以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像処理装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1にかかる画像処理装置の構成について、図1を参照して説明する。図1は実施の形態1にかかる画像処理装置100の構成を示す図である。画像処理装置100は、エンジン部101とプリンタコントローラ部102を有する。
エンジン部101は、読み取りユニット110ならびに作像ユニット116を中心として、画像処理装置100の画像入出力をおこなう。読み取りユニット110は、写真や文書などの原稿画像を読み取り、R、G、B(Red、Green、Blue)に色分解した画像データ(以下、「RGBデータ」という)としてスキャナ補正部111に出力する。
スキャナ補正部111は、読み取りユニット110により読み取られた画像データに対してスキャナγ処理、フィルタ処理、変倍処理をおこない、処理後の画像データをカラー・モノクロ多値データ固定長圧縮器112に出力する。
ここで、スキャナ補正部111で画像データにおこなわれる処理の詳細について、図2を参照して説明する。図2はスキャナ補正部111の機能的構成を示す図である。スキャナ補正部111は、スキャナγ処理部201、フィルタ処理部202、変倍処理部203で構成される。読み取りユニット110より出力された画像データは、スキャナγ処理部201へ入力される。
スキャナγ処理部201は、読み取りユニット110から入力されたRGBの画像データにスキャナγ処理をおこない、フィルタ処理部202に出力する。フィルタ処理部202は、各種フィルタで構成され、スキャナγ処理部201から出力された画像データに対して、フィルタ処理をおこなう。また、フィルタ処理部202は、フィルタ処理後の画像データを変倍処理部203に出力する。変倍処理部203は、フィルタ処理部202から出力されたフィルタ処理後の画像データに変倍処理をおこない、カラー・モノクロ多値データ固定長圧縮器112に出力する。
図1の説明にもどり、カラー・モノクロ多値データ固定長圧縮器112は、スキャナ補正部111により処理されたカラー、もしくはモノクロの画像データを固定長圧縮する。たとえば、圧縮する画像データがカラーである場合、スキャナ補正部111により変倍処理された画像データはRGB各色8bitである。この画像データは、固定長の非可逆圧縮により各色2ビットの画像データに変換される。
また、固定長圧縮の方式は、非可逆であるか可逆であるかを問わないが、可逆圧縮方式の場合、ブロック圧縮後の符号長が一定にならないため画像を回転しにくく、多くの場合において外部に回転用のメモリが必要となる。汎用バス105の帯域が十分に広く、記憶するハードディスクの容量が大きければ、非圧縮の状態でデータを扱ってもよい。このようにすれば、非可逆な圧縮による画像劣化を防ぐことができる。
カラー・モノクロ多値データ固定長伸張器113は、固定長圧縮されたカラー、もしくはモノクロの画像データを伸張する。カラー・モノクロ多値データ固定長圧縮器112ならびにカラー・モノクロ多値データ固定長伸張器113は、それぞれ汎用バス105に接続されている。
プリンタ補正部114は、カラー・モノクロ多値データ固定長伸張器113が伸張した画像データに色補正、プリンタγ補正、中間調処理をおこない、GAVD115に出力する。
ここで、プリンタ補正部114で画像データにおこなわれる処理の詳細について、図3を参照して説明する。図3はプリンタ補正部114の機能的構成を示す図である。色補正処理部301は、カラー・モノクロ多値データ固定長圧縮器112で伸張された画像データに色補正処理をおこない、RGBデータからCMYKデータへと変換する。また、色補正処理部301は、色補正処理後の画像データをプリンタγ処理部302に出力する。
プリンタγ処理部302は、色補正処理部301から出力された画像データに対しプリンタγ処理をおこない、CMYK各色8bitのデータとする。また、プリンタγ処理部302は、プリンタγ処理後の画像データを中間調処理部303に出力する。中間調処理部303は、プリンタγ処理部302から出力された画像データに中間調処理をおこない、CMYK各色2bitのデータとする。また、中間調処理部303は、中間調処理後の画像データをGAVD115に出力する。
図1の説明にもどり、GAVD(ゲート・アレイ・ビデオ・ドライバ)115は、プリンタ補正部114から出力された画像データをもとに、作像ユニット116のLD(レーザーダイオード)を制御する。作像ユニット116は、LDを用いた光走査装置により画像データのイメージを形成し、転写紙上に出力する。また、エンジンコントローラ117は、CPUバス118によりスキャナ補正部111ならびにプリンタ補正部114と接続され、スキャナ補正部111ならびにプリンタ補正部114を制御している。
つぎに、プリンタコントローラ部102の構成について説明する。プリンタコントローラ部102はプリンタコントローラ120を中心として構成される。プリンタコントローラ120は、カラー可変長可逆圧縮データ伸張器121とモノクロ2値可変長可逆圧縮データ伸張器122を有している。カラー可変長可逆圧縮データ伸張器121は、可変長可逆圧縮されたカラーの画像データを伸張する。また、モノクロ2値可変長可逆圧縮データ伸張器122は、可変長可逆圧縮されたモノクロ2値の画像データを伸張する。
また、プリンタコントローラ120は、CMYK(Cyan−Magenta−Yellow−blacK)の各色ごとに独立した半導体メモリ123(123a〜d)を有し、汎用バス105、NIC(Network Interface Card)124、ハードディスク(HDD)125と接続され、それぞれに画像データの入出力をおこなっている。
また、プリンタコントローラ120は、後述するハードディスク125に記憶されている画像データに対し、後述するクライアントPC131などからキャプチャ要求があった際に、クライアントPC131が指定するキャプチャ条件に適合させるため、どのような画像処理をおこなうかを判断する。このキャプチャ条件とは、たとえば解像度、フィルタ処理の種類、γ補正の種類、中間調処理の種類、汎用圧縮方式の種類や有無などである。そして、当該判断の結果を画像処理指示情報として、後述する画像フォーマット変換ユニット127に出力する。
ハードディスク(HDD)125は、画像データならびに当該画像データに付加されたモード情報を記憶保持する。モード情報とは、画像の種類や解像度などの属性情報である。また、ハードディスク125はドキュメントボックス機能を実現する。NIC124は、ネットワーク130と接続され、クライアントPC131などとのデータの送受信を可能としている。
画像フォーマット変換ユニット127は、プリンタコントローラ120から出力される画像処理指示情報に基づいて、ハードディスク125に記憶された画像データに所定の画像処理をおこなう。所定の画像処理とは、フィルタ処理、γ補正処理、データ圧縮処理などである。
また、FAXコントローラ140は、画像処理装置100内の画像データをFAXデータに変換し、公衆回線142を介して図示しない外部のFAXなどに送信する。また、図示しない外部のFAXから受信したFAXデータを、画像処理装置100で取り扱うことのできる形式に変換する。FAXコントローラ140は、モノクロ2値可変長可逆圧縮データ伸張器141を備え、可変長可逆圧縮されたモノクロ2値の画像データを伸張する。
つぎに、画像処理装置100の動作について説明する。はじめに、画像処理装置100によりコピーをおこなう際の動作を図1を参照して説明する。まず、読み取りユニット110で原稿となる画像の読み取りをおこない、スキャナ補正部111に出力する。スキャナ補正部111は、読み取りユニット110から出力された画像データにスキャナγ補正処理、フィルタ処理、変倍処理、カラー・モノクロ多値データ固定長圧縮器112に出力する。
カラー・モノクロ多値データ固定長圧縮器112は、8bitである画像データを固定長圧縮によってnbit(n<=8)のデータに圧縮する。圧縮後の画像データは、汎用バス105を介してプリンタコントローラ120に入力される。プリンタコントローラ120は、入力された画像データを半導体メモリ123に記憶する。記憶された画像データは、随時ハードディスク125に書き込まれる。これは、プリントアウト時に用紙がつまるなどして印字が正常に終了しなかった場合でも、原稿を読み直すのを避けるためである。また、電子ソートや読み取った原稿を記憶しておき必要なときに再出力することも可能となる。
