JP4616998B2 - 水分散性パンティライナ - Google Patents

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Description

【0001】
(技術分野)
本発明は、パーソナルケア製品に関する。より詳細には、本発明は、水分散性パンティライナ又は類似の身体用製品に関する。
【0002】
(背景技術)
使い捨て式の自由さ、容易さ、及び、便利さは、女性用衛生製品などの一回使用パーソナルケア製品の重要な特徴である。同様に、臭いを最小限にし、固形廃棄物を減らすという努力目標は、(そのような製品は、通常、埋め立て処分されるため)水洗トイレに流せる製品を作ることで進展した。水洗トイレにパーソナルケア製品を流す能力はまた、製品に含まれるいかなる体内不用生成物もそれを適切に処理する廃棄物処理施設へ送ることを補助する。
【0003】
これらの消費者の要望を満たすため、トイレの水に分散することになる製品をもたらす数多くの試みがなされてきた。例えば、米国特許第3,550,592号は、アルギン酸カルシウムの構造を形成し、炭酸ナトリウム又は他の弱塩基をトイレの水に加えることにより、水洗可能な生理用ナプキンを提供することを試みている。塩基は、購入時にナプキンと共に提供され、処分時に使用者がトイレの水に加えることになるであろう。
【0004】
米国特許第5,681,299号は、大量の水(例えば、トイレ)に置かれた時、裏当てが製品の残りの部分から分離する状態になるほど十分に溶ける製品を記載している。次いで吸収性芯部はスラリーになり、このスラリーは、下水用配管を通り抜ける。ライナは溶けないが、配管を通り抜けるほど十分に小さいものである。
米国特許第5,722,966号は、水中で分散性の繊維状の上面及び底面シートと吸収性芯部とを有する製品を記載している。その製品で使用されている様々な材料は、誘発的な分散性のものではない。
【0005】
水洗性パーソナルケア製品を提供する他の試みは、これまで一回使用使い捨ておむつに集中してきた。
現在市販されているパンティライナは、トイレに流すことができ、それらはかなり小さいために、トイレの設備を通過し、下水設備の配管の中に入ることになる。しかし、これらのパンティライナは分散しないので、そのままの形で残り、いずれかの時点で、そして、おそらく最も近づき難い地点で処理装置を詰まらせる可能性を抱えている。
【0006】
全構成要素が水洗トイレに流すことによる使い捨てに対して順応でき、流される時に比較的完全に分散するか、又は、下水配管系を問題なく通り抜けるほど小さいパーソナルケア製品に対する必要性がまだ残っている。そのような処理は、使用者が撹拌したり又は使用者が薬品を添加することを必要とせず、かなり急速に起こることが必要である。本発明の目的は、トイレの水に相当程度分散することになる水洗性パンティライナ及び類似の物品を提供することである。
【0007】
(発明の開示)
本発明は、公共の下水設備を問題なく移動することができ、トイレ、装置の配管、及び、ポンプを問題なく通過する(例えば、詰まることなく)、水分散性パンティライナに関する。このパンティライナは、下水処理施設において、使用される化学的、生物学的、又は、他の廃棄物処理方法に悪影響を及ぼすことなく処理されることが可能である。
本発明の目的は、誘発的な分散性を有する身体側に面するライナ、衣類側に面するバッフル、及び、任意選択的であるが、ライナとバッフルとの間に配置された誘発的な分散性を有する吸収性芯部を持つ水分散性パンティライナによって充足される。衣類バッフルは、生分解性とすることができる。
【0008】
1つの実施形態において、本発明は、衣類取付用接着剤層を覆う剥離ストリップを有し、衣類取付用接着剤層は、剥離ストリップを剥離ストリップの一方の側で着用者の衣類に粘着的に取り付け、もう一方の側でバッフルの一方の側に粘着的に取り付ける。バッフルは、次に、その第2の面で身体に面する側に構造用接着剤を用いて付着される。身体に面する側は、身体側ライナ及び吸収層などの多重層から作ることができる。
パンティライナの全構成要素は、実質的に水中で分散性を有するか、又は、パンティライナを使用後にトイレに流して処分してもよいほど、物品から分離した後は非常に小さい。
また、他の実施形態において、本発明に係る水分散性パンティライナは、着用時に身体側に位置し、捲縮したイオン誘発水分散性芯鞘複合繊維を含む身体側ライナと、着用時に衣類側に位置し、ポリエチレンオキシド及びエチレン・コ・アクリル酸の20/80から95/5重量パーセントの間の量の混合物を含むバッフルと、前記身体側ライナと前記バッフルとの間に配置されて、パルプ及びイオン誘発水分散性ポリマー繊維を約5/95から95/5重量パーセントの範囲で含む吸収性芯部と、前記バッフルの衣類側の面に粘着的に取り付けられ、ポリビニルアルコール結合剤及びシリコーン・リリース剤でコーティングされた、紙基材シートを含む剥離ストリップと、前記剥離ストリップをバッフルに粘着的に取り付けるための、10から60gsmの間の量で存在する水溶性衣類取付用接着剤と、1から50gsmの間で存在し、前記バッフルを吸収性芯部に粘着的に取り付ける構造用接着剤とから実質的に構成され、大人用失禁対応機能を有することを特徴とする。特に、前記複合繊維が、ポリプロピレンの芯と、コポリエステルの外側の鞘とを有するとよい。また、特に、前記鞘が生分解性ポリマーを含み、該生分解性ポリマーが脂肪族ポリエステルであるとよい。また、特に、前記複合繊維は、ポリオレフィン、ポリエステルまたはレーヨンが混合されたものであるとよい。
【0009】
(発明を実施するための最良の形態)
定義
本明細書及び請求項で用いられる「含む」という用語は、包括的又は非制限的な用語であり、記載されていない要素や、構成部品、又は、方法の段階追加することを除外するものではない。
