JP4628947B2 - パンチの折損検出方法および成形装置 - Google Patents

パンチの折損検出方法および成形装置 Download PDF

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Description

本発明はパンチの折損検出方法および成形装置に関する。さらに詳しくは、金属や合成樹脂およびセラミックグリーンシートなどにプレスで微細な穴加工を行うときに、パンチの先端部の折損の有無を検出する方法およびその方法を実施する成形装置に関する。
特開平7−32065号公報 特開2000−225423号公報
近年、プレス機械および金型技術の高精度化、デジタル化に伴い、高精度な微細成形が施される製品が増加している。電子、電器業界において代表されるのが、インクジェットプリンタヘッドである。本製品の穴径は10μm程度、隣接穴との穴間ピッチは85μm程度で一つのヘッドに1000個以上の穴を成形するものもある。
他方、自動車業界において代表されるのが自動車燃料噴射装置用オリフィス・プレートである。本製品は板厚100μm前後のプレートに穴径100μm前後の穴を板厚方向に対し傾斜をつけて複数個成形されている。
上記のような成形は、パンチ先端がμmサイズで加工されており、パンチの破損検出は困難である。また破損したパンチで成形を続けると不良率が高くなり、作業効率および経済性が低下する。そのため、簡便で確実なパンチ破損の検出方法が望まれている。
小径成形におけるパンチ破損の検出方法においては、特許文献1に開示されている方法がある。この方法は、パンチのバックアッププレートに取り付けられた荷重センサにより、1回成形する毎に荷重を計測し、計測荷重が正常時より所定以上の荷重差を生じた場合にプレスを停止させ、パンチ破損の検出を行うものである。この方法は、成形荷重をバックアッププレートで受圧し、その荷重をモニタリングしなければならないため、パンチはパンチホルダの穴へ隙間をもって挿入しなければならない。
この方法でも、パンチの先端径が1mm程度で、パンチとダイのクリアランスが数10μm〜数100μmの成形においては問題が少ない。すなわち、パンチとパンチホルダの穴間に隙間を設けると、その隙間分だけパンチが横方向へ移動してパンチとダイ間のクリアランスに偏りが生ずるが、その偏りは正規クリアランスの数%程度であり、かつ、パンチ自身の強度があるため、パンチの早期破損にはつながりにくい。
しかしパンチの先端径が100μm以下でパンチとダイのクリアランスが数μm〜数10μmの微細成形においては、パンチとダイ間のクリアランスに偏りが生じた場合、正規クリアランスの数10%の偏りが発生する。また、クリアランスの設定よってはパンチ端面がダイ上面に衝突する場合もあるため、パンチ自身の強度不足も作用し、パンチの早期破損につながる。
したがって微細成形においては、パンチとパンチホルダの穴とパンチシャンク部分の間にクリアランスを設けることは望ましくない。パンチはパンチホルダの穴への圧入などにより挿入、保持され、成形荷重はパンチシャンク部分とパンチホルダの穴間に生ずる摩擦力によって受圧されるのが好ましい。しかしこのようにすると、バックアッププレートで成形荷重を受けることができないので、特許文献1のような荷重のセンシングによるパンチ折損の検出を行うことができない。
また、貫通孔を穿孔する場合は、製品の表面または裏面より穿孔部分に光を照射し、その透過光を確認することによって、パンチ破損の検出を行う方法を採用することができる。しかし、この方法は貫通している穴に対しては有効であるが、未貫通穴を形成する場合は採用できない。
また、所定の規定数の成形を行った時点で折損の有無に関わらずパンチを交換するという方法も考えられる。しかしこの方法はパンチの交換頻度が高くなり、生産効率の低下や、生産コストの増加につながる。他方、ピアス加工したワークを次工程に搬送する途中に撮像し、そのピアス孔のデジタル画像を加工処理して数値化し、あらかじめ定めた正常値および異常値と比較して、パンチの折損を判定する方法も提案されている(特許文献2参照)。しかしテーパ状の深穴の場合、パンチは先端部で折損することが多く、その場合は上面から撮像しても、穴の形状はほとんど同一で区別がつかない。
