JP4616662B2 - 水中航走体及びその制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水中航走体、及び水中航走体の制御方法に関するものである。
水中航走体は、水中を航走する際に、周囲流体が水であるため、大きな摩擦抵抗を受ける。そのため、現在、水中航走体に採用されているような電池電動機あるいは酸化剤と燃料を混合した燃料を使用する一液式エンジン等の推進機関では、水中航走体の航走速度は60ノット程度が限界である。
この摩擦抵抗を減少させて推進性能を向上させるものとして、特許文献1に示されるマイクロバブル推進法が提案されている。これは、船首部にその下半周にわたり開口部を設けて、この開口部から空気を吹き出すものである。吹き出した空気により発生する微小気泡が、流線に乗って船底や、船尾の方向へ送られる。これにより、船体の一部表面が微小気泡で覆われるので、その部分に作用する摩擦抵抗を低減することができるというものである。
特開平10−100989号公報(段落[0007]〜[0014],及び図1)
この水中航走体では、空気ボンベに蓄えられた空気を利用して微小気泡を形成しているので、微小気泡を形成することができる時間は空気ボンベの容量に比例する。
このため、航続距離を伸ばす場合には大型の空気ボンベが必要となり、他の装置を搭載するスペースが減少してしまう。逆に、水中航走体により多くの装置を搭載するためには、小型の空気ボンベを用いる必要があり、その分航続距離が短くなってしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、気膜を形成するために使用するガスの供給量が少なくて済み、航続距離を低減させずにガス供給装置の大きさを低減して搭載量を増大させたり、搭載量を低減させずに気膜の形成可能時間をより長くして航続距離を伸ばすことが可能な水中航走体及びその制御方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の水中航走体は以下の手段を採用する。
本発明に係る水中航走体は、推進機関を備える水中航走体本体と、該水中航走体本体の先端部に設けられてその後方部で前記水中航走体本体の全周にわたってキャビティを発生させるキャビテータと、前記水中航走体本体の前記キャビテータの直後から周囲にガスを供給することによって該キャビテータにより発生したキャビティを後方に成長させて前記水中航走体本体全体を覆う気膜を形成する第1ベンチレータと、該第1ベンチレータによるガス供給位置よりも前記水中航走体本体の全長の30%以下の距離だけ後方の位置から周囲にガスを供給する第2ベンチレータと、前記第1ベンチレータ及び前記第2ベンチレータの動作を制御する制御装置とを有し、前記キャビテータは、その後方部に、流線に対して内側方向に離れる形状のエッジ部を有しており、前記制御装置は、前記気膜を形成するにあたって、まず前記第1ベンチレータのみにガスの供給を行わせ、前記気膜が形成されたのちは前記第2ベンチレータによって前記第1ベンチレータによるガスの供給量よりも少ない量のガスを供給させたのち、前記第1ベンチレータによるガスの供給を停止させることを特徴とする。
このように構成される水中航走体では、水中を航走中に、第1ベンチレータによってキャビテータ後方にガスを供給することで、キャビテータが水中航走体本体の全周にわたって発生させたキャビティが後方に成長させられて、水中航走体本体全体を覆う気膜が形成される。
気体は液体に比べて粘性が非常に少ないので、このように水中航走体本体が気膜で覆われることによって、気膜に覆われていない状態(水中航走体本体が液体で覆われている状態)に比べて水中航走体本体にかかる摩擦抵抗が大幅に減少することとなり、水中航走体は、水中を非常に高速で航走することができる。
なお、水中航走体の速度が増すにつれて、キャビテータで発生したキャビティがより安定して壊れることなく後方へ移動する、いわゆるスーパーキャビテーション状態になる。
ここで、キャビテータの後方部には、流線に対して内側方向に離れる形状のエッジ部が設けられているので、このエッジ部近傍では、キャビテータの周囲を流れる流体に剥離が生じて、エッジ部の後方に流体が回り込まなくなり、この部分の圧力が減少する。これにより、キャビテータによるキャビティの発生が良好に行われるとともに、発生したキャビティ及び第1ベンチレータが供給したガスがエッジ部の後方に滞留して気膜を形成する。エッジ部の後方で気膜を形成するガスは、周囲の流体との界面の乱れによって一部が流出する以外はこの領域に留まるので、エッジ部の後方では、少量のガスを継続的に補充するだけで気膜を維持することができる。
この水中航走体では、キャビテータ及び第1ベンチレータによって水中航走体本体の周囲に気膜が形成されたのちに、制御装置が第2ベンチレータの動作を開始させて、水中航走体の周囲にガスを供給する。このように第2ベンチレータによってガスを供給することで、水中航走体本体の先端部側から第2ベンチレータに到達したキャビティが後方に成長させられて気膜を形成する。
このとき、水中航走体の表面にはすでに気膜が形成されているので、第2ベンチレータが供給するガスは、水中航行体の進行方向後方だけでなく、進行方向にも回り込む。すなわち、第2ベンチレータが供給するガスは、キャビテータのエッジ部の後方にも供給されて、この領域における気膜の維持に寄与する。
制御装置は、このように第2ベンチレータによるガスの供給を開始させたのちに、第1ベンチレータによるガスの供給を停止させる。
第1ベンチレータによるガスの供給を停止させても、前記のように第2ベンチレータが供給するガスが水中航走体本体の先端側に回り込んでこの領域の気膜の形成に寄与するので、水中航走体全体を覆う気膜が維持される。
