JP4617537B2 - 磁気パターンの認識方法、情報記録媒体、磁気パターン認識装置及び複合処理装置 - Google Patents

磁気パターンの認識方法、情報記録媒体、磁気パターン認識装置及び複合処理装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気パターンの認識方法、情報記録媒体、磁気パターン認識装置及び複合処理装置に関する。特に、磁気パターンの認識方法において、磁気パターンの取得した検出磁気波形のピーク間隔をバー間隔パターンに変換して、数字及び記号として認識するステップを備えた磁気パターンの認識方法、情報記録媒体、磁気パターン認識装置及び複合処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、金融機関などにおいては、磁気インク文字が使用されており、磁気インク文字の印刷されたチェック用紙などが磁気パターン認識装置によって選別され、集計等の作業が行われていた。現金やカードと同様に多くのパーソナルチェックが店舗における買い物に使用されるケースも多い。このパーソナルチェックの表面には、カスタマーアカウントやパーソナルチェックのシリアル番号などが磁気インク文字(MICR文字、Magnetic Ink Character Recognition)を用いて記載してあり、この磁気インク文字を磁気ヘッドで読み取り、これらのデータを照会することによって、パーソナルチェックの有効・無効が確認できるようになっている。
【0003】
このため、各々の店舗の会計処理ステーション(POSステーション)に磁気インクを認識するための装置が設置されるようになっており、これらの多くの装置は直流モータを用いてパーソナルチェック用紙を搬送しながら磁気ヘッドによって磁気インク文字を認識するようになっている。
【0004】
MICR文字としては、欧州や南米などにおいて使用されているCMC7フォントと主に北米において使用されているE13Bフォントがある。以下、磁気インク文字であるMICR文字のCMC7フォント(以下、MICR−CMC7フォント文字とする)を使用して説明する。
【0005】
MICR−CMC7フォント文字を使用して印刷されたCMC7チェックの規格においては、フォントとして、10種類の数字、5種類の記号及び26種類のアルファベットが存在する。
【0006】
MICR−CMC7フォント文字は磁気バーコードである。一文字が7本のバーで構成され、隣り合う2つのバーによって形成される6つのバー間隔が「広い」間隔(=1)、または「狭い」間隔(=0)の組み合せによって、文字を認識する。MICR−CMC7フォント文字において、バー間隔の「広い」間隔の数をN1、「狭い」間隔の数をN0とすると、数字と記号は、N1:N0=2:4であり、アルファベットは、N1:N0=1:5またはN1:N0=3:3である。
【0007】
図6は、MICR−CMC7フォント文字の数字と記号の一例を示す。図7は、MICR−CMC7フォント文字を、6つのバー間隔の「広い」間隔(=1)または「狭い」間隔(=0)の組み合せパターン(以下、「バー間隔パターン」とする)によって表した対応表である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
現在、市場に流通しているCMC7チェック用紙に使用されているMICR−CMC7フォント文字は、数字と記号のみであり、アルファベットは使用されていない。そのため、バー間隔の「広い」間隔の数をN1、「狭い」間隔の数をN0とするとき、文字を認識するための判定条件は、N1とN0の割合が重要となる。即ち、N1:N0=2:4である場合は、数字または記号であると判定できる。
【0009】
しかしながら、CMC7チェック用紙を折り曲げた場合、CMC7チェック用紙は、折り目部分において物理的な縮みが生じる。従って、折り目部分の物理的な縮みにより、折り曲げられたCMC7チェック用紙を磁気ヘッドによって読み取った検出磁気波形も縮みの影響を受ける。
【0010】
フォント上に折り目がある場合、折り目部分の物理的な縮みにより、本来「広い」間隔であるはずのバー間隔が、「狭い」間隔のバー間隔であると判定されてしまう可能性がある。そのため、バー間隔の「広い」間隔の数をN1、「狭い」間隔の数をN0とするとき、数字または記号であるはずのN1:N0=2:4が、N1:N0=1:5となってしまい、数字または記号であると認識できない可能性がある。
【0011】
図8、図9は、CMC7チェック用紙のフォント上に折り目が存在する場合の、折り目によるバー間隔の縮みを説明する図である。ここで、説明に用いたMICR−CMC7フォント文字は、記号「SV」である。また、バーの長軸に平行となるような折り目軸とする。
【0012】
図8(a)は、折り曲げる前のCMC7チェック用紙を、折り目軸に直交する面で切断した図である。図8(b)は、折り曲げた後のCMC7チェック用紙を、折り目軸に直交する面で切断した図である。図8(c)は、折り曲げる前のバー間隔を説明する図である。図8(d)は、折り曲げた後のバー間隔を説明する図である。
【0013】
図8に示すように、用紙送り方向を矢印802とするとき、CMC7チェック用紙804を用紙送り方向に沿って移動させて磁気ヘッド801によって検出磁気波形を取得する。このとき、磁気ヘッド801による検出磁気波形の読み取り方向は矢印803となる。MICR−CMC7フォント文字の7本のバーをバー805aからバー805gとする。折り曲げる前の隣り合う2つのバーによって形成される6つのバー間隔をバー間隔806aからバー間隔806fとし、折り曲げた後の隣り合う2つのバーによって形成される6つのバー間隔をバー間隔808aからバー間隔808fとし、そして、折り曲げた位置を折り目807とする。ここで、磁気ヘッド801の読み取り方向をバーの長軸に直交する方向とする。また、磁気ヘッド801に対して先に読み取られるバーの近端部と次に読み取られるバーの近端部との間の距離をバー間隔とする。即ち、図8においては、隣り合う2つのバーのそれぞれの右端部の間の距離がバー間隔である。
【0014】
折り曲げる前のバー間隔を、「広い」間隔(=1)と「狭い」間隔(=0)とによって表すと、バー間隔806aは0、バー間隔806bは0、バー間隔806cは0、バー間隔806dは0、バー間隔806eは1、バー間隔806fは1となる。即ち、MICR−CMC7フォント文字の1文字分のバー間隔パターンは「000011」となり、図7の表から記号「SV」であると認識できる。
【0015】
一方、折り目807をバー805eとバー805fの間とする場合、CMC7チェック用紙の折り目807の近傍において縮みが生じる。即ち、折り山ができることによって折り目807を挟んだバー間隔808eが、折り曲げる前と比較して狭くなる。折り曲げた後のバー間隔を「広い」間隔(=1)と「狭い」間隔(=0)とによって表すと、バー間隔808aは0、バー間隔808bは0、バー間隔808cは0、バー間隔808dは0、バー間隔808eは0、バー間隔808fは1となる。即ち、MICR−CMC7フォント文字の1文字分のバー間隔パターンは「000001」となり、アルファベットとしては認識できるが、記号「SV」として認識できない結果となる。
【0016】
上述したCMC7チェック用紙の縮みを、磁気ヘッド801によって取得した検出磁気波形を使用して説明する。
【0017】
図9(a)は、磁気バーコードであるMICR−CMC7フォント文字のバーと検出磁気波形の関係を示す図である。ここで、磁気ヘッドの読み取り方向を矢印901とし、MICR−CMC7フォント文字のバーをバー902aからバー902gとする。また、磁気ヘッドに早く読み取られる側の読み取り方向に垂直なバーの端部を、バー右端部904aからバー右端部904gとし、磁気ヘッドに遅く読み取られる側の読み取り方向に垂直なバーの端部を、バー左端部903aからバー左端部903gとし、MICR−CMC7フォント文字の隣り合う2つのバーのバー間隔を、バー間隔905aからバー間隔905fとする。
【0018】
検出磁気波形は、CMC7チェック用紙の磁化されたバーによる磁束密度の変化を電圧変化として測定したものである。
【0019】
従って、検出磁気波形は微分波形となり、バーの端部の位置において、極値をとる波形となる。即ち、バー右端部904aからバー右端部904gの位置において、検出磁気波形は極大値(以下、ピークという)となり、バー左端部903aからバー左端部903gの位置において検出磁気波形は極小値(以下、ボトムピークという)となる。
