JP4617513B2 - アラミド紙及びその製造方法、並びにアラミド−樹脂フィルム積層体 - Google Patents

アラミド紙及びその製造方法、並びにアラミド−樹脂フィルム積層体 Download PDF

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本発明は、例えば変圧器、モータ、発電機などの電気絶縁用シート(紙)として用いられ、機械特性、耐熱性、電気絶縁性、耐薬品性に優れるアラミド紙及びその製造方法、並びにアラミド−樹脂フィルム積層体に関する。
従来から、電機絶縁材料として、アラミド紙と称される耐熱性合成絶縁紙が供されている。具体的には、例えば米国デュポン(Du Pont)社の耐熱性、機械的特性、電気絶縁特性に優れた厚さ2〜20ミル(mil)の芳香族系ポリアミド紙(商品名:ノーメックス(Nomex:登録商標)#410、ノーメックス#411)が知られている。このアラミド紙は、I.E.C.規格85(1984)の耐熱区分、H種(180℃)の高耐熱性が要求される変圧器、モータ、発電機の絶縁材料として使用されている。
このアラミド紙は、例えばパルプ状のアラミド(芳香族系ポリアミド)フィブリッドと耐熱性短繊維とをベースとして、和紙を作る方法と同様の湿式抄造の方法によって製造されている。また必要によって加熱・加圧(カレンダ加工)され製品化されている。上記ノーメックス#410は、カレンダ処理品であり、ノーメックス#411は未加工品である。これらのアラミド紙は、通常の紙のように内部に多くの空隙を有する。そのため、厚みあたりの絶縁破壊強度(B.D.V:単位KV/mm)は、同じ厚みの同質フィルムよりも必然的に小さくなる。
一方、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系フィルム(以下PET系フィルム)は、アラミド紙よりも耐熱性が劣りI.E.C.規格85(1984)の耐熱区分はE種(120℃)である。しかし、B.D.Vが大きく、且つ安価である。その利点でE種相当またはそれ以下の絶縁には広範囲に使用されている。
また、H種ほどの耐熱性を必要としないF種(155℃)用の絶縁材料が求められている。アラミド紙は、もちろんF種に使用しても耐熱特性的には全く問題ないが、高価であり、より安価な材料開発が求められている。その要求に対し、安価なF種材料として、従来から次に示す(A)〜(C)のものなどが提案されている。
(A)アラミド紙の耐熱性及び耐酸化性の特長とPET系フィルムの電気絶縁性を活かし、それら両者を接着剤で貼合せた多層構造のもの。
(B)アラミド紙とPET系フィルムとを高い温度、圧力で熱接着積層一体化したもの(例えば特許文献1参照)。このものは、m−アラミド紙と二軸延伸PETフィルムを重ね合わせ、温度220〜250℃、線圧50kg/cm以上の条件で加圧・加熱し、熱接着により積層一体化したアラミド積層体である。
(C)アラミド繊維とアラミドパルプからなるアラミド紙層(A層)の表面にPETを溶着または融点以上で含浸させた層とPETフィルムを重ね合わせたあと、ロール温度220〜250℃で、圧力50kg/cm以上でPET間を溶着させ、さらに100℃/分以上の降温速度で急冷して得られる積層体(例えば特許文献2参照)。
特開平7−32549号公報 特開平7−299891号公報
しかしながら、上記(A)のアラミド紙とPET系フィルムとを接着剤により貼合せたものでは、接着剤が比較的硬いため、元のアラミド紙及びPET系フィルムの優れた可撓性が損なわれてしまい、折曲げ加工等の加工性に劣る欠点がある。また、油入機器に適用した際に、油の中に接着剤成分が溶け出す虞があり、用途が制限されてしまう不具合もあった。
