JP4090631B2 - レンチ - Google Patents

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  • Details Of Spanners, Wrenches, And Screw Drivers And Accessories (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、ボルトやナットを締め、或いは緩め操作するレンチの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レンチとして、例えばボルトを締め、或いは緩め操作する棒状からなるレンチが、従来から広く知られている。このレンチは、断面六角形状の棒状のレンチの一端側を係合部とし、そして、この係合部を、ボルトに設けた断面六角形状の係合孔(図2(B) 参照)に嵌合させることにより、回動不能に係合させることができ、レンチを回動操作すればボルトを締め、或いは緩め操作することができる。しかし、このものにおいては、係合部を、単にボルトの係合孔に嵌合させるだけのものであるため、他部材に螺合させる前のボルトにレンチを係合させても、ボルトから手を離すとボルトがレンチから外れて落下してしまう。そのため、ボルトを他部材にセットする場合には、ボルトを手で他部材に螺合させた後、そのボルトにレンチを係合させて回動操作して締め付けなければならず、レンチでボルトの螺合から締め付けまでの操作をできない。特に、両手の入らないような狭い場所での操作が面倒なものとなっていた。
そこで、この解決するものとして、例えば図24(A)(B)に示すようなものが提案されている。この図24(A)(B)に示すレンチは、断面六角形状の棒状のレンチ本体aの一端側に設けた係合部aに、外周面から所定深さで形成した受容孔cを設けるとともに、その受容孔c内に、ボルト押圧部材としてのボールdと、ボールdと受容孔cの奥端面との間にコイルバネeとを入れた後、係合部aにおける受容孔cの周部を押圧変形させて受容孔cの内径をボールdの径より径小にしたボール抜け止め部c1を形成することにより、コイルバネeの弾性によってボールdをボール抜け止め部c1に押し付けてボールdの先端一部を受容孔cから係合部aの外周面側に突出させたものである。こうすることにより、係合部bを、ボルトの係合孔に押し入れれば、係合部aの外周面に突出させたボールdがコイルバネeの弾性に抗してボルトの係合孔の内壁面に押圧されて係合部bが受容孔c内に沈み込んで係合部bをボルトの係合孔に回動不能に係合させることができるとともに、この状態で、ボールdがコイルバネeの弾性によってボルトの係合孔の内壁面を押圧し、係合部bとボルトの係合孔との係合状態を維持させることができる。従って、ボルトを把持しなくてもレンチだけを把持してボルトを他部材に螺合させて締め付けることができ、両手の入らないような狭い場所でボルトを他部材に螺合させて締め付けるような場合でも片手で行うことができる。
しかしながら、このものにおいては、受容孔cに径小のボール抜け止め部c1を形成しなければならない。このボール抜け止め部c1の形成を、レンチの熱処理前に行うとすると、レンチの熱処理に際して受容孔cに入れたボールdやコイルバネeの硬度の低下をきたしてしまうため、レンチ本体aの熱処理後に形成する必要があり、その結果、熱処理後におけるレンチ本体の硬度が高く、係合部bの一部を押し広げようとしても容易に変形させることができず、ボール抜け止め部c1の形成に時間を要し、製作が困難で、コスト高になっている。
又、ネジ径の小さいボルトに使用するレンチの場合には、係合部bの対辺寸法Lが短くて、コイルバネeを受容する受容孔cを係合部bの前面に開けると後面側に貫通してしまったり、或いは受容孔cの奥端面と後面との肉厚が薄くなってしまい、その結果、レンチ自体の強度が弱くなってしまう。従って、このものでは、ネジ径の小さいボルトに使用するようなものには適応できないという課題がある。
一方、例えば図9(A)(B)(C) に示すようなソケットレンチ300、又は図13に示すような、所謂メガネレンチ400、更には、図15に示すようなスパナレンチ500のようなものにも、上記の係合状態を維持させる手段を施せば便利なものにできるが、ソケットレンチ300やメガネレンチ400、或いはスパナレンチ500のようなものの場合には、係合部を嵌挿孔から構成し、嵌挿孔に入れた被締付部材の外周と、嵌挿孔の内周壁とで係合させるものであるため、これらに上記の手段を施す場合には、嵌挿孔の内周壁に受容孔cを形成し、その受容孔cにコイルバネeやボールdを受容させた後、嵌挿孔の内周壁における受容孔cの周部を、嵌挿孔の内周壁側から押圧変形させ、受容孔cの先端側に径小なボール抜け止め部c1を加工成形しなければならず、加工が技術的に極めて困難になってしまうとともに、コスト高になってしまう。しかも、特にソケットレンチやメガネレンチの場合には、外壁面からネジ嵌挿孔の内壁面までの肉厚が薄いため、受容孔cを深くできず、コイルバネeを受容し難い。又、その場合に、外壁面からネジ嵌挿孔の内壁面までの肉厚を、コイルバネeを受容するために厚くすると、全体の重量が重くなってしまい、使用し難いものになってしまう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明は、以上の実情に鑑み提案されたもので、ボール抜け止め部の形成を不要とし、容易に、しかも、低コストで製作できるレンチの提供を第1の目的とする。
【0004】
本願発明は、レンチ本体の係合部の対辺寸法の長いもののみならず、対辺寸法の短いものにも適応できるレンチの提供を第2の目的とする。
【0005】
本願発明は、嵌挿孔に被締付部材を嵌挿させるだけで係合状態を維持させることができるソケットレンチやメガネレンチ等の嵌挿孔を有するレンチの提供を第3の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、以下の特徴を有するレンチを提供することにより上記課題を解決する。
本願第1の発明は、ボルトBやナットの被締付部材に係脱自在且つ回動不能に係合する係合部13、103、303、403、503が備えられる。この係合部13、103、303、403、503が、受容孔14、104、304、404、504と、受容孔14、104、304、404、504内に受容された押圧部材2、200とを備える。
この押圧部材2、200の先端側には、係合した被締付部材を押圧する押圧部32を有する当接部材3が備えられ、押圧部材2、200の後端側には、受容孔14、104、304、404、504内に固定される固定部22、42、52が備えられ、押圧部材2、200における押圧部32と固定部22、42、52との間に、弾性変形により伸縮する伸縮部24、44、54が備えられる。
この押圧部材2、200の固定部22、42、52が、受容孔14、104、304、404、504内に固定されることにより、押圧部32の先端が受容孔14、104、304、404、504内から係合部13、103、303、403、503に突出されるとともに、押圧部32が伸縮部24、44、54の弾性に抗して押圧されるに伴って受容孔14、104、304、404、504内に沈み込むようになされたレンチである。
この押圧部材2、200の固定部22、42、52が、受容孔14、104、304、404、504内に固定され、伸縮部24、44、54の先端には上記の当接部材3固定され、この受容孔14、104、304、404、504の径が当接部材3径よりも大きいものであることを特徴とする。
【0007】
本願第2の発明は、本願第1の発明に係る係合部が、嵌挿孔303、403、503から構成されることにより、嵌挿孔303、403、503内に被締付部材が係脱自在且つ回動不能に嵌挿されるようになされる。又、受容孔304、404、504は、嵌挿孔303、403、503の内壁面から径外方向に開けられたものである。
