しかしながら、特許文献1に開示された技術によれば、窒化膜等からなる光学薄膜とポリイミド等からなる配向膜との界面密着性が低いことに起因して、装置の耐湿性が低下してしまうという技術的問題点がある。
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、耐湿性を維持しつつ透過率を向上でき、高品質な表示が可能な電気光学装置及びその製造方法、並びに該電気光学装置を備えた電子機器を提供することを課題とする。
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、電気光学物質を狭持する一対の第1及び第2基板と、前記第1基板上に設けられた透明導電膜からなる画素電極と、前記画素電極上に形成され、前記電気光学物質の配向状態を規制する配向膜と、前記画素電極が設けられた表示領域の周囲に沿ったシール領域において、前記第1及び第2基板を相互に貼り合わせるシール材と、前記第1基板と前記画素電極との間に積層され、前記第1基板の屈折率と前記画素電極の屈折率との中間の大きさの屈折率を有する光学薄膜と、前記第1基板上の少なくとも前記シール領域の一部をなす部分領域に設けられ、前記画素電極と同一膜からなるシール下側膜とを備える。
本発明の電気光学装置によれば、一対の第1及び第2基板は、表示領域の周囲に沿ったシール領域においてシール材によって交互に貼り合わされ、一対の第1及び第2基板間には、電気光学物質としての例えば液晶が挟持されている。第1基板は、例えばガラス基板上に、例えば画素スイッチング用のトランジスタや例えば走査線、データ線等の配線が積層された積層構造を有しており、最上層には例えばNSG(ノンシリケートガラス)或いはシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜が形成される。第2基板は、例えばガラス基板からなる。第1基板上には例えばITO膜等の透明導電膜からなる透明な画素電極が例えばマトリクス状に配列され、第2基板上には例えばITO膜等の導電膜からなる対向電極が画素電極に対向して設けられる。電気光学装置を動作させない状態で、例えばポリイミド等の有機材料或いは例えばシリカ(SiO2)等の無機材料からなる配向膜及び対向電極上に設けられた配向膜における表面形状効果により、電気光学物質は一対の第1及び第2基板間で所定の配向状態をとる。電気光学装置の動作時には、画素電極及び対向電極間の液晶層に画像信号に基づく電圧が印加され、液晶分子の配向状態が変化する。このような液晶分子の配向状態の変化によって画素毎の光の透過率が変化する。これにより液晶層を通過する光が画像信号に応じて変化し、表示領域において画像表示が行われる。
本発明では特に、第1基板の屈折率と画素電極の屈折率との中間の大きさの屈折率を有する、例えばシリコン窒化膜(SiN膜)、シリコン酸窒化膜(SiON膜)等からなる光学薄膜が、第1基板上における積層構造において、第1基板と画素電極との間に、即ち層間に配置される。尚、このような光学薄膜は、典型的には、第1基板上の全面に形成される。即ち、例えば屈折率が1.4である第1基板と相隣接して、例えば屈折率が1.6〜1.8(即ち、1.6以上且つ1.8以下)の範囲内である光学薄膜と例えば屈折率が2.0である画素電極とがこの順に積層される。尚、ここでの「中間の大きさ」とは、第1基板の屈折率が画素電極の屈折率より大きい場合には、第1基板の屈折率より小さく且つ画素電極の屈折率より大きい意味であり、第1基板の屈折率が画素電極の屈折率より小さい場合には、第1基板の屈折率より大きく且つ画素電極の屈折率より小さい意味であり、要するに、両者の屈折率の間にある値という意味である。即ち、中間値に限定される趣旨ではない。よって、光学薄膜により、画素電極側から入射する入射光が、画素電極を透過して第1基板内へ出射される際の透過率を高めることができる。即ち、仮に何らの対策も施さず、第1基板と相隣接して画素電極を設けた場合には、第1基板と画素電極との屈折率の比較的大きな差に起因して、画素電極と第1基板との界面における界面反射が比較的大きく生じてしまう。しかるに本発明によれば、中間の大きさの屈折率を有する光学薄膜によって、界面反射を低減できる。従って、画素電極を透過して第1基板内へ出射される際の透過率を高めることができる。
更に本発明では特に、第1基板上で平面的に見て、第1基板上の少なくともシール領域の一部をなす部分領域に設けられ、画素電極と同一膜からなるシール下側膜を備える。ここで、「同一膜」とは、製造工程における同一機会に成膜される膜を意味し、同一種類の膜である。尚、「同一膜である」とは、一枚の膜として連続していることまでも要求する趣旨ではなく、基本的に、同一膜のうち相互に分断されている膜部分であれば足りる趣旨である。即ち、シール下側膜は、例えばITO膜等からなる画素電極と同一膜からなり、少なくともシール領域内に部分的に形成される。つまり、少なくともシール領域の部分領域において、光学薄膜、シール下側膜及び配向膜がこの順に積層される。よって、第1基板上のシール領域において、配向膜と光学薄膜との界面の面積が低減される。言い換えれば、第1基板上のシール領域において、配向膜と光学薄膜との界面に代えて、配向膜とシール下側膜との界面、及びシール下側膜と光学薄膜との界面が形成される。