たとえば図6に示すインクジェットプリンタヘッドの穴100を加工する場合、まず、パンチ101をワーク102に押し込み、テーパ穴103を押し出し形成する。なお、ワーク102の下方に膨出する膨出部104は、次の工程で研削して除去し、それによりインクが通る貫通孔が形成される。
このような加工では、パンチ101の破損は図7に示すようにパンチ101の先端近辺(符号101aの部位)で生じる。そして破損したパンチ101で加工すると、図8に示すような底面105が浅い不良品の穴103が形成されるが、表面から見ても図9のように大径側の輪郭106が見えるだけである。そのため、正常な穴と区別がつかず、顕微鏡で観察しても、パンチの折損の判断はきわめて困難である。
したがってパンチ破損の確認は、成形終了後にパンチをパンチホルダなどから取り外し、パンチの先端をSEM(走査型電子顕微鏡)などで観察するか、ワークをプレスから取り外し、深度計や高倍率の金属顕微鏡などを用いて、成形された穴の底面105とワーク表面の距離を測定し、パンチ破損を確認することになる。なお、実際にはパンチを取り外すより、ワークを取り外す方が簡便なため、ワークの穴の深さを測定してパンチの破損を確認している。
さらにこの方法は毎回ワークをプレスから取り外すために効率が悪い。そして深度計や金属顕微鏡などを用いる穴の底面観察は、成形する穴径が小さくなるほど、穴深さが深くなるほど、穴内で発生する光の乱反射や、穴底面に溜まっている加工油によって確認が困難となる。そのため、顕微鏡の光量調節、光色調節、ワークの脱脂などを必要とし、作業者の負担が大きい。また、金属顕微鏡を用いる場合は、ワークの表面に焦点を合わせ、つぎに鏡胴を下げて穴の底面に焦点を合わせ、鏡胴の移動距離を読みとって穴深さを測定するので、手間がかかる。
本発明は、微細な穴、とくに未貫通穴を形成する場合でも、簡便にかつ確実にパンチの折損を検出できるパンチの折損検出方法および成形装置を提供することを目的とする。
本発明のパンチの折損検出方法(請求項1)は、パンチをワークに加圧して正規の穴を加工した後、そのパンチの先端部をワーク表面にわずかに入り込む程度に加圧し、成形痕の有無を検出し、成形痕が確認できた場合はパンチが健全であると判断し、確認できなかった場合はパンチ折損が生じていると判断することを特徴としている。
このような検出方法では、前記成形痕の深さを顕微鏡の焦点深度以内の深さとし、顕微鏡で成形痕の検出を行うのが好ましい。
本発明の成形装置(請求項3)は、上下方向に移動可能で下死点位置制御が可能な成形機本体と、ワークを保持し、水平方向に移動可能で位置制御が可能なワーク保持テーブルと、パンチを内蔵した上型と、ダイスを内蔵した下型と、前記ワーク保持テーブルに保持されたワークの移動範囲内に設置された顕微鏡と、顕微鏡のレンズとワーク表面の距離を一定に保つためのワーキングディスタンス保持装置とを備えていることを特徴としている。
前記ワーキングディスタンス保持装置は、ワーク裏面よりワークをエア吸着する吸着装置を備えているものが好ましい(請求項4)。
前述の成形装置においては、パンチをワークに加圧して正規の穴を加工した後、もしくは加工前に、プレスストロークをパンチの先端部がワーク表面にわずかに入り込む程度に設定する下死点位置制御装置と、その状態で加圧した後、加圧部分を顕微鏡の直下に移動させるテーブル制御装置と、顕微鏡で成形痕の有無を検出し、成形痕が確認できた場合はパンチが健全であると判断し、確認できなかった場合はパンチ折損が生じていると判断する自動検出装置をさらに備えているものが好ましい(請求項5)。
本発明のパンチの折損検出方法(請求項1)によれば、パンチ折損検出のための試し成形を行い、そのときのワークの表面の浅い成形痕の有無を確認するので、検出が容易である。そのため、実際のワークの加工が未貫通穴の場合でも、また、微細な深穴であっても検出することができる。