本明細書で用いられる「不織布又はウェブ」の用語は、個々の繊維又は糸が、編まれた布のようにそれと分かる方式によらず、間に差し込まれた構造を持つウェブである。不織布又はウェブは、例えば、メルトブロー工程、スパンボンド工程、及び、ボンデッド・カーデッド・ウェブ工程などの多くの方法により形成されている。不織布の坪量は、通常、材料の平方ヤード当たりのオンス(osy)、又は、平方メートル当たりのグラム(gsm)で表され、有用な繊維直径は、通常ミクロンで表される。(osyをgsmに変換するには、osyに33.91を乗ずる。)
【0010】
本明細書で用いられる「スパンボンド繊維」の用語は、熔解した熱可塑性の材料が複数の細かい通常円形の紡糸口金の毛管からフィラメントとして押し出され、例えば、アッペル他に付与された米国特許第4、340、563号、ドーシュナー他に付与された米国特許第3、692、618号、マツキ他に付与された米国特許第3、802、817号、キニーに付与された米国特許第3、338、992号及び第3、341、394号、ハートマンに付与された米国特許第3、502、763号、及び、ドボ(Dobo)他に付与された米国特許第3、542、615号に記載されるように、押し出されたフィラメントの直径が急速に縮小されて形成される小直径の繊維を意味する。スポンボンド繊維は、集積面上に堆積する時には一般に粘着性ではない。スパンボンド繊維は、ほぼ連続しており、約7ミクロンより大きい平均直径(少なくとも10試料からの)を持ち、より詳細には、約10から20ミクロンの間である。繊維はまた、通常の形状を持たない繊維が記載されている、ホーゲル他に付与された米国特許第5、277、976号、ヒルズに付与された米国特許第5、466、410号、及び、ラーグマン他に付与された米国特許第5、069、970号及び第5、057、368号にあるものなどの形状を持ってもよい。
【0011】
本明細書で用いられる「メルトブローン繊維」の用語は、溶融した熱可塑性材料が、複数の細かい通常円形のダイ型毛管から溶融した糸又はフィラメントとして、収束する高速で通常高熱のガス(例えば、空気)流の中に押し出されて形成される繊維を意味し、該ガス流は、溶融した熱可塑性材料の直径を減らすために、ミクロ繊維の直径にし得るまでにフィラメントを細くする。その後、メルトブローン繊維は、高速ガス流中で運ばれ、集積面上に堆積して不規則に分散したメルトブローン繊維のウエブを形成する。そのような工程は、例えば、ブティン他に付与された米国特許第3、849、241号に公開されている。メルトブローン繊維は、連続性又は不連続性であり得るミクロ繊維であって、平均直径が一般に10ミクロン未満であり、通常、集積面上に堆積する時に粘着性を示す。
【0012】
本明細書で用いる場合、「コフォーム」という用語は、シュートの近くに少なくとも1つのメルトブローン・ダイヘッドが配置され、ウェブを形成している間にシュートを通して他の材料をウェブに添加する工程を意味する。そのような他の材料は、パルプ、超吸収性粒子、天然ポリマー(例えば、レーヨン又は木綿繊維)、及び/又は、例えば繊維がステープル長であり得る合成ポリマー(例えば、ポリプロピレン又はポリエステル)繊維であってもよい。コフォーム工程は、ラウ(Lau)に附与され、本出願人に譲渡された米国特許第4,818,464号、及び、アンダーソン他に附与された第4,100,324号に示されている。コフォーム工程で製造されたウェブは、一般にコフォーム材料と呼ばれている。
【0013】
本明細書で用いる場合、「複合繊維」という用語は、別々の押出機から押出される少なくとも2つのポリマーが互いに紡がれて1本の繊維に形成されたものを意味する。複合繊維はまた、時に多成分繊維又は二成分繊維と呼ばれる。各ポリマーは一般に互いに異なっているが、複合繊維は単一成分繊維であり得る。ポリマーは、複合繊維の断面を横切って実質的に一定の関係に位置する区分された領域に配置され、複合繊維の長さ方向に沿って連続的に延びる。その様な複合繊維の形態は、例えば、1つのポリマーが別のポリマーで取り巻かれる「芯鞘」配置であってもよく、又は、並列配置、パイ型配置、又は、「海中の島々」配置であってもよい。複合繊維は、カネコ他に付与された米国特許第5、108、820号、クルーガー(Krueger)他に附与された米国特許第4,795,668号、マーチャー(Marcher)他に附与された米国特許第5,540,992号、及び、ストラック他に付与された米国特許第5、336、552号に開示されている。複合繊維は、パイク他に附与された米国特許第5,382,400号にも教示されており、2つ(又は、それ以上)のポリマーの異なる膨張率及び収縮率を用いて繊維にひだを生み出すのに使用してもよい。捲縮繊維はまた、機械的な手段により、及び、独国特許DT 25 13 251 A1の方法により製造してもよい。二成分繊維においては、ポリマーは、75/25、50/50、25/75、又は、他の目標とする任意の比率で存在し得る。該繊維はまた、慣例的でない形状の繊維が記載された、ホーグル(Hogle)他に付与された米国特許第5、277、976号、ヒルズに附与された米国特許第5,466,410号、及び、ラーグマン他に付与された米国特許第5、069、970号及び第5、057、368号にあるものなどの形状を持っていてもよい。
【0014】
本明細書で用いる場合、「二組成繊維」という用語は、同じ押出機からブレンドとして押出される少なくとも2つのポリマーから形成される繊維を意味する。「ブレンド」の用語は、以下に定義される。二組成繊維は、繊維の断面区域を横切って比較的一定の関係に位置する区分された領域に配置される種々のポリマー成分を持たず、種々のポリマーは、通常、繊維の全長に沿って連続せず、一般に不規則に始まりそして終わるフィブリル又はプロトフィブリルを形成する。二組成繊維は、時に多組成繊維とも呼ばれる。この一般的な型の繊維は、例えば、ゲスナー(Gessner)に付与された米国特許第5、108、827号及び第5,294,482号において検討されている。二成分及び二組成繊維はまた、米国ニューヨーク所在のプレナム・パブリッシング・コーポレーションの一部門であるプレナム・プレスにより1976年に版権取得の、ジョン・A・マンソン及びレスリー・H・スパーリング著の教科書でIBSN 0−306−30831−2である、ポリマーブレンド及び複合体(Polymer Blends and Composites)の273頁から277頁に論じられている。
