JP4616576B2 - チャック装置 - Google Patents

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Description

本発明は、工具を挟持するチャック装置に関するものである。
緩み防止機構付きのチャック装置としては、例えば出願人の先願である特願2001−260708号公報(特許文献1)に開示される構造を有する緩み防止機構付きのものが提案されている。尚、構造としては、本発明の第一実施例と同様であるため、図1〜4を参照して説明する。
この緩み防止機構付きのチャック装置は、回動筒1を回動させることにより本体2の先端に設けられた孔2aに挿入される複数の爪3を拡縮摺動させ、前記爪3により工具4を挟持するチャック装置であって、前記本体2には環状のラチェット歯5が設けられ、また前記回動筒1の内方にして前記本体2には前記爪3と螺合し該回動筒1と共に回動する環状の回動体17が被嵌され、また前記ラチェット歯5の外方には該ラチェット歯5と係止する着脱自在な係止バネ体7が配設され、この係止バネ体7は前記回動体17の回動に伴い前記ラチェット歯5の周囲を回動する状態で設けられ、この係止バネ体7は前記回動体17に凹凸嵌合手段により取り付けられ、更に前記ラチェット歯5と前記係止バネ体7が係止した状態及びこの係止が解除した状態を保持する保持部が設けられる構成である。
ところで、このようなチャック装置においては、軽量化の要求から上記本体をアルミ等の軽合金で製作することが提案されているが、従来は、ラチェット歯を本体に直接加工することで形成していることから、本体をアルミ等の軽合金で製作すると必然的にラチェット歯も軽合金となる。
しかしながら、ラチェット歯は、鋼製の係止バネ体と反復継続的な係合を行うため、鋼より柔らかいアルミ等の軽合金では該反復継続的な係合により容易に摩耗してしまい、緩み防止機構が働かなくなるため、耐久性及びメンテナンス性に劣るという欠点がある。
そこで、出願人の先願に係る特願2002−024495号公報(特許文献2)には、本体及びラチェット歯の表面にコーティング処理を施すことにより上述したようなラチェット歯の摩耗を防止する点が開示されているが、更なるラチェット歯の耐久性の向上が要望されているのが現状である。
特願2001−260708号公報 特願2002−024495号公報
本発明は、上述のような現状に鑑み成されたもので、簡易な構成でラチェット歯の摩耗を防止して耐久性及びメンテナンス性の向上を図ることができる極めて実用性に秀れたチャック装置を提供するものである。
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
回動筒1を回動させることにより本体2の先端に設けられた孔2aに挿入される複数の爪3を拡縮摺動させ、前記爪3により工具4を挟持するチャック装置であって、前記本体2には環状のラチェット歯5が設けられ、また前記回動筒1の内方にして前記本体2には前記爪3と螺合し回動筒1と共に回動する環状の回動体17が被嵌され、また前記ラチェット歯5の外方には該ラチェット歯5と係止する着脱自在な係止バネ体7が配設され、この係止バネ体7は前記回動体17の回動に伴い前記ラチェット歯5の周囲を回動する状態で設けられ、この係止バネ体7は前記回動体17に凹凸嵌合手段により取り付けられ、更に前記ラチェット歯5と前記係止バネ体7が係止した状態及びこの係止が解除した状態を保持する保持部が設けられ、前記ラチェット歯5は、前記本体2と別体にして該本体2の周面に形成した凹状固定部14に巻き付け固定された帯状で該本体2より高硬度の硬質部材13形成されていることを特徴とするチャック装置に係るものである。
