以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用した景品取得ゲーム機1の外観構成を示す図である。この景品取得ゲーム機1は、後述の主制御基板20などが収容されるゲーム機本体部2と、種々の景品G(「ぬいぐるみ」や「菓子」等)が複数収容され、景品取得ゲームを実施するためのゲーム空間Rが形成される景品室3とを主体に構成される。
ここで、景品室3の室壁は、例えば、背面壁3aが不透明な金属等の板部材で形成され、正面壁3b及び左右壁3cが、外部から景品室3内の景品Gを視認できるように透明なアクリル板或いはガラス等の板部材で形成されている。
また、景品室3の内部には、景品Gが載置される複数の景品載置台4と、それら複数の景品載置台4が設置される多段棚部5と、景品載置台4から景品を落下させるために用いられるアーム部材6と、アーム部材6を操作面(図中のXY面)で駆動するための上下移動装置7及び左右移動装置8と、落下した景品Gを室内から外部に排出させるための景品落下口9と、ゲーム空間Rをライトアップさせるための蛍光灯などの照明装置10とが備えられている。
ゲーム機本体部2は、正面壁2a側に、遊技者からの操作入力を受け付け、アーム部材6をゲーム空間R内で操作するための各種操作部材11a〜11cを備えた操作パネル11と、ゲーム料金を受け入れるための硬貨投入口12と、景品落下口9と連通した景品払出口13と、BGMなどのゲーム音声を出力するためのスピーカ14とを有している。また、ゲーム機本体部2の収容扉15内にはアーム部材6の動作条件を設定するための設定パネル16が収容されている。
なお、図示の例では、二人の遊技者が同時にプレイできるように、アーム部材6、景品落下口9、操作パネル11、硬貨投入口12、景品払出口13等が左右にそれぞれ2組設けられている形態を示しているが、一人用或いは三人以上用の景品取得ゲーム機とする場合は、これらを1組又は3組以上としても構わない。
図2は、アーム部材6の構成を示す説明図であり、図2(A)、(B)には、それぞれ収縮時及び伸長時のアーム部材6が斜視図により示されており、図2(C)には、アーム部材6の内部構造が側面視により示されている。
アーム部材6は、図示のように、上下移動装置7に取り付けられた装置本体部61と、相互に入れ子式にスライドする多段のアーム片62(621〜627)から構成され、基端のアーム片621が装置本体部61に固定された伸縮部63と、伸縮部63の先端のアーム片627にヒンジ64aなどの接合部材により着脱自在に取り付けられたツメ部64とを有している。なお、ツメ部64は、景品Gを引っかけて牽引するためのものであり、景品Gの種類に合わせて種々の材質、形状、サイズのツメ部64を用意しておくことが可能であるが、この例では、バケット状のツメ部64が装着されている。
ここで、装置本体部61には、図2(C)に示すように、伸縮駆動モータ61aに駆動されるリール61bと、当該リール61bに一端が巻き付けられ、他端が伸縮部63の内部を挿通して先端のアーム片627に取り付けられた長尺状の駆動部材61cが収容されており、伸縮駆動モータ61aを順逆方向に回転させることで、駆動部材61cの巻き取り又は巻き戻しを行い、先端のアーム片627を牽引し、又は押し出すことで伸縮部63を、図2(A)のように収縮させ、又は図2(B)のように伸長させることが可能である。なお、上記駆動部材61cには、リール61bへの繰り返しの巻回による疲労やアーム片627の押し出しの際の折り曲げ力に対する耐性を備えた長尺の金属板バネなどを使用することができる。アーム部材6の故障を防止するために、装置本体部61は、伸縮部63の伸縮に対するリミッター手段を備えることが可能であり、一定以上の負荷が伸縮駆動モータ61aに掛かった場合には、伸縮駆動モータ61aによる駆動が停止するものとすることができる。
装置本体部61は、更に、移動レバー11aによるアーム部材6の移動操作が可能な残り時間を示す表示窓61dを備えている。
図2(D)は、伸縮部63が備える7つのアーム片621〜627のうちの連続する2つのアーム片62n、62n+1の構成を拡大して下方から示す説明図である。
図示のように、各アーム片62は、それぞれ、次段のアーム片62の外周を摺接して収容することができる空洞を有するとともに、前段のアーム片62の空洞に摺接して収容されることができる外周を有する断面視矩形の部材であり、各アーム片62の先端側には係止片62aが、基端側には係止ピン62bが設けられている。