これに対し、上記(B)、(C)のものは、接着剤を用いずに、アラミド紙とPET系フィルムとを熱溶着によって接合するものであり、接着剤を用いる欠点を解消するものである。ところが、上記(B)のものでは、熱溶着の温度がPETの融点(約260℃)に近いため、PETフィルムの寸法変化が大きくなり、貼合せ品には、反り、収縮、しわが生じたり、さらには、PETが一部結晶化したりするなどの問題が生じやすく、安定した品質の製品を得るのが困難であるのが実情である。上記(C)のものにおいても、熱溶着の温度が同様に高温であるため、アラミド紙に含浸されたPETの一部が結晶化し、優れた可撓性が損なわれる問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、非加水分解性樹脂フィルムとの間で、接着剤を用いることなく、比較的低い温度で熱接合が可能であり、耐熱性の高いアラミド紙及びその製造方法を提供するにある。また、本発明の目的は、アラミド紙の高耐熱性及び非加水分解性樹脂フィルムの高絶縁性の特長を併せ持ち、しかも可撓性に優れる高品質なアラミド−樹脂フィルム積層体を提供するにある。
本発明者らは、上記した目的を達成するために、つまり、接着剤を用いることなく、比較的低い温度で熱接合が可能なアラミド紙を得るべく、様々な試験、研究を重ねた。その結果、溶融温度が約320℃であり従来の知見では200℃以下の低温度での熱接合は不可能と考えられていたアラミド紙の表面に対し、低温プラズマ処理を施して表面の改質を行うことにより、驚くべきことに、接着剤なしでアラミド紙とPPSフィルムとを接着できることを見出し、本発明を成し遂げたのである。
即ち、本発明のアラミド−樹脂フィルム積層体は、アラミド紙が、アラミドフィブリッド及びアラミド短繊維を主体として紙状に形成されたものであって、紙表面が低温プラズマ処理されていることにより、PPSフィルムとの間で、直接的に熱接合可能とされているところに特徴を有する(請求項1の発明)。
これは、表面に低温プラズマ処理がなされることにより、表面に酸素原子が取込まれ、具体的にはアラミド紙表面にCOOH基やOH基が付加されるようになり、このことが、アラミド紙同士の熱融着性、あるいはアラミド紙とPPSフィルムとの間での熱融着性を付与するものと推測される。
尚、本発明におけるアラミド紙とは、ポリ‐m‐フェニレンイソフタルアミド又はこれを主成分とする共重合体或いは混合共重合体からなるフィブリッド及びアラミド短繊維をベースとして、紙状に形成(抄造)されたものをいう。ポリ‐m‐フェニレンイソフタルアミドに共重合又は混合しうる成分や配合量は特に限定されず、m−アラミドとしての特性を損なわない範囲であれば良い。このような配合されるものとしては、テレフタル酸、p−フェニレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、シクロヘキサメチレンジアミン等があげられる。このm−アラミドには必要に応じて、無機塩、添加剤、充填剤が含まれていても良い。このようなm−アラミド紙として、「ノーメックス」(デュポン社(米国))、「コーネックス」(登録商標;帝人(株))などが市販されている。
本発明における低温プラズマ処理とは、電極間に直流または交流の高電圧を印加することによって開始持続する放電、例えば大気圧下でのコロナ放電あるいは真空でのグロー放電などに処理基材を曝すことによって成される処理をいう。このとき、特に限定されないが、処理ガスの選択が広い真空での処理が好ましい。処理ガスとしては、特に限定されないが、He、Ne、Ar、窒素、酸素、炭酸ガス、空気、水蒸気等が単独あるいは混合した状態で使用される。なかでもAr、炭酸ガスが放電開始効率の点から好ましい。処理圧力は特に限定されないが、0.1Pa〜1330Paの圧力範囲で持続放電するグロー放電処理、いわゆる低温プラズマ処理が処理効率の点で好ましい。さらに好ましくは、1Pa〜266Paの範囲である。
本発明において、PPSフィルムは、特に100℃以上、200℃以下の範囲の温度にて直接的に熱接合可能とされていることが望ましい。アラミド紙の表面にプラズマ処理を施すことにより、PPSフィルムは10℃以上、200℃以下という極めて低温でより確実に熱接合可能となる。
