JP4626433B2 - 車両遠隔操作システム - Google Patents

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Description

本発明は、無線通信を使用して車両の不正使用を防止する技術に関する。
従来、車両の盗難や不正使用を防ぐための技術として、キーの照合を電子的に行うことで専用のキー以外ではエンジンの始動ができない、いわゆるイモビライザシステムが実用化されている。このイモビライザシステムでは、専用キーが持つ固有のIDコードと車両側のIDコードを電子的に照合し、一致すればエンジンを始動させることができる。
このようなシステムによれば、合カギなどでドアを開け、エンジンを始動させようとしてもIDコードが一致しない限りエンジンを始動させることができないため、車両の盗難や不正使用に対して効果を挙げている。しかし、専用キーが盗まれたり、専用キーを車両に残したまま車両の盗難に遭ったりした場合には効果がない。
このような問題を解決するために、近年では、専用キーや車両が盗難された場合、無線通信を介して通信センタから当該車両へコマンドを送信し、当該車両の特定の機器を制御することで車両を作動禁止にする技術等が案出されている(例えば、特許文献1参照。)。このような技術によれば、専用キーや車両が盗難された場合であっても、遠隔からの操作で、当該車両を作動禁止にすることができるので、車両の盗難に対して有効な対策を取ることができる。
また、通信センタから無線通信を介して車両へ作動可能信号を送信し、車両はこの作動可能信号を受信する度に一定時間の作動を許可されたり、作動可能回数を更新したりするといった技術も案出されている(例えば、特許文献2参照。)。このような技術によれば、車両盗難後に無線通信装置を破壊されて通信不能になった場合でも、一定時間後あるいは所定回数作動した後に作動不能になるため、車両の盗難に対する対処及び抑止力といった観点で有効な対策となる。
特開2005−97835号公報 特許第2767695号公報
しかしながら、特許文献2に記載のような、車両が作動可能信号を受信する度に一定時間の作動を許可されたり、作動可能回数を更新したりするといった技術においては、車両が無線通信圏外に長時間保管された場合や、無線通信圏外で繰り返し始動する場合、通信センタから作動可能信号を受信することができずに、正規のユーザが使用しているにも関わらず作動不能状態になる場合がある。
このような問題を解決する手段として、無線通信圏外において作動不能状態を解除するために、解除コードをユーザによって手動で入力する方法が考えられる。しかし、一般に人間が一度に記憶することができる情報はせいぜい6〜8個程度といわれており、解除コードとして扱うことのできる文字列もこの程度の文字数に限られる。ところが、この程度の長さの解除コードでは不正に解読することは比較的容易であると考えられ、十分なセキュリティ強度を確保できない。つまり、このような解決手段では、無線通信圏外においても作動不能状態を解除できるという点で利便性は向上するものの、短い文字数の解除コードしか扱えないという点でセキュリティのレベルが低下してしまう。
本発明は上記問題を鑑みなされており、その目的とするところは、無線通信によって車両の作動を制限・解除するシステムにおいて、無線通信圏外であってもセキュリティレベルを維持しつつ作動の制限を解除することができる車両遠隔操作システムを提供することである。
上記問題を解決するためになされた請求項1に記載の車両遠隔操作システムは、車両の特定の機器の作動不可状態を解除するための解除コードを携帯通信端末で受信し、更にその携帯通信端末から車両へ送信することで、作動不可状態を解除することを特徴とする。具体的には、上述の車両遠隔操作システムは、通信センタと、通信センタとの無線通信に基づいて車両の作動に必要な特定の機器を作動不可状態に設定及び前記作動不可状態を解除する車載装置とからなる車両遠隔操作システムにおいて、更に通信センタ及び車載装置と通信可能に構成された携帯通信端末を含む。そして、車載装置と通信センタとが通信不能である場合において、携帯通信端末は、車載装置と通信可能に接続されていない状態で特定機器の作動不可状態を解除するための解除コードを通信センタから受信可能に構成され、通信センタから受信した解除コードを記憶しておく。その後、車載装置と通信可能に接続された場合に、記憶しておいた解除コードを車載装置に対して送信する。そして、車載装置は携帯通信端末から受信した解除コードに基づいて、特定の機器の作動不可状態を解除する。
なお、ここでいう「車両の作動に必要な特定の機器」とは、例えばスタータやエンジン(内燃機関や電気モータ等)等の車両の走行に不可欠な機器・機関のことをいう。また、「携帯通信端末」は、例えば、携帯電話、PHS、PDAといった個人用の携帯情報端末等により構成される。また、「車載装置と通信可能に接続」とは、有線による接続に限らず、無線によって通信可能に接続された状態も含む。