また、請求項1記載のチャック装置において、前記硬質部材13は、前記凹状固定部14に巻き付けた状態で該凹状固定部14をかしめて固定されているものであることを特徴とするチャック装置に係るものである。
また、請求項1,2いずれか1項に記載のチャック装置において、前記硬質部材13は、両端縁が傾斜縁13a若しくは側縁に対して直交する直交縁13bに形成されていることを特徴とするチャック装置に係るものである。
また、請求項1〜いずれか1項に記載のチャック装置において、前記硬質部材13として、鋼若しくはステンレスが採用されていることを特徴とするチャック装置に係るものである。
また、請求項1〜いずれか1項に記載のチャック装置において、前記本体2は、軽量部材で形成されていることを特徴とするチャック装置に係るものである。
また、請求項記載のチャック装置において、前記軽量部材として、非鉄金属若しくはこれらの合金,合成樹脂または繊維強化樹脂が採用されていることを特徴とするチャック装置に係るものである。
また、請求項1〜いずれか1項に記載のチャック装置において、前記保持部は、前記係止バネ体7を所定の位置に保持することで、前記ラチェット歯5と前記係止バネ体7が係止した状態及びこの係止が解除した状態を保持するように構成したものであることを特徴とするチャック装置に係るものである。
また、回動筒1を回動させることにより本体2に設けられた孔2aに挿入される複数の爪3を拡縮摺動させ、前記爪3により工具4を挟持するチャック装置であって、前記本体2には環状のラチェット歯5が設けられ、また前記回動筒1の内方にして前記本体2には前記爪3と螺合し前記回動筒1と共に回動する環状の回動体17が被嵌され、また前記ラチェット歯5の外方には該ラチェット歯5と係止する着脱自在な係止バネ体30,31が配設され、この係止バネ体30,31は二つのバネ体から成り、一方の係止バネ体30は前記ラチェット歯5との係止作用を担うように構成され、また、他方の係止バネ体31は前記回動筒1の位置を保持することで前記一方の係止バネ体30の位置を保持する作用を担うように構成され、これらの係止バネ体30,31は前記回動体17の回動に伴い前記ラチェット歯5の周囲を回動する状態で設けられ、これらの係止バネ体30,31は前記回動体17に凹凸嵌合手段により取り付けられ、さらに前記ラチェット歯5と前記一方の係止バネ体30が係止した状態及びこの係止が解除した状態を保持する保持部が設けられ、この保持部は前記本体2と前記回動筒1との間に配されると共に前記他方の係止バネ体31と前記回動筒1の内面とで構成され、前記本体2はアルミ若しくはアルミ合金製等の軽量部材で構成され、前記環状のラチェット歯5は、前記本体2と別体にして該本体2の周面に形成した凹状固定部14に巻き付け固定された帯状で該本体2より高硬度の硬質部材13形成されていることを特徴とするチャック装置に係るものである。
また、請求項8記載のチャック装置において、前記硬質部材13は、前記凹状固定部14に巻き付けた状態で該凹状固定部14をかしめて固定されているものであることを特徴とするチャック装置に係るものである。
また、請求項8,9いずれか1項に記載のチャック装置において、前記他方の係止バネ体31と前記回動筒1との凹凸嵌合により、前記ラチェット歯5と前記一方の係止バネ体30が係止した状態及びこの係止が解除した状態が保持されるように構成されていることを特徴とするチャック装置に係るものである。
また、請求項1〜10いずれか1項に記載のチャック装置において、前記ラチェット歯5に、硬質にして摩擦係数が可及的に小さいコーティングが施されていることを特徴とするチャック装置に係るものである。
本発明は上述のように構成したから、簡易な構成でラチェット歯の摩耗を防止して耐久性及びメンテナンス性の向上を図ることができる極めて実用性に秀れたチャック装置となる。
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