本発明において、非加水分解性樹脂フィルムは、PPS(ポリフェニレンサルファイド:Poly Phenylene Sulfide)である。PPSは、加水分解を招かず、かつ耐熱性が高い。例えばハイブリッド車両のモータや鉄道車両のトランスの絶縁材料としてアラミド紙を用いる場合、アラミド紙は絶縁油中に浸される。この絶縁油にはわずかに水分が含まれるため、樹脂フィルムは高温の環境下において加水分解を生じる。その結果、ハイブリッド車両のモータや鉄道車両のトランスにおいて長期間用いると、アラミド紙に接合されたフィルムは材質によって加水分解し、絶縁破壊を招くおそれがある。非加水分解性の樹脂フィルムとしてPPSを用いることにより、高い耐熱性と非加水分解性とが両立される。したがって、厳しい環境下でも長期間安定した絶縁性能を維持することができる。
本発明において、より具体的には、アラミド紙表面における酸素原子(O)と炭素原子(C)との組成比X(O/C)が、理論値の110%以上、250%以下の範囲にあることにより、目的とする良好な熱融着性を得ることができる。ここで、組成比X(O/C)とは、アラミド紙表面をXPS(X線電子光分光法)で測定した炭素原子数(C)と、酸素原子数(O)との原子数の比(測定値)をいう。また、その理論値とは、樹脂を構成する樹脂組成における、高分子化学構造式の反復単位から算出される原子数比率の値をいう。
例えば、「ノーメックス:♯411」タイプ(デュポン株式会社製)の場合、ポリ−m−フェニレンイソフタルアミドであるから、C/O/N=14/2/2であり、炭素原子数(C)と、酸素原子数(O)との組成比X(O/C)の理論値は、炭素(C)基準にすると、2/14=0.143である。通常は、表面に炭化水素系のものが微量付着しているため実測値は理論値よりも小さいとされる。
本発明者らの研究によれば、上記組成比X(O/C)が、理論値の110%以上、250%以下の範囲、つまり20%〜150%の範囲で理論値よりも大きい値であれば、良好な熱融着性を得ることができた。より好ましくは、150%以上、230%以下の範囲である。組成比Xが、理論値の110%未満であれば、良好な熱融着性が得られない。また、理論値の250%を越えた場合でも、熱融着性が得られない。
また、上記したようなアラミド紙を製造する方法としては、アラミドフィブリッド及びアラミド短繊維を主体として紙状に形成されたアラミド紙に対し、低温プラズマ処理機により、その表面を低温プラズマ処理する方法を採用することができる。これにより、熱融着性を有するアラミド紙を得ることができる。
このとき、内部電極方式のプラズマ処理機を採用してアラミド紙に対する低温プラズマ処理を行う場合にあっては、低温プラズマ処理の処理強度(出力)を、30W・min/m〜1500W・min/mの範囲とすることが好ましい。これにより、アラミド紙の表面における上記した組成比X(O/C)の範囲を得ることができる。本発明者らの研究によれば、低温プラズマ処理の強度が上記範囲より低い場合、上記した組成比Xが小さくなり、低温プラズマ処理の強度が上記範囲より高い場合には、上記した組成比Xが大きくなり、いずれも良好なる熱融着性が得られなくなる。更に好ましくは、130W・min/m〜1200W・min/mの範囲である。
さらに、本発明のアラミド−樹脂フィルム積層体は、上記したアラミド紙を、PPSフィルムの少なくとも片面に、直接熱接合してなるところに特徴を有する(請求項1の発明)。上記したアラミド紙は、PPSフィルムの融点よりも十分に低い温度での熱融着性を有するので、接着剤を用いることなく、アラミド紙とPPSフィルムとを直接熱接合することが可能となり、ひいては、安価で高性能なアラミド紙と樹脂フィルムとの積層体が得られたのである。
本発明のアラミド−樹脂フィルム積層体は高性能な電気絶縁材料として使用することができる。例えば変圧器、モータ、発電機などに好ましく使用できる。特に耐熱性及び加水分解に優れた特性が求められる、ハイブリッド車両などのモータ絶縁材料用途などには好適となる。PPSフィルムの厚みは特に限定されるものではなく、目的、用途に応じて好ましく選定すれば良い。
本発明における非加水分解性樹脂フィルムとは、加水分解を招かない樹脂をいい、PPSが適用される。
