JP4628265B2 - かりんとうの製造方法 - Google Patents

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本発明は、かりんとうの製造方法に関し、特に砂糖蜜を表面にからませる前段階として、食品押出成形機から押し出された任意の形状のかりんとう体を焼いて芳香を有する焼入れかりんとう体に形成し、回転体ドラムからなる蜜付け機に導入して焼き入れ後のかりんとう体の表面に、砂糖と油脂を煮ながら攪拌混合して生成した糖蜜をからませて製造するかりんとうの製造方法に関する。
従来のかりんとうの製造方法は、イースト又は膨張剤に砂糖と小麦粉と食塩を混合して生地を作成し、その生地を火の通り易い形状に(例えば棒状)に成形した後で、油で揚げるとともに、回転ドラムに入れて、砂糖(例えば黒砂糖)からなる液状の蜜を表面にからませるように攪拌して、生地の外周に糖蜜等を被覆する製造方法が一般的であった。
従来からの油で揚げる製法のかりんとうは、歯ごたえがある甘味菓子として大衆に好まれている一方で、固すぎて子供や歯の弱い人、または老人等には敬遠される傾向があった。
また、糖蜜をからませる前段階として油で揚げる工程がある事により、菓子材料が油に漬けられた状態となるので油が菓子に滲み込んで全体のカロリーが高くなるという難点があった。また、従来のかりんとう生地では油で揚げても火の通りは不均一にならざるを得ないので均質な固さにはならないという問題点があった。また一方、油で揚げているため保存方法、保存期間、保存温度によっては油の劣化が早く、菓子の風味が損なわれて悪くなる可能性があり賞味期間が限られるという問題点も指摘されていた。
そこで、歯ごたえが良い上に老人や子供にも優しく、従来品と比較してカロリーの心配もなく、油が悪くなる可能性の低い、味を賞味できる期間が長持ちするかりんとうの開発が待たれていた。
特開2001−29015号 特開平11−243862号
本発明は上記問題を解決するために、かりんとう生地を食品押出成形機に導入し加圧して押出し膨張させて任意の形状である例えば棒状のかりんとう体を形成し、任意の形状のかりんとう体に焼き入れを施し、焼き入れしたかりんとう体の表面に、砂糖と油脂を煮ながら混合して攪拌生成した糖蜜をからませて形成するかりんとうの製造方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために本発明の係るかりんとうの製造方法は、メリケン粉(小麦粉)を主とするかりんとう生地の原料を食品押出成形機に導入し、加圧混練して膨化させ、任意の形状に押し出し形成したかりんとう体に焼き入れを施し、この焼き入れ後のかりんとう体を回転体ドラムからなる蜜付け機(ドラ)に導入し、かりんとう体の表面に砂糖と油脂を煮ながら攪拌混合して生成した糖蜜をからませることにより製造する構成である。
また、かりんとう生地は、食品押出成形機で混練形成したものであり、かりんとう生地の堅さを自由に制御調節できる構成である。
更に、かりんとう生地は、メリケン粉(小麦粉)を主原料として水を添加して練成形成し、その表面に砂糖と油脂を煮ながら攪拌混合して生成した糖蜜をからませた構成である。
また、砂糖は、カルシウムおよびマグネシウムを含むミネラルを含有する黒砂糖とすることも出来る構成である。
本発明に係るかりんとうの製造方法は、上記の通りの構成であるので、以下のような効果がある。
1 かりんとう生地の原料を食品押出機で混練して膨化させて形成する為、気泡を均一に保つ事が出来る。押し出し成型した任意の形状のかりんとう体に焼き付けを施した製法である為に、従来の油で揚げたかりんとうに比べて不揃いな食感を感じさせない均質なかりんとうを提供することができる。
また、油で揚げる事によって生地に火を通す方法を用いることなく、砂糖と油を混合した糖蜜を本体生地にからませるので、油で揚げる際に不均一になっていた火の通りの偏在を回避できるとともに、糖蜜を生成する際に砂糖と油の混合比を自由に変えられるので油を少なくすることによりカロリーが低いかりんとうを提供できる。
油で揚げる工程がない為、保存方法、保存期間、保存温度等の品質保持に関して利点が多く、長期保存が可能であり、油の劣化による賞味期限の短期限定を回避することができる。
2 堅さを自由に設定できるので、固すぎて敬遠されていた子供や歯の弱い人、または老人等でもかりんとうの食感を楽しむ事ができる。
3 他の化学物質を使用せず、添加物のない自然の素材だけからなる食品を提供できる。
