現在、例えば図11乃至図13に示すシフトレバー装置100が開発されつつある。このシフトレバー装置100は、シフトレバー102を備えており、シフトレバー102は旋回されることでシフト位置(例えば「P」シフト位置、「R」シフト位置、「N」シフト位置及び「D」シフト位置等)が変更される。シフトレバー102は車両の自動変速機(図示省略)に接続されており、シフトレバー102のシフト位置が変更されることで、自動変速機がシフトされる。
また、シフトレバー装置100は、車両の床面に設けられる所謂フロア式のものであると共に所謂ゲート式のものであり、例えばシフトレバー102のシフト位置を「P」シフト位置から「R」シフト位置へ変更する際には、先ずシフトレバー102を車両左方へ旋回させて「P」セレクト位置に位置させた後、シフトレバー102を車両後方及び車両右方へこの順で旋回させる必要がある。
シフトレバー102の基端側にはレバー104が一体に設けられており、レバー104はシフトレバー102から車両前方へ突出している。
さらに、シフトレバー装置100は、シフトロックソレノイド106を備えている。
シフトロックソレノイド106は、ストッパ108を備えている。ストッパ108は上下方向へ移動可能とされると共に上方へ付勢されており、これにより、ストッパ108はロック位置(上側の位置)に配置されている。ストッパ108は垂直に配置された垂直壁110を有しており、垂直壁110の車両後側側面の上部は傾斜されている。ストッパ108は水平に配置された水平壁(図示省略)を有すると共に、水平壁には板状のヨーク(図示省略)が設けられており、ヨークの下面は開放されている。
シフトロックソレノイド106は、スライダ112を備えており、スライダ112は、上下方向へ移動可能とされると共に上方へ付勢されている。スライダ112は垂直に配置されたスライド壁114を有しており、スライド壁114の上面は傾斜されている。
スライド壁114の下部には、上面が開口した直方体箱状の収容箱116が一体に設けられており、収容箱116はヨークの下方に配置されている。収容箱116内にはマグネット118(ソレノイド)が収容されており、マグネット118はスライダ112と常に一体に移動する。さらに、マグネット118には、電力を受給するためのコード120が接続されており、コード120は、図示しないECU(電子制御装置)を介して、操作されることで車両を制動するブレーキ(図示省略)に接続されている。また、マグネット118は、シフトレバー102が「P」シフト位置から「P」セレクト位置へ旋回される際にブレーキが操作されると、磁力を発生してヨークに付着可能とされている。
ここで、シフトレバー102が「P」シフト位置から「P」セレクト位置へ旋回される際には、レバー104がスライド壁114の上面(傾斜面)に当接してスライド壁114を下方へ押し下げ、これにより、スライダ112及びマグネット118が下方へ移動される。
さらに、この際にブレーキが操作されないと、マグネット118が磁力を発生せずにヨークがマグネット118に付着しない。このため、ストッパ108が下方へ移動せずにロック位置に配置される。これにより、レバー104の移動がストッパ108の垂直壁110に阻止され、シフトレバー102の「P」シフト位置から「R」シフト位置への変更が阻止される。
一方、この際にブレーキが操作されると、マグネット118が磁力を発生してこの磁力によってヨークがマグネット118に付着する。このため、ストッパ108が下方へ移動して解除位置(下側の位置)に配置される。これにより、レバー104の移動がストッパ108の垂直壁110に阻止されず、シフトレバー102の「P」シフト位置から「R」シフト位置への変更が許可される。
また、シフトレバー102が「R」シフト位置から「P」セレクト位置(車両前方)へ旋回される際には、移動するレバー104が垂直壁110の側面上部(傾斜面)を押圧することでストッパ108が下方へ移動されて解除位置に配置されると共に、ストッパ108と共に移動するヨークがマグネット118を押圧してスライダ112が下方へ移動される。これにより、シフトレバー102が「P」セレクト位置及び「P」シフト位置へ旋回される際のレバー104の移動がストッパ108の垂直壁110及びスライダ112のスライド壁114に阻止されず、シフトレバー102を「R」シフト位置から「P」シフト位置へ変更できる構成である。