そして、アーム部材6が伸長する際には、基端側のアーム片62nの係止片62aに次段のアーム片62n+1の係止ピン62bが当接した位置で両アーム片62n、62n+1間のスライドが停止するため、各アーム片62の脱落を防止することが可能である。
また、アーム部材6が収縮する際には、基端側のアーム片62nの係止ピン62bに次段のアーム片62n+1の係止ピン62bが当接した位置で両アーム片62n、62n+1のスライドが停止するため、各アーム片62が前段のアーム片62内にスライドして収納される動作が、先端のアーム片627から、アーム片626、アーム片625・・・の順に規則正しく行われることになり、アーム部材6のスムーズな伸縮動作が確保される。また、先端側のアーム片62n+1が直前のアーム片62nよりも更に基端側のアーム片に入り込んだ場合には、外側と内側のアーム片62のサイズの相違によりガタが生じて伸縮動作に引っ掛かりを生じる場合があるが、図示のアーム片62では、上記の通り、係止ピン62b同士が係合した位置でスライドが停止するため、そのような不都合が生じることが防がれる。
図3は、アーム部材6を操作面内において駆動するための上下移動装置7及び左右移動装置8の構成を示す説明図である。
図示のように、上下移動装置7は、アーム部材6をゲーム空間R内で上下方向Yに案内するガイドレール部材71と、ガイドレール部材71の上端に配置された上下駆動モータ72と、当該上下駆動モータ72により回転駆動される主動プーリー73と、ガイドレール部材71の下端に配置された従動プーリー74と、両プーリー73、74間に掛け渡されたベルト75(又はワイヤ)とを有しており、上下駆動モータ72を順逆方向に回転させることによりベルト75に連結点76において取り付けられたアーム部材6が上下方向に駆動されるようになっている。
また、左右移動装置8は、ゲーム空間R内の上下面に固定され、上下移動装置7をゲーム空間R内で左右方向Xに案内する上下のガイドレール部材81、82と、上部のガイドレール部材81の一端に配置された左右駆動モータ83と、当該左右駆動モータ83により回転駆動される主動プーリー84と、上部のガイドレール部材81の他端に配置された従動プーリー85と、両プーリー84、85間に掛け渡されたベルト(又はワイヤ)86と、下部ガイドレール部材82上を走行する走行板87とを有しており、ガイドレール部材71は、その上端が連結点88においてベルト86に取り付けられ、その下端が走行板87に取り付けられている。従って、左右駆動モータ83を順逆方向に回転させることによりベルト86に牽引されて上下移動装置7が左右方向に駆動される。
上記上下移動装置7及び左右移動装置8による駆動を組み合わせることにより、アーム部材6を操作面(XY面)内における任意の位置に移動させることが可能である。
図4は、ゲーム機本体部2の収容扉15に設置される設定パネル16の例示的な外観を示す説明図である。
図示のように、設定パネル16は、1P用及び2P用の設定領域に分かれており、それぞれの設定領域に、アーム部材6の伸長動作の際の到達位置Z1を設定するための到達位置設定つまみ16a、アーム部材6の下降動作の際の下降量Y1を設定するための下降量設定つまみ16b及びアーム部材6の伸長動作の際の戻り位置Z0を設定するための戻り位置設定つまみ16cが設けられている。
具体的には、設定パネル16内には、各設定つまみ16a〜16cについての可変抵抗器が内蔵されており、当該可変抵抗器の抵抗値を設定つまみ16a〜16cへの操作により変化させたときに発生する例えば0〜5Vの範囲の無段階電圧をAD変換器などにより変換させたデジタル値が上記到達位置Z1、下降量Y1及び戻り位置Z0として設定される。
より具体的には、到達位置Z1としては「30〜70」、戻り位置Z0としては「0〜15」、下降量Y1としてはデジタル値「0〜99」の範囲のデジタル値が設定される。この場合、可変抵抗器の誤差による誤動作を防止するために、所定値(例えば、0.5V)以下の電圧値についてはそれぞれの設定値の下限値が設定され、所定値(例えば、4.5V)以上の電圧値についてはそれぞれの設定値の上限値が設定されるようにすることができる。
図5(A)は、多段棚部5を構成する各棚部材50の構成を示す説明図であり、図5(B)及び(C)は、それぞれ当該棚部材50を構成するフレーム枠部50f及び支持部材50sの分解斜視図である。
