JP4625262B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ Download PDF

Info

Publication number
JP4625262B2
JP4625262B2 JP2004054610A JP2004054610A JP4625262B2 JP 4625262 B2 JP4625262 B2 JP 4625262B2 JP 2004054610 A JP2004054610 A JP 2004054610A JP 2004054610 A JP2004054610 A JP 2004054610A JP 4625262 B2 JP4625262 B2 JP 4625262B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tire
shoulder
axial direction
pneumatic tire
belt layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004054610A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005239070A (ja
Inventor
賢作 辻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2004054610A priority Critical patent/JP4625262B2/ja
Publication of JP2005239070A publication Critical patent/JP2005239070A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4625262B2 publication Critical patent/JP4625262B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Description

本発明は、重量を増加させることなく操縦安定性を向上しうる空気入りタイヤに関する。
従来、例えば図5に示されるように、ショルダ部SHに補強層bを設けた空気入りタイヤaが提案されている。前記補強層bは、例えば有機繊維からなるタイヤコードを配列したコードプライから形成され、カーカスcの外側に配置される。また補強層bのタイヤコードは、タイヤ周方向に対して傾けて配列されている。このような空気入りタイヤaは、ショルダ部SHの横剛性が向上し、旋回走行時に大きなコーナリングフォースを発生して操縦安定性を向上させることができる。
しかしながら、ショルダ部SHは屈曲の激しい部分であるため、前記補強層bのタイヤコードと周囲のゴムとの剛性差に起因し、両者の界面は応力が集中して剥離が生じやすい。従って、上述のような空気入りタイヤaは、補強層bが損傷の起点となりやすく、ひいては耐久性が低下する傾向がある、またこの種の空気入りタイヤaでは、補強層bによる重量増加が懸念される。これは、転がり抵抗の悪化にもつながる。
本件出願人は、タイヤ重量の軽量化を達成しながら操縦安定性を向上しうる空気入りタイヤとして、例えば下記特許文献1を提案した。このものでは、ベルトコードにモノフィラメントコードが用いられるとともに、トッピングゴムには短繊維を配合することを教えている。
特開2002−1250513号公報
本発明は、上記特許文献1とは異なる技術手段、即ちショルダ領域に、長手方向がタイヤ子午断面方向に配向された短繊維で補強されたゴムシート状のショルダ補強体を設けることを基本として、重量を増加させることなく耐久性及び操縦安定性を向上しうる空気入りタイヤを提供することを目的としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るカーカスと、このカーカスのタイヤ半径方向外側かつトレッド部の内部に配されたベルト層と、バットレス部に設けられた路面と接地しない非接地のタイヤ周方向溝とを有する空気入りタイヤであって、ショルダ領域に、短繊維で補強されたゴムシート状のショルダ補強体が設けられ前記短繊維はその長手方向がタイヤ子午断面方向に配向され、前記ショルダ補強体は、そのタイヤ軸方向の外端がトレッド端をタイヤ軸方向外側に超えてのびるとともに、前記タイヤ周方向溝を超えることなく終端し、しかも前記タイヤ周方向溝のタイヤ半径方向の内端は、タイヤ断面高さHの0.70〜0.90倍の高さhaを有することを特徴としている。
また請求項2記載の発明は、前記ショルダ補強体は、前記ベルト層と前記カーカスとの間に配され、しかもショルダ補強体のタイヤ軸方向の内端は、前記ベルト層の外端よりも2.0〜30.0mmタイヤ軸方向内側に設けられることを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤである。