4 糖蜜の原材料として通常は砂糖を使用しているが、カルシウム、マグネシウム等のミネラルを含有する黒砂糖を使用すると、カロリーが少なく且つ栄養価のあるかりんとうを提供できる。
以下本発明に係るかりんとうの製造方法を図面に示す実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は、食品押出成形機の全体を示す一部切欠斜視図である。
図2は、食品押出成形機10の押出口40から押し出されたかりんとう体42を示す斜視図である。
図3は、押し出し膨化成形された任意の形状のかりんとう体を焼入れした状態の斜視図である。
図4は、回転ドラムからなる蜜付け機50で黒砂糖と油脂を煮ながら混合して攪拌生成した糖蜜52をかりんとう体42に攪拌しながらからませる斜視図である。
図5は、かりんとうの製造過程を示した図である。
食品押出成形機10は、混錬部20と、材料の投入口30と、押出口40とからなる。材料の投入口30にメリケン粉(小麦粉)と米粉と水を投入し、混錬部20にて加熱・押圧され、押出口40からかりんとう生地が膨張されて任意の形状(例えば棒状)のかりんとう体の形状として膨化して押し出される。
かりんとうの主原料はメリケン粉(小麦粉)であり、小麦粉に水を添加して混練して生地を形成するが、原料としては、小麦粉の他にも米粉を付加することが考えられる。ちなみに本件の実施例では小麦粉の他に米粉も添加している。
押出し成形機の押出口の目皿の孔の形状は任意に変えられるので、任意の形状のかりんとう体の形成が可能である。従来からの棒状体に成形することも可能であるが、油で揚げる必要がないので、火の通り難い形状のかりんとうの製造も可能である。
混錬部20は、シャフトとシャフトに嵌合している各種のスクリュと、それら全体を収納するシリンダ(筒体)とから成り、必要に応じてスクリュの組み合わせを交換し、また、必要に応じて加熱される構造である。各シャフトに嵌着されるスクリュは形状とピッチの異なる各種のセグメントから成り、組合せによって押圧力、加熱力がコントロール出来る構成である。
材料の投入口30は、各種の食品材料を投入する部分であり、この発明では主原料としてメリケン粉(小麦粉)が使用されているので、小麦粉と水だけで生地を作成することも可能であるが、この実施例では、小麦粉の他に、米粉と水を投入する。投入する順序と投入する原材料の割合によって各種の固さ(堅さ)または食感の異なるかりんとうを形成することができる。メリケン粉(小麦粉)と米粉と水の割合はこの発明では特定しないが、要望される食感により各種の割合を独自に設定することが可能である。また、メリケン粉(小麦粉)だけの実施も可能である他に小麦粉と米粉と水、以外の原料を混入させることも可能である。
押出口40は、食品材料を一定の形状に膨化させる為の小孔の出口である。
かりんとう体42は食品押出成形機10の中で押圧され、加圧された状態で押出口方向へ移動し、圧力が高まったまま押出口40から押し出されて出口部分で加圧が解けて膨張して任意の形に膨化形成される。従来からのかりんとうの形状にこだわる必要はないが、棒状体に形成することも可能であり、又、げんこつ風に形成することも可能である。
押出成形機10から押し出されて膨化形成された任意の形状のかりんとう体42は、焼き入れ装置によって、上下から高温高熱をかけて焼く事により全体が焼かれ表面に焼き跡が形成される。焼き入れ工程を経なくてもかりんとうとしての最終製品の製造は可能であるが、焼き入れ工程を付加して焼いたことにより、押出成形機の加圧・混練・膨化では得ることの出来なかったカリカリとした食感と香ばしさ、いわゆる風味を出すことが出来る。かりんとうの堅さまたはカリカリ感と独特の黒蜜による甘さは必須の要素であり、カリッとした感触を油で揚げる工程を経ずに達成したことが本件発明のポイントである。また、油を使用しないことによるカロリーの抑制ならびに油の劣化を心配することが不要となり、これに付随して賞味期限の長期化等の大きなメリットがここから派生してくる。