半導体メモリ123に展開された画像データは、汎用バス105を介してカラー・モノクロ多値データ固定長伸張器113に入力される。カラー・モノクロ多値データ固定長伸張器113は、入力された画像データを再び8bitの画像データに伸張し、プリンタ補正部114に出力する。プリンタ補正部114は、カラー・モノクロ多値データ固定長伸張器113から出力された画像データに色補正処理、プリンタγ補正処理、中間調処理をおこない、GAVD115に出力する。
GAVD115は、プリンタ補正部114から出力された画像データをもとに、作像ユニット116のLDを制御する信号を作像ユニット116に出力する。作像ユニット116は、GAVD115から出力されるLD制御信号によって制御されるLDを用いた光走査装置により、当該画像データのイメージを転写紙に出力する。
つぎに、外部(ここではクライアントPC131)からハードディスク125に記憶されている画像データを引き取る(キャプチャする)際の動作を図1を参照して説明する。まず、クライアントPC131からハードディスク125に記憶されている特定の画像データ(以下、指定画像データという)のキャプチャを要求するキャプチャ要求信号が送信される。キャプチャ要求信号には、指定画像データの解像度やフォーマットなどを指定するキャプチャ条件情報が含まれている。
キャプチャ要求信号は、NIC124により受け付けられ、キャプチャ条件情報がプリンタコントローラ120に通知される。プリンタコントローラ120は、ハードディスク125に記憶されている指定画像データに付加されているモード情報をもとに、当該指定画像データをキャプチャ条件に適合させるため、どのような画像処理をおこなうかを判断する。そして、当該判断結果を画像処理指示情報として画像フォーマット変換ユニット127に送信する。
画像フォーマット変換ユニット127は、プリンタコントローラ120からの画像処理指示情報にしたがって指定画像データに対して画像処理をおこない、キャプチャ条件情報に適合した画像フォーマットに変換する。変換後の画像データは、NIC124を介してクライアントPC131に送信される。
ここで、クライアントPC131においてキャプチャ要求をおこなう際の手順について図4〜7を参照して説明する。クライアントPC131において、画像処理装置100のハードディスク125(以下、ドキュメントボックスという)に記憶されている画像データをキャプチャ要求する際は、アプリケーションソフト(以下、キャプチャ要求アプリケーションソフトという)が用いられる。
図4はキャプチャ要求アプリケーションソフトの表示画面の一例を示す図である。ドキュメントボックス内に記憶されている画像データは、記憶画像データ表示レコード401(401a〜d)により表示される。図示の例では、記憶画像データの情報として、文書名(画像データのファイル名)の他にページ数、蓄積手段、ユーザ名が表示されるように設定されている。ユーザは、記憶画像データ表示レコード401を指定することによりキャプチャする画像データを指定する。また、キャプチャ要求をおこなう前に、指定した画像データが所望のものであるかを確認するために、クライアントPC131の表示画面上に当該画像データを表示することもできる。
図示の例では、キャプチャ要求する画像データとしてDATA000を指定している(図中401a)。そして、キャプチャ条件指定ボタン402を押し、キャプチャ条件指定画面に移行する。
図5はキャプチャ条件指定画面の表示画面の一例を示す図である。キャプチャ条件指定画面では、画質モード指定ボタン501(501a〜d)、解像度指定ボタン502(502a〜d)、中間調処理指定ボタン(503a,b)、出力フォーマット指定ボタン504(504a〜c)により、画質モード、解像度、中間調処理、出力フォーマットを指定することができる。
図示の例では、画質モードは写真を(図中501c)、解像度は200dpiを(図中502d)、中間調処理は多値を(図中503b)、出力フォーマットはJPEGを(図中504a)をそれぞれ指定している。そして、キャプチャ実行ボタン505を押すことにより、指定された画像データが、指定されたキャプチャ条件によりキャプチャされる。
前記のように、指定されたキャプチャ条件は、キャプチャ条件情報としてプリンタコントローラ120に送信される。プリンタコントローラ120は、ユーザに指定された画像データ(指定画像データ)を、指定されたキャプチャ条件に変換するよう画像フォーマット変換ユニット127に画像処理指示情報を出力する。図示の例によれば、画質モードは写真モードであるので、写真モード用のγ処置、写真モード用のフィルタ処理、200dpiの変倍処理、多値の中間調処理をおこない、JPEGフォーマットで出力するような画像処理指示情報を出力する。
また、クライアントPC131からハードディスク125などに記憶されている画像データを要求する際、クライアントPC131以外の送信先を指定できるようにしてもよい。図6はキャプチャ要求アプリケーションソフトの表示画面の他の一例を示す図である。
機器指定ボタン601(601a〜e)は、クライアントPC131とネットワーク130を介して接続されている機器(たとえばコピー機やファックスなど)を指定する。ユーザは機器指定ボタン601を指定し、要求する画像データが記憶されている機器を指定する。図示の例ではドキュメントボックス(画像処理装置100のハードディスク125)が指定されている(図中601b)。
機器指定ボタン601により指定されている機器に記憶されている画像データは、記憶画像データ表示レコード602(602a〜d)により表示される。図示の例では、記憶画像データの情報として、文書名(画像データのファイル名)の他にページ数、蓄積手段、ユーザ名が表示されるように設定されている。ユーザは、記憶画像データ表示レコード602を指定することによりキャプチャする画像データを指定する。また、キャプチャ要求をおこなう前に、指定した画像データが所望のものであるかを確認するために、クライアントPC131の表示画面上に当該画像データを表示することもできる。
図示の例では、DATA002を指定している(図中602c)。ユーザは、キャプチャ先指定部603にキャプチャ先の情報を入力し、画像データのキャプチャ先を指定する。図示の例では、キャプチャ先の情報としてメールアドレスが入力されている。キャプチャ先はメールアドレスの他、ネットワーク130に接続されている他のPC名などを指定してもよい。そして、キャプチャ条件指定ボタン604を押し、キャプチャ条件指定画面に移行する。
図7はキャプチャ条件指定画面の表示画面の他の一例を示す図である。キャプチャ条件指定画面では、画質モード指定ボタン701(701a〜d)、解像度指定ボタン702(702a〜d)、中間調処理指定ボタン703(703a,b)、出力フォーマット指定ボタン704(704a〜c)により、画質モード、解像度、中間調処理、出力フォーマットを指定することができる。
図示の例では、画質モードは文字を(図中701a)、解像度は400dpiを(図中702b)、中間調処理は2値を(図中703a)、出力フォーマットはTIFFを(図中704b)を指定している。そして、キャプチャ実行ボタン705を押すことにより、キャプチャ処理が実行される。
ここで、指定されたキャプチャ条件は、前述のようにプリンタコントローラ120に渡される。プリンタコントローラ120は、ユーザに指定された画像データを、指定されたキャプチャ条件に適合した画像処理指示情報を画像フォーマット変換ユニット127に出力する。図示の例によれば、画質モードは文字モードであるので、文字モード用のγ処置、文字モード用のフィルタ処理、400dpiの変倍処理、2値の中間調処理をおこない、TIFFフォーマットで出力するように指示する。
画像フォーマット変換ユニット127は、プリンタコントローラ120から出力された画像処理指示情報をもとに、指定された画像データに指定された処理をおこなう。処理後の画像データは、NIC124を介して、クライアントPC131または指定されたキャプチャ先に送信される。
つぎに、画像フォーマット変換ユニット127の処理について、図8を参照して説明する。図8は画像フォーマット変換ユニット127の構成の一例を示す図である。キャプチャ要求された指定画像データは、汎用バス105から入力ポート801を介して画像フォーマット変換ユニット127に入力される。
まず、指定画像データは伸張器802によって伸張される。このときの伸張形式は指定画像データが圧縮されている方式であり、標準化されているJPEGなどの汎用データフォーマットや、専用ブロック固定長圧縮などの専用データフォーマットなど、任意の方式である。伸張器802により伸張された指定画像データは、解像度変換部803によって解像度変換がおこなわれる。