ラチェット歯5は、例えばアルミ等の軽合金から成る本体2より高硬度の硬質部材で形成されているから、例えば鋼製の係止バネ体7と反復継続的に係合を行ってもラチェット歯5の摩耗は可及的に防止され、それだけ耐久性及びメンテナンス性に秀れたものとなる。従って、本発明は、簡易な構成でラチェット歯の摩耗を防止して耐久性及びメンテナンス性の向上を図ることができる極めて実用性に秀れたチャック装置となる。
本発明の具体的な実施例1について図面に基づいて説明する。
図1〜4,8〜13は、本発明を振動や衝撃を付与する所謂ハンマードリル,振動ドリル,ドライバードリル等の電動回動具に使用されるチャック装置に実施した実施例1を図示したもので、以下に説明する。
本体2にはアルミ,マグネシウム,チタン等の非鉄金属,これらの合金,合成樹脂若しくは繊維強化樹脂等の軽量部材が採用される。尚、実施例1はアルミ合金製である。
本体2に形成した孔2aには三本の爪3が傾斜状態で設けられ、この爪3の外面に形成された螺子部3aと螺合する環状のナット体6が該爪3に被嵌状態で設けられている。
このナット体6は分割ナット体6であって、保形環8により保形されたものである。
尚、請求項における回動体17は、回動筒1と共に回動し、爪3と螺合するもので、実施例1の場合はナット体6と保形環8とで構成されるものである。従って、実施例1においては、回動筒1と連結し、回動筒1を回動させてナット体6を回動させる構成としているが、例えば保形環8と回動筒1とを連結し、回動筒1を回動させて保形環8及びナット体6を回動させる構成としても良い。
ナット体6には係止バネ体7を該ナット体6に対して、共回り状態で取り付ける突部6a,6b,6c,6dが4個設けられている。この突部6a,6b,6c,6dは必須のナット体6に設けられており、特別に該突部6a,6b,6c,6dを設ける部材を設ける必要がない為、それだけ実施例1は構成が簡易となる。
また、ナット体6の前方にして本体2には係止バネ体7の先端係止部7’と噛合する環状のラチェット歯5が形成されている。
このラチェット歯5は、本体2とは別体にして該本体2より高硬度の硬質部材13、例えば鋼やステンレスで形成されている。尚、実施例1のラチェット歯5は鋼製である。
具体的には、ラチェット歯5は、本体2の周面に巻き付けられる帯状の硬質部材13から成り、本体2の周面に設けられたこの帯状の硬質部材13を固定し得る凹状固定部14に固定状態に設けられている。
尚、実施例1においては、帯状の硬質部材13を採用し、これを本体2の周面に巻き付けることでラチェット歯5を形成しているが、予め環状に形成された環体を本体2の周面に圧入したりする等、他の手段でラチェット歯5を形成しても良い。
実施例1のラチェット歯5は、図9に図示したような、両端縁が側縁に対して直交する直交縁13bに形成された帯状の硬質部材13を、前記凹状固定部14に巻き付け(図8(a))、この凹状固定部14を適宜な工具15によりかしめて該帯状の硬質部材13を固定し(図8(b))、この凹状固定部14に固定された帯状の硬質部材13にラチェット歯を作るための工具16により適宜な凹凸形状を付与することで形成している(図8(c))。
従って、軽量な本体2に簡易な方法で、係止バネ体7との係合により摩耗しにくい硬度に秀れたラチェット歯5を形成することができるのは勿論、硬質部材13の両端縁を、図9に図示したような側縁に対して直交する直交縁13bに形成しているから、ラチェット歯を作るための工具16による加工により、この帯状の硬質部材13に凹凸形状を付与する際の伸びを利用してこの硬質部材13を凹状固定部14に固着させることで、全周を確実に固定できることになり、この帯状の硬質部材13の端部が剥がれてしまうことを可及的に阻止できることになる。この場合、特に、硬質部材13を本体2の周面に巻き付けた際、その両端縁の間隔(図9中A)がラチェット歯5の一歯以下の間隔となるように設定するのが好ましい。
