JP4630158B2 - 低降伏比高強度高靭性鋼板の製造方法 - Google Patents

低降伏比高強度高靭性鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、低降伏比高強度高靭性鋼板の製造方法に関するものであり、殊に、引張強度が490N/mm以上で降伏比が70%以下と低降伏比を示すと共に、靭性にも優れた鋼板を、効率よく製造することのできる方法に関するものである。
建築構造物をはじめとする各種構造物に使用される鋼板には、該構造物の安全性確保の観点から、降伏比が低いことが要求されている。降伏比が低いと、降伏点以上の応力が付加されても破壊までの許容応力が大きいため、例えば地震等により降伏応力を超える負荷が建築構造物等に加わったとしても、脆性破壊に至るおそれが極めて小さい。
しかし、一般に降伏比は高強度化に伴い上昇する傾向にあるため、高強度と低降伏比を両立させることは難しい。また構造物の安全性向上の観点から、鋼板には高靭性であることも求められるが、靭性を高める場合も降伏比が上昇する傾向にある。よって優れた耐震性能を発揮する鋼板として、低降伏比と高靭性を併せて発揮する高強度鋼板が求められている。
降伏比を低くする方法として、従来より、軟質のフェライト相と硬質の第2相との2相組織とすることが有効であるといわれており、該組織を形成すべく種々の製造方法が提案されている。その中でも、圧延後に(α+γ)二相域に加熱する中間熱処理を行う方法が多く提案されている。該方法は、組織制御を比較的容易に行なうことができるが、工程が複雑になり生産性が低下するといった問題がある。
これに対し、オンラインで効率良く製造する方法として、次の様な技術が提案されている。例えば特許文献1には、規定成分の鋼を、1000℃以上に加熱後、Ar3変態点以上の温度域において圧下率が50%以上の熱間圧延を行った後、続いてAr3以上の温度から冷却速度2℃/秒以上で、Ar3以下Ar3−100℃以上の温度(予備冷却停止温度T℃)まで予備冷却を実施し、一定時間待機した後、再び3℃/sec以上15℃/sec以下の冷却速度で400〜600℃の温度域まで加速冷却する方法が示されている。該技術では、加速冷却の際に、マルテンサイト組織の生成を避けて400〜600℃で冷却を停止することで、組織をフェライトとベイナイトの2相組織としている。しかしこの様な組み合わせの2相組織では、軟質相と硬質相の硬度差があまり大きくないため、70%以下の低YRを確実に達成することは難しい。
また特許文献2には、規定成分の鋼を、Ac3変態点以上1300℃以下の温度に加熱し、少なくとも開始温度が950℃以下、終了温度がAr3変態点以上で累積圧下率が30%以上のオーステナイトの未再結晶域圧延を含む熱間圧延を行った後、冷速が3〜100℃/sの加熱冷却を、Ar3変態点以上の温度からオーステナイト分率が20〜70%となる温度まで行い、加速冷却停止後から10〜100sの間、昇温、保持、冷速0.5℃/s以下の冷却、の1種または2種以上の組み合わせにより、加速冷却停止温度±100℃に維持した後、冷却するプロセスが提案されている。上記技術は、高靭性かつ高一様伸びを得るべく、冷速:3〜100℃/sでの加熱冷却をγ:20〜70%となる温度まで行なっているが、該方法では降伏比が70超〜80%と高くなっている。
特開2000−87138号公報 特開2003−253331号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、引張強度が490N/mm以上の低降伏比高靭性鋼板を、合金元素を多量に用いたり、熱処理工程を別途設けることなく、効率よく安定して製造することのできる方法を提供することにある。
本発明に係る引張強度が490N/mm以上の低降伏比高靭性鋼板の製造方法は、
質量%で(化学成分について以下同じ)、
C :0.05〜0.18%、
Si:0.10〜0.60%、
Mn:0.90〜2.0%、
P :0.025%以下(0%を含まない)、
S :0.015%以下(0%を含まない)、
Al:0.001〜0.1%、
N :0.002〜0.01%
を満たし、残部鉄および不可避不純物からなる鋼材を、