このような構成の車両遠隔操作システムによれば、車両が通信センタとの無線通信圏外にあって、通信センタとの通信による作動不可状態の解除ができない状況であっても、携帯通信端末の無線通信圏内において解除コードを通信センタから受信することで作動不可状態を解除することが可能である。例えば、車両が電波の届かない地下駐車場等に保管してあるような場合は、携帯通信端末の無線通信圏内で予め携帯通信端末で通信センタから解除コードを受信してから乗車すればよい。また、車両が通信センタとの無線通信圏外にあっても、その場所が携帯通信端末の無線通信圏内であれば、車両に乗車してから携帯通信端末で通信センタから解除コードを受信してもよい。なお、車両が通信センタとの無線通信圏内にあれば、通信センタとの通信に基づいて作動不可状態を解除することができる。
また、解除コードの受信及び入力に携帯通信端末を用いることで、手入力で扱えるよりも十分に長い解除コードを使用することが可能であり、解除コードを不正に解読することを防止できる。このように、本発明の車両遠隔操作システムによれば、車両が通信センタとの無線通信圏外にあっても車両の機器の作動不可状態を解除できることによる利便性の向上と、十分に長い解除コードを使用することができることによる十分なセキュリティ強度の確保とを両立させることができる。
また、セキュリティ性をより一層向上させるためには、通信センタから携帯通信端末へ解除コードを送信する際にユーザ認証を行うことで、第三者による解除コードの不正な入手を防ぐことが肝要である。
そこで、請求項2に記載の車両遠隔操作システムのように構成するとよい。つまり、携帯通信端末は、ユーザによるユーザID及びパスワードの入力が可能な機能を備え、解除コードを通信センタへ要求する際に、ユーザによって入力されたユーザID及びパスワードを少なくとも通信センタへ送信する。そして、通信センタは、少なくとも携帯通信端末から受信したユーザID及びパスワードに基づいて当該ユーザの認証を試み、当該ユーザが認証された場合、解除コードを携帯通信端末へ送信する。
このように構成された車両遠隔操作システムによれば、携帯通信端末から通信センタへ解除コードを要求する際に、ユーザから入力されたユーザID及びパスワードによってユーザの認証が行われるため、第三者が解除コードを不正に入手することを防ぐことができ、より高いセキュリティ性を実現できる。
なお、ユーザID及びパスワードのみでユーザ認証を行うようにすれば、ユーザの所有する携帯通信端末に限らず複数の携帯通信端末で当該ユーザのユーザID及びパスワードを用いて解除コードを受信可能に構成することが可能である。一方、よりセキュリティ性を重視するならば、ユーザID及びパスワードに加えて、携帯通信端末ID(例えば、製造番号等)によっても認証を行い、ユーザが持つ正規な携帯通信端末以外の携帯通信端末では解除コードを受信することができないように構成してもよい。このようにすれば、たとえユーザID及びパスワードが漏洩してそのユーザIDとパスワードが悪意ある第三者によって利用されようとしても、正規な携帯通信端末以外の携帯通信端末では解除コードを受信することができないので、よりセキュリティ強度が向上する。
次に、請求項3に記載の車両遠隔操作システムは、以下のような特徴を有する。通信センタが車載装置に対して特定の機器を作動不可状態に設定させるための信号を送信した場合に、特定の機器を作動不可状態に設定した旨を通知するため情報を当該車両のユーザに対応する携帯通信端末へ送信する。そして、携帯通信端末は、ユーザに対して情報を報知する機能を備えており、通信センタから受信した情報に基づいて特定の機器が作動不可状態に設定された旨をユーザに対して報知する。
なお、通信センタから携帯通信端末へ情報を送信しユーザへ報知する手段としては、例えば、通信センタから携帯通信端末へ電子メールによってメッセージを送信し、携帯通信端末は受信したメッセージを画面に表示する方法等が挙げられる。あるいは、通信センタから携帯通信端末へ送信されたコマンドに基づいて、携帯通信端末側で所定のメッセージを表示したり音声を出力したりするように構成してもよい。
このように構成された車両遠隔操作システムによれば、車両が作動不可状態に設定されたことを、車両から離れた場所であってもユーザが確認することができるので便利である。
一方、車両が作動不可状態に設定されていることをユーザが知らないと、ユーザが車両を始動させようと試みた際に、車両が作動しない理由が分からずに混乱してしまうという事態が発生するおそれがある。そこで、請求項4に記載の車両遠隔操作システムのように構成するとよい。つまり、車載装置は、ユーザに対して情報を報知する機能を備え、特定の機器が作動不可状態に設定されているときに当該機器に対する操作が行われた場合、当該機器が作動不可状態に設定されている旨をユーザに対して報知する。