尚、帯状の硬質部材13として、図10,11に図示したような両端縁を互いに噛み合い状態となる傾斜縁13aに形成したものを採用しても良く、この場合には、ラチェット歯を作るための工具16による加工により、隙間なく全周に連続的に歯を形成できることになり、係止バネ体7との係合をそれだけ良好に行えることになる(歯のない箇所が存しないものとなる。)。
また、図12,13は硬質部材13の両端縁を互いに噛み合い状態で且つ側縁に対して直交する直交縁13bに形成した別例である。
このラチェット歯5と前記先端係止部7’との係合により、ナット体6は一方向にのみ回転可能な状態(逆転不能状態)が現出する。尚、先端係止部7’は、ラチェット歯5を形成する帯状の硬質部材13の所定範囲(図8(c)中B)に当接するように構成されている。
符号9は鋼球、10は鋼球受けである。この鋼球受け10は弾性を有している為、電動回動具の振動若しくは衝撃トルクにより、回動筒1が締付方向へ必要以上に回動することが防止される。
係止バネ体7は、金属製であり(鉄製や鋼製)、ラチェット歯5の周囲にして回動筒1の内面に支持される状態で配設される。符号1b,1eは回動筒1の回転力をナット体6に伝える為の突部である。尚、回動筒1の回転力は保形環8を経由して伝えても同様に伝達される。
係止バネ体7には、図2,3,4に図示したように3つの突部7a,7b,7cとラチェット歯5と係止する先端係止部7’が設けられ、また、後端部には突部6cに当接することでバネ力が良好に発揮される当接部7dが設けられている(当接部7dの反対側は突部6bで受けられる。)。この係止バネ体7の突部7a,7bと前記ナット体6の突部6a,6bにより、該係止バネ体7はナット体6と共回り状態に取り付けられる。
実施例1は、係止バネ体7,突部1b,1e及び突部6a,6b,6c,6dが同一円周上に配されている為、それだけコンパクトな設計が可能となる。
尚、係止バネ体7とナット体6との取り付けは、両者が共回り状態となる構成であれば上記構成に限られない。また、実施例1においては、係止バネ体7を、ナット体6に凹凸嵌合手段により取り付けた構成としているが、保形環8に凹凸嵌合手段により取り付けた構成としても良い。
また、回動筒1の内面には係止バネ体7の先端係止部7’とラチェット歯5との係止の解除を確実に行わせしめる為の介在体1cが設けられ、この介在体1cの先端テーパー面で先端係止部7’を受け、該先端係止部7’とラチェット歯5との係止(噛合)の解除を確実に行わせしめる。
また、回動筒1の内面には係止バネ体7の先端係止部7’を押え込み、該先端係止部7’とラチェット歯5の係止状態を維持する押え込み部1dが設けられている。
ナット体6には先端が本体2に受けられる回動筒1が被嵌され、この回動筒1はナット体6と共に回動するが、ナット体6の回動に所定の負荷がかかった際、ナット体6に対して所定角度だけ回動するように構成されている。
この回動筒1のナット体6に対しての所定角度の回動は、突部6aと突部6bの間であり、具体的には、図3中のLである。よって、回動筒1が回動し、負荷が作用すると回動筒1の突部1aが係止バネ体7のバネ力に抗して突部7cを乗り越え、突部1bの端面が突部6bの端面Mに当接して(同様に、突部1eの端面が突部6dの端面に当接する。)、回動筒1とナット体6とは一体となり、増し締めが行われる。
この突部1aの存在により該突部1aがバネ力に抗して係止バネ体7の突部7cを乗り越えない限り、回動筒1が弛み方向に回動することはなく、よって、それだけ確実に緩み防止効果が発揮される。尚、係止バネ体7のバネ力、特に突部7bから当接部7d間のバネ力と突部1a及び突部7cとの形状により、緩み防止力を設定できる。