図示のように、フレーム枠部50fは、前面板51、背面板52及び左右の側面板53から構成される略矩形の枠部材であり、背面板52の左右端には、それぞれ取付ピン52aを立設した取付板52bが設けられている。また、各側面板53の略中央付近には、前方から後方にかけて順次設置高さが上昇していく複数段の受け溝53aが形成されるとともに、その前方端には軸挿通孔53bが形成されている。
一方、支持部材50sは、前面板54、背面板55、左右の側面板56、及び両側面板56の概略中間位置において前面板54と背面板55の間に掛け渡された中間板57から構成され、フレーム枠部50f内に収容される程度のサイズを有する矩形の部材である。
上記側面板56及び中間板57の上面は、後述の景品載置台4の脚部44が円滑に転動できる程度の平滑性を有する支持面56a、57aとなっており、当該支持面56a、57a上には、前後方向に複数の凹凸を配列させた4本のラック58が取り付けられている。
また、各側面板56の前方端には、それぞれ、フレーム枠部50fの軸挿通孔53bに回転自在に支持される回転軸56bが突設されるとともに、その中央付近には、前後方向に延在するスライド孔56cが形成されており、当該スライド孔56cには、当該スライド孔56cに沿って前後方向にスライドさせることが可能なスライドピン59が差し渡されている。
ここで、上記軸挿通孔53b、回転軸56b、受け溝53a及びスライドピン59は、支持部材50sの水平に対する前後方向での傾斜角を調整する第2傾斜角調整機構を構成している。即ち、支持部材50sは、前方端において回転軸56bが軸挿通孔53bに回転自在に軸支され、スライドピン59が複数段の受け溝53aのいずれかに支承されることで前後方向への傾斜角度を調節可能にフレーム枠部50fに取り付けられるために、スライドピン59を最も後方の受け溝53aに支承させた場合には、図6(A)に示すように、支持部材50sの支持面を概略水平とすることができ、これをより前方の受け溝53aに支承させることで、図6(B)に示すように、支持部材50sの支持面の後方への傾斜角度を大きくしていくことができる。
また、支持部材50sの前面板54の左側側面板56の近傍位置及び中間板57の近傍位置には、留めネジ54aが取り付けられ、右側側面板56の左方、左側側面板56の右方、並びに中間板57の両側方には、それぞれ一組の係合突起56d、57bが設けられている。
上記棚部材50は、ゲーム空間Rの所定位置に鉛直方向に立設された支持柱5aに穿設された取付孔5bにフレーム枠部50fの取付ピン52aを挿通させて取り付け固定されるようになっている。各支持柱5aには、異なる高さ位置に複数の取付孔5bを形成することが可能であり、これにより、高さ方向に複数の棚部材50を取り付けることが可能となり、或いは、使用する景品Gの大きさなどによって、個々の棚部材50の取り付け高さを調整することが可能となる。
図7は、上記棚部材50上において支持される景品載置台4の構成を示す説明図であり、図7(A)、(B)には、それぞれ、景品載置台4を上方及び下方から見た斜視図が示されている。
図示のように、景品載置台4は、矩形の第1載置板41と、第1載置板41の後方端から所定の角度をもって起立する矩形の第2載置板42を有するとともに、第1、第2載置板41、42から側方に突出する嵌合突起41a、42aに嵌合孔43aを嵌合することにより側面板43を着脱自在とされた前方及び上方開放のカゴ状の形態を成す部材である。なお、側面板43の取り付け方法は任意であり、上記のような嵌合に代えて、例えば、ネジ留めによって側面板43の取り付けを行うものとすることも可能である。
景品載置台4は、アクリル板などの任意の材料を用いて構成することが可能であるが、景品Gの側方からの視認性を確保するために、側面板43は透明な素材により構成することが好ましい。
第1載置板41は、その上面側が景品Gを載置する第1の載置面として使用されるものであり、当該第1の載置面には、使用する景品Gの種類によって、載置面上での景品Gの滑りを抑制するためのラバーなどで構成される滑り抑制部材41bを載置することができる。
第1載置板41の下方には、凸状乃至円弧状に湾曲した接地面44aと、当該接地面の湾曲に沿って所定の間隔で複数の凹凸を配列させたギア44bとを有する2本の脚部44が突設されている。ここで、接地面44aの幅寸法は、支持部材50sの支持面56a、57aに載置出来る程度の寸法とされ、両脚部44の間隔は、右側又は左側の支持面56aと支持面57aとの間隔と同寸法とされており、各棚部材50に2つの景品載置台4を配置することが可能である。また、ギア44bの凹凸は、景品載置台4を支持部材50s上に配置して接地面44aと支持面56a、57aとを接触させたときに、ラック58の凹凸と歯合するサイズ、間隔とされている。