すなわち、第2ベンチレータからは、水中航走体本体において第1ベンチレータによるガス供給位置よりも後方の領域に気膜を形成するのに必要なだけのガスと、キャビテータのエッジ部後方の気膜を維持するのに必要なだけのごくわずかなガスを供給すればよいので、第2ベンチレータのみによって気膜を形成している状態では、第1ベンチレータのみによって気膜を形成する場合に比べて、ガスの消費量が少なくて済む。
ここで、第2ベンチレータによるガス供給位置が、第1ベンチレータによるガス供給位置から離間しすぎると、第2ベンチレータの供給するガスが水中航走体本体の先端側に回り込みにくくなり、先端側で気膜の形成が不十分になりやすいので、第2ベンチレータによるガス供給位置は、第1ベンチレータによるガス供給位置よりも水中航走体本体の全長の30%以下の距離だけ後方の位置に設定する。
また、この水中航走体において、前記第2ベンチレータによるガスの供給量が、前記第1ベンチレータによるガスの供給量の60±5%とされていてもよい。
本発明に係る水中航走体では、第2ベンチレータの供給するガスの量は、第1ベンチレータの供給するガスの量よりも低減することができるが、供給量が少なすぎると気膜の形成が不十分になって、水中航走体本体に加わる摩擦抵抗が大きくなってしまう。一方、第2ベンチレータによるガスの供給量が多すぎると、第1ベンチレータのみによって気膜を形成する場合とガスの消費量が変わらなくなってしまう。
そこで、本発明者らが実験により第2ベンチレータの最適なガス供給量を求めたところ、第2ベンチレータの供給するガスの量が、第1ベンチレータによるガスの供給量の60%前後である場合に、摩擦抵抗が低くかつガスの消費量も少なくて済むことが分かった。
このため、摩擦抵抗の低減とガスの消費量低減とを高レベルで両立させるためには、第2ベンチレータのガス供給量は、第1ベンチレータによるガスの供給量の60±5%とすることが好ましい。
また、この水中航走体において、推進方向に対する前記水中航走体本体の軸線の傾斜量を検出する姿勢検出装置を有し、前記制御装置は、前記気膜の形成後に、前記姿勢検出装置によって検出された前記傾斜量が基準値を超えたことをもって前記気膜の形成処理をやり直す構成とされていてもよい。
水中航走体が航走中に旋回したり、周囲の水流の擾乱等によって水中航走体本体の軸線が推進方向に対して傾斜すると、その傾斜角度によっては、水中航走体の周囲の一部(例えば推進方向に向く側)では、気膜の形成が不十分になったり、気膜がなくなるなど、気膜の維持が困難となる場合がある。
この水中航走体では、上記のように、制御装置が、姿勢検出装置によって検出された水中航走体本体の軸線の傾斜量が基準値を超えたことをもって(すなわち気膜の維持が困難となった場合に)気膜の形成処理をやり直すので、水中航走体本体の軸線が推進方向に対して傾斜することによって気膜の維持が困難となっても、再度気膜を形成して、低抵抗推進を継続することができる。
なお、制御装置の判断基準となる基準値は、シミュレーションや実験等によって求めることができる。
また、上記水中航走体において、前記第2ベンチレータが、前記水中航走体本体の周囲の各部に対するガスの供給量を個別に調整可能とされており、推進方向に対する前記水中航走体本体の軸線の傾斜量を検出する姿勢検出装置を有し、前記制御装置は、前記気膜の形成後に、前記姿勢検出装置によって検出された前記傾斜量が基準値を超えたことをもって、前記第2ベンチレータに、前記水中航走体本体の周囲のうち、前記気膜を維持することが困難となる部分に対するガスの供給量を増加させる構成とされていてもよい。
水中航走体本体の軸線が推進方向に対して傾斜すると、その傾斜角度によっては、水中航走体の周囲の一部では、気膜の維持が困難となる場合がある。
この水中航走体では、制御装置が、姿勢検出装置によって検出された水中航走体本体の軸線の傾斜量が基準値を超えたことをもって、第2ベンチレータに、気膜の維持が困難となる部分に対するガスの供給量を増加させるので、この部分における気膜が回復または再形成される。
すなわち、この水中航走体では、水中航走体本体の軸線が推進方向に対して傾斜することによって水中航走体の周囲の一部で気膜の維持が困難となっても、気膜の形成処理をやり直すことなく気膜を回復または再形成させて、低抵抗推進を継続することができる。
なお、制御装置の判断基準となる基準値、及び水中航走体本体の姿勢変化によって気膜の維持が困難となる領域は、シミュレーションや実験等によって求めることができる。
また、上記水中航走体において、前記水中航走体の周囲の気膜を検出する気膜検出装置を有し、前記制御装置は、前記気膜の形成後に、前記気膜検出装置によって気膜が検出されなくなったことをもって前記気膜の形成処理をやり直す構成とされていてもよい。
この場合には、気膜の形成後に、制御装置が、気膜検出装置によって気膜が検出されなくなったことをもって気膜の形成処理をやり直すので、気膜の形成が不十分になったり気膜がなくなった場合にも、再度気膜を形成して、低抵抗推進を継続することができる。
なお、気膜検出装置による気膜の検出範囲は、気膜の形成が不十分になったり気膜がなくなった際に直ちにこれを検出することができるよう、水中航走体本体の周囲のうち、最も気膜の形成が不十分になったり気膜がなくなりやすい領域、例えば水中航走体本体の後方側に配置することが好ましい。
また、上記水中航走体において、前記水中航走体の周囲の各部における気膜を検出する気膜検出装置を有し、前記第2ベンチレータが、前記水中航走体本体の周囲の各部に対するガスの供給量を個別に調整可能とされており、前記制御装置は、前記気膜の形成後に、前記気膜検出装置によって気膜がなくなった領域が検出されたことをもって、前記第2ベンチレータに、前記水中航走体本体の周囲のうち、前記気膜がなくなった部分に対するガスの供給量を増加させる構成とされていてもよい。
