(1)電子写真画像形成装置の全体的概略構成
図1は本実施例における多色画像形成装置の全体的概略構成を示す横断面模型図である。この多色画像形成装置は、転写方式電子写真プロセスを用いた、縦型タンデム方式、プロセスカートリッジ着脱方式のフルカラーレーザービームプリンタである。
100は電子写真画像形成装置本体(以下、装置本体と記す)、101は装置前扉(以下、前扉と記す)である。この前扉101は下辺側のヒンジ軸101aを中心に装置本体100の前面部に対して開閉可能である。図1は前扉101が装置本体100に対して閉じ込まれている状態図である。図2は前扉101を手前側に開いて装置本体内のプロセスカートリッジ挿入口91を開放した状態を示している。
7a・7b・7c・7dはそれぞれフルカラー画像の色分解成分色に対応するマゼンタ・シアン・イエロー・ブラックの各色のトナー像を形成する第1〜第4の4つのプロセスカートリッジ(以下、カートリッジと記す)であり、装置本体内に下から上に順に垂直に対して斜めに並設してある。
各カートリッジ7(a〜d)は、それぞれ、像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、感光体ドラムと称する)1(a〜d)、感光体ドラム表面を均一に帯電する帯電装置(帯電手段)2(a〜d)を有している。さらに各カートリッジ7(a〜d)は、それぞれ、感光体ドラム表面に形成された静電潜像に現像剤(以下、「トナー」と称す)を付着させてトナー像として現像する現像装置(現像手段)4(a〜d)を有している。さらに各カートリッジ7(a〜d)は、それぞれ、記録媒体に対するトナー像転写後に感光体ドラム表面に残ったトナーを除去するクリーニング装置(クリーニング手段)6(a〜d)を有している。帯電装置2(a〜d)、現像装置4(a〜d)、クリーニング装置6(a〜d)は何れも感光体ドラム1に作用するプロセス手段である。
第1〜第4のカートリッジ7(a〜d)の各現像装置4(a〜d)に収納させてある現像剤はそれぞれ、マゼンタトナー、シアントナー、イエロートナー、ブラックトナーである。
3a・3b・3c・3dはそれぞれ上記4つのカートリッジ7(a〜d)に対応する4つのスキャナユニットであり、レーザービーム(画像光)Lを感光体ドラム1(a〜d)の一様帯電処理面に照射し、感光体ドラム上に静電潜像を形成する露光手段である。すなわち、画像情報に基づいてレーザーダイオード(不図示)から出力されるレーザービームLがスキャナモータ(不図示)によって高速回転されるポリゴンミラー9(a〜d)で反射される。そしてポリゴンミラーで反射されたレーザービームLが結像レンズ10(a〜d)を介して、帯電済みの感光体ドラム表面を選択的に露光して静電潜像を形成するように構成している。
93は装置本体100内に配設した中間板(隔壁)であり、上記4つのカートリッジ7(a〜d)と上記4つのスキャナユニット3(a〜d)とを仕切っている。各スキャナユニット3(a〜d)から出力されるレーザービームLはそれぞれ中間板93に設けた対応する照射窓95を通って対応するカートリッジ7(a〜d)内に進入し、感光体ドラム1(a〜d)の表面を走査露光する。
5は静電転写装置(静電転写手段)であり、前扉101の内側に配設してある。前扉101はこの静電転写装置5を含めて装置本体100に対して開閉される(図2)。図1に前扉101が装置本体100に対して閉じ込まれている状態を示す。図1の状態において、転写装置5には、上側の駆動ローラ13と下側のテンションローラ14との2本のローラ間にエンドレスの静電転写ベルト11が張架されて垂直に対して斜めに配設されている。そして転写ベルト11は画像形成時に第1〜第4のカートリッジ7(a〜d)のすべての感光体ドラム1(a〜d)に対向し且つ接するように循環移動する。12a・12b・12c・12dは4つの転写ローラであり、それぞれ、第1〜第4のカートリッジ7(a〜d)のすべての感光体ドラム1(a〜d)との間に転写ベルト11を挟むように転写ベルトの内側に当接させて並設してある。転写ベルト11には、樹脂フィルムや、ゴム基層上に樹脂層が設けられた多層フィルム状部材が用いられている。
16は装置本体100の下部に配設した記録媒体給送部であり、転写装置5の転写ベルト11に記録媒体Sを給送するものである。この給送部16において、17は給送カセットであり、複数枚の記録媒体Sが収納されている。18は給送ローラ(半月ローラ)、19はレジストローラである。
20は装置本体100の上部に配設した定着部であり、記録媒体Sに転写された複数色のトナー像を定着させるものである。回転する加熱ローラ21a、これに圧接して記録媒体Sに圧力を与える加圧ローラ21b等を有している。23は排出ローラ、24は装置本体100の上面に配設した、画像形成済みの記録媒体Sを受ける排出トレイ部である。
画像形成シーケンスの所定の画像形成タイミングに合わせて第1〜第4の4つのカートリッジ7(a〜d)の各感光体ドラム1(a〜d)が矢印の反時計方向に順次に回転駆動される。そして、各々のカートリッジ7(a〜d)に対応するスキャナユニット3(a〜d)が順次駆動される。また、転写装置5の転写ベルト11が駆動ローラ13により矢印の時計方向に各感光体ドラム1(a〜d)の回転周速度に対応した周速度で回転駆動される。
各感光体ドラム1(a〜d)はその回転過程で帯電装置2(a〜d)により所定の極性(本実施例ではマイナス極性)及び電位に均一に1次帯電処理される。その帯電処理面に対してスキャナユニット3(a〜d)より出力される画像情報に応じて変調されたレーザービームLによる像露光がなされて、各感光体ドラム1(a〜d)上に画像情報の静電潜像が形成される。
その静電潜像が現像装置4(a〜d)によってトナー像として現像(本実施例ではマイナス極性トナーを用いた反転現像)される。これによって、第1〜第4の4つのカートリッジ7(a〜d)の各感光体ドラム1(a〜d)の面にそれぞれ電子写真プロセスによりフルカラー画像の色分解成分色像である、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの各色のトナー像が所定のシーケンス制御タイミングにて形成される。