よって、例えばポリイミド等の有機材料或いは例えばシリカ(SiO2)等の無機材料からなる配向膜と例えばシリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜等からなる光学薄膜との界面における密着性が低いことに起因して、外部から配向膜と光学薄膜との界面を介して水分が表示領域内へ浸透してしまうことを低減或いは防止できる。言い換えれば、少なくともシール領域の部分領域において、配向膜と光学薄膜との界面よりも密着性の高い、配向膜とシール下側膜との界面及びシール下側膜と光学薄膜との界面を形成することで、界面における密着性を高めることができる。従って、装置の耐湿性を向上させることができ、その結果、装置の信頼性を向上させることができる。尚、シール下側膜は、第1基板上で平面的に見て、表示領域の周辺に位置する周辺領域のうち、シール領域内に限らず、シール領域以外の部分にも設けられもよい。
加えて、シール下側膜は、上述したように、画素電極と同一膜から形成されるので、第1基板上における積層構造の複雑化や製造工程の複雑化を招くことなく、装置の耐湿性を向上させることができる。
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、電気光学物質を狭持する一対の第1及び第2基板と、前記第1基板上に設けられた透明導電膜からなる画素電極と、前記画素電極上に形成され、前記電気光学物質の配向状態を規制するポリイミド又はシリカからなる配向膜と、前記画素電極がマトリクス状に設けられた表示領域の周囲に沿って配置され、前記第1及び第2基板を相互に貼り合わせるシール材と、前記第1基板と前記画素電極との間に積層され、前記第1基板の屈折率と前記画素電極の屈折率との中間の大きさの屈折率を有する窒化膜又は酸窒化膜からなる光学薄膜と、前記第1基板上に、少なくとも前記シール材と重なるように、前記光学薄膜と前記配向膜との間に設けられ、前記画素電極と同一膜からなるシール下側膜とを備え、前記シール下側膜は、電気的に浮遊した状態に形成されると共に、前記第1基板上で平面的に見て、前記画素電極と同一のマトリクス状のパターンに配置される。
また、前記シール下側膜は、前記第1基板上で平面的に見て、前記シール材の内側及び外側に、前記画素電極と同一のマトリクス状のパターンに配置されている。
以上説明したように、本発明の電気光学装置によれば、少なくともシール領域の部分領域に、画素電極と同一膜からなるシール下側膜を設けることにより耐湿性を維持しつつ、画素電極の直下に光学薄膜を設けることにより透過率を向上でき、高品質な表示が可能となる。更に、第1基板上における積層構造の複雑化や製造工程の複雑化を招かない。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記シール下側膜は、前記第1基板上で平面的に見て、前記画素電極と同一の平面パターンを有する。
この態様によれば、シール下側膜は、第1基板上で平面的に見て(即ち、第1基板の基板面上で平面的に見て)、画素電極と同一の平面パターンで形成される。即ち、画素電極が表示領域において透明導電膜から例えばマトリクス状等の所定平面パターンにパターニングされる際に、シール下側膜も例えばシール領域内に画素電極と同一膜の透明導電膜から同一平面パターン(即ち、例えばマトリクス状等)で形成される。言い換えれば、一般にはシール領域と表示領域との間の額縁状の領域に形成されるダミー画素をなす画素電極のパターンが、シール領域にまで形成される。よって、シール下側膜を画素電極と同一工程で製造することが容易となる。即ち、画素電極を形成する工程を殆ど変更することなく、同一工程においてシール下側膜を形成することができる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記シール下側膜は、前記第1基板上で平面的に見て、前記シール領域内に、前記表示領域を囲むように形成された第1部分を有する。
この態様によれば、シール下側膜のうち第1部分が、表示領域を囲むように、例えば連続的に形成されているので、外部から表示領域に水分が浸入してしまうことを低減或いは防止できる。即ち、第1部分が、外部と表示領域とを隔てる隔壁として機能することによって、水分の浸入経路を殆ど或いは完全に遮断することができる。よって、装置の耐湿性をより一層向上させることができる。尚、シール下側膜が形成された領域では、配向膜とシール下側膜との界面、及びシール下側膜と光学薄膜との界面が形成され、界面における密着性が高められている。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記シール下側膜は、前記第1基板上で平面的に見て、前記シール領域内に、相互に分離して形成されると共に前記表示領域を囲むように配置された複数の第2部分を有する。