【0008】
本願第3の発明は、ボルトBに設けた係合孔B1に係脱自在且つ回動不能に係合する係合部13、103を一端側に有する棒状のレンチ本体1、100と、レンチ本体1、100の係合部13、103に設けられた受容孔14、104と、受容孔14、104内に受容された押圧部材2、200とを備える。
この押圧部材2、200の先端側には、係合したボルトBを押圧するボルト押圧部32を有する当接部材3が備えられ、押圧部材2、200の後端側に、係合部13、103の受容孔14、104内に固定される固定部22、42、52が備えられる。又、押圧部材2、200におけるボルト押圧部32と固定部22、42、52との間に、弾性変形により伸縮する伸縮部24、44、54が備えられる。
この押圧部材2、200の固定部22、42、52が係合部13、103の受容孔14、104内に固定されることにより、ボルト押圧部32の先端が受容孔14、104内から外に突出されるとともに、ボルト押圧部32が伸縮部24、44、54の弾性に抗して押圧されるに伴って係合部13、103の受容孔14、104内に沈み込むようになされたレンチである。
そして、この押圧部材2、200の固定部22、42、52が、受容孔14、104内に固定され、伸縮部24、44、54の先端には上記の当接部材3が固定され、この受容孔14、104の直径が当接部材3の直径よりも大きいものであることを特徴とするものである。
【0009】
そして、これら本願第1乃至第3の発明に係るレンチは、いずれも、押圧部材2、200の伸縮部44が、径の異なる複数の輪状部44aを有するコイルバネ41から構成されたものである。又、このコイルバネ41の複数の輪状部44aは、軸方向に順次径小のものから径大のものになるように並設されるとともに、収縮に際して輪状部44a各々の少なくとも一部が隣接する径大な輪状部44aの径内側に順次入り込み可能に形成されたものである。
【0010】
以上のように構成された本願第1〜第3の発明においては、押圧部材2、200の後端側を係合部13、103、303、403、503の受容孔14、104、304、404、504内に固定することにより、押圧部32の先端を、係合部13、103、303、403、503の受容孔14、104、304、404、504から係合部13、103、303、403、503の外周側に突出させるとともに、押圧部32を伸縮部24、44の弾性に抗して押圧されるに伴って係合部13、103、303、403、503の受容孔14、104、304、404、504内に沈み込むようにしたものとする。こうすることにより、従来のように熱処理後のレンチ本体に機械加工によってボール抜け止め部を形成する必要がなく、容易に低コストに製作できる。又、本願第2の発明のように、係合部が嵌挿孔303、403、503から構成されているソケットレンチ300やメガネレンチ400、或いはスパナレンチ500のような場合には、嵌挿孔303、403、503の内周側からボール抜け止め部を機械加工しなければならないため、その形成が技術的に困難且つめんどうなものとなるが、本願発明のように嵌挿孔303、403、503の内壁面から径外方向に開けた受容孔304、404、504の奥部に押圧部材2、200の後端側を固定すれば良く、ボール抜け止め部の形成を不要にでき、容易に低コストに製作できる。
【0011】
しかも、これらの発明にあっては、収縮に際し、輪状部44a…44a各々が隣接する後方側の径大な輪状部44a…44aの径内側に順次入り込むようにして伸縮部44を弾性変形させることができる。例えば図1(B) に示すように伸縮部24を、互いに同じ径からなる複数の輪状部24a…24aから構成した場合には、輪状部24a…24a間の隙間t…t分だけ収縮し、隣接する輪状部24a、24a同士が当接してしまうとそれ以上に収縮することができない。従って、このようなコイルバネ21では、少なくともボルト押圧部32が係合部13、103の前側面に突出した状態から受容孔14、104内に沈み込むまでの移動量に相当するだけの隙間t…tを輪状部24a…24a間に形成しておかなければならないが、この第4の発明のコイルバネ41の伸縮部44では、輪状部44a…44a間に隙間を形成しておかなくても、係合部13、103の前側面に突出したボルト押圧部32を受容孔14、104内に沈み込ませることができ、同じ径からなる複数の輪状部24a…24aから構成したコイルバネ21の伸縮部24よりも長さを短くできる。その結果、レンチ本体1における係合部13、103の受容孔14、104を深さの浅いものにでき、例えばネジ径の小さいボルトBに使用する6角棒状のレンチの場合には、係合部13、103の後面と前面との対辺寸法Lが短くて、同じ径からなる複数の輪状部24a…24aから構成したコイルバネ21を受容するための受容孔14、104を係合部13、103の前面に開けると後面側に貫通してしまったり、或いは受容孔14、104の奥端面と後面との肉厚が薄くなってしまってレンチ自体の強度が弱くなってしまうような場合でも、受容孔14、104の深さを浅くしてレンチ自体の強度を確保できる。よって、この第4発明のものは、対辺寸法Lの長い係合部13、103に適応できるとともに、同じ径からなる複数の輪状部24a…24aから構成したコイルバネ21では適応し難いような対辺寸法Lの短い係合部13、103にも適応できる。一方、輪状部44a…44aを、軸方向に順次径小のものから径大のものになるように並設した伸縮部44を有するコイルバネ41を用いることにより、ソケットレンチ300やメガネレンチ400、或いはスパナレンチ500のような場合には、受容孔304、404、504の深さを浅くして外壁面から嵌挿孔303、403、503の内壁面までの肉厚を薄くできる。これにより、全体の軽量化を図ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図を基に本願発明の一実施形態を具体的に説明する。
図1(A) は、本願発明の第1実施形態のレンチの正面図、図1(B) は、図1(A) のI −I 線断面図である。
【0013】
本願発明の第1実施形態のレンチは、レンチ本体1と、ボルト係合維持手段10とを備えている。
レンチ本体1は、全長に渡って断面六角形状の棒状体から構成され、右方側が把持部11をなし、左端側に、把持部11から下方側に折り曲げられた折り曲げ片12を備えており、全体形状がL字状を呈している。又、折り曲げ片12の下端部は、係合部13をなし、ボルトBの頭部に設けた係合孔B1(図2(A)(B)に図示)に係脱自在且つ回動不能に係合する。
【0014】
ボルト係合維持手段10は、レンチ本体1の係合部13とボルトBの係合孔B1とを係合させた状態に維持させるためのもので、レンチ本体1の係合部13に設けられた受容孔14と、受容孔14内に受容された押圧部材2とを備えている。
【0015】
受容孔14は、レンチ本体1の係合部13の前側面に、前側面から係合部13の軸芯と直交するようにして所定深さで開けられている。
【0016】
押圧部材2は、コイルバネ21と、コイルバネ21の先端(図1(B) の下方側)側に設けられた当接部材3とを備えている。コイルバネ21の後端部に、レンチ本体1の受容孔14に固定される固定部22を備え、先端側に、当接部材3を支持する当接部材支持部23を備え、固定部22と当接部材支持部23との間に伸縮部24を備えている。固定部22は、受容孔14の径よりやや径大に形成されており、受容孔14に押し入れられることにより、受容孔14の奥部の内壁面に固定されている。伸縮部24は、軸方向に、隙間t…tを隔てて軸方向に並設された同径からなる複数の輪状部24a…24aを備えている。これら輪状部24a…24aは、受容孔14の径よりやや径小に形成されており、通常状態で受容孔14の内壁面に接触しないようになされている。当接部材支持部23は、伸縮部24より径小になされており、内周側に、当接部材3を支持する。