このような検出方法において、前記成形痕の深さを顕微鏡の焦点深度以内の深さとし、成形痕の検出を顕微鏡で行う場合は、径が0.01〜0.05mmの微小な未貫通穴であっても容易に顕微鏡で検出することができる。
本発明の成形装置(請求項3)は、下死点位置制御が可能であるので、通常のワークの加工が完了した後、あるいは加工前に、プレスの下死点をワークの表面よりわずかに低くなるように上方に設定し、その状態でプレス加工を行なうことにより、ワークの上面にパンチで形成痕を形成する程度にわずかに加工することができる。そして加工後、ワーク保持テーブルを移動して加工した部位を顕微鏡で観察し、形成痕の有無を観察することにより、パンチの折損を検出することができる。その場合、ワークディスタンス保持装置を備えているので、顕微鏡のレンズとワークの表面の距離が一定である。そのため、顕微鏡の焦点が常時ワークの表面に合うようにすることができ、検出が容易である。
前記ワーキングディスタンス保持装置が、ワーク裏面よりワークをエア吸着する吸着装置を備えている場合は、ワークの上面側に観察の邪魔になるものがなく、観察が容易である(請求項4)。
また、パンチをワークに加圧して正規の穴を加工した後、もしくは加工前に、プレスストロークをパンチの先端部がワーク表面にわずかに入り込む程度に設定する下死点位置制御装置と、その状態で加圧した後、加圧部分を顕微鏡の直下に移動させるテーブル制御装置と、顕微鏡で成形痕の有無を検出し、成形痕が確認できた場合はパンチが健全であると判断し、確認できなかった場合はパンチ折損が生じていると判断する自動検出装置をさらに備えている場合は、効率的にパンチの折損を検出することができる(請求項5)。
前記いずれの場合も、成形痕が確認できた場合はパンチが健全であると判断して次の通常の加工を継続すればよい。成形痕が確認できなかった場合は、パンチが破損しているものと判断して成形装置を停止させ、パンチを交換するなどで対処することにより、不良品の発生を効率よく防止することができる。
つぎに図面を参照しながら本発明のパンチの折損検出方法および成形装置の実施の形態を説明する。なお、以下の実施形態では、インクジェットプリンタプリンタヘッドを代表して説明する。図1aおよび図1bはそれぞれパンチの折損がない場合とある場合における本発明のパンチの折損検出方法の一実施形態を示すフローチャート、図2aおよび図2bは図1の検出方法の結果を比較して示すワークの平面図、図3は本発明のプレス成形装置の一実施形態を示す側面図、図4は本発明に関わるワーク吸着装置の一実施形態を示す側面図、図5は本発明のパンチ折損検出方法を用いた加工方法の全体を示すフローチャートである。
図1aの検出方法では、まずパンチ10をワーク11に押し込んでテーパ状の未完通穴12を形成する加工工程S1を行う。ついでプレスの下死点を上昇させる(ストローク変更工程S2)。ついで製品の機能上問題のない箇所にパンチ破損確認用のコイニング工程S3を行う。そしてそのコイニング成形痕13を顕微鏡14で確認する確認工程S4を行う。コイニング成形痕13が図2aのように確認できた場合には、パンチ10は健全であると判断する。
加工工程S1で成形されるテーパ状の未貫通穴12は、たとえば先端径D1が0.01mm、終端径(大径側)D2が0.04mm、深さDpが0.053mmである。ワーク11としては、たとえば厚さ0.05mmのステンレスシートが用いられ、加工する未貫通穴12の数はたとえば172個である。なお、図1aの場合は、未貫通穴12は、テーパ部15と先端の円筒部16が小径のアール部17を介して連続している形状であるが、輪郭が滑らかに湾曲している断面形状のテーパ穴であってもよい。