また請求項3記載の発明は、前記ショルダ補強体の外端と、前記タイヤ周方向溝のタイヤ半径方向の内縁に立てた法線との間の距離Kは外側に4mm以上かつ10mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤである。
また請求項4記載の発明は、前記ショルダ補強体は、JIS K6394に準拠し、粘弾性スペクトロメータを用いて、温度70℃、周波数10Hz、動歪率2%の条件で測定された前記短繊維の長手方向に沿った向きの複素弾性率E*rと、タイヤ周方向に沿った向きの複素弾性率E*cとの比(E*r/E*c)が10〜20であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
また請求項5記載の発明は、前記ベルト層は、その外端間のタイヤ軸方向距離であるベルト幅が、トレッド端間のタイヤ軸方向距離であるトレッド幅の80〜100%であり、かつ、タイヤ断面高さが90〜140mm、しかも前記ショルダ補強体は、タイヤ軸方向の幅が5〜25mm、かつ、厚さが0.5〜3.0mmである請求項1乃至4のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
本発明の空気入りタイヤは、ショルダ領域に、長手方向がタイヤ子午断面方向に配向された短繊維で補強されたゴムシート状のショルダ補強体が設けられる。ショルダ補強体は、その配向された短繊維によってショルダ部のタイヤ子午線断面方向の剛性(横剛性)を高める。したがって、本発明の空気入りタイヤは、旋回時において大きなコーナリングフォースを発生し、高い操縦安定性を発揮しうる。またショルダ補強体は、タイヤコードではなく短繊維によって補強されている。従って、かかるショルダ補強体の無いタイヤと比べても実質的なタイヤ重量の増加がなく、ひいては転がり抵抗などの悪化が生じない。また短繊維で補強されたゴムは、コードプライのような応力ないし歪の集中が少ないため、耐久性においても有利となる。なお請求項2記載の発明のように、ショルダ補強体がベルト層とカーカスとの間に設けられた態様では、ベルト層とカーカスとの間の剛性段差が効果的に緩和され、さらに耐久性を向上させ得る。
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明の実施形態に係る空気入りタイヤ1の正規状態の断面図である。前記正規状態とは、空気入りタイヤ1を正規リムjにリム組みし、かつ、正規内圧を充填した無負荷の状態とする。特に断りがない場合、タイヤ各部の寸法等はこの正規状態での値とする。
また、前記正規リムとは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim" 、或いはETRTOであれば "Measuring Rim"とする。また、前記正規内圧とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" とするが、タイヤが乗用車用である場合には180kPaとする。
空気入りタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2の内部に配されたベルト層7とが設けられ、この例では乗用車用のチューブレスタイプのラジアルタイヤが例示される。図示していないが、ベルト層7のタイヤ半径方向外側に従来から知られているバンド層などを設けても良いのは言うまでもない。
本発明は、乗用車用のラジアルタイヤの中でも、タイヤ断面高さ(ビードベースラインBLからタイヤの半径方向最外側位置までの高さ)Hが90〜150mmのものに適用するのが特に好適である。タイヤサイズ表記では215/45R17〜245/60R18が好適である。
前記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ赤道Cに対して例えば80゜〜90゜の角度で配列したラジアル構造の1枚以上、本例では1枚のカーカスプライ6Aにより構成される。カーカスコードとしては、例えばポリエステル、ナイロン、レーヨン、アラミドなどの有機繊維コードや必要によりスチールコードが採用される。またカーカスプライ6Aは、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至るトロイド状の本体部6aと、この本体部6aからのび前記ビードコア5の廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返された折返し部6bとを含むものが例示される。
カーカスプライ6Aの本体部6aと折返し部6bとの間には、ビードコア5からタイヤ半径方向外側に先細状でのびかつ硬質ゴムからなるビードエーペックス8が配され、ビード部4の曲げ剛性等が適宜補強される。ビードエーペックス8には、例えばJISデュロメータA硬さで80〜98゜程度の硬質ゴムが好適である。