更に、回動筒1(合成樹脂製)の外面には滑り防止凸条が形成され、また、回動筒1は先端が本体2に、後端が本体2に設けられた受け部材11に受けられている。
尚、ドライバードリル等の電動回動具を用いる場合、チャック開閉時や穴明け加工等の作業時に回転力が必要であるが、インパクトドライバーやハンマードリル、振動ドリル等の電動回動具を用いる場合は、回転力も必要であるが抜け防止のため軸方向の保持力が必要となるので、受け部材11と本体2の結合は、本体2の後端に設けたアヤ目ローレット形状での結合が良い(図14参照)。また、受け部材11は回動筒1内に収納される場合や、回動筒1の外部に露出する場合がある。
符号12は回動筒1のC字状抜け止めリングである。
実施例1は上述のように構成したから、次の作用効果を奏する。
爪3で工具4を把持し、回動筒1を回動せしめると、回動筒1に所定の負荷がかかるまでは、回動筒1,ナット体6は一緒に回動し、よって、係止バネ体7もラチェット歯5の周囲を回動する。
回動筒1が所定の位置(爪3が工具4に当接する位置)まで回動すると、該回動筒1に所定の負荷が作用し(図3の状態)、その状態から更に図3中矢印の方向にバネ力に抗して回動筒1を回動せしめると、回動筒1がナット体6に対して回動し、係止バネ体7の先端係止部7’を受けている介在体1cが移動すると共に回動筒1の押え込み部1dが先端係止部7’を押圧して該先端係止部7’はラチェット歯5と係止し、更に、回動筒1の突部1aが係止バネ体7の突部7cを乗り越え(突部7cは図3中T側からS側へ位置し)、突部1bが突部6bの端面Mに、また、同様に突部1eが突部6dに当接して回動筒1とナット体6とは一体となり、更に回動筒1を回動させると、ラチェット歯5に係止している係止バネ体7の先端係止部7’が板バネ作用によりラチェット歯5を一歯ずつ乗り越えて所定のラチェット歯5に係止し(この状態はラチェット歯5により、逆転は生じない)、回動筒1の回動抵抗が強くなって締まりは完了する(図4の状態)。
尚、一歯ずつ乗り越えている状態は未だ締まりが完了しておらず、締まりが完了すると歯の乗り越えは生じない。
この締まり状態は、突部7cと突部1aにより保持されることになる。
また、この締結状態を解除するには、上記と逆であり、回動筒1を逆回動すると、S側に位置している突部7cは(図4の状態)、突部1aを乗り越え、更に回動筒1を図4中矢印の方向へ回動させると、押え込み部1dによる先端係止部7’とラチェット歯5との係止(噛合)が解除され、更に、介在体1cが移動して係止バネ体7の先端係止部7’を持ち上げ、更に回動筒1を回動させることにより工具4の締結は弛むことになる。この状態、即ち、係止バネ体7の先端係止部7’とラチェット歯5との係合が解除した状態も突部7cと突部1aにより保持される。
実施例1に係るチャック装置は工具4の締結の緩みが確実に防止され簡易構造にして耐久性に富む秀れたチャック装置となる。
また、実施例1に係るチャック装置は、本体2は軽量部材で形成しているから、軽量であって実用性に秀れ、しかもラチェット歯5は、軽量部材から成る本体2より高硬度の硬質部材で形成しているから、より硬度に秀れ係止バネ体7との係合に伴う摩耗を一層良好に防止できることになり、極めて耐久性及びメンテナンス性に秀れたものとなる。
実施例1の介在体1cは係止バネ体7の先端係止部7’が不意にラチェット歯5と噛合しない為のものであるが(従って、介在体1cで受けられていない状態、即ち、押え込み部1dが先端係止部7’に当接していない状態では、バネの弾性により先端係止部7’はラチェット歯5から離反)、先端係止部7’を押え込み部1dを不要又は無しにして、ラチェット歯5と常時噛合させておいて、介在体1cで先端係止部7’とラチェット歯5との噛合を強制的に解除させるものとして構成しても良い。