【0020】
また、バー間隔905aからバー間隔905fは、検出磁気波形の隣り合うピークの間の距離であるピーク間隔906aからピーク間隔906fに対応付けられる。即ち、バー間隔が「広い」間隔とは、ピーク間隔が「広い」間隔であり、バー間隔が「狭い」間隔とは、ピーク間隔が「狭い」間隔である。
【0021】
図9(b)は、図8に示したように、折り目807をバー805eとバー805fの間とする場合の、MICR−CMC7フォント文字を折り曲げる前の検出磁気波形と折り曲げた後の検出磁気波形を示す図である。
【0022】
MICR−CMC7フォント文字を折り曲げる前の検出磁気波形を実線により示す波形911とし、折り曲げた後の検出磁気波形を点線により示す波形912とする。また、波形911のピーク間隔をピーク間隔913aからピーク間隔913fとし、波形912のピーク間隔をピーク間隔914aからピーク間隔914fとする。ここで、図9(b)は検出磁気波形の読み取り方向を矢印910とする。
【0023】
折り曲げる前の波形911のピーク間隔を、「広い」間隔(=1)と「狭い」間隔(=0)とによって表すと、ピーク間隔913aは0、ピーク間隔913bは0、ピーク間隔913cは0、ピーク間隔913dは0、ピーク間隔913eは1、ピーク間隔913fは1となる。即ち、ピーク間隔に対応付けられる図8のバー間隔は、バー間隔808aは0、バー間隔808bは0、バー間隔808cは0、バー間隔808dは0、バー間隔808eは1、バー間隔808fは1となり、MICR−CMC7フォント文字の1文字分のバー間隔パターンは「000011」となり、図7の表から記号「SV」であると認識できる。
【0024】
図8に示したように、折り目807によりバー間隔808eが狭くなる。従って、検出磁気波形のピーク間隔がバー間隔と対応することから、折り曲げた後の波形912のピーク間隔914eは、折り曲げる前の波形911のピーク間隔913eと比較して狭くなる。折り曲げた後の波形912のピーク間隔を、「広い」間隔(=1)と「狭い」間隔(=0)とによって表すと、ピーク間隔914aは0、ピーク間隔914bは0、ピーク間隔914cは0、ピーク間隔914dは0、ピーク間隔914eは0、ピーク間隔914fは1となる。即ち、ピーク間隔に対応付けられる図8のバー間隔は、バー間隔808aは0、バー間隔808bは0、バー間隔808cは0、バー間隔808dは0、バー間隔808eは0、バー間隔808fは1となり、MICR−CMC7フォント文字の1文字分のバー間隔パターンは「000001」となり、アルファベットとしては認識できるが、記号「SV」として認識できない結果となる。
【0025】
従って、印刷規格においてはCMC7チェック用紙を折ることを禁止しているが、実際の市場おいては、折りたたんで携帯している場合もあるため、従来の磁気パターン認識装置では、文字を認識できないまたは文字を誤認識するという問題点があった。
【0026】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたもので、磁気パターンの認識において、取得した検出磁気波形のピーク間隔をバー間隔パターンに変換して、数字及び記号を認識するステップを備えた磁気パターンの認識方法、情報記録媒体、磁気パターン認識装置及び複合処理装置を提供することを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述した従来の問題点を解決すべく研究を重ねた。その結果、以下の方法によって、磁気パターンの印刷されたチェック用紙上の折り曲げられた磁気パターンについても文字として認識できることが判明した。
【0028】
磁気パターンの認識において、取得した検出磁気波形から1つ分の磁気パターンの検出磁気波形を切り出す。切り出した検出磁気波形の複数のピーク間隔を測定する。測定した複数のピーク間隔から磁気パターンの複数バー間隔を算出する。算出した複数のバー間隔のそれぞれを2段階からなる判定条件に基づいて、バー間隔パターンの「広い」間隔または「狭い」間隔に変換する。変換した1つ分の磁気パターンのバー間隔パターンから、バー間隔パターンと文字の対応表に基づいて、文字を認識する。
【0029】
上記研究結果に基づき、以下の発明を提供する。
【0030】
本発明の、磁気パターンの認識方法における第1の態様は、複数のバーによって構成される、所定の磁気パターンが複数個付された領域を磁気検出して、検出された磁気パターンの検出磁気波形から複数のピークの隣り合う2つのピークの間の距離を表すピーク間隔を取得する磁気パターン読み取りステップと、このように取得した複数個のピーク間隔から、複数のバーの隣り合う2つのバーの間の広さを2つの値によって表すバー間隔パターンに変換することによって、磁気パターンを所定の文字として認識する磁気パターン認識ステップと、を備えることを特徴とする磁気パターンの認識方法である。例えば、MICR−CMC7フォント文字においては、磁気ヘッドによって取得した検出磁気波形のピーク間隔をバー間隔パターンに変換し、変換したバー間隔パターンを図7の対応表と比較して、文字を認識するステップを備えている。
【0031】
本発明の、磁気パターンの認識方法における第2の態様は、磁気パターン認識ステップが、検出磁気波形から磁気パターンを構成する複数のバーの隣り合う2つのバーの間の距離であるバー間隔を算出するバー間隔算出ステップと、バー間隔算出ステップによって算出した前記バー間隔を、「広い」間隔または「狭い」間隔のバー間隔パターンに変換するパターン変換ステップと、パターン変換ステップによって変換した1つ分の磁気パターンのバー間隔パターンから磁気パターンを確定する磁気パターン確定ステップと、を備えることを特徴とする磁気パターンの認識方法である。例えば、バー間隔が「広い」間隔のとき、バー間隔パターンを1として、「狭い」間隔のとき、バー間隔パターンを0とする。
【0032】
本発明の、磁気パターンの認識方法における第3の態様は、パターン変換ステップが、バー間隔が所定の判定境界範囲の最大境界値以上であるとき、バー間隔のバー間隔パターンを「広い」間隔と判定し、バー間隔が所定の判定境界範囲の最小境界値以下であるとき、バー間隔のバー間隔パターンを「狭い」間隔と判定することを特徴とする磁気パターンの認識方法である。即ち、バー間隔パターンが、確実に「広い」間隔であるバー間隔を判定すること備えている磁気パターンの認識方法である。
【0033】
本発明の、磁気パターンの認識方法における第4の態様は、パターン変換ステップが、1つ分の磁気パターンにおいて、バー間隔パターンの「広い」間隔の数と「狭い」間隔の数との割合が1対5であり、かつ、バー間隔のうち2番目に広いバー間隔と3番目に広いバー間隔との間に有意差があるとき、2番目に広いバー間隔のバー間隔パターンを「広い」間隔と判定することを特徴とする磁気パターンの認識方法である。例えば、MICR−CMC7フォント文字においては、「広い」間隔の数と「狭い」間隔の数の割合が1対5であるときは、MICR−CMC7フォント文字が折り曲げられているために、「広い」間隔が「狭い」間隔になっているバー間隔が存在する可能性がある。従って、MICR−CMC7フォント文字が折り曲げられているために、「広い」間隔が「狭い」間隔になっているバー間隔を判定すること備えている磁気パターンの認識方法である。
【0034】
本発明の、磁気パターンの認識方法における第5の態様は、パターン変換ステップが、1つ分の磁気パターンにおいて、バー間隔のうち2番目に広いバー間隔と3番目に広いバー間隔、所定の判定境界範囲の中央値、及び所定の調整係数が下記の条件を満たすとき、バー間隔のうち2番目に広いバー間隔と3番目に広いバー間隔との間に有意差があると判定することを特徴とする磁気パターンの認識方法である。
【0035】
2番目に広いバー間隔 >= 3番目に広いバー間隔 +
( 判定境界範囲の中央値−3番目に広いバー間隔 )* 調整係数
ここで、*は、乗算を意味する。
【0036】
本発明の、磁気パターンの認識方法における第6の態様は、磁気パターン確定ステップが、1つ分の磁気パターンにおけるバー間隔パターンの「広い」間隔の数と「狭い」間隔の数との割合が2対4であるとき、磁気パターンを一義的に確定できることを特徴とする磁気パターンの認識方法である。