しかしながら、このようなフロア式のシフトレバー装置100におけるシフトロックソレノイド106を、車両のインストルメントパネルに設けられる所謂インパネ式のシフトレバー装置100に適用しようとしても、ECUの配置位置の相違により、収容箱116内のマグネット118からのコード120の取り出し方向が異なっている。具体的には、フロア式シフトレバー装置100では、図11(A)に示す如く収容箱116の車両右側側壁に設けられた貫通孔122からコード120を取り出す必要があり、インパネ式シフトレバー装置100では、図11(B)に示す如く収容箱116の底壁に設けられた貫通孔124からコード120を取り出す必要がある。
このため、フロア式シフトレバー装置100の収容箱116における貫通孔122の設置位置は、インパネ式シフトレバー装置100の収容箱116における貫通孔124の設置位置と異なって、両収容箱116は同一の部品でなく、フロア式シフトレバー装置100の収容箱116(スライダ112)をインパネ式シフトレバー装置100の収容箱116(スライダ112)と共用できないという問題があった。
さらに、スライド壁114の上面は傾斜されているため、スライド壁114の上端は鋭利な形状とされている。このため、シフトレバー102が「P」セレクト位置から「P」シフト位置(車両右方)へ旋回される際には、図12(A)に示す如くレバー104が垂直壁110上面をスライド壁114上端へ向けて移動した後、図12(B)に示す如くレバー104がスライド壁114上端に引っ掛かってスライド壁114が車両右方へ一旦倒され、これにより、図12(C)に示す如くレバー104がスライド壁114上端から離間する際にスライド壁114(スライダ112)が垂直壁110(ストッパ108)に衝突して当たり音が発生するという問題もあった。
また、シフトレバー102の「P」シフト位置から「R」シフト位置への変更が阻止される際(ロック位置に配置されたストッパ108の垂直壁110がレバー104の移動を阻止する際)には、シフトレバー102は車両前方へ傾斜されている。さらに、この際にシフトレバー102に車両左方への旋回力を付与してレバー104を垂直壁110に押し付けた状態とすると、図13に示す如くレバー104が垂直壁110によって撓まされて傾斜されている。
このため、レバー104の垂直壁110への押し付け力W(セレクト荷重)の下方への分力Fが生じ、この状態でシフトレバー102を車両前方へ旋回させると、垂直壁110に下方への分力Fのみならずレバー104から下方への摩擦力が付与されて垂直壁110が下方へ移動される一方、この状態でシフトレバー102を車両後方へ旋回させると、垂直壁110にレバー104から上方への摩擦力が付与されてこの摩擦力が垂直壁110への下方への分力Fと釣り合うことで垂直壁110が上方へ移動しない。
これにより、この状態でシフトレバー102を車両前方及び車両後方へ所定回往復旋回させると、レバー104によって垂直壁110が徐々に下方(解除位置側)へ移動されて、垂直壁110がレバー104の下方に潜り込み、このため、シフトレバー102の「P」シフト位置から「P」セレクト位置への変更が阻止されずに、シフトレバー102の「P」シフト位置から「R」シフト位置への変更が許可されてしまう(所謂ロック抜けが生じる)おそれがある。
なお、上記の技術は、本願の原出願の出願前に公知になっておらず、本願発明に関連する先行技術文献には、例えば特許文献1がある。
特開平8−216722号公報
[第1の実施の形態]
図2には、本発明の第1の実施の形態に係るシフトレバー装置10の主要部が断面図にて示されており、図5には、シフトレバー装置10の主要部が分解斜視図にて示されている。
本実施の形態に係るシフトレバー装置10は、フロア式のものとされて車両の床面に設けられると共に、ゲート式のものとされている。