他方、前工程などでパンチ10が折損している場合は、図1bの加工工程S1のように、ワーク11には不良の穴12aが形成される。パンチの折損個所10aは、たとえば先端から0.015〜0.03mm程度の位置であるので、前述のようにワーク11を見るだけでは確認は困難である。そこで図1aと同様に、ストローク変更工程S2およびコイニング工程S3を行うと、確認工程S4では図2bのように成形痕が確認できない。その場合にはパンチが破損したと判断してプレスを停止させ、ワーク11を次の工程に移行せず、廃棄し、パンチを交換する。このように本発明の方法では、成形した穴を直接検出せず、一旦コイニング工程S3を行ない、いわば間接的にパンチ10の折損を検出する方法を採用している。
前記ストローク変更工程S2から確認工程S4は、1個ないし1列の加工ごとに行うのは非効率であるので、加工工程S1で1個の製品に成形するノズル孔の数の分、たとえば1000個を加工するごとに行う。あるいは複数個の製品の加工を行うごとに検出するようにしてもよい。これにより、インラインでパンチの破損が確認できるため、不良率低減、生産効率およびび経済性の向上が図れる。
コイニング工程S3のコイニング深さdpは、たとえば0.003〜0.005mm程度が好ましい。0.003mm未満であると成形痕を確認しにくく、0.005mmを超えると高倍率の顕微鏡では焦点深度が浅いため、ワーク表面と成形痕の底面を同時に見ることが困難になるからである。また、確認工程S4では、成形痕の完全な有る無しだけでなく、成形痕が通常より小さい、または形状が異なる等の場合も、破損と判断することができる。また、その判断は作業者が顕微鏡による目視で行ってもよく、また、画像処理装置により自動的に判断し、破損と判定された場合には、プレスを停止した後、適宜警報装置などにより作業者の注意を喚起するのが好ましい。
つぎに図3を参照して前記のパンチの折損検出方法を実施するための成形装置を説明する。図3の成形装置20は、大きく分けると、ワーク11に微小な穴を形成する成形機本体21と、ワーク11を受けるテーブル22と、パンチ折損を確認する顕微鏡14と、ワーキングディスタンス保持装置としてのワーク吸着装置24と、それらを支持しているベース25からなる。成形機本体21は、上下方向に移動可能で位置制御が可能な、たとえばリニアモータ駆動の上下方向(Z軸)に移動するスライダ26を備えており、そのスライダに上型27が取り付けられている。上型27は、図1などに示すパンチ10と、そのパンチから加工後のワーク11を引き剥がすストリッパ(図1の符号28)を内蔵している。
テーブル22はX軸方向(図3の紙面に直角の方向)およびY軸方向(図3の左右方向)にスライド移動可能な、いわゆるXYテーブルであり、その本体部分はベース25に取り付けられている。なお、テーブル22は成形機本体の一部と考えることもできる。下型29は、図1の膨大部30を成形するための半球状の穴31を有するダイス(ダイ)32を内蔵している。下型29は下型用のダイセット29aを介してボルスタ33に取り付けられており、パンチ10と対応するように配置されている。
前記顕微鏡14としては、拡大倍率が30〜100倍程度の金属顕微鏡などが用いられる。顕微鏡に代えて、デジタル撮像素子を設け、モニターなどで観察するようにしてもよい。また、画像処理を行って自動的にパンチの折損を検出するように構成することもできる。
このような成形装置20では、テーブル22にXY軸に50nmの分解能を持つアブソリュート型リニアスケールを設けることにより、位置制御が的確に行えるようにしている。それにより、ワークがわずかに傾いてテーブル22に設置されている場合でも、テーブル22に設置したワーク11を2次元平面内で移動させながら、たとえばワークに形成している基準穴のセンタを基準位置(0,0)として、あらかじめプログラムされたXY座標の位置にパンチ10とダイス32によって正規の穴を多数形成していくことができる。
また、テーブル22のXY軸の移動は、正規の穴を形成した後、パンチ折損検出のためのコイニング加工をする位置にワーク11を移動させるためにも利用できる。すなわち、XY軸はコイニング加工のためにワーク11を2次元平面内で移動させるときに利用すると共に、コイニング加工をした後、成形痕が顕微鏡の直下に来るように、あるいは顕微鏡直下から元の位置に戻すためにワークを2次元平面内で縦方向に移動させるときに利用する。他方、成形機本体(プレス)21のZ軸は、プレスのスライダ26の下死点決定に使用している。たとえば、穴形成時の下死点と、パンチ破損確認用の下死点は高さが異なるため、それぞれ下死点位置を変更させる。なお、Z軸にも、プレスの下死点検出(スライド位置検出)のためのアブソリュート型リニアスケール(分解能50nm)を設けている。