つぎに、色補正処理部804により色補正処理、フィルタ処理部805により画像データのMTFの強弱を調整するフィルタ処理、γ変換処理部806により画像データの濃度特性を調整するγ処理、中間調処理部807により多値の画像データを2値の画像データへの量子化処理がそれぞれおこなわれる。そして、圧縮器808によって圧縮され、出力ポート809を介して汎用バス105に出力される。
なお、このときの圧縮方式は任意であるが、TIFFのような汎用画像ファイルフォーマットや、JPEGやJPEG2000のような静止画に汎用圧縮フォーマットなど、画像データのフォーマットへと変換すれば、出力画像データのハンドリング性を増すことができる。
ここで、画像フォーマット変換ユニット127を構成する各画像処理部でおこなわれる処理の詳細について説明する。まず、解像度変換部803の処理の詳細について図9〜11を参照して説明する。解像度変換処理部803は、多値の画像データに対し解像度変換をおこなう。ここでは対象画素データが多値データであり、主走査と副走査双方に任意の解像度への変換をおこなう場合を説明する。図9は解像度変換部803の構成を示す図である。解像度変換部803は、主走査方向解像度変換部901と副走査方向解像度変換部902により構成される。
主走査方向解像度変換部901は、伸張器802により伸張された多値データに対し主走査方向に解像度変換をおこない、変換後のデータを副走査方向解像度変換部902に出力する。副走査方向解像度変換部902は、主走査方向解像度変換部901から出力されたデータに対し副走査方向に解像度変換をおこない、色補正処理部804へと出力する。
主走査方向解像度変換部901の構成について、図10を参照して説明する。図10は主走査方向解像度変換部901の構成を示す図である。FF(フリップフロップ回路)1001ならびに画素補間部1002は、入力多値データに主走査方向の画素補間をおこない、指定された解像度へとデータ数を変換する。変換後のデータは、副走査方向解像度変換部902へと出力される。補間する画素データ値の算出方式としては、最近接画素置換法、隣接2画素加重平均法、3次関数コンボリューション法などが知られており、これらの方法を用いることが可能である。
つぎに、副走査方向解像度変換部902の構成について図11を参照して説明する。図11は副走査方向解像度変換部902の構成を示す図である。副走査ライン蓄積メモリ1101は、1ラインメモリ1102を複数有する。1ラインメモリ1102は、主走査方向解像度変換後の1ライン分のデータを蓄積することができる。画素補間部1103は、副走査方向の参照画素データを元に補間画素値を算出し、画素補間をおこなう。補間画素値の算出方式は、主走査方向と同様に最近接画素置換法、隣接2画素加重平均法、3次関数コンボリューション法などを用いることが可能である。
以上のような構成により解像度変換部803は、画像処理装置100に入力される多値データを主走査、副走査方向に任意の解像度(変倍率)に変換している。さらに、主走査、副走査方向に補間画素を算出する際に、周辺の多値画素データを参照して所定の算出方式で補間画素を決定でき、テクスチャーを抑えた解像度変換をおこなうことができる。
また、ハードディスク125に記憶されている画像データの解像度は、読み取りユニット110の解像度と等しいとし、この解像度をもとにユーザから要求された解像度に変換するような構成にしてもよい。たとえば、読み取りユニット110の解像度が600dpi、要求された解像度が900dpiであるとき、150%の拡大方向の解像度変換をおこなう。このような構成をとれば、読み取り後の画像処理による解像度の変換に依存することなく、当該画像データの読み取り時の解像度を基準として解像度を指定することができる。
つぎに、色補正処理部804がおこなう処理の詳細について図12〜14を参照して説明する。色補正処理部804は、多値の画像データに対し色補正処理をおこなう。色補正処理には各種の方法が知られているが、ここではテーブル補間法による実施例を示す。図12はテーブル補間法を説明するための図である。まず、図12に示すように入出力色空間上の単位立方体1200の各軸を8分割し、入力色空間を上位と下位にわける。そして、上位でLUT(Look Up Table)を参照し、下位で3次元補間処理をおこなう。このような構成により、精密な出力を得ることができる。
3次元補間処理についても各種の方法が知られているが、ここでは四面体補間法による実施例を図13,14を参照して説明する。図13,14は四面体補間法について説明するための図である。まず、入力色空間を複数の単位立方体に分割する。そして、入力色信号P(x,y,z)を内包する単位立方体1300を選択する。なお、図13中P1〜P8は、単位立方体1300の各頂点を示している。そして、選択された単位立方体1300内でのPの下位座標(x’,y’,z’)を求める。
つぎに、単位立方体1300をx=y面1301、y=z面1302、x=z面1303により分割する。これにより、単位立方体1100は6個の単位四面体に分割される。図14は、分割された単位四面体のうちPを含む単位四面体1400を示している。つぎに、入力色信号Pの上位座標(x,y,z)により選択された単位四面体の分割境界点(P1〜P8)のパラメータ(以下格子点パラメータとする)をLUTより参照する。
そして、下位座標の大小比較により単位四面体を選択し、単位四面体ごとに線形補間をおこない、座標Pでの出力値Poutを求める。各単位四面体の線形補間の式は、座標Pの下位座標(x’,y’,z’)の大小関係により下記式(1)〜(6)のいずれかで表される。なお、下記式(1)〜(6)において、Lは単位立方体の一辺の長さである。
(x’<y’<z’)Pout=P2+(P5−P7)×x’/L+(P7−P8)×y’/L+(P8−P2)×z’/L・・・(1)
(y’≦x’<z’)Pout=P2+(P6−P8)×x’/L+(P5−P6)×y’/L+(P8−P2)×z’/L・・・(2)
(y’<z’≦x’)Pout=P2+(P4−P2)×x’/L+(P5−P6)×y’/L+(P6−P4)×z’/L・・・(3)
(z’≦y’≦x’)Pout=P2+(P4−P2)×x’/L+(P3−P4)×y’/L+(P5−P3)×z’/L・・・(4)
(z’≦x’<y’)Pout=P2+(P3−P1)×x’/L+(P1−P2)×y’/L+(P5−P3)×z’/L・・・(5)
(x’<z’≦y’)Pout=P2+(P5−P7)×x’/L+(P1−P1)×y’/L+(P7−P1)×z’/L・・・(6)
つぎに、入力データが2値データの場合に多値データへ階調数を変換する処理について説明する。なお、入力データが多値データである場合には変換はおこなわない。ここでは、2値データを256値データに変換する場合を説明する。まず、処理対象となる2値の画像データに対し、1bitの注目画素の周辺(2次元マトリクス内)の画素を参照して下記式(7)に示すフィルタ係数により空間フィルタ処理をおこなう。その結果、注目画素の値が0の場合は0x00、1の場合は0xFFとして8bitへ変換し、下記式(8)に示す演算式に基づきフィルタ演算をおこない、256値データを算出する。
つぎに、フィルタ処理部805がおこなう処理の詳細について図15〜17を参照して説明する。フィルタ処理部805は、多値の画像データに対しフィルタ処理をおこなう。フィルタ処理は、画像データのMTF(Modulation Transfer Function)を変調させるものであるが、基画像データよりもMTF値を高めて画像のエッジを強調する場合と、MTF値を下げて画像を平滑化する場合の2種類がある。
図15,16はフィルタ処理前後の画像データの周波数を示すグラフである。図15は、フィルタ処理において画像データのMTF値を高める場合であり、図16は、フィルタ処理において画像データのMTF値を平滑化する場合である。図中、実線は基画像データの画像周波数、点線はフィルタ処理後の画像データの画像周波数を示している。また、縦軸は画像データのダイナミックレンジ、横軸は画像データのラスタ形式参照方向を示している。
図15に示すように、基画像データの画像周波数の隆起を強調するような処理を施すことにより、フィルタ処理後の画像データのMTF値を高める。画像データのMTF値を平滑化する場合は、図16に示すように、画像周波数の隆起が鈍るような処理を施す。
つぎに、画像周波数に対しおこなわれる処理について図17を参照して説明する。図17は画像周波数の増減処理を説明するための図である。図17に示すように、2次元の画像データのラスタ形式参照方向をライン方向(X方向)、他方向をY方向とする。そして、画像データをライン単位で扱い、注目画素の画素値を周辺の画素の画素値をもとに算出する。図17では注目画素1701の画素値をXm,nとして、周辺の5×5画素の画素値を記号化して表している。
