしくは柱状(カラム)構造を有した架橋高分子材料を調製し電解液を吸液させて調製するか、電解液の共存下で層状もしくは柱状(カラム)構造を有した架橋高分子材料を調製することによって、作製されうる。上記層状もしくは柱状(カラム)構造を有した架橋高分子材料は、光照射、磁場印加、電場印加、加熱から選択される一種類以上の操作で規則的に並ばせた後、架橋させることで、得ることができる。また、上記構造の高分子は、鋳型となる分子構造を有した化合物を架橋高分子の調製時に用いることで、得ることができる。
本発明によれば、イオン伝導率が高く放電特性に優れたイオン伝導構造体を使用した高性能の二次電池が提供される。さらに、本発明をリチウムもしくは亜鉛を負極に用いる二次電池に適用することによって、性能劣化の原因となるリチウムもしくは亜鉛のデンドライトの成長が抑制でき、サイクル寿命が長く、かつ、エネルギー密度の高い、二次電池の作製が可能になる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
まず、本発明の二次電池に用いることができる層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有するイオン伝導構造体を図1を参照して説明する。
図1の(a)と(b)は、一例として、シート状の上記イオン伝導構造体101の模式断面構造を示した斜視図である。図1の(a)はシート状イオン伝導構造体の平面に垂直方向に柱状構造もしくは層状構造が発達したものである。図1の(b)は、シート状イオン伝導構造体の平面に平行に層状構造が発達したものである。上記図1のイオン伝導構造体では、その層状もしくは柱状(カラム)構造に沿う方向または垂直な方向に、実質的にイオンの移動距離が最も短くなるイオンの伝導経路(イオンチャンネル)が形成され、この経路でのイオン伝導度が最も高くなり異方伝導性を示す。本発明の二次電池では、好ましくは厚み500μm以下より好ましくは厚み100μm以下の、負極及び正極平面に垂直方向にイオン伝導度の高い、図1のような層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有するイオン伝導構造体を対向する負極と正極間に挟持することによって作製することができる。
上記層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有するイオン伝導構造体は、電解液(支持電解質を溶媒に溶解した溶液)を吸液する層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有する架橋高分子を調製することで作製可能である。また、上記架橋高分子の層状構造もしくは柱状(カラム)構造は、光照射、磁場印加、電場印加、加熱から選択される一種類以上の操作で高分子を構成する分子を規則よくならべるか、鋳型を用いて高分子を構成する分子をならべることによって、達成することができる。このようなイオン伝導構造体の例として、リチウム塩などの支持電解質を有機溶媒に溶かした電解液を吸液してゲル状態になった上記構造の高分子材料(高分子ゲル電解質)が挙げられ、高イオン伝導の方向でのイオン伝導度は少なくとも3×10−3Scm−1もしくは5×10−3Scm−1を超えるものを形成することができる。
また、上記層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有するイオン伝導構造体は、電場及びまたは磁場を印加し、伝導性ガラスなどの無機酸化物を、クラスターイオンビームや電子ビームやスパッタリング法で蒸着することによっても、形成することができる。
次に、図2と図3を参照して、異方性イオン伝導構造体201の特徴を説明する。図2(a)における201はイオン伝導構造体を模式的に示す図であり、イオン伝導構造体の母材203中に、層状もしくは柱状(カラム)構造に沿う方向または層状構造に垂直な方向に、最短のイオンの伝導経路(イオンチャンネル)202が並んで、つまり配向して、形成されている。ここで、図2(b)では電極204及び205間に該電極面に垂直な方向に該イオン伝導構造体201の最短のイオンの伝導経路(イオンチャンネル)202の方向が一致した、当該イオン伝導構造体201が配置され、電極204及び205を供給電源207に接続されている。
一方、図3(a)に示すイオン伝導構造体301では、イオン伝導構造体の母材303中に無秩序な方向にイオンの伝導経路(イオンチャンネル)302が形成されている。図3(b)では、電極304及び305間にかかるイオン伝導構造体301が配置され、電極304及び305を供給電源306に接続されている。
図2(b)及び図3(b)の構造を比較すると、前者のイオン伝導構造体201におけるイオンチャネル202の配向した方向でのチャネル長が、後者のそれに比較して実質的に短い。そのため、イオン伝導構造体(201、301)中のイオン数、及びイオンの移動度が同一である時、イオンチャネル202,302の配向した方向にイオンが移動するように、イオン伝導構造体201,301の両端(電極204及び205間、電極304及び305間)に電界を印加した場合には、図2に示す本発明に相当するイオンチャネルの短いイオン伝導構造体201の方が電界強度(印加電圧/チャネル長)が強くなり、イオンの移動速度((イオンの移動度)×(電界強度))は大きく、イオン伝導度はイオン濃度とイオンの移動速度に比例して大きくなるので、イオン伝導度が高くなる。また、図2に示したイオン伝導構造体201では、対向する電極面に垂直な方向に最短のイオンチャネルがならび、この方向におけるイオン伝導度が他の方向より選択的に高く、イオン伝導性に異方性があることになる。
図4を参照して、本発明のイオン伝導構造体の他の態様を示す。同図におけるイオン伝導構造体401は、層状もしくは柱状(カラム)構造403に沿ってイオンチャネルが揃った、多数の粒状イオン伝導体402から構成される集合体であり、各粒状イオン伝導体402にはある方向に揃った最短のイオンチャネルが形成されているために、当該粒状イオン伝導体401全体として実質的に高いイオン伝導度が得られる。なお、404はイオン伝導体402を結着する層(材料)である。粒状のイオン伝導体402としては、有機高分子ゲル、粒状の無機酸化物ゲル(例えば粒状シリカゲル)などを用いることができる。上記粒状イオン伝導体402はポリエチレンオキサイドなどの樹脂を結着剤として使用することで、層状もしくはフィルムあるいはシート状に加工することが可能である。また、上記粒状イオン伝導体402の母材が架橋した有機高分子材料である場合には、カレンダー加工などの加工方法にて、フィルムあるいはシート状に加工することも可能である。
次に、図5及び図6を参照して本発明の二次電池の態様を模式的に説明する。
図5は、本発明の二次電池の一般的な形態を示す。同図に示す二次電池500では、図1(a)、図1(b)、及び図2(a)に示すようなイオン伝導構造体の母材503中に、対向する負極504と正極505に垂直な方向にならんだ、最短のイオンチャネル502を有するイオン伝導構造体501が、負極504及び正極505間に挟持されて、電槽(ハウジング)506内に収容されている。かかる二次電池500は、例えば紙面垂直方向での断面が長方形の角型電池となる。負極504及び正極505の夫々には外部接続用の端子507及び508が接続されており、外部負荷や電源に接続される。かかる構造の二次電池500では、対向する負極504と正極505面に垂直な方向に、層状もしくは柱状(カラム)構造502に沿ってイオンチャネルが配向したイオン伝導構造体501を用いており、負極504及び正極505間でのイオンの移動距離が最短となり、実質的なイオンの移動速度が早くなるので内部インピーダンスが低い。そのため、高電流密度での充放電が可能であり、かつ充放電効率も高い二次電池が実現される。
図6は、本発明の二次電池をシート型電池に応用した具体的な態様を示す。同図に示す二次電池600では、集電体606上に活物質層605を備えた負極604、及び集電体609上に活物質層608を備えた正極607間に、セパレータとして、当該正極面及び負極面に、垂直な方向に配向し、内部に電解質が充填された、図1(a)、図1(b)、及び図2(a)に示すようなイオン伝導構造体の母材603中に、対向する負極604と正極607に垂直な方向にならんだ、層状もしくは柱状(カラム)構造602に沿って形成された最短のイオンチャネルを有するイオン伝導構造体601が挟持されている。そして、これら負極/イオン伝導構造体/正極の積層体は、各極の集電体から入出力端子を引き出し(図示せず)、外装材610でラミネートされている。
かかる二次電池600では、入出力端子に不図示の外部電源を接続して充電され、イオン伝導構造体601を通して電気化学反応が生じ(電極間でのイオンの移動が生じ)蓄電される。また、出入力端子に不図示の外部負荷を接続することによって、電池内部ではイオン伝導構造体601を通して電気化学反応が生じ(電極間でのイオンの移動が生じ)放電される。
このシート型電池は、図5に示す電池の場合と同様に、イオン伝導構造体601の特性に起因して、負極604及び正極607間でのイオンの移動距離が最短となり、実質的なイオンの移動速度が早くなるため内部インピーダンスの低く、高電流密度での充放電が可能であり、かつ充放電効率も高い二次電池となる。
更に、電極間に挟持されたイオン伝導構造体601は、固体かもしくは固形化されたもので、負極及び正極間に液体の電解液を使用したものに比べて、外装材610が破損した場合にも液漏れが無く、過充電時の電解質中の溶媒の分解も抑制されるので、安全弁のような安全機構が不要になり、電池の厚みを薄くすることができ、過充電回路をそれまでの複雑なものから簡単なものに置き換えることが可能となる。また、このシート状電池では形状を任意に設計することができ、機器の電源に用いる場合には電源の設置スペースを最小にすることができる。
尚、図6のシート状電池の態様では、正極607及び負極604は一枚であるが、複数の電極を用い、例えば負極/イオン伝導構造体/正極/イオン伝導構造体/負極/イオン伝導構造体/正極といったように積層して、内部で負極/イオン伝導構造体/正極のセル単位を並列接続もしくは直列接続した形態の二次電池とすることも可能である。後述するような形状のコイン形電池、円筒形電池、角形電池の形状の電池ハウジングに負極/イオン伝導構造体/正極から成るセル単位を組み込むことも可能である。
以下、本発明の二次電池を構成する部材、その製造方法について詳細に説明する。
1.イオン伝導構造体(図1に示す101、図2に示す201、図5に示す501、図6に示す601等)
本発明の二次電池に使用するイオン伝導構造体は、層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有するものとすることができる。そのような構成とした場合、その層状もしくは柱状(カラム)構造に沿った方向または層状構造に垂直な方向に、実質的にイオンの移動距離が最も短くなるイオンの伝導経路(イオンチャンネル)が形成され、この経路でのイオン伝導度が最も高くなり異方伝導性を示す。本発明の二次電池では、対向する負極及び正極平面に垂直方向にイオン伝導度の高い、上記層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有するイオン伝導構造体を負極と正極間に挟持して構成することができる。
本発明に用いる層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有したイオン伝導構造体の材料としては、例えば特定の分子配向を持たせた有機又は無機の高分子ゲル材料、イオン伝導ガラスを用いることができる。また、本発明の二次電池に用いるイオン伝導構造体のガラス転移温度は、マイナス20℃以下であることが好ましく、より好ましくは、マイナス30℃以下、更にはマイナス50℃以下であることが最も好ましい。ガラス転移温度は、熱機械分析装置(Thermomechanical Analyzer)を用いた圧縮荷重法による測定や示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter)による測定などの熱分析で求めることができる。
高分子ゲルからなるイオン伝導構造体の製造方法として、層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有した高分子材料に電解質(電解液)を充填したイオン伝導構造体、即ち高分子ゲル電解質の形態の構造体の具体的な製造方法例を以下に示す。
(a)重合反応で高分子を形成するモノマー、高分子ゲルを形成する架橋剤、及び鋳型となる分子構造を有した化合物を少なくとも混合する。次に、上記混合液において、重合反応と架橋反応を起こし、層状もしくは柱状(カラム)構造を有した架橋高分子を調製する。架橋高分子調製時には、必要に応じて溶媒を混合する。ついで、支持電解質を溶媒に溶解した電解液を得られた架橋高分子に吸収保持させることによって、高分子ゲル電解質を形成する。前記鋳型用化合物は、その材料によって可能なものについては、架橋高分子調製後に除去することが望ましい。また、電解液は重合反応前に添加して、一挙に電解液が充填された高分子ゲルイオン伝導構造体を調製してもよい。
(b)高分子材料、高分子を溶解する溶媒、架橋剤、及び鋳型となる分子構造を有した化合物を少なくとも混合する。次に、上記混合液において、架橋反応を起こし、層状もしくは柱状(カラム)構造を有した架橋高分子を調製する。ついで、支持電解質を溶媒に溶解した電解液を調製した架橋高分子に吸収保持させることによって、高分子ゲル電解質を形成する。前記鋳型用化合物は、架橋高分子調製後に、除去するのが望ましい。また、電解液は架橋反応前に添加して、一挙に電解液が充填された高分子ゲルイオン伝導構造体を調製してもよい。
上記(a)もしくは(b)で作製される高分子ゲルからなるイオン伝導構造体は、不織布などの支持材料に固定するか、キャスティングなどの手法にて、直接フィルム形状もしくはシート状に作製することができる。この時、フィルムもしくはシート面に垂直方向(フィルムの厚み方向)に柱状構造もしくは層状構造が発達するか、または平行な方向に層状構造が発達させるのが好ましい。これにより、イオンの伝導経路(イオンチャンネル)がフィルムもしくはシート面に垂直方向に発達しているのが望ましい。
(c)上記(a)もしくは(b)の方法における架橋高分子の調製を懸濁重合もしくは乳化重合にて行い粒状の架橋高分子を得るか、塊状重合にて得られた架橋高分子を粉砕して粉末状の架橋高分子を得る。その後、得られた層状もしくは柱状(カラム)構造の粒状もしくは粉末状の架橋高分子に電解液を添加してペーストを調製し塗布することによって、高分子ゲル電解質のイオン伝導構造層を形成することができる。また、上記粒状もしくは粉末状の架橋高分子を、他の高分子及び該高分子を溶解する溶媒を混合してペーストを調製し、塗布して架橋高分子との複合層を形成した後、電解液を吸液させても高分子ゲル電解質のイオン伝導構造層を形成することができる。上記複合化用の高分子の代表例としてはポリフッ化ビリニデンなどのフッ素樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリアクリロニトリル、などが挙げられる。
尚、上述のイオン伝導構造体は、機械的強度を向上させるために、不織布等の支持材内に入れた状態とし補強することも、多孔質シリカなどの無機酸化物を複合化することも可能である。
以下、上記(a)乃至(c)の方法における、反応や使用材料について更に詳述する。
(架橋高分子)
イオンチャネルの配向したイオン伝導構造体である高分子ゲル電解質の母材となる、層状構造もしくは柱状(カラム)構造の架橋高分子を調製する方法は、モノマーを重合及び架橋させする方法(上記(a)の方法)と、高分子を架橋させる方法(上記(b)の方法)とに分けられる。
