JP4616476B2 - 吸入器 - Google Patents
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Description
(技術分野)
本発明は、吸入による薬物の送達のための吸入器に関し、特に呼吸作動性の吸入器に関するが、それに限るものではない。
【0002】
(背景技術)
吸入器は、一般に広範囲に及ぶ薬物の送達に使用されている。吸入器は、圧迫により作動してマウスピースから薬物の1回用量を送達する薬物のカニスタを保持している。吸入器には、カニスタを圧迫に対する作動機構が設置され得る。これは、マウスピースでの吸入に応じてカニスタを作動するようにされた呼吸作動性の機構であり得る。通常、呼吸作動性の吸入器は、カニスタを圧迫するための作動力を有する弾性の負荷要素に負荷をかける先行負荷機構、及びカニスタの圧迫をしないよう弾性の負荷要素を保持し、吸入により弾性の負荷要素を解除する制動機構を含む。
【0003】
(発明が解決しようとする技術的課題)
従来のカニスタは、突出したバルブ・ステムを有する本体部と、その本体部に貯蔵される薬物の1回服用量を受け取る内部計量チャンバから成る。前記バルブ・ステムを前記本体部の方へと圧迫することにより、前記計量チャンバ内の薬物が1回用量としてバルブ・ステムから送達される。次回の薬物用量の送達のために、圧迫後カニスタをリセットするよう、バルブ・ステムは外側に付勢されている。しかし、もしバルブ・ステムをリセットするためにカニスタの圧迫を解除するのが早すぎれば、全用量が正確に送達されないことになる。本発明では、全用量の正確な送達を完全にすることを目的としている。
【0004】
(発明の開示)
本発明によれば、吸入により薬物を送達するための吸入器であって、
バルブ・ステムから1回用量の薬物を送達するようカニスタを作動するために共に圧迫される本体部とバルブ・ステムとを有する薬物のカニスタを保持するための収納部と;
前記カニスタを圧迫するための作動機構と;
圧迫された状態で前記カニスタをロックするためのロック要素と、カニスタをリセットさせるよう前記ロック機構を解除するため、カニスタを圧迫する前記作動機構により弾性的に付勢された解除部材とから成るカニスタ・リセット機構と;
から成る吸入器が提供される。
【0005】
圧迫された状態で前記カニスタをロックするための前記ロック要素により、確実にリセットが即座におこらないようにすることが可能となる。正確な用量が送達された後にカニスタをリセットさせるよう、前記解除部材はロック機構を解除する。
【0006】
好ましくは、前記カニスタ・リセット機構は、前記カニスタの作動後、ロック要素を解除する弾性的な付勢力の作用を予め決められた時間遅延させるために解除部材の運動を減衰する減衰要素を更に含む。
【0007】
前記減衰要素は、粘液中に形成されて解除部材の移動により動かされるロータを含み得、そのロータは所望の減衰度に対して最小のサイズであるので好都合である。しかし他の減衰要素として、膨張する発泡体や屈曲通路のようなものが考慮され得る。
【0008】
圧迫されたカニスタの解除を遅延させるための減衰要素の使用により、カニスタが圧迫状態にされている時間の制御が可能となる。通常、その時間は100から5000msの間である。時間遅延を行う際には、機械的な機構よりも減衰を利用した方が有利であることが見出された。機械的な機構は正確に遅延を制御するために厳密に製造されなければならず、時間が経つにつれて正確性は低下していく傾向がある。それにひきかえ、減衰要素は容易に制御可能であり、時間の正確性を失わない。
【0009】
好都合なことに、前記ロック要素は圧迫された状態でカニスタを保持するためのロック位置を有する膝継手であり、前記解除部材はカニスタを解除するために前記膝継手を折り曲げられた位置へと折り曲げるよう前記膝継手に係合している。圧迫された状態でカニスタを確実にロックできる一方、簡単に係合可能であるため、膝継手が特に適している。