具体的には、例えばエンジンが始動不可に設定されているときに、ユーザによってエンジンを始動するための操作(例えば、イグニッションスイッチをオンにする等)が行われた場合、車両遠隔操作システムによってエンジンが始動不可に設定されている旨のメッセージを表示や音声によってユーザに通知する。なお、メッセージを表示したり音声によって出力したりするには、車載装置に表示画面や音声出力装置を設けてもよいし、同じく車両に搭載されているナビゲーション装置等が備えるモニタやスピーカを利用してもよい。
このように構成された車両遠隔操作システムによれば、車両が作動不可状態に設定されていることをユーザが知らずに操作を行っても、作動不可状態に設定されている旨が通知されるので、ユーザが混乱することがなく便利である。
次に、解除コードに有効期限を設けるようにすれば、有効期限が過ぎればその解除コードを無効にすることができるので、万が一解除コードが漏洩した場合であっても車両の不正使用を防ぐことができるので好適である。そこで、請求項5に記載の車両遠隔操作システムのように構成するとよい。つまり、解除コードは当該解除コードの有効期限を特定するための時刻情報を含んでおり、車載装置は解除コードに含まれる時刻情報に基づいて当該解除コードの有効期限を特定し、有効期限を過ぎた解除コードについては無効とする。
このように構成された車両遠隔操作システムによれば、たとえ悪意ある者に解除コードが不正に入手されたとしても、有効期限が過ぎればその解除コードによって車両を作動させることができなくなるので、盗難に対する有効な抑止力となり得る。
また、請求項6に記載の車両遠隔操作システムは、車載装置が携帯通信端末から受信した解除コードに基づいて特定の機器の作動不可状態を解除した後、携帯通信端末に記憶されている当該解除コードを消去させることを特徴とする。
このように構成された車両遠隔操作システムによれば、車両の作動不可状態を解除した後に携帯通信端末に記憶されている解除コードが消去されるので、携帯通信端末のデータの不正な読み取りや盗難等による解除コードの漏洩を防ぐことができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
[リモートイモビライザシステム1の構成]
図1は、本発明の実施形態であるリモートイモビライザシステム1の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、実施形態のリモートイモビライザシステム1は、車両2に搭載される車載装置10、車両2のユーザが所有する携帯電話20、車両2のリモートイモビライザ機能を遠隔制御するための通信施設である通信センタ30、車両2のエンジンの作動を制御するエンジン電子制御装置(エンジンECU)40及びナビゲーション装置50から構成されている。
このうち、車載装置10は無線通信部11及びイモビライザユニット12を備える。無線通信部11は、周知の通信回路及びアンテナによって構成されており、通信センタ30と無線通信を行う。例えば、無線通信部11は、適宜な基地局(図示なし)等を経由して公衆交換電話網を介して通信センタ30と通信するように構成してもよいし、通信センタ30と無線で直接通信するように構成してもよい。
イモビライザユニット12は、無線通信部11を介して通信センタ30から受信したコマンドに基づいてエンジンECU40を制御することで、車両2のエンジンを始動禁止状態(以下、イモビ状態と称す。)に設定したり解除したりする。また、イモビライザユニット12は、無線通信部11を介して通信センタ30と所定間隔ごとに通信を行い、その都度通信センタ30から作動可能信号を受信する。イモビライザユニット12は、作動可能信号受信後一定時間エンジンの作動を許可し、何らかの理由で一定時間経過しても作動可能信号を新たに受信できない場合はエンジンをイモビ状態に設定する。このようにして、通信センタ30から受信した作動可能信号に対して、エンジンの作動を可能にする有効期限を設定する。こうすることで、例えば、車両2が盗難される際に無線通信部11を破壊され、通信センタ30による遠隔操作によってイモビ状態に設定できなくなっても、最後に受信した作動可能信号の有効期限超過後にエンジンをイモビ状態に設定することができる。
更に、イモビライザユニット12は、携帯電話20が携帯端末コネクタ13へ接続されることで、携帯電話20と有線で通信可能に構成されており、この携帯電話20からイモビ解除コードを受信することによってイモビ状態を解除する機能も有する(詳細は後述する。)。
携帯電話20は、通話機能、電子メール送受信機能、Webサイト閲覧機能、アプリケーションソフト実行機能等を備えている。また、携帯電話20は、データ通信用のコネクタ(図示なし)を備え、このコネクタと車両2側の携帯端末コネクタ13とを接続することで、イモビライザユニット12と通信できるように構成されている。