【0015】
「ボンデッド・カーデッド・ウェブ」は、ほぼ機械方向に向く繊維性不織ウェブを形成するために、機械方向にステープル長の繊維を分断して1直線に並べる梳毛又は梳綿機を通して送られるステープル長の繊維から作られるウェブを意味する。そのような繊維は、通常、ベール梱包で購入され、梳綿機にかける前に繊維を分離する摘み取り機に置かれる。一旦ウェブが形成されると、次に、いくつかの既知の結合方法の1つ又はそれ以上を使って結合される。そのような結合方法の1つは、パウダー結合であり、その場合、粉末化された接着剤がウェブを通じて分布され、次に、一般にホットエアでウェブ及び接着剤を加熱して活性化させる。別の適切な結合方法は、パターン結合であり、その場合、加熱されたカレンダーロール又は超音波結合器具が、必要であればウェブの全面に亘って結合できるが通常は局所的な結合パターンで、繊維を互いに結合するために使用される。別の既知の結合方法で、ステープル長の二成分繊維を使う場合に特に適切なものは、スルーエア結合である。
【0016】
「エア・レイ法」は、繊維性不織層を形成することができる良く知られた工程である。エア・レイ工程では、約6から約19ミリメートルの範囲の一般的な長さを持つ小さい繊維の束が分離されて給気中に取り込まれ、次に、一般に真空供給の助けで形成スクリーン上に堆積する。不規則に堆積した繊維は、次に、例えばホットエア又は噴霧接着剤を使用して互いに結合される。エア・レイ技術の例は、米国特許第4,494,278号、第5,527,171号、第3,375,448号、及び、第4,640,810号に見出すことができる。
【0017】
本明細書で用いられる場合、スルーエア結合又は「TAB」という用語は、ウェブの繊維がそれから作られているポリマーのうちの1つを溶解するのに十分高温である空気がウェブに強制的に通される、不織二成分繊維ウェブを結合する工程を意味する。空気速度は、しばしば100から500フィート/分の間にあり、滞留時間は、最大6秒ほどにすればよい。ポリマーの溶融及び再凝固により結合が行われる。スルーエア結合は、比較的制限された変動性を持ち、また、スルーエア結合(TAB)は、結合を達成するために少なくとも1つの成分の溶融が必要であるため、複合繊維又は接着剤を含むウェブなどの二成分ウェブに限定される。スルーエア結合装置において、一方の成分の溶融点より高く、もう一方の成分の溶融点より低い温度を持つ空気が、周囲のフードからウェブを通り、ウェブを支持する穴あきローラに向けられる。代わりに、スルーエア結合装置は、空気が垂直方向下向きにウェブ上に向けられる平坦な配置でもよい。2つの形態の作動条件は類似しており、主な違いは、結合中のウェブの幾何学的形状である。ホットエアは、低溶融点のポリマー成分を溶解し、それにより、各フィラメント間の結合を形成してウェブを一体化する。
【0018】
本明細書で用いられる場合、「水分散性」という用語は、水性の環境に置かれた時に、十分な時間があれば、より小さい断片に分解することになる構造を意味する。その結果、一度分散した構造は、リサイクル工程で更に都合よく処理可能であったり、又は、例えば浄化槽装置や公共下水処理装置に流すことができる。必要であれば、そのような構造は、水分散性を更に増したり、又は、以下で更に説明するように、撹拌、及び/又は、ある一定の誘発手段を用いることで分散を早めてもよい。実際にかかる時間は、特定の最終用途の設計基準に少なくとも部分的には左右されることになる。
【0019】
本明細書で用いられる場合、「水洗性」という用語は、物品がトイレを通り、一般的な公共下水設備配管やポンプを通って、問題なく(例えば、詰まることなく)移動し得ることを意味する。
本明細書で用いられる場合、「生分解性」という用語は、材料がバクテリア、菌類、及び、藻類などの自然発生的な微生物の活動で分解することを意味する。
本明細書で用いられる場合、「パーソナルケア製品」という用語は、包帯や創傷手当て用物品、おむつ、トレーニングパンツ、水着、吸収性下着、大人用失禁製品、及び、女性用衛生製品を意味する。
【0020】
本明細書で用いられる場合、「パンティライナ」という用語は、体液を吸収するために着用者のパンティに置かれる吸収性の女性用衛生製品を意味する。普通に理解されているこの意味に加えて、「パンティライナ」という用語は、包帯や創傷手当て用物品、及び、大人(特に男性)用失禁物品のような類似の製品を包含するものとする。これらの物品は、大きさや機能でパンティライナと類似しており、従って、本発明の請求範囲内に入るように意図されている。パンティライナという用語は、そのいくつかが上記で説明された類似製品のより広い集合に対する一種の省略形として、本明細書を通して用いられるものとする。
【0021】
発明の詳細な説明
本発明は、いくつかの異なる水洗性、及び/又は、水分散性の構成要素を有する複合構造体に関する。必要とされる構成要素は、着用者の身体に隣接して最初に流体を受け入れる身体側ライナ又はカバーと、着用者の衣類が汚れないように保護する衣類側ライナ又はバッフルである。任意選択的に、カバーとバッフルとの間に配置され、身体側ライナから流体を受け入れて保持する吸収性芯部を用いてもよい。特定の製品形態又は製造方法に対して、接着剤又は剥離ストリップのような付加的な構成要素を加えてもよい。
【0022】