この態様によれば、複数の第2部分は、表示領域を囲むように、例えばシール領域内から表示領域へ向かう方向と交わる方向に互いにずれた複数列として配置される。よって、複数の第2部分が、外部と表示領域とを隔てる隔壁として機能することによって、水分の浸入経路を複雑化すること、或いは長くすることによって遮断することができる。よって、装置の耐湿性をより一層向上させることができる。尚、シール下側膜が形成された領域では、配向膜とシール下側膜との界面、及びシール下側膜と光学薄膜との界面が形成され、界面における密着性が高められている。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記透明導電膜は、ITO膜である。
この態様によれば、透過率が比較的低いITO膜からなる画素電極と第1基板との間に光学薄膜を設けることによって、第1基板、光学薄膜及び画素電極の全体の透過率を向上させることができる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記光学薄膜は、1.6〜1.8の範囲内の屈折率を有する。
この態様によれば、例えば、屈折率が約1.4程度である第1基板と、屈折率が約2程度のITOからなる画素電極との間に設けられた、屈折率が1.6〜1.8(即ち、1.6以上且つ1.8以下)の範囲内の光学薄膜によって、効果的に界面反射を低減できる。よって、効果的に透過率を向上させることができる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記光学薄膜の光吸収係数は、前記透明導電膜の光吸収係数よりも小さい。
この態様によれば、光が光学薄膜内を通過する際の光損失、即ち光強度の低下を低減或いは防止でき、より確実に透過率を向上させることができる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記光学薄膜は、無機物の窒化膜及び酸窒化膜の少なくとも一方を含んでなる。
この態様によれば、光学薄膜は、例えばシリコン窒化膜(SiN)等の窒化膜、及び例えばシリコン酸窒化膜(SiON)等の酸窒化膜の少なくとも一方を含んでなるので、屈折率を画素電極の屈折率と第1基板の屈折率との中間の大きさの屈折率にすることが容易にできる。よって、容易に且つ確実に透過率を向上させることができる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記配向膜は、ポリイミドからなる。
この態様によれば、シール領域の部分領域において、ポリイミドからなる配向膜と例えばシリコン窒化膜等の窒化膜、或いは例えばシリコン酸窒化膜等の酸窒化膜等を含んでなる光学薄膜との、密着性の低い界面を形成しないことにより、装置の耐湿性を向上させることができる。
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置を具備してなる。
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるので、高品質な画像表示を行うことが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置、電子放出装置(Field Emission Display及びConduction Electron-Emitter Display)、これら電気泳動装置、電子放出装置を用いた表示装置を実現することも可能である。
本件の参考発明に係る電気光学装置の製造方法は上記課題を解決するために、電気光学物質を狭持する一対の第1及び第2基板と、第1基板上に設けられた画素電極を備えた電気光学装置を製造する電気光学装置の製造方法であって、前記第1基板上に、前記第1基板と相隣接するように、前記第1基板の屈折率と前記画素電極の屈折率との中間の大きさの屈折率を有する光学薄膜を形成する光学薄膜形成工程と、前記第1基板上の表示領域に、前記光学薄膜と相隣接して上層側に透明導電膜を積層して前記画素電極を形成する画素電極形成工程と、前記画素電極上に、前記電気光学物質の配向状態を規制する配向膜を形成する工程と、前記表示領域の周囲に沿ったシール領域においてシール材で、前記第1及び第2基板を相互に貼り合わせる工程とを備え、前記画素電極形成工程は、前記第1基板上の少なくとも前記シール領域の一部をなす部分領域に、前記画素電極と同一膜からシール下側膜を形成する。
本件の参考発明に係る電気光学装置の製造方法によれば、上述した本発明の電気光学装置を製造できる。ここで特に、画素電極形成工程によって、少なくともシール領域の部分領域に、画素電極と同一膜からなるシール下側膜を設けることにより耐湿性を維持しつつ、光学薄膜形成工程によって、画素電極の直下に光学薄膜を設けることにより透過率を向上できる。よって、高品質な表示の可能な電気光学装置を製造できる。更に、シール下側膜は、画素電極形成工程によって形成されるので、製造工程の複雑化を殆ど或いは全く招かない。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされよう。
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、本発明の電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
<第1実施形態>
第1実施形態に係る液晶装置について、図1から図11を参照して説明する。
先ず、本実施形態に係る液晶装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここに図1は、本実施形態に係る液晶装置の構成を示す平面図であり、図2は、図1のH−H´線での断面図である。