通信センタ30は、上述の車両2のリモートイモビライザ機能を遠隔操作するための通信機能に加え、携帯電話20に対するイモビ設定通知、ユーザ認証及びイモビ解除コードの送受信等(詳細は後述する。)に係る通信機能及びWebサーバ機能等を有する。
ナビゲーション装置50は、イモビライザユニット12と通信線を介して接続されており、イモビライザユニット12による制御に基づき、ナビゲーション装置50が備えるモニタやスピーカ(共に図示なし)によってユーザに対して情報を報知する。
[リモートイモビライザシステム1における作動の流れの説明]
図2は、リモートイモビライザシステム1における一連の作動の流れを説明するためのラダーチャートである。
通信センタ30は、車両2が盗難や不正使用等に遭う等といった非常事態において電話等によるユーザからの通報を受けたり、車両2に搭載された異常通報装置(図示なし)等からの通報を受信する。そして、これらの通報を受けた通信センタ30は、車両2のエンジンをイモビ状態に設定するためのイモビ設定コマンドを車両2の車載装置10に対して送信する。
車載装置10の無線通信部11は、通信センタ30から送信されたイモビ設定コマンドを受信し、この受信したイモビ設定コマンドをイモビライザユニット12へ入力する。無線通信部11を介してイモビ設定コマンドを受信したイモビライザユニット12は、エンジンECU40を制御してエンジンが停止中であればエンジンをイモビ状態(エンジン始動禁止)に設定し、エンジンが作動中であれば、エンジンが停止された後にイモビ状態に設定する。
あるいは、無線通信部11が何らかの理由(車両2を無線通信圏外に保管、無線通信部11の破壊等)通信センタ30と通信不能になった場合、イモビライザユニット12は、最後に通信センタ30との通信で受信した作動可能信号の有効期限を過ぎたらエンジンをイモビ状態に設定する。
一方、通信センタ30が車両2に対してイモビ設定コマンドを送信した場合、予め登録してある車両2のユーザの携帯電話20に対して、車両2をイモビ状態に設定した旨のメッセージを電子メールで送信する。また、イモビ状態に設定されている車両2に対して、イグニッションスイッチをオンにする等の何らかの操作が行われた場合、イモビライザユニット12は、エンジンがイモビ状態に設定されている旨のメッセージをナビゲーション装置50のモニタに表示する。ユーザは、通信センタ30から携帯電話20へ送信されてきた電子メールのメッセージやナビゲーション装置50のモニタに表示されたメッセージを確認することで、車両2がイモビ状態に設定されていることを認識することができる。
ところで、上述のような非常事態が解決した後、ユーザによってイモビ状態に設定されている車両2を再び作動させる場合、設定されたイモビ状態を解除する必要がある。このとき、無線通信部11と通信センタ30と通信可能な状態であれば、車載装置10はイモビ状態を解除するための解除コードを無線通信部11を介して受信する。そして、イモビライザユニット12は、この受信した解除コードに基づいてエンジンECU40を制御し、イモビ状態を解除する。
しかし、無線通信部11が破壊されたり、車両2が無線通信部11の無線通信圏外に保管されていたりして、無線通信部11と通信センタ30とが通信不能である場合、車載装置10は通信センタ30からイモビ解除コードを直接受信することができない。このような場合においては、まず、ユーザは自身が所有する携帯電話20にイモビ解除コードダウンロードサイトのURLを入力することで、携帯電話20を通信センタ30のWebサーバ上のイモビ解除コードダウンロードサイトにアクセスさせる。このイモビ解除コードダウンロードサイトは、イモビ解除コードを携帯電話20で受信するためのWebサイトであり、その際、ユーザ認証のためにユーザID及びパスワードの入力が要求される。ここで、ユーザは、携帯電話20の画面に表示されたWebページの内容に従い、携帯電話20の入力キー(図示なし)を用いてユーザID及びパスワードを入力する。携帯電話20は、ユーザから入力されたユーザID及びパスワードに加え、自携帯電話20の携帯通信端末IDを通信センタ30のWebサーバへ送信することで、イモビ解除コードの送信要求を行う。
通信センタ30では、携帯電話20から送信されてきたユーザID、パスワード、携帯通信端末IDに基づいて、当該ユーザの認証を試みる。つまり、ユーザID及びパスワードによってユーザ本人の正当性を確認し、更に携帯通信端末IDによってイモビ解除コードの送信要求をしてきた携帯電話20が予め登録されている正当な端末であることを確認することで、当該ユーザが認証される。このようにすることで、万が一ユーザIDとパスワードとが第三者に漏洩した場合であっても、ユーザの所有する正当な携帯電話20でなければ認証されないので、第三者のなりすましによる不正な利用を防止することができる。