画像データのMTFを高める場合は、強調する必要がある画像周波数の微分係数を画像データの解像度を基調としてマトリクス状に配置した係数(以下、マトリクス係数という)を算出する。そのマトリクス係数を、周辺画素記号と同形式にAm-2,n-2,Am-2,n-1,・・・,Am,n,Am+2,n+1,Am+2,n+2と記号化すると、画像データのMTFを高める場合のフィルタ処理後の注目画素値Yは、下記式(11)で表せる。
B=(Xm-2,n-2×Am-2,n-2)+(Xm-2,n-1×Am-2,n-1)+・・・+(Xm+2,n+2×Am+2,n+2)・・・(9)
D=B×C・・・(10)
Y=D+Xm,n・・・(11)
式(9)は、微分係数により求めたマトリクス係数と画像データの画素値の行列積である。この式(9)により求められたBの値が、フィルタ処理による画像の強調成分である。また、式(10)は、その強調成分を任意に増減幅する式である。式(10)により求まったフィルタ処理による強調値Dを、注目画素値Xm,nに加算することで、式(11)のように最終的な注目画素値Yを算出する。このような演算により、画像データの全画素を変換することで、画像データのMTFを高める処理をおこなう。
画像データを平滑化する場合は、注目画素の画素値とその周辺画素の画素値を加算して画素数Eで割ることにより、注目画素とその周辺画素の画素値の平均値を求める。このような演算により、画像データの全画素を変換することで、画像データの平滑化の処理をおこなう。
また、平滑化の度合いを調整するために、注目画素や周辺画素の重みを単純に等価として平均化せず、各画素間に隔たりをもたせることも可能である。その場合は、下記式(12)のようにマトリクス係数に任意の整数を代入し、注目画素値Yを調整する。
Y={(Xm-2,n-2×Am-2,n-2)+(Xm-2,n-1×Am-2,n-1)+・・・+(Xm+2,n+2×Am+2,n+2)}/E・・・(12)
以上のような処理によって、フィルタ処理部805は多値の画像データにMTFの変調をおこなっている。
つぎに、γ変換処理部806がおこなう処理の詳細について図18を参照して説明する。γ変換処理部806はフィルタ処理部805によってフィルタ処理された画像データに対してγ変換処理をおこなっている。このγ変換処理は、画像の濃度勾配や濃度特性を、所定のγテーブル(γ変換特性)にしたがって変換するものである。図18はγ変換テーブルの一例を示すグラフである。横軸は基画像データのダイナミックレンジ、縦軸はγ変換処理後のデータのダイナミックレンジである。また、実線、点線はそれぞれγ変換テーブルを示している。
図18中実線のγ変換テーブルとして用いるとすると、基画像データの値(横軸a)をγ変換テーブルにしたがい、対応するγ変換後の値(縦軸b)に変換する。また、変換テーブルの曲線を変更することにより、任意の濃度分布をもつ画像データに変更することが可能となる。たとえば、図18中実線で示すリニアなγ変換テーブルを、点線で示すγ変換テーブルに変更すれば、実線で示しているγ変換テーブルに比べγ変換後の画像データが濃度勾配が滑らかな画像データに変換することができる。
つぎに、γ変換テーブルの作成方法を、図19を参照して説明する。図19はγ変換テーブルの一例を示すグラフである。横軸は基画像データのダイナミックレンジ、縦軸はγ変換処理後のデータのダイナミックレンジである。また、実線はリニアのγ変換テーブル、点線は濃度勾配を変更したγ変換テーブル、一点鎖線は全体濃度を変更したγ変換テーブルを示す。
実線で示すリニアのγ変換テーブルは、原点から45°方向に延びる。このテーブルの濃度特性を変えずに画像の全体濃度を変更したい場合は、一点鎖線で示すようにグラフの横軸方向にγ変換テーブルを平行移動させればよい。また、画像の濃度勾配を変更したい場合は、点線で示すようにγ変換テーブルの傾きを変更すればよい。
また、濃度特性を変更したい場合は、図18に示すように連続する曲線で示せるようなγ変換テーブルの湾曲具合を変更すれば、任意の濃度特性が得られる。このようにγ変換テーブルの変更をおこなうことにより、画像データを任意の濃度勾配および濃度特性へと変換することができる。
つぎに、中間調処理部807がおこなう処理の詳細について説明する。中間調処理部807は、γ変換処理部806によってγ変換処理された画像データに対して中間調処理をおこなう。中間調処理とは、多値の画像データを2値もしくはそれに近い少値の階調数に量子化する処理であり、様々な方法が提案されているが、ここでは、一般的に用いられる、単純量子化法、ディザ法、誤差拡散法について説明する。なお、量子化階調数は、便宜上2値とする。
単純量子化法は、多値の画像データのダイナミックレンジ中の任意の値を閾値として、画像データを2階調化する方法である。たとえば、ダイナミックレンジが0〜255の256階調である多値の画像データを0と1の値に量子化する場合、閾値が128であるとすると、画像データが100であれば量子化値は0、200であれば量子化値は1となる。
つぎに、ディザ法について図20を参照して説明する。図20はディザ法による量子化を説明するための図である。図中Aのように太線で囲まれている領域が閾値マトリクスであり、閾値マトリクス1つで1閾値を表す。そして、1閾値1画素、すなわち1画素ごとに1つの閾値マトリクスを画像データに当てはめていき、各画素ごとに2階調化をおこなう。マトリクス内の閾値を、画像データのダイナミックレンジの範囲でばらつくような閾値にすれば、画像の解像度とトレードオフとなるが、2階調化された画像データでも中間濃度が再現可能となる。
つぎに、誤差拡散法について図21を参照して説明する。図21は誤差拡散法による量子化を説明するための図である。誤差拡散法は、単純量子化法と同様、任意の閾値で2階調化をおこなうものである。量子化する際に発生する量子化誤差を記憶し、処理をおこなっている注目画素2101に対しては、ラスタ形式順ですでに量子化処理が終了し誤差が確定している周辺画素(図中網掛部)の誤差を加味して量子化をおこなう。このことにより、画像データトータルでの量子化による誤差を最小限に留めようとする方法である。
量子化する際に発生する誤差とは、たとえばダイナミックレンジが0〜255の256階調である多値の画像データを0と1の値に量子化する場合、画像データが100であれば量子化値は0となる。画像データには100という中間濃度情報があったにも関わらず、最低値の0扱いとなってしまうため画像データの中間濃度情報が失われる。そのため、この画像データの量子化誤差は100=100−0(ダイナミックレンジの最低値)となる。また、画像データが200であれば量子化値は1となるが、この場合も200という中間濃度情報があったにも関わらず、1という最高値扱いになってしまうため、この画像データの量子化誤差は−55=200−255(ダイナミックレンジの最高値)となる。
これらの量子化誤差値を、量子化処理終了後、各画素ごとに画像データとは別のデータとして記憶しておく。図21に示すように、画像データはラスタ形式で順に処理されているため、網掛してある画素の量子化誤差は確定済みであり、記憶されている。注目画素2101の量子化処理にあたっては、誤差の確定している注目画素周辺の誤差値の平均を注目画素値に加算してから量子化する。このことにより、画像データ全体の量子化誤差による中間濃度情報の欠落を緩和することができる。
以上のように、画像フォーマット変換ユニット127は、ユーザから要求されたキャプチャ条件に基づいて最適な画像処理指示情報が設定され、各種画像処理がおこなわれている。指定画像データを画像フォーマット変換ユニット127によって処理した上で送信することにより、当該画像データが記憶されている形式によらず、幅広い用途で記憶画像データを利用することができる。また、画像データ処理の内容が画像データ記憶時の処理内容に依存しないので、画像処理の設計作業を軽減することができる。
たとえば、文字・線画を中心とした画像データに対しては、MTFを強調するようなフィルタ処理や、急峻な濃度勾配をもつγ変換処理をおこなうことによって文字・線画の先鋭性を向上させ、画像データ上の文字の可読性を高めることができる。また、中間濃度の多い写真・絵柄を中心とした画像データに対しては、画像データのMTFを鈍らせるようなフィルタ処理や、可能な限り濃度勾配をゆるめたγ変換処理をおこなうことによって中間濃度の再現性を高めることができる。
以上のように、実施の形態1にかかる画像処理装置100によれば、ハードディスク125に記憶された画像データをネットワーク130を介してキャプチャ要求する場合、当該画像データの記憶時の処理に関係無く、形式を変換した上で送信することができ、画像データを幅広い用途で利用できる。また、画像処理部の設計作業を軽減することができる。
(実施の形態2)