また、アラミド紙との接着性の面からPPSフィルムの表面には接着性改良の処理がされている方が好ましい。このとき、本発明者らの研究によれば、前記PPSフィルムの熱接合前における表面の、酸素原子(O)と炭素原子(C)との原子数の組成比X(O/C)が、原子数比率の理論値の102.5%以上、110%以下の範囲であることが望ましい。
このようなPPSフィルムの表面の改良の手法としては、コロナ処理、低温プラズマ処理を採用することができる。低温プラズマ処理における処理強度(出力)は、PPSフィルムの種類、処理する処理装置のタイプ、能力によって適宜選択することができる。尚、低温プラズマ処理のための装置、電極などは、特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。
上記アラミド−樹脂フィルム積層体における、接着剤を介することなく直接熱接合する積層方法は特に限定されるものではない。例えば熱プレスによる方法、加熱ロールによる方法、熱風による方法、超音波利用による方法など公知の方法を目的に応じ、適宜選定すれば良い。この場合、上記接合温度を、PPSフィルムの融点以下の可能な限り低い温度とすることが望ましく、PPSフィルムの変質などを防止でき、高品質の積層体を得ることができる。
ところで、本発明のアラミド−樹脂フィルム積層体としては、アラミド紙をA、PPSフィルムをBとすると、2種類の材料の組合せを、A/A、A/B/A、B/A/B、A/A/B/A等の各種のパターンとすることが可能である。
本発明のアラミド紙及びその製造方法によれば、非加水分解性樹脂フィルムとの間で、接着剤を用いることなく、熱接合が可能となるという優れた効果を奏する。また、本発明のアラミド−樹脂フィルム積層体によれば、アラミド紙の高耐熱性、並びに非加水分解性樹脂フィルムの高絶縁性及び非加水分解性の特長を併せ持ち、しかも可撓性に優れる比較的安価で高品質な積層体を得ることができるという優れた効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。後に掲載する表1に示すように、実施例1〜実施例5は、本発明に係るアラミド−樹脂フィルム積層体である。これら実施例1〜実施例10のアラミド−樹脂フィルム積層体は、本発明に係るアラミド紙を、非加水分解性樹脂フィルムの片面に、接着剤を介さずに直接熱接合して構成されている。
このとき、前記アラミド紙は、ポリ−m−フェニレンイソフタルアミド(m−アラミド)からなるフィブリッド及び短繊維を主体として紙状に形成されたものであって、紙表面が低温プラズマ処理されていることにより、同種材料又は非加水分解性樹脂フィルムとの間で、直接的に熱接合可能な性質を付与されたものである。また、このアラミド紙の表面における酸素原子(O)と炭素原子(C)との原子数の組成比X(O/C)が、原子数比率の理論値の110%以上、250%以下の範囲にある。この組成比Xとは、アラミド紙表面をXPS(X線電子光分光法)で測定した炭素原子数(C)と、酸素原子数(O)との原子数の比X(O/C)をいう。また、その理論値とは、アラミド紙を構成する樹脂組成における原子数比率の理論値をいう。
詳細には、実施例1〜実施例5に用いるアラミド紙として、市販の厚み2mil(50μm)のアラミド紙(例えば「ノーメックス:#411」デュポン(株)社製)を採用し、そのアラミド紙の接合面に対し、後述するような内部電極方式の低温プラズマ処理機1により、条件(処理強度)を変えて低温プラズマ処理を施したものである。この場合の処理強度は、30W・min/m〜1500W・min/mの範囲であり、具体的には、実施例1では50、実施例2では130、実施例3では650、実施例4では1120、実施例5では1400(単位は全てW・min/m)とされている。
ここで、図1は、低温プラズマ処理機1により低温プラズマ処理を行っている様子を模式的に示している。この低温プラズマ処理機1は、密閉可能な処理室2を有して構成されており、その処理室2内には、処理用ローラ3が設けられると共に、その処理用ローラ3の周囲を僅かな隙間を空けて囲むような電極4が設けられている。電極4には、高周波電源5が接続されており、また図示はしないが、処理用ローラ3はアース接続されている。そして、処理室2内は、真空ポンプに接続されたバルブ6の開放によって減圧されるようになっていると共に、ガス供給源に接続されたバルブ7の開放によって、処理(放電)部分に処理用のガス(例えばArや窒素)が供給されるようになっている。処理室2内の圧力を計測する圧力計8も設けられている。