第1載置板41の裏面には、更に錘板45aと、当該錘板45aを滑動させるための前後方向に延在するレール45bと、錘板45aのレール45b上での滑動を固定するための固定ネジ45cとからなる第1傾斜角調整機構45が設けられており、更に、第1載置板41の前方端には、長穴46a及びネジ46bを用いたネジ固定により高さ調整可能な落下妨害部材46が取り付けられている。
第2載置板42は、その前面側が景品Gを載置する第2の載置面として使用されるものであり、その裏面には、支持部材50sの側面板56及び中間板57に突設された係合突起56d、57bに係合する4つの係合突起42bと、支持部材50sの前面板54に取り付けられた留めネジ54aに累合するネジ穴42cが設けられている。
図8は、景品載置台4により実現することができる様々な景品Gの載置態様を示す説明図である。
図8(A)は、第1載置板41の載置面に景品Gを載置した場合である。この場合は、景品載置台4は、円弧状の接地面44aを支持部材50sの支持面56a、57aに接触させて設置されるため、アーム部材6が景品Gに軽く接触するだけで景品載置台4が接地面44aの湾曲に従って前後方向に揺動し、第1載置板41上の景品Gもこれに合わせて揺動する。従って、アーム部材6が景品Gに接触すれば、仮に景品Gの取得に失敗したとしても、景品Gが大きく揺動するために、もう少しで景品Gが取得できたかもしれないといった感覚を遊技者に与えることができる。
また、景品載置台4の揺動は、脚部44のギア44bと、支持部材50s上のラック58とが歯合した状態で行われるため、アーム部材6が景品Gや景品載置台4に接触したとしても、景品載置台4の揺動位置が簡単にずれてしまうことが防止される。即ち、遊技が反復される間に、景品載置台4の設置位置が前方又は後方にずれてしまったり、或いは、景品載置台4の向きが変わってしまうなどにより、装置の設置者が意図した景品取得の難易度が変動することが防止される。
図8(B)は、第2載置板42の載置面に景品Gを載置した場合である。この場合には、景品Gや景品載置台4にアーム部材6が接触したとしても、景品載置台4の揺動は生じないため、景品Gを安定に載置することができる。従って、箱入りのお菓子など、起立した状態を保つことが好ましい景品Gや、揺動させる効果が余り期待できない景品Gなどは、図8(B)の設置態様の景品載置台4に載置することができる。また、景品載置台4は、係合突起42bを係合突起56d、57bに係合させるとともに、ネジ穴42cに留めネジ54aを累合することにより、棚部材50に移動不能に取り付けることが可能であり、これにより、アーム部材6が景品G又は景品載置台4に接触したときに、景品載置台4が棚部材50上で滑って移動したり、浮き上がってしまうことが防止され、景品Gの陳列態様が見苦しくなったり、景品取得の難易度が遊技毎に変動するなどを防止することができる。
図8(C)は、2つの景品載置台4を左右に並べて使用した場合に可能となる景品Gの載置態様を示している。図示のように、右側に配置される景品載置台4の左側側面板43と、左側に配置される景品載置台4の右側側面板43とを取り外して両景品載置台4を並置することにより、単一の景品載置台4には載置できない幅寸法の大きい景品Gを載置することが可能となる。なお、この例は、2つの景品載置台4を並置した場合であるが、3つ以上の景品載置台4を並置することで、より多様なサイズの景品Gを載置できるように構成することも可能である。また、図では、第1載置板41の載置面に景品Gが載置された場合を示しているが、第2載置板42の載置面に景品Gを載置する場合も、同様の態様で複数の景品載置台4を並置することで大きい景品Gを載置しうるようにすることが可能である。
図9は、第1傾斜角調整機構45により景品載置台4の初期状態での前後方向の傾斜角度が調整される態様を示す説明図である。
図9(A)は、錘板45aをレール45bの後方側にスライドさせて固定した場合であり、これにより、景品載置台4を初期状態(アーム部材6などからの外力が作用しない状態)において後方に傾斜させることができ、図9(B)に示すように、錘板45aをレール45bの前方側にスライドさせていけば、景品載置台4を初期状態においてより前方側に傾斜させることができる。景品載置台4は、初期状態でより後方に傾斜している程景品Gの取得は難しくなり、より前方に傾斜している程景品Gの取得は容易になるため、錘板45aの固定位置によって景品取得の難易度を調整することが可能である。