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶装置では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。尚、TFTアレイ基板10は、本発明に係る「第1基板」の一例であり、対向基板20は、本発明に係る「第2基板」の一例である。TFTアレイ基板10は、例えば、石英基板、ガラス基板、シリコン基板等からなり、対向基板20は、例えば、石英基板、ガラス基板等からなる。TFTアレイ基板10及び対向基板20は、本発明に係る「表示領域」の一例としての画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域52aに設けられたシール材52により相互に貼り合わされており、シール材52及び封止材109により、TFTアレイ基板10及び対向基板20間に液晶層50が封入されている。
図1において、シール材52が配置されたシール領域52aの内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域52aの外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。この一辺に沿ったシール領域52aよりも内側に、サンプリング回路7が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿ったシール領域の内側に、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、TFTアレイ基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
TFTアレイ基板10上には、外部回路接続端子102と、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104、上下導通端子106等とを電気的に接続するための引回配線90が形成されている。
図2において、TFTアレイ基板10上には、駆動素子である画素スイッチング用のTFT(Thin Film Transistor)や走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成される。画像表示領域10aには、画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線の上層に、本発明に係る「透明導電膜」の一例としてのITO膜からなる画素電極9aが設けられている。画素電極9a上には、配向膜が形成されている。他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。そして、遮光膜23上に、画素電極9aと同様にITO膜からなる対向電極21が複数の画素電極9aと対向して形成されている。対向電極21上には配向膜が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。加えて、ここでは図示しないが、TFTアレイ基板10上の画素電極9aの直下には、後述する光学薄膜が形成され、TFTアレイ基板10上のシール領域52aには、後述するシール下側膜が形成されている。
尚、ここでは図示しないが、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104の他に、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路、検査用パターン等が形成されていてもよい。
次に、本実施形態に係る液晶装置の画素部における電気的な構成について、図3を参照して説明する。ここに図3は、液晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。
図3において、本実施形態に係る液晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素には、それぞれ、画素電極9aと該画素電極9aをスイッチング制御するためのTFT30とが形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aがTFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
また、TFT30のゲートに走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
画素電極9aを介して液晶層50(図2参照)に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板に形成された対向電極との間で一定期間保持される。液晶層50は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として液晶装置からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射する。