シフトレバー装置10は、シフトレバー12を備えており、シフトレバー12は、車両前後方向及び車両左右方向へ旋回可能とされている。また、シフトレバー12は車両の自動変速機(図示省略)に接続されている。
シフトレバー12の基端側には断面略平行四辺形状のレバー14が一体に設けられており、レバー14はシフトレバー12から車両前方へ突出している。
図6に示す如く、シフトレバー装置10は箱状のカバー16を備えており、カバー16の上面には案内孔18が形成されている。案内孔18は所定の屈曲形状とされると共に案内孔18にはシフトレバー12が挿通されており、シフトレバー12が案内孔18に案内されて車両前後方向や車両左右方向へ旋回されることで、シフト位置(本実施の形態では、所定のシフト位置としての「P」シフト位置、「R」シフト位置、「N」シフト位置、「D」シフト位置、「2」シフト位置及び「L」シフト位置)が変更されて自動変速機がシフトされる。また、シフトレバー12を「P」シフト位置から「R」シフト位置へ変更するためには、先ずシフトレバー12を車両左方へ旋回させて「P」セレクト位置に位置させた後、シフトレバー12を車両後方及び車両右方へこの順で旋回させる必要がある。さらに、シフトレバー12が「P」シフト位置と「P」セレクト位置との間に位置される際には、シフトレバー12は車両前方へ傾斜されている。
また、シフトレバー装置10は、シフトレバー12が「P」セレクト位置に位置する際のレバー14の位置に対応して、シフトロックソレノイド20を備えている。
シフトロックソレノイド20は、下面が開口した略箱状のケース22を備えており、ケース22の下面は板状のキャップ24によって閉鎖されると共に、ケース22の上面には解除リンク26が固定されている。また、ケース22の上方には、シフトレバー12が「P」シフト位置に配置された際にレバー14が配置される。
ケース22内には、ロック部材としてのストッパ28が設けられている。ストッパ28は板状の垂直壁30を有しており、垂直壁30は、垂直に配置されて上部の車両前後方向両端部に傾斜面30Aが形成されると共に、ケース22の上面から突出して、シフトレバー12が「P」シフト位置に配置された際のレバー14の車両左方に配置されている。ストッパ28(垂直壁30)は、車両上下方向へ移動可能とされると共に、キャップ24との間に架け渡された圧縮コイルスプリング32により上方へ付勢されており、これにより、ストッパ28はロック位置(上側の位置)に配置されている。
ストッパ28は略板状の水平壁34を有しており、水平壁34は、水平に配置されると共に垂直壁30と一体とされている。水平壁34の下面には一対の保持爪36が設けられており、一対の保持爪36は、それぞれ下方に断面L字状に突出すると共に互いに対向している。また、水平壁34の下面には所定数の係止爪(図示省略)が設けられており、各係止爪は車両下方へ突出している。
一対の保持爪36間には、付着部材としての四角形板状のヨーク38がスライド挿入されて、各保持爪36がヨーク38の端部を支持しており、これにより、ヨーク38の下面が開放された状態でストッパ28にヨーク38が設けられている。ヨーク38の肉厚は、水平壁34下面と各保持爪36先端との隙間よりも小さくされており、これにより、ヨーク38はストッパ28に対し傾動自在とされている。
ヨーク38には所定数(本実施の形態では4つ)の係止孔40が形成されており、係止孔40に上記係止爪が挿入されることで、ヨーク38がストッパ28から脱落することが阻止されている。
水平壁34にはクッション42が取り付けられており、クッション42はゴム製とされて弾性を有している。クッション42には、上端及び下端に円錐状部位が設けられており、両円錐状部位は中央の円柱状部位によって連結されている。クッション42下端の円錐状部位はヨーク38の中央に当接しており、これにより、クッション42はヨーク38を下方に押圧している。