【0017】
当接部材3は、円柱状の軸部31と、軸部31の先端側に形成された略半球状のボルト押圧部32とを備えている。そして、軸部31が、コイルバネ21の当接部材支持部23に押し入れられて固定されることにより支持されている。
【0018】
このようにしてコイルバネ21に支持された当接部材3は、通常状態でボルト押圧部32の先端部が係合部13の前側面より前方に突出しており、ボルト押圧部32が受容孔14側に押圧されると受容孔14内に沈み込むようになされている。
【0019】
この第1実施形態のレンチを使用する場合は、従来と同様に、図2(A)(B)に示すようにレンチ本体1の把持部11を把持し、係合部13を、ボルトBの係合孔B1に入れていく。その際、ボルト押圧部32が係合部13の前側面より前方に突出しているが、ボルトBの係合孔B1の内壁面に押圧されるとコイルバネ21の伸縮部24が収縮して、ボルト押圧部32が略受容孔14内に入り込む。これにより、容易に係合部13をボルトBの係合孔B1に入れることができる。係合部13をボルトBの係合孔B1に入れた後は、ボルト押圧部32が伸縮部24の弾性によってボルトBの係合孔B1の内壁面を押圧し、係合部13にボルトBを吊り下げ支持できる状態に維持する。尚、係合部13とボルトBとの係合を外す場合は、ボルトBとレンチ本体1とを、コイルバネ21の弾性力に抗して引き離せば良く、これにより、簡単に外すことができる。
【0020】
以上のように構成することにより、従来のように熱処理後におけるレンチ本体の係合部の一部を機械的に押し広げてボール抜け止め部を形成しなくて済み、製作を容易なものにできるとともに、低コストで製作できる。
【0021】
次に、第2実施形態について、図3(A)(B)に基づき説明する。
第2実施形態のレンチは、先の第1実施形態のものと同様に、全長に渡って断面六角形状の棒状体からなるレンチ本体1と、ボルト係合維持手段10としての受容孔14及び押圧部材2とを備え、又、押圧部材2は、コイルバネ41と、コイルバネ41の先端側に設けられた当接部材3とを備えており、コイルバネ41以外は、先の第1実施形態のものと同構成を採っている。
【0022】
コイルバネ41は、後端部に固定部42を、先端側に当接部材支持部43を、夫々備えているとともに、その間に伸縮部44を備えている。固定部42及び当接部材支持部43は、先の第1実施形態のものと同構成を採っているが、伸縮部44が、第1実施形態のものと異なる。この第2実施形態の伸縮部44は、軸方向に並設された複数の輪状部44a…44aを有する。又、これらの輪状部44a…44aは、先端側に行くに従い漸次径小に形成されているとともに、収縮に際して輪状部44a…44a各々が隣接する後方側の径大な輪状部44a…44aの径内側に順次入り込み可能に形成されている。この実施形態では、隣接する二つの輪状部44a、44aにおける先方側のものの外径を、後方側のものの内径より小さくなるように設定している。
【0023】
このようにして伸縮部44を形成することにより、収縮に際し、図3(B) に示すように輪状部44a…44a各々が隣接する後方側の径大な輪状部44a…44aの径内側に順次入り込むようにして伸縮部44を弾性変形させることができる。例えば先の第1実施形態のように、伸縮部24を、互いに同じ径からなる複数の輪状部24a…24aから構成した場合には、輪状部24a…24a間の隙間t…t(図1(B) に図示)分だけ収縮し、隣接する輪状部24a、24a同士が当接してしまうとそれ以上に収縮することができない。従って、このようなコイルバネ21では、少なくともボルト押圧部32が係合部13の前側面側に突出した状態から受容孔14内に沈み込むまでの移動量に相当するだけの隙間t…tを輪状部24a…24a間に形成しておかなければならないが、この第2実施形態のコイルバネ41の伸縮部44では、輪状部44a…44a間に隙間を形成しておかなくても、係合部13の前側面に突出したボルト押圧部32を受容孔14内に沈み込ませることができ、同じ径からなる複数の輪状部24a…24aから構成したコイルバネ21の伸縮部24よりも長さを短くできる。その結果、レンチ本体1における係合部13の受容孔14を深さの浅いものにでき、例えばネジ径の小さいボルトBに使用するレンチの場合には、係合部13の後面と前面との対辺寸法Lが短くて、先の第1実施形態のコイルバネ21を受容する受容孔14を係合部13の前面に開けると後面側に貫通してしまったり、或いは受容孔14の奥端面と後面との肉厚が薄くなってしまってレンチ自体の強度が弱くなってしまうような場合でも、受容孔14の深さを浅くしてレンチ自体の強度を確保できる。よって、この第2発明のものは、対辺寸法Lの長い係合部13にも適応できるとともに、先の第1実施形態のコイルバネ21では適応し難いような対辺寸法Lの短い係合部13にも適応できる点で有利である。
【0024】
尚、この第2実施形態の伸縮部44における隣接する二つの輪状部44a、44aにおける前方側の外径を、後方側の内径より小さくすることにより、収縮に際して輪状部44a…44a各々が隣接する後方側の径大な輪状部44a…44aの径内側に完全に入り込むようにしているが、この形態のものに限らず、例えば図4(A)(B)に示すように隣接する二つの輪状部44a、44aにおける前方側の外径を、後方側の外径より大きく且つ内径より小さくすることにより、収縮に際して輪状部44a…44a各々の一部が径内側に入り込むようにしても良く、この場合でも、同じ径からなる複数の輪状部24a…24aから構成したコイルバネ21の伸縮部24よりも長さを短くでき、レンチ本体1における係合部13の受容孔14を深さの浅いものにできる。又、この伸縮部44の全体を、径の異なる輪状部44a…44aを並設したものから構成しなくても、例えば径の異なる輪状部44a…44aを並設した部分と、同じ径の輪状部44a…44aを並設した部分とから構成するようにしても良く、適宜変更できる。
【0025】
又、上記の第1実施形態及び第2実施形態では、ボルト押圧部32を、コイルバネ21、41と別体の当接部材3から構成しているが、この形態のものに限らず、例えば図5に示すようにコイルバネ21の先端を湾曲状に折り曲げ成形することにより、コイルバネ21の先端の一部から一体的にボルト押圧部32を形成するようにしても良く、適宜変更し得る。また、コイルバネ21、41と別体の当接部材3から構成する場合、当接部材3の材質は、特に限定されず、金属製、合成樹脂製、合成ゴム製等から構成できる。
【0026】
次に、第3実施形態について、図6(A) に基づいて説明する。
この第2実施形態のレンチも、先の第1実施形態のものと同様に、全長に渡って断面六角形状の棒状体からなるレンチ本体1と、ボルト係合維持手段10としての受容孔14及び押圧部材2とを備えており、押圧部材2以外は、先の第1実施形態のものと同構成を採っている。
【0027】
この第2実施形態における押圧部材2は、合成ゴムから構成された弾性体51と、弾性体51の先端(図6(A) の下方側)側に設けられた当接部材3とを備えている。この当接部材3は、先の第1実施形態のものと同構成を採り、軸部31と、略半球状のボルト押圧部32とを備えている。弾性体51は、筒状を呈し、後端側に、レンチ本体1の受容孔14に固定される固定部52を備え、先端側に、当接部材3を支持する当接部材支持部53を備え、固定部52と当接部材支持部53との間に伸縮部54を備えている。固定部52は、受容孔14の径よりやや径大に形成されており、受容孔14に押し入れられることにより、受容孔14の奥部の内壁面に固定されている。伸縮部54は、固定部52から当接部材支持部53側に漸次径小になるテーパ状に形成されることにより、伸縮部54における内周と外周との間の肉厚が漸次薄くなるようになされており、軸方向の圧縮力に対して弾性変形し易いようになされている。当接部材支持部53は、内周部に、当接部材3の軸部31を支持している。