前記ベルト層7は、ベルトコードをタイヤ赤道Cに対して例えば10〜35°の小角度で傾けて配列した少なくとも2枚、本例ではタイヤ半径方向内、外2枚のベルトプライ7A、7Bを前記ベルトコードが互いに交差する向きに重ね合わせて構成される。なお、この実施形態では、タイヤ半径方向内側のベルトプライ7Aは、外側のベルトプライ7Bに比べ広い幅で形成され、その外端7e、7e間のタイヤ軸方向距離をベルト幅BWとする。
本実施形態において、ベルトコードにはスチールコードが採用される。これにより、ベルト層7は、カーカス6に対して強いタガ効果を与える。ベルトコードには、アラミド、レーヨン等の他の高弾性の有機繊維コードも用いることができる。また本実施形態の空気入りタイヤ1は、ベルト幅BWがトレッド幅TWの0.8〜1.0倍、より好ましくは0.8〜0.9倍に設定された態様が例示される。このベルト幅BWの寸法は、従来の一般的な乗用車用ラジアルタイヤに比べるとやや小さい。これは、ベルト層7の重量を削減しタイヤを軽量化するのに役立つ他、転がり抵抗の低減や乗心地の向上に役立つ。
前記トレッド幅TWは、正規状態の空気入りタイヤ1に正規荷重を付加してキャンバー角を零で平面に接地させたときのトレッド部2の接地端となるトレッド端2e、2e間のタイヤ軸方向の距離とする。また正規荷重は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY"とし、タイヤが乗用車用の場合には前記荷重の88%に相当する荷重とする。
また空気入りタイヤ1は、両側のショルダ領域SHに、短繊維で補強されたゴムシート状のショルダ補強体9が各々設けられる。本明細書においてショルダ領域SHとは、ベルト層7のタイヤ軸方向の外端7eを含むそのタイヤ軸方向の内、外の領域であり、路面と接地する部分と接地しない部分との双方を含む。
ショルダ補強体9は、前記短繊維の長手方向が実質的にタイヤ子午断面方向に配向されている。図2(A)には、このようなショルダ補強体9の製造方法の一例が示される。短繊維fを配合されて混練されたゴム材料13は、例えば一対のカレンダーロールR1、R2のロール間で1ないし複数回圧延加工される。公知のように、短繊維fが配合された未加硫のゴム材料13をカレンダーロールR1、R2間で圧延した場合、圧延加工されたゴムシート14の短繊維fの長手方向は、その圧延方向Xに実質的に沿うものとなる。
また圧延されたゴムシート14を前記圧延押出し方向Xと直角な幅方向に切断(切断線として符号L1、L2…が示される。)すると小巾の切断片15が得られる。そして、この切断片15の長手方向の両端部を適宜ジョイントすることにより、図2(B)のように、所定幅かつ長さのゴムシート体16からなるショルダ補強体9を形成しうる。
図2(B)のように、タイヤに巻き付けられる前のゴムシート体16は、短繊維fの長手方向が実質的にその幅方向に沿って配向されている。そして、このゴムシート体16は、例えばカーカス6とベルト層7との間に位置するように、タイヤ周方向に沿って少なくとも1周巻き付けられることにより、短繊維fの長手方向がタイヤ子午断面方向に沿って配向されたショルダ補強体9を形成する。短繊維fの配向については、上述のように可塑性ゴムの流れに伴った短繊維fの配向の程度で足りる。従って、短繊維fがタイヤ子午断面方向に配向されているとは、上述のように短繊維fが幅方向に配向された長尺なゴムシート体16を、その長手方向をタイヤ周方向として巻き付けて得られる短繊維の配向の程度で足りるものとする。従って、全ての短繊維fが所定の方向に厳密に配向されていることを要求する趣旨ではない。また前記ゴムシート14は、圧延加工に代えて、スクリュー式の押出機と、所定の断面形状を有するダイプレートとを用いて同様に成形できる。
ショルダ補強体9は、短繊維fがタイヤ子午断面方向に配向されていることにより、該短繊維fの長手方向に沿った向きの複素弾性率E*rが、タイヤ周方向に沿った向きの複素弾性率E*cに比して大きくなる。従って、このようなショルダ補強体9が設けられた空気入りタイヤ1は、ショルダ部SHの横剛性が向上し、旋回時に大きなコーナリングフォースを発揮できるため、操縦安定性を向上しうる。またショルダ補強体9は、タイヤコードではなく短繊維fによって補強されているため、かかるショルダ補強体9の無いタイヤと比べても実質的なタイヤ重量の増加がなく、ひいては転がり抵抗などの悪化が生じない。
さらに短繊維fで補強されたゴムは、コードプライのようなコードとゴムとの界面に生じる剛性段差が小さくかつ広範囲に分散するため、応力ないし歪の集中が比較的少ない。従って、屈曲の激しいショルダ部SHにおいても耐久性を損ねることなく効果的に用いることができる。つまりコードプライのような耐久性の悪化が生じ難い。さらに本実施形態のように、ショルダ補強体9は、ベルト層7とカーカス6との間に設けられているため、ベルト層7とカーカス6との間の剛性段差を緩和し、両者の間のせん断力を適度に緩和できる。従って、ショルダ部SHの耐久性の向上、とりわけベルトエッジルースといった損傷の防止に役立つ。