実施の形態2にかかる画像処理装置は、記憶されている画像データの書誌情報を、操作パネルからユーザが選択・変更することができる。ここで書誌情報とは、変倍、回転、集約などの編集情報や、文字モード、写真モードなどのモード情報、原稿の濃度を調整するノッチ情報などである。
実施の形態2にかかる画像処理装置2200の構成および動作について図22を参照して説明する。図22は実施の形態2にかかる画像処理装置2200の構成を示す図である。なお、実施の形態1にかかる画像処理装置100の構成と同様の箇所には図1と同じ符号を付し、説明を省略する。
画像処理装置2200には、操作パネル2210が備えられている。操作パネル2210は、画像処理装置2200の外面に備えられ、ユーザが書誌情報を指定・変更するための設定ボタンを表示する。ユーザは、操作パネル2210に表示された設定ボタンを押すことによって、画像データの編集情報や、モード情報、ノッチ情報を指定・変更することができる。
また、読み取りユニット110で原稿画像を読み取る際にも、操作パネル2210によって原稿画像の種類を設定することができる。たとえば、一般的な印刷物を原稿とする印刷原稿、写真に代表される印画紙や、すでに複写されている原稿(複写原稿)などに設定することができる。
書誌情報には、ユーザが操作パネル2210で設定する情報だけでなく、その画像データをコピーした際のコピーモードなどの情報も保存されている。たとえば、倍率設定、モード設定、濃度設定などの情報である。
ユーザにより操作パネル2210から書誌情報の選択・変更を受けた画像データは、スキャナ補正部111により当該選択・変更に適合した処理がおこなわれる。たとえば、操作パネルから編集処理を指定した場合、スキャナ補正部111では編集処理をおこない、ハードディスク125には、編集処理後の画像データが記憶される。また、ハードディスク125には、スキャナ補正部111により画像処理された画像データと共に、当該画像データに設定された書誌情報も記憶される。
ここで、書誌情報のうち編集情報である、変倍(拡大、縮小)処理、集約処理、回転処理について説明する。まず、変倍処理について図23を参照して説明する。図23は変倍(拡大、縮小)処理を説明するための図である。原稿A,B,Cは大きさの等しい原稿画像である(図中(a))。ユーザが、操作パネルから原稿Aは50%縮小、原稿Bは75%縮小、原稿Cは150%拡大と指定すると、それぞれの原稿画像データは、スキャナ補正部111によりそれぞれ指定された倍率に縮小、拡大される。
ハードディスク125には、図中(b)に示すように、それぞれ選択された倍率に縮小、拡大された原稿画像データと変倍率の書誌情報が記憶される。また、この原稿画像データをコピー出力する場合、原稿Aは50%縮小された原稿画像データが、原稿Bは75%縮小された原稿画像データが、原稿Cは150%拡大された原稿画像データがそれぞれコピー出力される(図中(c))。
一方、クライアントPC131などからキャプチャ要求があった場合、指定画像データはその変倍率の書誌情報に基づいて画像フォーマット変換ユニット127によって変倍処理がおこなわれる。
たとえば、原稿Aはスキャナ補正部111により75%縮小された画像データと、75%縮小されたという書誌情報がハードディスク125に記憶される。画像フォーマット変換ユニット127は、この情報を元に75%(3/4倍)に縮小されている画像データに対して133%(4/3倍)の拡大処理を施して100%(同倍)の画像データを得る。そして、元の原稿サイズに変倍処理された画像データがクライアントPC131などのキャプチャ先へと送信される(図中(d))。
つぎに、集約処理について、図24を参照して説明する。図24は集約処理を説明するための図である。集約とは、複数ページの原稿を1枚の用紙上に印刷することである。図中A,B,C,Dは大きさの等しい原稿画像である(図中(f))。ユーザが操作パネル2210からAとBの2枚、CとDの2枚をそれぞれ1枚の用紙に集約するよう指定する。
スキャナ補正部111には、原稿A,Bが読み込まれ、1枚の原稿に集約される。そして、ハードディスク125に集約された画像データと、画像データ2枚を集約するという書誌情報が記憶される。つづいて原稿C,Dが読み込まれ、同様の処理がおこなわれ、ハードディスク125に集約された画像データと、画像データ2枚を集約するという書誌情報が記憶される(図中(g))。
この画像データをコピー出力する場合、図中(h)のように原稿AとBが集約された画像データならびに原稿CとDが集約された画像データがコピー出力される。一方、クライアントPC131などからキャプチャ要求があった場合、指定画像データは画像フォーマット変換ユニット127によって元の原稿サイズに変倍処理される。
たとえば、図24に示した原稿A,Bのように2枚集約の場合、主走査方向に対して50%縮小が施された画像データと、2枚集約であるという書誌情報がハードディスクに記憶される。画像フォーマット変換ユニット127は、書誌情報もとに主走査方向に50%(1/2倍)縮小されている画像データに対して、主走査方向に200%(2倍)の拡大処理を施して主走査方向、副走査方向、共に100%(同倍)の画像データを得る。そして、元の原稿サイズに変倍処理された画像データがクライアントPC131などのキャプチャ先へと送信される(図中(i))。
つぎに、回転処理について図25を参照して説明する。図25は回転処理を説明するための図である。画像処理装置2200に対して短辺方向を副走査方向、長辺方向を主走査方向として原稿Aを読み取らせた場合(図中(k))、ハードディスク125には図中(l)に示すように短辺方向を副走査方向、長辺方向を主走査方向として画像データが記憶される。
この画像データをコピー出力する場合、図中(m)に示すように短辺方向を副走査方向、長辺方向を主走査方向として画像がコピー出力される。コピー出力の場合には、長辺を主走査方向として、副走査方向の長さを短くすることで、コピースピードを上げることができる。しかし、図中(m)に示すように原稿Aは横方向になり、ユーザがコピー出力を見る際にこのままでは文字が見づらい。
コピー出力の場合はユーザが自分で紙を回転させて対処することができる。一方、クライアントPC131などからキャプチャ要求により画像データを送信した場合、ユーザはアプリケーションなどを用いて、配信された画像データに回転処理をおこなわなければならない。
そこで、クライアントPC131などに画像を配信する場合には、画像データを図中(n)に示すような方向に回転してからユーザに配信するために、配信前に回転処理をおこなう。ユーザは、操作パネル2210から配信時に回転処理をおこなうよう指定することにより、画像データとともに指定された回転処理に関する書誌情報が記憶される。
クライアントPC131などからキャプチャ要求があった場合、指定画像データは画像フォーマット変換ユニット127によって右90°に回転処理される。そして、回転処理された画像データがクライアントPC131などへのキャプチャ先に送信される(図中(n))。
以上のように、実施に形態2にかかる画像処理装置2200によれば、画像データ本体とともに操作パネル2210から設定した書誌情報を記憶することによって、書誌情報を考慮した画像処理をおこなうことができる。クライアントPC131などのキャプチャ要求に対し、当該処理後の画像データを送信することによって、ハードディスク125に記憶された画像データを幅広い用途で利用できる。
(実施の形態3)
実施の形態3にかかる画像処理装置2600は、ユーザからのキャプチャ要求があった際に、要求された画像データの元原稿の種類により、最適な処理をおこなった上でキャプチャ先へ送信する。
実施の形態2で説明したように、画像処理装置内に保存されている画像データには、画像データ本体とともに書誌情報が記憶されている。この書誌情報には、たとえばコピーをおこなった際の設定(倍率設定、画質設定、濃度設定など)なども含まれる。これらの設定は、コピーするユーザが操作パネルから設定する。また、操作パネルから設定される情報には、コピーする原稿の種類を示す項目も含まれている。たとえば、一般的な印刷物を原稿とする印刷原稿、写真に代表される印画紙や、再コピー原稿の場合の複写原稿などである。
実施の形態3にかかる画像処理装置2600は、書誌情報のうち、原稿画像の種類を用いて最適な処理をおこなうことにより画像品質の向上を図る。特に、原稿画像が一般的な印刷物である場合や、複写原稿を再コピーする場合に画像品質を向上させることができる。
実施の形態3にかかる画像処理装置2600の動作について図26を参照して説明する。図26は実施の形態3にかかる画像処理装置2600の構成を示す図である。なお、実施の形態1にかかる画像処理装置100と同様の構成の箇所には同じ符号を付し、説明を省略する。