前記ワーク吸着装置24は、顕微鏡14でワークを観察するとき顕微鏡のレンズとワーク表面の距離(ワーキングディスタンスWD)を常に一定に保つための装置である。顕微鏡14の観察対象である成形痕は、小さい物では10μm以下であり、顕微鏡に要求される光学倍率は100倍前後にもなる。この様に高倍率の顕微鏡では焦点深度が極めて浅く、適切な焦点距離に観察対象を配置しない限り、鮮明な画像が得られない。一方、対象とするワークは100μm以下の薄いシート材であり、たるみや歪みが発生し易く、そのままでは成形痕があると思われるワークの観察部位を顕微鏡に対して適切な距離に保持することが困難である。また、顕微鏡観察時に観察部位に照射する照明によりワークの温度上昇が発生し、ワークの温度膨張を引き起こす。よって観察中にもワークのたるみが経時的に変化するという問題が発生する。
こうした問題に対する一般的な対策は、いわゆるオートフォーカスである。これは顕微鏡側に鏡筒の位置を移動する機構等を持ち、観察対象との適切な焦点距離を自動的に保つものである。しかし、オートフォーカスは極めて高価であり、また観察対象物によっては充分なオートフォーカス機能が得られない場合も少なくない。さらに、顕微鏡の鏡筒部などに可動部を有するので、ガタなどの動作精度によっては水平方向の観察位置の誤差を引き起こす可能性がある。
そこでこの成形装置20では、ワーク11の観察部位を適切な位置に保持するためのワーク吸着装置24をワーキングディスタンス保持装置として採用している。ワーク吸着装置24の詳細を図4に示す。このワーク吸着装置24は、固定部34と、その固定部に対してガイド内蔵のエアシリンダ35で上下動可能に支持された可動部36と、その可動部36の上部に設けられる上昇端を微調整するための微調整機構37と、その上に設けられる、ワークを吸着する吸着パッド38とを有する。
可動部36の全体はエアシリンダ35の上昇/下降の操作により、上端ストッパ39と下端ストッパ(エアシリンダに内蔵)との間で上下に駆動される。微調整機構37は、可動部36の上端位置において、吸着パッド38とワーク下面との距離を微調整する機構であり、マイクロメータの操作により吸着パッド38の上下動を行うことができる。吸着パッド38の上面はワークの吸着面になっており、吸着面には適宜の空気経路を介して、空気経路内の空気を吸引するバキュームポンプなどの吸引手段(図示せず)が接続されている。そして空気経路内の空気を吸引することにより、ワーク11を吸着パッド38に吸着することができる。
つぎに前記のように構成される成形装置20を用いたワークの穴成形加工およびパンチ折損の検出操作を説明する。
<ワーク吸着装置の調整>
始めにプレス成形を開始する前の事前準備として、ワークやワークの代用となる疑似シートをテーブル22に保持させ、観察部位が顕微鏡下に来るように移動させる。つぎにワーク吸着装置24のエアシリンダ35を操作して可動部36を上昇端まで上昇させる。この状態で吸着パッド38とワーク11とが適宜接触するように、微調整機構37で吸着パッド38の上下位置を微調整する。
さらに、吸引手段を操作して空気経路内の空気を吸引し、ワーク11または疑似シートを吸着パッド38に吸着する。この状態で顕微鏡14のフォーカスマウントを手動で操作し、適切な観察画像が得られるように焦点距離を調整し、フォーカスマウントを固定する。
<ワーク取り付け工程(図5のS0参照)>
あらかじめワークをテーブル22に取り付けている場合はそのまま成形工程に移行するが、疑似シートを取り付けている場合は、ワークに交換する。
<プレス成形工程(図1および図5のS1参照)>