上記モノマーを重合させて架橋高分子を調製する方法での重合反応は、縮合重合、付加重合、開環重合を利用できる。中でも、付加重合は二つ以上の不飽和結合を有するジビニル化合物、トリビニル化合物などの多官能性化合物を重合時に添加することで架橋反応を起こすことができ、架橋の割合も二つ以上の不飽和結合を有する化合物の濃度によって制御しやすいので、本発明のイオン伝導構造体構造体の高分子ゲル部を形成するのにより好ましい手法である。付加重合では、反応機構によって、ラジカル重合、カチオン重合やアニオン重合のイオン重合に分けられる。ラジカル重合では紫外線などの光を吸収するか加熱によって分解してラジカルを発生してモノマーの重合反応を開始する開始剤が用いられる。開始剤の例としては、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ケトン化合物やメタロセン化合物の光吸収分解化合物、などが挙げられる。カチオン重合の開始剤の例としては、HSO,HPO,HClO,CClCOHなどの酸、BF,AlCl,TiCl,SnClなどのFriedel−Crafts触媒、I,(CCClなどが挙げられる。アニオン重合の開始剤の例としては、水、アルカリ金属化合物、マグネシウム化合物、などが挙げられる。
上記開始剤のモノマーに対する添加量は、1〜10重量%の範囲が好ましく、2〜5重量%の範囲がより好ましい。
上記付加重合させるモノマーの代表的なものとしてはビニル化合物が挙げられ、例としては、ジエチレングリコールエチルエーテルアクリレート、ジエチレングリコールエチルエーテルメタクリレート、ジエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート、ジエチレングリコール2−エチルヘキシルエーテルアクリレート、ジエチルエトキシメチレンマロネート、2−アセトキシ−3−ブテンニトリル、アリルシアノアセテート、4−アリル−1,2−ジメトキシベンゼン、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル、エチレン、イソプレン、ブタジエン、スチレン、塩化ビニル、塩化ビリニデン、イソブチレン、α−メチルスチレン、テトラデカンジオールアクリレート、シリコーンメタクリレート、フルオロアルキルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミドなどが挙げられる。これらモノマーを適宜選択して混合し共重合させることも好ましい。また、重合して得られる高分子のガラス転移温度が好ましくはマイナス20℃以下、より好ましくはマイナス30℃以下になるモノマーを選択するのが望ましい。
また、モノマーに、電場印加や磁場印加あるいは光照射で規則的に並ぶ、液晶性モノマーを使用することも好ましい。
一方、上記既に得られた高分子材料を架橋させて、架橋高分子を調製する方法に用いるベースとなる高分子材料の具体的な例としては、ポリ(N−イソ−プロピルアクリルアミド)、ポリ(メチルビニルエーテル)、ポリ(N−ビニルイドブチルアミド)、ビニルエーテルのポリマー、ポリ(γ−ベンジルL−グルタメート)、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)、ポリカーボネート、ポリ(メチルメタクリレート)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ポリ(ジイソプロピルフマレート)、ポリフッ化ビリニデンなどが挙げられる。
上述したような重合反応に得られた高分子材料、又は既に高分子化された材料を用いて架橋高分子、並びに該架橋高分子に電解液を吸液されて成る高分子ゲル電解質を調製する。
架橋高分子(高分子ゲル)の調製方法としては、化学結合による方法と分子間結合による方法に分けられる。
化学結合による方法としては、高分子に電子線やガンマ線などのエネルギー線を照射してラジカルを発生させて架橋反応を起こす方法、高分子鎖の一部の活性基を架橋剤と反応させて架橋反応を起こす方法が挙げられる。
具体例としては、水酸基を有するセルロースやポリビニルアルコールをアルデヒド、N−メチロール化合物、ジカルボン酸、ビスエポキシドなどとの化学反応で架橋する、アミノ酸を有する高分子はアルデヒドやグリシジル基によってゲル化する方法、ガンマ線などの放射線照射でポリビニルアルコールやポリメチルビニルエーテルを水中で架橋する方法、ポリビニルアルコールやN−ビニルピロリドンをジアゾ樹脂、ビスアジド、重クロム酸塩などの光橋かけ剤で橋かけする、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子にスチルバゾリウム塩などの感光基を持つポリマーを光二量化する方法、気体の放電によって生成したプラズマを高分子材料に接触させて架橋する方法が挙げられる。
特に高分子鎖の一部の活性基を架橋剤と反応させて架橋反応を起こす方法としての高分子側鎖の活性基と多官能性の架橋剤を反応させて架橋させる方法が好適に採用することができる。具体例としては、側鎖のエステル結合もしくはカルボキシル基とジアミン化合物の反応、側鎖のアミノ基とジカルボン酸との反応、側鎖のカルボキシル基とグリコール類の反応、側鎖の水酸基とジカルボン酸の反応、により架橋する方法などが挙げられる。上記アミンの具体例としては、トリエチレンテトラミン、テトラメチルエチレンジアミン、ジアミノオリゴエチレンアミン、ジアミノオリゴエチレングリコール、などが挙げられる。
上記架橋反応において架橋剤を用いる場合、その添加の割合は、高分子1モルに対して1〜20モル%の範囲が好ましく、さらには2〜10モル%の範囲がより好ましい。
一方、分子間の結合によって高分子鎖間を架橋する方法としては、水素結合による架橋、イオン結合による架橋、配位結合(キレート形成)による架橋が挙げられる。具体例としては、凍結真空乾燥法、凍結解凍法などによって高分子間に水素結合を形成させてゲル化する方法、ポリメタクリル酸とポリエチレングリコール、ポリアクリル酸とポリビニルアルコールのように二種類の異なった高分子を混合することによってゲルを形成する方法、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムなどのポリカチオンとポリスチレンスルホン酸ナトリウムなどのポリアニオンを混合することによってポリイオンコンプレックスゲルを形成する方法、ポリアクリル酸などのポリカルボン酸やポリスチレンスルホン酸などの強酸性ポリマーはアルカリ、アルカリ土類金属と結合させてゲルを形成する方法が挙げられる。
尚、上述した高分子材料を合成する重合反応の段階で、同時に化学結合により架橋反応を進行させゲルの形成を行うこともできる。この場合の架橋方法には、ジビニル化合物やその他の多官能性化合物を用いた重縮合による架橋反応や、高分子の重合時に、熱、光、放射線、プラズマなどのエネルギー線の照射により重合と架橋反応を進行させる方法が用いられる。具体例としては、エチレングリコールジメタクリレートやメチレンビスアクリルアミドを架橋剤として配合しラジカル開始剤による重合、ガンマ線や電子線を照射する放射線重合、ビニルモノマーの吸収波長と一致する光を橋かけ剤存在下で照射するか光増感剤を加え光照射する光重合が挙げられる。
付加重合時に架橋剤として機能する二官能性モノマーの体表例であるジビニル化合物の例としては、N,N’メチレンビスアクリルアミド、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ペンタデカンジオールジアクリレート、アリルエーテル、アリルジサルファイド、3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、などが挙げられる。架橋高分子(高分子ゲル)の調製時の上記架橋剤の添加量は、モノマー1モルに対して0.1〜30モル%の範囲が好ましく、1〜20モル%の範囲、さらには2〜10モル%の範囲がより好ましい。
上記重合反応及び架橋反応を経て得られる架橋高分子(高分子ゲル)は、電解液を保持させた場合に電解質のイオン解離を促進して高いイオン伝導率を得るために、炭素−酸素結合、炭素−窒素結合、炭素−イオウ結合から選択される一種類以上の結合を少なくとも有しているのが望ましく、エーテル基、エステル基、カルボニル基、アミド基から選択される一種類以上の官能基を少なくとも有していることが好ましく、このような化学構造となるように原材料を選択して用いる。
(鋳型となる分子構造を有した化合物)
層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有した架橋高分子(高分子ゲル)調製の際に用いる前記鋳型となる分子構造を有した化合物は、電場、磁場、光、温度、濃度、圧力、接触する材料の表面形状もしくは材料、及びそれらの組み合わせによって、ある方向に配向するもしくは規則的に並ぶ材料である。本発明では、鋳型となる分子構造を有した化合物を使用して、モノマーを重合及び架橋することによって、または高分子を架橋することによって、層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有した架橋高分子(高分子ゲル)を調製し、これを母材にしたイオン伝導構造体を形成することができる。
前記鋳型となる分子構造を有した化合物としては、液晶性化合物、ジアセチレン化合物、両親媒性化合物、から選択される一種類以上の材料であることが好ましい。ここで、液晶性を示す分子構造とは、幾何学的に非対称で棒状もしくは平板状、分子中に大きな双極子モーメントや分極効果を示し分子間相互作用を有する、−CH=N−や−OCCO−の基を有する、分子構造である。
(液晶性化合物)
前記棒状の液晶性を示す分子構造としては、1以上の環状基に異なる末端基が結合したもの、環状基と環状基を中央基(結合基)で結合しかつ異なる末端基が結合したもの、から選択される、分子構造であることが好ましい。かかる環状基としては、例えば、ベンゼン環(フェニル基)、トランス型シクロヘキサン環(シクロヘキシル基)、ヘテロ六員環、他のヘテロ環状基、多環状基が挙げられる。かかる中央基(結合基)としては、例えば、−CH=N−、−CO−O−、−N=NO−、トランス型−N=N−、トランス型−CH=CH−、−C≡C−、−C−、トランス型−C10−が選択される。前記末端基としては、例えば、化学式、C2n+1−、C2n+1O−、CN−、から選択される基であることが好ましい。
前記平板状の液晶性化合物としては、例えば、ベンゼン環状化合物、ヘテロ環状化合物、多環状化合物を用いる。また、前記平板状の液晶の分子が、柱状(カラム状)に配列することが望ましい。
また、前記鋳型となる分子構造を有した化合物としては、前記層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有したイオン伝導構造体の母材である架橋高分子(高分子ゲル)の原料である、モノマー、架橋剤、高分子が、液晶性の材料のような配向する機能を持つものであってもよい。
前記鋳型となる分子構造を有した化合物に用いる液晶材料は、上記構造を有する液晶性化合物を成分とし(あるいは単独材料)、低分子液晶でも高分子液晶でもよく、例えば、ネマチック液晶、コレスティック液晶、スメクチック液晶、強誘電性液晶、ディスコチック液晶、の何れも使用可能であるが、ネマチック液晶がより好ましい。
低分子ネマチック液晶の例としては、N−(4−メトキシベンジリデン−4’−n−ブチルアニリン)、N−(4−エトキシベンジリデン−p’−4−ブチルアニリン)、p−アゾキシアニソール、4−n−ペンチル−4’−シアノビフェニル、4−n−オクチロキシ−4’−シアノビフェニル、トランス−4−ヘプチル(4−シアノフェニル)シクロヘキサン、などが挙げられる。
低分子コレスチック液晶の例としては、コレステリル−ノナネート、ヘキサアルカノイルオキシベンゼン、テトラアルカノイルオキシ−p−ベンゾキノン、ヘキサアルコキシトリフェニレン、ヘキサアルカノイルオキシトリフェニレン、ヘキサアルカノイルオキシトルキセン、ヘキサアルカノイルルフィガロール、2,2’,6,6’−テトラアリール−4,4’−ビピラニリデン、2,2’,6,6’−テトラアリール−4,4’−ビチオピラニリデン、ヘキサヒドロトリフェニレンの置換ベンゾエート、などが挙げられる。
低分子スメチック液晶の例としては、ブチロキシベンジリデン−オクチルアニリン、p−シアノベンジリデン−p’−n−オクチルオキシアニリン、などが挙げられる。
低分子ディスコチック液晶としては、トリフェニレン−ヘキサ−n−ドデカノネート、などが挙げられる。
低分子強誘電液晶の例としては、アゾメチン系(シッフ系)、アゾキシ系、エステル系、キラル化合物同士の混合体、アキラルホスト液晶にキラル化合物を添加したもの、などが挙げられる。
高分子液晶の例としては、ポリ−γ−ベンジル−L−グルタメート、ポリ(4−シアノフェニル4’−ヘキシロキシ ベンゾエートメチルシロキサン)、ポリ(4−メトキシフェニル4’−プロピロキシ ベンゾエートメチルシロキサン)、ポリスチレン−ポリエチレンオキシドのブロック共重合体、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)、ポリ〔(エチレンテレフタレート)−コ−1,4−ベンゾエート〕、ポリ(4,4’−ジメチルアゾキシベンゼンドデカンジオイル)、ポリ(オリゴエチレンアゾキシベンゾエート)、ポリ(p−ベンズアミド)、などが挙げられる。
これら液晶材料は、所定の方向への電界印加、磁場印加、あるいは光照射、温度領域や溶媒に溶解させる濃度の選択、優先的に所定の軸方向への配向性を付与するように処理(配向処理)された基体表面に配置すること、によって所定の方向に配向させることが可能であり、このような方法を用いて架橋高分子(高分子ゲル)の調製段階で配向させ、層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有した架橋高分子(高分子ゲル)を形成する。
上記電界印加における電界強度は、例えば10V/cm以上に設定することが好ましく、4×10V/cm以上に設定することがより好ましい。上記磁場印加におけるする磁場は、0.1テスラ〔T〕以上に設定することが好ましく、1テスラ〔T〕以上がより好ましい。
液晶を上述した配向処理された基体表面に配置する方法を用いる場合、具体的には、配向剤の添加された原材料の混合物(液)を、表面配向処理されたガラス基板などの基体上に配置した上で高分子ゲルの調製を行う。基体材料表面の処理方法は、例えば、レシチン、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ブラシル酸クロム錯体、オクタデシルマロン酸、ステアリルトリクロルシランなどの有機シランカップリング剤、などをガラス基板表面に吸着させた処理する方法、ガラス基板上に均一な突起を設ける方法、酸化珪素などをガラス基板表面に斜め方向から蒸着する方法、ラビング処理を採用する。このような方法によって、ガラス基板面においては、垂直方向もしくは傾斜した方向に液晶を配向させる特性が付与される。
尚、このような配向剤の液晶性を示す分子構造は、得られる架橋高分子材料(高分子ゲル)に残存し得る。
(ジアセチレン化合物)
配向剤として用いられる、ジアセチレン化合物は、ポリマー化して配向剤として機能させる。かかるポリマー化のモノマーの例としては、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール、ジアセチレンカルボン酸、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール−ビス−フェニルウレタン、オルト位もしくはメタ位置換のジフェニルジアセチレン、3,6,13,16−テトラオキサオクタデカ−8,10−ジイン−1,18−ジオール、などが挙げられる。