この場合には、気膜の形成後に、気膜検出装置によって水中航走体の周囲の一部領域で気膜がなくなったことが検出されると、制御装置が、第2ベンチレータに、気膜がなくなった部分に対するガスの供給量を増加させるので、この部分における気膜が再形成される。
すなわち、この水中航走体では、一部の気膜がなくなっても、気膜全体の形成処理をやり直すことなく、気膜がなくなった領域の気膜を回復させて、低抵抗推進を継続することができる。
本発明に係る水中航走体の制御方法は、推進機関を備える水中航走体本体と、該水中航走体本体の先端部に設けられてその後方部で前記水中航走体本体の全周にわたってキャビティを発生させるキャビテータと、前記水中航走体本体の前記キャビテータの直後から周囲にガスを供給することによって該キャビテータにより発生したキャビティを後方に成長させて前記水中航走体本体全体を覆う気膜を形成する第1ベンチレータとを有する水中航走体に、前記第1ベンチレータによるガス供給位置よりも前記水中航走体本体の全長の30%以下の距離だけ後方の位置から周囲にガスを供給する第2ベンチレータを設け、前記キャビテータの後方部に、流線に対して内側方向に離れる形状のエッジ部を設け、前記気膜を形成するにあたって、まず前記第1ベンチレータのみにガスの供給を行わせ、前記気膜が形成されたのちは前記第2ベンチレータによって前記第1ベンチレータによるガスの供給量よりも少ない量のガスを供給させたのち、前記第1ベンチレータによるガスの供給を停止させることを特徴とする。
水中航走体では、水中を航走中に、第1ベンチレータによってキャビテータ後方にガスを供給することで、キャビテータが水中航走体本体の全周にわたって発生させたキャビティが後方に成長させられて、水中航走体本体全体を覆う気膜が形成される。
ここで、キャビテータの後方部に、流線に対して内側方向に離れる形状のエッジ部を設けることで、このエッジ部近傍では、キャビテータの周囲を流れる流体に剥離が生じて、エッジ部の後方に流体が回り込まなくなり、この部分の圧力が減少する。これにより、キャビテータによるキャビティの発生が良好に行われるとともに、発生したキャビティ及び第1ベンチレータが供給したガスがエッジ部の後方に滞留して気膜を形成する。エッジ部の後方で気膜を形成するガスは、周囲の流体との界面の乱れによって一部が流出する以外はこの領域に留まるので、エッジ部の後方では、少量のガスを継続的に補充するだけで気膜を維持することができる。
そして、キャビテータ及び第1ベンチレータによって水中航走体本体の周囲に気膜が形成されたのちに、第2ベンチレータによって水中航走体の周囲にガスを供給することで、水中航走体本体の先端部側から第2ベンチレータに到達したキャビティが後方に成長させられて気膜を形成する。
このとき、水中航走体の表面にはすでに気膜が形成されているので、第2ベンチレータが供給するガスは、水中航行体の進行方向後方だけでなく、進行方向にも回り込む。すなわち、第2ベンチレータが供給するガスは、キャビテータのエッジ部の後方にも供給されて、この領域における気膜の維持に寄与する。
このため、第2ベンチレータによるガスの供給を開始させたのちに、第1ベンチレータによるガスの供給を停止させても、水中航走体本体の先端側の気膜が維持されるので、水中航走体全体を覆う気膜が維持される。
このように第2ベンチレータのみによって気膜を形成している状態では、水中航走体本体において第1ベンチレータによるガス供給位置よりも後方の領域に気膜を形成するのに必要なだけのガスと、キャビテータのエッジ部後方の気膜を維持するのに必要なだけのごくわずかなガスを供給すればよいので、第1ベンチレータのみによって気膜を形成する場合に比べて、ガスの供給量が少なくて済む。
ここで、第2ベンチレータによるガス供給位置が、第1ベンチレータによるガス供給位置から離間しすぎると、第2ベンチレータが供給するガスが水中航走体本体の先端側に回り込みにくくなり、先端側で気膜の形成が不十分になりやすいので、第2ベンチレータによるガス供給位置は、第1ベンチレータによるガス供給位置よりも水中航走体本体の全長の30%以下の距離だけ後方の位置に設定する。
この水中航走体の制御方法において、前記第2ベンチレータによるガスの供給量を、前記第1ベンチレータによるガスの供給量の60±5%としてもよい。
本発明に係る水中航走体の制御方法では、第2ベンチレータの供給するガスの量は、第1ベンチレータの供給するガスの量よりも低減することができるが、供給量が少なすぎると気膜の形成が不十分になって、水中航走体本体に加わる摩擦抵抗が大きくなってしまう。一方、第2ベンチレータによるガスの供給量が多すぎると、第1ベンチレータのみによって気膜を形成する場合とガスの消費量が変わらなくなってしまう。
本発明者らが実験により第2ベンチレータの最適なガス供給量を求めた結果に基づくと、摩擦抵抗の低減とガスの消費量低減とを高レベルで両立させるためには、第2ベンチレータが供給するガスの供給量は、第1ベンチレータによるガスの供給量の60±5%とすることが好ましい。
また、上記水中航走体の制御方法において、推進方向に対する前記水中航走体本体の軸線の傾斜量を検出する姿勢検出装置を設け、前記気膜の形成後に、前記姿勢検出装置によって検出された前記傾斜量が基準値を超えたことをもって前記気膜の形成処理をやり直すようにしてもよい。