身体側に面するライナ又はカバーは、流体がそれを通過できなければならず、水洗性であるためには、残りの構成要素からよく分散する必要があり、浮遊しないことが好ましい。身体側に面するライナは、流体を通過させる必要があって使用中に崩壊してはならないので、誘発可能なポリマーから作られる必要がある。誘発可能ポリマーの形体は、フィルム又は発泡体であってもよいが、最も好ましくは繊維である。
【0023】
水洗性パーソナルケア製品に効果的に用いるために、誘発可能ライナは、使用中に機能的でなければならず、すなわち、体液がある時には一体性を保つが、トイレにある水にすばやく溶解又は分散しなければならない。本発明の誘発可能ライナの主な構成要素は、イオン誘発ポリマーである。イオン誘発ポリマーは、水中におけるその強度及び分散性が塩の非常にわずかな濃度の違いにより変化するポリマーである。より詳細には、イオン誘発ポリマーは、水道水では強度を失い分散するが、NaCl、KCl、及び、NaBrなどの一価イオンを含む中性無機塩を少なくとも0.5重量%以上含有する水溶液中で強度を維持して溶解しない。
【0024】
水溶性ポリマーの水溶液に無機塩を添加すると、塩析現象でポリマーを強制的に析出し得ることは公知である。例えば、ポリアクリル酸及びカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩などの陰イオン性ポリマーは、4から5%又はそれ以上の濃度を有する普通の塩の水溶液中で不溶性となり、ヒドロキシエチルセルロース及びポリビニルアルコール(PVA)などの非イオン性ポリマーは、塩濃度が約10%又はそれ以上に高くなった時にのみ、水溶液中で不溶性となる。水溶性ポリマーのこの塩析は、均一なポリマー溶液からポリマー析出物への変化を表している。イオン誘発ポリマーは、上記の単純な水溶性ポリマーのように、確かに塩に敏感であるが、水洗性という用途に関してイオン誘発ポリマーの挙動には幾つか顕著な相違点がある。第一に、イオン誘発ポリマーは、普通の塩の0.5重量%といった低レベルにおけるイオン濃度の変化に敏感であり得る。第二に、一般的体液の水性イオン溶液において、イオン誘発ポリマーは、ただ不溶性であることが期待されるだけでなく、一体性及び強度を維持することが要求される。最後に、イオン誘発ポリマーは、水道水で分散するのに十分なほど強度又は一体性を失うが、単純な塩感受性水溶性ポリマーでは一般的であるように、この分散が完全に溶解することを必ずしも必要としない。
【0025】
使用中の一体性及び強度に関する特長は、ポリマー・チェーン全体を通して適切な「疎水性/親水性バランス」を確実にとることで達成される。本明細書で用いられる場合、「疎水性/親水性バランス」という用語は、目標とする誘発特性を有するポリマーをもたらす、ポリマー・チェーンに沿った疎水性部分と親水性部分とのバランスのことを意味する。ポリマーの組成中の疎水性/親水性バランスの制御により、目標とする使用時一体性及び水分散性を有するイオン感受性ポリマーが製造される。対照的に、ポリビニルアルコールのような単純な塩感受性水溶性ホモポリマーでは、疎水性/親水性の特性がモノマー構造のために一定しており、調節することができない。
【0026】
誘発ポリマーの1つの調剤においては、スルホン化ポリエステル縮合ポリマーによってイオン誘発特性がもたらされる。疎水性/親水性バランスは、縮合反応に必要なモノマーの選択によって制御することができる。そのようなポリエステルの調製は、例えば米国特許第4,910,292号及び第4,973,656号に広く記載されている。
【0027】
スルホン化コポリエステルに加えて、他の様々な誘発ポリマーが当業技術で知られている。米国特許第5,770,528号では、温度及びイオン濃度で制御される誘発性を有するポリマーとして、メチル化ヒドロキシプロピルセルロースを開示している。ヒドロキシプロピルセルロースそれ自体は、いくらかイオン感受性を有するが、むしろ、温度誘発材料である。もちろん、米国特許第5,509,913号には、イオン濃度で調節される温度誘発性を有するポリビニルメチルエステル、ポリビニルアルコール、及び、様々なセルロースポリマーを含む、様々なポリマーが列挙されている。これらの温度誘発ポリマーは、誘発性繊維において限られた有用性を持つ場合がある。
【0028】
水溶性のイオン誘発ポリマーもまた知られている。例えば米国特許第5,317,063号及び第5,312,883号は、イオン感受性のアクリル酸又はメタクリル酸のコポリマーを開示している。残念ながら、これらの材料には溶融加工性がなく、従って、繊維の製造に対して難しい面がある。イオン誘発ポリマーの水溶液を水不感受性ポリマーの芯にコーティングすることもまた可能である。
【0029】
繊維に芯部が強度を、鞘部が結合性を与えるように、身体に面するライナを複合繊維から芯鞘構成で作ることが好適である。そのような繊維は、パイク他に附与された米国特許第5,382,400号に従って捲縮されるか、又は、捲縮可能であり得る。複合繊維として用いられる繊維の一種は、HBフラー(HB Fuller)製のNP2068又はNP2074、アトケム(Atochem)製のPEBAX MX1074、ニッポン・ゴーセイ(Nippon Gohsei)製のEcomaty AX10000、ナショナル・スターチ(National Starch)製の8824−71−1、70−4395、及び、70−4442のコポリエステル、及び、上記のポリマーと脂肪族ポリエステルなどのいくつかの他の生分解性ポリマーとの混合物から成る、ポリプロピレンの芯及び外側の鞘を持つ。好適な脂肪族ポリエステルには、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシルブチレート・コ・バレレート、ポリカプロラクトン、ポリラクチド及びそのコポリマー、及び、上記の誘発的なステープル長のコンジュゲート結合繊維の80/20混合物が含まれるが、これらに制限されない。