一方、所定のシーケンス制御タイミングにおいて、給送部16の給送ローラ18が回転駆動される。これによってカセット17内の記録媒体Sが1枚毎分離給送される。
その記録媒体Sの先端がその時点では回転停止状態にあるレジストローラ対19のニップ部に突き当って受け止められて一旦停止し、ループを形成する。ループを形成した後、前記転写ベルト11の回転と感光体ドラム1(a〜d)に形成されるトナー像の書出し位置との同期をとって、レジストローラ対19が回転駆動される。これによって記録媒体Sが転写ベルト11のテンションローラ14側において上昇移動する転写ベルト部分に給送される。そして記録媒体Sは転写ベルト11が帯びている静電気によって転写ベルト面に自然に静電吸着状態になって安定に保持される。そして記録媒体Sは転写ベルト11の移動によって最下流の転写部まで搬送される。記録媒体Sや転写ベルト11を積極的に帯電して記録媒体Sを転写ベルト11の面に静電吸着させる静電吸着ローラ等の帯電手段を具備させることもできる。
より詳しくは、転写ベルト移動方向最上流側である第1のカートリッジ7aの感光体ドラム1の周面上のトナー像の先端が、転写ベルト11との対向点(転写部)に回転搬送されてくる。その搬送タイミングで、上記の対向点に記録媒体Sの画像形成開始位置が一致するように、レジストローラ対19の回転により記録媒体Sの給送タイミングを制御して記録媒体Sを転写ベルト11へ給送する。記録媒体Sは転写ベルト11に安定して吸着され、最上流側である第1のカートリッジ7aの転写部から最下流側である第4のカートリッジ7dの転写部まで上昇搬送される。
このように搬送されながら記録媒体Sは、第1〜第4の4つのカートリッジ7(a〜d)の各感光体ドラム1(a〜d)と転写ローラ12(a〜d)との間に形成される電界によって、各感光体ドラム1(a〜d)のトナー像の順次重畳転写を受ける。本実施例では、各転写ローラ12(a〜d)には、転写時にプラス極性のバイアスが印加されてプラス極性の電荷が転写ベルト11を介して記録媒体Sに印加される。このとき生じた電界により、感光体ドラム1(a〜d)に接触中の記録媒体Sに感光体ドラム1上のマイナス極性のトナー像が転写される。
すなわち、記録媒体Sは転写ベルト11の面に静電吸着して保持され、転写ベルト11の回転で下から上に上昇搬送されていく。そして、その搬送過程で、第1〜第4の4つのカートリッジ7(a〜d)の感光体ドラム1(a〜d)の各転写部にて感光体ドラム1(a〜d)の面にそれぞれ形成されるマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの各トナー像の重畳転写を順次に受ける。これにより記録媒体Sの面に未定着のフルカラートナー像が合成形成される。
4色のトナー像の重畳転写を受けた記録媒体Sは、転写ベルト駆動ローラ13の曲率により転写ベルト11から曲率分離して定着部20に搬入される。そして、記録媒体Sは回転する加熱ローラ21aと、これに圧接している加圧ローラ21bとで構成される定着ニップ部で挟持搬送される。これによって記録媒体Sは該ローラ対21a,21bによって熱及び圧力を与えられて複数色のトナー像が記録媒体Sの表面に定着される。記録媒体Sは定着部20で上記のトナー像定着を受けた後、排出ローラ対23によって装置本体100外の排出トレイ24に画像面を下にした状態で排出される。
第1〜第4のカートリッジ7(a〜d)において、記録媒体Sへのトナー像転写後の感光体ドラム1(a〜d)はクリーニング装置6(a〜d)によって転写残トナー等の残存付着物が除去され、繰り返して作像に供される。
(2)プロセスカートッジ7
図3はカートリッジ7の拡大横断面図、図4と図5はそれぞれカートリッジ7の斜視模型図である。
本実施例において、感光体ドラム1はカートリッジ7に組み込まれていて、カートリッジ7の装置本体100に対する着脱により装置本体100に対し着脱される。
ここで、以下の説明において、カートリッジ7またはこれを構成している部材の短手方向とはカートリッジ7を装置本体100に着脱する方向である。また、長手方向とはカートリッジ7を装置本体100に着脱する方向と直交する方向である。カートリッジ7に関し、正面とは感光体ドラム露出開口部を、カートリッジ7を装置本体100に着脱する方向から見た面である。背面とはカートリッジ7を正面から見てその反対側の面である。左右とはカートリッジ7を正面から見て左または右である。またカートリッジ7の上面とはカートリッジ7を装置本体100へ装着した状態で上方に位置する面であり、下面とは下方に位置する面である。
第1〜第4のカートリッジ7(a〜d)は現像装置4(a〜d)のトナー容器部(現像剤収納部)に収納させた現像剤が、第1のカートリッジ7aではマゼンタトナーであり、第2のカートリッジ7bではシアントナーである。そして第3のカートリッジ7cではイエロートナーであり、第4のカートリッジ7dではブラックトナーのトナーである。そして第1〜第4のカートリッジ7(a〜d)は現像剤が上記各色のトナーであることを除けば、互いに同一構成である。本実施例では同一構成として以下説明を行う。
カートリッジ7は、感光体ドラム1と、帯電装置2およびクリーニング装置6を備えたクリーナユニット50、および感光体ドラム1上の静電潜像を現像する現像装置4を有する現像ユニット4Aとに分かれている。
クリーナユニット50は、クリーニング枠体51に、感光体ドラム1、該感光体ドラムの外周面に設けられた感光層を一様に帯電させるための一次帯電装置2を配設してある。そしてさらに転写後に感光体ドラム1上に残った現像剤(残留トナー)を除去するためのクリーニングブレード60、可撓性シート部材80等を配設してある。