まず、画像処理装置2600においてコピー処理をおこなう際の動作について説明する。まず、読み取りユニット110において原稿画像の読み取りをおこなう。その後、その読み取られた画像データにスキャナ補正部111にてスキャナ補正処理をおこなう。スキャナ補正部111での画像処理後のデータは、カラー・モノクロ多値データ固定長圧縮器112によって圧縮され、汎用バス105を経由して、プリンタコントローラ120の制御によってハードディスク125に保存される。
その後、作像ユニット116が出力可能となったときに、ハードディスク125に保存されている画像データを、カラー・モノクロ多値データ固定長伸張器113によって復元する。復元された画像データにプリンタ補正部114にてプリンタ補正処理をおこなった後、作像ユニットにおいて紙などに転写する。
ここで、ハードディスク125に保存されている画像データは、コピー処理の後も保存するか、消去するか自由に設定できる。また、保存されている画像データと一緒に、コピー時のモードなどの情報も保存されている。たとえば、倍率、画質モード、濃度設定などの情報である。これらの情報は、前記のコピー処理をおこなう前に、コピーをとるユーザが画像処理装置2600の操作パネル2210などによって設定することもできる。
これら操作パネル2210によって設定される情報には、その原稿が何であるかを示す項目も含まれている。たとえば、一般的な印刷物を原稿とする印刷原稿や写真に代表される印画紙原稿、複写機やプリンタなどから出力された原稿である複写原稿などである。ユーザは、操作パネル2210から原稿画像に適した設定をおこなう。
つぎに、クライアントPC131からのキャプチャ要求に対し指定画像データをネットワーク130を介してキャプチャ先に送信する際の動作を説明する。まず、指定画像データが2値データである場合について図27,28を参照して説明する。クライアントPC131からのキャプチャ要求信号はNIC124に受け付けられ、キャプチャ条件情報がプリンタコントローラ120に送信される。また、指定画像データは、ハードディスク125から汎用バス105を介して画像フォーマット変換ユニット2601に入力される。
図27は画像フォーマット変換ユニット2601の構成を示す図である。ハードディスク125に記憶されている画像データは圧縮された状態で記憶されているので、ブロック固定長伸張器2701で伸張される。その後、データ形式変換部2702によってキャプチャ条件に適合した画像フォーマットに変換をおこなう。また、JPEG形式で送信したい場合は、JPEG圧縮部2703によってJPEG形式に変換をおこなう。そして、NIC124、ネットワーク130を介してクライアントPC131などのキャプチャ先に送信される。
図28はデータ形式変換部2702の構成例を示す図である。空間フィルタ処理部2801は、ブロック固定長伸張部2701(図27参照)によって伸張された画像データに対して空間フィルタ処理をおこなう。空間フィルタ処理には、画像データをなだらかにする平滑化処理、画像のエッジなど画像周波数に応じた処理をおこなうエッジ強調処理などがある。
平滑化処理は、画像データにおけるモアレの抑制をおこなう。また、エッジ強調では読み取りユニット110での読み取り時における周波数特性の劣化を補正するため、エッジの強調をおこなう。
空間フィルタ処理をおこなった後、γ補正処理部2802において、画像データの濃度γを調整するγ補正処理をおこなう。γ補正処理は、画像データのγ濃度を画像の種類に合わせて調節する。たとえば、文字であれば高濃度側に傾いたγ特性にするよう処理をおこなう。
γ補正処理をおこなった後、中間調処理部2803において、出力する画像フォーマットに合わせた中間調処理をおこなう。たとえば、FAXデータのようなTIFF形式に変換する場合は、2値化処理や誤差拡散処理をおこなう。
データ形式変換部2702におけるそれぞれの処理部の処理パラメータは、クライアントPC131から設定された画像モードによって定まる。設定された画像モードとは、たとえばキャプチャ先では通常の画像データとして受け取りたい場合や、OCR認識を目的とする場合、単純にバックアップとして保管する場合などがある。また、画像フォーマット形式もJPEGやTIFF、2値TIFF、BMPなど、様々な形式があり、これらの設定に応じて、データ形式変換部2702の各画像補正のパラメータは設定される。
つぎに、指定画像データがカラー画像である場合のデータ形式変換部2702の処理を図29を参照して説明する。図29はデータ形式変換部2702の他の構成例を示す図である。まず、ハードディスク125に記憶されている画像データをブロック固定長伸張部2701(図27参照)で伸張した画像データがデータ形式変換部2702に入力される。
データ形式変換部2702は、色空間変換部2901、解像度変換部2902、空間フィルタ処理部2903、γ補正処理部2904、中間調処理部2905から構成される。色空間変換部2901は、画像データの色空間を画像処理装置2600内部の色空間からキャプチャ条件に適合した色空間に変換する。たとえば、画像処理装置2600に記憶されていた画像データの色空間がCMYKであり、配信時の設定がTIFFフォーマットであった場合は、CMYK空間からRGB空間に変換する。また、画像処理装置2600内部の色空間とキャプチャ条件に適合した色空間が同じである場合でも、キャプチャ先に配信された際に最適な色補正おこなう。
解像度変換部2902は、色空間変換部2901による色空間変換処理後の画像データに解像度変換処理をおこなう。たとえば、600dpiの解像度で保存されている画像データを、200dpiの解像度でキャプチャ要求した場合、保存されている画像データを1/3に解像度変換する。
空間フィルタ処理部2903は、空間フィルタ処理をおこない、画像におけるモアレの発生抑制や強調処理などをおこなう。γ補正処理部2904は、画像データの濃度γを調整する。中間調処理部2905は、キャプチャ条件に適合したデータフォーマットに合った階調処理をおこなう。
先に述べたように、ハードディスク125に記録されている画像データには、画像データ本体とともに元原稿の種類などの書誌情報が記憶されている。データ形式変換部2702は、この元原稿の種類の情報をもとにそれぞれの画像補正処理のパラメータを切り替える。このパラメータは、元原稿の種類に応じたものがあらかじめ用意されている。
たとえば、クライアントPC131から特定の画像データをJPEG画像として送信するよう送信要求がなされると、プリンタコントローラ120は当該画像データの書誌情報をもとにその画像データの元原稿の種類を特定する。元原稿が一般的な印刷原稿であるときは、印刷原稿用にあらかじめ用意されたパラメータをデータ形式変換部2702に送信し、その印刷原稿用のパラメータによって空間フィルタ処理やγ処理などをおこなう。また、元原稿が複写原稿の場合は、複写原稿用に用意されたパラメータに応じて画像データを補正する。
このように、実施の形態3にかかる画像処理装置2600によれば、クライアントPC131等からの要求により画像データを送信する際に、送信する画像データの元原稿の種類によって画像補正処理のパラメータ特性を変更することにより、受信側にとって最適な状態で画像データ送信することができる。また、オリジナルとなる原稿は同じであるが、複写原稿を元にした画像データとオリジナルを元にした画像データとで画像補正のパラメータを変更することにより、受信側で受信した画像に差異なくすことができる。
(実施の形態4)
実施の形態4にかかる画像処理装置は、当該画像データに関する書誌情報に加え配信先のユーザ情報を保有し、画像データを他の機器に送信するにあたって、これらを組み合わせて適切な処理をおこなった上で配信する。
近年、画像データの送受信は、Eメールを利用しておこなわれることも日常化している。ブロードバンド化により、従来よりも大きな画像を送ることが可能になりつつあるが、これらの画像データを送信する際、送信先のネットワークの環境によって送るデータのサイズを注意しなくてはならない。たとえば、受け取るメールサーバーの容量が少ないのに大きな画像データを送ってしまった場合、システムがダウンする恐れがある。
まず、実施の形態4にかかる画像処理装置3000のネットワーク環境について図30を参照して説明する。図30は実施に形態4にかかる画像処理装置3000のネットワーク構成を示す図である。画像処理装置3000には、複数のクライアントPC3010(3010a〜d)がネットワーク130を介して接続されている。また、ネットワーク130は、さらに他のネットワークとも相互に接続されている。
ここでは説明の便宜上、画像処理装置3000は1台しか示されていないが、複数台を接続することも可能である。また、配信先には公衆回線を利用したファックスを加えてもよい。