特に好ましい態様としては、ショルダ補強体9において、短繊維fの前記複素弾性率E*rと複素弾性率E*cとの比(E*r/E*c)が10以上、より好ましくは15以上であることが望ましく、かつ、上限については25以下が望ましい。前記比(E*r/E*c)が、10未満であると、ショルダ部SHの横剛性を補強する効果が十分に得られない傾向があり、逆に25を超えるものは、通常、短繊維fの配合量を過度に上昇させる必要があり耐クラック性などが低下しやすい他、乗り心地が悪化する傾向がある。このような複素弾性率E*r、E*cの調整は、短繊維fの繊維材料、配合量及び/又は配向度などを適宜調節することによって容易に行うことができる。また前記複素弾性率E*rの値としては、例えば75〜1000MPa、より好ましくは100〜450MPa、さらに好ましくは150〜400MPaが望ましく、複素弾性率E*cについては10MPa以下、より好ましくは5MPa以下、さらに好ましくは3MPa以下が望ましい。
またショルダ補強体9は、例えばゴムポリマー100重量部に対して短繊維fを10重量部以上配合することが望ましく、かつ、上限については30重量部以下、より好ましくは20重量部以下が望ましい。短繊維fが10重量部未満では、ショルダ補強体9としてショルダ部SHの横剛性の向上及びベルト層7への拘束力を高める効果が低下する傾向にあり、逆に30重量部を超えるとショルダ補強体9の耐クラック性が低下する傾向がある。
前記ゴムポリマーとしては、例えばジエン系ゴムが好ましく、より具体的には天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴムなどの1種又は2種以上をブレンドして用いることができる。
また短繊維fは、ゴムとの接着性に優れた非金属性のものが好ましい。具体的には、ナイロン、ポリエステル、アラミド、レーヨン、ビニロン、芳香族ポリアミド、コットン、セルロース樹脂、結晶性ポリブタジエンなどの有機繊維が好ましいが、ボロン、グラスファイバー、カーボンファイバー等の無機繊維をも必要に応じて用いることができる。これらは単独でも、又2種以上を組合わせて使用しても良い。また短繊維fには、ゴムポリマーとの接着性を向上させるために適宜表面処理などを施すことが望ましい。
また短繊維fは、例えば平均繊維径が1〜100μ、平均長さが0.1〜5mmであることが望ましい。前記平均繊維径が1μ未満又は前記長さが0.1mm未満であると、短繊維によるショルダ補強体9の弾性率向上効果が低下し、逆に平均繊維径が100μよりも大又は前記平均長さが5mmよりも大であると、短繊維fが大きくなりすぎてゴムとの接着性が低下し、耐摩耗性や耐クラック性といった耐久性が低下する。かかる観点より、短繊維の平均繊維径は、3〜50μ、その長さは0.1〜3mmとすることが特に望ましい。
また特に限定されるわけではないが、ショルダ補強体9のタイヤ軸方向の幅RWは5mm以上、より好ましくは10mm以上、さらに好ましくは20mmが望ましい。前記幅RWが5mm未満であると、補強範囲が小さくなる結果、ショルダ部SHの横剛性を高める効果が十分に得られない傾向がある。他方、前ショルダ補強体9の前記幅RWが大きすぎると、例えばその外端9oが走行時に歪の大きいサイドウォール部領域に近づく傾向があり、ひいては耐久性が悪化する傾向がある。このような観点より、ショルダ補強体9の幅RWは、好ましくは25mm以下が特に望ましい。
図3には、ショルダ部SHが拡大して示される。本実施形態では、ショルダ補強体9のタイヤ軸方向の内端9iは、ベルト層7の外端7eよりも2.0mm以上の距離LWを隔ててそのタイヤ軸方向内側に設けられている。旋回走行時などでは、ベルト層7の外端7eに大きな張力が作用し、その結果、その周囲のゴムとの界面には大きな歪が作用していわゆるベルトエッジルース等が生じやすい。
これに対して、本実施形態のように、ショルダ補強体9の内端9iを上述のように位置させることによって、ベルト層7の外端7eを含むその近傍でのゴムの横剛性を確実に増すことができるから、ベルト層7の外端7eの界面での歪負担が軽減され、ベルトエッジルースなどの損傷を長期に亘って抑制することができる。他方、前記距離LWが大きすぎても、性能の向上が見込めないのにも拘わらず、タイヤ重量が増加する傾向があるため、好ましくは30.0mm以下、より好ましくは20mm以下とするのが望ましい。
またショルダ補強体9のタイヤ軸方向の外端9oは、トレッド端2eをタイヤ軸方向外側に超えてのびており、バットレス部17の表面に設けられたタイヤ周方向溝10を超えることなく終端するものが例示される。より具体的には、ショルダ補強体9の前記外端9oは、前記タイヤ周方向溝10のタイヤ半径方向の内縁10oに立てた法線CLに達することなく、その外側で終端している。
前記タイヤ周方向溝10は、路面と接地しない非接地の溝である。この溝10はバットレス部(サイドウォール部のタイヤ半径方向外側の領域)17の曲げ剛性を適度に緩和し、かつ、歪が大きく発熱しやすいバットレス部17の熱を外部へと散逸するのに役立つ。このような観点より、タイヤ周方向溝10の前記内縁10iは、図4に示されるように、前記正規状態において、タイヤ断面高さHの0.70〜0.90倍、より好ましくは0.75〜0.85倍の高さhaに設けるのが望ましく、その溝深さGは例えば0.5〜2.0mm程度に設定される。