ここで保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極21(図2参照)との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。蓄積容量70の一方の電極は、画素電極9aと並列してTFT30のドレインに接続され、他方の電極は、定電位となるように、電位固定の容量配線300に接続されている。
次に、本実施形態に係る光学薄膜について、図4及び図5を参照して説明する。ここに図4は、図2のC1部分の部分拡大断面図である。図5は、光学薄膜の膜厚と透過率との関係を示すグラフである。尚、図4では、図2の遮光膜23の図示を省略している。図4においては、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
図4において、TFTアレイ基板10上には、図示しないTFT30や走査線3a、データ線6a等の配線を含む各種の層が積層されており、これらの層の上層側に層間絶縁膜89が形成されている。層間絶縁膜89は、NSG(ノンシリケートガラス)或いはシリコン酸化膜によって形成されている。尚、層間絶縁膜89は、例えばPSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG(ボロンリンシリケートガラス)等のシリケートガラスや酸化シリコン等から形成してもよい。層間絶縁膜89上には、後述する光学薄膜91及び画素電極9aが順に積層されており、画素電極9a上には例えばポリイミド膜等の透明な有機膜からなる配向膜16が形成されている。他方、対向基板20上には、対向電極21が積層されており、対向電極21上には例えばポリイミド膜等の透明な有機膜からなる配向膜22が形成されている。液晶層50は、これら一対の配向膜16及び22間で、所定の配向状態をとる。尚、配向膜16及び22は、例えばポリイミド膜等の有機膜の他、例えばシリカ(SiO2)等の無機膜から形成されてもよい。即ち、配向膜16及び22は、有機配向膜であってもよいし、無機材料からなる無機配向膜であってもよい。
図4に示すように、本実施形態では特に、光学薄膜91が、層間絶縁膜89と画素電極9aとの間に積層されている。即ち、TFTアレイ基板10上には、層間絶縁膜89、光学薄膜91及び画素電極9aがこの順に積層されている。光学薄膜91は、TFTアレイ基板10上の全面に形成されている。更に、本実施形態では特に、光学薄膜91は、層間絶縁膜89の屈折率と画素電極9aの屈折率との中間の大きさの屈折率を有している。即ち、NSG(或いはシリコン酸化膜)からなる層間絶縁膜89の屈折率が約1.4であり、ITO膜からなる画素電極9aの屈折率が約2.0であるのに対し、光学薄膜91の屈折率は、1.6〜1.8の範囲内となるように形成されている。光学薄膜91は、例えばシリコン窒化膜(SiN)、シリコン酸窒化膜(SiON)等からなる。よって、光学薄膜91により、例えば対向基板20及び液晶層50等を介して画素電極9aへ入射する入射光が、画素電極9aを透過して層間絶縁膜89内へ出射される際の透過率を高めることができる。即ち、仮に何らの対策も施さず、層間絶縁膜89上に画素電極9aを設けた場合には、層間絶縁膜89と画素電極9aとの屈折率の比較的大きな差(即ち、屈折率の差は、約0.6)に起因して、画素電極9aと層間絶縁膜89との界面における界面反射が比較的大きく生じてしまう。しかるに本実施形態によれば、中間の大きさの屈折率(即ち、1.6〜1.8の範囲内の屈折率)を有する光学薄膜91によって、界面反射を低減できる。即ち、画素電極9aと光学薄膜91との屈折率の差(即ち、屈折率の差は、約0.2〜0.4の範囲内)、及び光学薄膜91と層間絶縁膜89との屈折率の差(即ち、屈折率の差は、約0.2〜0.4の範囲内)は、いずれも画素電極9aと層間絶縁膜89との屈折率の差(即ち、屈折率の差は、約0.6)よりも小さいので、画素電極9aと光学薄膜91との界面における界面反射量、及び光学薄膜91と層間絶縁膜89との界面における界面反射量は、いずれも画素電極9aと層間絶縁膜89との界面における界面反射量よりも小さい。更に、画素電極9aと光学薄膜91との界面における界面反射量、及び光学薄膜91と層間絶縁膜89との界面における界面反射量を合わせた界面反射量は、画素電極9aと層間絶縁膜89との界面における界面反射量よりも小さい。従って、例えば、画素電極9aを透過して層間絶縁膜89内(即ち、TFTアレイ基板10内)へ出射される際の透過率を高めることができる。
図5は、シリコン酸化膜からなる基板上に、例えばシリコン窒化膜(SiN)、シリコン酸窒化膜(SiON)等からなる光学薄膜、及びITO膜を順に積層した積層構造を有する積層膜について、光学薄膜の膜厚或いは屈折率を変化させるシミュレーションを行った際の、光学薄膜の膜厚と透過率との関係を示している。ここで透過率は、入射光がITO膜、光学薄膜及び基板を通過した後の出射光の強度の、入射光の強度に対する比率である。
図5中のデータE1は、光学薄膜の屈折率が1.72のときの光学薄膜の膜厚と透過率との関係を示しており、図5中のデータE2は、光学薄膜の屈折率が1.62のときの光学薄膜の膜厚と透過率との関係を示している。尚、ITO膜の膜厚は80nmであり、図5に示すように、光学薄膜を設けない(即ち、光学薄膜の膜厚がゼロ)の場合の透過率は、約0.75である。