【0010】
本発明は、カニスタに適切に適用されることができ、その作動機構は、
弾性負荷部材に結合され、カニスタの圧迫を付勢するよう負荷がかけられるときに構成される前記弾性負荷要素が弛緩した第1の位置から前記弾性負荷要素が負荷をかけられた第2の位置まで移動可能な負荷部材を使用して作動力を有する弾性負荷要素に負荷をかけるための先行負荷機構と、
カニスタの圧迫をしないよう前記弾性負荷要素を保持し、そしてカニスタを圧迫させるために前記弾性負荷要素を解除する制動機構と、
から成る。
【0011】
この場合、前記ロック要素は、前記制動機構の解除後、カニスタを圧迫された状態でロックするため第2の位置で負荷要素をロックするようにしてもよい。このような構造により、ロック要素が1回用量を送達する作動機構の稼動に支障をきたすことを回避する。
【0012】
都合の良いことに、前記解除要素はコイルばねにより弾性的に付勢されており、そのコイルは負荷要素に巻き付いている。
【0013】
望ましくは、前記先行負荷機構は、カニスタを圧迫するよう負荷をかけられるとき、前記弾性負荷要素により付勢されるカニスタ係合レバーを更に含み、前記制動機構は前記カニスタ係合レバーと係合して蓄積された作動力を維持し、解除し、ここで前記解除要素は、前記カニスタ係合部材と前記解除部材との間で動く弾性付勢要素により弾性的に付勢されている。前記カニスタ係合部材自体がカニスタを圧迫するので、このことによりカニスタの圧迫前に解除部材が動くのを阻止し、よってカニスタのリセットが早くされ過ぎる可能性を減らすことになる。
【0014】
より理解を深めるために、本発明によって実施される吸入器を、添付された図面を参照した非制限的な例示目的で以下に記述する。
【0015】
本発明によって実施される吸入器1は図1及び2に図示されており、使用者の手に握られた吸入器1の正面図と、吸入器の側面図とをそれぞれ表している。
【0016】
前記吸入器は、相互に連結される収納上部3と収納下部4とから成る収納部2を有する。収納上部3及び収納下部4は、薬物のカニスタ5及び1回用量の薬物を送達するカニスタ5を作動するよう稼動できる作動機構6を収容する空間を形成するために中空である外壁を有する。
【0017】
収納上部3は、平たんな前壁8、湾曲した裏壁9および頂壁10により連結された対向する側壁7を有する。収納下部3は、収納上部3の側壁7にぴったり嵌る対向する側壁11と収納上部3の後壁9にぴったり嵌る湾曲した裏壁12とを有する。裏壁12と9はともに、図1に示されるように使用者の掌で持ち易い湾曲面を形成している。マウスピース13は収納下部4から突出し、図2に示されるように開けられるように収納下部材4にヒンジ式に取り付けられたキャップ14で保護されてもよい。
【0018】
側壁11の間にある収納下部4の正面は、収納上部3及び収納下部4の間でマウスピース13に隣接した収納部2の表面に通気孔を形成するために開いている。通気孔15は、収納部2の外壁の一部分を形成するよう収納上部3の前壁8にぴったり嵌り込む閉鎖要素16により閉鎖されている。
【0019】
収納上部及び下部部材は、図3に示されるように収納下部4をずらして取り外せるよう連結部17により連結されている。
【0020】
カニスタ5は、収納上部3に嵌り、図4に示されるようにスライド式に取り外して交換し得る。
【0021】
カニスタ5は、通常、バルブ・ステム19から薬物の1回用量を送達するために共に圧迫することができる円筒状本体部18とバルブ・ステム19とから成る。このカニスタは、カニスタ5の本体部18から一定量の薬物を受け入れる計量チャンバを含む従来の型であり、その薬物量は本体部18に対してバルブ・ステム19が圧迫されることでバルブ・ステム19から計量された1回用量として送達される。バルブ・ステム19は、計量チャンバに補充するため、圧迫した後にカニスタ5をリセットするために外側に僅かに付勢されている。バルブ・ステム19は、バルブ・ステム19から送達された薬物の1回用量がマウスピース13を通って吸入器1から出るよう方向付けるために取り付けられたノズル・ブロック20に受け止められる。