水中航走体が航走中に旋回したり、周囲の水流の擾乱等によって水中航走体本体の軸線が推進方向に対して傾斜すると、その傾斜角度によっては、水中航走体の周囲の一部では、気膜の形成が不十分になったり、気膜がなくなるなど、気膜の維持が困難となる場合がある。
そこで、上記のように、姿勢検出装置によって検出された水中航走体本体の軸線の傾斜量が基準値を超えたことをもって気膜の形成処理をやり直すことで、再度気膜を形成して、低抵抗推進を継続することができる。
なお、気膜形成処理のやり直しの判断基準となる基準値は、シミュレーションや実験等によって求めることができる。
また、上記水中航走体の制御方法において、前記第2ベンチレータを、前記水中航走体本体の周囲の各部に対するガスの供給量を個別に調整可能な構成とし、推進方向に対する前記水中航走体本体の軸線の傾斜量を検出する姿勢検出装置を設け、前記気膜の形成後に、前記姿勢検出装置によって検出された前記傾斜量が基準値を超えたことをもって、前記第2ベンチレータに、前記水中航走体本体の周囲のうち、前記気膜を維持することが困難となる部分に対するガスの供給量を増加させてもよい。
水中航走体本体の軸線が推進方向に対して傾斜すると、その傾斜角度によっては、水中航走体の周囲の一部では、気膜の維持が困難となる場合がある。
そこで、上記のように、姿勢検出装置によって検出された水中航走体本体の軸線の傾斜量が基準値を超えたことをもって、第2ベンチレータに、気膜の維持が困難となる部分に対するガスの供給量を増加させることで、この部分における気膜が回復または再形成される。
すなわち、このように第2ベンチレータを制御することで、水中航走体本体の軸線が推進方向に対して傾斜することによって水中航走体の周囲の一部で気膜の維持が困難となっても、気膜の形成処理をやり直すことなく気膜を回復または再形成させて、低抵抗推進を継続することができる。
なお、制御装置の判断基準となる基準値、及び水中航走体本体の姿勢変化によって気膜の維持が困難となる領域は、シミュレーションや実験等によって求めることができる。
また、上記水中航走体の制御方法において、前記水中航走体の周囲の気膜を検出する気膜検出装置を設け、前記気膜の形成後に、前記気膜検出装置によって気膜が検出されなくなったことをもって前記気膜の形成処理をやり直すようにしてもよい。
この場合には、気膜の形成後に、気膜検出装置によって気膜が検出されなくなったことをもって気膜の形成処理をやり直すので、気膜の形成が不十分になったり気膜がなくなった場合にも、再度気膜を形成して、低抵抗推進を継続することができる。
また、上記水中航走体の制御方法において、前記水中航走体の周囲の気膜を検出する気膜検出装置を設け、前記第2ベンチレータを、前記水中航走体本体の周囲の各部に対するガスの供給量を個別に調整可能な構成とし、前記気膜の形成後に、前記気膜検出装置によって気膜がなくなった領域が検出されたことをもって、前記第2ベンチレータに、前記水中航走体本体の周囲のうち、前記気膜がなくなった部分に対するガスの供給量を増加させるようにしてもよい。
この場合には、気膜の形成後に、気膜検出装置によって水中航走体の周囲の一部領域で気膜がなくなったことが検出されると、第2ベンチレータに、気膜がなくなった部分に対するガスの供給量を増加させるので、この部分における気膜が再形成される。
すなわち、この水中航走体の制御方法では、一部の気膜がなくなっても、気膜全体の形成処理をやり直すことなく、気膜がなくなった領域の気膜を回復させて、低抵抗推進を継続することができる。
本発明に係る水中航行体及びその制御方法によれば、従来よりも気膜を形成するために使用するガスの供給量が少なくて済むので、航続距離を低減させずにガス供給装置の大きさを低減して搭載量を増大させたり、搭載量を低減させずに気膜の形成可能時間をより長くして航続距離を伸ばすことができる。
以下に、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態について、図1から図4を用いて説明する。
図1の側面図に示すように、本実施形態に係る水中航走体1は、推進機関等の各種装置を内蔵した水中航走体本体2と、水中航走体本体2の先端部に取り付けられて水中航走体本体2の全周にわたってキャビティを発生させるキャビテータ3と、キャビテータ3の直後から周囲にガスを供給することによってキャビテータ3により発生したキャビティを後方に成長させて水中航走体本体2全体を覆う気膜を形成する第1ベンチレータ4とを有している。
また、水中航走体1は、第1ベンチレータ4によるガス供給位置よりも水中航走体本体2の全長Lの30%以下の距離L1だけ後方の位置から周囲にガスを供給する第2ベンチレータ6と、第1ベンチレータ4及び第2ベンチレータ6を含めた水中航走体1の各部の動作を制御する制御装置7とを有している。
水中航走体本体2は、前方部が若干先細りである細長い円筒形状をしており、その後端側には、推進機関として、例えばロケットエンジンが設けられている。
水中航走体本体2の先端には、水中航走体本体2と軸線をほぼ同一にして、水中航走体本体2よりも小径の略円筒状の取付け部材8が取り付けられている。
この取付け部材8の先端には、水中航走体本体2と軸線を略同一にして、略円錐形状のキャビテータ3が、先端を推進方向に向けた状態にして取り付けられている。
本実施形態では、キャビテータ3は、最大径が取付け部材8よりも大径でかつ水中航走体本体2よりも小径となる円錐形状とされている。これにより、キャビテータ3の後端部が、その全周にわたって、流線に対して内側方向に離れる形状のエッジ部3aを構成している。