【0028】
このようにして形成された第2実施形態のレンチは、先の第1実施形態のものと同様に、係合部13を、ボルトBの係合孔B1に入れていくと、ボルト押圧部32がボルトBの係合孔B1の内壁面に押圧されて弾性体51の伸縮部54が収縮して、ボルト押圧部32が略受容孔14内に入り込み、係合部13をボルトBの係合孔B1に入れることができる。この状態で、ボルト押圧部32が伸縮部24の弾性によってボルトBの係合孔B1の内壁面を押圧し、係合部13でボルトBを吊り下げ支持できる状態に維持できる。尚、この第2実施形態では、伸縮部54の径を固定部52から当接部材支持部53側に漸次径小になるテーパ状に形成することにより、伸縮部54が伸縮に際して受容孔14の内壁面に当たらないようにしているが、例えば図6(B) に示すように伸縮部54の径を固定部52と同径にし、受容孔14における伸縮部54を受容する部分を径大にして伸縮部54が伸縮に際して受容孔14の内壁面に当たらないようにしても良い。又、この第3実施形態においても、ボルト押圧部32を弾性体51と別体の当接部材3から構成する形態のものに限らず、弾性体51と一体に形成して弾性体51の先端部をボルト押圧部32としても良く、適宜変更し得る。
【0029】
尚、上記第1実施形態〜第3実施形態では、係合部13の外周形状を、軸方向に直角な横断面形状が6角形状で、軸方向に沿う縦断面形状が平面状に形成したものとしているが、この形態のものに限らず、例えば図7(A)(B)に示すように係合部13を、軸方向に直角な横断面形状が6角形状で、軸方向に沿う縦断面形状が円弧状にした、いわゆるボールレンチに形成しても良く、適宜変更し得る。
【0030】
又、第1実施形態〜第3実施形態では、コイルスプリング21、41や弾性体51を、受容孔14に押し入れることにより固定しているが、この固定手段は、この形態のものに限らず、例えば図17に示すように、受容孔14の奥部に、コイルスプリング21のピッチと同じネジピッチの雌ねじ14aを刻設しておき、コイルスプリング21を雌ねじ14aに沿わせて螺合させるようにしてネジ形式により固定し、或いは、接着剤により、更には他の部材を介して固定する等、適宜変更できる。又、コイルスプリング21、41と当接部材3との取り付けについても、当接部材3の軸部31をコイルスプリング21、41の内周部に押し入れるものに限らず、例えば図17に示すように、当接部材3の軸部31に、コイルスプリング21のピッチと同じネジピッチの雄ねじ31aを刻設しておき、当接部材3の軸部31をコイルスプリング21、41の内周部に螺合させるようにしてネジ形式により固定しても良い。
【0031】
また、上記第1実施形態〜第3実施形態では、押圧部材2を係合部13に一つだけ設けたものとしているが、押圧部材2を2つ以上設けたものとしても良く、適宜変更し得る。
【0032】
又、本願発明でいうレンチには、上述したような手で操作する手動用のレンチの他、電機式又はエア式の回転工具に、ビットとして使用されるものも含むものである。詳しくは、このビット100としてのレンチ100は、図8に示すように、真っ直ぐな断面6角形状の棒状体からなるレンチ本体101と、ボルト係合維持手段10とを備えており、レンチ本体101の後端側は、回転工具110に設けられた嵌挿孔111に嵌挿されて回動不能に取り付けられる工具取付用部102をなし、レンチ本体101の前端側は、係合部103をなす。ボルト係合維持手段10は、レンチ本体101の係合部103に設けられた受容孔104と、受容孔104内に受容された押圧部材200とを備えている。これらの受容孔104及び押圧部材200は、先の実施形態のものと同構成を採る。尚、この場合においてもレンチ本体101の係合部103として、図7(A)(B)に示したようなボールレンチに形成しても良く、適宜変更し得る。
【0033】
次に、本願発明の第4実施形態について、図9(A)(B)(C) 及び図10に基づき説明する。
本願発明の第4実施形態のレンチは、ソケットレンチ300として実施されており、レンチ本体301と、係合維持手段10とを備えている。
【0034】
レンチ本体301は、円柱状のものから構成されており、下端側に、下面から上方側に所定深さで形成された係合部としての嵌挿孔303が備えられ、上端側に、上面から下方側に所定深さで形成された連結孔304が備えられている。
【0035】
嵌挿孔303は、内周形状が断面正6角形状に形成され、ボルトの頭部やナットを、係脱自在且つ回転不能に嵌挿し得るようになされている。連結孔304は、内周形状が断面4角形状に形成されており、このソケットレンチ300の使用に際し、ソケットレンチ300とは別体からなる操作把持部材310の先端に形成された4角柱状の連結部311に係脱自在且つ回転不能に嵌挿されて連結される。
【0036】
係合維持手段10は、嵌挿孔303に嵌挿したボルトBやナットの被締付部材を係合させた状態に維持させておくためのもので、嵌挿孔303の内壁面に形成された受容孔314と、受容孔314内に受容された押圧部材2とを備えている。
【0037】
受容孔314は、嵌挿孔303の内壁面から径外方向に所定深さで形成されている。本実施形態では、この受容孔314の形成を、次のようにして行っている。まず、嵌挿孔303を開けるドリルDを、レンチ本体301における図10の右側外周から嵌挿孔303に貫通させるようにして貫通孔315を形成し、更に、その貫通孔315から嵌挿孔303に入ったドリルDの先端を、貫通孔315と対向する嵌挿孔303の内壁面に当てるようにして受容孔314を内壁面から径外方向に所定深さで形成する。従って、この第4実施形態のレンチ本体301には、受容孔314と対向する位置に貫通孔315が形成されたものとなっている。
【0038】
押圧部材2は、コイルバネ41と、コイルバネ41の先端側に設けられた当接部材3とを備えており、これらのコイルバネ41と当接部材3とは、図3(A)(B)に示した第2実施形態のものと同構成を採っている。詳しくは、コイルバネ41は、後端部に固定部42を、先端側に当接部材支持部43を、その間に伸縮部44を備えており、又、伸縮部44は、先端側に行くに従い漸次径小になるようにして軸方向に並設された複数の輪状部44a…44aを備え、収縮に際して輪状部44a…44a各々が隣接する後方側の径大な輪状部44a…44aの径内側に順次入り込み可能に形成されている(図3(A)(B)参照)。この第4実施形態におけるソケットレンチ300のコイルバネ41として、軸方向の先端側に行くに従い漸次径小になるように並設した複数の輪状部44a…44aからなるものを使用しているのは、上述したように輪状部44a…44a間に隙間を形成しておかなくても伸縮部44を軸方向に伸縮させることができ、コイルバネ41の長さを短くできるため、受容孔314の深さを浅いものにして、レンチ本体301の外周から嵌挿孔303までの肉厚を薄くできるからである。一方、当接部材3は、軸部31と、略半球状の押圧部32とを備え、軸部31が、コイルバネ41の当接部材支持部43に押し入れられて固定されることにより支持されている。
【0039】
そして、これらのコイルバネ41及びコイルバネ41に支持された押圧部32は、貫通孔315から嵌挿孔303を通して受容孔314に押し入れられ、コイルバネ41の固定部42が受容孔314の奥部に固定されることにより、通常状態で押圧部32の先端部が嵌挿孔303内に突出している。そして、ソケットレンチ300の嵌挿孔303に、例えばボルトBを嵌挿させていくと、押圧部32がボルトBの外周に押圧されてコイルバネ41の付勢力に抗して受容孔314内に沈み込んでボルトBを嵌挿孔303に嵌挿できるとともに、その嵌挿したボルトBを、押圧部32がコイルバネ41の付勢力によって押圧し、係合状態に維持できる。
【0040】