【0037】
本発明の、磁気パターンの認識方法における第7の態様は、磁気パターン読み取りステップが、検出磁気波形及び検出条件を取得する磁気パターン検出ステップと、磁気パターン検出ステップによって取得した検出磁気波形から1つ分の磁気パターンの検出磁気波形を切り出す磁気パターン切り出しステップと、磁気パターン切り出しステップによって切り出した1つ分の磁気パターンの検出磁気波形の複数のピークから、隣り合う2つのピークの間の距離を測定するピーク間隔測定ステップと、を備えることを特徴とする磁気パターンの認識方法である。例えば、検出条件として、CMC7チェックの用紙を読み取る速さなども必要である。読み取る速さにより取得される検出磁気波形が異なってくる。
【0038】
本発明の、磁気パターンの認識方法における第8の態様は、磁気パターンを認識するための判定条件を変更できる判定条件変更ステップを、更に備えることを特徴とする磁気パターンの認識方法である。
【0039】
本発明の、磁気パターンの認識方法における第9の態様は、判定条件として、調整係数を変更できることを特徴とする磁気パターンの認識方法である。
【0040】
本発明の、磁気パターンの認識方法における第10の態様は、磁気パターンは、磁気インク文字であることを特徴とする磁気パターンの認識方法である。
【0041】
本発明の、情報記録媒体における第1の態様は、上述の磁気パターンの認識方法のステップを有するプログラムを記録した情報記録媒体である。
【0042】
本発明の、情報記録媒体における第2の態様は、コンパクト・ディスク、フロッピー・ディスク、ハード・ディスク、光磁気ディスク、ディジタル・ビデオ・ディスク、もしくは磁気テープであることを特徴とする。
【0043】
本発明の、磁気パターン認識装置における第1の態様は、複数のバーによって構成される、所定の磁気パターンが複数個付された領域を磁気検出して、検出された磁気パターンの検出磁気波形から複数のピークの隣り合う2つのピークの間の距離を表すピーク間隔を取得する磁気パターン読み取り手段と、このように取得した複数個のピーク間隔から、複数のバーの隣り合う2つのバーの間の広さを2つの値によって表すバー間隔パターンに変換することによって、磁気パターンを所定の文字として認識する磁気パターン認識手段と、を備えることを特徴とする磁気パターン認識装置である。
【0044】
本発明の、磁気パターン認識装置における第2の態様は、磁気パターン認識手段が、検出磁気波形から磁気パターンを構成する複数のバーの隣り合う2つのバーの間の距離であるバー間隔を算出するバー間隔算出手段と、バー間隔算出手段によって算出した前記バー間隔を、「広い」間隔または「狭い」間隔のバー間隔パターンに変換するパターン変換手段と、パターン変換手段によって変換した1つ分の磁気パターンのバー間隔パターンから磁気パターンを確定する磁気パターン確定手段と、を備えることを特徴とする磁気パターン認識装置である。
【0045】
本発明の、磁気パターン認識装置における第3の態様は、パターン変換手段が、バー間隔が所定の判定境界範囲の最大境界値以上であるとき、バー間隔のバー間隔パターンを「広い」間隔と判定し、バー間隔が所定の判定境界範囲の最小境界値以下であるとき、バー間隔のバー間隔パターンを「狭い」間隔と判定することを特徴とする磁気パターン認識装置である。
【0046】
本発明の、磁気パターン認識装置における第4の態様は、パター変換手段が、1つ分の磁気パターンにおいて、バー間隔パターンの「広い」間隔の数と「狭い」間隔の数との割合が1対5であり、かつ、バー間隔のうち2番目に広いバー間隔と3番目に広いバー間隔との間に有意差があるとき、2番目に広いバー間隔の前記バー間隔パターンを「広い」間隔と判定することを特徴とする磁気パターン認識装置である。
【0047】
本発明の、磁気パターン認識装置における第5の態様は、パターン変換手段が、1つ分の磁気パターンにおいて、バー間隔のうち2番目に広いバー間隔と3番目に広いバー間隔、所定の判定境界範囲の中央値、及び所定の調整係数が下記の条件を満たすとき、バー間隔のうち2番目に広いバー間隔と3番目に広いバー間隔との間に有意差があると判定することを特徴とする磁気パターン認識装置である。
【0048】
2番目に広いバー間隔 >= 3番目に広いバー間隔 +
( 判定境界範囲の中央値−3番目に広いバー間隔 )* 調整係数
本発明の、磁気パターン認識装置における第6の態様は、磁気パターン確定手段が、1つ分の磁気パターンにおけるバー間隔パターンの「広い」間隔の数と「狭い」間隔の数との割合が2対4であるとき、磁気パターンを一義的に確定できることを特徴とする磁気パターン認識装置である。
【0049】
本発明の、磁気パターン認識装置における第7の態様は、磁気パターン読み取り手段が、検出磁気波形及び検出条件を取得する磁気パターン検出手段と、磁気パターン検出手段によって取得した検出磁気波形から1つ分の磁気パターンの検出磁気波形を切り出す磁気パターン切り出し手段と、磁気パターン切り出し手段によって切り出した1つ分の磁気パターンの検出磁気波形の複数のピークから、隣り合う2つのピークの間の距離を測定するピーク間隔測定手段と、を備えることを特徴とする磁気パターン認識装置である。
【0050】
本発明の、磁気パターン認識装置における第8の態様は、磁気パターンを認識するための判定条件を変更できる判定条件変更手段を、更に備えることを特徴とする磁気パターン認識装置である。
【0051】
本発明の、磁気パターン認識装置における第9の態様は、判定条件として、調整係数を変更できることを特徴とする磁気パターン認識装置である。
【0052】
本発明の、磁気パターン認識装置における第10の態様は、磁気パターンは、磁気インク文字であることを特徴とする磁気パターン認識装置である。
【0053】
本発明の、複合処理装置における第1の態様は、上述の磁気パターン認識装置の手段を備えることを特徴とする複合処理装置である。
【0054】
本発明の、複合処理装置における第2の態様は、パルスモータを備えた紙送り手段と、紙送り手段により送られた紙片に印刷する印刷手段と、紙送り手段によって送られた紙片に付された磁気パターンを検出する磁気検出手段と、を更に備えることを特徴とする複合処理装置である。
【0055】
また、本発明のCMC7文字の読みとり方法は、
チェック用紙上の、バー間隔が広い間隔と狭い間隔からなるCMC7文字の読みとり方法において、
前記バーの隣り合う間隔が、広い距離か、狭い距離かを判断する第1の判断ステップと、
前記広い距離と判断した数が、第1の所定の数であるかどうか判断する第2の判断ステップと
を備えた。
【0056】
さらに、前記第2の判断ステップで、前記広い距離と判断した数が、前記第1の所定の数と異なる第2の所定の数であると判断したとき、さらに、
前記バーの隣り合う間隔を、隣り合う間隔順に並べ替えるステップ
を備えた。
【0057】
さらに、前記第1の判断ステップは、
広い距離かどうか判断するための第1の閾値と、狭い距離かどうか判断するための前記第1の閾値とは異なる第2の閾値を有することを特徴とする。
【0058】
さらに、前記第2の並べ替えステップによって並べ替えられた間隔のうち、2番目に広い間隔と、3番目に広い間隔との間隔が有意差以上であるかどうか判断する第3の判断ステップをさらに備え、
前記有意差以上であれば、前記2番目に広い間隔を前記広い距離として決定するステップを有することを特徴とする。
【0059】
さらに、前記第2の判断ステップで、第1の所定の数でも第2の所定の数でもないと判断したとき、エラー処理を行うステップを備えた。
【0060】
また、本発明のCMC7文字の読みとり装置は、
バー間隔が広い間隔と狭い間隔からなるCMC7文字の読みとり装置において、
前記バーの隣り合う間隔が、広い間隔かどうか判断するための第1の閾値と、狭い距離かどうか判断するため前記第1の閾値とは異なる第2の閾値とを有する判断手段を
備えた。
【0061】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なもので置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0062】
図1は、MICR−CMC7フォント文字の認識機能を備えた複合処理装置の概要を示す斜視図である。
【0063】