ケース22内には、解除部材としてのスライダ44が設けられている。スライダ44は板状のスライド壁46を有しており、スライド壁46は、垂直に配置されて、ストッパ28の垂直壁30よりも車両右側(シフトレバー12の「P」シフト位置への旋回方向側)に配置されている。スライド壁46は、ストッパ28の水平壁34の基端に挿通されて、ストッパ28の垂直壁30に当接すると共に、スライド壁46の上面は、車両右下方へ向かう傾斜面46Aとされている。さらに、スライド壁46の上部は、ケース22の上面から突出して、シフトレバー12が「P」シフト位置に配置された際のレバー14の車両左方に配置されている。
スライド壁46の下部には、収容部材48が一体に設けられており、収容部材48はヨーク38の下方に配置されている。収容部材48は、複数の収容壁50(4つの側壁と底壁)により構成されて、全体として上面が開口した直方体箱状とされている。スライダ44(収容部材48)は、上下方向へ移動可能とされると共に、キャップ24との間に架け渡された圧縮コイルスプリング52により上方へ付勢されている。
図1に示す如く、収容部材48には、2つの収容壁50(車両右側側壁及び底壁)に渡って挿通孔54が形成されている。挿通孔54の両端部には保持部56が設けられており、保持部56は挿通孔54の中央部分に比し幅が狭くされている。各保持部56の入口(挿通孔54の中央部分との境界部分)には阻害突起58が形成されており、阻害突起58によって保持部56の入口は保持部56の他の部位より幅が狭くされている。
収容部材48内にはマグネット60(ソレノイド)が収容されており、これにより、マグネット60は、スライダ44と常に一体に移動すると共にヨーク38の下方に配置されている。図1に示す如く、マグネット60には配線としてのコード62が接続されており、コード62を収容部材48の挿通孔54中央部分に挿入した後車両右側の収容壁50(収容部材48の車両右側側壁)の保持部56内へ移動させることで、コード62がこの保持部56(挿通孔54)に挿通されている。この際、保持部56入口の阻害突起58によって保持部56から挿通孔54中央部分へのコード62の移動が阻害されており、これにより、コード62が保持部56に保持(クランプ)されている。さらに、コード62は、図示しないECU(電子制御装置)を介して、操作されることで車両を制動するブレーキ(図示省略)に接続されている。また、マグネット60は、シフトレバー12が「P」シフト位置から「P」セレクト位置へ旋回される際にブレーキが操作されると、コード62を介して電力を受給することで磁力を発生してヨーク38に付着可能とされている。
ここで、シフトレバー12が「P」シフト位置から「P」セレクト位置へ旋回される際(シフトレバー12が車両左方へ旋回される際)には、レバー14がスライド壁46の傾斜面46Aに当接してスライド壁46を下方へ押し下げ、これにより、スライダ44及びマグネット60が下方へ移動される。
さらに、この際にブレーキが操作されないと、図3に示す如くマグネット60が磁力を発生せずにヨーク38がマグネット60に付着しない。このため、ストッパ28が、ロック状態とされて下方へ移動せず、ロック位置に配置される。これにより、レバー14の移動がストッパ28の垂直壁30に阻止され、シフトレバー12を「P」セレクト位置へ旋回させることができずにシフトレバー12を車両後方へ旋回不能となり、したがって、シフトレバー12の「P」シフト位置から「R」シフト位置への変更が阻止される。
一方、この際に所定の条件としてブレーキが操作されると、図4に示す如くマグネット60が磁力を発生してこの磁力によってヨーク38がマグネット60に付着する。このため、ストッパ28が、解除状態とされてスライダ44によって下方へ移動され、解除位置(下側の位置)に配置される。これにより、レバー14の移動がストッパ28の垂直壁30に阻止されず、シフトレバー12を「P」セレクト位置へ旋回できてシフトレバー12を車両後方へ旋回可能となり、したがって、シフトレバー12の「P」シフト位置から「R」シフト位置への変更が許可される。