【0022】
閉鎖要素16は、カニスタ本体部18のネック部22の周囲に嵌め込まれたつば21によりカニスタ5に連結されている。つば21は閉鎖要素16に恒久的に固定されており、それと一体であり得る。図4に示されるようにつば21はカニスタ5のネック部22により抑えられているので、閉鎖要素16はカニスタ5と共に取り外され交換される。カニスタ5及びつば21は、カニスタ5の軸に沿って少し相対運動をする。このようにして、ステム19が吸入器に1に対してノズル・ブロック20中で固定され、つば21も吸入器1の収納部2の一部として嵌り込んでいる閉鎖要素16により固定されている場合には、バルブ・ステム19に向かってカニスタ本体部18が圧迫されることによりカニスタが作動される。
【0023】
図5及び6は、閉鎖要素16をカニスタ5に連結するための代替つば23のそれぞれ側面図及び断面図を示している。つば23は、U型の切り抜き部26で円筒部24中に形成された突出部25により、カニスタ本体部18のネック部22に保持される円筒部24を含む。円筒部24は、バルブ・ステム19を保護するために、カニスタ本体部18の末端部を越えて延びている拡張部27を有する。拡張部27は、つば23の円筒部24の他の部分よりも直径が小さい。
【0024】
つば21及び23は双方とも、つば21あるいは23の対向する側に形成された2つの破線部28で構成された壊れやすい部分を含んで形成され、カニスタ5から閉鎖要素16を取り外すための力がかかると、つば21あるいは23の他の部分よりも優先的に壊されるようになっている。カニスタ5を取り外すことができるよう破線部28が壊され、あるいは少なくとも変形された後は、つば21あるいは23は別のカニスタに連結できなくなる。
【0025】
閉鎖要素16の外面には、閉鎖要素16が連結されるカニスタ5中の薬物の種類の表示がなされている。その表示は、印刷情報、エンボスされたあるいは打ち込まれた模様、あるいは閉鎖要素16の色であってもよい。
【0026】
吸気開口部29は、収納上部3、特に頂壁10及び前壁8中に形成される。収納上部3及び収納下部4並びに閉鎖要素16により形成される収納部の外壁は互いを密閉し、マウスピース13から収納部2を通って吸気開口部29まで延びている通気路を構成する閉鎖された空間を確定している。マウスピース13での吸入により吸気開口部29を通って空気が引き入れられ、収納部2に収納されたカニスタ5及び作動機構6の周囲の前記通気路を通る。作動機構6(下記に詳細を記述)は、収納上部4内に設置された制動機(trigger)を有し、その制動機は通気路を通る空気の流れに反応してカニスタ5を作動させる作動機構6を始動させる。
【0027】
カニスタに連結される閉鎖要素を持たないカニスタが収納部2に挿入されるならば、図2Aに示されるように通気孔15は開いたままである。その結果、使用者がマウスピース13で吸入すると、通気孔15を通る流れの抵抗は、吸気開口部29から通気孔15より上部の通気路の他の部分を通る流れの抵抗よりもはるかに小さくなる。従って、通気孔15はマウスピースを通る流れのほとんどを通気させるので、収納上部中の通気路の他の部分を通る流れは減少する。マウスピース13と前記制動機との間の収納部内部にある通気路に通気孔15を配置することにより、制動機を通る空気の流れが減少する。制動機での流れを制動機を稼動するのに必要とされる閾値以下に減らし、作動機構6の稼動を阻止するように通気孔15は位置決めおよび寸法決めされる。通気孔15が十分に流れを通気させることを確実にするのを補助するために、通気孔15にはより大きな開口領域が備えられるので、吸気開口部29よりも流れの抵抗性は小さくなる。通気孔15は、作動機構が予想される最大吸入を超えるレベルで、例えば標準的な吸入の流動速度の少なくとも8倍の吸入で、マウスピース13を通る流れによっても稼動されないように寸法決めされる。作動機構6の制動機構は、設計者によって選定された標準の吸入により引き起こされる流れを考慮して設計される。