複合繊維は、コストを下げる目的で他のより安価な繊維といくつかの公知の方法で混合することができる。複合繊維は、ポリオレフィン、ポリエステル、及び、レーヨンのようなより安価な繊維と約10/90から90/10までの量、又は、より詳細には、約50/50の量で任意の適切な方法により混合してもよい。適切な方法の例としては、エア・レイ法、コフォーム法、及び、ボンデッド・カーデッド法が含まれ、その後、繊維は、適切な温度で例えばスルーエア結合法により互いに結合されてもよい。また、米国デラウェア州ウィルミントン所在のヘラクレス(Hercules)・インコーポレーテッドから入手できるKymene(登録商標)557LX結合剤などの液体結合剤を用いてもよい。より安価な繊維は、一般的に長さが6から12ミリメートルで約1.5デニールのステープル長の繊維であってもよく、それにより、廃物処理装置の配管又は処理施設の他の部分の突起部分に引っ掛かって目詰まりを引き起こす場合がある長いストランドを分散時に形成しないことになる。最終的な身体側ライナ6は、坪量が約10から500gsmの範囲、より詳細には、約20から30gsmの間にあることが必要である。
【0030】
多成分イオン誘発性繊維は、1996年10月16日に提出して発行料は支払済みである米国特許出願第08/730,951号で与えられている。この特許には、約1000パーツパーミリオン(ppm)を超えるコスモトロープを有する水溶液の存在下で安定を保ち、約1000ppmよりも少ないコスモトロープを有する水溶液では30分を超えない時間内に分散する水分散性ポリマーを1つの成分が含むようなポリマー繊維が与えられている。この出願の1つの例では、ナショナル・スターチ製70−4442ポリマーで形成したフィルムサンプルは、市販の浴室用ティッシュと比較して、1996年TAPPI(パルプ製紙業界技術協会)不織布会議議事録として発行され、本明細書において参照文献として援用されている論文「ウェットチョップ・ファイバーグラスの水中における分散に関する簡単な試験(A Simple Test for Dispersion of Wet Chop Fiberglass in Water)」に実質的に従って脱イオン水における分散に関して試験された。平均重量0.2525グラムを有する、長さ1.5インチ(38.1ミリメートル)×幅1.5インチ(38.1ミリメートル)の5つのフィルムサンプル(サンプル1)は、2,000ミリリットルのKimaxビーカーNo.14005に入れられた18メガオームに等しいか又はそれ以上の抵抗を有する1、500ミリリットルの脱イオン水の中に置かれた。カタログ番号11−498−78Hのフィッシャー科学的攪拌器(磁気式)(Fisher Scientific Stirrer (Magnetic))が速度設定7に設定され、ビーカーの内容物を撹拌した。標準的なタイマを用いて、攪拌器が始動した時点から、フィルムサンプルの残りの部分からフィルムサンプル材料の最初の一片が剥がれる又は分離する時点として定義された分散の始まりが起こるまでの時間、及び、フィルムサンプル材料が約0.25インチ(6.35ミリメートル)を超えない直径を有する断片に分散した時点と定義された完全な分散が起こるまでの時間が測定された。
【0031】
米国テキサス州ダラス所在のキンバリー・クラーク・コーポレーションから入手できる、Kleenex(登録商標)Premium Bath Tissue(クリネックス(登録商標)プレミアム浴室用ティッシュ)の5枚の単一シート(サンプル2)で、各々が4.0インチ(10.2センチメートル)×4.5インチ(11.4センチメートル)と測定されて0.3274グラムの平均重量を有するものが同じ試験手順にかけられ、分散開始及び完全分散までの時間が測定された。
【0032】
最後に、ナショナル・スターチ製70−4442ポリマーで作られた0.2029グラムの重量を有する1枚の1.5インチ(38.1ミリメートル)×1.5インチ(38.1ミリメートル)のフィルムサンプル(サンプル3)を、0.1%硫酸陰イオンを添加したカタログ番号B3158−1のBlood Bank Saline(血液銀行生理用食塩水)の0.85%NaClのもの1、500ミリリットルの中に置くことによりこの試験手順が繰り返された。分散開始及び完全分散までの時間が測定された。以下の表1から分かるように、15分の間に分散は何も起こらず、その時点で試験は終了された。
【0033】
(表1)
Figure 0004616998
【0034】
本実施例の下で行われた試験方法の結果は、誘発された水分散性70−4442ポリマーを本発明に従って採用した繊維は、硫酸陰イオンなどの特定の誘発成分の存在下で過剰な水中に見出せるある濃度レベルで分散することになるが、一方、赤ちゃん又は大人の尿などの体液中に一般的に見出せる濃度レベルで同じ誘発成分に曝された時には、実質的に影響を受けないままであるということを更に示している。更に、分散速度は、一般にトイレの便器に見出せるような普通の水道水の中に処分される市販の浴室用ティッシュ製品の分散速度に比べて勝っている。
【0035】