950℃以上1250℃以下に加熱後、圧延を開始し、820℃以上で圧延を終了した後、20℃/s以上の冷却速度で600〜700℃まで冷却し、該温度域で10〜200秒間温度保持及び/又は緩冷却した後、5℃/s以上の冷却速度で300℃以下まで冷却することによって、
鋼板の金属組織を、全組織に対する占積率で、
フェライト:70〜90%、
マルテンサイトまたはマルテンサイトとオーステナイトの混合相:3〜15%、
残部:ベイナイト(0%の場合を含む)
とするところに特徴がある。
上記製造方法では、前記鋼材として、更にTi:0.005〜0.10%を含むものや、更にCa:0.0005〜0.0030%を含むものを用いてもよい。
本発明によれば、建築、橋梁等の各種構造物に最適な引張強度が490N/mm以上で降伏比が70%以下と低く、高い耐震性能を示す高靭性鋼材を、合金元素を多量に用いることなく安価で製造することができる。また、熱処理工程を別途設ける必要がなく、オンラインで効率よく上記鋼材を製造できる。
本発明者らは、引張強度が490N/mm以上で降伏比(YR)が70%以下と低降伏比を示す高靭性鋼材を、効率よく安定して製造すべく鋭意研究を行なった。その結果、490N/mm以上の高強度域で降伏比:70%以下の低降伏比と高靭性を両立させるには、金属組織を、
・結晶粒の微細なフェライトと、マルテンサイトまたはマルテンサイトとオーステナイトの混合相、及びベイナイト、または、
・結晶粒の微細なフェライトと、マルテンサイトまたはマルテンサイトとオーステナイトの混合相
とすることが必要であるとの認識に至った。フェライトとベイナイトの2相組織では硬度差があまり大きくないため、降伏比が十分低くならないが、マルテンサイト組織を存在させることによって、第2相(硬質相)の硬度を上昇させてYRを十分に低下させることができる。
金属組織は具体的には、全組織に対する占積率で、
・フェライト(ポリゴナルフェライト)を70〜90%、
・マルテンサイトまたはマルテンサイトとオーステナイトの混合相を3〜15%、
・残部:ベイナイト(0%の場合を含む)
・上記フェライトの平均結晶粒径を20μm以下
にすればよい。
本発明では、上記の通り、平均結晶粒径が20μm以下と結晶粒の微細なフェライト(ポリゴナルフェライト)を、全組織に対する占積率で70%以上とすることで優れた靭性を確保できる。一方、低YR化を図るには、硬質の第2相を存在させる必要があることからその上限を90%とした。
また本発明では、硬質相として特に、マルテンサイトまたはマルテンサイトとオーステナイトの混合相を存在させる。該組織を存在させることによって、軟質相であるフェライトとの硬度差を大きくでき、YRの更なる低下を図ることができる。こうした効果を発揮させるには、上記マルテンサイトまたはマルテンサイトとオーステナイトの混合相を、全組織に対する占積率で3%以上存在させる。尚、靭性確保の観点からその上限を15%とした。
本発明にかかる鋼板は、製造過程において、上記マルテンサイトまたはマルテンサイトとオーステナイトの混合相と共に、ベイナイトが形成される場合があり、この場合には、上記フェライト、上記マルテンサイトまたはマルテンサイトとオーステナイトの混合相、及びベイナイトの複合組織となる。
上記組織の鋼材を、熱処理工程を別途設けることなく効率よく安定して製造し、所望の特性を確実に満足させるための成分組成と製造条件について様々な角度から検討した。
まず成分組成の範囲と該範囲を規定した理由について詳述する。
〈C:0.05〜0.18%〉
Cは、焼入性を上げてマルテンサイトやベイナイトを生成するために必要な元素であり、本発明では0.05%以上含有させる。しかしCを過剰に含有させると、硬質相の硬度が必要以上に上昇して靭性が劣化するので、0.18%以下に抑える。
〈Si:0.10〜0.60%〉
Siは、溶鋼の脱酸に必要な元素であり、また強度向上にも有用な元素である。こうした作用を有効に発揮させるには、0.10%以上含有させる必要がある。しかしSiを過剰に含有させると靭性が低下するため、その上限を0.60%とする。
〈Mn:0.90〜2.0%〉
Mnは、強度を向上させると共に、オーステナイト安定化元素としても有用であり、本発明では0.90%以上含有させる。しかしMn量が過剰になると、溶接した場合に溶接部の靭性が劣化するため、2.0%以下に抑える。