尚、この第4実施形態では、受容孔314の形成や受容孔314へのコイルバネ41等の収納を、貫通孔315を介して行っているが、この形態のものに限らず、例えば図11に示すように受容孔314を、レンチ本体301の外周から嵌挿孔303に貫通させて形成するとともに、レンチ本体301の外周側からネジ蓋320によって受容孔314を塞ぐようにしても良い。又、図10中に点線で示すようにレンチ本体301の嵌挿孔303内における係合維持手段10の奥部側に、ボルトBやナットの被締付部材の上面を突き当てる突き当て用部材303aを設けるようにしても良い。例えば頭部の厚さの薄いボルトBを嵌挿孔303内に嵌挿すると、ボルトBの頭部が係合維持手段10を通り越して嵌挿孔303の奥まで入り込んでしまう場合があるが、このような突き当て用部材303aを設けておくことによって、ボルトBの頭部やナットの上面を突き当て用部材303aに突き当たるまで嵌挿孔303内に入れれば常時係合維持手段10をボルトBやナットの外周に当接させることができる。
【0041】
又、第4実施形態では、レンチ本体301に連結孔303を設けたソケットレンチとし、使用に際して、連結孔303を介して別体の操作把持部材310に連結されるものとしているが、この形態のもの限らず、例えば図12(A) に示すように操作把持部材310の両端夫々に又は一方に、上記係合維持手段10を有するレンチ本体301、301を取り外し不能且つ回動自在に取付けた、所謂ボックスレンチ( 図12(A) では両端に設けたものを図示) や、図12(B)(C)に示すように操作把持部材310の両端夫々に又は一方に、上記係合維持手段10を有するレンチ本体301、301を固定したボックスレンチとして実施しても良く、適宜変更して実施できる。また、連結孔303を設ける場合、これに連結する部材は手動用の操作把持部材310に限らず、動力用の工具であっても良く、適宜変更できる。尚、これらにも、図11に示したような突き当て用部材303aを設けるようにしても良い。
【0042】
また、ソケットレンチ300の場合は、レンチ本体301における嵌挿孔303と外周までの肉厚が薄いために、受容孔314が浅いものになり、長さの短いコイルバネ41を使用しなければならず、その結果、コイルバネ41の伸縮し得る距離が短くなるとともに、弾性力も弱いものになる恐れがある。そこで、次のように構成した係合維持手段80を有するソケットレンチ9も有効である。このソケットレンチ9は、図18(A)(B)(C) 及び図19(A)(B)に示すようにレンチ本体90と、係合維持手段80とを備えている。レンチ本体90は、円柱状のものから構成されており、下部側の外周には、周方向に沿う嵌挿溝95が備えられている。又、下面側には、下面から上方側に所定深さで形成された嵌挿孔91が備えられ、上面側に、上面から下方側に所定深さで形成された連結孔92が備えられている。
【0043】
嵌挿孔91は、内周形状が断面正6角形状に形成され、ボルトの頭部やナットを、係脱自在且つ回転不能に嵌挿し得るようになされている。連結孔92は、内周形状が断面4角形に形成されており、このソケットレンチ9の使用に際し、ソケットレンチ9とは別体からなる操作把持部材98の先端に形成された4角柱状の連結部98aに係脱自在且つ回転不能に嵌挿されて連結される。
【0044】
係合維持手段80は、レンチ本体90に設けられた摺動用孔94と、当接部材81と、当接部材81を付勢する付勢部材82とを備えている。摺動用孔94は、レンチ本体90の嵌挿溝95内の外周から径方向に開けられて嵌挿孔91に貫通されている。又、摺動用孔94における嵌挿孔91側の先端側には、段部94aを介して径小に形成された押圧部嵌挿用孔94bが備えられている。
【0045】
当接部材81は、軸部81bと、軸部81bの先端に設けられた押圧部81aを備えている。軸部81bは、摺動用孔94の押圧部嵌挿用孔94bの径より径大に形成されている。押圧部81aは、ボルトやナットの被締付部材に当接する部分で、摺動用孔94の当接部嵌挿用孔94bの径より径小に形成されている。そして、当接部材81がレンチ本体90の摺動用孔94に、レンチ本体90の外周側から摺動自在に入れられる。摺動用孔94に入った当接部材81は、軸部81bの先端が段部94aに当接するまで入って止まり、それ以上嵌挿孔91側に入り込むことがない。又、この当接部材81が段部94aに当接した状態で、当接部材81の押圧部81aが当接部嵌挿用孔94bから嵌挿孔91内に突出した状態になる。
【0046】
付勢部材82は、当接部材81を径内方向の嵌挿孔91側に付勢するためのもので、開口部82aを有する環状の板バネ82から構成されている。そして、この板バネ82は、レンチ本体90の嵌挿溝95に嵌め入れられることにより、レンチ本体90の外周に取り付けられる。又、このレンチ本体90への取り付けに伴い、図19(A) に示すように摺動用孔94に入った当接部材81の後端に当接して当接部材81を径内側の嵌挿孔91側に付勢し、当接部材81を常時、段部94aに当接した状態にしている。
【0047】
このように構成されたソケットレンチ9の嵌挿孔91に、例えばボルトBを嵌挿させていくと、図19(B) に示すように押圧部81aがボルトBの外周に押圧される。この押圧により、板バネ82が当接部材81に内周側から押圧されて開口部82aの開口幅を大きくしながら径大に弾性変形し、当接部材81が摺動用孔94内をレンチ本体90の外周側に摺動する。これにより、当接部材81の押圧部81aが摺動用孔94内に略沈み込んでボルトBを嵌挿孔91に嵌挿できるとともに、その嵌挿したボルトBを、当接部81が板バネ82の付勢力によって押圧し、係合状態に維持できる。
【0048】
尚、付勢部材82は、環状の板バネ82から構成するものに限らず、輪状のゴムから構成しても良い。又、図20に示すように当接部材81と付勢部材82とを、ボルト等の取付手段によって取り付けておいても良い。当接部材81を付勢部材82に取り付ける場合は、当接部材81の押圧部81aだけを当接部嵌挿用孔94bから嵌挿孔91内に突出した状態に維持できるため、摺動用孔94に段部94aを設けなくても良く、摺動用孔94の形成を容易なものにできる。また、当接部材81は、球状体のものから構成しても良い。
【0049】
又、ソケットレンチ9に、係合維持手段80と共に、係合維持手段80を解除した状態にしておく係合維持手段解除機構85を設けたものにしても良い。詳しくは、図21(A)(B)に示すように、このソケットレンチ9は、レンチ本体90と、係合維持手段80と、係合維持手段解除機構85とを備えている。レンチ本体90は、図18(A)(B)(C) に示したものと同様のもので、外周に嵌挿溝95が備えられ、下面側には、ボルトの頭部やナットを係脱自在且つ回転不能に嵌挿し得る断面正6角形状の嵌挿孔91が備えられ、上面側には、図示しないが連結孔が備えられている。
【0050】
係合維持手段80は、レンチ本体90に設けられた摺動用孔94と、当接部材81と、当接部材81を付勢する付勢部材82とを備えている。摺動用孔94は、図18(A)(B)(C) に示したものと同構成を採っている。
【0051】
当接部材81は、この実施形態では、球状体から構成され、先端側の一部が押圧部81aをなしている。この当接部材81の径は、摺動用孔94の径より小さく、当接部嵌挿用孔94bより大きく形成されている。そして、当接部材81がレンチ本体90の摺動用孔94に、レンチ本体90の外周側から移動可能に入れられる。摺動用孔94に入った当接部材81は、段部94aに当接するまで入って止まり、その状態で当接部材81の先端一部が当接部嵌挿用孔94bから嵌挿孔91内に突出した状態になる。
【0052】
付勢部材82は、図22に示すように開口部82aを有する環状の板バネ82から構成されている。又、この板バネ82の側面に、逃がし用孔82bが穿設されている。この逃がし用孔82bは、摺動用孔94内の当接部材81の一部を受容して当接部材81を摺動用孔94内の径外側に逃がしためのもので、当接部材81の径より径小に形成されている。そして、この板バネ82は、レンチ本体90の嵌挿溝95に周方向に回動自在に嵌め入れられるようにしてレンチ本体90の外周に取り付けられる。