吸収層は、使用される場合、少量の月経分泌物又は他の膣分泌物と尿とを吸収できることが必要である。これらの量は、一般に0.25から4グラムの間である。吸収層は、身体に面する側のライナのように使用中は体液に曝されなければならず、また分解してはならないので、誘発的分散性でなければならない。特に好適な材料は、コフォーム法、ボンデッド・カーデッド法、又は、エア・レイ法で作られ、水分散性ポリマー結合剤繊維と共にパルプを含んでおり、その範囲は、約5/95から95/5重量パーセント、より詳細には、約70/30重量パーセントであり、坪量は、20から600gsm、より詳細には、約190gsmである。コフォーム法に適するポリマーには、ニッポン・ゴーセイ製のEcomaty AX10000,米国ミネソタ州、55110、バドナイス・ハイツ、ウォルターズ・ブルバード、1200所在のHBフラー・カンパニー製のNP2069及びNP2074,米国ニュージャージー州、07452、グレン・ロック、ハリスタウン・ロード、266,私書箱607所在のアトケム・インコーポレーテッド製のPEBAX MX1074、及び、ナショナル・スターチ製の70−4395すなわちコスモトロープが含まれる。エア・レイ法に必要な結合剤繊維は、誘発された樹脂をベースにしており、それは、尿、生理分泌物、及び、血液などの体液中に見られる温度、PH、及び、イオン濃度で安定であるが、一般的にトイレの便器で見出せる条件、すなわち、より低温で、中程度のPH、及び、より低いイオン濃度においてなお水に溶解するポリマーである。好ましい結合剤繊維は、一般にポリプロピレン又はポリエチレンであるポリオレフィンの芯、及び、混合物であってもよい誘発性ポリマーの鞘を有する50/50の芯鞘複合繊維である。満足できる誘発性鞘ポリマーは、スルホネート及びカルボキシレート基などのイオン感受性官能基を1つ又はそれ以上含有するコポリエステルと脂肪族ポリエステルなどの生分解性ポリマーとの混合物である。好適な脂肪族ポリエステルには、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシルブチレート・コ・バレレート、ポリカプロラクトン、及び、ポリラクチド及びそのコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。使用し得る特定のポリマーの1つは、ナショナル・スターチ製の樹脂70−4442と、米国コロラド州ゴールデン所在のクロノポル(Chronopol)・コーポレーション製のHeplon Eと呼ばれるポリ(ラクチド)コポリマーとの重量で80/20の混合物である。別の例は、樹脂70−4442と、クロノポル・コーポレーション製のCPX5−2と呼ばれるポリラクチド・コポリマーとの重量で80/20の混合物である。約3から6のデニールと6ミリメートルより小さい長さとを有する繊維が好ましい。
【0036】
吸収体に好適なパルプには、南部の軟材パルプであるクーサ・リバー(Coosa River)(CR)1654パルプ、CR−2054パルプ、及び、米国ワシントン州タコマ所在のワイヤーハウザー(Weyerhaeuser)・コーポレーションからNHB−416という商品名で入手でき、湿潤率を高めた架橋結合南部軟材パルプ繊維である、嵩高なホルムアルデヒド無添加(HBAFF)パルプが含まれる。NHB−416には、繊維に付加的な乾燥及び湿潤剛性と弾性とを付与することに加え、巻き及びねじれを起こす化学処理を施している。別の好適なパルプは、ワイヤーハウザー製のNB−416南部軟材パルプである。
【0037】
本発明に必須の誘発挙動を更に例証するものとして、誘発結合材繊維で作られたエア・レイ及びコフォーム不織層に対して引張試験が行なわれた。第1の例は、結合材繊維単独で作ったエア・レイ構造である。この場合、結合材繊維は、ポリプロピレンの芯の周囲にナショナル・スターチ製の70−4442の鞘を有する50/50の芯鞘であった。これらの繊維は、日本のチッソ・コーポレーションで作成され、約4デニールの大きさと6ミリメートルの長さとを有していた。その後、繊維は、約33gsmのエア・レイ構造に形成された。不織ウェブの引張強度は、蒸留水に5分間浸した後、又は、1重量パーセントの硫酸ナトリウム溶液に30分間浸した後、乾燥状態で試験された。1つの2.5センチメートル×10.2センチメートル(1インチ×4インチ)のエアレイ・ウェブのサンプルは、米国ノースカロライナ州グリーンズボロ所在のシャタロン(Chattilone)・コーポレーション製のVintrodyne V−1000小型引張試験器においてその短い側がクランプで締め付けられ、ピーク負荷が測定された。湿潤試験に対しては、ウェブやクランプなどの全ては、流体を入れたビーカーに沈められた。結果は、以下の表2の「エア・レイ」と記された行に報告されている。
【0038】
特徴的な誘発挙動の第2の例として、65/35のパルプ/ポリマーのコフォームが約150gsmで作られた。結合ポリマーは、誘発結合剤繊維の鞘に関して上記で説明したNS 70−4442及びHeplon Eの80/20混合物であった。ポリマー混合物は、コフォーム処理に対して最適化されなかったので形態は不良であったが、表2の「コフォーム」と記した行に見られるように誘発挙動はなお明らかである。
【0039】
最後の例として、一緒に熱エンボス加工したエアレイ・カバー及びエアレイ吸収体のサンプルが作成された。結合剤は、ここでも、NS 70−4442及びHeplon Eの80/20混合物で取り囲んだポリプロピレンの芯を有するチッソ製の誘発性50/50芯鞘繊維であった。30gsmのカバーは、結合剤繊維及びNyon繊維(ノバリス(Novalis)製の2.2dtexポリアミド)の50/50混合物であったが、一方、120gsmの吸収体は、パルプ(ワイヤーハウザー製のNB−416)及び結合剤繊維の70/30混合物であった。この場合、引張強度のピークは、インテレクトIIの機器上で2.5センチメートル×15.2センチメートル(1インチ×6インチ)のサンプルについて測定され、湿潤試験に対するサンプルは、溶液の入った平たい容器に浸され、その後平たい容器から試験のために取り出された。これらの測定からのデータは、表2の「カバー/吸収性ラミネート」と記した行に報告されている。
【0040】
(表2)
Figure 0004616998
【0041】
表2の結果とは対照的に、スパンボンド・ポリプロピレン・カバーと、キンバリー・クラーク・コーポレーションから市販されているコーテックス(登録商標)ライトデイズ(登録商標)(Kotex(登録商標)Lightdays(登録商標))パンティライナのポリプロピレン結合ポリマーを有するコフォーム吸収体とは、誘発挙動を示さず、塩溶液及び水の両方に不感受性を示し、乾燥又は湿潤のいずれにおいても本質的に同じ強度レベルを保っていた。