図10は、落下妨害部材46の高さ調整により景品取得の難易度が調整される態様を示す説明図であり、図10(A)は、第1載置板41からの迫出高さが小さくなるように落下妨害部材46が取り付けられた場合を、図10(B)は、第1載置板41からの迫出高さが大きくなるように落下妨害部材46が取り付けられた場合を示している。
図10(A)に示すように、落下妨害部材46の迫出高さが小さい場合には、アーム部材6の収縮動作によって景品Gが前方に牽引された際に、落下妨害部材46を乗り越えて景品Gが落下し易いが、図10(B)に示すように、落下妨害部材46の迫出高さを大きくすると、景品Gが落下妨害部材46を乗り越えられずに元の位置に戻ってしまい易くなる。
上記の第1傾斜角調整機構45による支持部材50sの傾斜角度、第2傾斜角調整機構による景品載置台4の初期状態での傾斜角度、及び落下妨害部材46の迫出高さを組み合わせて調整することで、景品取得の難易度の多様な設定を可能とすることができる。
図11は、景品取得ゲーム機1におけるシステム構成を示す説明図である。
図示するように、本実施形態では、主制御基板20に、I/F20d及び信号線を介して設定受付部21、操作受付部22、アーム部材制御部23、照明・音響制御部24、硬貨処理部25などが電気的に接続されている。
ここで、主制御基板20は、景品取得ゲーム機1全体を統括的に制御する部分であり、CPU20aと、周辺装置を制御するための各種プログラム及びデータが格納されるROM20bと、演算用の作業データなどを一時記憶するRAM20cと、CPU20aと周辺装置との間における各種信号の授受を行うためのI/F20dと、それらを相互に接続するためのバス20eとから構成されている。
設定受付部21は、設定パネル16において設定された各設定値を主制御基板20に伝達するためのインターフェイスであり、到達位置設定部21a、下降量設定部21b及び戻り位置設定部21cを有している。即ち、到達位置設定部21aは、設定つまみ16aへの操作により得られる「30〜70」の範囲のデジタル値を到達位置Z1として導出し、下降量設定部21bは、設定つまみ16bへの操作により得られる「0〜99」の範囲のデジタル値を下降量Y1として導出し、戻り位置設定部21cは、設定つまみ16cへの操作により得られる「0〜15」の範囲のデジタル値を戻り位置Z0として導出し、設定受付部21は、これらの値を随時主制御基板20に送信する。
操作受付部22は、操作パネル11の各種操作部材11a〜11cからの信号を主制御基板20に伝達するためのインターフェイスであり、移動レバー11aへの操作が検知された場合には、その操作の方向に応じてアーム部材6を上下方向又は左右方向に駆動すべき旨の信号を主制御基板20に送信し、伸長ボタン11b又は停止ボタン11cへの操作が検知された場合には、それぞれ、アーム部材6の伸長を開始し、又は停止すべき旨の信号を主制御基板20に送信する。
アーム部材制御部23は、主制御基板20からの制御信号に従って、アーム部材6の制御を実行するものである。即ち、主制御基板20からアーム部材6の伸縮動作を指示する信号を受信した場合には、アーム部材制御部23は、伸縮駆動モータ61aの駆動制御を行うことにより、アーム部材6に伸縮動作を実行させる。また、主制御基板20からアーム部材6の操作面内での移動を指示する信号を受信した場合には、アーム部材制御部23は、上下駆動モータ72及び左右駆動モータ83の駆動制御を行うことにより、アーム部材6を操作面内で移動させる処理を実行する。
硬貨処理部24は、硬貨投入口12に投入された硬貨の識別処理を実行し、予め定められた額の正当な硬貨の投入を検知した場合に、硬貨検知信号を主制御基板20に送信する処理を実行し、照明・音響制御部24は、主制御基板20からの制御信号に従って、ゲームの進行状況等に応じた演出照明や効果音を出力するべく、照明装置10、スピーカ14等の制御を実行する。
図12は、景品取得ゲーム機1において実行される処理の流れを示す説明図である。