【0053】
そして、このソケットレンチ9の係合維持手段80によってボルト等の被締付部材を係合させる場合は、図21(A) に示すように板バネ82の逃がし用孔82bを、レンチ本体90の摺動用孔94からずらした位置にしておく。これにより、板バネ82が摺動用孔94に入った当接部材81の後端に当接して当接部材81を径内側の嵌挿孔91側に付勢し、当接部材81を常時、段部94aに当接させて当接部材81の先端一部をレンチ本体90の嵌挿孔91に突出させた状態にできる。従って、この状態からレンチ本体90の嵌挿孔91に、例えばボルトBを嵌挿させていけば、図21(B) に示すようにレンチ本体90の嵌挿孔91に突出した当接部材81の先端がボルトBの外周に押圧され、当接部材81が摺動用孔94内をレンチ本体90の外周側に摺動する。これにより、当接部材81が摺動用孔94内に略沈み込んでボルトBを嵌挿孔91に嵌挿できるとともに、その嵌挿したボルトBを、当接部81が板バネ82の付勢力によって押圧し、係合状態に維持できる。
【0054】
一方、ソケットレンチ9の係合維持手段80を使用しない場合は、板バネ82をレンチ本体90に対して回動させ、図23(A) に示すように板バネ82の逃がし用孔82bと、レンチ本体90の摺動用孔94とを合致させる。これにより、当接部材81は、先端側が摺動用孔94の段部94aに当接してレンチ本体90の嵌挿孔91に突出した図23(A) に示す状態から、図23(B) に示すように当接部材81の後端側が逃がし用孔82bに入り込んで先端側が摺動用孔94内に入り込むまでの範囲を自在に移動する。従って、当接部材81がレンチ本体90の嵌挿孔91に突出した状態から、レンチ本体90の嵌挿孔91に、ボルトBを嵌挿させていくと、図23(B) に示すようにレンチ本体90の嵌挿孔91に突出した当接部材81の先端がボルトBの外周に押圧され、当接部材81が摺動用孔94内をレンチ本体90の外周側に逃げる。又、その状態では、当接部材81は、逃がし用孔82bに入り込んで板バネ82に付勢されていないため、ボルトBを押圧することがない。このように構成することにより、係合維持手段80によってボルト等の被締付部材を係合させると被締付部材を締緩する操作が却って不便になるような場合は、係合維持手段80を解除した状態して使用できる。尚、この実施形態においても、当接部材81を球状体から構成する形態のものに限らず、例えば図19(A)(B)に示すような軸部81を有するものから構成するとともに、軸部81の後端側を半球状に形成したものを使用できる。
【0055】
以上、この係合維持手段80を有するソケットレンチ9は、レンチ本体90と、係合維持手段80とを備え、レンチ本体90は、ボルトの頭部やナットを係脱自在且つ回転不能に嵌挿し得る嵌挿孔91を備え、係合維持手段80は、レンチ本体90に設けられた摺動用孔94と、先端に押圧部81aを有する当接部材81と、当接部材81を付勢する付勢部材82とを備え、摺動用孔94がレンチ本体90の外周から嵌挿孔91に貫通され、当接部材81が、摺動用孔94内に摺動自在に配位されることにより、当接部材81の押圧部81aが嵌挿孔91内に出没可能とされ、付勢部材82が、レンチ本体90の摺動用孔94における外周側に取り付けられることにより、付勢部材82が当接部材81をレンチ本体90の外周側から嵌挿孔91側に付勢し、この付勢によって当接部材81の押圧部81aが嵌挿孔91内に突出されるとともに、付勢部材82の付勢力に抗して摺動用孔94内に沈み込むようになされたものである。又、この付勢部材82は、開口部82aを有する環状の板バネ82から構成されたものである。更に、上記ソケットレンチ9には、係合維持手段80を解除した状態にしておく係合維持手段解除機構85を設けたものである。また、この係合維持手段解除機構85は、レンチ本体90の外周側に周方向に回動可能に取り付けられた板バネ82に穿設された逃がし用孔82bを備えたものであり、この逃がし用孔82bが、板バネ82のレンチ本体90に対する回動操作に伴って、レンチ本体90の摺動用孔94に合致されることにより、摺動用孔94内の当接部材81の後端一部が逃がし用孔82bに入り込んで当接部材81の先端が摺動用孔94内に自在に沈み込み可能とされ、この沈み込みによって、当接部材81とボルト等の被締付部材とを係合不能状態にしておくことができるものである。以上が、板バネ82を設けた係合維持手段80を有するソケットレンチ9の説明である。
【0056】
次に、図13及び図14に戻って、本願発明の第5実施形態について説明する。
本願発明の第5実施形態のレンチは、メガネレンチ400として実施されている。このメガネレンチ400は、レンチ本体401と、係合維持手段10とを備えている。
【0057】
レンチ本体401は、長尺板状の操作把持部410と、操作把持部410の左端側に形成された係合部としての嵌挿孔403とが備えられている。この嵌挿孔403は、内周形状が断面正12角形状に形成され、ボルトの頭部やナットを係脱自在且つ回転不能に嵌挿し得るようになされている。
【0058】
係合維持手段10は、先の第4実施形態のものと同構成を採る。詳しくは、貫通孔415を介して嵌挿孔403の内壁面に形成された受容孔414と、受容孔414内に受容された押圧部材2とを備えている。押圧部材2は、先端側に行くに従い漸次径小になるようにして軸方向に並設された複数の輪状部44a…44aからなる伸縮部44と固定部42と当接部材支持部43とを有するコイルバネ41と、コイルバネ41の当接部材支持部43に支持された軸部31と押圧部32とを有する当接部材3とを備えている。この第5実施形態におけるメガネレンチ400のコイルバネ41として、軸方向の先端側に行くに従い漸次径小になるように並設した複数の輪状部44a…44aからなるものを使用しているのも、輪状部44a…44a間に隙間を形成しておかなくても伸縮部44を軸方向に伸縮させることができ、コイルバネ41の長さを短くできるため、受容孔314の深さを浅いものにして、レンチ本体301の外周から嵌挿孔303までの肉厚を薄くできるからである。そして、これらのコイルバネ41及びコイルバネ41に支持された押圧部32は、貫通孔415を介して受容孔414に押し入れられ、コイルバネ41の固定部42が嵌挿孔403の奥部に固定されることにより、通常状態で押圧部32の先端部が嵌挿孔403内に突出している。そして、このメガネレンチ400の嵌挿孔403に、例えばボルトBを嵌挿させていくと、押圧部32がボルトBの外周に押圧されてコイルバネ41の付勢力に抗して受容孔414内に沈み込んでボルトBを嵌挿孔403に嵌挿できるとともに、その嵌挿したボルトBを、押圧部32がコイルバネ41の付勢力によって押圧し、係合状態に維持できる。
【0059】
尚、第5実施形態では、操作把持部410の一方側に嵌挿孔403を設けたメガネレンチ400としているが、例えば操作把持部410の両側に嵌挿孔403、403を夫々設けたものして実施でき、適宜変更し得る。又、このメガネレンチ400の嵌挿孔403にも、図14中に点線で示すように、突き当て用部材403aを設けるようにしても良く、こうすることにより、ボルトBの頭部やナットの上面を突き当て用部材403aに突き当たるまで嵌挿孔403内に入れれば常時係合維持手段10をボルトBやナットの外周に当接させることができ、ボルトBやナットが嵌挿孔403を通り抜け当接した係合維持手段10から外れるようなことを防止できる。
【0060】
又、上記第4実施形態及び第5実施形態における嵌挿孔303、403の形状は、ボルトの頭部やナットを係脱自在且つ回転不能に嵌挿し得る形状であれば良く、断面6角形状、断面12角形状、断面24角形状等、適宜変更し得る。
【0061】