つぎに、画像処理装置3000の構成を図31を参照して説明する。図31は画像処理装置3000の構成を示す図である。なお、実施の形態1にかかる画像処理装置100と同様の構成の箇所には同じ符号を付し、説明を省略する。
画像処理装置3000のプリンタコントローラ3011には、キャプチャ先ユーザ情報が記憶されている。キャプチャ先ユーザ情報とは、キャプチャ先ごとに設定されたキャプチャ実行時の解像度、画像フォーマット、圧縮方式(圧縮率)などの情報である。画像データのキャプチャ時には、指定画像データの書誌情報と、キャプチャ先ユーザ情報を照らし合わせて、適当な処理をおこなったのちに送信する。
このキャプチャ先ユーザ情報は、ユーザが直接画像処理装置3000に設定を入力してもよいし、クライアントPC3010をはじめとする外部機器からネットワーク130を介して設定してもよい。さらに、外部にキャプチャ先ユーザ情報を管理するサーバーを設置し、当該サーバーと通信することによってキャプチャ先ユーザ情報をダウンロード・アップロードする構成にすることも可能である。外部にサーバーを設置する場合には、定期的にデータの同期をとり更新をおこなう必要がある。そのタイミングは、電源投入時や一定時間経過後、ユーザの指示などが想定される。
また、キャプチャ先ユーザ情報はプリンタコントローラ3011内の不揮発性のRAM内に収められているが、ハードディスク125にコピーして使用してもよい。これにより、データの二重化をおこなうことができ、不慮の事故でのデータ消失を防ぐことができる。
つぎに、特定のキャプチャ先に画像データを送信する際の動作を説明する。なお、以下は単一のキャプチャ先に送信する場合の動作であるが、複数のクライアントに一括送信する場合は、単一のキャプチャ先への送信動作を繰り返せばよい。
まず、クライアント(ここではクライアントPC3010a)から特定の画像データ(指定画像データ)の取得要求がある。ハードディスク125には、画像データ本体とともに当該画像の書誌情報(モード情報、編集情報など)が記憶されている。画像データは、実施の形態1において説明したように2bitのRGB圧縮画像データである。
指定画像データは、ハードディスク125からプリンタコントローラ3011に出力され、半導体メモリ123に展開される。つづいて、汎用バス105を通って画像フォーマット変換ユニット3012に出力される。
図32は画像フォーマット変換ユニット3012の構成例を示す図である。画像フォーマット変換ユニット3012は、圧縮伸張部3201、解像度変換部3202、γ変換処理部3203、色変換処理部3204、中間調処理部3205、汎用画像フォーマット変換部3206から構成される。
画像フォーマット変換ユニット3012に入力された画像データは、まず圧縮伸張部3201により8bitのRGB画像データに伸張され、解像度変換部3202に出力される。解像度変換部3202では、伸張された8bitRGB画像データに、キャプチャ先ユーザ情報に適合した解像度への解像度変換をおこなう。この解像度変換にあたっては、画像データに付随する書誌情報とプリンタコントローラ3011に記憶されたキャプチャ先ユーザ情報により、最適な解像度変換手段が用いられる。
解像度変換部3202は、アルゴリズムの異なる解像度変換器を複数有し、前記最適な解像度変換手段を選択することを可能としている。解像度変換器には、簡単で高速なものではダウンサンプリング法(単純間引き処理)による方法やニアレストネイバー法によるもの、さらに、画質を重視した4点補間法や8点補間法、16点補間法、投影法などを用いたものがある。また、パターンマッチングによるジャギーのスムージングをおこなう機能を有するものもある。
たとえば、キャプチャ先ユーザ情報が解像度150dpi、汎用画像フォーマットJPEG、圧縮率50%と設定され、指定画像データの書誌情報が解像度600dpi、画質モードがフルカラー文字モードである場合の処理を説明する。この場合は、もともと文字品質を重視して記憶された画像データであるため、文字部を重視した解像度変換が望まれる。また、キャプチャ時の解像度が150dpiとそれほど大きくないため、より高度なアルゴリズムによる変換をおこなっても、変換にかかる時間はあまり問題とならない。したがって、アルゴリズム的には複雑な16点補間法による600dpiから150dpiへの解像度変換に加えて、スムージングを併用することにより、送信画像における文字部の再現性をよくすることができる。
つぎに、キャプチャ先ユーザ情報が解像度600dpi、汎用画像フォーマットTIFF、圧縮なしと設定され、指定画像の書誌情報が解像度1200dpi、画質モードがフルカラー写真モードである場合の処理を説明する。この場合は、写真品質を重視して記憶されていると考えられるため、写真部の画質を重視した解像度変換が望まれる。ただし、高解像度の設定になっているため、あまり複雑なアルゴリズムを用いると、機器の処理が重くなってしまう。したがって、高速に動作できるニアレストネイバー法を用いることにより、機器における処理負荷を重くせずにスムーズに配信することが可能となる。
解像度変換部3202による解像度変換がおこなわれた画像データは、γ変換処理部3203によってγ変換処理がおこなわれる。つづいて、色変換処理部3204によって機器独自のRGB系から出力用の汎用RGB系へ色変換処理がおこなわれる。この色変換処理は、ユーザの指定により、sRGBやYUVといった任意の汎用RGB系色空間に対応することができる。
色変換処理部3204により色変換処理がおこなわれた画像データは、中間調処理部3205に出力され、中間調処理がおこなわれるが、フルカラーの配信の場合には、色の再現性を重視するために処理はおこなわれない。つづいて、汎用画像フォーマット変換部3206により、JPEGやTIFF、BMP形式への汎用画像フォーマット変換(フォーマットによっては圧縮も含む)がおこなわれる。
このような処理を経た指定画像データは、画像フォーマット変換ユニット3012から出力され、NIC124、ネットワーク130を介してクライアントPC3010aに送信される。
以上は指定画像データがカラーRGBデータである場合であるが、指定画像データがモノクロ単色(Gデータ)の場合には、上記の手順において色変換処理はおこなわれない。この場合、中間調処理部3205において二値の中間調処理がおこなわれた後、汎用画像フォーマットであるTIFFに変換され、送信される。
また、指定画像データがモノクロ単色の場合、あえてカラーのグレースケールとしてキャプチャする場合がある。たとえば、ユーザが全ての画像を同じ汎用画像フォーマットで受け取りたい、というようなケースである。この場合には、モノクロ画像データからフルカラーのRGBデータへと色変換処理部3204で変換をおこない、中間調処理部3205においては、指定画像データがカラーの場合と同様に処理をおこなわない。
同様に、指定画像データがカラーの場合に、モノクロでキャプチャする場合がある。この場合には、色変換処理部3204でRGBからグレースケールに変換し、中間調処理部3205で二値の中間調処理をおこない、モノクロ画像と同じように処理すればよい。
以上、ハードディスク125に記憶されている画像データは、実施の形態1にかかる画像処理装置100と同様、RGBデータである場合を説明した。一方、画像データをCMYKデータで記憶することも可能である。この場合の構成および動作について、図31,33,34を参照して説明する。
まず、読み取りユニット110に原稿画像をセットし、画像の読み取りをおこなう。読み取られた画像は、R・G・Bに色分解された各色8bitの画像データとしてスキャナ補正部に出力される。なお、各色のビット数はこれに限られるものではない。
図33はスキャナ補正部3015の機能的構成を示す図である。スキャナ補正部3015は、スキャナγ処理部3301、フィルタ処理部3302、色補正処理部3303、変倍処理部3304を備える。また、図34はプリンタ補正部3016の機能的構成を示す図である。プリンタ補正部3016は、プリンタγ処理部3401、中間調処理部3402を備える。
各部の機能は実施の形態1と同様であるが、色補正処理部3303がプリンタ補正部3016ではなく、スキャナ補正部3015に設けられている点が異なる。スキャナ補正部3015に入力された画像データは、スキャナγ処理部3301によるスキャナγ処理、フィルタ処理部3302によってフィルタ処理がおこなわれた後、色補正処理部3303に出力される。このとき、画像データは8bitRGB色信号である。色補正処理部3303は当該画像データに色補正処理をおこない、8bitCMYK色信号へと変換する。読み取りモードがモノクロである場合には、Kデータのみが有用なデータとなる。