ついで成形機本体21およびテーブル22を同調して作動させる。すなわちスライダを1回上下動させて穴を形成し、ついでテーブル22をXY軸によって1ピッチ分ずらせ、さらにつぎの穴を形成する。1列分が形成されると、横方向にずらせて次の列を順次形成する。このとき、たとえば奇数列は前から後ろに、偶数列は後ろから前に形成していけば効率的である。
また、穴をジグザグに配列する場合、たとえば奇数列と偶数列とで半ピッチずらした配列パターンの場合は、縦方向にジグザグに2列分の穴を形成していき、ついて横にずらせて次の2列分をジグザグで形成していくこともでき、また、1列分の穴を順に形成していき、ついで半ピッチずらせて次の列の穴を順に形成していくこともできる。
いずれの場合も、スライダ26の上下動とテーブル22の移動を交互に繰り返し、製品全体の穴を成形する。加工の順序は、生産タクトの向上を考慮して、たとえば最終穴加工の位置が顕微鏡の位置の近くに来るように加工順序をプログラムするのが好ましい。なお、プレス成形時には、エアシリンダ35を操作して可動部36を下端に移動させ、ワーク11やテーブル22と吸着パッド38との干渉を防止する。
<ストローク変更工程(図1および図5のS2参照)>
ついでテーブル22をXY軸の2次元平面内で移動して、製品に影響しない部位をパンチの下方に位置させ、成形機本体20のスライダ26のストロークを変更し、プレスの下死点位置を上昇させ、パンチの先端部がワーク表面にわずかに入り込む程度にする。その場合の変更寸法はあらかじめ定めておき、ストローク変更工程で自動的に変更するようにしておく。
<パンチ折損検出(図1および図5のS4参照)>
ついでその位置でパンチを下降させてコイニング成形を行い、成形痕を形成する。そして成形痕を形成したはずの観察部位が顕微鏡下に来るようにテーブル22を移動させ、ワークを所定の位置に位置決めした後、エアシリンダ35を操作して可動部36を上端に移動させ、同時に吸引手段を操作してワーク下面を吸着パッド38で吸着する。それによりワーク11の高さが精密に規定されるので、繰り返し再現性が良くなり、適切な焦点距離となる位置にワークの観察部位を保持することができる。また、ワークの熱変形に対しても、有効であり、顕微鏡のオートフォーカス機構より安価である。
顕微鏡により形成痕が確認された場合は、前述のようにパンチの折損がないと判断し、つぎの正規の穴の加工に戻る。あるいはそのワークの穴形成が完了している場合は、つぎのワークと交換する。形成痕が確認できない場合、あるいは形成痕が不完全な場合は、そのワークを破棄し、パンチを交換した後、もとのワーク取り付け工程(図5のS0)に戻る。
つぎに具体的な実施例をあげて本発明の効果を説明する。
[実施例1]
図3に示す成形装置20を用い、パンチ先端径20μmで刃長100μmのストレートパンチを使用して、板厚t=50μmのワークに、深さ40μmの未貫通穴の成形を行い、10穴を成形する毎にプレスのストロークを変更して前述のようにパンチの折損の有無を確認した。110穴目の成形痕は確認できたが、120穴目の成形痕は確認できず、プレスが最終穴確認エラーで停止した。金型からパンチを取り外し、SEM観察を行った結果、パンチ先端より50μm程度の箇所でパンチの破損が生じていた。なお、製品は114穴目まで良好な成形が行われていた。
[実施例2]
実施例1と同一の成形装置を使用し、板厚t=0.05mmのワークに、図1のS1に示す形状を備えた先端径0.009mmのパンチにより、穿孔深さWh0.053mmの未貫通穴を10000穴成形した。ついで製品の機能上問題の無い位置に図4に示す深さWh0.003mmのマーキング成形を行った。従って、マーキング成形時の成形機下死点は未貫通穴成形時より0.05mm上昇している。成形箇所を顕微鏡14で観察した結果、マーキング成形痕が明瞭に観察された。
その後、10000穴成形毎にマーキング成形を行った結果、190000穴成形後までマーキング成形痕は明瞭に確認できたが、200000穴成形後のマーキング成形痕が確認できず、プレスが最終穴確認エラーで停止した。金型からパンチを取り外し、SEM観察を行った結果、パンチ先端から0.015mm程度の箇所でパンチの破損が生じていた。また、製品は194418穴までは良好な成形が行われていた。