次に、本願発明の第6実施形態について、図15及び図16に基づき説明する。
第6実施形態のレンチは、スパナレンチ500として実施されており、このスパナレンチ500は、レンチ本体501と、係合維持手段10とが備えられている。
【0062】
レンチ本体501は、長尺板状の操作把持部510と、操作把持部510の左端側に形成された係合部としての嵌挿孔503が備えられている。この嵌挿孔503は、左方側にボルトの頭部やナットを出し入れ可能な開口部503aを備えており、開口部503aを介して、ボルトの頭部やナットの側方側から嵌挿孔503にボルトの頭部やナットを係脱自在且つ回転不能に嵌挿し得るようになされている。
【0063】
係合維持手段10は、先の第4、第5実施形態のものと同構成を採っており、図14及び図15に示すように貫通孔515を介して嵌挿孔503の内壁面に形成された受容孔514と、受容孔514内に受容された押圧部材2とを備えている。押圧部材2は、先端側に行くに従い漸次径小になるようにして軸方向に並設された複数の輪状部44a…44aからなる伸縮部44と、固定部42と、当接部材支持部43とを有するコイルバネ41と、コイルバネ41の当接部材支持部43に支持された軸部31と押圧部32とを有する当接部材3とを備えている。尚、この第6実施形態においても、軸方向の先端側に行くに従い漸次径小になるように並設された複数の輪状部44a…44aを備えたものを使用しているのは、第4実施形態や第5実施形態の場合と同じ理由からである。そして、これらのコイルバネ41及びコイルバネ41に支持された押圧部32は、貫通孔515を介して受容孔514に押し入れられ、コイルバネ41の固定部42が嵌挿孔503の奥部に固定されることにより、通常状態で押圧部32の先端部が嵌挿孔503内に突出している。そして、このスパナレンチ500の嵌挿孔503に、例えばボルトBを嵌挿させていくと、押圧部32がボルトBの外周に押圧されてコイルバネ41の付勢力に抗して受容孔414内に沈み込んでボルトBを嵌挿孔503に嵌挿できるとともに、その嵌挿したボルトBを、押圧部32がコイルバネ41の付勢力によって押圧し、係合状態に維持できる。
【0064】
尚、この第6実施形態では、操作把持部510の一方に嵌挿孔501を設けたスパナレンチとしているが、例えば操作把持部510の両側各々に嵌挿孔501、501を設けたスパナレンチであっても良く、或いは内幅L1を自在に調整可能にした、所謂モンキーレンチとして実施することもでき、適宜変更できる。以上が、第6実施形態の説明である。
【0065】
尚、第4実施形態〜第6実施形態では、軸方向の先端側に行くに従い漸次径小になるように並設した複数の輪状部44a…44aからなる伸縮部44を有するコイルスプリング41を使用しているが、図1(B) に示すコイルスプリング21や図4(A)(B)に示すコイルスプリング41、又は、図5に示すコイルスプリング21、或いは図6(A)(B)に示す弾性体51を使用することもでき、適宜変更できる。ただし、図1(B) や図5に示すような同径の複数の輪状部24a…24aからなる伸縮部24を有するコイルバネ21や、図6(A)(B)に示す弾性体51を使用する場合は、軸方向の先端側に行くに従い漸次径小になるように並設した複数の輪状部44a…44aからなる伸縮部44を有するコイルスプリング41に比して全長が長くなるため、深さの深い受容孔314、414、514を形成しなければならず、その結果、レンチ本体301、401、501の外周から嵌挿孔303、403、503までの肉厚の厚いものになり、軽量化を図れなくなってしまう。従って、このような点から、軸方向の先端側に行くに従い漸次径小になるように並設した複数の輪状部44a…44aからなる伸縮部44を有するコイルスプリング41を使用するのが好ましい。
【0066】
又、第4実施形態〜第6実施形態においても、コイルスプリング41を受容孔314、414、514に押し入れることにより固定する形態のものに限らず、例えば図17に示したように、受容孔の奥部に、コイルスプリングのピッチと同じネジピッチの雌ねじを刻設しておき、コイルスプリングを雌ねじに沿わせて螺合させるようにしてネジ形式により固定し、或いは、接着剤により、更には他の部材を介して固定する等、適宜変更できる。又、コイルスプリングと当接部材との取り付けについても、当接部材の軸部をコイルスプリングの内周部に押し入れるものに限らず、例えば図17に示すように、当接部材の軸部に、コイルスプリングのピッチと同じネジピッチの雄ねじを刻設しておき、当接部材の軸部をコイルスプリングの内周部に螺合させるようにしてネジ形式により固定するようにしても良く、適宜変更できる。
【0067】
また、上記第4実施形態〜第6実施形態においても、押圧部材2を嵌挿孔303、403、503に一つだけ設けたものとしているが、押圧部材2を2つ以上設けたものとしても良く、適宜変更し得る。又、第4〜第6実施形態における当接部材3の材質についても、特に限定されず、金属製、合成樹脂製、合成ゴム製等を使用できる。
【0068】
本願発明のレンチは、上記実施形態で例示した6角棒状のレンチ、ソケットレンチ、メガネレンチ、スパナレンチに限らず、例えば一端側にソケットレンチを設け、他端側にスパナレンチ又はメガネレンチを設けてソケットレンチと、スパナレンチ又はメガネレンチとを組み合わせたもの、或いは、一端側にスパナレンチを設け、他端側にメガネレンチを設けてスパナレンチとメガネレンチとを組み合わせたもの、その他、これらに類似するもの等、ボルトやナットの被締付部材を締緩するのに使用するレンチに実施でき、適宜変更して使用できるものである。
【0069】
【発明の効果】
以上、本願第1〜第3の発明は、押圧部材2、200の後端側を係合部13、103、303、403、503の受容孔14、104、304、404、504内に固定するため、従来のように熱処理後のレンチ本体に機械加工によってボール抜け止め部を形成する必要がなく、容易に低コストに製作できる。又、本願第2の発明のように、係合部が嵌挿孔303、403、503から構成されているソケットレンチ300やメガネレンチ400、或いはスパナレンチ500のような場合でも、嵌挿孔303、403、503の内壁面から径外方向に開けた受容孔304、404、504の奥部に押圧部材2、200の後端側を固定すれば良く、ボール抜け止め部の形成を不要にでき、容易に低コストに製作できる。
【0070】
しかも、これらの発明は、収縮に際し、輪状部44a…44a各々が隣接する後方側の径大な輪状部44a…44aの径内側に順次入り込むようにして伸縮部44を弾性変形させることができ、同じ径からなる複数の輪状部24a…24aから構成したコイルバネ21の伸縮部24よりも長さを短くできる。これにより、レンチ本体1における係合部13の受容孔14を深さの浅いものにでき、ねじ径の小さいボルトに係合させる対辺寸法Lの短い係合部13にもボルト係合維持手段10を形成できる。一方、輪状部44a…44aを、軸方向に順次径小のものから径大のものになるように並設した伸縮部44を有するコイルバネ41を用いることにより、ソケットレンチ300やメガネレンチ400、或いはスパナレンチ500のような場合には、受容孔304、404、504の深さを浅くでき、外壁面から嵌挿孔303、403、503の内壁面までの肉厚を薄くできる。これにより、全体の軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A) は、本願発明のレンチの第1実施形態の正面図、 (B)は、図1(A) のI −I 線断面図である。
【図2】 (A) は、第1実施形態のレンチの係合部を、ボルトの係合孔に係合させた状態の正面図、(B) は、図2(A) のII−II線断面図である。
【図3】 (A) は、本願発明のレンチの第2実施形態の断面図、 (B)は、第2実施形態のレンチの係合部を、ボルトの係合孔に係合させた状態の断面図である。