そして、ロール状に巻回された処理前のアラミド紙(原反)Fは、供給部9から引出され、処理室2内の複数個の案内ローラ10により案内されながら処理用ローラ3に一周近く巻付けられるようにして、電極4との間の処理部分を通され、ここでプラズマ処理が行われた後、案内ローラ10により案内されながら巻取部11において再び巻取られるようになっている。尚、この低温プラズマ処理は、例えばアラミド紙Fの両面(或いは接合面のみ)に対して行なわれるようになっている。
これにより、実施例1のアラミド紙は、表面組成比X(O/C)が理論値の127%、実施例2のアラミド紙は、表面組成比Xが理論値の174%、実施例3のアラミド紙は表面組成比Xが理論値の206%、実施例4のアラミド紙は、表面組成比Xが理論値の213%、実施例5のアラミド紙は、表面組成比Xが理論値の233%とされている。
一方、上記アラミド紙と貼合わされる非加水分解性樹脂フィルムとして、実施例1〜実施例5では、PPS樹脂フィルムが用いられている。
そして、これらPPS樹脂フィルムに関しても、表面に接着性改良の処理を行った。この処理は、上記と同様の内部電極方式の低温プラズマ処理機1を用い、100(W・min/m)で低温プラズマ処理を行った。このとき、フィルム表面の、酸素原子(O)と炭素原子(C)との原子数の組成比X(O/C)が、原子数比率の理論値の102.5%以上、110%以下の範囲とされている。
上記プラズマ処理したアラミド紙(A)とPPS樹脂フィルム(B)とは、直接熱接合されて、アラミド−PPS樹脂積層体とされる。熱接合するにあたっては、熱プレスを用い、各アラミド紙(A)とPPS樹脂フィルム(B)とを重ね合せたものを、この場合、加熱した熱板間に挟み、10分間加圧(圧力20kg/cm)し、その後、放圧し積層体を取出して室温まで自然冷却し、サンプル品とした。
これに対し、比較例1、比較例2は、やはり、アラミド紙(A)とPPS樹脂フィルム(B)と直接熱接合してなるアラミド−PPS樹脂フィルム積層体であるが、特許請求の範囲から外れた構成を備えている。これら比較例1、比較例2は、アラミド紙(A)の表面に対する低温プラズマ処理を行わない、或いは、処理強度を、上記範囲(1500W・min/m)を超えて過大としたプラズマ処理を行なうことにより、特許請求の範囲から外れたアラミド紙(A)を用いたものである。
具体的には、やはり、市販の厚み2mil(50μm)のアラミド紙(例えば「ノーメックス:#410」デュポン(株)社製)を採用し、そのうち比較例1では、低温プラズマ処理を行わず、この結果、表面における酸素原子(O)と炭素原子(C)との原子数の組成比X(O/C)が、原子数比率の理論値とほぼ同等(100%)とされている。また、比較例2では、低温プラズマ処理の処理強度を、2050W・min/mとしており、その結果、表面における酸素原子(O)と炭素原子(C)との原子数の組成比X(O/C)が、理論値の253%となっている。アラミド紙(A)と非加水分解性樹脂フィルム(B)との積層は、上記実施例1〜5と同様に行った。
さて、本発明の適正を検証するため、上記した実施例1〜5及び比較例1、2のアラミド−PPS樹脂積層体に対し、層間接着力(剥離性)及び曲げ加工性を調べるための試験を、次のようにして行った。また、それらの試験結果を、表1に示す。
(1)層間接着力
層間接着力は、JIS C6481に準拠し、幅10mmの試料の90度剥離力を、引張り試験機を用いて、引張り速度50mm/分で測定した。
評価は、(判定)は、剥離力が、1N/cm〜0.5N/cmであれば、実用レベル以上とし良好(○)と判定し、剥離力が1N/cm以上であれば、特に良好(◎)と判定した。剥離力が0.5N/cm〜0.2N/cmであれば、普通(△)と判定し、剥離力が0.1N/cm以下であれば、不可(×)と判定した。普通(△)以上であれば、合格品である。