【0028】
1回用量の薬物を送達するようカニスタ5を作動するための作動機構6は図7〜9に示されている。図7〜9に示されている要素は、収納部2に収容されているが、分かりやすいように独立させて示されている。カニスタ5は、マウスピース13に連結されているノズル・ブロック20’中のバルブ・ステム19で保持されており、両方とも収納下部4に対して固定されている。ノズル・ブロック20’は図3および4に示されるノズル・ブロック20とは少し異なる形態をしているが、同じ機能を果たす。収納上部3に固定され、収納部2内でカニスタ本体部18が軸運動できるようにカニスタ本体部18の円筒状表面に係合している湾曲した内表面を有するガイド・ブロック30によって、カニスタ5の本体部18が支持されている。1回用量の薬物を送達するために、作動機構6はノズル・ブロック20に保持されているバルブ・ステム19に対してカニスタ本体部18を圧迫するよう作動する。
【0029】
作動機構6の構造は、次の通りである。
作動機構6は、コイル状の負荷用ばね31で形成された弾性負荷要素に負荷をかけるための先行負荷機構を含む。前記先行負荷機構は、負荷用ばね31のコイルを巻き付けられたシャフト32で構成される負荷部材を含む。前記シャフトはカニスタ本体部18の円柱軸80に平行な方向に延び、移動可能である。負荷部材のシャフト32は拡大ヘッド部33を有する。
【0030】
図1に示されるように、手で押し込まれるように接触部材を構成する2つのボタン34aと34bが、収納部2内に保持されているカニスタ5の軸80を挟むようにして収納上部3の側壁に向かい合って取り付けられている。ボタン34は図1で分かるように、カニスタ5の軸80に対してほぼ直角の方向に手で押し込むことができるので、ボタンを親指と他の指とで握り動かすことが容易である。図10に示されるような前記収納上部の内側に固定された2つのねじりばね35a及び35bにより、ボタン34は負荷部材32及び負荷用ばね31に負荷をかける。ねじりばね35a及び35bは、負荷部材32の拡大ヘッド部33とボタン34のそれぞれに係合して、ボタン34にかけられた横向きの力を負荷部材のシャフト32の軸に沿った下向きの力に変換する。
【0031】
ボタン34にかけられた横向きの力を変換するための代替される手段が、図11に示されている。これは、継手の上端部37で収納上部3に、下端部38で負荷部材32の拡大ヘッド部33に、そして中間の継手39aと39bでそれぞれボタン34aと34に固定されているダブル膝継手36から成る。
【0032】
先行負荷機構は、ピボット41で収納部に対して回転されるレバー40を更に含む。レバー40は、レバーから延びている1対のアーム43及び44によって、ピボット41の近くでカニスタ本体部18と接触する平たんなカニスタ係合部42を有する。一方のアーム43は、負荷用ばね31が負荷をかけられたとき、カニスタ係合部42によってカニスタ5と連結されているレバー40によりカニスタの圧迫を付勢するように負荷用ばね31に係合されている。負荷用ばね31は、カニスタ係合部42よりもピボット41から更に離れているので、負荷をかけられた作動力とカニスタ5にかけられる力との間でてこ作用をもたらす。アーム43は、負荷部材のシャフト32が通って延びている穴を有する。レバー43の他方のアーム44は、レバー40が横方向にずれるのを防ぐために別のシャフト78が通って延びている同様の穴を有する。
【0033】
作動機構は、ばね31の付勢力がかかっている状態でカニスタの圧迫をしないようレバー40を保持し、そしてマウスピースでの吸入に応じてレバー40を解除する制動機構を更に含む。制動機構は以下のように構成されている。
【0034】