以下においては、プリンタをベースとしてMICR−CMC7フォント文字(磁気インク文字)の認識機能を備えた複合処理装置(以下「プリンタ」という)100に基づいてMICR−CMC7フォント文字の認識機能を説明する。
【0064】
プリンタ100は、本体101の左右に延びた移動軸102に沿ってプリンタヘッド(印刷ヘッド)103が移動しながらジャーナル印字、およびスリップ印字を行う。本例のプリンタヘッド103は、たとえばワイヤードットタイプであり、ヘッド103に内蔵されたワイヤーをプラテン104に向かって駆動しインクリボンをインパクトすることによって、ロール紙105または単票用紙106に印字を行う。プリンタヘッド103はタイミングベルトやヘッド送り用のパルスモータを用いたプリンタヘッド駆動手段によって動かされ、プラテン104に沿って左右に動いてロール紙105または単票用紙106の所定の位置に印字を行う。ロール紙105または単票用紙106は、後述するフィードローラー群、および紙送り用のパルスモータなどによって構成される紙送り機構によってプリンタヘッド103の移動方向と直角に送られる。ロール紙105は本体101の後方101bにセットされ、後方101bからプラテン104とプリンタヘッド103の間を通って本体101の上方101cに導かれる。本例のプリンタ100は、2本のロール紙105をセットでき、店舗の記録用のジャーナル紙および領収書として使用するレシート紙の印刷が可能である。
【0065】
さらに、プリンタ100はMICRデータを持ったパーソナルチェックなどの単票用紙(チェック用紙)106の処理も行えるようになっている。チェック用紙106は、本体101の前方101aに用意された用紙挿入口109から、後述する紙経路を通ってプリンタヘッド103とプラテン104との間に導かれ、印刷が終了した後は、プリンタの上方101cから排出される。
【0066】
以下の説明において、単票用紙としてパーソナルチェック106を用いた場合を例にとって説明する。なお、本例のプリンタは、パーソナルチェック以外にも、帳票類や、レシートなど様々な単票用紙に対し印刷できることはもちろんである。本例で参照しているパーソナルチェック106は、店舗の支払いに使用される個人使用用の小切手であり銀行で発行される。パーソナルチェックの表面106aには、使用者のアカウントなどがMICR−CMC7フォント文字107で印刷されている。MICR−CMC7フォント文字は文字形状や印字品質が規格化されており、また、パーソナルチェック上の印刷位置も規格化されている。従って、パーソナルチェックの所定の領域を磁気ヘッドで検出することによってMICR−CMC7フォント文字に対応した波形が得られ、この波形から印刷されたデータを判別できる。この際、磁気ヘッドで検出する前にMICR−CMC7フォント文字の付された領域に永久磁石を当て、MICR−CMC7フォント文字を磁化している。
【0067】
パーソナルチェック106の表面106aには、さらに、支払われる金額や支払い者のサインが記入される。また、パーソナルチェック106の裏面106bには、使用された日時、店舗名、金額などの記録が裏書き(エンドースメント印字)108される。店舗の担当者がパーソナルチェックを受け取ると、まず、MICR−CMC7フォント文字で記載されたデータからパーソナルチェックの有効または無効を確認し、次に、有効なパーソナルチェックにはエンドースメント印字を施す。
【0068】
プリンタ100においては、プリンタヘッド103によってエンドースメント印字108が可能なように、裏面106bを上にしてパーソナルチェック106はセットされる。このため、パーソナルチェック106が挿入口109から挿入されると、MICRデータ107は下方を向いてプリンタ本体の右側に沿って置かれる。
【0069】
図2は、複合処理装置のブロック構成図である。図2に、複合処理装置(プリンタ)100の紙経路202に沿って配置されたMICR−CMC7フォント文字の認識処理に係わる部分の構成を示す。
【0070】
紙経路202に沿って紙の挿入口109から順番に、チェック用紙に印刷されたMICR−CMC7フォント文字を磁化するための永久磁石203、MICR−CMC7フォント文字による波形を検出するための磁気ヘッド204が配置されている。挿入口109から挿入されたチェック用紙は紙送りローラ205に挟まれて紙経路202に沿って導かれ、永久磁石203および磁気ヘッド204を順番に通過し、チェック用紙に印刷されたMICR−CMC7フォント文字が検出される。紙経路202に沿って、さらに、印刷ヘッド103が設置されており、MICR−CMC7フォント文字によって記載されたアカウントなどの情報が確認されると、紙送りローラ205によってチェック用紙がさらに搬送され、印刷ヘッド103によってエンドースメント印字が連続して行えるようになっている。
【0071】
MICR−CMC7フォント文字を検出した磁気ヘッド204は、MICR文字検出回路206を介してプロセッサ210に検出磁気波形を送る。MICR文字検出回路206は、磁気ヘッド204で検出された磁束密度の変化による微小な電圧変化を増幅する増幅回路207と、様々なノイズやMICR文字の印刷不良による不要な信号を除去するフィルタ回路208と、フィルタ回路208を通過したアナログ信号をA/D変換してディジタル値を出力するA/D変換回路209を備えている。フィルタ回路208は、チェック用紙に対する紙送り速度とMICR−CMC7フォント文字の規格に従った配列間隔の長さによって定まるカットオフ周波数を用いて磁気ヘッド204からの不要な信号を除去できるようになっている。プロセッサ210は、MICR文字検出回路206から送られた検出磁気波形及び検出条件をRAM211に一次的に保管する。
【0072】
MICR−CMC7フォント文字を認識するための判定条件は、ROM212に記憶されているが、入力装置213により判定条件を変更することも可能で、変更された判定条件はRAM211に保管される。
【0073】
そして、MICR−CMC7フォント文字の検出が終了すると、RAM211に一次的に保管された検出磁気波形、検出条件及び変更された判定条件と、ROM212に記憶されている判定条件に基づいてMICR−CMC7フォント文字を認識する。
【0074】
MICR−CMC7フォント文字を認識できると、その結果を表示したりまたは外部のコンピュータなどに出力する。もちろん、MICR−CMC7フォント文字の検出磁気波形を直接コンピュータに転送し、コンピュータ側でMICR−CMC7フォント文字の認識に関する処理を行うことも可能である。
【0075】
プリンタ100においては、プロセッサ210が紙送りローラ205などの搬送機構を制御する機能も備えており、モータ制御回路215を介して搬送用のパルスモータ214を制御し、MICR−CMC7フォント文字の読み取り用と、印刷用とにパルスモータ214を兼用できるようになっている。さらに、プロセッサ210は、プリンタヘッド103を用いて印刷を行う印刷制御回路217を制御する機能も備えている。
【0076】
このように、プリンタ100は単票用紙へ印字する機能に加え、チェック用紙等の単票用紙に印刷されたMICRデータを読み取る機能を備えた複合処理装置である。そして、同一紙経路に沿って送られるチェック用紙に対し、印刷とMICRデータの読み取りの両方が可能なように、それぞれの機能は配置されており、パーソナルチェックに付されたMICR−CMC7フォント文字の読み取りと、パーソナルチェックへのデータの印刷、本例では特に裏書き印字を連続して処理できる。
【0077】
図3は、複合処理装置における文字認識の機能ブロック図である。
【0078】
プロセッサ210の搬送制御手段303は、モータ制御回路215を介してチェック用紙を搬送し、磁気ヘッド204によりMICR−CMC7フォント文字を検出する。磁気ヘッド204によって検出された検出磁気波形は、MICR文字検出回路206を介してプロセッサ210に入力される。
【0079】
プロセッサ210の磁気パターン検出手段304は、検出された検出磁気波形及び検出条件を、いったんRAM211の検出波形記憶部310に記憶する。
【0080】
MICR−CMC7フォント文字を認識するための判定条件は、ROM212の認識判定条件記憶部313に記憶されている。また、MICR−CMC7フォント文字を認識するための判定条件は、入力装置213を介してプロセッサ210の判定条件変更手段302によって、条件変更することも可能であり、変更された判定条件は、RAM211の判定条件変更記憶部312に記憶される。