【図4】 (A) は、第2実施形態におけるコイルバネの他の実施形態を示す断面図、 (B)は、その第2実施形態におけるコイルバネの他の実施形態を、ボルトの係合孔に係合させた状態の断面図である。
【図5】ボルト押圧部の他の実施形態を示す断面図である。
【図6】 (A) は、本願発明のレンチの第3実施形態の断面図、 (B)は、第3実施形態のにおける弾性体の他の実施形態の断面図である。
【図7】 (A) は、レンチ本体の係合部の他の実施形態を示す正面図、 (B)は、図7(A) のVII −VII 線断面図である。
【図8】レンチの他の実施形態を示す正面図である。
【図9】本願発明の第4実施形態のソケットレンチに係り、(A) は、その側面図、 (B)は、その正面図、(C) は、底面図である。
【図10】図9(C) のX −X 線断面図である。
【図11】第4実施形態のソケットレンチにおける受容孔にネジ蓋を設けた場合の断面図である。
【図12】 (A) は、ソケットレンチの他の実施形態の側面図、 (B)は、ソケットレンチの更に他の実施形態の側面図、(C) は、ソケットレンチの更に他のもう一つの実施形態の側面図である。
【図13】本願発明の第5実施形態のメガネレンチの平面図である。
【図14】図13のIV−IV線断面図である。
【図15】本願発明の第6実施形態のスパナレンチの平面図である。
【図16】図15のVI−VI線断面図である。
【図17】コイルバネと、受容孔及び当接部材とをネジ形式により固定した状態の要部拡大断面図である。
【図18】板バネを設けた係合維持手段を有するソケットレンチの説明図に係り、(A) は、その平面図、(B) は、その正面図、(C) は、その底面図である。
【図19】 (A) は、図18のVIII−VIII線断面図、(B) は、被締付部材を嵌挿孔に入れた状態の断面図である。
【図20】板バネを設けた係合維持手段を有するソケットレンチの他の実施形態の断面図である。
【図21】板バネを設けた係合維持手段を有するソケットレンチの更に他の実施形態の説明図に係り、(A) は、その断面図、(B) は、被締付部材を嵌挿孔に入れた状態の断面図である。
【図22】板バネを設けた係合維持手段を有するソケットレンチの他の実施形態における板バネの斜視図である。
【図23】 (A) は、板バネを設けた係合維持手段を有するソケットレンチの他の実施形態における板バネの逃がし用孔とレンチ本体の摺動用孔とを合致させた状態の断面図、(B) は、その逃がし用孔と摺動用孔とを合致させた状態で、被締付部材を嵌挿孔に入れた状態の断面図である。
【図24】 (A) は、従来例の正面図、(B) は、図24(A) のIX−IX線断面図である。
【符号の説明】
1…レンチ本体、2…押圧部材、3…当接部材、51…弾性体、13、、103、303、403、503…係合部、14、104、304、404、504…受容孔、21、41…コイルバネ、22、42、52…固定部、23、43、53…当接部材支持部、24、44、54…伸縮部、32…押圧部、100…ビット、300…ソケットレンチ、400…メガネレンチ、500…スパナレンチ、B…ボルト、B1…係合孔

Claims (3)

  1. ボルト(B) やナットの被締付部材に係脱自在且つ回動不能に係合する係合部(13)(103)(303)(403)(503)が備えられ、この係合部(13)(103)(303)(403)(503)が、受容孔(14)(104)(304)(404)(504)と、受容孔(14)(104)(304)(404)(504)内に受容された押圧部材(2)(200)とを備え、
    この押圧部材(2)(200)の先端側には、係合した被締付部材を押圧する押圧部(32)を有する当接部材(3) が備えられ、押圧部材(2)(200)の後端側には、受容孔(14)(104)(304)(404)(504)内に固定される固定部(22)(42)(52)が備えられ、押圧部材(2)(200)における押圧部(32)と固定部(22)(42)(52)との間に、弾性変形により伸縮する伸縮部(24)(44)(54)が備えられ、
    押圧部(32)の先端が受容孔(14)(104)(304)(404)(504)内から外に突出されるとともに、押圧部(32)が伸縮部(24)(44)(54)の弾性に抗して押圧されるに伴って受容孔(14)(104)(304)(404)(504)内に沈み込むようになされたレンチにおいて、
    この押圧部材(2)(200)の固定部(22)(42)(52)が、受容孔(14)(104)(304)(404)(504)内に固定され、
    伸縮部(24)(44)(54)の先端には上記の当接部材(3)が固定され、
    この受容孔(14)(104)(304)(404)(504)の径が当接部材(3)の径よりも大きいものであり、
    押圧部材 (2)(200) の伸縮部 (44) が、径の異なる複数の輪状部 (44a) を有するコイルバネ (41) から構成されたものであり、このコイルバネ (41) の複数の輪状部 (44a) が、軸方向に順次径小のものから径大のものになるように並設されるとともに、収縮に際して輪状部 (44a) 各々の少なくとも一部が隣接する径大な輪状部 (44a) の径内側に順次入り込み可能に形成されたものであることを特徴とすることを特徴とするレンチ。
  2. 上記係合部が、嵌挿孔(303)(403)(503) から構成されることにより、嵌挿孔(303)(403)(503) 内に被締付部材が係脱自在且つ回動不能に嵌挿されるようになされ、受容孔(304)(404)(504) が、嵌挿孔(303)(403)(503) の内壁面から径外方向に開けられたものであることを特徴とする請求項1記載のレンチ。
  3. ボルト(B) に設けた係合孔(B1)に係脱自在且つ回動不能に係合する係合部(13)(103) を一端側に有する棒状のレンチ本体(1)(100)と、レンチ本体(1)(100)の係合部(13)(103) に設けられた受容孔(14)(104)と、受容孔(14)(104)内に受容された押圧部材(2)(200)とを備え、
    この押圧部材(2)(200)の先端側には、係合したボルト(B) を押圧するボルト押圧部(32) を有する当接部材(3) が備えられ、押圧部材(2)(200)の後端側には、係合部(13)(103) の受容孔(14)(104) 内に固定される固定部(22)(42)(52)が備えられ、押圧部材(2)(200)におけるボルト押圧部(32)と固定部(22)(42)(52)との間に、弾性変形により伸縮する伸縮部(24)(44)(54)が備えられ、
    ボルト押圧部(32)の先端が受容孔(14)(104)内から外に突出されるとともに、ボルト押圧部(32)が伸縮部(24)(44)(54)の弾性に抗して押圧されるに伴って係合部(13)(103) の受容孔(14)(104) 内に沈み込むようになされたものであることを特徴とするレンチにおいて、
    この押圧部材(2)(200)の固定部(22)(42)(52)が、受容孔(14)(104)内に固定され、
    伸縮部(24)(44)(54)の先端には上記の当接部材(3)が固定され、
    この受容孔(14)(104)の直径が当接部材(3)の直径よりも大きいものであり、
    押圧部材 (2)(200) の伸縮部 (44) が、径の異なる複数の輪状部 (44a) を有するコイルバネ (41) から構成されたものであり、このコイルバネ (41) の複数の輪状部 (44a) が、軸方向に順次径小のものから径大のものになるように並設されるとともに、収縮に際して輪状部 (44a) 各々の少なくとも一部が隣接する径大な輪状部 (44a) の径内側に順次入り込み可能に形成されたものであることを特徴とするレンチ。
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