感光体ドラムは例えば直径24mmのアルミシリンダの外周面に感光層を設けて構成したものである。その長手方向両端部に設けられたフランジ部材72,75をそれぞれクリーニング枠体51の左右両側面に設けた支持部材(軸受部材)31a,31bによって回転自在に支持させている。上記の2つのフランジ部材72,75のうち一方のフランジ部材72は装置本体100側に設けられた駆動伝達部材(不図示)と結合して回転駆動される駆動側フランジ部材として構成してある。駆動伝達部材と駆動側フランジ部材72の形状および結合形態については後述の(4)項で説明する。
帯電装置2としては、接触帯電方式のものを使用することができる。帯電部材は、ローラ状に形成された導電性ローラである。このローラを、感光体ドラム表面に当接させて感光体ドラムの回転に従動回転させるとともに、このローラに帯電バイアス電圧を印加する。これにより感光体ドラム表面を一様に帯電させる。本実施例においては反転現像系を用いるので、感光体ドラム表面はマイナス極性に帯電されている。
クリーニングブレード60によって感光体ドラム1表面から除去された残留トナー(廃トナー)は、クリーニングブレード60の上方に設けられた廃トナー室(残留トナー収納部)55に納められる。また、感光体ドラム上の転写残トナーは、可撓性シート部材80の感光体ドラム当接部を通ってクリーニングブレード60の位置まで到達する。そしてクリーニングブレード60によって感光体ドラム上から除去された残留トナーがクリーニング枠体51の外に洩れないように可撓性シート部材80の当接条件を設定している。
現像ユニット4Aは、スペーサコロ40aによって感光体ドラム1と微少間隙を保持して矢印の時計方向に回転する現像ローラ40、およびトナーを収容する現像枠体45a、45bとから構成される。現像枠体45a、45bは超音波溶着等により結合されて現像容器ユニット46となる。現像ローラ40は軸受け部材を介して回転自在に現像容器ユニット46に支持され、また現像ローラ40の周上には、現像ローラ40と接触して矢印の時計方向に回転するトナー供給ローラ43と現像ブレード44がそれぞれ配置されている。さらに現像容器ユニット46内のトナー容器部(現像剤収納部)41内には収容されたトナー(不図示)を撹拌するとともにトナー供給ローラ43に搬送するためのトナー搬送機構42が設けられている。
そして、現像ユニット4Aは、現像容器ユニット46の長手方向両端に設けた結合穴47とクリーナユニット50のクリーニング枠体51の左右両側面に設けた支持穴52を合わせ、ピン49を差し込むことによってクリーナユニット50に対して結合させてある。そして現像ユニット4Aの全体がクリーナユニット50に対して揺動自在に支持された吊り構造となっている。また、現像ユニット4Aは、現像ローラ40のスペーサコロ40aがクリーナユニット50側の感光体ドラム1に接触するように加圧ばね(不図示)によってピン49を中心に常に回動付勢されている。
現像時には、トナー容器部41内に収納されたトナーがトナー攪拌機構42によってトナー供給ローラ43へ搬送される。矢印の時計方向に回転するトナー供給ローラ43が、そのトナーを矢印の時計方向に回転する現像ローラ40との摺擦によって現像ローラ40に供給し、現像ローラ40上に担持させる。現像ローラ40上に担持されたトナーは、現像ローラ40の回転にともなって現像ブレード(層厚規制部材)44のところに至り、現像ブレード44がトナーの塗布層厚を規制して所定のトナー薄層を形成し、所望の帯電電荷量を付与する。現像ローラ40上で薄層化されたトナーは、現像ローラ40の回転につれて、感光体ドラム1と現像ローラ40とが接近した現像部に搬送される。そして現像部において、図示しない電源から現像ローラ40に印加した現像バイアスにより、感光体ドラム1の表面に形成されている静電潜像に付着して、潜像を現像化する。すなわち、現像ローラ40は静電潜像の低電位部にトナーを転移させて感光体ドラム1の周面上にトナー像を形成(現像)する。
静電潜像の現像化に寄与せずに現像ローラ40の表面に残留したトナーは、現像ローラ40の回転にともなって現像器内に戻され、トナー供給ローラ43との摺擦部で現像ローラ40から剥離(はぎ取り)、回収される。回収されたトナーは、トナー攪拌機構42により残りのトナーと撹拌混合される。
54は感光体ドラム1を保護するシャッター部材であり、クリーニング枠体51に具備させてある。シャッター部材54は開閉機構(不図示)によりカートリッジ7の正面側である感光体ドラム外部露出開口部を隠蔽した閉じ位置(図3〜図5)と、感光体ドラム外部露出開口部から下方にシフトした開き位置(図3の2点鎖線示)とに開閉可能である。シャッター部材54は、カートリッジ7が装置本体100から取り出されている状態においては、閉じ位置に保持されている。そして、感光体ドラム1の外部露出面を隠蔽して保護している。また、シャッター部材54は、カートリッジ7が装置本体100に挿入されて装置本体100の前扉101が閉じられると、その前扉閉じ動作に連動する手段(不図示)により開き位置に移動する。そして感光体ドラム1の外部露出面に転写ベルト11が接触した状態になる(図1)。
53はクリーニング枠体51の左右両側面にそれぞれ設けた挿入ガイド部である。90はカートリッジ7を装置本体100に着脱する際の把手部であり、クリーニング枠体51の左右両側面からカートリッジ正面側に突出させて設けてある。
(3)カートリッジ7の着脱方法
次に装置本体100に対するカートリッジ7の着脱方法を説明する。
各カートリッジ7(a〜d)の装置本体100に対する着脱操作は、図2・図6のように、装置本体100の前扉101を開けて装置本体100内のカートリッジ挿入口91を大きく開放した状態にしてなされる。前扉101の装置本体100に対する閉じ状態(図1)は掛け止め機構(不図示)によりロックされている。その掛け止め機構によるロックを解除して、転写装置5を含む前扉101を下部のヒンジ軸101aを中心に装置本体100の手前側に倒し開く。これによって装置本体100内のカートリッジ挿入口91を大きく開放した状態にすることができる。