【0042】
障壁層又はバッフルは、水洗性に対して特に問題となってきた。現在用いられているポリエチレンフィルムは、製品から分散又は分離することになる一方でフィルム自体が水中で分散せず浮遊する傾向があるので、水洗性製品にとって理想的なものではない。ポリエチレンフィルムは、近代的処理施設をそのままの形で完全に通過し、処理プラントの排出物に見分けのつく形で存在する可能性がある。バッフルとして用いるのに同様に適するものは、不織布及び発泡体である。
【0043】
バッフル層は、体液を吸収したり通過させたりしないので、誘発的分散性である必要はない。しかし、バッフルは、ある程度体液に接触はするので、誘発的分散性でない場合、例えば不透水性コーティングで保護される必要がある。好ましい構造は、障壁コーティング又はフィルムを体液との接触から保護する層を有する水溶性又は分散性のフィルムである。
【0044】
本発明のバッフル層のためのそのような分散性ポリマーの1つは、ポリエチレンオキシド(PEO)及びエチレン・コ・アクリル酸(EAA)の重量比で約95/5から約20/80、特に約80/20の混合物である。このポリマー混合物は、水より密度が高いので水に沈むことになり、また、水中で分散性である。適切なポリマー混合物の供給元の1つは、米国カリフォルニア州、92131、サンディエゴ、ビジネス・パーク・アベニュー、9985,スイートA所在のプラネット・テクノロジーズ・インコーポレーテッドであり、製品番号は、PT−P8−200RR9である。この特定の製品番号のものはまた、溶融押出し成形の後も残ることができる芳香剤を含む。この混合物は、当業技術で知られる鋳造チルロール又はブローンバブル処理のいずれかを用いて、厚さ10から100ミクロンの範囲でフィルムに押出し成形されてもよい。更に詳細な好適な厚さは、約20から30ミクロンである。更に別の分散性があって誘発的ではない好適なポリマーは、日本国オーサカ、530,キタ・ク、ノザイ・チョー、ヒガシ・ウメダ・ビル、9−6所在のニッポン・ゴーセイから供給されるEcomaty AX2000又はAX300Gなどのポリビニルアルコールである。
【0045】
バッフル層ポリマー混合物は、別の不透水性フィルム層と共に約2から4ミクロンの厚さの範囲で共押出し成形してもよい。好適なポリマーは、米国ミシガン州ミッドランド所在のダウ・ケミカル・カンパニーからPrimacor 1430として入手可能なものなどのEAAである。別の好適なポリマーは、米国コネチカット州ダンバリー所在のユニオン・カーバイドからTone P787として入手可能なものなどのポリカプロラクトンである。不透水層はまた、ナショナル・スターチ製の70−4395及び8824−71−1などの誘発ポリマーであってもよい。共押出し成形に代わるものとして、水溶性部分の上の不透水層は、コーティング処理で加えることができる。例えば、プラネット・テクノロジーズ・インコーポレーテッド製のPEOフィルムPTP8200RR9は、米国テキサス州ダラス所在のレキシーン・プロダクツ(Rexene Products)製のRT2730ポリ・アルファ・オレフィンと、米国オクラホマ州タルサ所在のペトロライト・ポリマーズ(Petrolite Polymers)製のVybar 253ポリマーとの重量で90/10の混合物を用いてスロットコーティングすることができる。
【0046】
バッフル層が誘発的であろうとなかろうと分散性でない場合、少なくとも生分解性であることが必要である。バッフルが生分解性である場合には、バッフルを廃水施設を通して処理することができ、最後には分解することになる。酢酸セルロースなどのセルロースをベースにした材料、及び、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシブチレート・コ・バレレート、ポリカプロラクトン、及び、ポリラクチド及びそのコポリマーなどの脂肪族ポリエステルは、好適な候補である。好適材料の一例にはレーヨンがある。
【0047】
本発明の層を組み立てるのに、いくつかの手段を利用することができる。接着剤での接着はきわめて満足のいくものであり、また、熱結合やエンボス加工もそうである。本発明のパンティライナは、熱及び/又は圧力を用いてエンボス加工又は結合してもよい。エンボス加工は、加熱してもしなくてもよい滑面及び/又はパターン化結合ロールの使用を通しての場合のように、例えば超音波結合及び/又は機械的結合を用いて達成されてもよい。更に、先行する層の上に層が直接生成される製造手段を用いる場合がある。そのような製造技術は、エア・レイ法のように、各層の境界区域で繊維の機械的混合をもたらし、従って、層を互いに保持する。つまり、消費者の使用を通してそのままの形を保つことになる一体化した製品を製造するなどの、層の一体性を問題なく向上させる当業技術で知られるいかなる方法も受け入れられる。
【0048】
物品をその使用中にパンティの定位置に保持する何らかの手段を提供することもまた必要である。パンティライナは、従来、衣類用接着剤を露出するために取り除いて捨てられる剥離ストリップを使うことを通してこれを達成してきた。製品は、次に、衣類用接着剤を有する側を最初にしてパンティに取り付けられる。
この目標はまた、周囲温度では粘着性のないままであるが体温と釣り合った後に粘着性になる(体温)熱活性型接着剤を使うことで達成することもできる。体温熱活性型接着剤が効果を現すまで、いくらかの少量の構造用接着剤がパンティライナを定位置に保持するのに必要となり得る可能性がある。下着の布地と係合するミクロフック材料の布きれなどの他の機械的取付手段は、剥離ストリップを必要としない装着をもたらし得るであろう。
【0049】