制動機構は、中央ピボット50により相互にピボット状に連結される2つの連結部46及び47を有する第1膝継手45を含む。上の連結部46は、ピボット48によりレバー40のアーム43及び44の両方にピボット状に連結されている。下の連結部47は、ピボット49で収納上部3にピボット状に連結されている。
【0035】
従って、第1膝継手45は、図7から9に示されるようなロック位置にあり、この位置ではカニスタ5の圧迫をしないようレバー40を保持する。第1膝継手45のロック位置では、中央ピボット50は、連結部46及び47の両端のピボット48及び49とほぼ一直線に並んでいる。第1膝継手45がカニスタ係合部42よりも更にピボット41から離れた位置でレバーに連結されているので、第1膝継手によりもたらされるロックする力とカニスタ5にかけられる力との間でてこ作用がもたらされる。このてこ作用により制動機構のロック及び始動作用が増強される。
【0036】
前記制動機構は、更に、中央ピボット54によって互いにピボット状に接続されている連結部52及び53を有する第2膝継手51を含む。第2膝継手51の1つの連結部57は、ピボット55によって収納上部3にピボット状に接続されており、横方向に延びているため、そこを流れる空気で動く制動翼板を構成する。制動翼板52は、前記横方向に延びている表面からピボット55の反対側に固定されているカウンタウェイト79(図7のみに図示されている)を有している。前記カウンタウェイトは前記制動翼板の平衡を保っているため、その質量の中心はピボット55の軸上に位置している。
【0037】
第2膝継手51のもう1つの連結部53は、レバー40のアーム43と44の間の制動翼板52から第1膝継手45の上部連結部46に向かって延びており、そこでピボット56によってピボット状に接続されている。
【0038】
従って、第2膝継手51は図7〜9で図示したロック位置を有する。第2膝継手51のロック位置では、中央ピボット54はピボット55及び56、及び連結部52及び53とほぼ一直線上に並ぶ。
【0039】
作動機構6は更に以下のように構成されるリセット機構を含む。
リセット機構は、第3膝継手57によって構成されているロック要素を用い、第3膝継手57は中央ピボット60によって互いにピボット状に接続されている上部連結部58及び下部連結部59から成る。上部連結部58は、第1膝継手45と共に、ピボット49によって収納上部3にピボット状に接続されている。下部連結部59は、ピボット61によって負荷部材シャフト32にピボット状に接続されている。第3膝継手57は、図7〜9に図示されているようにロック位置を有しており、そこでは負荷部材シャフト32が図7に図示したような負荷位置に保持されている。第3膝継手57のロック位置において、中央ピボット60は連結部58及び59の端部にあるピボット48及び61と一直線上に並んでいる。第3膝継手57も、収納上部3に接続された付勢ばね67によってそのロック位置へと付勢される。そのため、第3膝継手は、カニスタ5を圧迫するためにレバー40が最大限までに動いた後にばね31とレバー40を介して圧迫された状態にあるカニスタを保持するロック要素を構成する。
【0040】
リセット機構は更に、シャフト32が延び出る開口部を有することで負荷部材シャフト32上に搭載される解除部材62を含む。解除部材62は、シャフト32から突き出て解除部材62に形成された溝64に嵌め込められたピン63によって決まる限界点の間をシャフト32に沿って移動することができる。タイマーばね65、即ちシャフト32に巻き付くコイルは、レバー40のアーム43と解除部材62との間に接続される。図7ではタイマーばね65は伸びた状態にあり、カニスタ5を圧迫するためにレバー40を動かすことによって負荷をかけられたときに解除部材62を付勢するために設置されている。
【0041】