【0081】
MICR−CMC7フォント文字の検出が終了すると、プロセッサ210の磁気パターン切り出し手段305は、RAM211の検出波形記憶部310に記憶された検出磁気波形から1文字ごとの開始位置を検出し、各文字の検出磁気波形を切り出す。
【0082】
プロセッサ210のピーク間隔測定手段306は、切り出された1文字分の検出磁気波形から6つのピーク間隔を測定する。ここで、検出磁気波形を検出しながら、6つのピーク間隔を測定してもよい。
【0083】
プロセッサ210のバー間隔算出手段307は、RAM211の検出波形記憶部310に記憶された検出磁気波形や検出条件に基づいて、測定した6つのピーク間隔からMICR−CMC7フォント文字の6つのバー間隔を算出する。
【0084】
プロセッサ210のパターン変換手段308は、ROM212の認識判定条件記憶部313およびRAM211の判定条件変更記憶部312に従って、6つのバー間隔のそれぞれを、「広い」間隔(=1)または「狭い」間隔(=0)のバー間隔パターンに変換する(以下、パターン変換という)。
【0085】
プロセッサ210の磁気パターン確定手段309は、ROM212の認識判定条件記憶部313に基づいて、パターン変換されたMICR−CMC7フォント文字の認識し、確定する。磁気パターン確定手段309において、文字が一義的に決まった場合は、その認識結果をRAM211の認識結果記憶部311に記憶する。磁気パターン確定手段309において、文字が一義的に決定できない場合は、チェック用紙を磁気ヘッド204に対し再び移動させてMICR−CMC7フォント文字を再検出したり、オペレータに文字の認識ができなかったことを通知するなどのエラー処理が行われる。
【0086】
プロセッサ210の制御手段301は、判定条件変更手段302、搬送制御手段303、磁気パターン検出手段304、磁気パターン切り出し手段305、ピーク間隔測定手段306、バー間隔算出手段307、パターン変換手段308及び磁気パターン確定手段309を関連付けて制御する。
【0087】
本発明の磁気パターンの認識方法は、複数のバーによって構成される、所定の磁気パターンが複数個付された領域を磁気検出して、検出された磁気パターンの検出磁気波形から複数のピークの隣り合う2つのピークの間の距離を表すピーク間隔を取得する磁気パターン読み取りステップと、このように取得した複数個のピーク間隔から、複数のバーの隣り合う2つのバーの間の広さを2つの値によって表すバー間隔パターンに変換することによって、磁気パターンを所定の文字として認識する磁気パターン認識ステップと、を備えている。例えば、MICR−CMC7フォント文字においては、磁気ヘッドによって取得した検出磁気波形のピーク間隔をバー間隔パターンに変換し、変換したバー間隔パターンを図7の対応表と比較して、文字を認識するステップを備えている。
【0088】
また、本発明の磁気パターンの認識方法は、磁気パターン認識ステップが、検出磁気波形から磁気パターンを構成する複数のバーの隣り合う2つのバーの間の距離であるバー間隔を算出するバー間隔算出ステップと、バー間隔算出ステップによって算出した前記バー間隔を、「広い」間隔または「狭い」間隔のバー間隔パターンに変換するパターン変換ステップと、パターン変換ステップによって変換した1つ分の磁気パターンのバー間隔パターンから磁気パターンを確定する磁気パターン確定ステップと、を備えている。例えば、バー間隔が「広い」間隔のとき、バー間隔パターンを1として、「狭い」間隔のとき、バー間隔パターンを0とする。
【0089】
また、本発明の磁気パターンの認識方法は、パターン変換ステップが、バー間隔が所定の判定境界範囲の最大境界値以上であるとき、バー間隔のバー間隔パターンを「広い」間隔と判定し、バー間隔が所定の判定境界範囲の最小境界値以下であるとき、バー間隔のバー間隔パターンを「狭い」間隔と判定することができる。即ち、バー間隔パターンが、確実に「広い」間隔であるバー間隔を判定することことができる。
【0090】
また、本発明の磁気パターンの認識方法は、パターン変換ステップが、1つ分の磁気パターンにおいて、バー間隔パターンの「広い」間隔の数と「狭い」間隔の数との割合が1対5であり、かつ、バー間隔のうち2番目に広いバー間隔と3番目に広いバー間隔との間に有意差があるとき、2番目に広いバー間隔のバー間隔パターンを「広い」間隔と判定することができる。例えば、MICR−CMC7フォント文字においては、「広い」間隔の数と「狭い」間隔の数の割合が1対5であるときは、MICR−CMC7フォント文字が折り曲げられているために、「広い」間隔が「狭い」間隔になっているバー間隔が存在する可能性がある。
従って、MICR−CMC7フォント文字が折り曲げられているために、「広い」間隔が「狭い」間隔になっているバー間隔を判定することができる。
【0091】
また、本発明の磁気パターンの認識方法は、パターン変換ステップが、1つ分の磁気パターンにおいて、バー間隔のうち2番目に広いバー間隔と3番目に広いバー間隔、所定の判定境界範囲の中央値、及び所定の調整係数が下記の条件を満たすとき、バー間隔のうち2番目に広いバー間隔と3番目に広いバー間隔との間に有意差があると判定することができる。
【0092】
2番目に広いバー間隔 >= 3番目に広いバー間隔 +
( 判定境界範囲の中央値−3番目に広いバー間隔 )* 調整係数
また、本発明の磁気パターンの認識方法は、磁気パターン確定ステップが、1つ分の磁気パターンにおけるバー間隔パターンの「広い」間隔の数と「狭い」間隔の数との割合が2対4であるとき、磁気パターンを一義的に確定することができる。
【0093】
また、本発明の磁気パターンの認識方法は、磁気パターン読み取りステップが、検出磁気波形及び検出条件を取得する磁気パターン検出ステップと、磁気パターン検出ステップによって取得した検出磁気波形から1つ分の磁気パターンの検出磁気波形を切り出す磁気パターン切り出しステップと、磁気パターン切り出しステップによって切り出した1つ分の磁気パターンの検出磁気波形の複数のピークから、隣り合う2つのピークの間の距離を測定するピーク間隔測定ステップと、を備えている。例えば、検出条件として、CMC7チェックの用紙を読み取る速さなども必要である。読み取る速さにより取得される検出磁気波形が異なってくる。
【0094】
上述した本発明の磁気パターンの認識方法について、図を参照しながら以下に詳細に説明する。図4は、複合処理装置における文字認識処理のフローチャート図である。
【0095】
まず、RAM211に記憶されている検出磁気波形から文字の開始位置を検出する(ステップS401)。例えば、MICR−CMC7フォント文字「SV」に対しては、図9(b)に示すような検出磁気波形911が得られる。検出磁気波形911の1番目のピーク(図9(b)の左端のピーク)が、文字の開始位置として識別される。
【0096】
次に、1文字分の検出磁気波形を切り出す(ステップS402)。例えば、切り出された1文字分の検出磁気波形は、図9(b)に示すように、7つのピークからなっている。
【0097】
次に、切り出された1文字分の検出磁気波形のピークから隣り合う2つのピークの間の距離(以下、ピーク間隔という)を測定する(ステップS403)。即ち、6つのピーク間隔を測定する。
【0098】
次に、RAM211の検出波形記憶部310に記憶されている検出条件に基づいて、測定された検出磁気波形のピーク間隔からMICR−CMC7フォント文字のバー間隔を算出する(ステップS404)。
【0099】
次に、ROM212に記憶されている認識判定条件記憶部313に基づいて、算出されたバー間隔を「広い」間隔(=1)または「狭い」間隔(=0)のバー間隔パターンにパターン変換する(ステップS405)。また、「広い」間隔または「狭い」間隔のどちらにも判定できない場合、算出されたバー間隔を「判定不可能」間隔(=?)とする。ステップS405におけるパターン変換を第1パターン変換とする。第1パターン変換の変換条件は下記に従う。ここで、バー間隔パターンをP、バー間隔をL、バー間隔の「広い」間隔閾値をR1(mm)、バー間隔の「狭い」間隔閾値をR2(mm)とする。
【0100】
L >= R1 のとき、P = 1
R1 > L > R2 のとき、 P = ?