これらジアセチレン化合物モノマーは、紫外線やγ線のエネルギー線照射又は加熱によって、固相重合反応が起こり、一方向に配向したポリマー単結晶が得られる。この特性を利用し、鋳型としての当該ジアセチレン化合物モノマーを含む架橋高分子(高分子ゲル)の原材料の混合物(液)に対し、架橋反応時に上述したようなエネルギー線照射又は加熱を行い、層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有した架橋高分子(高分子ゲル)を調製することができる。
(両親媒性化合物)
両親媒性化合物の分子は、界面活性剤のような分子内に親水基と疎水基(親油基)を有し、疎水性相互作用という水分子が関与するエントロピー効果によって分子集合体(会合体)を形成し、リオトロピック液晶として振る舞う。この両親媒性分子によるリオトロピック液晶の構造は、円筒状の会合体が六方晶系を構成しているヘキサゴナル、両親媒性分子の二分子膜と水が交互に配列したラメラ、アルキル鎖を外側に向けた逆ヘキサゴナルなどの構造を取る。両親媒性化合物としては、脂肪族セッケン、モノアルキルリン酸塩アルキルリン酸アルギニン、長鎖アルキルグリセリルエーテル、オクタエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル、オクタエチレングリコールモノドシルエーテル、レシチン、などが挙げられる。両親媒性化合物の種類と濃度を選択することによって、先のヘキサゴナル構造、ラメラ構造、逆ヘキサゴナル構造を選択して形成することが可能であり、層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有した架橋高分子(高分子ゲル)の調製の鋳型原料として安価である利点がある。
(イオンチャネルの配向したイオン伝導ガラス)
次に、イオン伝導ガラスを用いたイオン伝導構造体の製造方法の具体例を説明する。
(d)例えば、リチウムイオン伝導ガラスの例としてLiPOを加えたLiS−SiS系ガラス0.01 LiPO −0.99(0.64LiS−0.36SiS)の薄膜を形成する場合、LiPOとLiSとSiSの溶融して得られるガラスをターゲットに、またはLiPOとLiSとSiSをターゲットに、スパッタリングや電子ビーム蒸着の手法で、基板に垂直に磁界を印加するか、基板に負のバイアス電圧を印加しながら、層状構造もしくは柱状(カラム)構造に堆積させ、基板に垂直方向にリチウムイオンチャネルを配向させることが可能である。これにより、2.5×10−3 Scm−1を超える伝導度のリチウムイオン伝導ガラス薄膜を得ることができる。
2.二次電池とその部材
本発明の二次電池は、負極と正極の間に、上述したように得られる層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有したイオン伝導構造体を、負極と正極面の方向に望ましくは垂直方向に、イオン伝導度が最も高くなるように設けた構成とすることができる。本発明の二次電池は、上述したように調製した層状もしくは柱状(カラム)構造に沿った方向または層状構造に垂直な方向に実質的にイオンの移動距離が最も短くなるイオンの伝導経路(イオンチャンネル)が形成されたイオン伝導構造体を負極と正極間に接した状態で設け、出力端子を取り出し外装材で密閉することによって作製することができる。
具体的なの二次電池の作製方法としては、以下の方法が挙げられる。
(e)負極表面、もしくは正極表面、又は負極と正極の両表面に、前記(a)〜(d)の方法で、イオン伝導構造体を形成する。ついで負極と正極をイオン伝導構造体を設けた面を対向面として密着させてるか、あるいは負極と正極間に更に同様のイオン伝導構造体(フィルム)を挟んで密着させ二次電池(セル)を形成する。
(f)負極と正極を、負極と正極が直接接するのを防ぐような間隙(空隙)を介して対向させる、例えば負極及び正極を不織布や細孔を有したフィルムあるいは粒子などのスペーサーを介して対向させ、続いて正極及び負極間の間隙(ギャップ)に例えば前記(a)〜(c)の方法でイオン伝導構造体を形成し、二次電池を形成する。
(g)電極(集電体)面に、スパッタリングや電子ビーム蒸着などの蒸着手法で、負極、イオン伝導構造体、正極、電極の順に、もしくは正極、イオン伝導構造体、負極、電極の順に、積層して二次電池を形成する。
以下、二次電池の作製に用いる部材について詳述する。
(イオン伝導構造体/高分子ゲル)
イオン伝導構造体の母材に、前述した架橋高分子の高分子ゲルを用いる場合、当該高分子ゲルは、架橋構造などの溶媒に不溶の三次元網目構造を有している高分子または溶媒を吸って膨潤状態にあるものである。その溶媒が水である高分子ゲルをヒドロゲル、溶媒が有機物質である高分子ゲルをオルガノゲルと呼ぶ。高分子ゲルからなるイオン伝導構造体を、リチウムイオンの酸化還元反応を利用したリチウム二次電池に採用する場合には、高分子ゲルとしてはオルガノゲルを、他のアルカリ蓄電池や鉛蓄電池に採用する場合にはヒドロゲルを用いる。
(負極/図6に示す例では604)
負極は集電体(図6では606)と活物質層(図6では605)から構成されている(尚、本発明では、“活物質”とは電池における充電及び放電の電気化学的反応(該反応の繰返し)に関与する物質を総称する)。
本発明の二次電池がリチウムイオンの酸化還元を利用したリチウム二次電池の場合、負極の活物質層に用いる材料としては、充電時にリチウムを保持するもので、リチウム金属、リチウムと電気化学的に合金化する金属、リチウムをインターカレートする炭素材料もしくは遷移金属化合物、が挙げられる。上記遷移金属化合物としては、遷移金属酸化物、遷移金属窒化物、遷移金属硫化物、遷移金属炭化物などが挙げられる。上記リチウム二次電池の負極活物質に使用する遷移金属化合物の遷移金属元素としては、例えば、部分的にd殻あるいはf殻を有する元素であるところの、Sc,Y,ランタノイド,アクチノイド,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Tc,Re,Fe,Ru,Os,Co,Rh,Ir,Ni,Pd,Pt,Cu,Ag,Auが挙げられる。特に、第一遷移系列金属であるTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cuが好適に用いられる。
本発明の二次電池が、電解液に水溶液を用いる、ニッケル−水素化物電池、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池、鉛電池の場合、負極の活物質層に用いる材料としては、それぞれ、水素吸蔵合金、カドミウム、亜鉛、鉛、が用いられる。
上記負極活物質層の形状としては箔や板状であればそのまま用いることができ、粉末状であれば結着剤を混合し、場合によっては導電補助材も添加して、集電体上に塗膜を形成して負極を作成する。また、集電体上に上記材料の薄膜を形成する方法としてはメッキや蒸着法を用いることもできる。上記蒸着方法としては、CVD(Chemical Vapor Deposition)、電子ビーム蒸着、スパッタリング、などの方法が挙げられる。いずれのリチウム二次電池用の負極も減圧下で十分に乾燥することが必要である。
本発明における負極の集電体は、充放電時の電極反応で消費する電流を効率よく供給するあるいは発生する電流を集電する役目を担っている。したがって、負極の集電体を形成する材料としては、電導度が高く、かつ、電池反応に不活性な材質が望ましい。好ましい材質としては、ニッケル、チタニウム、銅、アルミニウム、ステンレススチール、白金、パラジウム、金、亜鉛、各種合金、及び上記材料の二種以上の複合金属が挙げられる。集電体の形状としては、例えば、板状、箔状、メッシュ状、スポンジ状、繊維状、パンチングメタル、エキスパンドメタルなどの形状が採用できる。
(正極/図6に示す例では607)
正極は集電体(図6に示す例の609)と活物質層(同608)から構成されている。
本発明の二次電池がリチウムイオンの酸化還元を利用したリチウム二次電池の場合、正極の活物質層に用いる材料としては、放電時にリチウムを保持するもので、リチウムをインターカレートする遷移金属酸化物、遷移金属窒化物、遷移金属硫化物、などの遷移金属化合物が挙げられる。上記リチウム二次電池の正極活物質に使用する遷移金属化合物の遷移金属元素としては、例えば、部分的にd殻あるいはf殻を有する元素であるところの、Sc,Y,ランタノイド,アクチノイド,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Tc,Re,Fe,Ru,Os,Co,Rh,Ir,Ni,Pd,Pt,Cu,Ag,Auが挙げられる。特に、第一遷移系列金属であるTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cuが好適に用いられる。
本発明の二次電池が電解液に水溶液を用いる、ニッケル−水素化物電池、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池、においてはいずれも水酸化ニッケルが用いられ、鉛電池には酸化鉛が、用いられる。
本発明における正極は、集電体、正極活物質、導電補助材、結着剤、などから構成される。この正極は、正極活物質、導電補助材、及び結着剤などを混合したものを、集電体の表面上に成形して作製される。
正極に使用する導電補助剤としては、黒鉛、ケッチェンブラックやアセチレンブラックなどのカーボンブラック、ニッケルなどの金属微粉末、などが挙げられる。正極に使用する結着剤としては、例えば、電解液が非水溶媒系の場合には、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、又はポリフッ化ビリニデンやテトラフルオロエチレンポリマーのようなフッ素樹脂、電解液が水溶液系の場合には、ポリビニルアルコール、セルロース、又はポリアミド、が挙げられる。
正極の集電体は、充放電時の電極反応で消費する電流を効率よく供給するあるいは発生する電流を集電する役目を担っている。したがって、正極の集電体を形成する材料としては、電導度が高く、かつ、電池反応に不活性な材質が望ましい。好ましい材質としては、ニッケル、チタニウム、アルミニウム、ステンレススチール、白金、パラジウム、金、亜鉛、各種合金、及び上記材料の二種以上の複合金属が挙げられる。集電体の形状としては、例えば、板状、箔状、メッシュ状、スポンジ状、繊維状、パンチングメタル、エキスパンドメタルなどの形状が採用できる。
(電解液)
本発明の二次電池をリチウムイオンの酸化還元反応を利用したリチウム二次電池に適用する場合、イオン伝導構造体で保持する電解液に用いる支持電解質とその溶媒は以下に示すものが、好適に用いられる。
支持電解質としては、例えば、HSO、HCl、HNOなどの酸、リチウムイオン(Li)とルイス酸イオン(BF 、PF 、AsF 、ClO 、CFSO 、BPh (Ph:フェニル基))から成る塩、およびこれらの混合塩、が挙げられる。また、ナトリウムイオン,カリウムイオン,テトラアルキルアンモニウムイオン,などの陽イオンとルイス酸イオンからなる塩も使用できる。上記塩は、減圧下で加熱したりして、十分な脱水と脱酸素を行っておくことが望ましい。
上記支持電解質の溶媒としては、例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリル、プロピレンカーボネイト、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ニトロベンゼン、ジクロロエタン、ジエトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、クロロベンゼン、γ−ブチロラクトン、ジオキソラン、スルホラン、ニトロメタン、ジメチルサルファイド、ジメチルサルオキシド、ジメトキシエタン、ギ酸メチル、3−メチル−2−オキダゾリジノン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−プロピルシドノン、二酸化イオウ、塩化ホスホリル、塩化チオニル、塩化スルフリル、又は、これらの混合液が使用できる。
上記溶媒は、例えば、活性アルミナ、モレキュラーシーブ、五酸化リン、塩化カルシウムなどで脱水するか、溶媒によっては、不活性ガス中でアルカリ金属共存下で蒸留して不純物除去と脱水をも行うのがよい。
本発明の二次電池が、リチウム二次電池以外の二次電池に適用され、前記イオン伝導構造体に保持される電解液に用いる溶媒が水である場合の支持電解質としては、以下のものが好適に用いられる。ニッケル−水素化物電池、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池、空気−亜鉛電池の場合には、いずれも水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、などのアルカリが用いられる。鉛電池の場合には、硫酸などの酸が用いられる。
(電池の形状と構造)
本発明の二次電池の具体的な形状としては、例えば、扁平形、円筒形、直方体形、シート形などがある。又、電池の構造としては、例えば、単層式、多層式、スパイラル式などがある。その中でも、スパイラル式円筒形の電池は、負極と正極の間にセパレータを挟んで巻くことによって、電極面積を大きくすることができ、充放電時に大電流を流すことができるという特徴を有する。また、直方体形やシート形の電池は、複数の電池を収納して構成する機器の収納スペースを有効に利用することができる特徴を有する。
本発明のイオン伝導構造体構造体を用いることによって、負極及び正極間で電解液を固形化することができるので、液漏れがなく、電池の密閉も容易なことから、電池の外装材の厚みを薄くすることができ、自由な形状の電池を容易に作製することができる。
以下では、図7を参照して、電池の形状と構造の例についてより詳細な説明を行う。図7は単層式扁平形(コイン形)電池の断面図を表している。これら二次電池は、基本的には図6と同様な構成で、負極、正極、イオン伝導構造体、電池ハウジング、出力端子を有する。
図7において、701は負極、703は正極、704は負極端子(負極キャップ)、705は正極端子(正極缶)、702はイオン伝導構造体、706はガスケットである。
図6に示す扁平型(コイン型)の二次電池では、正極材料層(活物質層)を含む正極702と負極材料層(活物質層)を備えた負極701が少なくともイオン伝導構造体702を介して積層されており、この積層体が正極端子としての正極缶705内に正極側から収容され、負極側が負極端子としての負極キャップ704により被覆されている。そして正極缶内の他の部分にはガスケット706が配置されている。
以下では、図7に示した電池の組み立て方法の一例を説明する。
(1)前述したような方法で負極(701)と正極(703)の間にイオン伝導構造体(702)を挟持させた積層体を形成し、正極缶(705)に組み込む。
(2)負極キャップ(704))とガスケット(706)を組み立てる。
(3)上記(2)を、かしめることによって、電池は完成する。
なお、上述したリチウム電池の材料調製、及び電池の組立は、水分が十分除去された乾燥空気中、又は乾燥不活性ガス中で行うのが望ましい。
上述のような二次電池を構成する他の部材について説明する。
(絶縁パッキング)
ガスケット(706)の材料としては、例えば、フッ素樹脂,ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂,ポリスルフォン樹脂,各種ゴムが使用できる。電池の封口方法としては、図7のように絶縁パッキングを用いた「かしめ」以外にも、ガラス封管,接着剤,溶接,半田付けなどの方法が用いられる。また、図7の絶縁板の材料としては、各種有機樹脂材料やセラミックスが用いられる。
(電池ハウジング)
二次電池において各部材を収容する電池ハウジングは、図7に示す例では、電池の正極缶(705)及び負極キャップ(704)から構成される。図7に示す例では正極缶(705)及び負極キャップ(704)が、電池ハウジング(ケース)と出入力端子を兼ねているため、ステンレススチールが好ましく用いられる。