このようなタイヤ周方向溝10の周囲ないしこれよりもタイヤ半径方向内方の領域は、走行時に大きな屈曲歪が作用するが、本実施形態では、ショルダ補強体9の外端9oを、このタイヤ周方向溝10を超えることなく終端させることによって、ショルダ補強体9の外端9oに大きな歪が作用するのを防止して耐久性の向上を図ることができる。特に好適な態様としては、ショルダ補強体9の外端9oと前記法線CLとの間の距離Kは外側に2mm以上、より好ましくは4mm以上であることが望ましい。他方、前記距離Kが大きすぎても、ショルダ補強体9による補強エリアが低下するため、好ましくは10mm以下、より好ましくは8mm以下が望ましい。
またショルダ補強体9の厚さtも特に限定はされないが、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.8mm以上、さらに好ましくは0.9mm以上が望ましい。ショルダ補強体9の厚さtが0.5mm未満であると、ショルダ部SHの補強効果が十分に得られない傾向がある。他方、ショルダ補強体9の厚さtが過度に大きくなると、周囲ゴムとの剛性段差が生じ、歪の集中などを招きやすくなる。このような観点より、ショルダ補強体9の厚さは、好ましくは1.5mm以下、より好ましくは1.1mm以下が望ましい。
タイヤサイズ205/60R16の乗用車用のラジアルタイヤを表1の仕様に基づき試作し、タイヤ重量、操縦安定性、乗り心地及び耐久性能などについてテストを行った。また比較のために、ショルダ補強体を有しないタイヤ(従来例1)及び図5に示したコードプライからなる補強層bでショルダ部が補強された空気入りタイヤ(従来例2)についても合わせて試作し、性能を比較した。なおいずれのタイヤともショルダ部の補強以外については図1に示す共通の内部構造を持っている。
実施例のタイヤにおいてショルダ補強体の共通仕様は、次の通りである。
<ショルダ補強体>
繊維材料:アラミド
平均長さ:500μm、アスペクト比(平均長さ/繊維径)≒20
短繊維配合量:12(PHR)
厚さ:1.0mm
複素弾性率比(E*r/E*c)=18
また従来例の仕様は次の通りである。
<補強層>
コード材料:ナイロン
コード繊度:1600dtex/2
エンズ:40本/5cm
コード角度:タイヤ子午断面方向に対して0゜
配設位置(図5):h1/H=0.75、h2/H=0.85
テスト方法は、次の通りである。
(1)タイヤ重量
タイヤ1本当たりの重量を測定し、従来例1を100とする指数で表示している。数値が小さいほど良好である。
(2)操縦安定性
各供試タイヤを排気量2000cm3 の国産FF車に4輪装着し、ドライアスファルト路面のテストコースをドライバー1名乗車で走行し、ハンドル応答性、剛性感、グリップ等に関する特性をドライバーの官能評価により評価した。リムサイズは6.0J×16で内圧は200kPaとした。評価は、従来例1を100とする指数で表示した。数値が大きいほど良好である。
(3)乗り心地
上記(2)と同じ装着条件で、ドライアスファルト路面の段差路、ベルジャソ路(石畳の路面)、ビッツマン路(小石を敷き詰めた路面)等において、ゴツゴツ感、突き上げ、ダンピングに関して官能評価を行い、従来例1を100とする指数で表示したであり、指数の大きい方が良好である。
(4)耐久性能
リム(6.0J×16)にリム組みしかつ内圧200kPaを充填するとともに、ドラム試験機を用いてECE30により規定された荷重/速度性能テストに準拠して、ステップスピード方式により実施した。テストは、逐次走行速度を上昇させるとともに、タイヤが破壊したときの速度と時間を測定した。
(5)転がり抵抗
転がり抵抗試験機を用い、各タイヤを6.0J×16のリムに装着し、内圧220kPa、速度80km/h、荷重5.43kNで転がり抵抗を測定した。評価は従来例1を100とした指数で表示した。数値が大きいほど良好である。
テストの結果などを表1に示す。
Figure 0004625262
テストの結果、実施例のタイヤはタイヤ重量を増加させることなく操縦安定性を向上していることが確認できる。またタイヤ重量が小さく、転がり抵抗の向上が確認できる。
見られる。
本実施形態の空気入りタイヤの正規状態の断面図である。 (A)はショルダ補強体の製造工程の一例を示す斜視図、(B)はショルダ補強体の複素弾性率の異方性を説明する斜視図である。 ショルダー部をさらに拡大した拡大断面図である。 タイヤの要部拡大図である。 従来の空気入りタイヤの断面図である。
符号の説明
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
7 ベルト層
7e ベルト層の外端
9 ショルダ補強体
9i ショルダ補強体のタイヤ軸方向の内端
9o ショルダ補強体のタイヤ軸方向の外端
f 短繊維
SH ショルダー領域
BW ベルト幅
RW ショルダ補強体の幅
LW ショルダ補強体とベルト層との重なり幅