L =< R2 のとき、P = 0
ステップS405において、バー間隔パターンが、確実に「広い」間隔であるバー間隔を判定している。
【0101】
ステップS404とステップS405とを、1文字分の全てのピーク間隔について、即ち、6つのピーク間隔について繰り返し実行して、1文字分のMICR−CMC7フォント文字のバー間隔を第1パターン変換する(ステップS406)。1文字分の第1パターン変換が終了した場合(ステップS406;Yes)は、次のステップS407に移る。また、1文字分の第1パターン変換が終了しない場合は(ステップS406;No)、ステップS404に戻る。
【0102】
次に、第1パターン変換されたMICR−CMC7フォント文字のバー間隔パターンにおいて、バー間隔の「広い」間隔の数をN1としたとき、N1が2個であるか否かを判定する(ステップS407)。図7の対応表からわかるように、文字が数字または記号である場合はN1が2個である。従って、検出された文字が数字または記号である場合は(ステップS407;Yes)、次のステップS408に移る。
【0103】
次に、第1パターン変換されたMICR−CMC7フォント文字のバー間隔パターンにおいて、バー間隔の「狭い」間隔の数をN0とし、バー間隔の「判定不可能」間隔の数をN?としたとき、N1:N0:N?=2:4:0であるか否かを判定する(ステップS408)。「判定不可能」間隔のバー間隔が存在する場合は、文字を認識することができない。即ち、N?=0の場合のみにおいて、文字は数字または記号であると判定する。従って、N1:N0:N?=2:4:0である場合、即ち、検出された文字が数字または記号であると判定された場合は(ステップS408;Yes)、次のステップS409に移る。
【0104】
第1パターン変換されたMICR−CMC7フォント文字のバー間隔パターンを、ROM212の認識判定条件記憶部313に基づいて、即ち、図7の対応表に基づいて、一義的に認識し、文字を確定する(ステップS409)。
【0105】
一方、MICR−CMC7フォント文字のバー間隔パターンにおいて、バー間隔の「広い」間隔の数N1、「狭い」間隔の数N0及び「判定不可能」間隔の数N?との割合が、N1:N0:N?=2:4:0でない場合は(ステップS408;No)、文字を認識不可能としてエラー処理を実行し(ステップS413)、文字の認識処理を終了する。ここで、認識対象となる文字は、数字または記号である。 MICR−CMC7フォント文字のバー間隔パターンにおいて、バー間隔の「広い」間隔の数N1が2個でない場合は(ステップS407;No)、バー間隔の「広い」間隔の数N1が1個であるか否かを判定する(ステップS410)。
【0106】
バー間隔の「広い」間隔の数N1が1個である場合(ステップS410;Yes)は、図9(b)に示したようにチェック用紙が折り曲げられることにより、バー間隔の「広い」間隔(=1)が「狭い」間隔(=0)になってしまった可能性がある。従って、チェック用紙が折り曲げられることにより、バー間隔の「広い」間隔(=1)が「狭い」間隔(=0)になってしまう場合を考慮したパターン変換を、更に実行する。このパターン変換を第2パターン変換とする。
【0107】
チェック用紙が折り曲げられることにより、バー間隔の「広い」間隔(=1)が「狭い」間隔(=0)になってしまう可能性のあるバー間隔は、折り目の存在するバー間隔だけである。従って、バー間隔の「広い」間隔の数N1が1個でない場合(ステップS410;No)は、文字を認識不可能としてエラー処理を実行し(ステップS413)、文字の認識処理を終了する。ここで、認識対象となる文字は、数字または記号である。
【0108】
第2パターン変換の変換条件は、下記に従う。ここで、MICR−CMC7フォント文字の6つのバー間隔のうちで2番目に広いバー間隔をL2とし、3番目に広いバー間隔をL3とする。即ち、ステップS405において、バー間隔の「広い」間隔と判断されなかった5つのバー間隔のうちで1番目に広いバー間隔をL2とし、2番目に広いバー間隔をL3とする。また、バー間隔L2のバー間隔パターンをP2とし、バー間隔の「広い」間隔閾値をR1とし、バー間隔の「狭い」間隔閾値をR2とし、調整係数をCとする。
【0109】
L2 >= L3+{(R1+R2)/2−L3}*C のとき、
P2 = 1
L2 < L3+{(R1+R2)/2−L3}*C のとき、
P2は、第1パターン変換のままとする。
【0110】
L2 >= L3+{(R1+R2)/2−L3}*C が成立する場合(ステップS411;Yes)は、バー間隔L2とバー間隔L3の有意差が十分に取れることを意味しており、チェック用紙が折り曲げられることにより、バー間隔の「広い」間隔(=1)が「狭い」間隔(=0)になってしまう場合であると判定できる。従って、ステップS405において、「広い」間隔と判断されなかったバー間隔L2を「広い」間隔(=1)として、パターン変換する(ステップS412)。
【0111】
次に、第2パターン変換されたMICR−CMC7フォント文字のバー間隔パターンにおいて、N1:N0:N?=2:4:0であるか否かを判定する(ステップS408)。「判定不可能」間隔のバー間隔が存在する場合は、文字を認識することができない。即ち、N?=0の場合のみにおいて、文字は数字または記号であると判定する。従って、N1:N0:N?=2:4:0である場合、即ち、検出された文字が数字または記号であると判定された場合は(ステップS408;Yes)、次のステップS409に移る。
【0112】
第2パターン変換されたMICR−CMC7フォント文字のバー間隔パターンを、ROM212の認識判定条件記憶部313に基づいて、即ち、図7の対応表に基づいて、一義的に認識し、文字を確定する(ステップS409)。
【0113】
L2 < L3+{(R1+R2)/2−L3}*C が成立する場合(ステップS411;No)は、文字を認識不可能としてエラー処理を実行し(ステップS413)、文字の認識処理を終了する。
【0114】
文字を一義的に認識した後は、ステップS401からステップS413を繰り返して、チェック用紙上の全ての文字について、文字の認識処理が実行されたか否かを判定する(ステップS414)。
【0115】
また、ステップS413において、文字を認識不可能としてエラー処理を実行した後、上述した文字の認識処理を終了せずに、次の文字の認識処理を実行するためのステップS414に移っても良い。
【0116】
チェック用紙上の全ての文字について、文字の認識処理が実行された場合(ステップS414;Yes)は、文字の認識処理を終了する。チェック用紙上の全ての文字について、文字の認識処理が実行されていない場合(ステップS414;No)は、次の文字を認識するために、ステップS401に戻る。
【0117】
尚、ステップS413において、数字または記号以外は、認識不可能としてエラー処理しているが、ここで、自動的にチェック用紙を紙経路202に沿ってバックフィードし、再び磁気ヘッド204の前面を通過させてMICR−CMC7フォント文字の読み取りを行うことも考えられる。または、オペレータに対し認識できなかった個所を示してマニュアルで入力させることも可能である。また、MICR−CMC7フォント文字を識別ができなかったとしてチェック用紙をプリンタ100から排出しても良い。
【0118】
図5は、1文字分の検出磁気波形から算出したバー間隔を「広い」間隔(=1)または「狭い」間隔(=0)のパターンに変換する第1変換パターンと第2変換パターンの説明図を示す。
【0119】
図5(a)は、折り曲げられた部分の無い正常な状態のチェック用紙に印刷されたMICR−CMC7フォント文字のバー間隔の分布図を示す。
【0120】