尚、正極缶(705)及び負極キャップ(704)がハウジングを兼用しない場合に電池の外装材としては、板状及びフィルム状のプラスチック材、金属箔もしくは蒸着金属膜をプラスチックフィルムでラミネートしたラミネートフィルムなどのプラスチックと金属の複合材、などが好適に用いられる。本発明の二次電池がリチウム二次電池である場合には、外装材としては、水蒸気やガスを透過しない材料を用いることがより好ましく、水蒸気の侵入経路をふさぐ密閉化できることが肝要である。
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、文中、部、及び%は断りが無い限り重量基準である。
(高分子ゲル電解質/イオン伝導構造体の調製)
実験例1
まず、還流装置、滴下装置、攪拌装置及び加熱装置をつけた三つ口フラスコの反応容器内に乾燥した窒素ガスを充填した。この三つ口フラスコ内に、鋳型となる分子構造を有した化合物として非イオン界面活性剤のポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル15.0部及びイオン交換水275部を入れ、攪拌した。次いで、ジエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート8.76部及びエチレングリコールジメタクリレート0.24部を良く攪拌して滴下装置を用いて三つ口フラスコ内に滴下し、系が均一になるまで良く攪拌した。さらに、重合開始剤としてペルオキソ過硫酸カリウム0.03部をイオン交換水10部に溶かした水溶液を滴下装置を用いて三つ口フラスコ内に滴下し、三つ口フラスコ内を攪拌しながら75℃で7時間重合を行った。その後、得られた粒状高分子ゲルを水およびエタノールで洗浄し、乾燥して、粉末架橋高分子を得た。
得られた粉末架橋高分子20部に、テトラフルオロホウ酸リチウムの1モル/リットルのエチレンカーボネート−プロピレンカーボネート(1:1)溶液を80部添加して、ペーストを調製し、インジウム−スズ酸化物(ITO)でコーティングされたガラス基板に厚さが50ミクロンになるように塗布し、高分子ゲル電解質のイオン伝導構造体を作製した。
このイオン伝導構造体をもう一枚のITOコーティングガラス基板で挟み、図8のように結線し、一対のITO電極802間の高分子ゲル電解質のイオン伝導構造体801の抵抗値を、ミリオームメータから成るインピーダンス測定装置803を用い、1キロヘルツの測定信号でインピーダンス測定をし、抵抗値rを求め、イオン伝導体の厚みdと面積Aを測定し、式(イオン伝導度σ)=d/(A×r)からイオン伝導度を算出した。
また、得られた高分子ゲル電解質を偏光顕微鏡を用いてクロスニコル偏光下で観察したところ層状高分子骨格が並んだ構造が観察された。
比較実験例1
実験例1同様まず、還流装置、滴下装置、攪拌装置及び加熱装置をつけた三つ口フラスコの反応容器内に乾燥した窒素ガスを充填した。この三つ口フラスコ内に、イオン交換水290部を入れ、攪拌した。次いで、ジエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート8.76部及びエチレングリコールジメタクリレート0.24部を良く攪拌して滴下装置を用いて三つ口フラスコ内に滴下し、系が均一になるまで良く攪拌した。さらに、重合開始剤としてペルオキソ過硫酸カリウム0.03部をイオン交換水10部に溶かした水溶液を滴下装置を用いて三つ口フラスコ内に滴下し、三つ口フラスコ内を攪拌しながら75℃で7時間重合を行い、得られた粒状高分子ゲルを水およびエタノールで洗浄し、乾燥して、粉末架橋高分子を得た。
得られた粉末架橋高分子20部に、テトラフルオロホウ酸リチウムの1モル/リットルのエチレンカーボネート−プロピレンカーボネート(1:1)溶液を80部添加して、ペーストを調製し、インジウム−スズ酸化物(ITO)でコーティングされたガラス基板に厚さが50ミクロンになるように塗布し、高分子ゲル電解質のイオン伝導構造体を作製し、もう一枚のITOコーティングガラス基板で挟み、実験例1と同様にITO電極間の高分子ゲル電解質の抵抗値をミリオームメータを用い1キロヘルツの測定信号のインピーダンス測定で測定した。抵抗値の測定から計算されたイオン伝導度は実験例1の約1/3の値であった。
また、上記手法で得られたゲル電解質を偏光顕微鏡を用いてクロスニコル偏光下で観察したところ暗視野で実験例1のような配向した構造は観察されなかった。
実験例2
モノマーとしてメチルメタクリレート29.8部、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート0.2部、鋳型となる分子構造を有した化合物としての低分子液晶のN−(4−エトキシベンジリデン−4’−ブチルアニリン)50部、開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1部を添加し、プロピレンカーボネートを20部添加した。上記混合液を、2枚のITOコーティングガラス基板から成る100ミクロンのセルギャップのセル内に挿入し、このITO電極間に交流100V(400Hz)の電界を印加した。次いで上記のセルを電界を印加した状態のままネマティック状態を示す75℃で加熱して重合反応と架橋反応を起こし、フィルム状高分子ゲルを得た。
得られた高分子ゲル中の低分子液晶をエチルアルコールで洗浄除去した後、テトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートに溶解させた1モル/リットルの電解液を含浸保持させて高分子ゲル電解質を調製した。
実験例1と同様にしてミリオームメータを用いたインピーダンス測定で抵抗値を測定し、厚みからイオン伝導度を計算した。得られた高分子ゲル電解質をフィールドエミッション型走査電子顕微鏡で観察した。図10は、加速電圧20.0kVで観察された像を示す模式図である。図中、中央部より上の部分は、高分子ゲル電解質の表面部を示しており、下の部分は、内部(断面部)を示している。内部を示す部分より、高分子ゲルが、層状に形成されているのが理解され、この層の積層方向は、調製時に印加した電界(電気力線ベクトル)の方向と垂直だった。
比較実験例2
実験例2において、使用した低分子液晶のN−(4−エトキシベンジリデン−4’−ブチルアニリン)の代わりに、プロピレンカーボネートを添加して実施例2と同様にして高分子ゲル電解質を調製した。実験例2と同様にしてミリオームメータを用いたインピーダンス測定で抵抗値を測定し、厚みからイオン伝導度を計算した。イオン伝導度は実験例2の約1/5であった。
また、得られた高分子ゲル電解質の形状を電子顕微鏡で観察したところ、図10に示されるような、調製時に印加した電界(電気力線ベクトル)に対して垂直方向に規則的な配向した層状構造は観察されなかった。
実験例3
モノマーとしてメチルメタクリレート50部、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート5部、鋳型となる分子構造を有した化合物として低分子液晶のN−(4−エトキシベンジリデン−4’−ブチルアニリン)40部、開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル5部を添加し、テトラフルオロホウ酸リチウムの0.5モル/リットルの1,4−ジオキサン溶液200部を添加した。上記混合液を、予め表面にレシチンを塗布した2枚のガラス基板から成る50ミクロンのセルギャップのセル内に挿入し、このギャップセルを残留磁束密度1テスラのサマリウム−コバルトの異方性磁石のN極とS極で挟みを磁界を印加した。次いで低分子液晶がネマティック状態を示す75℃で加熱して重合反応と架橋反応を起こし、フィルム状高分子ゲルを得た。
得られた高分子ゲル中の低分子液晶をアセトンで洗浄除去した後、テトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートに溶解させた1モル/リットルの電解液を含浸保持させて高分子ゲル電解質を調製した。
実験例1と同様にしてミリオームメータを用いたインピーダンス測定で抵抗値を測定し、厚みからイオン伝導度を計算した。得られた高分子ゲル電解質の形状を電子顕微鏡で観察したところ、印加した磁界(磁力線ベクトル)に対して平行で規則的な柱状(カラム)構造を有する断面構造が観察された。
比較実験例3
実験例3において、使用した低分子液晶N−(4−エトキシベンジリデン−4’−ブチルアニリン)の代わりに、プロピレンカーボネートを添加して実施例3と同様にして高分子ゲル電解質を調製した。
実験例3と同様にしてミリオームメータを用いたインピーダンス測定で抵抗値を測定し、厚みからイオン伝導度を計算した。イオン伝導度は実施例の約1/4であった。
また、得られた高分子ゲル電解質の形状を電子顕微鏡で観察したところ、印加した磁界に対して平行で規則的な柱状(カラム)構造は観察されなかった。
実験例4
モノマーとしてメチルメタクリレート45部、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート5部、鋳型となる分子構造を有した化合物として低分子液晶のN−(4−エトキシベンジリデン−4’−ブチルアニリン)40部、1モル/リットルのテトラフルオロホウ酸リチウムのプロピレンカーボネート溶液9部、開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1部を混合した。上記混合液に、1対のSUS(ステンレススチール)製電極を挿入し、この電極間に交流2V(400Hz)の電界を印加し、ネマティック状態を示す75℃で加熱して重合反応と架橋反応を起こして、高分子ゲルを得た。
次いで、得られた高分子ゲル中の低分子液晶をアセトンで洗浄除去した後、テトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートに溶解させた1モル/リットルの電解液を含浸保持させて高分子ゲル電解質を調製した。
実験例1と同様にしてミリオームメータを用いたインピーダンス測定で抵抗値を測定し、厚みからイオン伝導度を計算した。得られた高分子ゲル電解質をフィールドエミッション型走査電子顕微鏡で観察した。図11は、加速電圧20.0kVで観察された像を示す模式図である。図11(a)は、得られた高分子ゲル電解質の表面の状態を示す模式図であり、図11(b)は、内部(断面図)を示す模式図である。高分子ゲル電解質は、その表面では、図11(a)に示されるように種々の形状をしており、拡大図(P)に示されるように、個々の領域は、モザイク状にさらに小さなドメイン(領域)となっていた。また、図11(b)に示した内部(断面図)では、高分子ゲル電解質は、柱状に形成されていた。図11(b)に示された柱の成長方向は、調製の際に印加した電界の方向に平行であった。
比較実験例4
実験例4において、使用した低分子液晶のN−(4−エトキシベンジリデン−4’−ブチルアニリン)の代わりに、プロピレンカーボネートを添加して実施例2と同様にして高分子ゲル電解質を調製した。
実施例4と同様にしてミリオームメータを用いたインピーダンス測定で抵抗値を測定し、厚みからイオン伝導度を計算した。イオン伝導度は実施例の約1/6であった。
また、得られた高分子ゲル電解質を電子顕微鏡で観察したところ、図11に示されるような、印加した電界(電気力線ベクトル)に対して平行に成長した柱状(カラム)構造は観察されなかった。
実験例5
層状構造を形成するアニオン界面活性剤のドデシルスルホン酸ナトリウム25部及びイオン交換水100部を入れ、攪拌した。次いで、アクリロニトリル16.5部及びエチレングリコールジメタクリレート1.5部を良く攪拌して、アルゴンガスをバブリングさせ酸素を置換させた後、光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン1.5部を混合し、混合溶液を調製した。その後、得られた混合溶液をインジウム−スズ酸化物(ITO)でコーティングされたガラス基板上にキャストし、500ワットの高圧水銀灯にて光照射して重合架橋反応を起こし高分子フィルムを得た。ついで、ガラス基板上に得られた高分子フィルムを新鮮なメタノールに繰り返し浸漬し、界面活性剤を除去した。ついで、テトラフルオロホウ酸リチウムの1モル/リットルのプロピレンカーボネート溶液を吸液させて、イオン伝導構造体を作製した。
このイオン伝導構造体をもう一枚のITOコーティングガラス基板で挟み、図7のように結線し、実施例1と同様にしてミリオームメータでイオン伝導度を測定した。また、得られた高分子ゲル電解質フィルムのイオン伝導構造体を電子顕微鏡で観察し、層状構造が観察された。
比較実験例5
実験例5において、界面活性剤の混合をすること無しに、モノマーと架橋剤を重合架橋させた後は、実験例5と同様にして、インジウム−スズ酸化物(ITO)でコーティングされた高分子フィルムをガラス基板上に得た。ついで、ガラス基板上に得られた高分子フィルムを新鮮なメタノールに繰り返し浸漬し、洗浄した。ついで、テトラフルオロホウ酸リチウムの1モル/リットルのプロピレンカーボネート溶液を吸液させて、イオン伝導構造体を作製した。
実験例5と同様にしてミリオームメータを用いたインピーダンス測定で抵抗値を測定し、厚みからイオン伝導度を計算した。イオン伝導度は実施例の約1/4であった。
また、得られた高分子ゲル電解質フィルムのイオン伝導構造体を電子顕微鏡で観察したが、実験例5のような層状構造が観察されなかった。
実験例6
モノマーとしてメチルメタクリレート90部、液晶性のモノマーとして4−(6−アクリロイルオキシヘキシロキシ)−4’−シアノビフェニル10部、架橋剤として液晶性を示す構造に類似したビスフェノールA ジアクリレート5部、開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル5部を添加し、プロピレンカーボネートを100部添加した。上記混合液を、50ミクロンの2枚のITOコーティングガラス基板から成るセルギャップのセル内に挿入し、このITO電極間に交流100V(400Hz)の電界を印加した。次いで上記のセルを電界を印加した状態のまま70℃で加熱して重合反応と架橋反応を起こし、フィルム状高分子ゲルを得た。得られた高分子ゲル中の低分子液晶をテトラヒドロフランで洗浄除去した後、テトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートに溶解させた1モル/リットルの電解液を吸液させて高分子ゲル電解質のイオン構造体を調製した。
実験例1と同様にしてミリオームメータを用いたインピーダンス測定で抵抗値を測定し、厚みからイオン伝導度を計算した。得られた高分子ゲル電解質の形状を電子顕微鏡で観察したところ、印加した電界に対して垂直な層状構造が配向した断面構造が観察された。
比較実験例6
実験例6において、液晶性のモノマーとして4−(6−アクリロイルオキシヘキシロキシ)−4’−シアノビフェニルに替えてメチルメタクリレート、架橋剤として液晶性を示すビスフェノールA ジアクリレートの代わりに、エチレングリコールジメタクリレートを添加して実験例6と同様にして70℃で加熱して重合反応と架橋反応を起こし、フィルム状高分子ゲルを得た。得られた高分子ゲルをテトラヒドロフランで洗浄除去した後、テトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートに溶解させた1モル/リットルの電解液を含浸保持させて高分子ゲル電解質のイオン構造体を調製した。
実験例1と同様にしてミリオームメータを用いたインピーダンス測定で抵抗値を測定し、厚みからイオン伝導度を計算した。イオン伝導度は実施例の約1/3であった。
また、得られた高分子ゲル電解質の形状を電子顕微鏡で観察したところ、印加した電界に対して垂直な層状構造は観察されなかった。
実験例7