Claims (5)

  1. トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るカーカスと、このカーカスのタイヤ半径方向外側かつトレッド部の内部に配されたベルト層と、バットレス部に設けられた路面と接地しない非接地のタイヤ周方向溝とを有する空気入りタイヤであって、
    ショルダ領域に、短繊維で補強されたゴムシート状のショルダ補強体が設けられ
    前記短繊維はその長手方向がタイヤ子午断面方向に配向され
    前記ショルダ補強体は、そのタイヤ軸方向の外端がトレッド端をタイヤ軸方向外側に超えてのびるとともに、前記タイヤ周方向溝を超えることなく終端し、しかも
    前記タイヤ周方向溝のタイヤ半径方向の内端は、タイヤ断面高さHの0.70〜0.90倍の高さhaを有することを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記ショルダ補強体は、前記ベルト層と前記カーカスとの間に配され、しかもショルダ補強体のタイヤ軸方向の内端は、前記ベルト層の外端よりも2.0〜30.0mmタイヤ軸方向内側に設けられることを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ショルダ補強体の外端と、前記タイヤ周方向溝のタイヤ半径方向の内縁に立てた法線との間の距離Kは外側に4mm以上かつ10mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記ショルダ補強体は、JIS K6394に準拠し、粘弾性スペクトロメータを用いて、温度70℃、周波数10Hz、動歪率2%の条件で測定された前記短繊維の長手方向に沿った向きの複素弾性率E*rと、タイヤ周方向に沿った向きの複素弾性率E*cとの比(E*r/E*c)が10〜20であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記ベルト層は、その外端間のタイヤ軸方向距離であるベルト幅が、トレッド端間のタイヤ軸方向距離であるトレッド幅の80〜100%であり、
    かつ、タイヤ断面高さが90〜140mm、
    しかも前記ショルダ補強体は、タイヤ軸方向の幅が5〜25mm、かつ、厚さが0.5〜3.0mmである請求項1乃至4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
JP2004054610A 2004-02-27 2004-02-27 空気入りタイヤ Expired - Fee Related JP4625262B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004054610A JP4625262B2 (ja) 2004-02-27 2004-02-27 空気入りタイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004054610A JP4625262B2 (ja) 2004-02-27 2004-02-27 空気入りタイヤ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005239070A JP2005239070A (ja) 2005-09-08
JP4625262B2 true JP4625262B2 (ja) 2011-02-02