図5に示すように、光学薄膜の屈折率が1.72及び1.62のいずれの場合にも、光学薄膜を設けることにより、透過率は、光学薄膜がない場合と比較して高くなる。特に、光学薄膜の膜厚が55〜100nmの範囲内で、透過率は高くなる。よって、屈折率が1.6〜1.8の範囲内であり、且つ、膜厚が55〜100nmの範囲内の光学薄膜を、基板及びITO膜間に設けることが好ましい。これにより効果的に透過率の向上を図ることが可能である。
次に、本実施形態に係るシール下側膜について、図6及び図7を参照して説明する。ここに図6は、図1のA−A´線での断面図であり、図7は、TFTアレイ基板上のシール下側膜の平面パターンを示す模式図である。
図6及び図7に示すように、本実施形態では特に、TFTアレイ基板10上のシール領域52a、遮光領域53a及びシール外側領域54aに、シール下側膜151を備えている。シール下側膜151は、画素電極9aと同一膜、即ち、画素電極9aと同層に位置する同一種類のITO膜から形成されている。即ち、シール領域52a、遮光領域53a及びシール外側領域54aの各々の部分領域において、光学薄膜91、シール下側膜151及び配向膜16がこの順に積層されている。よって、TFTアレイ基板10上の少なくともシール領域52aにおいて、仮にシール下側膜151が形成されていない場合と比較して、配向膜16と光学薄膜91との界面の面積が低減されている。言い換えれば、TFTアレイ基板10上のシール領域52aにおいて、配向膜16と光学薄膜91との界面に代えて、配向膜16とシール下側膜151との界面、及びシール下側膜151と光学薄膜91との界面が形成されている。よって、例えばポリイミド膜等の透明な有機膜からなる配向膜16と例えばシリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜等からなる光学薄膜91との界面における密着性が低いことに起因して、外部から配向膜16と光学薄膜91との界面を介して水分が画像表示領域10a内へ浸透してしまうことを低減或いは防止できる。言い換えれば、少なくともシール領域52aの部分領域において、配向膜16と光学薄膜91との界面よりも密着性の高い、配向膜16とシール下側膜151との界面及びシール下側膜151と光学薄膜91との界面を形成することで、界面における密着性を高めることができる。従って、装置の耐湿性を向上させることができ、その結果、装置の信頼性を向上させることができる。
更に、シール下側膜151は、上述したように、画素電極9aと同一膜から形成されるので、TFTアレイ基板10上における積層構造の複雑化や製造工程の複雑化を招くことなく、装置の耐湿性を向上させることができる。
加えて、シール下側膜151が、シール領域52a、遮光領域53a及びシール外側領域54aに形成されることにより、光学薄膜91の表面と画素電極9aの表面との段差(言い換えれば、TFTアレイ基板10表面と画素電極9a表面との段差)に起因してラビング処理時に発生し得る、例えばラビングクロスの摩耗粉等のラビかすが、シール領域52a、遮光領域53a及びシール外側領域54aに残留し易くできる。即ち、ラビかすが、画像表示領域10a内に残留してしまうことにより、画像表示に悪影響を及ぼしてしまうことを低減或いは防止できる。
更に、図7に示すように、本実施形態では特に、シール下側膜151は、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、画素電極9aと同一平面パターンで形成されている。即ち、画素電極9aが画像表示領域10aにおいてITO膜からマトリクス状の平面パターンにパターニングされる際に、シール下側膜151もシール領域52a、遮光領域53a及びシール外側領域54a内にITO膜から同一平面パターン(即ち、マトリクス状の平面パターン)で形成される。言い換えれば、一般にはシール領域52aと画像表示領域10aとの間の額縁状の遮光領域53aに形成されるダミー画素をなす画素電極のパターンが、シール領域52a及びシール外側領域54aにまで形成されている。よって、シール下側膜151を画素電極9aと同一工程で製造することが容易となる。即ち、画素電極9aを形成する工程を殆ど変更することなく、同一工程においてシール下側膜151を形成することができる。
尚、シール下側膜151は、電気的に浮遊した状態(即ち、例えば電源、配線等に電気的に接続されていない状態)にしておくことが次の観点からは好ましい。即ち、このようにすれば、シール下側膜151の電位と画素電極9aの画素電位との電気的なカップリングによって発生し得る画像表示への悪影響を低減或いは防止できる。但し、例えばシール下側膜151の電位を安定させる等のために、シール下側膜151を所定電位の配線に接続してもよいし、或いは、所定電位の配線の一部としてシール下側膜151を利用してもよい。
次に、本実施形態の第1変形例に係るシール下側膜について、図8を参照して説明する。ここに図8は、第1変形例における図7と同趣旨の模式図である。