挿入口91は第1〜第4の4つのカートリッジ7(a〜d)が下から上に順に垂直に対して斜めに装着可能である。下側からマゼンタ挿入口、シアン挿入口、イエロー挿入口、ブラック挿入口とする。各挿入口におけるカートリッジ装着機構は互いに同様である。即ち、各挿入口にはそれぞれカートリッジ7を画像形成位置に導くためのラフガイド部103・本体ガイド部104・ガイド溝105を装置本体100の左右の側板102の内側に配設してある。図6は右側板の内側を示している。左側板の内側はこれと対称である。
操作者はカートリッジ7の左右側の把手部90を左右の手で握ってカートリッジ7を持つ。そして、カートリッジ7の短手方向で感光体ドラム側とは反対側であるカートリッジ背面側を先にして挿入口に挿入して、カートリッジ7の左右両側部をそれぞれ前記ラフガイド部103に載せる。カートリッジ7を更に挿入すると、カートリッジ7の左右両側部の挿入ガイド部53がそれぞれ前記本体ガイド部104に乗り上げ、カートリッジ7はラフガイド部103から浮き上がって該本体ガイド部104により挿入案内される。
カートリッジ7を装置本体100内へ更に挿入していくと、カートリッジ7の左右側の支持部材31a,31bがそれぞれ前記ガイド溝105に挿入される。そして支持部材31a,31bがガイド溝105の突き当て面に当たってカートリッジ7のそれ以上の挿入が阻止される。これによって、カートリッジ7の装置本体100に対する短手方向の位置が決まる。
上記のようにして各挿入口に対して対応するカートリッジ7を挿入した後、開かれている前扉101を装置本体100に対して閉じる。そしてその閉じ状態を掛け止め機構(不図示)によりロックする。この前扉101の閉じ動作に連動する手段(不図示)によって、
1)装置本体100内での各カートリッジ7の短手方向の押圧位置決め
2)各カートリッジ7のシャッター部材54の開き位置への移動
3)更に画像形成前の前多回転を行うことにより各カートリッジ7の駆動側フランジ部材72と装置本体100の駆動力伝達部材73の結合
がなされる。
上記において、1)の各カートリッジ7の短手方向の押圧位置決めは、例えば、前扉101の開閉機構と連動した押さえ部材(不図示)により行われる。押さえ部材は前扉101が開かれた状態、すなわちカートリッジ7を着脱自在な状態では前記ガイド溝105から退避した位置にあり、カートリッジ7の挿入時にはカートリッジ7側の支持部材31a、31bと干渉しない。カートリッジ挿入後は前扉101を閉める動作に伴い前記支持部材31a、31bを前記ガイド溝105に押さえ込む位置に移動する。これによりカートリッジ7の装置本体100内での短手方向の位置決めがなされる。
上記のような各カートリッジ7の装置本体100に対する装着状態において、各カートリッジ7の駆動側フランジ部材72に対して装置本体100側の駆動力伝達部材73が結合した状態にある。これによって、装置本体100側の駆動モータ(不図示)からの駆動力が駆動力伝達部材73を介して駆動側フランジ部材72に伝達され、各カートリッジ7の感光体ドラム1が図1において反時計周りに回転駆動可能となる。またこの感光体ドラム1の回転に連動してギア列(不図示)を介して、現像ローラ40、トナー搬送機構42、トナー供給ローラ43が駆動可能となる。
またカートリッジ7側の電気接点(不図示)と装置本体100側の電気接点(不図示)とが電気的に接続状態になる。これにより、装置本体100側の電源部(不図示)からカートリッジ7側への帯電バイアスや現像バイアスの印加、カートリッジ7側のメモリ素子(不図示)と装置本体100側の制御回路との情報授受等が可能状態になる。また、カートリッジ7側の感光体ドラム1が装置本体100側に接地状態になる。かかる感光体ドラム1のアース構成については後述の(4)項で説明する。
装置本体100内からの各カートリッジ7の取出しは上記の装着時とは逆手順でなされる。すなわち、前記掛け止め機構(不図示)による前扉ロックを解除する。そして、前扉101を下部のヒンジ軸101aを中心に装置本体100の手前側に倒し開く。この前扉101の開き動作に連動する手段により、各カートリッジ7の押さえ部材による押さえ込みが解除される。また駆動側フランジ部材72に対する駆動力伝達部材73の結合が解除される。また、シャッター部材54が閉じ位置へ移動する。この状態において、カートリッジ7の把手部90を手で握って、カートリッジ7を装着時とは逆方向に引き抜く。これによって、各カートリッジ7を装置本体100内から取り出すことができる。
(4)ドラムアース板71およびアースホルダー76の接続方法
次に駆動側フランジ部材72に取り付けられるドラムアース板(第二導電部材)71およびドラムアース板保持部材(保持部材)(以下、アースホルダーと記す)76の接続方法に関して、図7〜図11を参照してより詳しく説明する。
図7は本実施例に係る感光体ドラム(以下、感光体ドラムユニットと記す)1と、装置本体100側の駆動力伝達部材73の斜視図である。図8は感光体ドラムユニット1におけるドラムアース板71とアースホルダー76の組立手順を斜視図と縦断面図である。図9はアースホルダー76と駆動側フランジ部材72の組立手順の斜視図と縦断面図である。図10はカートリッジ7の装置本体100への着脱の途中経過を示し、図11はカートリッジ7が装置本体100に装填された画像形成可能な状態を示している。
ここで図7を用いて感光体ドラムユニット1の構成に関して説明していく。
感光体ドラムユニット1は前述の通り、アルミシリンダの外周面に感光層を設けたドラムシリンダ74、その長手方向両端部に圧入、一体化されたフランジ部材72、75により主に構成されている。両端に具備されたフランジ部材72・75はカートリッジ7に設けられた軸受部材31a・31b(図4および図5参照)に回転自在に支持されている。これにより感光体ドラムユニット1は一方のフランジ部材72の端部に本体内駆動モータ(不図示)から駆動力伝達部材73を介して駆動力が伝達されることにより回転駆動を行う。本実施例においては、装置本体100からの駆動伝達を行う方を駆動側フランジ部材72、もう一方を非駆動側フランジ部材75と定めている。