第1ベンチレータ4は、水中航走体本体2内に設けられた図示せぬ高圧ガスボンベ内に貯留されたガスを水中航走体本体2の表面に設けられた吹出口4aから吹出させるものである。吹出口4aは、水中航走体本体2の全周にわたって複数設けられており、これによって吹出口4aから水中航走体本体2の全周にわたってガスが吹出されるようになっている。また、図2に示すように、各吹出口4aは、流線に平行になる方向に開口されていて、高圧ガスボンベから供給される高圧ガスを、流線に平行になるように、斜め後方に吹出するようになっている。
第2ベンチレータ6は、第1ベンチレータ4と同様に、水中航走体本体2内に設けられた図示せぬ高圧ガスボンベ内に貯留されたガスを水中航走体本体2の表面に設けられた吹出口6aから吹出させるものである。
吹出口6aは、水中航走体本体2の全周にわたって複数設けられており、これによって吹出口6aから水中航走体本体2の全周にわたってガスが吹出されるようになっている。
なお、図1では、第1、第2ベンチレータ4,6の構成部材のうち、吹出口4a,6aのみを図示している。また、第1ベンチレータ4と第2ベンチレータ6とは、それぞれ個別の高圧ガスボンベを使用する構成としてもよく、また、同一の高圧ガスボンベを使用する構成としてもよい。
このように構成される水中航走体1は、水中にて推進機関の推進力を利用して、先端のキャビテータ3によって流体を掻き分ける形で水中を航走する。このように水中航走体1が航走することで、キャビテータ3がその後方にキャビティを発生させる。
また、制御装置7は、航走開始にあたって、まず、第1ベンチレータ4によってキャビテータ3の後方にガスを供給させる。これによって、キャビテータ3が水中航走体本体2の全周にわたって発生させたキャビティが後方に成長させられて、図2に示すように、水中航走体本体2全体を覆う気膜Aが形成される。
ここで、第1ベンチレータ4からは、斜め後方に向かってガスが吹出されるので、第1ベンチレータ4から吹出されたガスは、水中航走体本体2に沿って後方に速やかに移動することとなって、エッジ部3aで発生したキャビティを後方に安定して導くことになる。また、この第1ベンチレータ4の吹出口4aから吹出されたガスは、キャビティを成長させる役目も有する。
水中航走体本体2は、キャビティ及びガスよりなる気膜Aで覆われることになり、航走時に受ける摩擦抵抗が大幅に減少する。また、水中航走体1の航走速度が上昇すると、エッジ部3aにおいてキャビティがより多くかつ安定して発生することになり、いわゆるスーパーキャビテーション状態になる。スーパーキャビテーション状態になると水中航走体本体2は完全に気膜Aに覆われることになり、気相中を移動しているのとほぼ同じ状態となる。
この状態では、キャビテータ3にかかる動圧による圧力抵抗以外は水中航走体1の速度を制限する外力をほとんど受けないので、少なくとも200ノット以上の航走速度が得られることになる。
ここで、キャビテータ3の後方部には、流線に対して内側方向に離れる形状のエッジ部3aが設けられているので、このエッジ部3a近傍では、キャビテータ3の周囲を流れる流体に剥離が生じて、エッジ部3の後方に流体が回り込まなくなり、この部分の圧力が減少する。これにより、キャビテータ3によるキャビティの発生が良好に行われるとともに、発生したキャビティ及び第1ベンチレータ4が供給したガスがエッジ部3aの後方に滞留して気膜Aを形成する。エッジ部3aの後方で気膜Aを形成するガスは、周囲の流体との界面の乱れによって一部が流出する以外はこの領域に留まるので、エッジ部3aの後方では、少量のガスを継続的に補充するだけで気膜Aを維持することができる。
この水中航走体1では、キャビテータ3及び第1ベンチレータ4によって水中航走体本体2の周囲に気膜Aが形成されたのちに、制御装置7が、第2ベンチレータ6の動作を開始させて、水中航走体1の周囲にガスを供給する。このように第2ベンチレータ6によってガスを供給することで、水中航走体本体2の先端部側から第2ベンチレータ6に到達したキャビティが後方に成長させられて気膜Aを形成する。
このとき、水中航走体1の表面にはすでに気膜Aが形成されているので、第2ベンチレータ6が供給するガスは、水中航行体1の進行方向後方だけでなく、進行方向にも回り込む。すなわち、第2ベンチレータ6が供給するガスは、キャビテータ3のエッジ部3aの後方にも供給されて、この領域における気膜Aの維持に寄与する。
制御装置7は、このように第2ベンチレータ6によるガスの供給を開始させたのちに、第1ベンチレータ4によるガスの供給を停止させる。
第1ベンチレータ4によるガスの供給を停止させても、前記のように第2ベンチレータ6が供給するガスが水中航走体本体2の先端側に回り込んでこの領域の気膜Aの形成に寄与するので、水中航走体本体2全体を覆う気膜Aが維持される。
すなわち、第2ベンチレータ6からは、水中航走体本体2において第1ベンチレータ4によるガス供給位置よりも後方の領域に気膜Aを形成するのに必要なだけのガスと、キャビテータ3のエッジ部3a後方の気膜Aを維持するのに必要なだけのごくわずかなガスを供給すればよい。
このように、本実施形態に係る水中航走体1では、図3に示すように、第2ベンチレータ6の供給するガスの量Qを第1ベンチレータ4の供給するガスの量Qよりも低減することができ、第2ベンチレータ6のみによって気膜Aを形成している状態では、第1ベンチレータ4のみによって気膜Aを形成する場合に比べて、ガスの消費量が少なくて済む。
ここで、第2ベンチレータ6によるガス供給位置を水中航走体本体2の後方に近づけると、第2ベンチレータ6によって気膜を形成すべき領域が短くなるために、その分ガス消費量を少なくすることができるが、第二ベンチレータ6によるガス供給位置が第1ベンチレータ4によるガス供給位置から離間しすぎると、第2ベンチレータ6の供給するガスが水中航走体本体2の先端側に回り込みにくくなり、先端側で気膜Aの形成が不十分になりやすい。