また、シフトレバー12が「R」シフト位置から「P」シフト位置へ変更される場合でシフトレバー12が車両前方へ旋回される際には、移動するレバー14によりストッパ28の垂直壁30の傾斜面30Aが押圧されることで、ストッパ28が下方へ移動して解除位置に配置されると共に、ストッパ28と共に移動するヨーク38がマグネット60を押圧してスライダ44が下方へ移動される。これにより、レバー14の移動がストッパ28の垂直壁30及びスライダ44のスライド壁46に阻止されず、シフトレバー12を「P」セレクト位置へ旋回できると共にシフトレバー12を「P」セレクト位置から車両右方へ旋回でき、したがって、シフトレバー12を「R」シフト位置から「P」シフト位置へ変更できる構成である。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
以上の構成のシフトレバー装置10では、シフトレバー12が「P」シフト位置から「P」セレクト位置へ旋回される際にブレーキが操作されないと、マグネット60が磁力を発生しない。このため、ヨーク38がマグネット60に付着せずに、ストッパ28がロック位置に配置され、これにより、シフトレバー12の「P」シフト位置から「R」シフト位置への変更が阻止される。
一方、シフトレバーが「P」シフト位置から「P」セレクト位置へ旋回される際にブレーキが操作されると、マグネット60が磁力を発生する。このため、この磁力によってヨーク38がマグネット60に付着することで、ストッパ28がスライダ44と共に解除位置へ移動され、これにより、シフトレバーの「P」シフト位置から「R」シフト位置への変更が許可される。
ところで、複数の収容壁50により構成された収容部材48にマグネット60が収容されており、収容部材48の2つの収容壁50(車両右側側壁と底壁)に渡って形成された挿通孔54に、マグネット60のコード62が挿通されている。さらに、コード62は収容部材48の挿通孔54中央部分に挿入された後車両右側の収容壁50(収容部材48の車両右側側壁)の保持部56内へ移動されることで、コード62が車両右側の収容壁50から取り出されている。
また、本実施の形態に係るフロア式シフトレバー装置10におけるシフトロックソレノイド20を、車両のインストルメントパネル(図示省略)に設けられるインパネ式シフトレバー装置10に適用する場合には、ECUの配置位置の相違により収容部材48内のマグネット60からのコード62の取り出し方向が異なり、下側の収容壁50(収容部材48の底壁)からコード62を取り出す必要がある。
ここで、本実施の形態に係るシフトロックソレノイド20を、インパネ式シフトレバー装置10に適用する場合には、コード62を収容部材48の挿通孔54中央部分に挿入した後下側の収容壁50の保持部56内へ移動させることで、コード62を下側の収容壁50から取り出すことができる。これにより、本実施の形態に係るシフトロックソレノイド20をインパネ式シフトレバー装置10にも適用でき、したがって、フロア式シフトレバー装置10とインパネ式シフトレバー装置10とで収容部材48を同一の部品にできて、収容部材48(スライダ44)の共用性を向上できる。
さらに、挿通孔54に形成された保持部56入口には阻害突起58が形成されており、阻害突起58よって保持部56から挿通孔54中央部分へのコード62の移動が阻害されて、保持部56にコード62が保持される。このため、収容部材48内のマグネット60からのコード62の取り出し方向がずれることを防止できる。
なお、本実施の形態では、挿通孔54を収容部材48の2つの収容壁50に渡って形成した構成としたが、挿通孔を収容部材の3つ以上の収容壁に渡って形成した構成としてもよい。さらに、収容部材の少なくとも2つの収容壁にそれぞれ独立した貫通孔(コードが挿通される孔)を形成した構成としてもよい。
[第2の実施の形態]
図7には、本発明の第2の実施の形態に係るシフトレバー装置70の主要部が側面図にて示されており、図8には、シフトレバー装置70の主要部が斜視図にて示されている。
本実施の形態に係るシフトレバー装置70は、上記第1の実施の形態に係るシフトレバー装置10とほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
シフトレバー装置70では、スライダ44のスライド壁46上端に、当接部材としての四角形板状の平面部72が一体に設けられており、平面部72はスライド壁46からストッパ28の垂直壁30まで延伸している。