折り曲げられた部分の無い正常な状態のチェック用紙に印刷されたMICR−CMC7フォント文字のバー間隔は、図5(a)に示すように、0.5mmと0.3mmの近傍に分布する。これは、MICR−CMC7フォント文字をチェック用紙に印刷する場合、バー間隔パターンが「広い」間隔は0.5mmを目標に、バー間隔の「狭い」間隔は0.3mmを目標に印刷するためである。
【0121】
従って、折り曲げられた部分の無い正常な状態のチェック用紙において、「広い」間隔で印刷されたバー間隔は、0.5mmに近傍に分布し、「狭い」間隔で印刷されたバー間隔は、0.3mmの近傍に分布する。ここで、0.5mm近傍の分布を「広い」間隔分布501とし、0.3mm近傍の分布を「狭い」間隔分布502とする。
【0122】
折り曲げられた部分の無い正常な状態のチェック用紙に印刷されたMICR−CMC7フォント文字のバー間隔を、バー間隔パターンの「広い」間隔または「狭い」間隔と判定する場合は、判定境界範囲503に基づいて判断する。判定境界範囲503は幅を持っており、「広い」間隔との境界値を「広い」間隔閾値504とし、「狭い」間隔との境界値を「狭い」間隔閾値505とする。ここで、「広い」間隔閾値504の値をR1とし、「狭い」間隔閾値505の値をR2とする。また、「広い」間隔閾値504以上のバー間隔範囲を「広い」間隔範囲506とし、「狭い」間隔閾値505以下のバー間隔範囲を「狭い」間隔範囲507とする。
【0123】
図5(b)は、チェック用紙に印刷されたMICR−CMC7フォント文字のバー間隔に折り目が存在する場合のバー間隔の分布図を示す。
【0124】
バー間隔の分布図は、折り目が存在するために、一点鎖線で示した正常な状態の分布から、実線で示されるような分布に変移する。ここで、正常な状態の「広い」間隔分布501が折り目によって変移した分布を「広い」間隔変移分布508とし、正常な状態の「狭い」間隔分布502が折り目によって変移した分布を「狭い」間隔変移分布509とする。
【0125】
図から分かるように、「広い」間隔変移分布508は、判定境界範囲503と重なったり、または「狭い」間隔範囲507と重なったりする。
【0126】
本発明は、2段階からなるパターン変換(以下、第1パターン変換、第2パターン変換とする)に基づいて、算出したバー間隔を「広い」間隔(=1)または「狭い」間隔(=0)にパターン変換する。
まず、第1パターン変換は、算出したバー間隔を、「広い」間隔または「狭い」間隔に変換する。ここで、「広い」間隔または「狭い」間隔に判定できない場合を「判定不可能」間隔(=?)とする。第1パターン変換の変換条件は下記に従う。
【0127】
L >= R1 のとき、P = 1
R1 > L > R2 のとき、 P = ?
L =< R2 のとき、P = 0
1文字分の算出した6つのバー間隔を、バー間隔の大きい順に、L1、L2、L3、L4、L5、L6とし、即ち、L1>=L2>=L3>=L4>=L5>=L6とし、それぞれのバー間隔に対応するバー間隔パターンをP1、P2、P3、P4、P5、P6とした場合、
L2 >= R1 > L3のときは、
(P1,P2,P3,P4,P5,P6) = (1,1,0,0,0,0)
となり、チェック用紙に印刷されたMICR−CMC7フォント文字は数字または記号であると認識できる。 L1 >= R1 > L2のときは、
(P1,P2,P3,P4,P5,P6) = (1,0,0,0,0,0)
となる。尚、バー間隔パターンが「0」の替わりに「?」となり、「1」、「0」及び「?」が混在する場合もある。
【0128】
しかし、図5(b)に示すように、折り目が存在しない正常な状態の場合は、「広い」間隔であるはずのバー間隔L2’が、折り目が存在するために、「狭い」間隔のバー間隔L2となってしまった可能性もある。
【0129】
そこで、第2パターン変換は、バー間隔L2とバー間隔L3の有意差が十分取れる場合は、バー間隔L2を「広い」間隔とする。ここで、第2パターン変換の変換条件は下記に従う。ここで、調整係数をC(=4/5)とする。
【0130】
L2 >= L3+{(R1+R2)/2−L3}*C のとき、
P2 = 1
L2 < L3+{(R1+R2)/2−L3}*C のとき、
P2は、第1パターン変換のままとする。
【0131】
従って、L1 >= R1 > L2 かつ
L2 >= L3+{(R1+R2)/2−L3}*C のときは、
(P1,P2,P3,P4,P5,P6) = (1,1,0,0,0,0)
となり、チェック用紙に印刷されたMICR−CMC7フォント文字は数字または記号であると認識できる。
【0132】
上述したように、チェック用紙に印刷されたMICR−CMC7フォント文字のバー間隔を第1パターン変換と第2パターン変換によって、従来、文字として認識できなかった、折り目の存在するMICR−CMC7フォント文字についても文字として認識できるようになる。
【0133】
本発明の情報記録媒体は、上述の磁気パターンの認識方法のステップを有するプログラムを記録することもできる。
【0134】
また、本発明の情報記録媒体は、コンパクト・ディスク、フロッピー・ディスク、ハード・ディスク、光磁気ディスク、ディジタル・ビデオ・ディスク、もしくは磁気テープであっても良い。
【0135】
また、本発明の磁気パターン認識装置は、複数のバーによって構成される、所定の磁気パターンが複数個付された領域を磁気検出して、検出された磁気パターンの検出磁気波形から複数のピークの隣り合う2つのピークの間の距離を表すピーク間隔を取得する磁気パターン読み取り手段と、このように取得した複数個のピーク間隔から、複数のバーの隣り合う2つのバーの間の広さを2つの値によって表すバー間隔パターンに変換することによって、磁気パターンを所定の文字として認識する磁気パターン認識手段と、を備えている。
【0136】
また、本発明の磁気パターン認識装置は、磁気パターン認識手段が、検出磁気波形から磁気パターンを構成する複数のバーの隣り合う2つのバーの間の距離であるバー間隔を算出するバー間隔算出手段と、バー間隔算出手段によって算出した前記バー間隔を、「広い」間隔または「狭い」間隔のバー間隔パターンに変換するパターン変換手段と、パターン変換手段によって変換した1つ分の磁気パターンのバー間隔パターンから磁気パターンを確定する磁気パターン確定手段と、を備えている。
【0137】
また、本発明の磁気パターン認識装置は、パターン変換手段が、バー間隔が所定の判定境界範囲の最大境界値以上であるとき、バー間隔のバー間隔パターンを「広い」間隔と判定し、バー間隔が所定の判定境界範囲の最小境界値以下であるとき、バー間隔のバー間隔パターンを「狭い」間隔と判定することができる。
【0138】
また、本発明の磁気パターン認識装置は、パター変換手段が、1つ分の磁気パターンにおいて、バー間隔パターンの「広い」間隔の数と「狭い」間隔の数との割合が1対5であり、かつ、バー間隔のうち2番目に広いバー間隔と3番目に広いバー間隔との間に有意差があるとき、2番目に広いバー間隔の前記バー間隔パターンを「広い」間隔と判定することができる。
【0139】
また、本発明の磁気パターン認識装置は、パターン変換手段が、1つ分の磁気パターンにおいて、バー間隔のうち2番目に広いバー間隔と3番目に広いバー間隔、所定の判定境界範囲の中央値、及び所定の調整係数が下記の条件を満たすとき、バー間隔のうち2番目に広いバー間隔と3番目に広いバー間隔との間に有意差があると判定することができる。
【0140】
2番目に広いバー間隔 >= 3番目に広いバー間隔 +
( 判定境界範囲の中央値−3番目に広いバー間隔 )* 調整係数
また、本発明の磁気パターン認識装置は、磁気パターン確定手段が、1つ分の磁気パターンにおけるバー間隔パターンの「広い」間隔の数と「狭い」間隔の数との割合が2対4であるとき、磁気パターンを一義的に確定することができる。
【0141】