色補正処理部3303でCMYK色信号に変換された画像データは、変倍処理部3304で変倍処理がおこなわれた後、カラー・モノクロ多値データ固定長圧縮器112で各色2bitの画像データに変換される。カラー・モノクロ多値データ固定長圧縮器112の出力は、汎用バス105を介してプリンタコントローラ3011に出力される。読み取りモードがモノクロである場合には、前記のようにKデータのみ有用なので、CMYデータを削除し、Kデータのみを転送するようにしてもよい。その場合記憶時のデータサイズを1/4にすることが可能となる。
なお、ここでは画像データに対し、非可逆圧縮をおこなうとしたが、汎用バス105の帯域が十分に広く、記憶するハードディスク125の容量が大きければ非圧縮の状態でデータを扱ってもよい。この方法によれば、非可逆な圧縮による画像劣化を防ぐことができる。また、可逆圧縮をおこなってもよいが、その場合にはブロック圧縮後の符号長が一定にならないため、画像を回転しにくく、多くの場合において外部に回転用のメモリが必要となる。
プリンタコントローラ3011に出力された画像データは、解像度や画質モードなどの書誌情報とともにハードディスク125に記憶される。記憶される画像データは2bitのCMYK画像データである。
記憶された画像データを出力する場合は、画像データをプリンタコントローラ3011の半導体メモリ123に展開し、汎用バス105を介してエンジン部101に出力する。エンジン部101のカラー・モノクロ多値データ固定長伸張器113により、再び8bitのCMYK画像データへと変換される。変換後の画像データは図34に示したプリンタ補正部3016に出力され、プリンタγ処理部3401によってCMYKの各色に対してプリンタγ処理がおこなわれる。プリンタγ処理後の画像データは、中間調処理部3402によって中間調処理がおこなわれたのち、GAVD115、作像ユニット116によって転写紙に出力される。
つぎに、クライアントPC3010からのキャプチャ要求に対し、ハードディスク125に記憶された画像データを送信する際の動作について図31,35を参照して説明する。ハードディスク125には、2bitのCMYK圧縮画像データと当該画像データの書誌情報が記憶されている。クライアントPC3010から取得要求があった画像データ(以下、指定画像データという)は、圧縮されたままプリンタコントローラ3011の半導体メモリ123に展開され、汎用バス105を介して画像フォーマット変換ユニット3012に出力される。
図35は画像フォーマット変換ユニットの構成例を示す図である。この構成例の画像フォーマット変換ユニット3012は、圧縮伸張部3501、解像度変換部3502、γ変換処理部3503、色変換処理部3504、中間調処理部3505、汎用画像フォーマット変換部3506から構成される。
画像フォーマット変換ユニット3012に入力された画像データは、圧縮伸張器3501により再び8bitのCMYK画像データに変換されたのち、解像度変換部3502において、キャプチャ先ユーザ情報に適合した解像度に解像度変換される。この解像度変換は、画像データの書誌情報とキャプチャ先ユーザ情報から選択された最適な解像度変換手段が用いられる。
解像度変換部3502によって解像度変換された画像データは、γ変換処理部3503によってγ変換処理がおこなわれ、色変換処理部3504によって機器独自のCMYK系から出力用の汎用RGB系へと色変換処理がおこなわれる。この色変換処理は、ユーザの指定により、sRGBやYUVといった任意の汎用RGB系色空間に対応することができる。
色変換処理部3504によって色変換処理がおこなわれた画像データは、中間調処理部3505に出力され、中間調処理がおこなわれるが、フルカラーの配信の場合には、色の再現性を重視するために処理はおこなわれない。つづいて、汎用画像フォーマット変換部3506によってJPEGやTIFF、BMP形式への汎用画像フォーマット変換(フォーマットによっては圧縮も含む)がおこなわれる。
このような処理を経た指定画像データは、画像フォーマット変換ユニット3012から出力され、NIC124、ネットワーク130を介してクライアントPC3010に送信される。
以上は指定画像データがカラーの場合であるが、モノクロ単色の指定画像データを白黒配信する場合には色変換処理はおこなわれない。この場合、中間調処理部3505において二値の中間調処理がおこなわれた後、汎用画像フォーマット変換部3506によって汎用画像フォーマットであるTIFFに変換された後、クライアントPC3010へ送信される。
また、指定画像データがモノクロ単色場合、あえてカラーのグレースケールとしてキャプチャする場合が想定される。たとえば、ユーザが全ての画像を同じ汎用画像フォーマットで受け取りたい、というようなケースである。この場合には、モノクロ画像データからフルカラーのRGBデータへと色変換処理部3504で変換をおこない、中間調処理部3505では指定画像データがカラーの場合と同様、処理をおこなわない。
同様に、指定画像データがカラーの場合に、モノクロでキャプチャする場合も想定される。この場合には、色変換処理部3504でCMYKからグレースケールに変換し、中間調処理部3505で二値の中間調処理をおこない、モノクロ画像と同じように処理すればよい。
以上のように、画像データをCMYKデータでハードディスク125に記憶する構成も可能である。
つぎに、画像処理装置3000によって記憶されている画像データを複数のキャプチャ先に一括送信する際の動作について、図36のフローチャートを参照して説明する。図36は複数のキャプチャ先に画像データを一括配信する際の動作を示すフローチャートである。
まず、ユーザがキャプチャを希望する画像データ(キャプチャ希望画像データ)が画像処理装置内にすでに蓄積されているのか確認する(ステップS3601)。キャプチャ希望画像データがすでに蓄積されている場合(ステップS3601:Yes)、ユーザに蓄積画像データの中からキャプチャ希望画像データを指定させる(ステップS3602)。また、まだデータを蓄積していない場合(ステップS3601:No)、キャプチャ希望画像の読み取りをおこない(ステップS3603)、画像データとして蓄積する。
キャプチャ希望画像データが画像処理装置内に蓄積されていることを確認すると、当該キャプチャ希望画像データの書誌情報を認識する(ステップS3604)。たとえば、フルカラー・文字モード・600dpiのデータである。
つぎに、ユーザにキャプチャ希望画像データのキャプチャ先を指定させる(ステップS3605)。キャプチャ先は、単一であっても、複数を指定してもよい。キャプチャ先が指定されると、指定されたキャプチャ先のキャプチャ先ユーザ情報を認識する(ステップS3606)。キャプチャ先が複数指定された場合は、全てのキャプチャ先のキャプチャ先ユーザ情報を認識する。
認識されたキャプチャ先ユーザ情報は、先にステップS3606で認識されたキャプチャ希望画像データの書誌情報と照合される。そして、この照合結果をもとにキャプチャ先ごとに適合した解像度変換方法を選択し、リスト化する(ステップS3607)。つづいて、リスト化された解像度変換方法から、同じ解像度変換方法を用いるキャプチャ先をグループ化する(ステップS3608)。これにより、同じ解像度変換方法を用いるキャプチャ先に対しては、アドレスのみを併記してまとめて送信することができる。
つぎに、グループ化されたキャプチャ先の中から、解像度が最も低いキャプチャ先を選択する(ステップS3609)。解像度の大きいキャプチャ先に対して最初に送信することになると、送信処理に時間がかかり、他のキャプチャ先が画像データを受け取るまでに時間がかかってしまう。これを防ぐため、解像度の低い順に画像の送信をおこなう。
つづいて、選択された各キャプチャ先ごとに適合した解像度変換および各種画像処理を実行し(ステップ3610)、送信用として汎用画像フォーマット化した後(ステップS3611)、各キャプチャ先へとデータを送信する(ステップS3612)。
そして、全てのキャプチャ先に対して送信をおこなったかを確認する(ステップS3613)。まだ送信すべきキャプチャ先が残っていた場合(ステップS3613:No)、送信済みのキャプチャ先をリストから削除し(ステップS3614)、ステップS3609にもどり再度送信処理をおこなう。以下、この手順を送信すべきキャプチャ先がなくなるまで繰り返す。
以上のように、実施の形態4にかかる画像処理装置3000によれば、キャプチャ先ごとに送信時の条件を設定することができ、複数のキャプチャに対して一括して画像データを送信する場合でも、キャプチャ先ごとに最適な画質の画像データを送信することができる。
以上説明したように、本発明にかかる画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムによれば、ネットワーク上に接続されている他の機器に画像データを送信する際に、送信する画像データの特性や送信先の環境に合わせた画像処理をおこなうことができる。