液晶性を示す高分子ポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)の20部、1,4−ジオキサン80部に、トリエチレンテトラミン1.7部、テトラフルオロホウ酸リチウム3.6部を混合した。この混合液を2枚のテトラフルオロエチレンポリマーシートから成る50ミクロンのセルギャップのセル内に挿入し、このギャップセルを残留磁束密度1テスラのサマリウム−コバルトの異方性磁石のN極とS極で挟みを磁界を印加した。ついで70℃で7日間放置し高分子ゲルフィルムを得た。さらに、得られたフィルムを1,4−ジオキサンで洗浄した後、テトラフルオロホウ酸リチウムを1,4−ジオキサンに溶解させた0.5モル/リットルの電解液を含浸保持目的のフィルム状高分子ゲル電解質を得た。
得られた高分子ゲル電解質の形状を電子顕微鏡で観察したところ、印加した磁界(磁力線ベクトル)に対して平行に規則的な柱状(カラム)構造が配向した断面構造が観察された。
比較実験例7
実験例7において、使用した液晶性を示す高分子ポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)の代わりに、ポリ(メチルメタクリレート)を使用して実験例7と同様にして高分子ゲルフィルムを調製した。さらに実験例7と同様にして、高分子ゲル電解質を調製した。次に、実験例7と同様にしてミリオームメータを用いたインピーダンス測定で抵抗値を測定し、厚みからイオン伝導度を計算した。イオン伝導度は実施例の約1/4であった。
また、得られた高分子ゲル電解質の形状を電子顕微鏡で観察したところ、印加した磁界に対して平行な規則的な柱状(カラム)構造が配向した断面構造は観察されなかった。
実験例8
界面活性剤としてのパルミチン酸カリウム30部とイオン交換水70部の混合溶液に、窒素ガスをバブリングしてガス置換をした後、エチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート8.76部及びエチレングリコールジメタクリレート0.24部、重合開始剤としてペルオキソ過硫酸カリウム0.03部を添加し攪拌した混合溶液を調製した。その後、得られた混合溶液をインジウム−スズ酸化物(ITO)でコーティングされたガラス基板上にキャストし、75℃に加熱し重合架橋反応を行い、高分子フィルムを得た。ついで、ガラス基板上に得られた高分子フィルムを新鮮なメタノールに繰り返し浸漬し、界面活性剤を除去した。ついで、テトラフルオロホウ酸リチウムの1モル/リットルのプロピレンカーボネート溶液を吸液させて、イオン伝導構造体を作製した。
このイオン伝導構造体をもう一枚のITOコーティングガラス基板で挟み、図7のように結線し、実験例1と同様にしてミリオームメータでイオン伝導度を測定した。
また、得られた高分子ゲル電解質フィルムのイオン伝導構造体を電子顕微鏡で観察し、柱状(カラム)構造が観察された。
比較実験例8
実験例8において、界面活性剤を用いずに実施例8と同様にして、電子線を照射して架橋反応を起こし、高分子ゲルフィルムをITOコーティングガラス基板上に調製した。もう一枚のITOコーティングガラス基板で挟み、実験例1と同様にしてインピーダンス測定を行い、厚みからイオン伝導度を計算した。抵抗値の測定から計算されたイオン伝導度は実施例8の約1/2の値であった。
また、電子顕微鏡で上記手法で得られた高分子ゲル電解質の形状を電子顕微鏡で観察したところ、実験例8のような規則的な柱状(カラム)構造は観察されなかった。
実験例9
高分子の母材としてポリカーボネート40部に、低分子液晶のN−(4−エトキシベンジリデン−4’−ブチルアニリン60部に、テトラヒドロフランを添加し溶解させた後、テトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートに溶解させた1モル/リットルの電解液を混合しペーストを調製し、ITOコーティングガラス基板にで塗布し、電磁石にて2テスラの磁界をITOコーティングガラス基板に垂直方向に印加して静置した後、電子線を照射して架橋反応を起こし、高分子ゲルフィルムを調製した。ついでアセトニトリルで洗浄した後、テトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートに溶解させた1モル/リットルの電解液を含浸保持させて高分子ゲル電解質を調製した。得られた高分子ゲル電解質フィルムをもう一枚のITOコーティングガラス基板で挟み、実施例1と同様にしてインピーダンス測定を行い、厚みからイオン伝導度を計算した。
また、電子顕微鏡で上記手法で得られた高分子ゲル電解質の形状を電子顕微鏡で観察したところ、印加した磁界(磁力線ベクトル)に対して垂直な層状構造が観察された。
比較実験例9
実験例9において、低分子液晶のN−(4−エトキシベンジリデン−4’−ブチルアニリンを添加することなく、ポリカーボネートに、テトラヒドロフランを添加し溶解させた後、テトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートに溶解させた1モル/リットルの電解液を混合しペーストを調製し、ITOコーティングガラス基板にで塗布し、電子線を照射して架橋反応を起こし、高分子ゲルフィルムを調製した。ついでアセトニトリルで洗浄した後、テトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートに溶解させた1モル/リットルの電解液を含浸保持させて高分子ゲル電解質を調製した。
実験例9と同様にしてインピーダンス測定を行い、厚みからイオン伝導度を計算した。抵抗値の測定から計算されたイオン伝導度は実施例9の約1/4の値であった。また、電子顕微鏡で上記手法で得られた高分子ゲル電解質の形状を電子顕微鏡で観察したところ、実験例9のような印加した磁界に対して垂直に規則的な層状構造は観察されなかった。
実験例10
アクリルアミド8部、アクリル酸2部、メチレンビスアクリルアミド1部、アニオン界面活性剤のドデシルスルホン酸ナトリウム20部、開始剤としての2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4部、イオン交換水92部、を混合し、窒素雰囲気下で70℃で攪拌しながらラジカル重合すると粒状高分子ゲルが得られた。メタノールで洗浄し界面活性剤を除去し、乾燥した。得られた粒状高分子ゲル95部にカルボキシメチルセルロース5部を混合し、アセトン50%−イオン交換水50%の溶液を添加してペーストを調製し、ITOコーティングガラス基板に塗布し乾燥し、2重量%の水酸化リチウムを含む30重量%の水酸化カリウム水溶液を含浸させて50ミクロンの厚みに調製した高分子ゲル電解質層を形成し、もう一枚のITOコーティングガラス基板で挟み、実施例1と同様にしてインピーダンス測定を行い、厚みからイオン伝導度を計算した。
また、電子顕微鏡で上記手法で得られた粒状高分子ゲル電解質を観察し、粒状高分子ゲルには規則的な層状構造が観察された。
比較実験例10
実験例10で使用した界面活性剤の添加をしないで、後の操作は実験例10と同様にして高分子ゲル粒子を得た。得られた高分子ゲル粉末95部にカルボキシメチルセルロース5部を混合し、アセトン50%−イオン交換水50%の溶液を添加してペーストを調製し、ITOコーティングガラス基板にで塗布し乾燥し、2重量%の水酸化リチウムを含む30重量%の水酸化カリウム水溶液を含浸させて、実験例10と同様にして50ミクロンの厚みに調製した高分子ゲル層を形成し、もう一枚のITOコーティングガラス基板で挟みイオン伝導度を測定した。抵抗値の測定から計算されたイオン伝導度は実施例10の約1/3の値であった。
また、電子顕微鏡で上記手法で得られた粒状高分子ゲル電解質を観察し、粒状高分子ゲルには実験例10のような規則的な層状構造は観察されなかった。
実験例11
酢酸ビニル5部、アクリル酸メチル5部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4部、界面活性剤としてのパルミチン酸カリウム40部、イオン交換水60部、を混合し、窒素雰囲気下で70℃で攪拌しながらラジカル重合させた後、40℃で1モル/リットルの水酸化ナトリウム20重量%メタノール水溶液でケン化し架橋させ、高分子ゲル粒子を得た。メタノールで洗浄し界面活性剤を除去し、乾燥した。得られた高分子ゲル粉末95部にカルボキシメチルセルロース5部を混合し、アセトン50%−イオン交換水50%の溶液を添加してペーストを調製し、ITOコーティングガラス基板にで塗布し乾燥し、2重量%の水酸化リチウムを含む30重量%の水酸化カリウム水溶液を吸液させて50ミクロンの厚みに調製した高分子ゲル層を形成し、もう一枚のITOコーティングガラス基板で挟み、実施例1と同様にしてインピーダンス測定を行い、厚みからイオン伝導度を計算した。
また、電子顕微鏡で上記手法で得られた高分子ゲル粉末に水酸化カリウム水溶液を吸液させて調製した粒状高分子ゲル電解質を観察し、規則的な柱状(カラム)構造が観察された。
比較実験例11
実験例11において、実験例11で使用した界面活性剤の添加をしないで、後の操作は実験例11と同様にして高分子ゲル粒子を得た。得られた高分子ゲル粉末95部にカルボキシメチルセルロース5部を混合し、アセトン50%−イオン交換水50%の溶液を添加してペーストを調製し、ITOコーティングガラス基板に塗布し乾燥し、2重量%の水酸化リチウムを含む30重量%の水酸化カリウム水溶液を含浸させて、実施例11と同様にして50ミクロンの厚みに調製した高分子ゲル層を形成し、もう一枚のITOコーティングガラス基板で挟み、実施例11同様にしてイオン伝導度を測定した。抵抗値の測定から計算されたイオン伝導度は実施例11の約1/3の値であった。
また、上記手法で得られた粒状高分子ゲル電解質の形状を電子顕微鏡で観察したところ、実験例11で観察されたような規則的な柱状(カラム)構造は観察されなかった。
実験例12
液晶性を示すポリマーのヒドロキシプロピルセルロース70部にイオン交換水30部を混合しペーストを調製し、ITOコーティングガラス基板にで塗布し、ヒドロキシプロピルセルロースがリオトロピック液晶の状態で電子線を照射して架橋反応を起こし、高分子ゲルフィルムを調製した。ついで乾燥後、2重量%の水酸化リチウムを含む30重量%の水酸化カリウム水溶液を含浸させて50ミクロンの厚みに調製した高分子ゲル層を形成し、もう一枚のITOコーティングガラス基板で挟み、実施例1と同様にしてインピーダンス測定を行い、厚みからイオン伝導度を計算した。
また、電子顕微鏡で上記手法で得られた高分子ゲル電解質の形状を電子顕微鏡で観察したところ、規則的な柱状(カラム)構造が観察された。
比較実験例12
実験例12において、液晶性を示すポリマーのヒドロキシプロピルセルロースの代わりにポリビニルアルコールを用いて実施例12と同様にして、電子線を照射して架橋反応を起こし、高分子ゲルフィルムを調製した。ついで乾燥後、2重量%の水酸化リチウムを含む30重量%の水酸化カリウム水溶液を含浸させて50ミクロンの厚みに調製した高分子ゲル層を形成し、もう一枚のITOコーティングガラス基板で挟み、実施例1と同様にしてインピーダンス測定を行い、厚みからイオン伝導度を計算した。抵抗値の測定から計算されたイオン伝導度は実施例12の約1/2の値であった。
また、電子顕微鏡で上記手法で得られた高分子ゲル電解質の形状を電子顕微鏡で観察したところ、実験例12のような規則的な柱状(カラム)構造は観察されなかった。
イオン伝導度の評価
実験例1〜12及び比較実験例1〜12で得られたイオン伝導構造体(高分子ゲル電解質)のインピーダンス測定により得られたイオン伝導度を対応する比較例のイオン伝導度に対する実施例のイオン伝導度の割合を表1にまとめて示した。
その結果、すべて、実施例で得られたイオン伝導構造体(高分子ゲル電解質)は、表1に記載したようにそれぞれの比較例に対してイオン伝導度が高かった。この結果から、本発明の方法でイオン構造体を作製することによって、高いイオン伝導度が得られることがわかる。
Figure 0004630857
〔異方伝導性の確認〕
実験例13
本発明のイオン伝導構造体のイオン伝導度の異方性を測定するために、以下の方法で高分子ゲル電解質の調製を行い、イオン伝導度を計測した。
図9に示したような内容積が15mm×15mm×深さ50mmの角柱状のガラス製の容器901の4内壁面に、不図示の絶縁されたリードが接続された厚さ1mmで幅10mm×高さ20mmの電極902のニッケル板4枚を、各ニッケル板が接触しないように、ニッケル板の中央線とガラス容器内壁面の中線が一致するように密着させて配置した。次に、アクリロニトリル70部、液晶性のモノマーとして4−(6−アクリロイルオキシヘキシロキシ)−4’−シアノビフェニル30部、架橋剤として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート6.5部、開始剤として2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン1部を混合し、トルエン−ジメチルスルホキシド50:50の混合溶媒を添加した。得られた混合液を、上記ガラス容器内にニッケル板が覆われるように挿入し、対向する一組のニッケル板を電極として電極間に交流100V(400Hz)の電界を印加し液晶モノマーを配向させた。もう一組の対向するニッケル板には電界は印加しなかった。
次いで上記ガラス容器に満たされた混合液面上部から、電界を印加した状態のまま紫外線を照射して重合反応と架橋反応を起こし、高分子ゲルを得た。得られた高分子ゲルをテトラヒドロフランで洗浄除去した後、テトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートに溶解させた1モル/リットルの電解液を吸液させて高分子ゲル電解質を調製した。上記一連の操作は、窒素ガス雰囲気下で行った。
続いて、実験例1と同様の操作で、図9のガラス製容器901内に調製された対向する電極902のニッケル板間に挟まれた高分子ゲル電解質のインピーダンスを計測して、イオン伝導度を算出した。その結果、高分子ゲル調製時に電界を印加した方向のイオン伝導度は電界を印加しなかった方向の約9倍であり、イオン伝導の方向に異方性があることが確認された。
実験例14
実験例13において、高分子ゲルの原料の混合液を以下の異なるものを用いて加熱により開始剤を分解させ重合架橋反応を起こした点を除き、実験例13と同様にしてイオン伝導度の異方性を測定するための高分子ゲル電解質の調製を行った。即ち、実験例13の混合液の代わりに、モノマーとしてメチルメタクリレート50部、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート5部、鋳型としての低分子液晶のN−(4−エトキシベンジリデン−4’−ブチルアニリン)40部、開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル5部を添加し、プロピレンカーボネートを100部添加して得られた混合液を用い、実験例13と同様にしてガラス容器901内にニッケル板の電極902が覆われるように挿入し、対向する一組のニッケル板を電極として電極間に交流100V(400Hz)の電界を印加し液晶モノマーを配向させた。もう一組の対向するニッケル板には電界は印加しなかった。
次いで上記ガラスようにに満たされた混合液面上部から、電界を印加した状態のまま75℃に加熱して重合反応と架橋反応を起こし、高分子ゲルを得た。得られた高分子ゲルをテトラヒドロフランで洗浄除去した後、テトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートに溶解させた1モル/リットルの電解液を含浸保持させて高分子ゲル電解質を調製した。
続いて、実験例1と同様の操作で、高分子ゲル調製時に電界を印加したニッケル板電極間のインピーダンスと電界を印加しなかったニッケル板の電極間のインピーダンスを計測して、イオン伝導度を算出した。その結果、高分子ゲル調製時に電界を印加した方向のイオン伝導度は電界を印加しなかった方向の約12倍であり、イオン伝導の方向に異方性があることが確認された。
