JP2007056294A - 低降伏比高強度高靭性鋼板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 質量%で(化学成分について以下同じ)、C:0.05〜0.18%、Si:0.10〜0.60%、Mn:0.90〜2.0%、P:0.025%以下(0%を含まない)、S:0.015%以下(0%を含まない)、Al:0.001〜0.1%、N:0.002〜0.01%を満たし、残部鉄および不可避不純物からなる鋼材を、
950℃以上1250℃以下に加熱後、圧延を開始し、820℃以上で圧延を終了後、20℃/s以上の冷却速度で600〜700℃まで冷却し、該温度域で10〜200秒間温度保持及び/又は緩冷却した後、5℃/s以上の冷却速度で300℃以下まで冷却することによって、規定の金属組織とする。
【選択図】 図1
Description
質量%で(化学成分について以下同じ)、
C :0.05〜0.18%、
Si:0.10〜0.60%、
Mn:0.90〜2.0%、
P :0.025%以下(0%を含まない)、
S :0.015%以下(0%を含まない)、
Al:0.001〜0.1%、
N :0.002〜0.01%
を満たし、残部鉄および不可避不純物からなる鋼材を、
950℃以上1250℃以下に加熱後、圧延を開始し、820℃以上で圧延を終了した後、20℃/s以上の冷却速度で600〜700℃まで冷却し、該温度域で10〜200秒間温度保持及び/又は緩冷却した後、5℃/s以上の冷却速度で300℃以下まで冷却することによって、
鋼板の金属組織を、全組織に対する占積率で、
フェライト:70〜90%、
マルテンサイトまたはマルテンサイトとオーステナイトの混合相:3〜15%、
残部:ベイナイト(0%の場合を含む)
とするところに特徴がある。
・結晶粒の微細なフェライトと、マルテンサイトまたはマルテンサイトとオーステナイトの混合相、及びベイナイト、または、
・結晶粒の微細なフェライトと、マルテンサイトまたはマルテンサイトとオーステナイトの混合相
とすることが必要であるとの認識に至った。フェライトとベイナイトの2相組織では硬度差があまり大きくないため、降伏比が十分低くならないが、マルテンサイト組織を存在させることによって、第2相(硬質相)の硬度を上昇させてYRを十分に低下させることができる。
・フェライト(ポリゴナルフェライト)を70〜90%、
・マルテンサイトまたはマルテンサイトとオーステナイトの混合相を3〜15%、
・残部:ベイナイト(0%の場合を含む)
・上記フェライトの平均結晶粒径を20μm以下
にすればよい。
Cは、焼入性を上げてマルテンサイトやベイナイトを生成するために必要な元素であり、本発明では0.05%以上含有させる。しかしCを過剰に含有させると、硬質相の硬度が必要以上に上昇して靭性が劣化するので、0.18%以下に抑える。
Siは、溶鋼の脱酸に必要な元素であり、また強度向上にも有用な元素である。こうした作用を有効に発揮させるには、0.10%以上含有させる必要がある。しかしSiを過剰に含有させると靭性が低下するため、その上限を0.60%とする。
Mnは、強度を向上させると共に、オーステナイト安定化元素としても有用であり、本発明では0.90%以上含有させる。しかしMn量が過剰になると、溶接した場合に溶接部の靭性が劣化するため、2.0%以下に抑える。
〈S:0.015%以下(0%を含まない)〉
PやSは不純物元素であり、延性や靭性を劣化させるので、極力低減する必要がある。しかし必要以上の低減は、工程数の増加やコストアップを招くため、材質に悪影響を殆ど及ぼさない許容範囲として、Pは0.025%以下、Sは0.015%以下に抑える。
Alは、脱酸元素として有用であるため、0.001%以上含有させるのがよい。しかし過剰に含まれると、溶接した場合に溶接部の靭性が劣化するため0.1%以下とする。
Nは、鋼中に固溶状態で存在すると延性や靭性を劣化させる有害な元素である。該固溶状態のNを低減するには、鋼中N量の低減が有効であり、本発明では0.01%以下に抑える。しかし必要以上の低減は、工程数の増加やコストアップを招くため好ましくない。コストや生産性の観点からNの下限は0.002%程度となる。
Tiは高温でも安定なTiNを形成することで、オーステナイト粒を微細化したり、溶接した場合に溶接部の靭性を改善するといった効果を有する元素である。該効果を有効に発揮させるには、Tiを0.005%以上含有させることが好ましい。しかしTiが過剰になると、粗大な析出物が生じて靭性や延性が劣化するため、0.10%以下とするのがよい。
Caは、SをCaSとして固定することにより、靭性を向上させるのに有効である。この様な効果を十分に発揮させるには、Caを0.0005%以上含有させることが好ましい。しかし過剰に含有させても、上記効果は飽和するだけであるので、Ca含有量は0.0030%以下とすることが好ましい。
フェライト(ポリゴナルフェライト;F)の占積率は、各鋼板の板厚1/4部位について、光学顕微鏡を用いて倍率200倍で1視野:300μm×300μmの領域を観察し、画像解析ソフトを用いて測定し、5視野の平均値を求めた。
各鋼板の板厚1/4部位からJIS Z 22014号試験片を採取して、JIS Z 2241の要領で引張試験を行ない、降伏強度(0.2%耐力:σ0.2)及び引張強度(TS)を測定した。そして引張強度:490N/mm2以上で降伏比が70%以下のものを、高強度かつ低降伏比を示すと評価した。
各鋼板の板厚1/4部位からJIS Z 2202の4号試験片を採取して、JIS Z2242の要領でシャルピー衝撃試験を行い、試験温度0℃での吸収エネルギー(vE0)を測定した。そして、該吸収エネルギー(vE0)が100J以上のものを靭性に優れると評価した。
Claims (3)
- 質量%で(化学成分について以下同じ)、
C :0.05〜0.18%、
Si:0.10〜0.60%、
Mn:0.90〜2.0%、
P :0.025%以下(0%を含まない)、
S :0.015%以下(0%を含まない)、
Al:0.001〜0.1%、
N :0.002〜0.01%
を満たし、残部鉄および不可避不純物からなる鋼材を、
950℃以上1250℃以下に加熱後、圧延を開始し、820℃以上で圧延を終了後、20℃/s以上の冷却速度で600〜700℃まで冷却し、該温度域で10〜200秒間温度保持及び/又は緩冷却した後、5℃/s以上の冷却速度で300℃以下まで冷却することによって、
鋼板の金属組織を、全組織に対する占積率で、
フェライト:70〜90%、
マルテンサイトまたはマルテンサイトとオーステナイトの混合相:3〜15%、
残部:ベイナイト(0%の場合を含む)とすると共に、
上記フェライトの平均結晶粒径を20μm以下とする
ことを特徴とする引張強度が490N/mm2以上の低降伏比高強度高靭性鋼板の製造方法。 - 前記鋼材が、更にTi:0.005〜0.10%を含むものである請求項1に記載の製造方法。
- 前記鋼材が、更にCa:0.0005〜0.0030%を含むものである請求項1または2に記載の製造方法。
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