主制御基板20は、硬貨処理部24から所定額の硬貨の検知信号を受信したことを条件にゲーム処理を開始する(ステップS1)。即ち、操作パネル11の各操作部材11a〜11cへの操作が有効とされるとともに、アーム部材6の表示窓61dでの制限時間のカウントダウンが開始される。なお、ゲーム処理開始の時点では、アーム部材6が操作面内における左下隅などのスタンバイ位置に配置され、アーム部材6の先端(ツメ部64の取付位置)が、戻り位置設定部21cにより設定された戻り位置Z0となるようアーム部材制御部23による初期設定がなされている。また、設定パネル16への設定により、Z1、Y1及びZ0には、それぞれ、「70」、「50」及び「15」のような値が設定されている。主制御基板20は、ゲーム処理開始以降、ゲーム処理の終了に至るまで、上記各操作部材11a〜11cへの操作及び制限時間の経過を監視する。
ステップS2において、移動レバー11aが操作されると、当該操作の方向に応じてアーム部材制御部23が上下駆動モータ72及び左右駆動モータ83を駆動して、アーム部材6を操作面内において移動させる処理を実行する(ステップS3)。
続くステップS4、S5では、それぞれ伸長ボタン11bへの操作及び制限時間がタイムアウトしたか否かが判断され、その操作又はタイムアウトが判定されない場合は、ステップS2において移動レバー11aの操作が検知される毎にステップS3でのアーム部材6の移動処理が反復して実行される。これにより、アーム部材6は、操作面内における指定位置に導かれていく。
一方、ステップS4において伸長ボタン11bの操作が検知され、又はステップS5において制限時間のタイムアップが検知された場合には、処理はステップS6に移行し、アーム部材6の移動処理は終了する。図13(A)は、ステップS6の時点でのアーム部材6及び景品載置台4に載置された景品Gを示す説明図である。図示のように、アーム部材6の先端位置は、ゲーム開始時点と同じ戻り位置Z0に維持されている。また、図では、指定位置(ステップ6の時点での操作面内におけるアーム部材6の位置)におけるY方向位置がY0で示されている。
続くステップS7では、アーム部材制御部23が伸縮駆動モータ61aを駆動して、アーム部材6を伸長させる伸長処理を実行する。
そして、ステップS8では、停止ボタン11cの操作の有無が判断され、当該操作が検知されない場合は、更にステップS9において、アーム部材6の先端が到達位置設定部21aにより設定された到達位置Z1に一致しているか否かが判断され、両ステップS8、9のいずれかにおける判断の結果が「YES」となるまではステップS7における伸長処理が繰り返し実行される。
なお、ステップS9における判断は、ステップS7における伸縮駆動モータ61aの回転量を不図示のエンコーダにより検出し、これを到達位置Z1及び戻り位置Z0として設定されたデジタル値の差分(Z1−Z0)と対比することに行われる。
そして、ステップS8において停止ボタン11cの操作が検知された場合、又は、ステップS9においてアーム部材6の先端が到達位置Z1に一致した判定がなされた場合には、処理はステップS10に移行してアーム部材6の伸長処理が終了する。従って、停止ボタン11cの操作が行われない場合には、図13(B)に示すように、アーム部材6の高さ位置をY0に保ったまま、アーム部材6の先端を到達位置Z1に一致させたところでアーム部材6の伸長処理は終了する。
続くステップS11では、アーム部材制御部23が上下駆動モータ72を駆動して、アーム部材6を下降させる処理が実行され、更にステップS12では、ステップS11におけるアーム部材6の下降量が、下降量設定部21bにより設定された下降量Y1に一致したか否かの判断が実行され、その結果が「NO」である場合には、ステップS11における処理が反復して実行される。
なお、ステップS11における判断は、ステップS11における上下駆動モータ72の駆動時間を下降量Y1として設定されたデジタル値に対応付けられた時間値と対比することにより行われる。
そして、図13(C)に示すように、アーム部材6の下降量が下降量設定部21bにより設定された下降量Y1に一致したところで処理はステップS12からステップS13に移行し、アーム部材6の下降処理が終了する。
続くステップS14では、アーム部材制御部23が伸縮駆動モータ61aを駆動して、アーム部材6を収縮させる収縮処理を実行し(図13(D))、更にステップS15では、アーム部材6の先端が戻り位置設定部21cにより設定された戻り位置Z0に一致しているか否かが判断され、当該判断の結果が「NO」である間は、ステップS14におけるアーム部材6の収縮動作が反復して実行される。
なお、ステップS15における判断は、ステップS14における伸縮駆動モータ61aの回転量を不図示のエンコーダにより検出し、これを到達位置Z1及び戻り位置Z0として設定されたデジタル値の差分(Z1−Z0)と対比することに行われる。