突出部66は解除部材62から延びており(図12の部分図によって最もよく表されている)、解除部材62がシャフト32を下がったときに第3膝継手57の下部連結部59に係合する。このように突出部56が第3膝継手57に係合することで、膝継手57が付勢ばね67に抗して移動し、第3膝継手57を折り曲げて第3膝継手57のロック作用を解除する。
【0042】
シャフト32は、第3膝継手57が折り曲げられるとシャフト32を上方向に移動させるためにシャフト32と収納上部3の間で動くリセットばね68によって上に向かって付勢される。
【0043】
解除部材62の下向きの動きは、減衰要素69によって減衰され、減衰要素は収納上部3に固定されたステータ70、及びロータ71とステータ70の間に提供される粘性流体を介して回転するロータ71から成る。ロータ71は解除部材62に接続されている歯状のラック72によって動かされる。
【0044】
作動機構6の操作を、分かりやすいように概略図に表された作動機構6のいろいろな部分を図示した図13〜16を引用しつつ、以下に記述する。
【0045】
図13は、負荷部材シャフト32がその最上位置にあるために負荷ばね31が伸びている中立的な状態を表している。この状態においては、第1膝継手45及び第2膝継手51は双方ともロック位置にある。タイマーばね65及びリセットばね68は伸びている。
【0046】
ボタン34を押すと、負荷部材シャフト32が図14に表された第2の位置へと下方向に移動し、カニスタ5の負荷ばね31に負荷をかけるが、そのため負荷ばね31はカニスタ5を圧迫するようにレバー40を付勢する。しかし、第1膝継手45は、カニスタ5を圧迫しないようにレバー40を保持するロック位置にある。ロック位置にある第2膝継手51によって、第1膝継手45がそのロック位置で保持される。
【0047】
負荷部材シャフト32が下方向に移動すると、リセットばね68にも負荷がかかり、第3膝継手57をばね67に支持されるそのロック位置に移行させる。図14に図示されたこの負荷状態においては、吸入器1は1回用量の薬物を送達する準備ができた状態になっている。
【0048】
使用者がマウスピース13において吸入を行うと、吸気開口部29からマウスピース13までの収納部2の内部に形成されている通気路に空気の流れが発生する。この空気の流れが第2膝継手51の制動羽根55に働きかけ、収納部2内の流れによって発生した圧力低下のために、第2膝継手51が折り曲がっている図15に図示された位置まで、上方向に移動させる。これによって、第1膝継手45は図15に図示されている折り曲がった状態に至るまで折り曲がり、そのためにレバー40が解除され、負荷ばね31の付勢によりカニスタ5を圧迫することを可能にする。
【0049】
カニスタが圧迫されている間、シャフト32は第3膝継手57によって定位置にロックされたままである。このことでカニスタがばね31及びレバー40に作動されるシャフト32によって圧迫状態で保持され、ばね31のばね力はカニスタ5の内部リセット付勢力をはるかに越えている。
【0050】
しかしながら、レバー40の動きはタイマーばね65に負荷をかけ、それによってタイマーばね65が解除部材62を下方向に付勢させる。解除部材62の動きは減衰要素69の減衰動作によって遅らされる。解除要素62の突出部66は、カニスタ5の作動後に予め決められた時間が経過した後、第3膝継手57に係合する。この時間はタイマーばね65の強度及び減衰要素69の減衰特性によって決定され、カニスタ5から1回用量の薬物を全て送達するために少なくとも100msまたは200ms、最高で1000msまたは5000msである。この係合が第3膝継手57を図16で図示したような折り曲がった状態まで折り曲がらせる。続いて、リセットばね68が負荷部材シャフト32を図13に図示した中立的な状態まで上方向に移動させる。同時にシャフト32が解除部材62を押し上げるが、シャフト自体は減衰要素69によって減衰されたままなので、リセット動作は減衰している。
【0051】