〈P:0.025%以下(0%を含まない)〉
〈S:0.015%以下(0%を含まない)〉
PやSは不純物元素であり、延性や靭性を劣化させるので、極力低減する必要がある。しかし必要以上の低減は、工程数の増加やコストアップを招くため、材質に悪影響を殆ど及ぼさない許容範囲として、Pは0.025%以下、Sは0.015%以下に抑える。
〈Al:0.001〜0.1%〉
Alは、脱酸元素として有用であるため、0.001%以上含有させるのがよい。しかし過剰に含まれると、溶接した場合に溶接部の靭性が劣化するため0.1%以下とする。
〈N:0.002〜0.01%〉
Nは、鋼中に固溶状態で存在すると延性や靭性を劣化させる有害な元素である。該固溶状態のNを低減するには、鋼中N量の低減が有効であり、本発明では0.01%以下に抑える。しかし必要以上の低減は、工程数の増加やコストアップを招くため好ましくない。コストや生産性の観点からNの下限は0.002%程度となる。
本発明で規定する含有元素は上記の通りであって、残部は鉄及び不可避不純物であり、該不可避不純物として、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる元素の混入が許容され得る。更に、本発明の作用に悪影響を与えない範囲で、下記元素を積極的に含有させることも可能である。
〈Ti:0.005〜0.10%〉
Tiは高温でも安定なTiNを形成することで、オーステナイト粒を微細化したり、溶接した場合に溶接部の靭性を改善するといった効果を有する元素である。該効果を有効に発揮させるには、Tiを0.005%以上含有させることが好ましい。しかしTiが過剰になると、粗大な析出物が生じて靭性や延性が劣化するため、0.10%以下とするのがよい。
〈Ca:0.0005〜0.0030%〉
Caは、SをCaSとして固定することにより、靭性を向上させるのに有効である。この様な効果を十分に発揮させるには、Caを0.0005%以上含有させることが好ましい。しかし過剰に含有させても、上記効果は飽和するだけであるので、Ca含有量は0.0030%以下とすることが好ましい。
本発明の製造方法は、前述した成分組成を満足する鋼材を、950℃以上1250℃以下に加熱後、圧延を開始し、820℃以上で圧延終了後、20℃/s以上の冷却速度で600〜700℃まで冷却し、該温度域で10〜200秒間温度保持及び/又は緩冷却した後、5℃/s以上の冷却速度で300℃以下まで冷却するところに特徴がある。以下、本発明法の熱処理パタンを概略的に示した図1を参照しつつ、各処理について詳述する。尚、本発明は図1に限定されるものでなく、規定範囲内で様々な条件を採用することができる。
まず、前述した成分組成を満足する鋼材を950℃以上1250℃以下に加熱後、圧延を開始する。該加熱温度が低いと、圧延温度が低くなりすぎて所望の圧延終了温度を確保できなくなる。好ましくは1000℃以上である。一方、1250℃を超えると、オーステナイト粒が粗大化し靭性の劣化を招く。
上記温度に加熱後、圧延を開始して820℃以上で圧延を終了する。820℃未満で圧延を行なうと金属組織に異方性が生じ、得られた鋼板を構造物に適用する場合、安全性確保のために行う超音波探傷試験で欠陥部の正確な位置を検出することが難しくなる。また製造上、圧延負荷が高まり生産性が低下するといった問題も生じる。好ましくは850℃以上で圧延を終了する。
上記温度で圧延を終了後、20℃/s以上(好ましくは30℃/s以上)で600〜700℃の温度域まで冷却する(以下、これを「1回目の加速冷却」ということがある)。この様な加速冷却を行うことで、オーステナイトが過冷状態となり変態が抑制される。そして該温度域で変態させることによって、変態の駆動力が高いため均一かつ微細なフェライトが形成され、優れた靭性を確保できる。上記冷却速度が20℃/sより遅いと、加速冷却中に一部変態が生じ、均一かつ微細な組織が得られない。
また上記冷却速度での冷却を600〜700℃の温度域までとする。上記加速冷却を600℃未満の低温域まで行うと、フェライトがアシキュラー状となり易い。アシキュラー状のフェライトが形成されると、靭性は確保できるが、該アシキュラー状のフェライトは、ポリゴナルフェライトよりも硬度が高いため、第2相との硬度差が減少し、その結果、低YRの実現が難しくなる。一方、上記加速冷却を700℃超と高温域で終了し、該温度域で保持しても、変態速度が遅く十分量のフェライト確保に時間を要する。またフェライト粒が粗大になり、靭性が低下し易くなる。