Family

ID=35021260

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004054610A Expired - Fee Related JP4625262B2 (ja) 2004-02-27 2004-02-27 空気入りタイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4625262B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5140951B2 (ja) * 2006-06-30 2013-02-13 横浜ゴム株式会社 空気入りタイヤ
BRPI0823388A2 (pt) * 2008-12-22 2015-07-14 Société de Technologie Michelin Pneumático
JP6335193B2 (ja) * 2013-01-09 2018-05-30 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニーE.I.Du Pont De Nemours And Company タイヤオーバーレイ組成物

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0489406U (ja) * 1990-10-29 1992-08-05
JPH04274908A (ja) * 1991-03-01 1992-09-30 Toyo Tire & Rubber Co Ltd 空気入りタイヤ
JPH06297907A (ja) * 1993-04-19 1994-10-25 Toyo Tire & Rubber Co Ltd ユニフォーミティの改良された空気入りラジアルタイヤ
JPH10315717A (ja) * 1997-05-15 1998-12-02 Bridgestone Corp 空気入りラジアルタイヤ

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0489406U (ja) * 1990-10-29 1992-08-05
JPH04274908A (ja) * 1991-03-01 1992-09-30 Toyo Tire & Rubber Co Ltd 空気入りタイヤ
JPH06297907A (ja) * 1993-04-19 1994-10-25 Toyo Tire & Rubber Co Ltd ユニフォーミティの改良された空気入りラジアルタイヤ
JPH10315717A (ja) * 1997-05-15 1998-12-02 Bridgestone Corp 空気入りラジアルタイヤ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005239070A (ja) 2005-09-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4377933B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP4971700B2 (ja) ランフラットタイヤ
JP4621091B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP4295795B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP3113592B2 (ja) 空気入りラジアルタイヤ
JP4653651B2 (ja) ランフラットタイヤ
JP5123587B2 (ja) ランフラットタイヤ
JP5180562B2 (ja) ランフラットタイヤ
DE602005000216T2 (de) Notlaufreifen
JP2009137449A (ja) ランフラットタイヤ
JP4377934B2 (ja) 空気入りタイヤ
EP3059100B1 (en) Pneumatic tire
JP2005280459A (ja) ランフラットタイヤ
JP4971680B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP4044367B2 (ja) 重荷重用空気入りタイヤ
JP5049055B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP4537561B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP4625262B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP2006315580A (ja) ランフラットタイヤ及びそれを用いた車両
JP5185599B2 (ja) ランフラットタイヤ
JP5139757B2 (ja) ランフラットタイヤ
JP4635041B2 (ja) ランフラットタイヤ
JP4523823B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP4261866B2 (ja) 空気入りラジアルタイヤ
JP2007290443A (ja) 空気入りタイヤ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061115

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090722

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090728

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090826

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100907

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101007

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101102

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101105

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131112

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees