JP4042320B2 - 磁気パターンの認識方法、情報記録媒体、磁気パターン認識装置及び複合処理装置 - Google Patents

磁気パターンの認識方法、情報記録媒体、磁気パターン認識装置及び複合処理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気パターンの認識方法、情報記録媒体、磁気パターン認識装置及び複合処理装置に関する。特に、磁気パターンの認識方法において、磁気パターンの取得した検出磁気波形の積分波形における、複数のバーから構成される磁気パターンの隣り合う2本のバーの間の距離に基づいて形成される凹曲線の位置によって、磁気パターンを文字として認識するステップを備えた磁気パターンの認識方法、情報記録媒体、磁気パターン認識装置及び複合処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、金融機関などにおいては、磁気インク文字が使用されており、磁気インク文字の印刷されたチェック用紙などが磁気パターン認識装置によって選別され、集計等の作業が行われていた。現金やカードと同様に多くのパーソナルチェックが店舗における買い物に使用されるケースも多い。このパーソナルチェックの表面には、カスタマーアカウントやパーソナルチェックのシリアル番号などが磁気インク文字(MICR文字、Magnetic Ink Character Recognition)を用いて記載してあり、この磁気インク文字を磁気ヘッドで読み取り、これらのデータを照会することによって、パーソナルチェックの有効・無効が確認できるようになっている。
【0003】
このため、各々の店舗の会計処理ステーション(POSステーション)に磁気インクを認識するための装置が設置されるようになっており、これらの多くの装置は直流モータを用いてパーソナルチェック用紙を搬送しながら磁気ヘッドによって磁気インク文字を認識するようになっている。
【0004】
MICR文字としては、欧州や南米などにおいて使用されているCMC7フォントと主に北米において使用されているE13Bフォントがある。以下、磁気インク文字であるMICR文字のCMC7フォント(以下、MICR−CMC7フォント文字とする)を使用して説明する。
【0005】
MICR−CMC7フォント文字を使用して印刷されたCMC7チェックの規格においては、フォントとして、10種類の数字、5種類の記号及び26種類のアルファベットが存在する。
【0006】
MICR−CMC7フォント文字は磁気バーコードである。一文字が7本のバーで構成され、隣り合う2本のバーによって形成される6個のバー間隔が「広い」間隔(=1)、または「狭い」間隔(=0)の組み合せによって、文字を認識する。MICR−CMC7フォント文字において、バー間隔の「広い」間隔の数をN1、「狭い」間隔の数をN0とすると、数字と記号は、N1:N0=2:4であり、アルファベットは、N1:N0=1:5またはN1:N0=3:3である。
【0007】
検出磁気波形は、CMC7チェック用紙の磁化されたバーによる磁束密度の変化を電圧変化として測定したものである。従って、検出磁気波形は微分波形となり、バーの端部の位置において、極値をとる波形となる。図17は、磁気バーコードであるMICR−CMC7フォント文字の検出磁気波形を示す図である。図17に示すように、1文字は7本のバーによって構成されていることから、検出磁気波形は7個の極大点を持つ。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
磁気パターンの認識において、取得した検出磁気波形から1文字分の磁気パターンの検出磁気波形を切り出し、切り出した検出磁気波形を積分した積分波形を生成し、生成した積分波形の極小点とそれを挟む2個の極大点とによって形成される凹曲線と、2個の極大点を結ぶ直線とによる空間(以下、「谷」という)の面積の大小が、磁気パターンのバー間隔の広狭に依存する。
【0009】
図16は、積分波形の生成方法を示す図である。図16(a)は、一般的な波形を示す図であり、図16(b)は、波形の積分方法を示す図である。図16(c)は、検出磁気波形を示す図であり、図16(d)は、検出磁気波形の積分波形を示す図である。図16(a)、(b)から明らかなように、波形を構成する複数の点のy座標の値を、x軸の右方向に順次加算した値を、グラフ化した波形が積分波形である。図16(c)、(d)から明らかなように、積分波形の谷の面積の大小は、検出磁気波形のピーク間隔の広狭に依存する。即ち、ピーク間隔L1、L2、L3、L4のそれぞれに最も大きく影響を受ける積分波形の谷の面積はS1、S2、S3、S4である。例えば、谷の面積S1は、ピーク間隔L1とL2の影響を受ける。更に、谷の面積S1に対する影響の度合いは、ピーク間隔L1がピーク間隔L2に比べて大きい事がわかる。また、広いピーク間隔に影響を受ける谷の面積は大きいことが分かる。一方、ピーク間隔が広いとは、磁気パターンのバー間隔が広いことを表す。
【0010】
従って、磁気パターンのバー間隔パターンが「広い」間隔であるバー間隔によって影響を受ける谷は、面積の大きい谷である。そこで、磁気パターンのバー間隔または検出磁気波形のピーク間隔によって、磁気パターンを認識するのではなく、検出磁気波形の積分波形の谷によって、磁気パターンを認識する。即ち、バー間隔が広いとき、谷の面積が大きくなる。そこで、生成した積分波形の谷の面積に基づいて、谷を「深い谷」または「浅い谷」の谷パターンに変換し、谷パターンが「深い谷」である谷の、積分波形の有効領域における相対位置に基づいて、文字を認識する。ここで、「深い谷」とは、面積の大きい谷のことであり、「浅い谷」とは、面積の小さい谷のことである。
【0011】
磁気パターン認識装置の磁気ヘッドに使用される磁性体材料は、磁気ヘッドのコストを下げるために様々な材料が使われるようになってきている。そのため、検出磁気波形および検出磁気波形を積分した積分波形が、磁気ヘッドに使用される磁性体材料の種類によって異なる。従来は、1文字分の積分波形における最右端の「深い谷」の深さと同一な波高の最右端部側の点と、最左端の「深い谷」の深さと同一な波高の最左端部側の点との間の水平方向の距離を積分波形の幅として、この積分波形の幅における「深い谷」の相対位置を算出していた。従って、積分波形が、磁気パターン認識装置の磁気ヘッドに使用される磁性体材料の種類によって異なることから、積分波形から算出される積分波形の幅における「深い谷」の相対位置も、磁性体材料の種類によって異なる。
【0012】
図15は、磁気ヘッドに使用される磁性体材料の種類の違いによる積分波形の違いを示す図である。磁化率の大きい磁性体材料は、磁気パターンの複数本のバーによる磁場の影響を受けることから、積分波形の「深い谷」の深さが浅くなってしまう。そのため、従来の積分波形の幅は、磁気パターン認識装置の磁気ヘッドに使用される磁性体材料の種類によって大きく異なってしまう。図15に示すように、磁化率の異なる材料1、材料2および材料3を使用した磁気ヘッドによって得られた積分波形の幅は異なる。
【0013】
従って、積分波形の幅における「深い谷」の相対位置を算出し、算出した相対位置によって文字を認識する場合、積分波形の有効領域が狭くなると、相対位置の誤差は大きくなってしまい、文字を認識できないまたは文字を誤認識するという問題点があった。また、磁気パターン認識装置の構成及び磁気パターンから予想される有効領域よりも、積分波形の有効領域が狭くなると、正常な波形として認識することができないという問題点があった。即ち、磁気パターン認識装置の磁気ヘッドに使用される磁性体材料の種類によって文字を認識できないまたは文字を誤認識するという問題点があった。例えば、図15の材料1を使用した磁気ヘッドの磁気パターン認識装置において認識できた文字が、材料3を使用した磁気ヘッドの磁気パターン認識装置において認識できない場合があった。
【0014】
また、従来の積分波形の幅に基づいて文字を認識する場合、文字認識可能な磁気ヘッドを磁気パターン認識装置の磁気ヘッドとして使用するために、コストの高い磁性体材料の種類を使用した磁気ヘッド、即ち、コストの高い磁気パターン認識装置を使用しなければならないという問題点もあった。
【0015】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたもので、磁気パターンの認識方法において、磁気パターンの取得した検出磁気波形における1文字分の積分波形の有効領域に基づいた谷の相対位置によって、磁気パターンを文字として認識するステップを備えた磁気パターンの認識方法、情報記録媒体、磁気パターン認識装置及び複合処理装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述した従来の問題点を解決すべく研究を重ねた。その結果、磁気パターンの認識において、磁気パターンの取得した検出磁気波形における1文字分の積分波形の有効領域を積分波形の傾きに基づいて算出することによって、磁気ヘッドに使用される磁性体材料の種類の違いによる積分波形の谷の深さの違いとは無関係に、積分波形の有効領域を算出できることが判明した。即ち、算出した積分波形の有効領域における谷の相対位置を算出することによって、文字を認識できることが判明した。
【0017】
また、磁気ヘッドに使用される磁性体材料の種類に係わらず、文字を認識できることから、コストの低い磁性体材料を使用した磁気ヘッドを備えることによって、コストの低い磁気パターン認識装置を作成できることが判明した。
【0018】
上記研究結果に基づき、以下の発明を提供する。
【0019】
本発明の磁気パターンの認識方法は、複数のバーによって構成される磁気パターンの検出磁気波形を積分して得られる1文字分の積分波形の有効領域を算出することによって、複数のバーの隣り合う2本のバーの間の距離に基づいて形成される積分波形の凹曲線の位置に基づいて、磁気パターンを文字として認識する磁気パターンの認識方法であって、下記のステップを備えた磁気パターンの認識方法である。
(a)微分波形からなる検出磁気波形を積分した積分波形を生成する積分波形生成ステップと、
(b)積分波形生成ステップによって生成した積分波形の極小点と極小点を挟む2個の極大点とによって形成される凹曲線と、2個の極大点を結ぶ直線とからなる空間で表される谷を、「深い谷」または「浅い谷」の谷パターンに変換する谷パターン変換ステップと、
(c)谷パターン変換ステップによって変換された谷パターンの中の「深い谷」の位置に基づいて、磁気パターンを識別する磁気パターン識別ステップであって、
(c1)谷の位置を算出する谷位置算出ステップと、
(c2)谷位置算出ステップによって算出した谷の位置から、積分波形の有効領域を算出する有効領域算出ステップであって、
(c21)積分波形の両端側の「深い谷」の深さと同一の値となる積分波形の最端部側位置を算出し、算出した最端部側位置を積分波形における有効領域の境界点検索開始位置とする境界点検索開始位置算出ステップと、
(c22)境界点検索開始位置算出ステップによって算出された有効領域の境界点検索開始位置から、積分波形の端部方向に積分波形における有効領域の境界点を検索する有効領域境界点検索ステップと、を備える有効領域算出ステップと、
(c3)谷位置算出ステップによって算出した谷の位置から、有効領域算出ステップによって算出された積分波形の有効領域における谷の相対位置を算出する谷相対位置算出ステップと、
(c4)谷相対位置算出ステップによって算出した谷の相対位置から、磁気パターンを確定する磁気パターン確定ステップと、を備える磁気パターン識別ステップ。
【0020】
また、本発明の磁気パターンの認識方法は、複数のバーによって構成される磁気パターンの検出磁気波形を積分して得られる1文字分の積分波形の有効領域を算出することによって、複数のバーの隣り合う2本のバーの間の距離に基づいて形成される積分波形の凹曲線の位置に基づいて、磁気パターンを文字として認識する磁気パターンの認識方法であって、下記のステップを備えた磁気パターンの認識方法である。
(a)微分波形からなる検出磁気波形を積分した積分波形を生成する積分波形生成ステップであって、
(a1)検出磁気波形及び検出条件を取得する磁気パターン検出ステップと、
(a2)磁気パターン検出ステップ(a1)によって取得した検出磁気波形から1文字分の磁気パターンの検出磁気波形を切り出す磁気パターン切り出しステップと、を備える積分波形生成ステップと、
(b)積分波形生成ステップによって生成した積分波形の極小点と極小点を挟む2個の極大点とによって形成される凹曲線と、2個の極大点を結ぶ直線とからなる空間で表される谷を、「深い谷」または「浅い谷」の谷パターンに変換する谷パターン変換ステップと、
(c)谷パターン変換ステップによって変換された谷パターンの中の「深い谷」の位置に基づいて、磁気パターンを識別する磁気パターン識別ステップ。
【0021】
これらの場合において、磁気パターン識別ステップ(c)が、谷パターンが「深い谷」である谷の数によって、磁気パターンを識別することを特徴とする。
【0024】
これらの場合において、積分波形における有効領域の境界点が、下記の条件を全て満足する、境界点検索開始位置に最も近い点であることを特徴とする。
(i)境界点は、境界点検索開始位置算出ステップによって算出された境界点検索開始位置、または、境界点検索開始位置より積分波形の端部側位置に存在し、
(ii)境界点の波高方向の値が、境界点検索開始位置算出ステップによって算出された境界点検索開始位置の波高方向の値以下であり、
(iii)境界点の傾きの絶対値が、所定の値以下である。
【0026】
これらの場合において、磁気パターンを認識するための判定条件を変更できる判定条件変更ステップを更に備えることを特徴とする磁気パターンの認識方法である。
【0027】
これらの場合において、磁気パターンは、CMC7フォントの磁気インク文字であることを特徴とする。
【0028】
本発明の情報記録媒体は、上述の磁気パターンの認識方法のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したことを特徴とする。
【0029】
また、情報記録媒体として、コンパクト・ディスク、フロッピー・ディスク、ハード・ディスク、光磁気ディスク、ディジタル・ビデオ・ディスク、半導体メモリ、もしくは磁気テープであることを特徴とする。
【0030】
本発明の磁気パターンの認識装置は、複数のバーによって構成される所定の磁気パターンの検出磁気波形を積分して得られる1文字分の積分波形の有効領域を算出することによって、複数のバーの隣り合う2本のバーの間の距離に基づいて形成される積分波形の凹曲線の位置に基づいて、磁気パターンを所定の文字として認識する磁気パターンの認識装置であって、下記の手段を備えた磁気パターンの認識装置である。
(a)微分波形からなる検出磁気波形を積分した積分波形を生成する積分波形生成手段と、
(b)積分波形生成手段によって生成した積分波形の極小点と極小点を挟む2個の極大点とによって形成される凹曲線と、2個の極大点を結ぶ直線とからなる空間で表される谷を、「深い谷」または「浅い谷」の谷パターンに変換する谷パターン変換手段と、
(c)谷パターン変換手段によって変換された谷パターンの中の「深い谷」の位置に基づいて、磁気パターンを識別する磁気パターン識別手段であって、
(c1)谷の位置を算出する谷位置算出手段と、
(c2)谷位置算出手段によって算出した谷の位置から、積分波形の有効領域を算出する有効領域算出手段であって、
(c21)積分波形の両端側の「深い谷」の深さと同一の値となる積分波形の最端部側位置を算出し、算出した最端部側位置を積分波形における有効領域の境界点検索開始位置とする境界点検索開始位置算出手段と、
(c22)境界点検索開始位置算出手段によって算出された有効領域の境界点検索開始位置から、積分波形の端部方向に積分波形における有効領域の境界点を検索する有効領域境界点検索手段と、を備える有効領域算出手段と、
(c3)谷位置算出手段によって算出した谷の位置から、有効領域算出手段によって算出された積分波形の有効領域における谷の相対位置を算出する谷相対位置算出手段と、
(c4)谷相対位置算出手段によって算出した谷の相対位置から、磁気パターンを確定する磁気パターン確定手段と、を備える磁気パターン識別手段。
【0031】
また、本発明の磁気パターンの認識装置は、複数のバーによって構成される所定の磁気パターンの検出磁気波形を積分して得られる1文字分の積分波形の有効領域を算出することによって、複数のバーの隣り合う2本のバーの間の距離に基づいて形成される積分波形の凹曲線の位置に基づいて、磁気パターンを所定の文字として認識する磁気パターンの認識装置であって、下記の手段を備えた磁気パターンの認識装置である。
(a)複数のバーによって構成される磁気パターンの検出磁気波形を積分した積分波形を生成する積分波形生成手段であって、
(a1)検出磁気波形及び検出条件を取得する磁気パターン検出手段と、
(a2)磁気パターン検出手段によって取得した検出磁気波形から1文字分の磁気パターンの検出磁気波形を切り出す磁気パターン切り出し手段と、を備える積分波形生成手段と、
(b)積分波形生成手段によって生成した積分波形の極小点と極小点を挟む2個の極大点とによって形成される凹曲線と、2個の極大点を結ぶ直線とからなる空間で表される谷を、「深い谷」または「浅い谷」の谷パターンに変換する谷パターン変換手段と、
(c)谷パターン変換手段によって変換された谷パターンの中の「深い谷」の位置に基づいて、磁気パターンを識別する磁気パターン識別手段。
【0032】
これらの場合において、磁気パターン識別手段が、谷パターンが「深い谷」である谷の数によって、磁気パターンを識別することを特徴とする。
【0035】
これらの場合において、積分波形における有効領域の境界点が、下記の条件を全て満足する、境界点検索開始位置に最も近い点であることを特徴とする。
(i)境界点は、境界点検索開始位置算出手段によって算出された境界点検索開始位置、または、境界点検索開始位置より積分波形の端部側位置に存在し、
(ii)境界点の波高方向の値が、境界点検索開始位置算出手段によって算出された境界点検索開始位置の波高方向の値以下であり、
(iii)境界点の傾きの絶対値が、所定の値以下である。
【0037】
また、本発明の磁気パターンの認識装置のの態様は、磁気パターンを認識するための判定条件を変更できる判定条件変更手段を更に備えることを特徴とする磁気パターンの認識装置である。
【0038】
これらの場合において、磁気パターンは、CMC7フォントの磁気インク文字であることを特徴とする
【0039】
本発明の複合処理装置、上述の磁気パターン認識装置の手段を備えることを特徴とする
【0040】
また、パルスモータを備えた紙送り手段と、紙送り手段により送られた紙片に印刷する印刷手段と、紙送り手段によって送られた紙片に付された磁気パターンを検出する磁気検出手段とを更に備えることを特徴とする
【0041】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施態様は説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なもので置換した実施態様を採用することが可能であるが、これらの実施態様も本発明の範囲に含まれる。
【0042】
図1は、MICR−CMC7フォント文字の認識機能を備えた複合処理装置の概要を示す斜視図である。
【0043】
以下においては、プリンタをベースとしてMICR−CMC7フォント文字(磁気インク文字)の認識機能を備えた複合処理装置(以下「プリンタ」という)100に基づいてMICR−CMC7フォント文字の認識機能を説明する。
【0044】
プリンタ100は、本体101の左右に延びた移動軸102に沿ってプリンタヘッド(印刷ヘッド)103が移動しながらジャーナル印字、およびスリップ印字を行う。本例のプリンタヘッド103は、たとえばワイヤードットタイプであり、ヘッド103に内蔵されたワイヤーをプラテン104に向かって駆動しインクリボンをインパクトすることによって、ロール紙105または単票用紙106に印字を行う。プリンタヘッド103はタイミングベルトやヘッド送り用のパルスモータを用いたプリンタヘッド駆動手段によって動かされ、プラテン104に沿って左右に動いてロール紙105または単票用紙106の所定の位置に印字を行う。ロール紙105または単票用紙106は、後述するフィードローラー群、および紙送り用のパルスモータなどによって構成される紙送り機構によってプリンタヘッド103の移動方向と直角に送られる。ロール紙105は本体101の後方101bにセットされ、後方101bからプラテン104とプリンタヘッド103の間を通って本体101の上方101cに導かれる。本例のプリンタ100は、2本のロール紙105をセットでき、店舗の記録用のジャーナル紙および領収書として使用するレシート紙の印刷が可能である。
【0045】
さらに、プリンタ100はMICRデータを持ったパーソナルチェックなどの単票用紙(チェック用紙)106の処理も行えるようになっている。チェック用紙106は、本体101の前方101aに用意された用紙挿入口109から、後述する紙経路を通ってプリンタヘッド103とプラテン104との間に導かれ、印刷が終了した後は、プリンタの上方101cから排出される。
【0046】
以下の説明において、単票用紙としてパーソナルチェック106を用いた場合を例にとって説明する。なお、本例のプリンタは、パーソナルチェック以外にも、帳票類や、レシートなど様々な単票用紙に対し印刷できることはもちろんである。本例で参照しているパーソナルチェック106は、店舗の支払いに使用される個人使用用の小切手であり銀行で発行される。パーソナルチェックの表面106aには、使用者のアカウントなどがMICR−CMC7フォント文字107で印刷されている。MICR−CMC7フォント文字は文字形状や印字品質が規格化されており、また、パーソナルチェック上の印刷位置も規格化されている。従って、パーソナルチェックの所定の領域を磁気ヘッドで検出することによってMICR−CMC7フォント文字に対応した波形が得られ、この波形から印刷されたデータを判別できる。この際、磁気ヘッドで検出する前にMICR−CMC7フォント文字の付された領域に永久磁石を当て、MICR−CMC7フォント文字を磁化している。
【0047】
パーソナルチェック106の表面106aには、さらに、支払われる金額や支払い者のサインが記入される。また、パーソナルチェック106の裏面106bには、使用された日時、店舗名、金額などの記録が裏書き(エンドースメント印字)108される。店舗の担当者がパーソナルチェックを受け取ると、まず、MICR−CMC7フォント文字で記載されたデータからパーソナルチェックの有効または無効を確認し、次に、有効なパーソナルチェックにはエンドースメント印字を施す。
【0048】
プリンタ100においては、プリンタヘッド103によってエンドースメント印字108が可能なように、裏面106bを上にしてパーソナルチェック106はセットされる。このため、パーソナルチェック106が挿入口109から挿入されると、MICRデータ107は下方を向いてプリンタ本体の右側に沿って置かれる。
【0049】
図2は、複合処理装置のブロック構成図である。図2に、複合処理装置(プリンタ)100の紙経路202に沿って配置されたMICR−CMC7フォント文字の認識処理に係わる部分の構成を示す。
【0050】
紙経路202に沿って紙の挿入口109から順番に、チェック用紙に印刷されたMICR−CMC7フォント文字を磁化するための永久磁石203、MICR−CMC7フォント文字による波形を検出するための磁気ヘッド204が配置されている。挿入口109から挿入されたチェック用紙は紙送りローラ205に挟まれて紙経路202に沿って導かれ、永久磁石203および磁気ヘッド204を順番に通過し、チェック用紙に印刷されたMICR−CMC7フォント文字が検出される。紙経路202に沿って、さらに、印刷ヘッド103が設置されており、MICR−CMC7フォント文字によって記載されたアカウントなどの情報が確認されると、紙送りローラ205によってチェック用紙がさらに搬送され、印刷ヘッド103によってエンドースメント印字が連続して行えるようになっている。
【0051】
MICR−CMC7フォント文字を検出した磁気ヘッド204は、MICR文字検出回路206を介してプロセッサ210に検出磁気波形を送る。ここで、磁気ヘッド204に使用される磁性体材料の種類によって、微妙に検出磁気波形は異なる。MICR文字検出回路206は、磁気ヘッド204で検出された磁束密度の変化による微小な電圧変化を増幅する増幅回路207と、様々なノイズやMICR文字の印刷不良による不要な信号を除去するフィルタ回路208と、フィルタ回路208を通過したアナログ信号をA/D変換してディジタル値を出力するA/D変換回路209を備えている。フィルタ回路208は、チェック用紙に対する紙送り速度とMICR−CMC7フォント文字の規格に従った配列間隔の長さによって定まるカットオフ周波数を用いて磁気ヘッド204からの不要な信号を除去できるようになっている。プロセッサ210は、MICR文字検出回路206から送られた検出磁気波形及び検出条件をRAM211に一次的に保管する。
【0052】
MICR−CMC7フォント文字を認識するための判定条件は、ROM212に記憶されているが、入力装置213により判定条件を変更することも可能で、変更された判定条件はRAM211に保管される。
【0053】
そして、MICR−CMC7フォント文字の検出が終了すると、RAM211に一次的に保管された検出磁気波形、検出条件及び変更された判定条件と、ROM212に記憶されている判定条件に基づいてMICR−CMC7フォント文字を認識する。
【0054】
MICR−CMC7フォント文字を認識できると、その結果を表示したりまたは外部のコンピュータなどに出力する。もちろん、MICR−CMC7フォント文字の検出磁気波形を直接コンピュータに転送し、コンピュータ側でMICR−CMC7フォント文字の認識に関する処理を行うことも可能である。
【0055】
プリンタ100においては、プロセッサ210が紙送りローラ205などの搬送機構を制御する機能も備えており、モータ制御回路215を介して搬送用のパルスモータ214を制御し、MICR−CMC7フォント文字の読み取り用と、印刷用とにパルスモータ214を兼用できるようになっている。さらに、プロセッサ210は、プリンタヘッド103を用いて印刷を行う印刷制御回路217を制御する機能も備えている。
【0056】
このように、プリンタ100は単票用紙へ印字する機能に加え、チェック用紙等の単票用紙に印刷されたMICRデータを読み取る機能を備えた複合処理装置である。そして、同一紙経路に沿って送られるチェック用紙に対し、印刷とMICRデータの読み取りの両方が可能なように、それぞれの機能は配置されており、パーソナルチェックに付されたMICR−CMC7フォント文字の読み取りと、パーソナルチェックへのデータの印刷、本例では特に裏書き印字を連続して処理できる。
【0057】
図3は、複合処理装置における文字認識の機能ブロック図である。
【0058】
プロセッサ210は、制御手段301、判定条件変更手段302、搬送制御手段303、磁気パターン検出手段304、磁気パターン切り出し手段305、積分波形生成手段306、谷パターン変換手段307及び磁気パターン識別手段308を備えている。
【0059】
プロセッサ210の搬送制御手段303は、モータ制御回路215を介してチェック用紙を搬送し、磁気ヘッド204によりMICR−CMC7フォント文字を検出する。磁気ヘッド204によって検出された検出磁気波形は、MICR文字検出回路206を介してプロセッサ210に入力される。
【0060】
プロセッサ210の磁気パターン検出手段304は、検出された検出磁気波形及び検出条件を、一旦、RAM211の検出波形記憶部310に記憶する。
【0061】
MICR−CMC7フォント文字を認識するための判定条件は、磁気ヘッドの種類別に、ROM212の磁気ヘッド別認識判定条件記憶部313に記憶されている。また、MICR−CMC7フォント文字を認識するための判定条件は、入力装置213を介してプロセッサ210の判定条件変更手段302によって、条件変更することも可能であり、変更された判定条件は、磁気ヘッドの種類別に、RAM211の磁気ヘッド別判定条件変更記憶部312に記憶される。
【0062】
MICR−CMC7フォント文字の検出が終了すると、プロセッサ210の磁気パターン切り出し手段305は、RAM211の検出波形記憶部310に記憶された検出磁気波形から1文字ごとの開始位置を検出し、各文字の検出磁気波形を切り出す。
【0063】
プロセッサ210の積分波形生成手段306は、切り出された1文字分の検出磁気波形を積分して、更に積分した波形に補正処理を実行して、積分波形を生成する。ここで、生成された積分波形の極小点と極小点を挟む2個の極大点によって形成される凹曲線と、2個の極大点を結ぶ直線とから形成される空間を「谷」という。
【0064】
プロセッサ210の谷パターン変換手段307は、積分波形生成手段306によって生成された積分波形の谷の面積を算出し、更にROM212の磁気ヘッド別認識判定条件記憶部313およびRAM211の磁気ヘッド別判定条件変更記憶部312に従って、谷を「深い谷」または「浅い谷」の谷パターンに変換する(以下、「パターン変換」という)。
【0065】
プロセッサ210の磁気パターン識別手段308は、積分波形における谷の位置を算出し、更に、ROM212の磁気ヘッド別認識判定条件記憶部313に基づいて積分波形の有効領域を算出する。算出した谷の位置と積分波形の有効領域に基づいて、積分波形の有効領域における谷の相対位置を算出する。算出した谷の相対位置とROM212の磁気ヘッド別認識判定条件記憶部313とに基づいて、MICR−CMC7フォント文字を認識する。磁気パターン識別手段308において、文字が一義的に決まった場合は、その認識結果をRAM211の認識結果記憶部311に記憶する。磁気パターン識別手段308において、文字が一義的に決定できない場合は、チェック用紙を磁気ヘッド204に対し再び移動させてMICR−CMC7フォント文字を再検出したり、オペレータに文字の認識ができなかったことを通知するなどのエラー処理が行われる。
【0066】
プロセッサ210の制御手段301は、判定条件変更手段302、搬送制御手段303、磁気パターン検出手段304、磁気パターン切り出し手段305、積分波形生成手段306、谷パターン変換手段307及び磁気パターン識別手段308を関連付けて制御する。
【0072】
発明の磁気パターンの認識方法について、図を参照しながら以下に詳細に説明する。図4は、複合処理装置における文字認識処理のフローチャート図である。
【0073】
まず、RAM211に記憶されている検出磁気波形から文字の開始位置を検出する(ステップS401)。
【0074】
次に、1文字分の検出磁気波形を切り出す(ステップS402)。例えば、切り出された1文字分の検出磁気波形は、図17に示すように、7個のピークからなっている。
【0075】
次に、切り出された1文字分の検出磁気波形を積分して、積分波形を生成する(ステップS403)。以下に、積分波形の生成についての説明をする。
【0076】
積分波形の生成は、まず、図16(a)(b)に示すように、1文字分の検出磁気波形を積分して、積分波形を生成する。次に、取得した検出磁気波形の値の0点位置の取り方にずれ、読み取り回路の特性による検出磁気波形における正の領域の面積と負の領域の面積との差違等によって傾いてしまう積分された検出磁気波形を斜め補正する。図7は、積分波形の斜め補正を示す図である。斜め補正前の積分波形に、積分波形の両端を結んだ補正直線を加算して、斜め補正後の積分波形を作成する。