また、本体2に、硬質にして可及的に摩擦係数の小さいコーティングを施しても良く、この場合には、切り粉が当たったりしても本体2へ傷が付きにくく、更に、ラチェット歯5にも前記コーティングが施されるから、ラチェット歯5の摩耗が一層防止されると共に、係止バネ体7との係止及び係止解除が円滑に行われ、また、本体2の孔2aの内面にも前記コーティングが施されるから、爪3の摺動が円滑となり、よって、工具4の把持が良好に行われることになる。特に、振動や衝撃を付与する所謂ハンマードリル,振動ドリル,ドライバードリル等は、軸方向や回転方向に振動が断続的に作用するものであり、振動中に爪3と孔2aの内面とに焼き付きが発生し、爪3の拡縮摺動が不良となることがあるが、このような問題点も解決される。
尚、コーティングとしては、具体的には、硬質で潤滑性が良い「硬質アルマイト」、商品名「タフラム」(三菱マテリアル社製),商品名「ルブニック」(三菱マテリアル社製)等を使用すると良い。また、コーティング厚は2μm〜60μmの範囲が望ましい。また、ナット体6及び爪3にも上記コーティングを施すと、該ナット体6の回動も円滑に行われることになる。
図5〜7は、本発明の実施例2を図示したもので、以下に説明する。
実施例2は、実施例1の係止バネ体7を二体の係止バネ体30,31で構成したもので、一方の係止バネ体30は、ラチェット歯5との係止作用を担うものであり、また、他方の係止バネ体31は、回動筒1の位置を保持することで、前記係止バネ体30を所定の位置に保持する作用を担うものである。このように実施例2は実施例1と異なり、ラチェット歯5との係止作用と、ラチェット歯5との係止状態保持作用及び係止解除状態保持作用とを別々のバネに担わせているものである。
このように実施例2においては、ラチェット歯5との係止作用と、ラチェット歯5との係止状態保持作用及び係止解除状態保持作用とを別々のバネに担わせているから、前記他方の係止バネ体31の厚さ等を適宜設定することで係止保持力を任意の大きさに設定でき、それだけ係止保持力の設定を簡易且つ自由に行えることになる。その余は実施例1と同様である。
符号30’は実施例1の先端係止部7’に相当する部分、符号30aは実施例1の突部7aに相当する部分、符号30bは実施例1の突部7bに相当する係止部、符号30cは実施例1の突部7cに相当する部分、符号30dは突部6dとの係止部である。
実施例1の一部を切り欠いた正面図である。 実施例1の分解斜視図である。 実施例1の作動説明に係る図1のW−W断面図である。 実施例1の作動説明に係る図1のX−X断面図である。 実施例2の分解斜視図である。 実施例2の図3に相当する断面図である。 実施例2の図4に相当する断面図である。 ラチェット歯の製造工程を示す概略説明断面図である。 実施例1の硬質部材の端部形状を示す概略説明図である。 別例の硬質部材の端部形状を示す概略説明図である。 別例の硬質部材の端部形状を示す概略説明図である。 別例の硬質部材の端部形状を示す概略説明図である。 別例の硬質部材の端部形状を示す概略説明図である。 別例の一部を切り欠いた正面図である。
1 回動筒
2 本体
2a 孔
3 爪
4 工具
5 ラチェット歯
7 係止バネ体
13 硬質部材
13a 傾斜縁
13b 直交縁
14 凹状固定部
17 回動体
30 係止バネ体
31 係止バネ体

Claims (11)

  1. 回動筒を回動させることにより本体の先端に設けられた孔に挿入される複数の爪を拡縮摺動させ、前記爪により工具を挟持するチャック装置であって、前記本体には環状のラチェット歯が設けられ、また前記回動筒の内方にして前記本体には前記爪と螺合し回動筒と共に回動する環状の回動体が被嵌され、また前記ラチェット歯の外方には該ラチェット歯と係止する着脱自在な係止バネ体が配設され、この係止バネ体は前記回動体の回動に伴い前記ラチェット歯の周囲を回動する状態で設けられ、この係止バネ体は前記回動体に凹凸嵌合手段により取り付けられ、更に前記ラチェット歯と前記係止バネ体が係止した状態及びこの係止が解除した状態を保持する保持部が設けられ、前記ラチェット歯は、前記本体と別体にして該本体の周面に形成した凹状固定部に巻き付け固定された帯状で該本体より高硬度の硬質部材形成されていることを特徴とするチャック装置。