また、この水中航走体1では、上記のように、第2ベンチレータ6の供給するガスの量を第1ベンチレータ4の供給するガスの量よりも低減することができるが、ガスの供給量が少なすぎると気膜Aの形成が不十分になって、水中航走体本体2に加わる摩擦抵抗が大きくなってしまう。一方、第2ベンチレータ6によるガスの供給量が多すぎると、第1ベンチレータ4のみによって気膜Aを形成する場合とガスの消費量が変わらなくなってしまう。
そこで、本発明者らは、第2ベンチレータ6によるガス供給位置とガス供給量とを変えて水中航走体本体2に加わる摩擦抵抗の大きさを測定した。この結果を図4のグラフに示す。図4は、第1ベンチレータ4による気膜Aの形成後に第2ベンチレータ6のみによる気膜Aの形成を行った状態での、水中航走体本体2に加わる抵抗値を示すグラフである。
図4において、黒菱で示す値は、第2ベンチレータ6によるガス供給位置を第1ベンチレータ4によるガス供給位置よりも0.1L後方とした場合の値であり(Lは水中航走体本体2の全長)、白丸、白三角、白四角は、それぞれ、第2ベンチレータ6によるガス供給位置を第1ベンチレータ4によるガス供給位置よりも0.25L、0.5L、0.75L後方とした場合の値である。
図4のグラフから、第2ベンチレータ6によるガス供給位置を、第1ベンチレータ4によるガス供給位置よりも水中航走体本体2の全長Lの30%以下の距離だけ後方に設定すると、気膜Aの形成を良好に行うことができることが分かった。
このため、本実施の形態では、第2ベンチレータ6によるガス供給位置は、第1ベンチレータ4によるガス供給位置よりもL1(≦0.3L)だけ離間させて、ガス消費量の低減と、気膜Aの確実な形成を両立させている。
また、図4のグラフから、第2ベンチレータ6の供給するガスの量Qが、第1ベンチレータ4によるガスの供給量Qの60%前後である場合に、摩擦抵抗Cdが低くかつガスの消費量も少なくて済むことが分かった。
このため、摩擦抵抗の低減とガスの消費量低減とを高レベルで両立させるためには、第2ベンチレータのガス供給量は、第1ベンチレータによるガスの供給量の60±5%とすることが好ましい。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について、図5及び図6を用いて説明する。
図5に示すように、本実施形態に係る水中航走体21は、第一実施形態で示した水中航走体1に、その推進方向に対する水中航走体本体2の軸線の傾斜量(以下、「姿勢角θ」と呼ぶ)を検出するジャイロ等の姿勢検出装置22を設置し、制御装置7を、気膜Aの形成後に、姿勢検出装置22によって検出された姿勢角θが姿勢角閾値(基準値)を超えたことをもって気膜Aの形成処理をやり直す構成としたことを主たる特徴とするものである。
以下、第一実施形態に示す水中航走体1と同様または同一の部材については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
一般に、水中航走体が航走中に旋回したり、周囲の水流の擾乱等によって水中航走体本体2の軸線が推進方向に対して傾斜すると、その姿勢角θによっては、水中航走体の周囲の一部(例えば推進方向に向く側)では、気膜の形成が不十分になったり、気膜がなくなるなど、気膜の維持が困難となる場合がある。
この水中航走体21では、上記のように、制御装置7が、姿勢検出装置22によって検出された水中航走体本体2の姿勢角θが姿勢角閾値を超えたことをもって(すなわち気膜Aの維持が困難となった場合に)、気膜Aの形成処理をやり直す(図8参照)。
このため、水中航走体本体2の軸線が推進方向に対して傾斜することによって気膜Aの維持が困難となっても、再度気膜Aを形成して、低抵抗推進を継続することができる。
なお、制御装置7の判断基準となる姿勢角閾値は、シミュレーションや実験等によって求めることができる。
ここで、上記実施の形態では、制御装置7を、姿勢検出装置22によって検出された水中航走体本体2の姿勢角θが姿勢角閾値を超えたことをもって気膜Aの形成処理をやり直す構成としたが、これに限られることなく、他の構成を採用してもよい。
例えば、図7に示すように、第2ベンチレータの吹出口6aを、水中航走体本体2の周囲の各部にそれぞれ設けて、かつこれら吹出口6aのそれぞれに対するガスの供給量を個別に調整可能な構成とし、制御装置7を、気膜Aの形成後に、姿勢検出装置22によって検出された姿勢角θが姿勢角閾値を超えたことをもって、水中航走体本体2の周囲のうち、気膜Aを維持することが困難となる部分に位置する吹出口6aに対するガスの供給量を増加させる構成としてもよい。
この場合には、水中航走体本体2が推進方向に対して傾斜したことで気膜Aの維持が困難となる部分(図7に二点鎖線で示す領域)に対して、第2ベンチレータ6によるガスの供給量を増加させるので、この部分における気膜Aが、図7に実線で示すように回復または再形成される。
すなわち、この水中航走体21では、周囲の一部領域で気膜Aの維持が困難となっても、気膜Aの形成処理をやり直すことなく、この領域における気膜Aを回復または再形成させて、低抵抗推進を継続することができる。
図7に示す例では、水中航走体本体2の周囲の空間を軸線回りに四分割し、この各領域に対応させて吹出口6aを設けている。この構成では、これら四分割された空間のそれぞれについてガスの供給量を調整して、この空間における気膜Aの回復または再形成を行うことができる。
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について、図8から図10を用いて説明する。