図8に示すように、第1変形例では特に、シール下側膜151は、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、シール領域52aを含む領域に設けられている。即ち、TFTアレイ基板10上のシール領域52a内では、配向膜16と光学薄膜91との界面は形成されていない。よって、配向膜16と光学薄膜91との界面における密着性が低いことに起因して、外部から配向膜16と光学薄膜91との界面を介して水分が画像表示領域10a内へ浸透してしまうことをより確実に低減或いは防止できる。
次に、本実施形態の第2変形例に係るシール下側膜について、図9及び図10を参照して説明する。ここに図9は、第2変形例における図7と同趣旨の模式図であり、図10は、第2変形例における図6と同趣旨の断面図である。
図9に示すように、第2変形例では特に、シール下側膜151は、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、シール領域52a内に、画像表示領域10aを囲むように形成されている。より具体的には、シール下側膜151は、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、画像表示領域10aに近い側と遠い側の2つの部分からなり、それぞれの部分は画像表示領域10aを囲むように、連続的に形成されている。即ち、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、これら二つの部分によって画像表示領域10aを二重に取り囲むように、シール下側膜151が形成されている。シール下側膜151は、上述したように、ITO膜からなるので、水分を殆ど浸透させない。よって、外部から画像表示領域10aに水分が浸入してしまうことを低減或いは防止できる。即ち、図9に加えて図10に示すように、シール下側膜151が、外部と画像表示領域10aとを隔てる隔壁として機能することによって、水分の浸入経路を殆ど或いは完全に遮断することができる。よって、装置の耐湿性をより一層向上させることができる。尚、シール下側膜151が形成された領域では、配向膜16とシール下側膜151との界面、及びシール下側膜151と光学薄膜91との界面が形成され、界面における密着性が高められている。
次に、本実施形態の第3変形例に係るシール下側膜について、図11を参照して説明する。ここに図11は、第3変形例における図7と同趣旨の模式図である。
図11に示すように、第3変形例では特に、シール下側膜151は、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、シール領域52a内に、相互に分離して形成されると共に画像表示領域10aを囲むように配置された複数の部分151a、151b及び151cを有している。複数の部分151a、151b及び151cは夫々、相互に分離して且つ画像表示領域10aを囲むように配列された列をなしている。これらの列は互いに配列方向(即ち、シール領域52a内から画像表示領域10aへ向かう方向と交わる方向)にずれている。言い換えれば、複数の部分151a、151b及び151cは、夫々が配列された間隔を互いに塞ぐように配置されている。よって、シール下側膜151、即ち複数の部分151a、151b及び151cが、図10を参照して上述した第2変形例と同様に、外部と画像表示領域10aとを隔てる隔壁として機能することによって、水分の浸入経路を複雑化すること、或いは長くすることによって遮断することができる。よって、装置の耐湿性をより一層向上させることができる。尚、シール下側膜151が形成された領域では、配向膜16とシール下側膜151との界面、及びシール下側膜151と光学薄膜91との界面が形成され、界面における密着性が高められている。
以上説明したように、本実施形態に係る液晶装置によれば、少なくともシール領域52aの部分領域に、画素電極9aと同一膜からなるシール下側膜151を設けることにより耐湿性を維持しつつ、画素電極9aの直下に光学薄膜91を設けることにより透過率を向上でき、高品質な表示が可能となる。更に、TFTアレイ基板10上における積層構造の複雑化や製造工程の複雑化を招かず、装置の信頼性を向上させることができる。
<製造方法>
次に、上述した第1実施形態に係る液晶装置を製造する液晶装置の製造方法について、図12を参照して説明する。ここに図12は、第1実施形態に係る液晶装置の製造プロセスの各工程を説明するためのフローチャートである。
先ず、図12において、TFTアレイ基板10上に、画素スイッチング用のTFT30や走査線3a、データ線6a等の配線を、各種導電膜、半導体膜、絶縁膜等から形成して、層間絶縁膜89まで形成する(ステップS11)。この際、層間絶縁膜89は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、NSGを積層することにより形成する。尚、層間絶縁膜89は、PSG、BSG、BPSG等のシリケートガラス、窒化シリコンや酸化シリコン等を積層することにより形成してもよい。このように形成される層間絶縁膜89の屈折率は約1.4となる。