図10は駆動側フランジ部材72と駆動力伝達部材73の嵌合部(結合部)における縦断面詳細拡大図である。同図に示すように駆動側フランジ部材72は断面形状が複数の角部を有する非円形のねじれた突起72a(カップリング)を有する。装置本体100側には本体内駆動モータ(不図示)からの駆動を感光体ドラムユニット1に伝達するための駆動力伝達部材73を有する。駆動力伝達部材73の中央部には前記ねじれた突起72aと嵌合する断面形状が複数の角部を有する非円形のねじれた穴73a(カップリング)を具備している。カートリッジ7装填時には装置本体側の駆動力伝達部材73のねじれた穴73aと感光体ドラムユニット1側の駆動側フランジ部材72のねじれた突起72aとが嵌合し、感光体ドラムユニット1へ回転駆動を伝達する。その際カップリングの嵌合による長手方向の引き込み力A1により、駆動力伝達部材73と感光体ドラムユニット1が互いに接近する方向に引き寄せられる構成となっている。
また感光体ドラムユニット1に滞留する電荷を装置本体100に逃がすため、駆動側フランジ部材72のねじれた突起72aの中央部には、ドラムシリンダ74の内周面と電気的な接続を行う第二導電部材71(以下、ドラムアース板と称する)を具備している。駆動力伝達部材73のねじれた穴73aの中央部には、前記装置本体100と電気的な接続を行う第一導電部材70(以下、駆動軸と称する)を具備している。
図8に示されるように、ドラムアース板71は、接点手段としてアースホルダー76に形成された平面部76gに支持され、ねじれた突部72aの中央部に固定された平面接点部(第一接触部)71aと、他の接点手段として曲げ等により成形されたアーム状接点部(第二接触部)71bと、を一体に具備している。アーム状接点部71bは駆動側フランジ部材72長手方向において平面接点部71aよりも突出している。
また図10に示されるように、装置本体側の駆動軸70は駆動力伝達部材73と一体的に回転駆動を行い、駆動側フランジ部材72には径方向略中央部に駆動軸70が嵌合する穴72cを有している。画像形成状態においては、駆動軸先端頂点70aが駆動側フランジ部材72内に形成された平面部76gに支持される平面接点部71aに当接し、上記のねじれた突起72a及び穴73aの嵌合による引き込み力A1による接点圧がかかる。これにより駆動力伝達部材73と駆動側フランジ部材72(感光体ドラムユニット1)の結合が完了する。更に駆動力伝達部材73には、結合された感光体ドラムユニット1を長手方向に加圧する加圧バネ(不図示)が設けられている。この加圧バネにより感光体ドラムユニット1を介して非駆動側フランジ75がクリーナユニット50(カートリッジ7)を加圧し、クリーナユニット50を本体側板102(図6)に突き当て、カートリッジ7の装置本体100に対する長手方向の位置が決まる。
次にドラムアース板71の接続方法に関して更に詳細に説明していく。
図10はカートリッジ7の装置本体100への装填の途中経過を示している。本体側の駆動力伝達部材73はカートリッジ7装填前においては、カートリッジ7に干渉しないよう退避している。カートリッジ7を装填し本体前扉101(図2参照)を閉じることにより駆動力伝達部材73が駆動フランジ部材72に向けて回転しながら長手方向の移動を行う。そして装置本体100(駆動力伝達部材73)とカートリッジ7(駆動側フランジ部材72)のお互いのねじれた穴73a及び突起72aの一部が噛み合った状態となる。
この状態において、画像形成前の前多回転(プリント信号オンから実際に画像形成(印字)工程動作がなされるまでの間の画像形成前の準備回転動作期間)を行うため、駆動力伝達部材73から感光体ドラムユニット1と一体化された駆動側フランジ部材72へ回転駆動が入力される。また前段階において本体前扉101の閉じ動作と連動した回転内でねじれた穴73a及び突起72aの位相が合わず噛み合わない場合に関しても、前述のとおり駆動力伝達部材73が感光体ドラムユニット1(駆動側フランジ部材72)を長手方向に加圧する。このためこの前多回転初期においてお互いの位相が合った時点で噛み合いが可能となる。
ねじれた穴73a及び突起72aの一部が噛み合い、回転駆動が入力されることにより駆動力伝達部材73と駆動側フランジ部材72(感光体ドラムユニット1)が互いに接近する方向に引き込み力A1が発生し、引き寄せられる。その結果、駆動側フランジ部材72内では駆動軸70とドラムアース板71が互いに接近する方向に引き寄せられ、図10に示すように、アーム状接点部71bの先端が駆動軸70の先端と当接ポイントb1にて当接する。
更に引き続き回転駆動を入力し、引き込み力A1を発生させることにより、ドラムアース板71のアーム状接点部71bは駆動軸70外径方向の移動軌跡cに向けて、駆動軸先端表面70b上を移動し始める。ドラムアース板71はバネ性を有する導電部材により構成され、移動中は弾性変形を行い駆動軸先端表面70bに対して軽い圧をかけながら摺動する。つまり、アーム状接点部71bは、ねじれた突起72aの中央部とは異なる位置でねじれた突起72aに対して移動可能である。
更に回転駆動を入力し駆動軸70とドラムアース板71が互いに接近する方向に引き込むことにより、図11に示すように、駆動軸先端頂点70aとドラムアース板71の平面接点部71aが突き当たる。そして引き込み力A1とカートリッジ7の本体内位置決め時には加圧バネ(不図示)を加えた接点圧Aにより装置本体100と感光体ドラムユニット1との電気的接続を行う。
また駆動軸先端頂点70aと平面接点部71aが突き当たるまでは駆動軸70がドラムアース板71に対して回転している。アーム状接点部71bは駆動軸先端表面70b上で、駆動軸70長手方向の移動に加えて、駆動軸70外径方向の移動を行い、当接ポイントb1(図10参照)から移動軌跡cを経由して当接ポイントb2に至る(図11参照)。アーム状接点部71bは当接ポイントb2において、アーム状接点部71bの弾性力により生まれる接点圧Bにより装置本体100と感光体ドラムユニット1との電気的接続を行う。