通信センタ30は、ユーザを認証した場合、イモビ解除コードの送信要求をしてきた携帯電話20に対してイモビ解除コードを送信する。なお、この送信されるイモビ解除コードには、イモビ解除コードの有効期限を特定するための時刻データ(例えば、送信時刻又は有効期限終了時刻)が含まれている。
携帯電話20は、通信センタ30からイモビ解除コードを受信すると、この受信したイモビ解除コードをメモリに記憶しておく。
次に、車両2側の携帯端末コネクタ13を介して携帯電話20がイモビライザユニット12に接続されると、携帯電話20はイモビ解除用のアプリケーションを起動し、記憶しているイモビ解除コードをイモビライザユニット12へ送信する。イモビライザユニット12は、携帯電話20から受信したイモビ解除コードの適否及び有効期限を確認する。そして、このイモビ解除コードが正しいものでかつ有効期限を超過していないと判定した場合、エンジンECU40を制御し、イモビ状態を解除する。
次に、イモビライザユニット12は、携帯電話20が記憶しているイモビ解除コードを消去させるためのイモビ解除コード消去コマンドを携帯電話20へ送信する。携帯電話20はイモビライザユニット12からイモビ解除コードを受信すると、記憶しているイモビ解除コードを消去する。
以上のような一連の処理によって、無線通信部11が通信不能な状態であっても、携帯電話20を用いることでイモビ状態を解除することができ、一旦作動不能な状態に設定された車両2を再び作動させることができる。
[携帯電話20における処理の説明]
上述のようなリモートイモビライザシステム1における一連の作動のうち、携帯電話20が実行する処理の詳細について図3に基づき説明する。
図3は、携帯電話20が実行する「イモビコード受信/送信処理」を示すフローチャートである。
まず、ステップ10(以下、単にS10と表記する。他のステップについても同様。)において、ユーザから通信センタ30のイモビ解除コードダウンロードサイトのURLの入力を受け付けると、この入力されたURLに基づいて、通信センタ30のWebサーバ上のイモビ解除コードダウンロードサイトへアクセスし、Webページを画面に表示する(S20)。なお、イモビ解除コードダウンロードサイトへのアクセス方法については、入力キーを用いてユーザがURLを1文字ずつ入力してもよいし、携帯電話20のブックマーク機能を利用してこのURLを予め登録しておき、それをユーザが選択するようにしてもよい。また、通信センタ30の遠隔操作により車両2がイモビ状態に設定されたときに通信センタ30から送信される電子メールのメッセージ中に、このイモビ解除コードダウンロードサイトへのショートカットを添付しておき、ユーザがこのショートカットを選択することで、イモビ解除コードダウンロードサイトへアクセスできるように構成してもよい。
S20において携帯電話20の画面に表示されたWedページは、ユーザID及びパスワードを入力するための入力フォームで構成されている。そして、この入力フォームの各テキストフィールドへ入力キーを介してユーザからユーザID及びパスワードの入力を受け付ける(S30)。
ユーザID及びパスワードの入力がユーザによって確定されると、携帯電話20は、この入力されたユーザID及びパスワードと携帯電話20の携帯通信端末IDとを通信センタ30のWebサーバへ送信する(S40)。通信センタ30のWebサーバでは、携帯電話20から送信されてきたユーザID、パスワード及び携帯通信端末IDに基づいて、当該ユーザの認証が行われ、その結果が通信センタ30から携帯電話20へ送信される。
携帯電話20は、通信センタ30から送信された認証結果に基づいて通信センタ30に認証されたか否かを判定する(S50)。ここで、通信センタ30に認証されたと判定した場合(S50:YES)、通信センタ30のWebサーバからイモビ解除コードをダウンロードし、メモリに記憶する(S60)。一方、S50において通信センタ30に認証されなかったと判定した場合(S50:NO)、S30の処理へ戻る。
続いて、携帯電話20と車載装置10とが通信可能に接続されたか否かを判定する(S70)。ここで、携帯電話20と車載装置10とが通信可能に接続されていないと判定した場合(S70:NO)、このままS70の処理を繰り返す。一方、携帯電話20と車載装置10とが通信可能に接続されたと判定した場合(S70:YES)、つまり、携帯電話20が携帯端末コネクタ13に接続された場合、携帯電話20はイモビ解除用のアプリケーションを起動する(S80)。そして、このアプリケーションの処理に従って、記憶しているイモビ解除コードを車載装置10へ送信する(S90)。