また、本発明の磁気パターン認識装置は、磁気パターン読み取り手段が、検出磁気波形及び検出条件を取得する磁気パターン検出手段と、磁気パターン検出手段によって取得した検出磁気波形から1つ分の磁気パターンの検出磁気波形を切り出す磁気パターン切り出し手段と、磁気パターン切り出し手段によって切り出した1つ分の磁気パターンの検出磁気波形の複数のピークから、隣り合う2つのピークの間の距離を測定するピーク間隔測定手段と、を備えている。
【0142】
また、本発明の複合処理装置は、上述の磁気パターン認識装置の手段を備えている。
【0143】
また、本発明の複合処理装置は、パルスモータを備えた紙送り手段と、紙送り手段により送られた紙片に印刷する印刷手段と、紙送り手段によって送られた紙片に付された磁気パターンを検出する磁気検出手段と、を更に備えている。
【0144】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、以下の効果を奏する。
【0145】
MICR−CMC7フォント文字が印刷されたCMC7チェック用紙の文字認識において、MICR−CMC7フォント文字が折り曲げられた状態の場合、文字の認識が不可能であったり、誤認識されてしまっていたが、以下の方法によって、CMC7チェック用紙上の折り曲げられたMICR−CMC7フォント文字についても、数字及び記号として、認識できる磁気パターンの認識方法を提供する。
【0146】
磁気パターンの認識において、取得した検出磁気波形から1つ分の磁気パターンの検出磁気波形を切り出す。切り出した検出磁気波形の複数のピーク間隔を測定する。測定した複数のピーク間隔から磁気パターンの複数バー間隔を算出する。算出した複数のバー間隔のそれぞれを2段階からなる判定条件に基づいて、バー間隔パターンの「広い」間隔または「狭い」間隔に変換する。変換した1つ分の磁気パターンのバー間隔パターンから、バー間隔パターンと文字の対応表に基づいて、文字を認識する。
【0147】
また、上述した磁気パターンの認識方法のプログラムを記録した情報記録媒体をソフトウェア商品として、容易に配布したり販売したりすることができる。
【0148】
更に、上述した磁気パターンの認識方法を実行する手段を備えた磁気パターン認識装置及び複合処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】複合処理装置の概要を示す斜視図である。
【図2】複合処理装置のブロック構成図である。
【図3】複合処理装置における文字認識の機能ブロック図である。
【図4】複合処理装置における文字認識処理のフローチャート図である。
【図5】(a)折り曲げられた部分の無いMICR−CMC7フォント文字のバー間隔の分布図、
(b)折り曲げられた部分の存在するMICR−CMC7フォント文字のバー間隔の分布図である。
【図6】数字と記号を示すMICR−CMC7フォント文字の一例である。
【図7】MICR−CMC7フォント文字のバー間隔パターンの対応表である。
【図8】(a)折り曲げる前のCMC7チェック用紙の切断図、
(b)折り曲げた後のCMC7チェック用紙の切断図、
(c)折り曲げる前のバー間隔図、
(d)折り曲げた後のバー間隔図である。
【図9】(a)MICR−CMC7フォント文字のバーと検出磁気波形の関係図、
(b)MICR−CMC7フォント文字を折り曲げる前の検出磁気波形と折り曲げた後の検出磁気波形の関係図である。
【符号の説明】
100 複合処理装置(プリンタ)
210 プロセッサ
211 RAM
212 ROM
213 入力装置
301 制御手段
302 判定条件変更手段
303 搬送制御手段
304 磁気パターン検出手段
305 磁気パターン切り出し手段
306 ピーク間隔測定手段
307 バー間隔算出手段
308 パターン変換手段
309 磁気パターン確定手段
310 検出波形記憶部
311 認識結果記憶部
312 判定条件変更記憶部
313 認識判定条件記憶部
501 「広い」間隔のバー間隔分布
502 「狭い」間隔のバー間隔分布
503 判定境界範囲
504 「広い」間隔閾値
505 「狭い」間隔閾値
506 「広い」間隔範囲
507 「狭い」間隔範囲
508 折り曲げられた状態の「広い」間隔のバー間隔分布
509 折り曲げられた状態の「狭い」間隔のバー間隔分布

Claims (8)

  1. 複数のバーによって1文字が構成される磁気パターンの認識方法であって、
    前記磁気パターンから1文字分の検出磁気波形を取得するステップと、
    前記検出磁気波形から、各バー間の距離であるバー間隔を算出するステップと、
    前記バー間隔のそれぞれの距離と判定境界範囲に基づく閾値との比較によって、バー間隔が広い広バー間隔とバー間隔が狭い狭バー間隔の2種類に判別するステップと、
    前記広バー間隔の数が前記所定の数より少ないと判断された場合に、
    狭バー間隔の内の1番目に広いバー間隔 ≧ 狭バー間隔の内の2番目に広いバー間隔 +( 判定境界範囲の中央値−狭バー間隔の内2番目に広いバー間隔 )* 調整係数
    の式にしたがって、前記狭バー間隔の内の1番目に広い狭バー間隔を広バー間隔として扱うステップと、
    判別された広バー間隔と狭バー間隔のバー間隔パターンを作成するステップと、
    前記バー間隔パターンに基づいて前記磁気パターンから所定の文字を認識するステップとを含むことを特徴とする磁気パターンの認識方法。
  2. 前記1文字を構成する複数のバーのうち、前記広バー間隔の数が所定の数であると判断された場合に、前記バー間隔パターンに基づいて前記磁気パターンから文字を認識する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の磁気パターンの認識方法。
  3. 前記磁気パターンは、磁気インク文字に基づくものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の磁気パターンの認識方法。
  4. 請求項1〜3のいづれか1項に記載の磁気パターンの認識方法のステップ実行するためのプログラムを記録した情報記録媒体。
  5. 前記情報記録媒体は、コンパクト・ディスク、フロッピー(登録商標)・ディスク、ハード・ディスク、光磁気ディスク、ディジタル・ビデオ・ディスク、もしくは磁気テープであることを特徴とする請求項に記載した情報記録媒体。
  6. 複数のバーによって1文字が構成される磁気パターンの認識装置であって、
    前記磁気パターンから検出磁気波形を取得する磁気パターン検出手段と、
    前記検出磁気波形から、各バー間隔を算出するバー間隔算出手段と、
    前記バー間隔のそれぞれの距離と判定境界範囲に基づく閾値との比較によって、バー間隔が広い広バー間隔とバー間隔が狭い狭バー間隔の2種類に判別するバー間隔判別手段と、
    前記広バー間隔の数が前記所定の数より少ないと判断された場合に、
    狭バー間隔の内の1番目に広いバー間隔 ≧ 狭バー間隔の内の2番目に広いバー間隔 +( 判定境界範囲の中央値−狭バー間隔の内2番目に広いバー間隔 )* 調整係数
    の式にしたがって、前記狭バー間隔の内の1番目に広い狭バー間隔を広バー間隔として扱う判断手段と、
    前記判別された広バー間隔と狭バー間隔のバー間隔パターンを作成する配列パターン作成手段と、
    前記バー間隔パターンに基づいて前記磁気パターンから所定の文字を認識する文字認識
    手段と、 ことを特徴とする磁気パターンの認識装置。
  7. 前記1文字を構成する複数のバーのうち、前記広バー間隔の数が所定の数であると判断された場合に、前記バー間隔パターンに基づいて前記磁気パターンから文字を認識する、
    ことを特徴とする請求項に記載の磁気パターンの認識装置。
  8. 前記磁気パターンは、磁気インク文字に基づくものであることを特徴とする、請求項6又は7に記載の磁気パターンの認識装置。
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