シャフト32を解除すると、ばね31がレバー40を上げ、2つの作用をもたらす。1つは、カニスタ自体をリセット可能にすることである。もう1つは、第1膝継手45及び第2膝継手51をまっすぐにし、それらを図13に図示した作動機構の中立的な状態のロック位置まで戻すことである。負荷ばね31及びタイマーばね65は負荷をかけられる前の状態であり、リセット動作に対しては働きかけないので、リセットばね68は摩擦や部品の重量に耐えさえすればよい。
【0052】
ボタン34a及び34bは、図1に表されているように作動が弛緩状態にあるときは吸入器から出っ張っており、収納上部3の側壁と同一平面になるところまで押し下げられる。従って、押す前のボタンの末端の間の距離は、カニスタ5の軸80と平行な方向の吸入器1の最大長さより短く、本体部18及びバルブ・ステム19を含むカニスタ5の全体の長さよりも短い。また、2つのボタン34が互いの方向に移動したときの変動幅は、カニスタ5の本体部18とバルブ・ステム19とが相対的に圧迫されたときの距離よりも長い。これは、カニスタ係合部42よりも更にピボット41から離れた地点でレバー40に係合した負荷ばね31によって得られるてこ作用で達成されるものである。
【0053】
薬を適切に送達するために推奨される実際の流れは、その薬の処理方式、口内で置かれるべき位置、使用者の肺、及び投薬方法により異なる。細かい霧の状態で吸入され肺までそのまま運び込まれる薬もあれば、その人の口内で液が噴出されたように吸入される薬もある。このような異なったタイプの薬には異なったタイプの吸入が必要であり、そのため異なった吸入の流れや使用者の異なった動きが必要である。
【0054】
各吸入器に異なった形の通気孔を設け、閉鎖要素を1つの吸入器に適合する異なった形にすることによって、いくつかの異なったタイプの薬を使用するためにいくつかの異なった吸入器をそれぞれに適用することが可能である。例えば、考えられる異なった形が図1に点線で図示されている。これによって、異なる形状の閉鎖要素を有するカニスタは、専ら適合する形をした通気孔を有する吸入器と共にのみ使用される。形が異なっていると、適合する通気孔を有する吸入器に閉鎖要素が取り付けられることが回避され得る。換言すれば、前記閉鎖要素は、異なった形状の通機構を有する吸入器の通気孔を閉じて、残余の開口部で制動機構の操作を妨げるに十分な流れを通すようにすることはできない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 手に保持された吸入器の正面図である。
【図2】 吸入器の側面図である。
【図2A】 閉鎖要素が取り付けられていない吸入器の側面図である。
【図3】 収納下部が外された吸入器の側面図である。
【図4】 カニスタが取り出されている吸入器の収納上部の側面図である。
【図5】 閉鎖部をカニスタに接続するのつばの選択的な形の側面図である。
【図6】 図5の線VI−VIに沿った断面図である。
【図7】 カニスタに負荷をかけた配置及び作動機構の側面図である。
【図8】 作動機構を後ろ斜め方向から見た図である。
【図9】 作動機構を図8とは反対の後ろ斜め方向から見た図である。
【図10】 作動機構に負荷をかけるための配列の正面図である。
【図11】 作動機構に負荷をかけるためのボタンの別の配置の側面図である。
【図12】 作動機構の特定の部品を前斜め方向から見た図である。
【図13】 操作の全循環過程のある段階を図示した作動機構の概略図である。
【図14】 操作の全循環過程のある段階を図示した作動機構の概略図である。
【図15】 操作の全循環過程のある段階を図示した作動機構の概略図である。
【図16】 操作の全循環過程のある段階を図示した作動機構の概略図である。
【図17】 電子タイマー回路の図である。
【符号の説明】