そして、図13(E)又は(F)に示すように、アーム部材6の先端が戻り位置Z0に一致したところで処理はステップS16に移行し、アーム部材6の収縮動作が終了する。
このとき、図13(E)に示すように、景品Gが落下妨害部材46を乗り越えて落下すれば、当該景品は景品払出口13から払い出されて遊技者に提供される。また、景品Gが落下妨害部材46を乗り越えられなかった場合には、図13(F)に示すように、景品Gは元の位置に復帰することになるが、このとき、景品載置台4上において景品Gが前後方向に大きく揺動することになるため、遊技者にもう少しで景品を取得できたかもしれないといった感覚を与え、遊技者の遊技意欲を高めることができる。
ステップS16の後、ステップS17においてアーム部材6をスタンバイ位置に復帰させるなどのリセット処理が実行されてゲーム処理が終了する。
以上のように、本発明の景品取得ゲーム機1では、脚部44を支持面56a、57a上に載置させた運営態様で景品載置台4を使用することにより、アーム部材6が接触したときの景品Gの揺動を大きくし、或いは揺動する確率を高めることができるという効果が達成される。
また、本発明の景品取得ゲーム機1では、第1傾斜角調整機構45、第2傾斜角調整機構、落下妨害部材46などにより、遊技者が認識可能な態様で、しかも、個々の景品載置台4又は棚部材50毎に、景品取得の難易度を調整することが可能であるとともに、伸長処理(ステップS7)におけるアーム部材6の伸長量Z1−Z0、下降処理(ステップS11)における下降量Y1、並びに、収縮処理(ステップS14)における戻り位置Z0を設定可能であるが故に、アーム部材6毎の景品取得の難易度をより詳細に調整することが可能である。
更に、本発明の景品取得ゲーム機1では、上記に加え、到達位置Z1などを適宜調整することにより、遊技における技術介入性をある程度緩和し、ゲームの技量に自信の無い遊技者にも遊技意欲を与えることができるという効果も達成される。
図14(A)〜(D)は、ステップS6の時点でのアーム部材6の高さ位置Y0が、図13に示す例よりも低かった場合における景品載置台4及びこれに載置された景品Gの動作を示す説明図であり、図14(E)〜(H)は、同様の場合に揺動機構を備えない景品載置台が使用された場合の当該景品載置台及び景品Gの動作を示す説明図である。
図14(A)〜(D)に示すように、揺動機構を備える景品載置台4が使用される場合には、アーム部材6の高さ位置が低すぎるためにアーム部材6の伸長処理(ステップS7)においてツメ部64が景品Gに当接してしまうが(図14(A))、更にアーム部材6が伸長した際に景品載置台4の揺動によって景品Gが後傾することで景品Gの高さが低くなり(図14(B))、やがてツメ部64が景品Gを通り越したところで景品Gは元の状態に復帰し(図14(C))、この状態でアーム部材の下降処理(ステップ11)が実行され、更に、収縮処理(ステップS14)が実行される結果、景品Gを取得できる可能性がある(図14(D))。
これに対し、揺動機構を備えない景品載置台が使用された場合は、上記と同様にツメ部64が景品Gに当接した場合(図14(E))は、アーム部材6が更に伸長しても景品Gを後方に押し遣るだけであり(図14(F)、(G))、その後、アーム部材の下降処理(ステップ11)及び収縮処理(ステップS14)が実行されても景品Gを取得できる可能性は生じない(図14(H))。
或いは、アーム部材6の先端が戻り位置Z0にある状態で景品G又は景品載置台4にアーム部材6が接触可能なように戻り位置Z0を調整するなどにより、アーム部材6の操作面内での移動により景品Gの取得を行うことを可能にするなど、上記した実施形態とは異なる態様での遊技を提供することも可能である。
以上、例示的な実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態により限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内において種々の変更、改変を行うことが可能である。
例えば、上記実施形態では、伸長処理及び収縮処理におけるアーム部材6の伸長量及び戻り位置を伸縮駆動モータ61aの回転量に基づいて設定し、下降処理におけるアーム部材6の下降量を上下駆動モータ72の回転駆動時間に基づいて設定する場合について説明したが、これら全てをモータの回転量又は回転駆動時間に基づいて設定することも可能であり、或いは、ツメ部64等の位置を測定するセンサーをゲーム空間R内に設置し、当該センサーにより測定される位置に基づいて上記伸長量、戻り位置及び下降量を設定するなど、他のパラメータに基づく設定を行うものとすることも可能である。