本実施形態に係る水中航走体31は、第一実施形態に示す水中航走体1において、周囲の気膜を検出する気膜検出装置32を設け、制御装置7が、気膜Aの形成後に、気膜検出装置32によって気膜Aが検出されなくなったことをもって気膜Aの形成処理をやり直す構成としたことを主たる特徴とするものである。
以下、第一実施形態に示す水中航走体1と同様または同一の部材については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
本実施形態では、気膜検出装置32を、水中航走体本体2の周囲に気膜Aが形成されている場合には気膜Aと周囲の水との境界によって光が反射されることを利用して気膜Aの検出を行う構成としている。
具体的には、気膜検出装置32を、水中航走体本体2の外側に向けて光を発する光源とこの光源の近傍に設けられた光センサーとの対によって構成し、制御装置7を、光センサーが光を検出している状態(もしくは検出出力がある閾値以上である場合)ではその光センサー近傍の領域に気膜Aが形成されているとみなし、光センサーが光を検出しなくなった状態(もしくは検出出力がある閾値を下回った場合)ではその光センサー近傍の領域で気膜Aがなくなったとみなす構成としている。
ここで、気膜Aの厚みがある範囲内にある場合には、気膜Aの厚みが増すほど光センサーに光源からの光が届きやすくなるので、光センサーの出力の大きさに基づいて、気膜Aの厚さを検出することができる。
また、気膜検出装置32による気膜Aの検出範囲は、気膜Aの形成が不十分になったり気膜Aがなくなった際に直ちにこれを検出することができるよう、水中航走体本体2の周囲のうち、最も気膜Aの形成が不十分になったり気膜Aがなくなりやすい領域(例えば水中航走体2の後方側)に配置することが好ましい。本実施形態では、気膜検出装置32による気膜Aの検出範囲を、水中航走体本体2の後方側に周方向の複数箇所に配置している。
この水中航走体31では、気膜Aの形成後に、制御装置7が、気膜検出装置32によって気膜Aが検出されなくなったことをもって気膜Aの形成処理をやり直す(図10参照)。
このため、気膜Aの形成が不十分になったり気膜Aがなくなった場合にも、再度気膜Aを形成して、低抵抗推進を継続することができる。
ここで、上記実施の形態では、制御装置7を、気膜検出装置32によって気膜Aが検出されなくなったことをもって気膜Aの形成処理をやり直す構成としたが、これに限られることなく、他の構成を採用してもよい。
例えば、第2ベンチレータの吹出口6aを、水中航走体本体2の周囲の各部にそれぞれ設けて、かつこれら吹出口6aのそれぞれに対するガスの供給量を個別に調整可能な構成とし、制御装置7を、気膜Aの形成後に、気膜検出装置32によって気膜Aが検出されなくなった領域が生じたことをもって、水中航走体本体2の周囲のうち、気膜Aが検出されなくなった領域に位置する吹出口6aに対するガスの供給量を増加させる構成としてもよい。
この場合には、気膜Aの形成後に、気膜検出装置32によって水中航走体31の周囲の一部領域で気膜Aがなくなったことが検出されると、制御装置7が、第2ベンチレータに、気膜がなくなった部分に対するガスの供給量を増加させるので、この部分における気膜Aが再形成される。
すなわち、この水中航走体31では、一部の気膜Aがなくなっても、気膜A全体の形成処理をやり直すことなく、気膜Aがなくなった領域の気膜Aを回復させて、低抵抗推進を継続することができる。
この様な水中航走体31では、水中航走体本体2の周囲の空間を軸線回りに四分割し、この各領域に対応させて吹出口6aと気膜検出装置32をそれぞれ設けている。この構成では、これら四分割された空間のそれぞれについて気膜Aの検出とガスの供給量の調整を行うことができ、これらの空間について個別に気膜Aの回復または再形成を行うことができる。
ここで、上記各実施形態では、第1、第2ベンチレータ4,6を、高圧ガスボンベに貯留されたガスを吹出する構成とした例を示したが、これに限られることなく、推進機関として、例えばロケットエンジン、ジェットエンジン等を用いた場合には、この推進機関の発生させる燃焼ガスを吹出する構成としてもよい。この場合には、水中航走体本体2内に高圧ガスボンベを設置する必要がないので、水中航走体本体2内のスペースを有効に活用することができる。
本発明の第一実施形態に係る水中航走体を示す側面図である。 図1に示す水中航走体の先端部を示す断面図である。 本発明の第一実施形態に係る水中航走体における第1、第2ベンチレータの制御の様子を示すグラフである。 本発明の第一実施形態に係る水中航走体における第2ベンチレータのガス吹出量と摩擦抵抗との関係を示すグラフである。 本発明の第二実施形態に係る水中航走体を示すブロック図である。 本発明の第二実施形態に係る水中航走体における第1、第2ベンチレータの制御の様子を示すグラフである。 本発明の第二実施形態に係る水中航走体の他の形態例を示す図である。 本発明の第三実施形態に係る水中航走体を示すブロック図である。 本発明の第三実施形態に係る水中航走体を示す側面図である。 本発明の第三実施形態に係る水中航走体における第1、第2ベンチレータの制御の様子を示すグラフである。
符号の説明
1,21,31 水中航走体
2 水中航走体本体
3 キャビテータ
4 第1ベンチレータ
6 第2ベンチレータ
7 制御装置
3a エッジ部
22 姿勢検出装置
32 気膜検出装置
A 気膜

Claims (12)

  1. 推進機関を備える水中航走体本体と、
    該水中航走体本体の先端部に設けられてその後方部で前記水中航走体本体の全周にわたってキャビティを発生させるキャビテータと、
    前記水中航走体本体の前記キャビテータの直後から周囲にガスを供給することによって該キャビテータにより発生したキャビティを後方に成長させて前記水中航走体本体全体を覆う気膜を形成する第1ベンチレータと、