垂直壁30には、平面部72に対応して四角柱状の挿入溝74が形成されており、挿入溝74は、上下方向に沿って形成されると共に、垂直壁30の上面から解放されている。挿入溝74は所定の長さとされて平面部72が挿入溝74内を移動可能とされており、これにより、ストッパ28の水平壁34基端へのスライド壁46の挿通が可能とされてスライダ44とストッパ28との組み付けが可能とされると共に、スライダ44のストッパ28に対する上下方向への移動が可能とされている。
ここで、シフトレバー12が「P」シフト位置から「P」セレクト位置へ旋回される場合にブレーキが操作されずにヨーク38がマグネット60に付着しない際には、スライダ44及びマグネット60の下方への移動と共に平面部72が挿入溝74内を下方へ移動して、ストッパ28は下方へ移動しない。これにより、ストッパ28がロック位置へ配置される。
一方、シフトレバー12が「P」シフト位置から「P」セレクト位置へ旋回される場合にブレーキが操作されてヨーク38がマグネット60に付着することでストッパ28がスライダ44によって下方へ移動される際には、シフトレバー12のレバー14が平面部72の上面に当接する(乗り上げる)ことで、垂直壁30の上面がレバー14の下方(解除位置側)に配置される。
また、シフトレバー12が「R」シフト位置から「P」シフト位置へ変更される場合でシフトレバー12が「P」セレクト位置へ旋回された際には、レバー14が平面部72の上面に当接する(乗り上げる)ことで、スライダ44のスライド壁46がレバー14の下方(解除位置側)に配置される構成である。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
以上の構成のシフトレバー装置70では、スライダ44のスライド壁46上端に一体に設けられた平面部72がストッパ28の垂直壁30まで延伸している。
これにより、シフトレバー12が垂直壁30からスライド壁46へ旋回される際(シフトレバー12が「P」セレクト位置から「P」シフト位置へ旋回される際)には、レバー14が平面部72に当接する(平面部72を摺動する)ことでスライド壁46がレバー14より解除位置側(下方)に配置されて、レバー14がスライド壁46に引っ掛かることを防止できる。したがって、レバー14がスライド壁46から離間する際におけるスライド壁46の垂直壁30への衝突による当たり音を防止できると共に、レバー14の垂直壁30からスライド壁46への移動(シフトレバー12の「P」セレクト位置から「P」シフト位置への旋回)を円滑に行うことができる。
また、シフトレバー12がスライド壁46から垂直壁30へ旋回される際(シフトレバー12が「P」シフト位置から「P」セレクト位置へ旋回される際)には、レバー14が平面部72に当接することで垂直壁30がレバー14より解除位置側(下方)に配置されて、レバー14が垂直壁30に引っ掛かることを防止できる。したがって、レバー14のスライド壁46から垂直壁30への移動(シフトレバー12の「P」シフト位置から「P」セレクト位置への旋回)を円滑に行うことができる。
なお、本実施の形態では、スライダ44のスライド壁46上端に平面部72(当接部材)を一体に設け、かつ、平面部72をストッパ28の垂直壁30まで延伸させた構成としたが、ストッパの垂直壁上端に当接部材を一体に設け、かつ、当接部材をスライダのスライド壁まで延伸させた構成としてもよい。この場合、当接部材の延伸先端面をスライド壁上面の傾斜面と同様に傾斜させた構成とするのが好ましい。これにより、シフトレバーが「P」シフト位置から「P」セレクト位置へ旋回される場合にブレーキが操作されてストッパがスライダによって下方へ移動される際に、レバーが当接部材に引っ掛かることを防止できる。さらにこの場合、当接部材がスライド壁を下方へ押圧可能な構成としてもよい。これにより、シフトレバーが「R」シフト位置から「P」セレクト位置へ旋回される場合(シフトレバーが車両前方へ旋回される場合)でレバーがストッパを解除位置へ移動させる際に、当接部材によってスライダ(スライド壁)を下方(解除位置側)へ移動させることができる。
[第3の実施の形態]