〔二次電池の作製〕
実験例1〜12と同様の手法で作製した高分子ゲル電解質を使用し、図6に示す形状であって名刺サイズ(55mm×90mm×厚み0.5mm)のシート形二次電池を作製した。また、本発明の二次電池との性能を比較するために、比較実験例1〜12と同様の手法で作製した高分子ゲル電解質を使用し、図6に示す形状であって名刺サイズ(55mm×90mm×厚み0.5mm)のシート形二次電池を比較例において作製した。二次電池の作製では、実施例、比較例とも正極の容量を負極の容量より大きくした負極容量で電池の容量が決定される電池を作製した。
以下電池の各構成物の作製手順と、電池の組み立てについて説明する。
実施例1
先ず、負極と正極の調製を行い、対向させる表面に高分子ゲル電解質層を形成し、高分子ゲル電解質層側を対向させて負極と正極を張り合わせた後、防湿性性フィルムで密閉して、シート形電池を作製した。作製手順を図6を参照して以下に説明する。
(1)負極204の作製手順
〔1〕厚さ18ミクロンの銅箔の集電体606をアセトンとイソプロピルアルコールで洗浄し乾燥の後、該銅箔をカソード、SUS板を対向電極のアノードとして、スズの電解メッキ液(硫酸第一スズ40g/l、硫酸60g/l、ゼラチン2g/lを含有した水溶液)を使用して、28mA/cm2の電流を流し、銅箔(集電体606)の片面に粒径10ミクロン以下のスズの層(第一の層)605を厚さ30ミクロンに形成した。
〔2〕次いで、所定のサイズに切断し、ニッケル線のリードをスポット溶接で上記電極に接続し、負極604を得た。
(2)正極607の作製手順
〔1〕炭酸リチウムと炭酸コバルトを、1:2のモル比で混合した後、800℃空気気流で熱処理して、リチウム−コバルト酸化物を調製した。
〔2〕上記〔1〕において調製したリチウム−コバルト酸化物92部に、アセチレンブラックの炭素粉3部とポリフッ化ビリニデン粉5部を混合した後、N−メチルピロリドンを添加した。
上記〔2〕で得られたペーストを、厚み20ミクロンのアルミニウム箔の集電体609に塗布乾燥した後、ロールプレス機で正極活物質層608の厚みを90ミクロンに調整した。さらに、アルミニウムのリードを超音波溶接機で接続し、150℃で減圧乾燥して正極607を得た。
(3)負極と正極面への高分子ゲル層の形成
すべての操作はアルゴンガス雰囲気下で行った。
エチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート80部、液晶性のモノマーとして4−(6−アクリロイルオキシヘキシロキシ)−4’−シアノビフェニル20部、架橋剤として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート6.5部、開始剤として2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン1部を混合し、テトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートに溶解させた1モル/リットルの電解液400部を添加し、得られた混合液を上記(1)と(2)で作製した負極と正極の活物質層の上に塗布し、電磁石により2テスラの磁界を電極面に垂直方向に印加し液晶モノマーを配向させた後、紫外線を照射して重合反応と架橋反応を起こし、高分子ゲル電解質層を形成した負極と正極を得た。
(4)二次電池の組み立て
すべての操作はアルゴンガス雰囲気下で行った。
上記(3)で得られた負極と正極の高分子ゲル電解質層にさらに、テトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートに溶解させた1モル/リットルの電解液を含浸保持させた後、負極の高分子ゲル電解質層と正極の高分子ゲル電解質層が合わさるように張り合わせた。ただし、リード部は重なって短絡しないようにした。
ポリプロピレン/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレートのラミネートフィルムである防湿性フィルム2枚で、張り合わせた負極と正極をサンドイッチした後、真空ポンプから成る排気装置が接続された減圧装置に挿入して減圧雰囲気にして、ガスを抜いた後、防湿性フィルムのエッジ部を溶着して密閉して、図6に示すシート形電池を作製した。
比較例1
以下の点を除き実施例1と同様にしてシート形電池を作製した。本比較例では、実施例1の(3)の負極と正極面への高分子ゲル層の形成で、液晶性のモノマーとして4−(6−アクリロイルオキシヘキシロキシ)−4’−シアノビフェニルの代わりにメチルアクリレートを使用した点が実施例1と異なる。すなわち、本例では、実施例1における鋳型としての液晶モノマーの使用は実施しなかった。
〔実施例1と比較例1の電池の評価〕
上記手順で作製した実施例1と比較例1の二次電池について、実験例1と同様の装置(図8に示す装置)を正極端子と負極端子に接続して1キロヘルツの測定信号にて内部抵抗を測定した。
また、負極の重量から計算される容量を作製した二次電池の容量として、0.2C(容量/時間の0.2倍の電流)の充放電と、30分の休憩時間からなるサイクルを1サイクルとし、充電のカットオフ電圧を4.5V、放電のカットオフ電圧を2.8Vに設定し、充放電試験を行った。なお、充放電試験は、充電より開始し、3サイクル充放電を繰り返した。内部抵抗の値と、3サイクル目の放電量に関して、比較例の電池の値を1.0として規格化した場合の、実施例の電池のそれぞれの値を評価した。結果を下記表2に示す。実施例1の電池では、比較例1の電池に比較して、内部抵抗を低くでき、放電容量もより多く引き出すことができることがわかった。
Figure 0004630857
実施例2
先ず、負極と正極の調製を行い、対向させる表面に高分子ゲル層を形成し、高分子ゲル層側を対向させて負極と正極を張り合わせた後、防湿性フィルムで密閉して、図6に示すような構造のシート形電池を作製した。作製手順は図6を参照して以下の通りに行った。
(1)粒状高分子ゲルの調製
反応容器内に乾燥したアルゴンガスを充填し、鋳型となる分子構造を有した化合物として非イオン界面活性剤のポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル15.0部及びイオン交換水275部を入れ、攪拌した。次いで、ジエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート8.76部及びエチレングリコールジメタクリレート0.24部を良く攪拌して滴下装置を用いて三つ口フラスコ内に滴下し、系が均一になるまで良く攪拌した。さらに、重合開始剤としてペルオキソ過硫酸カリウム0.03部をイオン交換水10部に溶かした水溶液を滴下装置を用いて三つ口フラスコ内に滴下し、三つ口フラスコ内を攪拌しながら75℃で7時間重合を行った。その後、得られた粒状高分子ゲルを水およびエタノールで洗浄し、乾燥して、粉末架橋高分子を得た。
(2)負極604の作製
実施例1と同様の手順で、負極604を得た。
(3)正極607の作製
〔1〕硝酸リチウムと炭酸ニッケルを、1:1のモル比で混合した後、750℃空気気流中で熱処理して、リチウム−ニッケル酸化物を調製した。
〔2〕上記〔1〕において調製したリチウム−ニッケル酸化物に、アセチレンブラックの炭素粉3wt(重量)%とポリフッ化ビリニデン粉4wt%と(1)の操作で得られた粒状高分子ゲル1wt%を混合した後、N−メチルピロリドンを添加した。
上記〔2〕で得られたペーストを、厚み20ミクロンのアルミニウム箔の集電体609に塗布乾燥した後、ロールプレス機で正極活物質層608の厚みを90ミクロンに調整した。さらに、アルミニウムのリードを超音波溶接機で接続し、150℃で減圧乾燥して正極607を作製した。
(4)負極と正極の高分子ゲル層の形成
すべての操作はアルゴンガス雰囲気下で行った。
〔1〕(1)の操作で得られた微細な粒状の高分子ゲル90部に粒状高分子ゲルの支持材としてポリエチレンオキサイド10部を混合し、n−ヘキサンを添加して、ペーストを調製した。
〔2〕上記(2)で作製した負極活物質層と(3)で作製した正極活物質層の上に〔1〕で調製したペースト塗布し、乾燥し負極活物質層と正極活物質層の表面に高分子ゲル層を得た。
(5)二次電池の組み立て
すべての操作はアルゴンガス雰囲気下で行った。
上記(4)で得られた正極と負極の高分子ゲル電解質層にさらに、テトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートに溶解させた1モル/リットルの電解液を吸液させ高分子ゲル電解質層を形成させた後、負極の高分子ゲル電解質層と正極の高分子ゲル電解質層が合わさるように張り合わせた。ただし、リード部は重なって短絡しないようにした。
ポリプロピレン/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレートのラミネートフィルムである防湿性フィルム2枚で、張り合わせた負極と正極をサンドイッチした後、真空ポンプから成る排気装置が接続された減圧装置に挿入して減圧雰囲気にして、ガスを抜いた後、防湿性フィルムのエッジ部を溶着して密閉して、図6に示すような構造のシート形電池を作製した。
比較例2
以下の点を除き実施例2と同様にしてシート形電池を作製した。本比較例では実施例2の(1)の粒状高分子ゲルの調製で、界面活性剤を使用すること無しに調製した。
〔実施例2と比較例2の電池の評価〕
上記手順で作製した二次電池に対して、実験例1と同様の装置(図8に示す装置)を正極端子と負極端子に接続して1キロヘルツの測定信号にて内部抵抗を測定した。
また、負極の重量から計算される容量を作製した二次電池の容量として、0.2C(容量/時間の0.2倍の電流)の充放電と、30分の休憩時間からなるサイクルを1サイクルとし、充電のカットオフ電圧を4.5V、放電のカットオフ電圧を2.8Vに設定して充放電試験を行った。なお、充放電試験は、充電より開始し、3サイクル充放電を繰り返した。
内部抵抗の値と、3サイクル目の放電量に関して、比較例の電池の値を1.0として規格化した場合の、実施例の電池のそれぞれの値を評価した。結果を下記表3に示す。実施例2の電池では、比較例2の電池に比較して、内部抵抗を低くでき、放電容量もより多く引き出すことができることがわかった。
Figure 0004630857
実施例3
先ず、負極と正極の調製を行い、対向させる表面に高分子ゲル層を形成し、高分子ゲル層側を対向させて負極と正極を張り合わせた後、防湿性フィルムで密閉して、図6に示すような構造のシート形電池を作製した。作製手順を図6を参照して説明する。
(1)高分子ゲル電解質形成のためのモノマー混合液の調製テトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートとエチレンカーボネートの重量比50:50の溶媒に溶解させた1モル/リットルの電解液550部に、モノマーとしてアクリロニトリル70部、液晶性のモノマーとして4−(6−アクリロイルオキシヘキシロキシ)−4’−シアノビフェニル30部、架橋剤として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート6.5部、開始剤として過酸化ベンゾイル5部を混合し、混合液を調製した。
(2)負極604の作製手順
アルゴンガス気流中2000℃で熱処理した天然黒鉛の微粉末95部及びポリフッ化ビニリデン粉5部にN−メチル−2−ピロリドンに添加してペーストを調整し、厚さ18ミクロンの銅箔の集電体606に調製したペーストを塗布乾燥した後、ロールプレス機で活物質層(黒鉛層)605の厚みを90ミクロンに調整して負極604を得た。
(3)正極607の作製手順
実施例1と同様の手順で、正極607を得た。
(4)高分子ゲル電解質層の形成
すべての操作はアルゴンガス雰囲気下で行った。
上記(2)で作製した負極活物質層の上に、スペーサーとして粒径5ミクロンのコロイダルシリカを分散させた後、上記(3)で作製した正極を正極活物質層が負極活物質層と対向するように張り合わせ、5ミクロンギャップの負極と正極間に、上記(1)で調製したモノマー混合液を注入した。ついで、負極と正極面に垂直方向に磁界がかかるように、電磁石で2テスラの磁界を印加して、85℃で開始剤を分解させ、混合液の重合架橋反応を起こし、負極と正極間に高分子ゲル電解質層を形成した。
(5)二次電池の組み立て
すべての操作はアルゴンガス雰囲気下で行った。
ポリプロピレン/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレートのラミネートフィルムである防湿性フィルム2枚で、上記(4)で作製した高分子ゲル電解質を間に設けた負極と正極をサンドイッチした後、真空ポンプから成る排気装置が接続された減圧装置に挿入して減圧雰囲気にして、ガスを抜いた後、防湿性フィルムのエッジ部を溶着して密閉して、図6に示すような構造のシート形電池を作製した。
比較例3−1
以下の点を除き実施例3と同様にしてシート形電池を作製した。本比較例では実施例3の(1)の高分子ゲル電解質形成のためのモノマー混合液の調製で、配向剤を兼ねる液晶性のモノマーとして4−(6−アクリロイルオキシヘキシロキシ)−4’−シアノビフェニルの代わりに2−エトキシエチルアクリレートを使用した。
比較例3−2
以下の点を除き実施例3と同様にしてシート形電池を作製した。本比較例では実施例3の(1)の高分子ゲル電解質形成のためのモノマー混合液の調製及び(4)の高分子ゲル電解質層の形成を行わず、実施例3の(2)と(3)で作製した負極と正極の間に、厚み25ミクロンの微孔性ポリプロピレンフィルムのセパレータを挟み、そのセパレータにテトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートとエチレンカーボネートの重量比50:50の溶媒に溶解させた1モル/リットルの電解液を含浸保持させて、ポリプロピレン/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレートのラミネートフィルムである防湿性フィルム2枚で、負極/セパレータ(電解液)/正極をサンドイッチした後、防湿性フィルムのエッジ部を溶着して密閉して、シート形電池を作製した。
〔実施例3と比較例3の電池の評価〕
上記手順で作製した二次電池に対して、実験例1と同様の装置(図8に示す装置)を正極端子と負極端子に接続して1キロヘルツの測定信号にて内部抵抗を測定した。
また、負極の重量から計算される容量を作製した二次電池の容量として、0.2C(容量/時間の0.2倍の電流)の充放電と、30分の休憩時間からなるサイクルを1サイクルとし、充電のカットオフ電圧を4.5V、放電のカットオフ電圧を2.8Vに設定し、充放電試験を行った。なお、充放電試験は、充電より開始し、3サイクル充放電を繰り返した。その後、4サイクル目に1Cの定電流と6Vの定電圧充電を組み合わせて充電を3時間行い、すなわち1Cの電流値で充電を行い、その間電池電圧が6Vに達した時点で6Vの定電圧充電に切り替えるように設定し、0.5Cで放電を行った。さらに、5サイクル目に、充電のカットオフ電圧を4.5V、放電のカットオフ電圧を2.8Vに設定し、0.5Cで充放電を行った。内部抵抗の値と、3サイクル目と5サイクル目の放電量に関して、比較例の電池の値を1.0として規格化した場合の、実施例の電池のそれぞれの値を評価した。結果を下記表4に示す。
Figure 0004630857
表4に示す結果より実施例3の電池では、比較例3−1の電池に比較して、内部抵抗を低くでき、放電容量もより多く引き出すことができることがわかった。実施例3の電池の内部抵抗及び放電量は比較例3−2の電解液を使用した電池に比匹敵することが分かった。さらに、比較例3−2の電解液を使用した電池に比較して実施例3の電池は過充電に強いことが分かった。