上記冷却速度で600〜700℃まで冷却した後は、該温度域で10〜200秒間温度保持及び/又は緩冷却(以下、単に「保持」ということがある)する。該温度域で保持することによって、上述の通り、600〜700℃まで変態の抑制されたオーステナイトを変態させて、均一かつ微細なフェライトを得ることができる。この場合、保持時間が10秒未満だと変態が十分でなく所定量のフェライトを確保できない。また200秒を超えると、オーステナイトが減少して硬質相の確保が困難となる他、生産性の低下も招くので好ましくない。
600〜700℃で10〜200秒間保持した後は、冷却速度5℃/s以上で300℃以下まで冷却する(以下、これを「2回目の加速冷却」ということがある)。この2回目の加速冷却で未変態のオーステナイトを、マルテンサイトまたはマルテンサイトとオーステナイトの混合相や、ベイナイトに変態させる。上記冷却速度が5℃/s未満だと、上記組織が得られず、フェライトとパーライトが生成して強度が不足すると共に、硬度差が低くなり低YRを実現できない。
また上記加速冷却は300℃以下まで行う。上記加速冷却を300℃よりも高温域で停止すると、マルテンサイト組織を確保できず、十分な低YR化を図ることができないからである。
上記の通り300℃以下まで上記冷却速度で冷却後は、室温まで特に冷却方法を問わず、空冷(AC)、急冷、気水冷却等を行なうことができる。尚、上記温度、冷却速度は全て鋼材(鋼板)の表面温度で制御する。
本発明では、連鋳法あるいは造塊法により作製されたスラブを用い、上記条件で熱間圧延とその後の加速冷却を行うことで、熱処理工程を別途設けなくとも、上記組織を有し、引張強度が490N/mm以上で降伏比が70%以下(特に65%以下)と低降伏比を示すと共に、靭性にも優れた鋼板が得られる。
本発明の鋼板は、上述の通り高強度域において低降伏比かつ高靭性を示すので、特に建築構造物の製造に最適である。尚、本発明の鋼板は、板厚9〜60mmと厚鋼板に分類されるものである。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
表1に示す成分組成の鋼(残部はFeおよび不可避不純物)を通常方法で溶製し、スラブとした後、表2に示す条件で熱間圧延と加速冷却を行ない鋼板を得た。そして、得られた鋼板を用いて金属組織、引張特性、靭性を下記要領で評価した。
[金属組織の観察]
フェライト(ポリゴナルフェライト;F)の占積率は、各鋼板の板厚1/4部位について、光学顕微鏡を用いて倍率200倍で1視野:300μm×300μmの領域を観察し、画像解析ソフトを用いて測定し、5視野の平均値を求めた。
また、フェライトの平均結晶粒径は、各鋼板の板厚1/4の位置において、400倍で10視野を観察してJISで規定される比較法で測定し、10視野の平均値を求めた。
マルテンサイト(M)またはマルテンサイトとオーステナイトの混合相(MA)の占積率は、熱延鋼板の板厚1/4部位について、レペラー腐食をした後、光学顕微鏡を用いて倍率1000倍で1視野:50μm×50μmの領域を観察し、画像解析ソフトを用いて測定し、10視野の平均値を求めた。
そして全組織(100%)から、上記フェライトと、マルテンサイトまたはマルテンサイトとオーステナイトの混合相の占積率を差し引いて、ベイナイト(B)の占積率とした。
[引張試験]
各鋼板の板厚1/4部位からJIS Z 22014号試験片を採取して、JIS Z 2241の要領で引張試験を行ない、降伏強度(0.2%耐力:σ0.2)及び引張強度(TS)を測定した。そして引張強度:490N/mm以上で降伏比が70%以下のものを、高強度かつ低降伏比を示すと評価した。
[衝撃試験(靭性の評価)]
各鋼板の板厚1/4部位からJIS Z 2202の4号試験片を採取して、JIS Z2242の要領でシャルピー衝撃試験を行い、試験温度0℃での吸収エネルギー(vE)を測定した。そして、該吸収エネルギー(vE)が100J以上のものを靭性に優れると評価した。