次に、車載装置10からイモビ解除コード消去コマンドを受信したか否かを判定する(S100)。ここで、イモビ解除コード消去コマンドを受信したと判定した場合(S100:YES)、メモリに記憶されているイモビ解除コードを消去する(S110)。一方、S100において、イモビ解除コード消去コマンドを受信していないと判定した場合(S100:NO)、S100の処理を繰り返す。
[車載装置10における処理の説明]
上述のようなリモートイモビライザシステム1における一連の作動のうち、車載装置10のイモビライザユニット12が実行する処理の詳細について図4に基づき説明する。
図4は、車載装置10のイモビライザユニット12が実行する「イモビ状態設定/解除処理」を示すフローチャートである。
まず、無線通信部11を介して通信センタ30からイモビ設定コマンドを受信したか否かを判定する(S210)。ここで、通信センタ30からイモビ設定コマンドを受信したと判定した場合(S210:YES)、S230へ移行する。
一方、通信センタ30からイモビ設定コマンドを受信していないと判定した場合(S210:NO)、最後に通信センタ30との定期通信で受信した作動可能信号が有効期限を超過しているか否かを判定する(S220)。ここで、作動可能信号が有効期限を超過していると判定した場合(S220:YES)、S230へ移行する。一方、作動可能信号が有効期限を超過していないと判定した場合(S220:NO)、S210の処理へ戻る。
S230では、エンジンが停止しているか否かを判定する。ここで、エンジンが停止していると判定した場合(S230:YES)、イモビライザユニット12はエンジンECUを制御してイモビ状態(即ち、エンジン始動禁止状態)に設定する(S240)。一方、エンジンが作動中である場合(S230:NO)、S230の処理を繰り返し、エンジンが停止した後にイモビ状態に設定する。
S240においてイモビ状態に設定した後、携帯電話20が通信可能に接続されたか否かを判定する処理(S250)と、ユーザによってエンジンを始動する操作が行われたか否かを判定する処理(S260)とを並行して実行する。S260においてユーザによってエンジンを始動する操作が行われていないと判定している間は(S260:NO)、S260の処理を繰り返す。そして、エンジンを始動する操作が行われたと判定した場合(S260:YES)、イモビ状態に設定されていることを通知する旨のメッセージをナビゲーション装置50のモニタに表示し(S270、S271)、S260の処理へ戻る。
一方、S250において携帯電話20が通信可能に接続されていないと判定している間は(S250:NO)、S250の処理を繰り返す。そして、携帯電話20が通信可能に接続されたと判定した場合(S250:YES)、携帯電話20からイモビ解除コードを受信したか否かを判定する(S280)。ここで、携帯電話20からイモビ解除コードを受信していないと判定している間は(S280:NO)、S280の処理を繰り返す。そして、携帯電話20からイモビ解除コードを受信したと判定した場合(S280:YES)、受信したイモビ解除コードが正当なものであるか否かを判定する(S290)。
S290において、受信したイモビ解除コードが正当なものであると判定した場合(S290:YES)、イモビ解除コードに含まれる時刻データが示す時刻とイモビライザユニット12の内部時計の現在時刻とを比較し、イモビ解除コードがダウンロード時から所定の有効期限(例えば、24時間)内のものであるか否かを判定する(S300)。つまり、イモビ解除コードに含まれている時刻データが送信(ダウンロード)時刻を示すものであれば、その時刻から現在時間までに経過した時間によって有効期限を超過したか否かを判定する。一方、時刻データが有効期限終了時刻を示すものであれば、現在時刻が有効終了時刻の前であるか後であるかによって有効期限を超過したか否かを判定する。
ここで、イモビ解除コードがダウンロード時から所定の有効期限内のものであると判定した場合(S300:YES)、エンジンECU40を制御してイモビ状態を解除(エンジンの始動を許可)する(S320)。その際、ナビゲーション装置50のモニタにイモビ状態を解除した旨のメッセージを表示する(S321)。そして、携帯電話20に対して記憶しているイモビ解除コードの消去を指示するために、携帯電話20にイモビ解除コード消去コマンドを送信する(S330、S331)。
一方、S290において受信したイモビ解除コードが正当なものではないと判定した場合(S290:NO)、又は、S300においてイモビ解除コードがダウンロード時から所定の有効期限内のものではないと判定した場合(S300:NO)、このイモビ解除コードは不正なものであるとしてイモビ状態の解除を行わず、ナビゲーション装置50のモニタにイモビ解除コードが不正なものであった旨を通知するメッセージを表示する(S310、S311)。
[効果]
上記実施形態のリモートイモビライザシステム1によれば、以下のような効果を奏する。