また、別途に実施例3と比較例3−2の電池を作製し、充電のカットオフ電圧を4.5V、放電のカットオフ電圧を2.5Vに設定し、0.5Cで充放電のサイクル寿命試験を行い、サイクル寿命を評価した。なお、サイクル寿命は電池容量の60%を下回ったサイクル回数とした。比較例3−2の電池のサイクル寿命を1.0として実施例3の電池のサイクル寿命を規格化した値は、1.2であった。実施例3の電池の充放電サイクル寿命は比較例3−2の電池より優れていることが分かった。
実施例4
先ず、負極と正極の調製を行い、対向させる表面に高分子ゲル層を形成し、高分子ゲル層側を対向させて負極と正極を張り合わせた後、防湿性フィルムで密閉して、図6に示すような構造のシート形電池を作製した。作製手順を図6を参照して以下に示す。
(1)高分子ゲル電解質の調製
すべての操作はアルゴンガス雰囲気下で行った。
〔1〕界面活性剤としてのパルミチン酸カリウム30部とイオン交換水70部の混合溶液に、窒素ガスをバブリングしてガス置換をした後、エチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート8.76部及びエチレングリコールジメタクリレート0.24部、重合開始剤としてペルオキソ過硫酸カリウム0.03部を添加し攪拌した混合溶液を調製した。
〔2〕厚み50ミクロンのポリプロピレン不織布を、上記〔1〕で調製したモノマー混合液に浸し、75℃で加熱して重合反応と架橋反応を起こし、ポリプロピレン不織布を支持材としたフィルム状高分子ゲルを得た。得られた高分子ゲルをメチルアルコールで洗浄除去した後、加熱ロールプレス機で厚みを均一にして、テトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートに溶解させた1モル/リットルの電解液を吸液させて高分子ゲル電解質を得た。
(2)負極604の作製
厚さ20μmのニッケルのエキスパンドメタル606を所定のサイズに切断した後、厚み25μmの金属リチウム箔605に圧着し金属リチウム内に埋設し、金属リチウム表面はアルゴンガスをプラズマ化してエッチングして負極604を作製した。
(3)正極607の作製
〔1〕電解二酸化マンガンと炭酸リチウムを、1:0.4のモル比で混合した後、800℃で熱処理して、リチウム−マンガン酸化物を調製した。
〔2〕上記〔1〕において調製したリチウム−マンガン酸化物に、アセチレンブラックの炭素粉3wt(重量)%とポリフッ化ビリニデン粉4wt%と実施例4の(1)の操作で得られた粒状高分子ゲル1wt%を混合した後、N−メチルピロリドンを添加してペーストを調製した。
上記〔2〕で得られたペーストを、厚み20ミクロンのアルミニウム箔の集電体609に塗布乾燥した後、ロールプレス機で正極活物質層608の厚みを90ミクロンに調整した。さらに、アルミニウムのリードを超音波溶接機で接続し、150℃で減圧乾燥して正極607を作製した。
(4)二次電池の組み立て
すべての操作はアルゴンガス雰囲気下で行った。
上記(3)で得られた正極607にさらに、テトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートに溶解させた1モル/リットルの電解液を含浸保持させた後、(1)で得られた高分子ゲル電解質フィルム601を載せ、上記(2)で得られた負極604をその上に重ねて張り合わせた。ただし、リード部は重なって短絡しないようにした。
ポリプロピレン/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレートのラミネートフィルムである防湿性フィルム2枚で、張り合わせた負極と正極をサンドイッチした後、真空ポンプから成る排気装置が接続された減圧装置に挿入して減圧雰囲気にして、ガスを抜いた後、防湿性フィルムのエッジ部を溶着して密閉して、図6に示すような構造のシート形電池を作製した。
比較例4−1
以下の点を除き実施例4と同様にしてシート形電池を作製した。本比較例では実施例4の(1)の高分子ゲル電解質の調製の〔1〕で、界面活性剤を使用しないで調製した。
比較例4−2
以下の点を除き実施例4と同様にしてシート形電池を作製した。本比較例では実施例4の(1)の高分子ゲル電解質の調製を行わず、実施例4の(2)と(3)作製した負極604と正極607の間に、テトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートとエチレンカーボネートの重量比50:50の溶媒に溶解させた1モル/リットルの電解液を含浸保持させた厚み50ミクロンの微孔性ポリプロピレンフィルムのセパレータを挟み、ポリプロピレン/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレートのラミネートフィルムである防湿性フィルム2枚で、負極/セパレータ(電解液)/正極をサンドイッチした後、防湿性フィルムのエッジ部を溶着して密閉して、シート形電池を作製した。
〔実施例4と比較例4の電池の評価〕
上記手順で作製した二次電池に対して、実験例1と同様の装置(図8に示す装置)を正極端子と負極端子に接続して1キロヘルツの測定信号にて内部抵抗を測定した。
また、負極の重量から計算される容量を作製した二次電池の容量として、0.2C(容量/時間の0.2倍の電流)の充放電と、30分の休憩時間からなるサイクルを1サイクルとし、充電のカットオフ電圧を4.5V、放電のカットオフ電圧を2.8Vに設定し、充放電試験を行った。なお、充放電試験は、充電より開始し、3サイクル充放電を繰り返した。その後、4サイクル目に1Cの定電流と6Vの定電圧充電を組み合わせて充電を3時間行い、すなわち1Cの電流値で充電を行い、その間電池電圧が6Vに達した時点で6Vの定電圧充電に切り替えるように設定し、0.5Cで放電を行った。さらに、5サイクル目に、充電のカットオフ電圧を4.5V、放電のカットオフ電圧を2.8Vに設定し、0.5Cで充放電を行った。内部抵抗の値と、3サイクル目と5サイクル目の放電量に関して、比較例の電池の値を1.0として規格化した場合の、実施例の電池のそれぞれの値を評価した。結果を下記表5に示す。
Figure 0004630857
実施例4の電池では、比較例4−1の電池に比較して、内部抵抗を低くでき、放電容量もより多く引き出すことができることがわかった。比較例4−2の電解液を使用した電池に比較しても、実施例4の電池の内部抵抗及び放電量も遜色無いことが分かった。さらに、比較例4−2の電解液を使用した電池に比較して実施例4の電池は過充電に強いことが分かった。
また、別途実施例4と比較例4−2の電池を作製し、充電のカットオフ電圧を4.5V、放電のカットオフ電圧を2.5Vに設定し、0.5Cで充放電のサイクル寿命試験を行い、サイクル寿命を評価した。なお、サイクル寿命は電池容量の60%を下回ったサイクル回数とした。比較例4−2の電池のサイクル寿命を1.0として実施例4の電池のサイクル寿命を規格化した値は、97であった。比較例4−2の電池では充放電の繰り返しによってリチウムのデンドライトが発生し、サイクル寿命が短かったが、実施例4の電池ではリチウムのデンドライトの発生が抑えられ、サイクル寿命が伸びた。
実施例5
先ず、負極と正極の調製を行い、対向させる表面に高分子ゲル層を形成し、高分子ゲル層側を対向させて負極と正極を張り合わせた後、防湿性フィルムで密閉して、図6に示すような構造のシート形電池を作製した。
(1)高分子ゲル電解質層の形成
〔1〕実験例1と同様にして、反応容器内に、鋳型となる分子構造を有した化合物として非イオン界面活性剤のポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル15.0部及びイオン交換水275部を入れ攪拌し、アルゴンガスをバブリングしてガス置換を行なった。次いで、ジエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート8.76部及びエチレングリコールジメタクリレート0.24部、重合開始剤としてペルオキソ過硫酸カリウム0.03部添加し、攪拌しながら75℃で7時間重合を行った。その後、得られた粒状高分子ゲルを水およびエタノールで洗浄し、乾燥して、粉末架橋高分子を得た。
〔2〕上記〔1〕の操作で得られた粉末架橋高分子をカレンダー加工して、架橋高分子フィルムを得た。
(2)負極604の作製
アルゴンガス気流中2000℃で熱処理した天然黒鉛の微粉末95部及びポリフッ化ビニリデン粉4部に、上記(1)で得られた架橋高分子粉末をさらに微粉末に粉砕したもの1部を加え、N−メチル−2−ピロリドンに添加してペーストを調整し、厚さ18ミクロンの銅箔の集電体206に調製したペーストを塗布乾燥した後、ロールプレス機で活物質層(黒鉛層)の厚みを90ミクロンに調整して負極604を得た。
(3)正極607の作製手順
〔1〕炭酸リチウムと炭酸コバルトを、1:2のモル比で混合した後、800℃空気気流で熱処理して、リチウム−コバルト酸化物を調製した。
〔2〕上記〔1〕において調製したリチウム−コバルト酸化物92部に、アセチレンブラックの炭素粉3部、ポリフッ化ビリニデン粉4部、上記(1)で得られた架橋高分子粉末をさらに微粉末に粉砕したもの1部を加え混合した後、N−メチルピロリドンを添加した。
上記〔2〕で得られたペーストを、厚み20ミクロンのアルミニウム箔の集電体609に塗布乾燥した後、ロールプレス機で正極活物質層608の厚みを90ミクロンに調整した。さらに、アルミニウムのリードを超音波溶接機で接続し、150℃で減圧乾燥して正極607を得た。
(4)電解液の調製
テトラフルオロホウ酸リチウムをプロピレンカーボネートに溶解させて、1モル/リットルの電解液を調製した。
(5)二次電池の組み立て
すべての操作はアルゴンガス雰囲気下で行った。
上記(2)で得られた負極604の活物質層605と上記(3)で得られた正極607の活物質層608及び上記(1)で得られた架橋高分子フィルム601に上記(4)で調製した電解液を滴下して、両活物質層に電解液を吸液させた。ついで負極604の活物質層605上に、吸液した架橋高分子フィルム601を積層し、正極607を積層し、セルを形成した。
さらに、ポリプロピレン/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレートのラミネートフィルムである防湿性フィルム2枚で、積層して形成したセルをサンドイッチした後、真空ポンプから成る排気装置が接続された減圧装置に挿入して減圧雰囲気にして、ガスを抜いた後、防湿性フィルムのエッジ部を溶着して密閉して、図6に示すような構造のシート形電池を作製した。
比較例5
以下の点を除き実施例5と同様にしてシート形電池を作製した。本比較例では実施例5の(1)の高分子ゲル電解質の形成の〔1〕で、界面活性剤を使用しないで調製した。すなわち、本例では、実施例5における鋳型用の化合物の使用は実施しなかった。
〔実施例5と比較例5の電池の評価〕
上記手順で作製した二次電池に対して、実験例1と同様の装置(図8に示す装置)を正極端子と負極端子に接続して1キロヘルツの測定信号にて内部抵抗を測定した。
また、負極の重量から計算される容量を作製した二次電池の容量として、0.2C(容量/時間の0.2倍の電流)の充放電と、30分の休憩時間からなるサイクルを1サイクルとし、充電のカットオフ電圧を4.5V、放電のカットオフ電圧を2.8Vに設定し、充放電試験を行った。尚、充放電試験は、充電より開始し、3サイクル充放電を繰り返した。内部抵抗の値と、3サイクル目の放電量に関して、比較例の電池の値を1.0として規格化した場合の、実施例の電池のそれぞれの値を評価した。結果を下記表6に示す。実施例5の電池では、比較例5の電池に比較して、内部抵抗を低くでき、放電容量もより多く引き出すことができることがわかった。
Figure 0004630857
実施例1から実施例5までのリチウム二次電池では、一種類の支持電解質、3種類の正極活物質、を使用したが、これに限定されることなく、先に記述した各種の支持電解質、及び各種正極活物質を用いることも可能である。また、電池の形状としてシート形の電池の作製をしたが、これに限定することなく、コイン形、円筒形、角形など各種形状の電池も作製可能であり、特に本発明のイオン伝導構造体を使用することで形状を選ばない電池を作製することが可能である。
実施例6
以下の手順で、図6に示したようなシート形のニッケル−水素二次電池を作製した。
(1)負極604の作製
高周波溶融で得られたMg2Ni合金粉とニッケル粉をモル比1:1に混合した後、遊星ボールミルで混合し非晶質化したマグネシウム−ニッケル合金粉を調製した。次に、導電補助剤として上記非晶質化したマグネシウム−ニッケル合金粉に対して重量比3の銅粉を混合し、この混合粉をニッケルのパンチングメタルにローラープレスで圧着し、所定の大きさに切断し、ニッケル線のリードをスポット溶接で上記電極に接続し、負極を得た。
(2)正極607の作製
水酸化ニッケル粉92%、酸化コバルト粉2%を混合後、結着剤としてカルボキシメチルセルロースが6%になるようにカルボキシメチルセルロース2重量%の水溶液を用いてペーストを得る。このペーストを厚さ1.5mm孔径200ミクロン多孔度95%の発泡状ニッケル基板609に充填塗着し、120℃1時間乾燥した。得られた電極は加圧して厚さを調整した。次いで、所定の大きさに切断し、ニッケル線のリードをスポット溶接で上記電極に接続し、正極607を得た。
(3)高分子ゲル電解質層の形成
〔1〕液晶性を示すポリマーのヒドロキシプロピルセルロース60部にイオン交換水40部を混合しポリマー溶液を調製した。
〔2〕上記(1)で作製した負極の上に親水処理した厚み130ミクロンのポリプロピレン不織布を重ね、上記〔1〕で調製したポリマー溶液を塗布し、静置した後電子線を照射して架橋反応を起こし、ポリプロピレン不織布で支持された高分子ゲル層を調製した。ついで乾燥後、2重量%の水酸化リチウムを含む30重量%の水酸化カリウム水溶液を含浸させて高分子ゲル電解質層601を形成した。同様にして、上記(2)で作製した正極を上記〔1〕で調製したポリマー液に浸し、電子線を照射して架橋反応を起こし、高分子ゲル層を正極に形成した。次に高分子ゲル層が形成された正極を乾燥後、2重量%の水酸化リチウムを含む30重量%の水酸化カリウム水溶液を含浸させ、高分子ゲル電解質層601が形成された正極607を調製した。
(4)二次電池の組み立て
上記(3)で得られた負極上に形成したポリプロピレン不織布で支持された高分子ゲル電解質層の上に上記(3)で得られた正極を密着させ、この時各リード部が短絡しないようにし、ポリプロピレン/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレートのラミネートフィルムであるガスバリアー性フィルム2枚で、張り合わせた負極と正極をサンドイッチした後、真空ポンプから成る排気装置が接続された減圧装置に挿入して減圧雰囲気にして、ガスを抜いた後、防湿性フィルムのエッジ部を溶着して密閉して、シート形電池を作製した。
比較例6
以下の点を除き実施例6と同様にしてシート形電池を作製した。本比較例では実施例6の(1)の高分子ゲル電解質の形成を行わないで、20の(1)と(2)作製した負極と正極の間に、2重量%の水酸化リチウムを含む30重量%の水酸化カリウム水溶液を含浸保持させた厚み200ミクロンの親水処理したポリプロピレンフィルム不織布のセパレータを挟み、ポリプロピレン/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレートのラミネートフィルムである防湿性フィルム2枚で、負極/セパレータ(電解液)/正極をサンドイッチした後、防湿性フィルムのエッジ部を溶着して密閉して、シート形電池を作製した。すなわち、本例では、実施例6における高分子ゲル電解質の使用は実施しなかった。
〔実施例6と比較例6の電池の評価〕