  2. 請求項1記載のチャック装置において、前記硬質部材は、前記凹状固定部に巻き付けた状態で該凹状固定部をかしめて固定されているものであることを特徴とするチャック装置。
  3. 請求項1,2いずれか1項に記載のチャック装置において、前記硬質部材は、両端縁が傾斜縁若しくは側縁に対して直交する直交縁に形成されていることを特徴とするチャック装置。
  4. 請求項1〜いずれか1項に記載のチャック装置において、前記硬質部材として、鋼若しくはステンレスが採用されていることを特徴とするチャック装置。
  5. 請求項1〜いずれか1項に記載のチャック装置において、前記本体は、軽量部材で形成されていることを特徴とするチャック装置。
  6. 請求項記載のチャック装置において、前記軽量部材として、非鉄金属若しくはこれらの合金,合成樹脂または繊維強化樹脂が採用されていることを特徴とするチャック装置。
  7. 請求項1〜いずれか1項に記載のチャック装置において、前記保持部は、前記係止バネ体を所定の位置に保持することで、前記ラチェット歯と前記係止バネ体が係止した状態及びこの係止が解除した状態を保持するように構成したものであることを特徴とするチャック装置。
  8. 回動筒を回動させることにより本体に設けられた孔に挿入される複数の爪を拡縮摺動させ、前記爪により工具を挟持するチャック装置であって、前記本体には環状のラチェット歯が設けられ、また前記回動筒の内方にして前記本体には前記爪と螺合し前記回動筒と共に回動する環状の回動体が被嵌され、また前記ラチェット歯の外方には該ラチェット歯と係止する着脱自在な係止バネ体が配設され、この係止バネ体は二つのバネ体から成り、一方の係止バネ体は前記ラチェット歯との係止作用を担うように構成され、また、他方の係止バネ体は前記回動筒の位置を保持することで前記一方の係止バネ体の位置を保持する作用を担うように構成され、これらの係止バネ体は前記回動体の回動に伴い前記ラチェット歯の周囲を回動する状態で設けられ、これらの係止バネ体は前記回動体に凹凸嵌合手段により取り付けられ、さらに前記ラチェット歯と前記一方の係止バネ体が係止した状態及びこの係止が解除した状態を保持する保持部が設けられ、この保持部は前記本体と前記回動筒との間に配されると共に前記他方の係止バネ体と前記回動筒の内面とで構成され、前記本体はアルミ若しくはアルミ合金製等の軽量部材で構成され、前記環状のラチェット歯は、前記本体と別体にして該本体の周面に形成した凹状固定部に巻き付け固定された帯状で該本体より高硬度の硬質部材形成されていることを特徴とするチャック装置。
  9. 請求項8記載のチャック装置において、前記硬質部材は、前記凹状固定部に巻き付けた状態で該凹状固定部をかしめて固定されているものであることを特徴とするチャック装置。
  10. 請求項8,9いずれか1項に記載のチャック装置において、前記他方の係止バネ体と前記回動筒との凹凸嵌合により、前記ラチェット歯と前記一方の係止バネ体が係止した状態及びこの係止が解除した状態が保持されるように構成されていることを特徴とするチャック装置。
  11. 請求項1〜10いずれか1項に記載のチャック装置において、前記ラチェット歯に、硬質にして摩擦係数が可及的に小さいコーティングが施されていることを特徴とするチャック装置。
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