また、上記実施形態では、スタンバイ状態(ステップS1)乃至移動処理の完了時点(ステップS6)におけるアーム部材6の先端位置が、収縮処理完了時点(ステップS15)におけるアーム部材の戻り位置Z0に一致する場合について説明したが、両時点におけるアーム部材6の先端位置が相違するよう制御を行うことも可能である。なお、この場合には、スタンバイ状態(ステップS1)乃至移動処理の完了時点(ステップS6)におけるアーム部材6の先端位置を設定する追加的な手段を更に備えることも可能である。
また上記実施形態では、景品Gを揺動させる好ましい形態として湾曲した接地面44aを有する脚部44を備える景品載置台4を平滑な支持面56a、57a上に転動可能に配置する場合を例として説明したが、図15(A)に示すように、側面板43などに挿通固定した水平軸47をゲーム空間Rに鉛直に立設した支持部材5cに回転自在に支持し、当該水平軸47を中心とする回転により景品載置台4を揺動可能に構成した場合も上記実施形態と同様の効果を達成できる。
同様に、図15(B)に示すように、ゲーム空間Rに水平に差し渡された支持部材5dに一端を固定され、景品載置台4の背面板42や側面板43などに他端を固定された紐状の吊下部材48によって景品載置台4を吊下し、当該吊下部材48の振り子運動によって景品載置台4を揺動可能に構成した場合も上記実施形態と同様の効果を達成できる。
また、上記実施形態では、専らアーム部材6と景品G又は景品載置台4との接触に起因して景品載置台4の揺動が生じる場合について説明したが、本発明の景品取得ゲーム機は、アーム部材6とは別に、景品載置台4を揺動させるための追加的な駆動手段を備えることも可能である。
図16(A)〜(C)は、上記追加的な駆動手段の具体的な構成例であり、図16(A)、(B)では、棚部材50に取り付けられたモータユニット91により、カム92又はクランク93を介して景品載置台4を揺動させる例が示されており、図16(C)では、棚部材50に取り付けられたソレノイド94により景品載置台4を揺動させる例が示されている。
上記追加的な駆動手段による景品載置台4の揺動は、例えば、ゲームの実行中や、一定時間以上ゲーム処理が開始されない場合などに行われるものとすることができ、前者の場合には、遊技者の待ち受け状態において景品を揺動させてアイキャッチによる集客効果を高めるなどの効果を達成することが可能であり、後者の場合には、ゲーム性や景品取得の難易度に変化を与えるなどの効果を達成することが可能である。
なお、図16(A)〜(C)は、駆動源であるモータユニット91やソレノイド94が棚部材50に取り付けられた例であるが、これらの駆動源は、景品載置台4を含む景品取得ゲーム機の他の部位に取り付けることも可能である。
上記実施形態における景品取得ゲーム機1や景品載置台4の外観形状や寸法、装置の個々の動作における処理内容などは単なる例として記載したものであり、これらは特許請求の範囲の記載内において任意に変更することが可能である。
1・・・景品取得ゲーム機、2・・・ゲーム機本体部、3・・・景品室、4・・・景品載置台、5・・・多段棚部、6・・・アーム部材、7・・・上下移動装置、8・・・左右移動装置、9・・・景品落下口、10・・・照明装置、11・・・操作パネル、12・・・硬貨投入口、13・・・景品払出口、14・・・スピーカ、15・・・収容扉、16・・・設定パネル、20・・・主制御基板、21・・・設定受付部、22・・・操作受付部、23・・・アーム部材制御部、24・・・照明・音響制御部、25・・・硬貨処理部、41・・・第1載置板、42・・・第2載置板、43・・・側面板、44・・・脚部、45・・・傾斜角調整機構、46・・・落下妨害部材、47・・・水平軸、48・・・吊下部材、50・・・棚部材、50f・・・フレーム枠部、50s・・・支持部材、61・・・装置本体部、62・・・アーム片、63・・・伸縮部、64・・・ツメ部、71・・・ガイドレール部材、72・・・上下駆動モータ、73・・・主動プーリー、74・・・従動プーリー、75・・・ベルト、76・・・連結点、81・・・上部ガイドレール部材、82・・・下部ガイドレール部材、83・・・左右駆動モータ、84・・・主動プーリー、85・・・従動プーリー、86・・・ベルト、87・・・走行板、88・・・連結点、G・・・景品、R・・・ゲーム空間