次に、光学薄膜形成工程によって、層間絶縁膜89上に、酸素(O2)ガスを供給しつつ窒化シリコン(SiN)を用いて、例えばCVD法等によりシリコン酸窒化膜(SiON)を積層して光学薄膜91を形成する(ステップS12)。この際、光学薄膜91は、TFTアレイ基板10上の全面に形成し、光学薄膜91が層間絶縁膜89の屈折率と画素電極9aの屈折率との中間の大きさの屈折率(例えば、1.6〜1.8の屈折率)を有するように、例えば供給する酸素ガスの量、圧力、温度等の環境条件を調節する。尚、膜厚が55〜100nmの範囲内となるように、光学薄膜91を形成することが好ましい。
次に、画素電極形成工程によって、光学薄膜91上の画像表示領域10aにマトリクス状の平面パターンでITO膜を積層し、画素電極9aを形成する(ステップS13)。この際、本実施形態では特に、シール領域52a、遮光領域53a及びシール外側領域54a内にも、同一平面パターン(即ち、マトリクス状の平面パターン)でITO膜を積層し、シール下側膜151を形成する。よって、シール下側膜151により装置の耐湿性を維持しつつ、光学薄膜91により透過率を向上させることができる。尚、画素電極形成工程では、シール領域52aの一部或いは全部にシール下側膜151を形成してもよいし、例えば遮光領域53a、シール外側領域54a等にも更にシール下側膜151を形成してもよい。
次に、TFTアレイ基板10の表面にポリイミドを塗布することにより配向膜16を形成する(ステップS14)。この際、形成した配向膜16に対してラビング処理を施す。
図15において、ステップS11からステップS14までのTFTアレイ基板10に係る製造工程と並行して又は相前後して、スパッタリング等によって対向基板20上にITO膜を積層し、対向電極21を形成する(ステップS21)。
次に、対向基板20の表面にポリイミドを塗布することにより配向膜22を形成する(ステップS22)。この際、形成した配向膜22に対してラビング処理を施す。
その後、貼合工程によって、TFTアレイ基板10及び対向基板20を、TFTアレイ基板10において配向膜16が形成された側と、対向基板20において配向膜22が形成された側とをシール材52を介して貼り合わせる(ステップS31)。ここで特に、シール領域52aでは、仮にシール下側膜151がない場合と比較して、界面密着性の低い配向膜16と光学薄膜91との界面の面積が低減されているので、装置の耐湿性が高められている。
続いて、互いに貼り合わされた状態のTFTアレイ基板10及び対向基板20間に液晶を注入する(ステップS32)。
以上説明した液晶装置の製造方法によれば、上述した第1実施形態に係る液晶装置を製造できる。ここで特に、画素電極形成工程において、シール領域52a内に、画素電極9aと同一膜からなるシール下側膜151を設けることにより耐湿性を維持しつつ、光学薄膜形成工程によって、画素電極9aの直下に光学薄膜91を設けることにより透過率を向上できる。よって、高品質な表示の可能な電気光学装置を製造できる。更に、シール下側膜151は、画素電極形成工程によって形成されるので、製造工程の複雑化を殆ど或いは全く招かず、歩留まりの低下も殆ど或いは全く招かない。
<電子機器>
次に、上述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。
先ず、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。図13は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。この図13に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110B及び1110Gに入射される。
液晶パネル1110R、1110B及び1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、R及びBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。従って、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
ここで、各液晶パネル1110R、1110B及び1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
尚、液晶パネル1110R、1110B及び1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
尚、図13を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピュータや、携帯電話、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置及びその製造方法、並びに該電気光学装置を備えてなる電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
3a…走査線、6a…データ線、7…サンプリング回路、9a…画素電極、10…TFTアレイ基板、10a…画像表示領域、16…配向膜、20…対向基板、21…対向電極、22…配向膜、23…遮光膜、50…液晶層、52…シール材、52a…シール領域、53…額縁遮光膜、53a…遮光領域、54a…シール外側領域、89…層間絶縁膜、91…光学薄膜、101…データ線駆動回路、102…外部回路接続端子、104…走査線駆動回路、106…上下導通端子、107…上下導通材、151…シール下側膜