上記のように、成形穴がストレート穴の場合(実施例1)でも、テーパー穴の場合(実施例2)でも、微細成形におけるパンチ破損の検出を簡便に且つ確実に行うことができた。これに対し、パンチ自体を顕微鏡で確認する方法や、製品の穴深さを確認する従来の方法では、検出に時間がかかり、しかも小径になるほど不確定であった。また、実施例1、2の方法では、製品不良が少量しか発生せず、不良率低減に寄与するし、小径の場合も確実にパンチ破損を判断することができる。また、パンチ破損を確認する作業者の負担をプレス機が担ってくれるため、作業効率の向上も図れる。更に、破損していないパンチを交換することが無いので、経済性も向上する等の効果がある。
図1aおよび図1bはそれぞれパンチの折損がない場合とある場合における本発明のパンチの折損検出方法の一実施形態を示すフローチャートである。 図2aおよび図2bは図1の検出方法の結果を比較して示すワークの平面図である。 本発明のプレス成形装置の一実施形態を示す側面図である。 本発明に関わるワーク吸着装置の一実施形態を示す側面図である。 本発明のパンチ折損検出方法を用いた加工方法の全体を示すフローチャートである。 従来の穴加工方法の一例を示す断面図である。 従来の穴加工におけるパンチの折損状態を示す断面図である。 図7の折損したパンチで穴加工したときの不良品の発生を示す断面図である。 従来の穴加工をしたワークの平面図である。
符号の説明
10 パンチ
11 ワーク
12 未貫通穴
13 コイニング形成痕
14 顕微鏡
S1 加工工程
S2 ストローク変更工程
S3 コイニング工程
S4 確認工程
20 成形装置
21 成形機本体
22 テーブル
24 ワーク吸着装置
25 ベース
26 スライダ
27 上型
28 ストリッパ
29 下型
29a ダイセット
30 膨大部
31 穴
32 ダイス
33 ボルスタ
WD ワーキングディスタンス
34 固定部
35 エアシリンダ
36 可動部
37 微調整機構
38 吸着パッド
39 上端ストッパ
S0 ワーク取り付け工程
S1 プレス工程
S2 ストローク変更工程
S3 コイニング工程
S4 パンチ折損検出工程

Claims (5)

  1. パンチをワークに加圧して正規の穴を加工した後、そのパンチの先端部をワーク表面にわずかに入り込む程度に加圧し、成形痕の有無を検出し、成形痕が確認できた場合はパンチが健全であると判断し、確認できなかった場合はパンチ折損が生じていると判断する、パンチの折損検出方法。
  2. 前記成形痕の深さを顕微鏡の焦点深度以内の深さとし、顕微鏡で成形痕の検出を行う請求項1記載のパンチの折損検出方法。
  3. 上下方向に移動可能で下死点位置制御が可能な成形機本体と、
    ワークを保持し、水平方向に移動可能で位置制御が可能なワーク保持テーブルと、パンチを内蔵した上型と、
    ダイスを内蔵した下型と、
    前記ワーク保持テーブルに保持されたワークの移動範囲内に設置された顕微鏡と、
    顕微鏡のレンズとワーク表面の距離を一定に保つためのワーキングディスタンス保持装置とを備えている成形装置。
  4. 前記ワーキングディスタンス保持装置が、ワーク裏面よりワークをエア吸着する吸着装置を備えている請求項3記載の成形装置。
  5. パンチをワークに加圧して正規の穴を加工した後、もしくは加工前に、プレスストロークをパンチの先端部がワーク表面にわずかに入り込む程度に設定する下死点位置制御装置と、
    その状態で加圧した後、加圧部分を顕微鏡の直下に移動させるテーブル制御装置と、
    顕微鏡で成形痕の有無を検出し、成形痕が確認できた場合はパンチが健全であると判断し、確認できなかった場合はパンチ折損が生じていると判断する自動検出装置とを備えている請求項3記載の成形装置。
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