【0077】
次に、広い空間の谷を残した積分波形を作成するために、平滑化補正する。図8は、積分波形の平滑化補正を示す図である。平滑化補正は、積分波形の任意の点とその点の前後各n点との合計(2n+1)点を単純平均し、平均した値を積分波形の任意の点とする(以下、「平滑化を行う」という)。ここで、nは、任意の正整数である。従って、斜め補正後の積分波形に平滑化を行い、平滑化補正後の積分波形を作成する。図からわかるように、平滑化補正後の積分波形において、広い空間の谷は狭い空間の谷に比べて、平滑化による影響を受けにくい。従って、平滑化補正により、積分波形において、広い空間の谷を残した積分波形を作成することができる。
【0078】
最後に、平滑化された積分波形の高さ方向を正規化し、正規化補正後の積分波形を作成する。積分波形の高さは電圧で表されることから、磁界の強さに影響される。即ち、検出されるCMC7チェック用紙の印刷状態等の検出条件によって、同一の磁気パターンから検出される波形は異なる。従って、正規化を行うことにより、積分波形の高さ方向を同一のスケールとする。図9は、積分波形の正規化補正を示す図である。図9に示すように、積分波形の最大値がスケールの最大値Vmax(本例では、Vmax=255である。)となるように、積分波形の高さ方向を補正する。以下、この正規化補正された積分波形を、検出磁気波形の積分波形とする。以上が、ステップS403の積分波形生成の説明である。
【0079】
次に、生成された積分波形において、谷を探索して、探索した谷の面積に基づいて、「深い谷」または「浅い谷」の谷パターンに変換する(ステップS404)。以下に、谷パターンの変換についての説明をする。
【0080】
谷パターンの変換は、まず、積分波形から谷を探索するための探索範囲を決める。図10は、谷の探索範囲を示す図である。図10に示すように、積分波形1001の両端には窪み部分1002が存在する。この窪み部分1002を谷と誤認することを避けるために、積分波形1001の両端において、両端に最も近い極大点である右端極大点1003と左端極大点1004を検索し、検索した右端極大点1003と左端極大点1004によって挟まれる範囲を谷探索範囲1005とする。
【0081】
次に、積分波形における谷の探索範囲から谷を探索し、探索した谷の面積を算出する。正確な谷の面積を計算するには、処理時間がかかってしまうことから、また、プロセッサの処理負荷も大きくなることから、谷の面積は近似によって算出する。図11は、谷の面積の算出方法を示す図である。図11(a)は、谷の面積を示す図であり、図11(b)は、谷の面積を近似した図である。図11(a)に示すように、積分波形1101の谷の面積Sは、極小点Aとこの極小点を挟む2個の極大点B、Cによって形成される凹曲線BACと、2個の極大点B、Cを結ぶ直線BCとによる空間の面積である。そこで、図11(b)に示すように、極小点Aと2個の極大点B、Cから形成される三角形ABCの面積S’を谷の面積Sの近似値とする。
【0082】
次に、算出された谷の面積と、谷底の高さとによって定義される谷の評価関数の値を算出し、算出された谷の評価関数の値から、谷を「深い谷」または「浅い谷」の谷パターンにパターン変換する。
【0083】
評価関数E(H,S)を、下記の式によって定義する。ここで、谷底の高さをHとし、谷の面積をSとし、Hに対する重み付け係数をaHとし、Sに対する重み付け係数をaSとする。また、aSはマイナス値である。尚、「*」は、乗算を示す。
【0084】
E(H,S)=aH*H + aS*S
パターン変換の条件は、谷の評価関数の値Eが深い谷識別判定閾値Emax以下のとき、谷パターンを「深い谷」とし、谷の評価関数の値Eが深い谷識別判定閾値Emaxより大きいとき、谷パターンを「浅い谷」とする。図12は、谷の評価関数の値によるパターン変換を示す図である。図12に示すように、谷パターンが「深い谷」である谷の面積は大きく、谷底の高さは小さい。即ち、谷パターンが「深い谷」である谷の評価関数は小さい値となる。従って、深い谷識別判定閾値Emaxに基づいた上述のパターン変換の条件に従って、谷を谷パターンにパターン変換する。以上が、積分波形の全ての谷を「深い谷」または「浅い谷」の谷パターンにパターン変換するステップS404の説明である。
【0085】
次に、谷パターンが「深い谷」である谷の数が1〜3個であるか否かを判定する(ステップS405)。谷パターンが「深い谷」である谷の数が1〜3個である場合(ステップS405;Yes)は、次の処理(ステップS406)に移る。一方、谷パターンが「深い谷」である谷の数が0または4個以上である場合(ステップS405;No)は、文字を認識不可能としてエラー処理を実行し(ステップS407)、文字の認識処理を終了する。
【0086】
また、ステップS407において、文字を認識不可能としてエラー処理を実行した後、上述した文字の認識処理を終了せずに、次の文字の認識処理を実行するためのステップS408に移っても良い。
【0087】
次に、谷パターンが「深い谷」である谷の位置を算出し、更に、ROM212の磁気ヘッド別認識判定条件記憶部313に基づいて積分波形の有効領域を算出し、算出した谷の位置と積分波形の有効領域とに基づいて、積分波形の有効領域における谷の相対位置を算出し、谷の相対位置とROM212の磁気ヘッド別認識判定条件記憶部313とに基づいて、MICR−CMC7フォント文字を認識する磁気パターン識別処理を実行する(ステップS406)。磁気パターン識別処理の詳細は後述する。
【0088】
文字を認識した後は、ステップS401からステップS407を繰り返して、チェック用紙上の全ての文字について、文字の認識処理が実行されたか否かを判定する(ステップS408)。
【0089】
チェック用紙上の全ての文字について、文字の認識処理が実行された場合(ステップS408;Yes)は、文字の認識処理を終了する。チェック用紙上の全ての文字について、文字の認識処理が実行されていない場合(ステップS408;No)は、次の文字を認識するために、ステップS401に戻る。
【0090】
尚、ステップS407のエラー処理においては、自動的にチェック用紙を紙経路202に沿ってバックフィードし、再び磁気ヘッド204の前面を通過させてMICR−CMC7フォント文字の読み取りを行うことも考えられる。または、オペレータに対し認識できなかった個所を示してマニュアルで入力させることも可能である。また、MICR−CMC7フォント文字を識別ができなかったとしてチェック用紙をプリンタ100から排出しても良い。
【0093】
次に、磁気パターン識別処理について、図を参照しながら詳細に説明する。図5は、文字認識処理における磁気パターン識別処理のフローチャート図である。
【0094】
まず、積分波形において、谷パターンが「深い谷」である谷の位置を算出する(ステップS501)。積分波形において、各点の間隔の粗さのために、積分波形の正確な極小値が得られない。そこで、積分波形の極小点とその極小点の前後各1点の合計3点が2次曲線上にあると仮定して、正確な極小値となる「真の極小点」を算出する。この真の極小点のx座標値を「谷の位置」とする。また、この真の極小点のy座標値を「谷の深さ」とする。即ち、y座標値が小さいほど、谷の深さは深い。
【0095】
次に、積分波形の有効領域を算出するための有効領域算出処理を実行する(ステップS502)。有効領域算出処理の詳細については、後述する。
【0096】
次に、谷パターンが「深い谷」である谷の位置と積分波形の有効領域とに基づいて、積分波形の有効領域における谷の相対位置を算出する(ステップS503)。
【0097】
図13は、谷パターンが「深い谷」である谷が2個存在する場合における、2個の谷の相対位置の算出方法を示す図である。図13に示すように、積分波形の有効領域は、点Pclから点Pcrまでの範囲のことである。谷パターンが「深い谷」である2個の谷の位置で区切られた部分の幅を幅1、幅2、幅3とする。積分波形の有効領域におけるx軸方向の幅は、幅1、幅2、幅3の幅合計となる。谷パターンが「深い谷」である2個の谷の相対位置r1、r2を、幅合計に対する幅1と幅2の比率によって表す。即ち、2個の谷の相対位置r1、r2は、下記の式になる。
【0098】
r1=幅1/(幅1+幅2+幅3)
r2=幅2/(幅1+幅2+幅3)
谷パターンが「深い谷」である谷が2個存在する場合と同様に、谷パターンが「深い谷」である谷が1個存在する場合においては、谷の相対位置は、下記の式となる。
【0099】
r1=幅1/(幅1+幅2)
また、谷パターンが「深い谷」である谷が3個存在する場合においては、谷の相対位置は、下記の式となる。
【0100】
r1=幅1/(幅1+幅2+幅3+幅4)
r2=幅2/(幅1+幅2+幅3+幅4)
r3=幅3/(幅1+幅2+幅3+幅4)
次に、積分波形において、谷パターンが「深い谷」である谷の数を判定する(ステップS504)。谷パターンが「深い谷」である谷の数が2個である場合(ステップS504;2)は、MICR−CMC7フォント文字は数字または記号であると判定して、次のステップS506に移る。
【0101】
次に、谷パターンが「深い谷」である谷の相対位置r1、r2と、ROM212の磁気ヘッド別認識判定条件記憶部313の15個のMICR−CMC7フォント文字のr1標準値とr2標準値とに基づいて、又は、r1、r2の2次元の境界範囲の閾値に基づいて、MICR−CMC7フォント文字を認識し、数字または記号を確定する(ステップS506)。
【0102】
図14は、谷パターンが「深い谷」である谷が2個存在する場合のr1−r2相関を示す図である。図14(a)は、数字と記号のMICR−CMC7フォント文字のr1−r2相関を示す図である。図14(b)は、MICR−CMC7フォント文字の2次元の境界範囲を説明する図である。谷パターンが「深い谷」である谷が2個存在する場合のMICR−CMC7フォント文字には、10個の数字と5個の記号とがある。図14に示すように、検出磁気波形から最終的に得られるr1、r2の値は、15個のMICR−CMC7フォント文字によって異なった2次元の境界範囲内に存在する。即ち、15個のMICR−CMC7フォント文字のr1、r2、それぞれの標準値となる標準点Miおよび2次元の境界範囲の閾値がわかる。ここで、標準点Miの座標を(s1(i),s2(i))とする。また、r1方向の境界範囲の最大閾値をs1H(i)とし、最小閾値をs1L(i)とする。また、r2方向の境界範囲の最大閾値をs2H(i)とし、最小閾値をs2L(i)とする。また、i=1〜15である。
【0103】
得られたr1、r2の値が、図14(a)に示すMICR−CMC7フォント文字の2次元の境界範囲内に入った場合に、文字を認識する。即ち、下記の条件を満たすMICR−CMC7フォント文字を認識文字とする。但し、下記の条件を満たすMICR−CMC7フォント文字がない場合は、文字を認識不可能とする。
【0104】
s1L(i)<r1<s1H(i) かつ、
s2L(i)<r2<s2H(i)
また、15個のMICR−CMC7フォント文字の標準点Miと、認識判定する対象のCMC7チェック用紙上の文字から得られた点Xとの誤差をそれぞれ算出し、15個のMICR−CMC7フォント文字の中で最小誤差となるMICR−CMC7フォント文字を、認識文字とする。ここで、点Xの座標を(r1,r2)とする。
【0105】
誤差Error(i)は、下記の式である。
【0106】
Error(i)=|(r1−s1(i))|+|(r2−s2(i))|
但し、誤差Error(i)の最小値が、予め定められた閾値よりも大きくなってしまう場合は、文字を認識不可能とする。
【0107】
谷パターンが「深い谷」である谷の数が1個である場合(ステップS504;1)は、谷パターンが「深い谷」である谷の相対位置r1と、ROM212の磁気ヘッド別認識判定条件記憶部313の15個のMICR−CMC7フォント文字のr1標準値とに基づいて、または、r1の1次元の境界範囲の閾値に基づいて、MICR−CMC7フォント文字を認識し、アルファベットを確定する(ステップS505)。即ち、谷パターンが「深い谷」である谷の数が2個である場合は、r1、r2の2次元における、境界範囲内の標準点Miと認識判定する対象の文字の点Xとの誤差によって、または、r1、r2の2次元の境界範囲の閾値によって、MICR−CMC7フォント文字を認識し、数字または記号を確定すると同様に、r1の1次元における、境界範囲内の標準点Miと認識判定する対象の文字の点Xとの誤差によって、または、r1の1次元の境界範囲の閾値によって、MICR−CMC7フォント文字を認識し、アルファベットを確定する。
【0108】
谷パターンが「深い谷」である谷の数が3個である場合(ステップS504;3)は、谷パターンが「深い谷」である谷の相対位置r1、r2、r3と、ROM212の磁気ヘッド別認識判定条件記憶部313の15個のMICR−CMC7フォント文字のr1標準値とr2標準値とr3標準値とに基づいて、またはr1、r2、r3の3次元の境界範囲の閾値に基づいて、MICR−CMC7フォント文字を認識し、アルファベットを確定する(ステップS507)。即ち、r1、r2、r3の3次元における、境界範囲内の標準点Miと認識判定する対象の文字の点Xとの誤差によって、または、r1、r2、r3の3次元の境界範囲の閾値によって、MICR−CMC7フォント文字を認識し、アルファベットを確定する。
【0111】
上述した本発明の磁気パターンの認識方法における、有効領域算出処理について、図を参照しながら以下に詳細に説明する。図6は、磁気パターン識別処理における有効領域算出処理のフローチャート図である。
【0112】
まず、左端極小点(最左端の「深い谷」)の「谷の深さ」を取り出す(ステップS601)。
【0113】
次に、有効領域の境界点を検索するための開始点を検索する(ステップS602)。図13は、谷パターンが「深い谷」である谷が2個存在する場合における、有効領域の算出方法を示す図である。図13に示すように、谷パターンが「深い谷」となる2個の極小点を点R1と点R2とする。点R1と点R2の2個の谷の位置から、互いの谷の位置がある方向とは反対の方向に延ばした水平線と積分波形とが交わる点を点Aと点Bとする。この点Aのy座標値以下となる最近傍点Pslを、有効領域の左端境界点を検索するための開始点とし、点Bのy座標値以下となる最近傍点Psrを、有効領域の右端境界点を検索するための開始点とする。また、点AをA(Xa,Ya)とし、点BをB(Xb,Yb)とし、点R1をR1(Xr1,Yr1)とし、点R2をR2(Xr2,Yr2)とし、積分波形の任意点PmをPm(Xm,Ym)とし、有効領域の右端境界点PcrをPcr(Xcr,Ycr)とし、有効領域の左端境界点PclをPcl(Xcl,Ycl)とし、右端側の開始点PsrをPsr(Xsr,Ysr)とし、左端側の開始点PslをPsl(Xsl,Ysl)とする。また、mは正整数であり、mが大きくなるほど、点Pmは積分波形における右端側の点となる。ここで、右端側の開始点Psrおよび左端側の開始点Pslは下記の式を満足する。
【0114】
Xsl=[Xa] 、 Ysl<=Ya=Yr1
Xsr=[Xb]+1 、 Ysr<=Yb=Yr2
次に、指定した点、即ち、指定点の傾きを算出する(ステップS603)。指定点P(x、y)の傾きD(x)は、各点は線形であると仮定して、各点の座標から下記の式により算出する。
【0115】
x=Xm<Xm+1、かつ、y=Ym<Ym+1のとき、
D(x)=D(Xm)=(Ym+1−Ym)/(Xm+1−Xm)=Ym+1−Ym
x=Xm>Xm-1、かつ、y=Ym<Ym-1のとき、
D(x)=D(Xm)=(Ym−Ym-1)/(Xm−Xm-1)=Ym−Ym-1
次に、指定点が有効領域の境界点であるか否かを判定する(ステップS604)。有効領域の境界点は、傾きの絶対値が所定の値Dc以下である。即ち、|D(x)|<=Dcであるか否かを判定する。ここで、所定の値Dcは、磁気ヘッドに使用されている磁性体材料の種類によって異なった値が、ROM212の磁気ヘッド別認識判定条件記憶部313に記憶されている。
【0116】
|D(x)|<=Dcでない場合(ステップS604;No)は、次の境界点候補を指定点とし(ステップS605)、ステップS604に戻り、この指定点が境界点であるか否かを判定する。
即ち、次の境界点候補となる指定点のx座標は、 D(x)>0のときは(左端境界点検索時)、 x=x−1=Xm-1とし、
D(x)<0のときは(右端境界点検索時)、 x=x+1=Xm+1とする。
【0117】
一方、|D(x)|<=Dcである場合(ステップS604;Yes)は、指定点を境界点とする(ステップS606)。即ち、
D(x)>0のときは(左端境界点検索時)、Xcl=xとし、
D(x)<0のときは(右端境界点検索時)、Xcr=xとする。
【0118】
次に、有効領域の右端境界点を決定したか否かを判定する(ステップS607)。有効領域の右端境界点を決定していない場合(ステップS607;No)は、右端極小点(最右端の「深い谷」)の「谷の深さ」を取り出し(ステップS608)、ステップS602に戻って、有効領域の境界点を検索するための開始点を検索する。
【0119】
一方、有効領域の右端境界点を決定している場合(ステップS607;Yes)は、有効領域算出処理を終了する。即ち、積分波形の有効領域は決定した点Pclから点Pcrまでとなる。
【0120】
また、上述の磁気パターンの認識方法を、従来の微分波形である検出磁気波形に基づいた磁気パターンの認識方法と組み合せることも可能である。
【0121】
本発明の情報記録媒体は、上述の磁気パターンの認識方法のステップを有するプログラムを記録することもできる。
【0122】
また、本発明の情報記録媒体は、コンパクト・ディスク、フロッピー・ディスク、ハード・ディスク、光磁気ディスク、ディジタル・ビデオ・ディスク、半導体メモリ、もしくは磁気テープであっても良い。
【0134】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、以下の効果を奏する。
【0135】
磁気パターンの認識において、磁気パターンの取得した検出磁気波形における1文字分の積分波形の有効領域を積分波形の傾きに基づいて算出することによって、磁気ヘッドに使用される磁性体材料の種類の違いによる積分波形の谷の深さの違いとは無関係に、積分波形の有効領域を算出できる。即ち、算出した積分波形の有効領域における谷の相対位置を算出することによって、正確に文字を認識することができる。
【0136】
また、磁気ヘッドに使用される磁性体材料の種類に係わらず、文字を認識できることから、コストの低い磁性体材料を使用した磁気ヘッドを備えることによって、コストの低い磁気パターン認識装置を提供できる。
【0137】
また、上述の磁気パターンの認識方法を、従来の微分波形である検出磁気波形に基づいた磁気パターンの認識方法と組み合せることによって、更に、正確に文字を認識することもできる。
【0138】
また、上述した磁気パターンの認識方法のプログラムを記録した情報記録媒体をソフトウェア商品として、容易に配布したり販売したりすることができる。
【0139】
また、上述した磁気パターンの認識方法を実行する手段を備えた磁気パターン認識装置及び複合処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】複合処理装置の概要を示す斜視図である。
【図2】複合処理装置のブロック構成図である。
【図3】複合処理装置における文字認識の機能ブロック図である。
【図4】複合処理装置における文字認識処理のフローチャート図である。
【図5】文字認識処理における磁気パターン識別処理のフローチャート図である。
【図6】磁気パターン識別処理における有効領域算出処理のフローチャート図である。
【図7】積分波形の斜め補正を示す図である。
【図8】積分波形の平滑化補正を示す図である。
【図9】積分波形の正規化補正を示す図である。
【図10】谷の範囲を示す図である。
【図11】(a)谷の面積を示す図、
(b)谷の面積の近似を示す図である。
【図12】谷の評価関数値によるパターン変換を示す図である。
【図13】谷パターンが「深い谷」である谷が2つ存在する場合の谷の相対位置の算出方法を示す図である。
【図14】(a)数字と記号のMICR−CMC7フォント文字のr1−r2相関を示す図、
(b)MICR−CMC7フォント文字の2次元の境界範囲を説明する図である。
【図15】磁気ヘッドに使用される磁性体材料の種類の違いによる積分波形の違いを示す図である。
【図16】(a)一般的な波形を示す図、
(b)波形の積分方法を示す図、
(c)検出磁気波形を示す図、
(d)検出磁気波形の積分波形を示す図である。
【図17】MICR−CMC7フォント文字の検出磁気波形を示す図である。
【符号の説明】
100 複合処理装置(プリンタ)
1001 積分波形
1002 窪み部分
1003 右端極大点
1004 左端極大点
1005 谷探索範囲
1101 積分波形

Claims (16)

  1. 複数のバーによって構成される磁気パターンの検出磁気波形を積分して得られる1文字分の積分波形の有効領域を算出することによって、複数の前記バーの隣り合う2本のバーの間の距離に基づいて形成される前記積分波形の凹曲線の位置に基づいて、前記磁気パターンを文字として認識する磁気パターンの認識方法であって、下記のステップを備えることを特徴とする磁気パターンの認識方法。
    (a)微分波形からなる前記検出磁気波形を積分した前記積分波形を生成する積分波形生成ステップと、
    (b)前記積分波形生成ステップによって生成した前記積分波形の極小点と前記極小点を挟む2個の極大点とによって形成される前記凹曲線と、2個の前記極大点を結ぶ直線とからなる空間で表される谷を、「深い谷」または「浅い谷」の谷パターンに変換する谷パターン変換ステップと、
    (c)前記谷パターン変換ステップによって変換された前記谷パターンの中の「深い谷」の位置に基づいて、前記磁気パターンを識別する磁気パターン識別ステップであって、
    (c1)前記谷の位置を算出する谷位置算出ステップと、
    (c2)前記谷位置算出ステップによって算出した前記谷の位置から、前記積分波形の有効領域を算出する有効領域算出ステップであって、
    (c21)前記積分波形の両端側の前記「深い谷」の深さと同一の値となる前記積分波形の最端部側位置を算出し、算出した前記最端部側位置を前記積分波形における有効領域の境界点検索開始位置とする境界点検索開始位置算出ステップと、
    (c22)前記境界点検索開始位置算出ステップによって算出された前記有効領域の境界点検索開始位置から、前記積分波形の端部方向に前記積分波形における有効領域の前記境界点を検索する有効領域境界点検索ステップと、を備える有効領域算出ステップと、
    (c3)前記谷位置算出ステップによって算出した前記谷の位置から、前記有効領域算出ステップによって算出された前記積分波形の有効領域における前記谷の相対位置を算出する谷相対位置算出ステップと、
    (c4)前記谷相対位置算出ステップによって算出した前記谷の相対位置から、前記磁気パターンを確定する磁気パターン確定ステップと、を備える磁気パターン識別ステップ。
  2. 複数のバーによって構成される磁気パターンの検出磁気波形を積分して得られる1文字分の積分波形の有効領域を算出することによって、複数の前記バーの隣り合う2本のバーの間の距離に基づいて形成される前記積分波形の凹曲線の位置に基づいて、前記磁気パターンを文字として認識する磁気パターンの認識方法であって、下記のステップを備えることを特徴とする磁気パターンの認識方法。
    (a)微分波形からなる前記検出磁気波形を積分した前記積分波形を生成する積分波形生成ステップであって、
    (a1)前記検出磁気波形及び検出条件を取得する磁気パターン検出ステップと、
    (a2)前記磁気パターン検出ステップ(a1)によって取得した前記検出磁気波形から1文字分の前記磁気パターンの検出磁気波形を切り出す磁気パターン切り出しステップと、を備える積分波形生成ステップと、
    (b)前記積分波形生成ステップによって生成した前記積分波形の極小点と前記極小点を挟む2個の極大点とによって形成される前記凹曲線と、2個の前記極大点を結ぶ直線とからなる空間で表される谷を、「深い谷」または「浅い谷」の谷パターンに変換する谷パターン変換ステップと、
    (c)前記谷パターン変換ステップによって変換された前記谷パターンの中の「深い谷」の位置に基づいて、前記磁気パターンを識別する磁気パターン識別ステップ。
  3. 前記磁気パターン識別ステップ(c)が、前記谷パターンが「深い谷」である前記谷の数によって、前記磁気パターンを識別することを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気パターンの認識方法。
  4. 前記積分波形における有効領域の前記境界点が、下記の条件を全て満足する、前記境界点検索開始位置に最も近い点であることを特徴とする請求項に記載の磁気パターンの認識方法。
    (i)前記境界点は、前記境界点検索開始位置算出ステップによって算出された前記境界点検索開始位置、または、前記境界点検索開始位置より前記積分波形の端部側位置に存在し、
    (ii)前記境界点の波高方向の値が、前記境界点検索開始位置算出ステップによって算出された前記境界点検索開始位置の波高方向の値以下であり、
    (iii)前記境界点の傾きの絶対値が、所定の値以下である。
  5. 前記磁気パターンを認識するための判定条件を変更できる判定条件変更ステップを更に備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の磁気パターンの認識方法。
  6. 前記磁気パターンは、CMC7フォントの磁気インク文字であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の磁気パターンの認識方法。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の磁気パターンの認識方法のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した情報記録媒体。
  8. 前記情報記録媒体は、コンパクト・ディスク、フロッピー・ディスク、ハード・ディスク、光磁気ディスク、ディジタル・ビデオ・ディスク、半導体メモリ、もしくは磁気テープであることを特徴とする請求項7に記載のプログラムを記録した情報記録媒体。
  9. 複数のバーによって構成される磁気パターンの検出磁気波形を積分して得られる1文字分の積分波形の有効領域を算出することによって、複数の前記バーの隣り合う2本のバーの間の距離に基づいて形成される前記積分波形の凹曲線の位置に基づいて、前記磁気パターンを文字として認識する磁気パターンの認識装置であって、下記の手段を備えることを特徴とする磁気パターンの認識装置。
    (a)微分波形からなる前記検出磁気波形を積分した前記積分波形を生成する積分波形生成手段と、
    (b)前記積分波形生成手段によって生成した前記積分波形の極小点と前記極小点を挟む2個の極大点とによって形成される前記凹曲線と、2個の前記極大点を結ぶ直線とからなる空間で表される谷を、「深い谷」または「浅い谷」の谷パターンに変換する谷パターン変換手段と、
    (c)前記谷パターン変換手段によって変換された前記谷パターンの中の「深い谷」の位置に基づいて、前記磁気パターンを識別する磁気パターン識別手段であって、
    (c1)前記谷の位置を算出する谷位置算出手段と、
    (c2)前記谷位置算出手段によって算出した前記谷の位置から、前記積分波形の有効領域を算出する有効領域算出手段であって、
    (c21)前記積分波形の両端側の前記「深い谷」の深さと同一の値となる前記積分波形の最端部側位置を算出し、算出した前記最端部側位置を前記積分波形における有効領域の境界点検索開始位置とする境界点検索開始位置算出手段と、
    (c22)前記境界点検索開始位置算出手段によって算出された前記有効領域の境界点検索開始位置から、前記積分波形の端部方向に前記積分波形における有効領域の前記境界点を検索する有効領域境界点検索手段と、を備える有効領域算出手段と、
    (c3)前記谷位置算出手段によって算出した前記谷の位置から、前記有効領域算出手段によって算出された前記積分波形の有効領域における前記谷の相対位置を算出する谷相対位置算出手段と、
    (c4)前記谷相対位置算出手段によって算出した前記谷の相対位置から、前記磁気パターンを確定する磁気パターン確定手段と、を備える磁気パターン識別手段。
  10. 複数のバーによって構成される磁気パターンの検出磁気波形を積分して得られる1文字分の積分波形の有効領域を算出することによって、複数の前記バーの隣り合う2本のバーの間の距離に基づいて形成される前記積分波形の凹曲線の位置に基づいて、前記磁気パターンを文字として認識する磁気パターンの認識装置であって、下記の手段を備えることを特徴とする磁気パターンの認識装置。
    (a)複数のバーによって構成される磁気パターンの検出磁気波形を積分した積分波形を生成する積分波形生成手段であって、
    (a1)前記検出磁気波形及び検出条件を取得する磁気パターン検出手段と、
    (a2)前記磁気パターン検出手段によって取得した前記検出磁気波形から1文字分の前記磁気パターンの検出磁気波形を切り出す磁気パターン切り出し手段と、を備える積分波形生成手段と、
    (b)前記積分波形生成手段によって生成した前記積分波形の極小点と前記極小点を挟む2個の極大点とによって形成される前記凹曲線と、2個の前記極大点を結ぶ直線とからなる空間で表される谷を、「深い谷」または「浅い谷」の谷パターンに変換する谷パターン変換手段と、
    (c)前記谷パターン変換手段によって変換された前記谷パターンの中の「深い谷」の位置に基づいて、前記磁気パターンを識別する磁気パターン識別手段。
  11. 前記磁気パターン識別手段が、前記谷パターンが「深い谷」である前記谷の数によって、前記磁気パターンを識別することを特徴とする請求項9又は10に記載の磁気パターンの認識装置。
  12. 前記積分波形における有効領域の前記境界点が、下記の条件を全て満足する、前記境界点検索開始位置に最も近い点であることを特徴とする請求項に記載の磁気パターンの認識装置。
    (i)前記境界点は、前記境界点検索開始位置算出手段によって算出された前記境界点検索開始位置、または、前記境界点検索開始位置より前記積分波形の端部側位置に存在し、
    (ii)前記境界点の波高方向の値が、前記境界点検索開始位置算出手段によって算出された前記境界点検索開始位置の波高方向の値以下であり、
    (iii)前記境界点の傾きの絶対値が、所定の値以下である。
  13. 前記磁気パターンを認識するための判定条件を変更できる判定条件変更手段を更に備えることを特徴とする請求項9から12のいずれか1項に記載の磁気パターンの認識装置。
  14. 前記磁気パターンは、CMC7フォントの磁気インク文字であることを特徴とする請求項9から13のいずれか1項に記載の磁気パターンの認識装置。
  15. 請求項9から14のいずれか1項に記載の磁気パターン認識装置の手段を備えることを特徴とする複合処理装置。
  16. パルスモータを備えた紙送り手段と、
    前記紙送り手段により送られた紙片に印刷する印刷手段と、
    前記紙送り手段によって送られた前記紙片に付された磁気パターンを検出する磁気検出手段とを更に備えることを特徴とする請求項15に記載の複合処理装置。
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