(2)曲げ加工性
幅11mm、長さ30cmに切断した試料を、自動折り曲げ機(自社製)に挿入し、折り曲げ加工を行い、曲げ加工性を評価した。評価は、折り曲げ部における、「浮き」、「はがれ」等の外観変化の有無を目視により判断した。判定基準は、「浮き」、「はがれ」などなく実用レベルにあるものを合格(○)とし、「浮き」、「はがれ」が一部でも発生し、商品とならないものを不可(×)とした。
Figure 0004617513
この試験結果から明らかなように、実施例1〜実施例5のアラミド紙を材料として得られたアラミド−PPS樹脂積層体は、全て、曲げ加工試験後の外観が良好であり、実用上問題ない曲げ加工性が得られた。そして、実施例1〜実施例5のアラミド−PPS樹脂積層体は、優れた層間接着力が得られた。
これに対し、アラミド紙に対する低温プラズマ処理を行わなかった比較例1は、PPS樹脂フィルムとの間の接着力が全く得られなかった。また、アラミド紙に対する低温プラズマ処理の処理強度(出力)が、1500W・min/mを越え、組成比X(O/C)が理論値の250%を越えた比較例2についても、良好な接着力が得られなかった。
(3)層間接着力と接着温度及び接着圧力との関係
次に、アラミド紙とPPS樹脂フィルムとの層間接着力と、接着時における圧力及び温度との関係を検証した。この結果を表2に示す。
Figure 0004617513
表2に示すように、アラミド紙とPPS樹脂フィルムとを接着する際の接着温度として、100℃、120℃、140℃、160℃、180℃、200℃及び250℃を設定し、接着圧力として50kgf/cm、70kgf/cm、100kgf/cm及び150kgf/cmを設定した。そして、これらの接着温度及び接着圧力でプラズマ処理したアラミド紙とPPS樹脂フィルムとを接着したときの層間接着力の関係を示している。評価は、表1の場合と同様である。接着は、設定した温度及び圧力で3分間実施した。
表2に示すように、接着時の温度が高く、かつ圧力が高くなるほど、層間接着力は高まることが分かる。特に、接着圧力が150kgf/cmになると、100℃という低い接着温度でも良好な層間接着力が確保されることが分かる。このように、接着圧力を高めることにより、アラミド紙とPPS樹脂との接着温度は低下させることができる。例えば接着圧力を150kgf/cmより高く設定することにより、アラミド紙とPPS樹脂フィルムとは100℃より低い接着温度でも十分な接着強度を発揮可能である。したがって、アラミド紙とPPS樹脂フィルムとの接着は、必要とする強度に応じて接着温度及び接着圧力を適宜設定することができる。
本発明の実施の形態を示すもので、低温プラズマ処理機の構成を概略的に示す縦断面図
符号の説明
図面中、1は低温プラズマ処理機、2は処理室、3は処理用ローラ、4は電極、Fはアラミド紙を示す。

Claims (2)

  1. PPSフィルムと、前記PPSフィルムの少なくとも片面に直接熱接合してなるアラミド紙と、を備えるアラミド−樹脂フィルム積層体であって、
    前記アラミド紙は、アラミドフィブリッド及びアラミド短繊維を主体として紙状に形成され、紙表面が内部電極方式の低温プラズマ処理機により低温プラズマ処理の強度が30W・min/m2〜1500W・min/m2の範囲で低温プラズマ処理されていることにより、処理後の紙表面における酸素原子(O)と炭素原子(C)との原子数の組成比X(O/C)が、原子数比率の理論値の110%以上、250%以下の範囲にあり、100℃以上、200℃以下の範囲の温度にてPPSフィルムとの間で、直接的に熱接合されていることを特徴とするアラミド−樹脂フィルム積層体
  2. 前記PPSフィルムの熱接合前における表面は、酸素原子(O)と炭素原子(C)との原子数の組成比X(O/C)が、原子数比率の理論値の102.5%以上、110%以下の範囲とされていることを特徴とする請求項1記載のアラミド−樹脂フィルム積層体。
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