(1)車両2が通信センタ30との無線通信圏外にあったり、無線通信部11が破壊されたりして、車両2と通信センタ30とが通信不能な状態であっても、携帯電話20を用いることで正当なユーザであればイモビ状態を解除できるので便利である。また、イモビ解除コードの受信及び入力に携帯電話20を用いることで、手入力で扱えるよりも十分に長い解除コードを使用することが可能であり、これにより十分なセキュリティ強度を確保できる。
(2)イモビ解除コードをダウンロードする際のユーザ認証では、ユーザが入力するユーザID及びパスワードに加えて、携帯電話20の携帯通信端末IDによっても認証を行うことで、予め登録された正規の携帯電話20以外の携帯通信端末ではイモビ解除コードを受信することができように構成されている。したがって、たとえユーザID及びパスワードが漏洩してそのユーザIDとパスワードが悪意ある第三者によって利用されようとしても、正規の携帯電話20でなければイモビ解除コードを受信することができないので、よりセキュリティ強度が向上する。
(3)通信センタ30からの遠隔操作によって車両2がイモビ状態に設定された場合、通信センタ30から携帯電話20へイモビ状態に設定した旨のメッセージが電子メールで送信される。したがって、車両2がイモビ状態に設定されたことを車両2から離れた場所であってもユーザが確認することができるので便利である。
(4)車両2がイモビ状態に設定されているときにイグニッションスイッチをオンにする等の操作が行われた場合、イモビ状態に設定されている旨のメッセージがナビゲーション装置50のモニタに表示される。これにより、イモビ状態に設定されていることをユーザが知らなかったとしても、イモビ状態に設定されていることをすぐに認識することができるので便利である。
(5)イモビ解除コードに有効期限を設けたことで、たとえ悪意ある者にイモビ解除コードが漏洩したとしても、有効期限が過ぎればそのイモビ解除コードではイモビ状態を解除することができない。したがって、車両2の盗難に対する有効な抑止力となる。
(6)車両2のイモビ状態を解除した後に携帯電話20に記憶されているイモビ解除コードは消去される。したがって、携帯電話20のデータの不正な読み取りや盗難等によるイモビ解除コードの漏洩を防ぐことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り様々な態様にて実施することが可能である。
例えば、上記実施形態のリモートイモビライザシステム1では、携帯電話20と車載装置10間で通信を行う際に、携帯電話20と車載装置10のイモビライザユニット12とを通信線によって直接接続する構成を例示しているが、本発明ではこれ以外にも以下のような様々な構成をとることが可能である。
[構成例1]
図5は、構成例1としてのリモートイモビライザシステム1aの概略構成を示すブロック図である。
図5に示すように、このリモートイモビライザシステム1aは、携帯電話20と車載装置10aのイモビライザユニット12aとが通信を行うためのインターフェースである通信I/F用ECU60を備える。イモビライザユニット12a等のセキュリティ機器は、容易に破壊や無効化されないような位置に配置すべきといったセキュリティ上の観点から車両2の深部に設置されることが多い。そこで、メンテナンス性を考慮して、携帯電話20と車載装置10aのイモビライザユニット12aとの通信は、この通信I/F用ECU60を介して通信を行うように構成してもよい。なお、この構成例1では、通信I/F用ECU60とイモビライザユニット12aとは専用線で接続されている。
[構成例2]
図6は、構成例2としてのリモートイモビライザシステム1bの概略構成を示すブロック図である。
図6に示すように、このリモートイモビライザシステム1bでは、イモビライザユニット12b、エンジンECU40、ナビゲーション装置50、及び携帯電話20と車載装置10aのイモビライザユニット12aとが通信を行うための通信I/F用ECU60がそれぞれ車載LAN用の多重通信バス70に接続されている。イモビライザユニット12a等のセキュリティ機器は、セキュリティ上の観点から車両2の深部に設置されることが多い。そこで、イモビライザユニット12bと各装置間の通信は、メンテナンス性を考慮して車両2内に構築された車載LANの多重通信バス70を介して行うように構成してもよい。
[構成例3]
図7は、構成例3としてのリモートイモビライザシステム1cの概略構成を示すブロック図である。
図7に示すように、このリモートイモビライザシステム1cでは、携帯電話20と車載装置10cのイモビライザユニット12c間の通信が無線通信によって構成されている。このような無線通信に用いられるものとしては、例えば、Bluetooth(商標)やHomeRF(商標)といった近距離無線通や赤外線通信等が挙げられる。