図9には、本発明の第3の実施の形態に係るシフトレバー装置80の主要部が側面図にて示されている。
本実施の形態に係るシフトレバー装置80は、上記第1の実施の形態に係るシフトレバー装置10とほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
シフトレバー装置80では、シフトレバー12のレバー14下端に、係止部としての係止突起82が形成されている。係止突起82はレバー14から車両左側へ突出するカギ形状とされており、係止突起82の上面は傾斜されている。
ストッパ28の垂直壁30上端には、係止部としての係止突起84が形成されている。係止突起84は垂直壁30から車両右側へ突出するカギ形状とされており、係止突起84の下面は、係止突起82上面と同一の傾斜角度で傾斜されている。これにより、シフトレバー12が「P」シフト位置から「P」セレクト位置へ旋回される場合(シフトレバー12が車両左方へ旋回される)にブレーキが操作されずにロック位置へ配置されたストッパ28の垂直壁30がレバー14の移動を阻止する際には、係止突起84が係止突起82に係止可能とされて、ストッパ28の解除位置側(下方)への移動を係止可能とされた構成である。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
以上の構成のシフトレバー装置80では、シフトレバー12の「P」シフト位置から「P」セレクト位置への旋回をロック位置に配置されたストッパ28の垂直壁30が阻止する際には、垂直壁30の係止突起84がレバー14の係止突起82に係止可能とされて、ストッパ28の解除位置側への移動を係止可能とされている。このため、シフトレバー12のレバー14を垂直壁30に押し付けた状態でシフトレバー12を車両前後方向へ往復旋回(捩り操作)させた際でも、車両前方へ旋回されるレバー14によってストッパ28が解除位置に移動されることを防止でき、これにより、シフトレバー12の「P」シフト位置から「P」セレクト位置への旋回(「P」シフト位置から「R」シフト位置へのシフト位置の変更)が許可されてしまうこと(ロック抜け)を防止できる。
なお、本実施の形態では、シフトレバー12のレバー14に係止突起82を設けると共にストッパ28の垂直壁30に係止突起84を設けた構成としたが、シフトレバーのレバー及びストッパの垂直壁の何れか一方に係止突起(係止部)を設けると共にシフトレバーのレバー及びストッパの垂直壁の何れか他方に上下方向に沿う長尺の係止溝(係止部)を設け、かつ、係止突起が係止溝の上端または下端に係止されることで、ストッパの解除位置側への移動を係止する構成としてもよい。
さらに、シフトレバーのレバー及びストッパの垂直壁の何れか一方のみに係止部を設け、シフトレバーのレバー及びストッパの垂直壁の何れか他方と係止部とが係止されることで、ストッパの解除位置側への移動を係止する構成としてもよい。
さらにまた、上記第1の実施の形態乃至第3の実施の形態では、ゲート式のシフトレバー装置10、70、80にシフトロックソレノイド20を装備した構成としたが、図10に示す如き所謂ストレート式のシフトレバー装置90にシフトロックソレノイド20を装備した構成としてもよい。
ここで、このストレート式のシフトレバー装置90では、シフトレバー12を案内孔92に案内させて車両前後方向のみへ旋回させることでシフト位置を変更できる。
また、一般にストレート式のシフトレバー装置90では、シフトレバー12の先端にノブボタン(図示省略)が設けられると共にシフトレバー12の基端近傍にディテントピン(図示省略)が設けられており、ノブボタンが押圧されることでディテントピンがシフトレバー12軸方向へスライドする。さらに、シフトレバー12の近傍には、所定のディテント溝が形成されたディテントプレート(図示省略)が設置されており、シフトレバー12が「P」シフト位置に位置する際には、ノブボタンを押圧しないと、ディテントピンがディテント溝を乗り越えることができずに、シフトレバー12の「R」シフト位置への変更が阻止される構成とされている。