上記手順で作製した二次電池に対して、実験例1と同様の装置(図8に示す装置)を正極端子と負極端子に接続して1キロヘルツの測定信号にて内部抵抗を測定した。
また、負極の重量から計算される容量を作製した二次電池の容量として、0.2C(容量/時間の0.2倍の電流)の充放電と、30分の休憩時間からなるサイクルを1サイクルとし、充電のカットオフ電圧を1.5V、放電のカットオフ電圧を0.9Vに設定し、充放電試験を行った。なお、充放電試験は、充電より開始し、10サイクル充放電を繰り返した。内部抵抗の値と、3サイクル目と10サイクル目の放電量に関して、比較例の電池の値を1.0として規格化した場合の、実施例の電池のそれぞれの値を評価した。結果を下記表7に示す。
比較例6の電池の放電容量は、充放電サイクル数とともに急激に低下したが、実施例6の電池では急激な放電容量の低下はなかった。
Figure 0004630857
実施例7
本例では、以下の手法で図7に示した断面構造のコイン形のニッケル−亜鉛二次電池を作製した。
(1)負極701の作製
酸化亜鉛粉末95部、亜鉛粉末5部の混合物に、混合物と結着剤としてのテトラフルオロエチレンポリマーの重量比が95:5になるように、酸化亜鉛粉末と亜鉛粉末の混合物にテトラフルオロエチレンポリマー分散水溶液を加えて混練してペースト状にし、銅のパンチングメタル板に塗着し、乾燥した後、ロールプレス機でプレスすることによって、亜鉛負極板を得た。得られた亜鉛負極板を所定のサイズにパンチで打ち抜き、負極701を得た。
(2)正極703の作製
水酸化ニッケル粉92%、酸化コバルト粉2%を混合後、結着剤としてカルボキシメチルセルロースが6%になるようにカルボキシメチルセルロースの2重量%の水溶液を用いてペーストを得る。このペーストを厚さ1.5mm孔径200ミクロン多孔度95%の発泡状ニッケル基板に充填塗着し、120℃1時間乾燥した。得られた電極は加圧して厚さを調整した。次いで、裏面の活物質を超音波で剥離し、集電体のニッケルを露出させた後、所定のサイズにパンチで打ち抜き、正極703を得た。
(3)イオン伝導構造体である高分子ゲル電解質層702の形成
〔1〕液晶性を示すポリマーのヒドロキシプロピルセルロース60部にイオン交換水40部を混合しポリマー溶液を調製した。
〔2〕上記(1)で作製した負極の上に親水処理した厚み130ミクロンのポリプロピレン不織布を重ね、上記〔1〕で調製したポリマー溶液を塗布し、静置した後、電子線を照射して架橋反応を起こし、ポリプロピレン不織布で支持された高分子ゲル層を調製した。ついで乾燥後、2重量%の水酸化リチウムを含む30重量%の水酸化カリウム水溶液を含浸させて高分子ゲル電解質層702を形成した。同様にして、上記(2)で作製した正極を上記〔1〕で調製したポリマー液に浸し、電子線を照射して架橋反応を起こし、高分子ゲル層をニッケルが露出した面と反対側の正極面に形成した。次に高分子ゲル層が形成された正極を乾燥後、重量%の水酸化リチウムを含む30重量%の水酸化カリウム水溶液を含浸させ、高分子ゲル電解質層702が形成された正極を調製した。
(4)二次電池の組み立て
上記(3)で得られた負極上に形成したポリプロピレン不織布で支持された高分子ゲル電解質層に上記(3)で得られた正極を密着させ、正極の集電体のニッケルの露出した面を、チタンクラッドのステンレススチール材のコイン形電池缶705の底と接するように、負極701/高分子ゲル電解質層702/正極703を電池缶705に挿入した後、ポリプロピレン製のガスケット706をはめ、負極キャップ704をかぶせて、かしめてコイン形電池を作製した。
比較例7
以下の点を除き実施例7と同様にしてコイン形電池を作製した。本比較例では実施例7の(3)の高分子ゲル電解質の形成を行わないで、負極701と正極703の間に、高分子ゲル電解質層の代わりに、2重量%の水酸化リチウムを含む30重量%の水酸化カリウム水溶液を含浸保持させた厚み200ミクロンのポリプロピレンフィルム不織布のセパレータを挟み、正極の集電体のニッケルの露出した面を、チタンクラッドのステンレススチール材のコイン形電池缶705の底と接するように、負極/セパレータ(電解液)/正極を電池缶に挿入した後、ポリプロピレン製のガスケット706をはめ、負極キャップ704をかぶせて、かしめてコイン形電池を作製した。すなわち、本例では、実施例7における高分子ゲル電解質の使用は実施しなかった。
〔実施例7と比較例7の電池の評価〕
上記手順で作製した二次電池に対して、実験例1と同様の装置(図8に示す装置)を正極端子と負極端子に接続して1キロヘルツの測定信号にて内部抵抗を測定した。
また、負極の重量から計算される容量を作製した二次電池の容量として、0.2C(容量/時間の0.2倍の電流)の充放電と、30分の休憩時間からなるサイクルを1サイクルとし、充電のカットオフ電圧を2.0V、放電のカットオフ電圧を0.9Vに設定し、充放電のサイクル寿命試験を行い、サイクル寿命を評価した。なお、サイクル寿命は電池容量の60%を下回ったサイクル回数とした。比較例7の電池の内部抵抗及びサイクル寿命をそれぞれ1.0として実施例7の電池の内部抵抗及びサイクル寿命を規格化した。結果を表8に示す。
実施例のニッケル−亜鉛電池では、比較例の電池に比較して充放電の繰り返しで発生する亜鉛のデンドライト成長が抑えられ、サイクル寿命が伸びた。
Figure 0004630857
実施例8
本例では、以下の手法で図7に示した断面構造のコイン形の空気−亜鉛二次電池を作製した。
(1)高分子ゲルの調製
実験例10と同様にして、アクリルアミド8部、アクリル酸2部、メチレンビスアクリルアミド1部、アニオン界面活性剤のドデシルスルホン酸ナトリウム20部、開始剤としての2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4部、イオン交換水92部、を混合し、窒素雰囲気下で70℃で攪拌しながらラジカル重合すると粒状高分子ゲルが得られた。メタノールで洗浄し界面活性剤を除去し、乾燥した。
(2)負極701の作製
酸化亜鉛粉末95部、亜鉛粉末5部の混合物に、さらに、結着剤としてのテトラフルオロエチレンポリマーと上記(1)で得られた高分子ゲル粉末を重量比で94:5:1になるように混合し、銅のパンチングメタル板に、ロールプレス機で圧着加熱することによって、亜鉛負極板を得た。得られた亜鉛負極板を所定のサイズにパンチで打ち抜き、負極701を得た。
(3)正極703の作製
アセチレンブラックに二酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化コバルトを混合した混合物に、結着剤としてのテトラフルオロエチレンポリマーと上記(1)で得られた高分子ゲル粉末を重量比で94:5:1になるように混合し、ニッケルメッシュに塗布しロールプレス機で圧着加熱することによって成形したものを、所定のサイズにパンチで打ち抜き、正極703を作製した。
(4)イオン伝導構造体である高分子ゲル電解質層702の形成
上記(1)で得られた高分子ゲル粉末と粒径10ミクロンのコロイダルシリカを97:3の重量比で混合し、これを(2)で得られた負極面に分散し、2重量%の水酸化リチウムを含む30重量%の水酸化カリウム水溶液を添加し高分子ゲル電解質層702を形成した。
上記(3)で作製した正極に、2重量%の水酸化リチウムを含む30重量%の水酸化カリウム水溶液を含浸させた。
(5)二次電池の組み立て
チタンクラッドのステンレススチール材の空気取り込み孔付き電池缶(正極缶)705に空気拡散紙とはっ水膜のテトラフルオロエチレンポリマーフィルムを挿入し、上記(3)で得られた正極703、上記(4)で得られた高分子ゲル電解質層702被覆の負極701を密着させて順次挿入し、正極の集電体のニッケルは電池缶705に接して導通するようにした。その後、ポリプロピレン製のガスケット706をはめ、負極キャップ704をかぶせて、かしめてコイン形電池を作製した。
比較例8
以下の点を除き実施例8と同様にしてコイン形電池を作製した。本比較例では実施例8の(4)の高分子ゲル電解質の形成を行わなかった。さらに、実施例8の(2)と(3)で作製した負極と正極作製で高分子ゲル粉末の代わりにテトラフルオロエチレンポリマー粉末を用いて負極と正極を作製した。電池の組み立てでは、正極と負極の間に2重量%の水酸化リチウムを含む30重量%の水酸化カリウム水溶液を含浸保持させた厚み200ミクロンのポリプロピレンフィルム不織布のセパレータを挟んだ。
〔実施例8と比較例8の電池の評価〕
上記手順で作製した二次電池に対して、実験例1と同様の装置(図8に示す装置)を正極端子と負極端子に接続して1キロヘルツの測定信号にて内部抵抗を測定した。
負極の重量から計算される容量を作製した二次電池の容量として、0.2C(容量/時間の0.2倍の電流)の充放電と、30分の休憩時間からなるサイクルを1サイクルとし、充電のカットオフ電圧を2.0V、放電のカットオフ電圧を0.9Vに設定し、充放電のサイクル寿命試験を行い、サイクル寿命を評価した。なお、サイクル寿命は電池容量の60%を下回ったサイクル回数とした。また、別途実施例8と比較例8の電池を作製し、一ヶ月間空気取り込み孔を開放したままで空気中で保存し、充電のカットオフ電圧を2.0V、放電のカットオフ電圧を0.9Vに設定し、充放電試験を行い、3サイクル目の放電量を計測した。比較例の電池の内部抵抗、サイクル寿命及び保存時の放電量をそれぞれ1.0として実施例の電池の内部抵抗及、サイクル寿命及び保存時の放電量を規格化して評価した。結果を下記表9に示す。
表9に示す結果より実施例8の空気−亜鉛電池では、比較例8の電池に比較して充放電の繰り返しで発生する亜鉛のデンドライト成長が抑えられ、サイクル寿命が伸びた。また、保存特性も優れていた。
Figure 0004630857
上記、実施例1〜8と比較例1〜8の性能評価から、本発明の二次電池の構成を採用することで、電解液の液漏れ防止はもちろんのこと、放電特性にすぐれ、サイクル寿命も良好な、二次電池を得ることが可能であることが分かる。また、実施例3および4の電池の過充電時の評価から、本発明の二次電池は過充電に強く、過充電防止回路をより簡略化でき、安全であることが分かる。
(a),(b):本発明に採用されるイオン伝導構造体の一例を模式的に示す図。 (a),(b):本発明に採用されるイオン伝導構造体の構造とその作用を模式的に説明する図。 (a),(b):従来のイオン伝導構造体の構造とその作用を模式的に説明する図。 本発明に採用されるイオン伝導構造体の他の例を模式的に示す図。 本発明の二次電池の構造を模式的に示す図。 本発明の二次電池の一態様を示す断面図。 本発明の二次電池の他の態様を示す断面図。 実施例においてイオン伝導構造体のインピーダンスを測定するための系を模式的に示す図。 実施例において、イオン伝導構造体のイオン伝導の異方性を確認するための高分子ゲル電解質の調製用の系を模式的に示す図。 実験例2のイオン伝導構造体(高分子ゲル電解質)を電子顕微鏡で観察した際に得られた像を示す模式図。 実験例4のイオン伝導構造体(高分子ゲル電解質)を電子顕微鏡で観察した際に得られた像を示す模式図。
符号の説明
101 イオン伝導構造体
201,401,501,601 層状もしくは柱状(カラム)構造に沿ってイオンチャネルが配向したイオン伝導構造体
202 配向したイオンチャネル
403,502,602 層状もしくは柱状(カラム)構造
504,604,701 負極
505,607,703 正極
507 負極端子
508 正極端子
506 電槽(ハウジング)
605 負極活物質層
606 負極集電体
608 正極活物質層
609 正極集電体
610 外装材(ハウジング)
204,205,304,305,802,902 電極
206,306 電源
301 イオン伝導構造体
302 無配向のイオンチャネル
203、303 母材部
402 層状もしくは柱状(カラム)構造の粒状イオン伝導体
503、603 層状もしくは柱状(カラム)構造イオン伝導構造体の母材
803 インピーダンス測定装置
901 容器
704 負極キャップ(負極端子)
705 正極缶(正極端子)
706 ガスケット

Claims (15)

  1. 対向して設けられる正極及び負極の間に、イオン伝導構造体を配し、前記イオン伝導構造体の、前記正極面と負極面とを結ぶ方向のイオン伝導度が高くなるように、イオンチャネルを配向させる二次電池の製造方法であって、
    ビニル化合物のモノマーと、二つ以上の不飽和結合を有するジビニル化合物、トリビニル化合物から選択される架橋剤に、液晶性化合物、ジアセチレン化合物、両親媒性化合物から選択される前記モノマー及び/又は架橋剤を配列させるための鋳型となる化合物を添加し、重合架橋することによりイオン伝導構造体の母材である架橋高分子を調製する工程を経て層状もしくは柱状(カラム)構造を有するイオン伝導構造体を作製することを特徴とする二次電池の製造方法。
  2. 前記重合架橋の前に、不織布、無機酸化物から選択された補強材を添加することを特徴とする請求項1記載の二次電池の製造方法。
  3. 前記層状もしくは柱状(カラム)構造を有するイオン伝導構造体は、光照射、磁場印加、電場印加、加熱から選択される一種類以上の工程を経て作製される請求項1記載の二次電池の製造方法。
  4. 前記鋳型となる化合物が両親媒性化合物である請求項1記載の二次電池の製造方法。
  5. 前記架橋高分子に、電解液(支持電解質を溶媒に溶解させて得られる溶液)を吸液させ、固形化させて前記イオン伝導構造体を作製する請求項1記載の二次電池の製造方法。
  6. 前記架橋高分子の調製時(架橋反応前)に、電解液(支持電解質を溶媒に溶解させて得られる溶液)を添加して前記イオン伝導構造体を作製する請求項1記載の二次電池の製造方法。
  7. 前記架橋高分子の形状がシート状もしくはフィルム状である請求項1記載の二次電池の製造方法。
  8. 前記架橋高分子の形状が粒状もしくは粉末状である請求項1記載の二次電池の製造方法。
  9. 負極、層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有するイオン伝導構造体、及び正極をこの順序で積層して積層体を形成する工程を含む請求項1記載の二次電池の製造方法。
  10. 負極、層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有する架橋高分子、及び正極に電解液(支持電解質を溶媒に溶解させて得られる溶液)を吸液させる工程と吸液した前記負極、吸液した前記架橋高分子及び吸液した前記正極をこの順序で積層して積層体を形成する工程と、を含む請求項1記載の二次電池の製造方法。
  11. 負極と正極間にスペーサーを挟み、負極と正極の接触を避け、負極と正極間に一定の距離を保った後、負極と正極間に、層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有するイオン伝導構造体を形成する請求項1記載の二次電池の製造方法。
  12. 負極及び正極の少なくとも一方の表面に、層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有するイオン伝導構造体を形成する請求項1記載の二次電池の製造方法。
  13. 負極及び正極の少なくとも一方の表面に、層状構造もしくは柱状(カラム)構造を有する高分子層を形成し、該高分子層に電解液を吸液させて前記イオン伝導構造体を形成する請求項1記載の二次電池の製造方法。
  14. 前記重合架橋の後に、前記鋳型となる化合物を除去してイオン伝導構造体を作製することを特徴とする請求項1記載の二次電池の製造方法。
  15. 前記架橋高分子を、表面配向処理された基体上に前記モノマー及び/又は架橋剤を配列させるための鋳型となる化合物を配置した上で調製することを特徴とする請求項1記載の二次電池の製造方法。
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