Figure 0004630158
Figure 0004630158
表1、2より次の様に考察できる(尚、下記No.は、表2中の実験No.を示す)。即ち、No.1〜4,15,16は、本発明で規定する方法で製造したため、得られた鋼材は、引張強度:490N/mm以上の領域において、降伏比(YR)が70%以下と低降伏比で、吸収エネルギー(vE)が100J以上と靭性(衝撃特性)に優れている。
これに対し、No.5〜14は、規定する方法で製造していないため、引張特性(引張強度、降伏比)、靭性(衝撃特性)の少なくともいずれかに不具合が生じている。
即ち、No.5は、1回目の加速冷却と600〜700℃での温度保持を行っていないため、フェライトが粗大となり、低降伏比であるが靭性に著しく劣っている。
No.6は、1回目の加速冷却を600℃まで行った後、室温まで放冷しており、2回目の加速冷却を行っていないため、硬質相が生成しておらずYRが高くなっている。
No.7は、1回目の加速冷却の停止温度が低いため、フェライトがポリゴナルフェライトでなくアシキュラーフェライトとなり、YR70%以下を達成できていない。
No.8は、1回目の加速冷却の停止温度が高いため、十分量のフェライトを確保できずYRが高くなった。また生成したフェライトが粗大となり、靭性も劣っている。
No.9は、600〜700℃での保持時間が短いため、変態が十分でなく所定量のフェライトを確保できず、降伏比が高く、また衝撃特性に劣る結果となった。
No.10は、可動転位が多く導入されているためYRは70%以下であるが、加速冷却を途中で停止していないため、フェライトが生成しておらず、金属組織がベイナイト単相であるため優れた靭性を確保できていない。
No.11は、1回目の加速冷却の冷却速度が遅いため、冷却中に一部変態が生じ、組織が均一かつ微細でないため衝撃特性に劣っている。
No.12は、600〜700℃での保持時間が長すぎるため、マルテンサイトまたはマルテンサイトとオーステナイトの混合相(及びベイナイト)を確保できず、YRが高くなった。
No.13は、2回目の加速冷却の停止温度が高いため、マルテンサイトまたはマルテンサイトとオーステナイトの混合相(及びベイナイト)が十分に生成されず、YRが高くなった。
No.14は、2回目の加速冷却の冷却速度が遅いため、マルテンサイトまたはマルテンサイトとオーステナイトの混合相(及びベイナイト)が生成されず、強度が不足しておりYRも高くなっている。
本発明法の代表的な熱処理パタンを説明した概略図である。

Claims (3)

  1. 質量%で(化学成分について以下同じ)、
    C :0.05〜0.18%、
    Si:0.10〜0.60%、
    Mn:0.90〜2.0%、
    P :0.025%以下(0%を含まない)、
    S :0.015%以下(0%を含まない)、
    Al:0.001〜0.1%、
    N :0.002〜0.01%
    を満たし、残部鉄および不可避不純物からなる鋼材を、
    950℃以上1250℃以下に加熱後、圧延を開始し、820℃以上で圧延を終了後、20℃/s以上の冷却速度で600〜700℃まで冷却し、該温度域で10〜200秒間温度保持及び/又は緩冷却した後、5℃/s以上の冷却速度で300℃以下まで冷却することによって、
    鋼板の金属組織を、全組織に対する占積率で、
    ポリゴナルフェライト:70〜90%、
    マルテンサイトまたはマルテンサイトとオーステナイトの混合相:3〜15%、
    残部:ベイナイト(0%の場合を含む)とすると共に、
    上記ポリゴナルフェライトの平均結晶粒径を20μm以下とする
    ことを特徴とする引張強度が490N/mm2以上の低降伏比高強度高靭性鋼板の製造方法。
  2. 前記鋼材が、更にTi:0.005〜0.10%を含むものである請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記鋼材が、更にCa:0.0005〜0.0030%を含むものである請求項1または2に記載の製造方法。
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