このため、ストレート式のシフトレバー装置90にシフトロックソレノイド20を装備するためには、例えばシフトレバー12が「P」シフト位置に配置された際のディテントピンの位置に対応してシフトロックソレノイド20を設けた構成とすればよい。すなわち、シフトレバー12が「P」シフト位置から「R」シフト位置側へ旋回される際にブレーキが操作されないと、ロック位置に配置されたストッパ28の垂直壁30がディテントピンのスライドを阻止し、このため、ノブボタンを押圧できずにシフトレバー12の「R」シフト位置への変更が阻止される一方、この際にブレーキが操作されると、ストッパ28の垂直壁30が解除位置に配置されてディテントピンのスライドが阻止されず、このため、ノブボタンを押圧できてシフトレバーの「R」シフト位置への変更が許可されるような位置にシフトロックソレノイド20を設置した構成とすればよい。
さらに、ストレート式のシフトレバー装置90にシフトロックソレノイド20を装備するためには、例えばレバー14をシフトレバー12から車両左方または車両右方へ突出させ、かつ、シフトレバー12が「P」シフト位置と「R」シフト位置との間を旋回する際のレバー14に移動軌跡にシフトロックソレノイド20を設けた構成とすればよい。この場合、スライダ44のスライド壁46を車両前側(「P」シフト位置側)に配置すると共に、ストッパ28の垂直壁30を車両後側(「R」シフト位置側)に配置し、かつ、ストッパ28の垂直壁30上部に隣接するケース22の側壁を省略する。ここで、シフトレバー12が「P」シフト位置から「R」シフト位置側へ旋回される際にブレーキが操作されないと、ロック位置に配置されたストッパ28の垂直壁30がレバー14の移動を阻止し、このため、シフトレバー12の「R」シフト位置への変更が阻止される一方、この際にブレーキが操作されると、ストッパ28の垂直壁30が解除位置に配置されてレバー14の移動が阻止されず、このため、シフトレバーの「R」シフト位置への変更が許可される。
また、上記第1の実施の形態乃至第3の実施の形態のシフトロックソレノイド20は、車内の床面に設置されたフロア式のシフトレバー装置10、70、80、90のみならず、車両のインストルメントパネルに設置されたインパネ式のシフトレバー装置及び他の位置に設置されたシフトレバー装置にも装備可能である。
さらにまた、上記第1の実施の形態乃至第3の実施の形態では、シフトレバー12が「P」シフト位置(所定のシフト位置)から「P」セレクト位置へ旋回される際にブレーキが操作されるとマグネット60が磁力を発生する構成としたが、所定の条件によりマグネットが磁力を発生または消失する構成であればよく、例えばシフトレバーが所定のシフト位置から旋回される際のブレーキ操作によりマグネットが磁力を消失する構成としてもよい。
さらに、上記第1の実施の形態乃至第3の実施の形態では、マグネット60が磁力を発生しない際にストッパ28がロック位置に配置される一方マグネット60が磁力を発生した際にストッパ28が解除位置に配置される構成としたが、マグネットが磁力を発生しない際にストッパが解除位置に配置される(解除状態とされる)一方マグネットが磁力を発生した際にストッパがロック位置に配置される(ロック状態とされる)構成としてもよい。
また、上記第1の実施の形態乃至第3の実施の形態では、ストッパ28にヨーク38を設けると共にスライダ44にマグネット60(収容部材48を含む)を設けた構成としたが、ヨークやマグネット(収容部材を含んでもよい)を他の部品に設けた構成としてもよい。例えば、ストッパにマグネットを設けると共にスライダにヨークを設けた構成としてもよく、この場合等には、マグネットの下方にヨークを配置した構成としてもよい。
さらに、上記第1の実施の形態乃至第3の実施の形態では、シフトロックソレノイド20がストッパ28及びスライダ44を備えた構成としたが、シフトロックソレノイドがストッパのみを備えた構成としてもよい。この場合、例えばストッパ及びケース内の何れか一方にヨークを設けると共にストッパ及びケース内の何れか他方にマグネットを設け、かつ、マグネットによる磁力の発生または消失によってストッパの解除位置への配置(解除状態)とストッパのロック位置への配置(ロック状態)とを切り換える構成とすればよい。