以上のドラムアース板71の接続方法により、画像形成中の感光体ドラムユニット1と駆動軸70との接点部を摺動ではなく固定に出来るため、カートリッジ7と装置本体100とのアース安定性を図ることができる。駆動力伝達部材73と一体に回転する駆動軸70は装置本体100に設けられている。駆動軸70は装置本体100の接地部材(不図示)と摺動可能に接続されており、接地部材と駆動軸70との摺動部には導電グリスを塗付しアース安定性を図っている。そして接地部材は接地状態にある。
ユーザが触れることのできる感光体ドラムユニット1と駆動軸70との接点部には導電グリスを塗付せず、上記固定接点構成により安定性を向上させている。また駆動側フランジ部材72(ドラムアース板71)と駆動軸70を固定とすることにより、駆動軸70が嵌合する穴72cの磨耗、接点部の磨耗を防止することができる。
またドラムアース板71の平面接点部71aにおけるアース接続に関しては、駆動伝達時のねじれた穴73a及び突起72aの嵌合による引き込み力を接点圧としている。このため、接点部材のへたりが無く、駆動入力されているときのみ接点圧がかかり、駆動伝達開始時、微少変位することで駆動軸先端頂点70aと平面接点部71aとの接点部でワイピング効果を得ることができる。
また一方では異なる手段としてドラムアース板71のアーム状接点部71bにおけるアース接続に関しては、アーム状接点部71bが駆動軸先端表面70b上を弾性力により当接しながら摺動する。これによりワイピング作用のあるアース手段を行い、より良好なドラムアースを行うことができる。
なお本例における駆動軸先端形状(駆動軸先端頂点70a、駆動軸先端表面70b)はドラムアース板71のアーム状接点部71b先端がカップリングの引き込み動作に伴い摺動可能な形状であれば他の形状であっても同様の効果を得ることができる。
また本例におけるアーム状接点部71bの形状は、図10、図11に示すように、アーム状接点部71b先端が駆動軸先端表面70bの断面形状接線方向に対してより寝かせて当接するよう構成し、当接後の摺動を滑らかにしている。なおドラムアース板71のアーム状接点部71bは、ねじれた穴73a及び突起72aの嵌合による引き込み動作に伴いアーム状接点部71b先端が駆動軸先端表面70bを摺動可能な形状であれば本発明と同様のワイピング作用を得ることも可能である。例えば他の曲げ構成による形状の変更も可能である。
また本例においてドラムアース板71のアーム状接点部71bと平面接点部71aは曲げ成形により一部材で形成されているが、複数の導電部材を組み合わせて上記の各接点部71a,71bを構成しても同様の効果を得ることができる。また非円形のねじれた穴73aと非円形のねじれた突起72aを逆にしてもよい。すなわち駆動側フランジ部材72の中央部に断面が複数の角部を有する非円形のねじれた穴73aを設け、装置本体100の有する駆動力伝達部材73の中央部に断面が複数の角部を有する非円形のねじれた突起72aを設けても本例と同様の効果を得ることができる。
また駆動軸70とドラムアース板71を逆に、すなわち非円形のねじれた穴73aの中央部にドラムアース板71を設け、非円形のねじれた突起72aの中央部に駆動軸70を設けても本例と同様の効果を得ることができる。また本例のように、ドラムアース板71を非円形のねじれた突起72aの中央部に設けた方が、ドラムアース板71に連通する穴72cは駆動軸70と同径となる。これにより、非円形のねじれた穴73aより小さくできるため、板バネ形状のドラムアース板71への外部からの接触防止に適している。
(5)ドラムアース板71及びアースホルダー76、駆動側フランジ部材72の組立工程
次に本例のドラムアース板71の駆動側フランジ部材72への組立工程に関して、図8、図9により詳しく説明する。
図8はドラムアース板71のアースホルダー76への組立工程を示す斜視図と縦断面図である。左上記載の番号1)〜6)の順に組立を行う。
工程1)はドラムアース板71のアースホルダー76への組立前を示している。
本例においてドラムアース板71は大きく略L字形状の曲げを有しており、L字形状断面方向には突出した係合部71cを双方に有する。またアースホルダー76内でのドラムアース板71の位置決めを行う位置決め穴71d、ドラムシリンダ内周面と当接して電気的接続を行う突起71e、前述した平面接点部71aとアーム状接点部71bを有している。またアースホルダー76にはドラムアース板71の位置決め穴71dに嵌合する位置決めピン76bを有している。
さらにアースホルダー76には突き当て面としての平面部76gが設けられており、その形状は半円以上の円弧形状を有している。更に平面部76gと直交しドラムアース板71の平面部分71gと接する長手平面部76jが設けられている。またアースホルダー76にはドラムアース板71の取り付け用の位置規制部76cが長手平面部76jを挟んで両端に設けられている。
工程2)に示すようにアースホルダー76にはドラムアース板71から突出した係合部71cと係合するスリット溝76eが形成されており、ドラムアース板71の平面接点部71aを前端とした場合、組立時にはアースホルダー76後端よりドラムアース板71の接点部を先頭にして挿入させていく。
更に挿入させ工程3)の状態に至ると、アースホルダー76に形成されたガイド76dに双方に突出した係合部71cが当接する。ガイド76dは断面方向奥側、手前側に設けられ、図示された傾斜形状を有しているため、ドラムアース板71は図中下方に下降してくる。また途中経過において、ドラムアース板71に形成された位置決め穴71dとアースホルダー76後端面に形成された位置決めピン76bが嵌合する。
ガイド76dの傾斜形状はドラムアース板71の板厚と同等の幅を有するスリット溝76eとつながっており、更に挿入させていくとドラムアース板71に形成された係合部71cはスリット溝76eに係合する。この状態においてもドラムアース板71先端部は弾性変形している。