本発明の好ましい実施形態において、図の断面図に示すように、本発明は、着用者のパンティにパンティライナを定位置に保持する衣類取付用接着剤2を覆う剥離ストリップ1を有する。衣類用接着剤2は、パンティライナからパンティに液体が移動するのを防ぐ障壁フィルム層又はバッフル3に取り付けられている。バッフル3は、吸収層5及び身体に面するライナ6を含む身体に面する側に構造用接着剤4の層を用いて接着されている。構造用接着剤4は、吸収層5に付着し、身体に面するライナ6がそれに接着されている。以下に各層の記述を更に続ける。
【0050】
水洗性剥離ストリップ1は、水溶性結合剤(例えば、ポリビニルアルコール)及びシリコン・リリース・コーティングを有する紙ベースのシートから作られてもよい。そのような材料は、日本国トーキョー、106、ミナト・ク、ロッポンギ、3チョーメ、18−12所在のサンセイ・E&M・カンパニー・リミテッド、及び、米国ウィスコンシン州、54952−8001、メナシャ、ガーフィールド・アベニュー、206,私書箱8001所在のインターナショナル・ペーパーのアクロシル(Akrosil)・ディビジョンから入手可能である。水洗性リリース・ストリップはまた、水溶性フィルム上にリリース・コーティングの薄層を置くことにより構成してもよい。
【0051】
衣類取付用接着剤2は、一度水中に入れると接着力が最小になって粘着性を弱めることになるものでなければならない。好適な接着剤は、製品番号7699−67−2として米国ニュージャージー州、08807、ブリッジウォーター、フィンデーン・アベニュー所在のナショナル・スターチ・アンド・ケミカル・コーポレーションから、又は、製品番号H2427(N2)として米国ワイオミング州、53226−3413、ウォーワトーサ(Wauwatosa)、ウォータータウン・プランク・ロード、11320所在のフィンドレー・アドヒーシブ・インコーポレーテッドから調達し得る。衣類用接着剤2は、任意の効果的な手段で効果的な量を塗布する必要がある。1つの方法は、接着剤2をバッフル3の上に約20gsmの量で約25ミリメートル幅のストリップ状にスプレーする方法である。もちろん、接着剤2の効果的な量は、使用する接着剤の種類、製品の剛性、要求される性能、及び、塗布する全面積に基づいて変わり得る。しかし、効果的な量は、約10から60gsmの間で変わることになると考えられている。
【0052】
構造用接着剤4は、水中で解離して湿潤剛性を最小化することにより、製品の水洗性を強化することになるものでなければならない。好適なポリマーには、ナショナル・スターチ製の製品番号7699−94−1、7187−119−2、及び、8328−122−1と、フィンドレー・アドヒーシブ製の製品番号H−9186とが含まれる。衣類用接着剤2を用いる場合と同様に、効果的な量の接着剤を用いる必要がある。これは、約1から50gsmの間の量であり得る。接着剤は、当業技術で知られるいかなる方法で塗布されてもよい。
【0053】
本発明の2,3の例示的な実施形態のみが上記の通り詳細に説明されたが、当業者は、本発明の新しい教示や利点から著しく逸脱することなく、例示的実施形態において多くの修正が可能であることを容易に理解するであろう。従って、そのような修正の全ては、添付請求項に規定される本発明の範囲内に含まれるように意図されている。請求項においては、手段及び機能の請求項は、列挙した機能を実施するように本明細書で記載した構造に加えて、構造的同等物だけでなく同等な構造もまた範囲に入れるように意図されている。すなわち、釘とねじは、釘が木製部品を互いに固定するのに円筒形表面を採用する一方、ねじが螺旋状表面を採用するという点において構造的同等物ではないかもしれないが、木製部品を固定する状況においては、釘とねじは同等な構造であり得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 衣類取付用接着剤2により障壁フィルム又はバッフル層3の一方の側に粘着的に付着する剥離ストリップ1を示す概略側面図である。バッフル3のもう一方の側は、構造用接着剤4を用いて吸収層5に付着する。吸収層5は、身体側ライナ6に付着する。

Claims (4)

  1. 水分散性パンティライナであって、
    着用時に身体側に位置し、捲縮したイオン誘発水分散性芯鞘複合繊維を含む身体側ライナと、
    着用時に衣類側に位置し、ポリエチレンオキシド及びエチレン・コ・アクリル酸の20/80から95/5重量パーセントの間の量の混合物を含むバッフルと、
    前記身体側ライナと前記バッフルとの間に配置されて、パルプ及びイオン誘発水分散性ポリマー繊維を約5/95から95/5重量パーセントの範囲で含む吸収性芯部と、
    前記バッフルの衣類側の面に粘着的に取り付けられ、ポリビニルアルコール結合剤及びシリコーン・リリース剤でコーティングされた、紙基材シートを含む剥離ストリップと
    前記剥離ストリップをバッフル粘着的に取り付けるための、10から60gsmの間の量で存在する水溶性衣類取付用接着剤と、
    1から50gsmの間で存在し、前記バッフルを吸収性芯部に粘着的に取り付ける構造用接着剤
    から実質的に構成され、
    大人用失禁対応機能を有することを特徴とする水分散性パンティライナ。
  2. 前記複合繊維が、ポリプロピレンの芯と、コポリエステルの外側の鞘とを有することを特徴とする請求項1に記載の水分散性パンティライナ。
  3. 前記鞘が生分解性ポリマーを含み、該生分解性ポリマーが脂肪族ポリエステルであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水分散性パンティライナ。
  4. 前記複合繊維は、ポリオレフィン、ポリエステルまたはレーヨンが混合されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の水分散性パンティライナ。
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