    該第1ベンチレータによるガス供給位置よりも前記水中航走体本体の全長の30%以下の距離だけ後方の位置から周囲にガスを供給する第2ベンチレータと、
    前記第1ベンチレータ及び前記第2ベンチレータの動作を制御する制御装置とを有し、
    前記キャビテータは、その後方部に、流線に対して内側方向に離れる形状のエッジ部を有しており、
    前記制御装置は、前記気膜を形成するにあたって、まず前記第1ベンチレータのみにガスの供給を行わせ、
    前記気膜が形成されたのちは前記第2ベンチレータによって前記第1ベンチレータによるガスの供給量よりも少ない量のガスを供給させたのち、前記第1ベンチレータによるガスの供給を停止させる水中航走体。
  2. 前記第2ベンチレータによるガスの供給量が、前記第1ベンチレータによるガスの供給量の60±5%とされている請求項1記載の水中航走体。
  3. 推進方向に対する前記水中航走体本体の軸線の傾斜量を検出する姿勢検出装置を有し、
    前記制御装置は、前記気膜の形成後に、前記姿勢検出装置によって検出された前記傾斜量が基準値を超えたことをもって前記気膜の形成処理をやり直す請求項1または2に記載の水中航走体。
  4. 前記第2ベンチレータが、前記水中航走体本体の周囲の各部に対するガスの供給量を個別に調整可能とされており、
    推進方向に対する前記水中航走体本体の軸線の傾斜量を検出する姿勢検出装置を有し、
    前記制御装置は、前記気膜の形成後に、前記姿勢検出装置によって検出された前記傾斜量が基準値を超えたことをもって、前記第2ベンチレータに、前記水中航走体本体の周囲のうち、前記気膜を維持することが困難となる部分に対するガスの供給量を増加させる請求項1または2に記載の水中航走体。
  5. 前記水中航走体の周囲の気膜を検出する気膜検出装置を有し、
    前記制御装置は、前記気膜の形成後に、前記気膜検出装置によって気膜が検出されなくなったことをもって前記気膜の形成処理をやり直す請求項1から4のいずれか1項に記載の水中航走体。
  6. 前記水中航走体の周囲の各部における気膜を検出する気膜検出装置を有し、
    前記第2ベンチレータが、前記水中航走体本体の周囲の各部に対するガスの供給量を個別に調整可能とされており、
    前記制御装置は、前記気膜の形成後に、前記気膜検出装置によって気膜がなくなった領域が検出されたことをもって、前記第2ベンチレータに、前記水中航走体本体の周囲のうち、前記気膜がなくなった部分に対するガスの供給量を増加させる請求項1から4のいずれか1項に記載の水中航走体。
  7. 推進機関を備える水中航走体本体と、該水中航走体本体の先端部に設けられてその後方部で前記水中航走体本体の全周にわたってキャビティを発生させるキャビテータと、前記水中航走体本体の前記キャビテータの直後から周囲にガスを供給することによって該キャビテータにより発生したキャビティを後方に成長させて前記水中航走体本体全体を覆う気膜を形成する第1ベンチレータとを有する水中航走体に、前記第1ベンチレータによるガス供給位置よりも前記水中航走体本体の全長の30%以下の距離だけ後方の位置から周囲にガスを供給する第2ベンチレータを設け、
    前記キャビテータの後方部に、流線に対して内側方向に離れる形状のエッジ部を設け、
    前記気膜を形成するにあたって、まず前記第1ベンチレータのみにガスの供給を行わせ、
    前記気膜が形成されたのちは前記第2ベンチレータによって前記第1ベンチレータによるガスの供給量よりも少ない量のガスを供給させたのち、前記第1ベンチレータによるガスの供給を停止させる水中航走体の制御方法。
  8. 前記第2ベンチレータによるガスの供給量を、前記第1ベンチレータによるガスの供給量の60±5%とする請求項7記載の水中航走体の制御方法。
  9. 推進方向に対する前記水中航走体本体の軸線の傾斜量を検出する姿勢検出装置を設け、
    前記気膜の形成後に、前記姿勢検出装置によって検出された前記傾斜量が基準値を超えたことをもって前記気膜の形成処理をやり直す請求項7または8に記載の水中航走体の制御方法。
  10. 前記第2ベンチレータを、前記水中航走体本体の周囲の各部に対するガスの供給量を個別に調整可能な構成とし、
    推進方向に対する前記水中航走体本体の軸線の傾斜量を検出する姿勢検出装置を設け、
    前記気膜の形成後に、前記姿勢検出装置によって検出された前記傾斜量が基準値を超えたことをもって、前記第2ベンチレータに、前記水中航走体本体の周囲のうち、前記気膜を維持することが困難となる部分に対するガスの供給量を増加させる請求項7または8に記載の水中航走体の制御方法。
  11. 前記水中航走体の周囲の気膜を検出する気膜検出装置を設け、
    前記気膜の形成後に、前記気膜検出装置によって気膜が検出されなくなったことをもって前記気膜の形成処理をやり直す請求項7から10のいずれか1項に記載の水中航走体の制御方法
  12. 前記水中航走体の周囲の気膜を検出する気膜検出装置を設け、
    前記第2ベンチレータを、前記水中航走体本体の周囲の各部に対するガスの供給量を個別に調整可能な構成とし、
    前記気膜の形成後に、前記気膜検出装置によって気膜がなくなった領域が検出されたことをもって、前記第2ベンチレータに、前記水中航走体本体の周囲のうち、前記気膜がなくなった部分に対するガスの供給量を増加させる請求項7から10のいずれか1項に記載の水中航走体の制御方法
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