またドラムアース板71先端部には、曲げにより形成された凸部を成す引っ掛け部71fを具備している。工程3)内の矢印が示すように、ドラムアース板71の後端を押圧し弾性変形させ、更に挿入させると引っ掛け部71fの曲げ先端がアースホルダー76の平面部76gの面を超える。このとき引っ掛け部71fの曲げ先端は下方への付勢力が開放されてドラムアース板71の先端が工程4)に示すような矢印方向の移動を行う。
アースホルダー76には凹部を成す被引っ掛け部76fを形成している。工程5)に示すようにドラムアース板71の後端の押圧を解除することで、図中矢印方向の付勢力が働きドラムアース板71の平面接点部71aの裏側とアースホルダー76の平面部76gの密着が可能となる。ここで工程2)に図示された寸法m(アースホルダー76後端から平面部76g間の寸法)と寸法n(ドラムアース板71後端から平面接点部71a間の寸法)との関係は公差が積み重なった場合においても、n≦mとなるように設定し、必ず前記の密着が発生する寸法関係としている。
またドラムアース板71先端に具備された引っ掛け部71fは、アースホルダー76に形成された凹部を成す被引っ掛け部76fと噛み合いドラムアース板71の上方への浮きを防止することができる。ここで引っ掛け部71fは凸部を後端方向に形成しているため、噛み合い時にはアースホルダー76の凹部を成す被引っ掛け部76fに収納され、駆動軸70との電気的接続を妨げることはない。引っ掛け部71fが被引っ掛け部76fに引っ掛ることにより、アースホルダー76に対するドラムアース板71の移動が規制される。
次に工程6)に示すように位置決めピン76bを熱溶着により変形させ溶着部76hを形成し、ドラムアース板71の移動を規制する。
以上の上記の工程1)〜6)によりアースホルダー76内でのドラムアース板71の位置決めを確実なものとすることができる。
続いて図9によりアースホルダー76の正面図と、ドラムアース板71とアースホルダー76のドラムフランジ72への組立工程を斜視図と縦断面図により示す。左上記載の番号1)〜3)の順に組立を行う。
工程1)はドラムアース板71とアースホルダー76が一体となった状態での、駆動側フランジ部材72への組立前を示している。
本例において駆動側フランジ部材72は中空形状であり、その先端にねじれた突起72aを有している。後端にはドラムシリンダー74と嵌合する圧入部72bと、アースホルダー76の円周方向での位置決めを行うと共にアースホルダー76と駆動側ドラムフランジ72とを同期して回転させる為の凹部72dを有している。またアースホルダー76には凹部72dと係合するための凸部76lを有している。
工程2)に示すように組立時にはねじれた突起部72aを前端とした場合、駆動側フランジ部材72後端よりアースホルダー76を平面接点部71aを先頭にして挿入していく。
駆動側フランジ部材72には、該駆動側フランジ部材を支持する軸受部材31a(図5)と摺動する部分に第一の径72lと、ドラムシリンダー74と嵌合する圧入部72bに第二の径72mと、本体駆動軸70と嵌合する穴72cに第三の径72nを有している。
またアースホルダー76には、駆動側フランジ部材72に対するアースホルダー76の挿入方向位置決めを行う為、駆動側フランジ部材72に設けられた引っ掛け部(フランジ引っ掛け部)72eと係合する長手規制部76kを有している。
またアースホルダー76の正面図に示すように、駆動側フランジ部材72の第二の径72mと嵌合する部分には第一の径76mの円弧形状が、駆動側フランジ部材72の第三の径72nと嵌合する部分には第二の径76nの円弧形状部を有している。また長手平面部76jはアースホルダー76の円弧中心線76oよりも上方に位置している。こうする事で、駆動側フランジ部材72に本体駆動軸70と接する時に、アースホルダー76の平面部76gの中心で本体駆動軸70を受けることができ、アースホルダー76の半径方向の移動を規制することができる。またアースホルダー76にはドラムアース板71の取り付け用の位置規制部76cが長手平面部76jを挟んで両端に設けられている。
工程2)から挿入していき工程3)の状態に至ると、駆動側フランジ部材72に設けられた引っ掛け部72eをアースホルダー76が乗り越え、長手規制部76kに引っ掛け部72eが係合した状態で挿入完了となる。この状態において、アースホルダー76は、駆動側フランジ部材72の内部に係合され、駆動側フランジ部材72内部でドラムアース板71を保持している。またアースホルダー76に設けられた凸部76lが駆動側フランジ部材72に設けられた凹部72dと係合し、感光体ドラムユニット1の回転方向において駆動側フランジ部材72に対するアースホルダー76の移動が規制される。また引っ掛け部72eが長手規制部76kと係合し、感光体ドラムユニット1の回転方向において駆動側フランジ部材72に対するアースホルダー76の移動が規制される。これにより、アースホルダー76と駆動側フランジ部材72は同期して回転する事となる。
最後にドラムシリンダ74を駆動側フランジ部材72後端より圧入部72bに圧入させる。その際にはドラムアース板71の突起71eがドラムシリンダ74内周面を摺擦し、組み付け時には弾性的にドラムシリンダ74内周面に当接し、電気的な接続を行う。
以上の上記の工程1)〜3)によりアースホルダー76と駆動側フランジ部材72、ドラムシリンダ74の結合を確実なものとすることができる。
以上の組立工程においては、アースホルダー76後端からドラムアース板71を挿入させ、さらにそれらを駆動側フランジ部材72後端から挿入させる事で一方向組立を実現し、組み立て性の向上を図る事ができる。
また駆動側フランジ部材72をアースホルダー76と一部品で構成した場合には、ドラムアース板71を取り付けるため、駆動側フランジ部材72の内側形状が非対称形状となる為にひけなどの成形不良を引き起こす可能性がある。しかしながら駆動側フランジ部材72は、軸受部材31a(図5)と摺動する部分の径72l、ドラムシリンダ74と嵌合する部分の径72mは色ずれなどの画像不良の原因となりうるので高精度が必要とされる。本例のように駆動側フランジ部材72に、ドラムアース板71を保持させたアースホルダー76を組み付ける構成とすることによって、以下のような効果を得ることができる。