蜜付け機50は、糖衣機であり、ドラム型の回転する小型のミキサー型の容器であって、容器内に焼き入れの終わったかりんとう体を導入し、糖蜜を入れてかりんとう体の表面に蜜を付ける。表面につける糖蜜は、別の加熱容器の中で砂糖もしくは黒砂糖と油脂とを加熱しながら混合して糖蜜を攪拌生成する。糖度は70度〜80度が適当であるが、この糖度範囲に限定されない。糖蜜52は、容器内で煮ながら砂糖蜜に油を入れて混合して攪拌生成する。糖蜜に入れる油の割合は自由に設定することが出来るが、油で揚げて作成する従来のかりんとうに対して、油を大量に使用しないことが本件発明にかかるかりんとうの特色であるので、添加する油の量も少量に調整することが望ましい。ここで生成した糖蜜を、前述の食品押出成形機で押出し形成し、焼き入れを施したかりんとう体に掛ける為に回転ドラムからなる蜜付け機50に投入する。糖蜜の原料として使用している黒砂糖は、カルシウム、マグネシウム等のミネラルを含有する素材であり、生成された砂糖と異なり、多量に摂取しても人体に何らの害も発生しない。
材料投入工程38は、メリケン粉(小麦粉)と水を投入する工程である。小麦粉だけでなく米粉も投入することが考えられる。
練成工程22は、食品押出成形機10の混錬部20で原材料が混合練成される工程である。原材料は混練部で混合されさらにシャフトに嵌合しているスクリュウにより混練されると同時に加圧されて高温状態となる。投入された材料はこの工程で充分に混練される。
押出成形工程44は、食品押出成形機10の混錬部20において高温で加熱練成された後に、さらに押圧・加圧され、適宜の形状の押し出し口から加圧されて外部に任意の形状で押し出され膨化形成される工程である。押出口の形状は任意の形状とすることが可能であり、従来のように火の通りを考慮した棒状体であっても、または、火の通りを考慮して実現不可能であった大きな玉状の形態であっても良い。
焼き入れ工程46は、かりんとう体を上下から高温で焼く工程であり、これにより、単に膨化成形しただけのかりんとう体に風味を付加している。かりんとう体に焼き入れを施すことは製品の製造には不可避な要素ではないが、程良い風味を持たせるという観点からは是非必要な工程であり、この工程を経ない製品との相違は極めて明確であり、食感と風味はお菓子に必要不可欠のものと考えられる。
次に糖蜜を製造する為の材料投入工程54は、砂糖または黒砂糖と油脂を投入して加熱攪拌する工程である。
攪拌生成工程56は、適宜の容器に黒砂糖または砂糖と油脂を添加して混合して糖蜜を攪拌精製する工程である。
からませ工程58は、押出形成工程44で形成し、さらに焼き入れ工程46で表面を焼かれたかりんとう体42に、攪拌生成工程56で生成した糖蜜をからませる工程である。
蜜付け機50は、ドラム状の回転体であり、その中にかりんとう体と糖蜜とを投入してドラムを回転させて糖蜜をかりんとう体の表面に糖蜜をからませ被覆する。
冷却工程60は、からませ工程58を経たかりんとう体を冷却する工程である。
包装工程62は、冷却工程60を経たかりんとう体を袋詰めする工程である。
食品押出成形機の全体を示す一部切欠斜視図 かりんとう体を示す斜視図 焼き入れされたかりんとう体を示す斜視図 糖蜜をかりんとう体にからませた状態の斜視図 かりんとうの製造過程を示した図
符号の説明
10 食品押出成形機
20 混錬部
22 練成工程
30 材料の投入口
38 材料投入工程
40 押出口
42 かりんとう体
44 押出成形工程
46 焼き入れ工程
50 蜜付け機
52 糖蜜
54 材料投入工程
56 攪拌生成工程
58 からませ工程
60 冷却工程
62 包装工程

Claims (4)

  1. メリケン粉(小麦粉)を主とするかりんとう生地の原料を食品押出成形機に導入し、加圧混練して膨化させ、任意の形状に押し出し形成したかりんとう体に焼き入れを施し、この焼き入れ後のかりんとう体を回転体ドラムからなる蜜付け機(ドラ)に導入し、かりんとう体の表面に砂糖と油脂を煮ながら攪拌混合して生成した糖蜜をからませることにより製造することを特徴とするかりんとうの製造方法
  2. 前記かりんとう生地は、食品押出成形機で混練形成したものであり、かりんとう生地の堅さを自由に制御調節できる構成であることを特徴とする請求項1に記載のかりんとうの製造方法
  3. 前記かりんとう生地は、メリケン粉(小麦粉)を主原料として水を添加して練成形成し、その表面に砂糖と油脂を煮ながら攪拌混合して生成した糖蜜をからませたことを特徴とする請求項1に記載のかりんとうの製造方法
  4. 前記砂糖は、カルシウムおよびマグネシウムを含むミネラルを含有する黒砂糖であることを特徴とする請求項1に記載のかりんとうの製造方法
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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