本発明の実施形態であるリモートイモビライザシステム1の概略構成を示すブロック図である。 リモートイモビライザシステム1における一連の作動の流れを説明するためのラダーチャートである。 携帯電話20が実行する「イモビコード受信/送信処理」を示すフローチャートである。 車載装置10のイモビライザユニット12が実行する「イモビ状態設定/解除処理」を示すフローチャートである。 構成例1としてのリモートイモビライザシステム1aの概略構成を示すブロック図である。 構成例2としてのリモートイモビライザシステム1bの概略構成を示すブロック図である。 構成例3としてのリモートイモビライザシステム1cの概略構成を示すブロック図である。
符号の説明
1、1a、1b、1c…リモートイモビライザシステム、2…車両、10、10a、10b、10c…車載装置、11、11a、11b、11c…無線通信部、12、12a、12b、12c…イモビライザユニット、13…携帯端末コネクタ、20…携帯電話、30…通信センタ、40…エンジン電子制御装置(エンジンECU)、50…ナビゲーション装置、60…通信I/F用ECU、70…多重通信バス

Claims (6)

  1. 通信センタと、
    前記通信センタとの無線通信に基づいて車両の作動に必要な特定の機器を作動不可状態に設定及び前記作動不可状態を解除する車載装置とからなる車両遠隔操作システムにおいて、
    前記通信センタ及び前記車載装置と通信可能に構成された携帯通信端末を含み、
    前記車載装置と前記通信センタとが通信不能である場合において、
    前記携帯通信端末は、前記車載装置と通信可能に接続されていない状態で前記特定の機器の作動不可状態を解除するための解除コードを前記通信センタから受信可能に構成され、前記通信センタから受信した解除コードを記憶しておく機能と、前記車載装置と通信可能に接続された場合に、前記記憶しておいた解除コードを前記車載装置に対して送信する機能を備え、
    前記車載装置は、前記携帯通信端末から受信した解除コードに基づいて、前記特定の機器の作動不可状態を解除可能に構成されていること
    を特徴とする車両遠隔操作システム。
  2. 請求項1に記載の車両遠隔操作システムにおいて、
    前記携帯通信端末は、ユーザによるユーザID及びパスワードの入力が可能な機能を備え、前記解除コードを通信センタへ要求する際に、ユーザによって入力されたユーザID及びパスワードを少なくとも前記通信センタへ送信し、
    前記通信センタは、少なくとも前記携帯通信端末から受信したユーザID及びパスワードに基づいて当該ユーザの認証を試み、当該ユーザが認証された場合、前記解除コードを前記携帯通信端末へ送信すること
    を特徴とする車両遠隔操作システム。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の車両遠隔操作システムにおいて、
    前記通信センタは、前記車載装置に対して前記特定の機器を作動不可状態に設定させるための信号を送信した場合に、前記特定の機器を作動不可状態に設定した旨を通知するため情報を当該車両のユーザに対応する携帯通信端末へ送信し、
    前記携帯通信端末は、ユーザに対して情報を報知する機能を備え、前記通信センタから受信した情報に基づいて前記特定の機器が作動不可状態に設定された旨をユーザに対して報知すること
    を特徴とする車両遠隔操作システム。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の車両遠隔操作システムにおいて、
    前記車載装置は、ユーザに対して情報を報知する機能を備え、前記特定の機器が作動不可状態に設定されているときに当該機器に対する操作が行われた場合、当該機器が作動不可状態に設定されている旨をユーザに対して報知すること
    を特徴とする車両遠隔操作システム。
  5. 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の車両遠隔操作システムにおいて、
    前記解除コードは、当該解除コードの有効期限を特定するための時刻情報を含み、
    前記車載装置は、前記解除コードに含まれる時刻情報に基づいて当該解除コードの有効期限を特定し、有効期限を過ぎた解除コードについては無効とすること
    を特徴とする車両遠隔操作システム。
  6. 請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の車両遠隔操作システムにおいて、
    前記車載装置は、前記携帯通信端末から受信した解除コードに基づいて前記特定の機器の作動不可状態を解除した後、前記携帯通信端末に記憶されている当該解除コードを消去させること
    を特徴とする車両遠隔操作システム。
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