すなわち、
1)画像形成装置本体側の駆動軸70(第一導電部材)と感光体ドラムユニット1のドラムシリンダ74内のドラムアース板71(第二導電部材)との電気的な接続により感光体ドラムユニット1のアースを行う構成において、該ユニット1のアースの安定性をより向上させることができる。すなわち、ドラムアース板71が平面接点部71aとアーム状接点部71bを持ち、ねじれた穴73a及び突起72aの嵌合による引き込み力により駆動力伝達部材73と感光体ドラムユニット1が互いに接近する方向に移動する。この移動と連動して、平面接点部71aが駆動軸先端頂点と当接し、アーム状接点部71bが駆動軸先端表面を摺動する。つまり2種類の異なる接続手段を有することにより感光体ドラムユニット1のアースの安定性をより向上させることができる。
また画像形成中の感光体ドラムユニット1と駆動軸70との接点部を摺動ではなく固定にでき、カートリッジ7と装置本体100とのアース安定性を図ることができる。また駆動側フランジ部材72(ドラムアース板71)と駆動軸70を固定とすることにより、駆動軸70が嵌合する穴72cの磨耗、接点部の磨耗を防止することができる。
ドラムアース板71の平面接点部71aが駆動軸先端頂点70aと当接する第1の接続手段に関しては、駆動伝達時のねじれた穴73a及び突起72aの嵌合による引き込み力を接点圧としている。このため、接点部材のへたりが無く、駆動入力されているときのみ接点圧がかかり、駆動伝達開始時、微少変位することで駆動軸先端頂点70aと平面接点部71aとの接点でワイピング効果を得ることができる。
ドラムアース板71のアーム状接点部71bが駆動軸先端表面70bを摺動する第2の接続手段に関しては、アーム状接点部71bが駆動軸先端表面70b上を弾性力により当接しながら摺動する。これにより、ワイピング作用のある接続を行い、より良好なドラムアースを行うことができる。
2)ドラムアース板71の平面接点部71aとアーム状接点部71bを一部材により形成することで部品点数の減少を図ることができる。
3)駆動側フランジ部材72にアースホルダー76を挿入して組み付ける構成とする事で、駆動側フランジ部材72を感光体ドラムユニット1の径方向の仮想線(不図示)に対して対称形状とする事ができる。これにより、駆動側フランジ部材72においてドラムシリンダ74との嵌合部や軸受部材31aとの摺動部の精度を保つ事ができ、画像形成の向上を図ることができる。また、駆動側フランジ部材72はアースホルダー76を挿入して組み付けることで強度が向上する。
4)ドラムアース板71をアースホルダー76へ組み付けるために、アースホルダー76にドラムアース板71を所定の位置に付勢させるガイド76dを、ドラムアース板71には前記ガイド76dに当接あるいは係合する係合部71cを設けている。これにより、ドラムアース板71のアースホルダー76への一方向組立が可能となり組立性の向上を図ることができる。
5)アースホルダー76を駆動側ドラムフランジ72へ組み付けるために、アースホルダー76を所定の位置に付勢させる為の凸部76lと凹部72dをアースホルダー76と駆動側フランジ部材72にそれぞれ設ける事で一方向組立が可能となり組立性の向上を図ることができる。
6)ドラムアース板71の移動を防止するよう、ドラムアース板71には凸形状の引っ掛け部71fを、アースホルダー76には引っ掛け部71fが掛かる凹形状の被引っ掛け部76fをそれぞれ設けている。そしてドラムアース板71がアースホルダー72へ組み付けられた時、引っ掛け部71fと被引っ掛け部76fが互いに噛み合う方向に付勢される。これにより、ドラムアース板71先端の接点部の浮きを防止し、確実に安定した接点部の位置決めを行うことができる。その結果、より良好なドラムアースを行うことができる。
7)アースホルダー76の移動を防止する為に、アースホルダー76を駆動側フランジ部材72に取り付ける際に、駆動側フランジ部材72に設けられた引っ掛け部72eとアースホルダー76の長手規制部76kが係合する事で長手の移動を防止できる。
8)またアースホルダー76の平面部76gが半円以上の円弧形状を有しているので、駆動軸70が突き当たる際にも常にアースホルダー76の中心に力を受けることができる。こうする事で常に接点圧を確保する事ができる。
9)上記の1)から8)に係るドラムアース構成を備える感光体ドラムユニット1は、プロセスカートリッジ形態を採用することなく、独立して画像形成装置本体100に着脱可能に取り付けてもよく、この場合、上記と同様の効果を有することができる。
[その他]
1)現像方法としては、公知の2成分磁気ブラシ法、カスケード現像法、タッチダウン現像法、クラウド現像法等の種々の現像法を用いることが可能である。
2)また帯電手段の構成も、前述した実施の形態では所謂接触帯電方法を用いたが、他の構成として従来から用いられているタングステンワイヤーの三方周囲にアルミ等の金属シールドを施し、前記タングステンワイヤーに高電圧を印加することによって生じた正または負のイオンを感光体ドラムの表面に移動させ、該ドラムの表面を一様に帯電する構成を用いても良いことは当然である。
なお、前記帯電手段としては前記ローラ型以外にも、ブレード(帯電ブレード)、バッド型、ブロック型、ロッド型、ワイヤ型等のものでも良い。
3)また感光体ドラムに残存するトナーのクリーニング方法としても、ブレード、ファーブラシ、磁気ブラシ等を用いてクリーニング手段を構成しても良い。
4)尚、本実施例においては突起の形状はねじれたものとしているが、前記突起の形状はねじれたものに限定されない。前記突起の形状は、断面が複数の角部を有する非円形のねじれた穴に嵌合した状態で、前記駆動力伝達部材が回転することによって前記突起が前記穴の方向へ引き込み力を受ける形状であれば平板形状、アーム形状、あるいは先端の面積が根元の面積より狭い三角柱形状、三角錐形状であってもよい。