1…吸入器、2…収納部、3…収納上部、4…収納下部、5…カニスタ、6…作動機構、7…側壁、8…前壁、9…裏壁、10…頂壁、11…側壁、12…裏壁、13…マウスピース、14…キャップ、15…通気孔、16…閉鎖要素、17…連結部、18…本体部、19…バルブ・ステム、20…ノズル・ブロック、21…つば、22…ネック部、23…代替つば、24…円筒部、25…突出部、26…切り抜き部、27…拡張部、28…破線部、29…吸気開口部、30…ガイド・ブロック、31…負荷用ばね、32…シャフト、33…拡大ヘッド部、34…ボタン、35…ねじりばね、36…ダブル膝継手、37…上端部、38…下端部、39…継手、40…レバー、41…ピボット、42…カニスタ係合部、43…アーム、44…アーム、45…第1膝継手、46…連結部、47…連結部、48…ピボット、49…ピボット、50…中央ピボット、51…第2膝継手、52…連結部、53…連結部、54…中央ピボット、55…ピボット、56…ピボット、57…第3膝継手、58…連結部、59…連結部、60…中央ピボット、61…ピボット、62…解除部材、63…ピン、64…溝、65…タイマーばね、66…突出部、67…付勢ばね、68…リセットばね、69…減衰要素、70…ステータ、71…ロータ、72…ラック、78…シャフト、79…カウンタウェイト、80…円柱軸。
Claims (9)
- 吸入により薬物を送達するための吸入器であって:
バルブ・ステムから1回用量の薬物を送達するようカニスタを作動するために共に圧迫される本体部とバルブ・ステムとを有する薬物のカニスタを保持するための収納部と;
前記カニスタを圧迫するための作動機構と;
圧迫された状態で前記カニスタをロックするためのロック要素と、カニスタをリセットさせるよう前記ロック機構を解除するため、カニスタを圧迫する前記作動機構により弾性的に付勢された解除部材とから成るカニスタリセット機構と;
から成る吸入器。 - 前記カニスタ・リセット機構が、前記カニスタの作動後、ロック要素を解除する弾性的な付勢力の作用を予め決められた時間遅延させるために解除部材の運動を減衰する減衰要素を更に含む、請求項1に記載の吸入器。
- 前記減衰要素が、粘液中に形成されて解除部材の移動により動かされるロータを含む、請求項2に記載の吸入器。
- 前記予め決められた時間が、100から5000msの間である、請求項2あるいは3に記載の吸入器。
- 前記ロック要素が、圧迫された状態でカニスタを保持するためのロック位置を有する膝継手であり、前記解除部材が、カニスタを解除するために前記膝継手を折り曲げられた位置へと折り曲げるよう前記膝継手に係合している、請求項1から4のいずれか一に記載の吸入器。
- 前記作動機構が、
弾性負荷部材に結合され、カニスタの圧迫を付勢するよう負荷がかけられるときに構成される前記弾性負荷要素が弛緩した第1の位置から前記弾性負荷要素が負荷をかけられた第2の位置まで移動可能な負荷部材を使用して作動力を有する前記弾性負荷要素に負荷をかけるための先行負荷機構と;
カニスタの圧迫をしないよう前記弾性負荷要素を保持し、そしてカニスタを圧迫させるために前記弾性負荷要素を解除する制動機構と;
から成る、請求項1から5のいずれか一に記載の吸入器。 - 前記ロック要素が、前記制動機構の解除後、カニスタを圧迫された状態でロックするため第2の位置で前記負荷要素をロックするよう構成されている、請求項6に記載の吸入器。
- 前記先行負荷機構が、カニスタを圧迫するよう負荷がかけられるとき、前記弾性負荷要素により付勢されるカニスタ係合部材を更に含み、前記制動機構は前記カニスタ係合部材と係合して蓄積された作動力を維持し、解除し、ここで前記解除要素は、前記カニスタ係合部材と前記解除部材との間で動く弾性付勢要素により弾性的に付勢されている、請求項6あるいは7に記載の吸入器。
- 前記カニスタ係合部が、ピボット式のレバーであり、カニスタが係合している前記レバーよりも更に前記レバーの前記ピボットから離れた位置で前記材弾性負荷要素により付勢される、請求項8に記載の吸入器。
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