JP4616466B2 - 浴室ユニットの天井取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドーム形に湾曲した天井を備えた浴室ユニットにおいて、このドーム形の天井を壁面パネル上に連結固定するための取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7は、この種のドーム形の天井11を備えた浴室ユニット10の簡略断面図である。図示したように、この浴室ユニット10は、浴槽13と洗い場パン14、およびその周囲に立設される複数の壁面パネル2と、天井1とからなり、屋内に設置されるようになっている。
【0003】
ここにおいて上記天井1は、屋内の閉空間20内で組み立てなくてはならない関係上、一般に、外方に湾曲したドーム形の天井11と、このドーム形の天井11に隣接した平天井12とに分けられ、この平天井12に点検口や換気扇口(図示せず)を設け、その上側に換気扇15などを設置するようにしていた。
【0004】
そして、その組み付けは、図8に示すように、予め壁面パネル2を上面が開放された箱状に連結して組み立てておき、この壁面パネル2で囲まれた内側からまずドーム形の天井11を斜めにして壁面パネル2上に持ち上げ、位置合せをした後、両者をねじ(図示せず)などを用いて連結するようにしていた。しかしながらこの連結を浴室ユニット10の外側で行うためには、浴室ユニット10が屋内に設置されるため、図8に矢印で示すように、平天井が設けられる個所から身を乗り出してアプローチしなくてはならず、作業が行い難かった。また、図7に示す建物内の梁21などの位置によっては、作業するためのスペースが確保されず、この作業が全く行えないおそれがあった。
【0005】
そこで、図9に示すように、壁パネル2の上端の外側と、天井11の周縁の外側にそれぞれアングル部材16,16を取り付け、このアングル部材16,16を重ね合わせた状態で、浴室の内側から両者をねじ17で連結し、その後、この連結部分をモール18で塞ぐようにした取付方があった。
【0006】
また、この他に図10に示すように、壁パネル2の上端に鉤形の係止片19を設けると共に、天井11の下端周縁に、この係止片19と係合可能な折返し部11cを設け、壁パネル12上から天井11を落し込むことにより、両者を係合させ、連結するようにしたものもあった。
【0007】
なお、平天井12の取り付けは、この平天井12に点検口(図示せず)が設けられているので、この点検口から身を乗り出すことにより、容易に行うことができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の浴室ユニットの天井の取り付けでは、まず最初に述べた浴室ユニットの外側での連結は、上述したように作業が困難で、場合によっては、作業が行えないおそれもあった。
【0009】
また、浴室の内側からねじで連結するようにしたものは、壁パネルと天井にそれぞれねじが貫入可能なアングル部材を取り付けなくてはならず、ねじ止め後は、このねじ止め部分にモールを取り付け、隠さなくてはならないので、作業が煩わしく、作業能率が悪いという問題点があった。さらにこの取付方では、浴室内部の目につく位置にモールが露呈しているため、目障りでこのモールが浴室ユニット自体の質感も損ないかねないという問題点があった。
【0010】
壁パネルの上端に鉤形の係止片を設け、天井を落し込んでこの係止片に係合させるようにしたものは、係止片が係合する天井の周縁を、均等に下方押圧することができないので、作業が困難であり、そればかりか、その際に無理な力がかかると、ドーム天井の材質によっては、破損や変形を生じるおそれもあった。さらに、なんらかの理由により、天井を交換するなどのメインテナンス作業が発生した場合、この天井を外すことは非常に困難であるという問題点も有していた。
【0011】
本発明は、上述した従来の浴室ユニットの天井取付構造が有していた問題点の解決を課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明のうち、請求項1記載の発明は、ドーム形に湾曲した天井を備えた浴室ユニットにおいて、浴室ユニットの壁面を構成した壁面パネルの上端の所定位置に、複数の係止突片を突設すると共に、側方が切欠された受金具を取り付け、この壁面パネル上に載置される天井の周囲の所定位置には、略コ字形のサイド金具を取り付けると共に、引掛け金具を備えたスライド金具を摺動可能に取り付け、天井を壁面パネル上に位置合せをして落し込むことにより、係止突片が天井の周囲とサイド金具との間に嵌入され、天井が水平方向に位置ずれ不可に壁面パネルに連結され、スライド金具を押し込むことにより、引掛け金具が受金具に係止され、天井が隔離する方向に移動不可に壁面パネルに連結されるようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に、天井周囲の所定位置に、壁面パネルの合わせ目の外方に位置し、この合わせ目部分が外方に撓むことを阻止する目地押え金具を下方突設した構成を加えたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示した実施の形態に基づき詳細に説明する。なお、図において、従来例に示したものと同一の個所には同一の符号を付している。
【0015】
図1は、本発明の天井取付構造を示す浴室ユニットの要部分解斜視図、図2は、図1の符号Aで示した部分の係合状態を示した拡大図である。同様に、図3は、図1のBで示した部分の係合状態を示した拡大図、図4は、図1のCで示した部分の係合状態を示した拡大図である。
【0016】
この天井取付構造が採用される浴室ユニット10は、図7に示した従来のものと全く同様に、浴槽13と洗い場パン14、およびその周囲に立設される複数の壁面パネル2と、天井1とで構成され、屋内の浴室空間20内に設置されるものである。そして、この天井1は屋内の閉空間内で組み立てられる関係上、外方に湾曲したドーム形の天井11の部分と、このドーム形の天井11に隣接した平天井12の部分とに分けられている点も従来のものと同様である。
【0017】
ここにおいて、本発明の浴室ユニットの天井取付構造では、浴槽13や洗い場パン14の周囲に立設される複数の壁面パネル2のうち、浴室ユニット10の内部の一つの面を構成する壁面パネル2(図1において右手前側のもの)の上端に、予め複数の係止突片4を突設している。この係止突片4は、平板状のもので、容易に変形しない強度を有している。
【0018】
また、この係止突片4が設けられた壁面パネル2に隣り合った互いに対向する壁面パネル2,2(図1において左手前側と右奥側のもの)の上端には、それぞれ複数の受金具5を取り付けている。この受金具5は、係止突片4と外形寸法がほぼ同じで、その一側に内方に切れ込んだ形状の切欠部5aが設けられたものである。
【0019】
一方、この壁面パネル2上に載置されるドーム形の天井11には、その周囲の所定位置に、略コ字形のサイド金具3を取り付けている。このサイド金具3は、取り付けられた天井11の周縁11aとの間で、上記係止突片4や受金具5の上面とほぼ等しい寸法の間隙を形成するようになっている。
【0020】
また、この天井11の左右(図1において左手前側と右奥側)の側縁11bには、それぞれ側方に略L字形の引掛け金具8が突設されたスライド金具7を、天井11の側縁11bに沿って摺動可能に取り付けている。
【0021】
さらに天井11周囲の壁面パネル2の合わせ目2aに対応する位置には、目地押え金具6を下方に突出するように取り付けている。
【0022】
なお、図2において符号22は、隣り合った壁面パネル2,2同士を連結する連結金具を示す。また、上記天井11は、合成樹脂や表面に樹脂シートが貼着された金属パネルなどで形成され、内部あるいは外表面に断熱材を設けた構造を有している。
【0023】
次に、上記の構成を有する天井11の取付手順について説明する。
【0024】
まず、壁面パネル2で囲繞された浴室の内部から、天井11を斜めにして壁面パネル2の上方に持ち上げる。次に天井11の一側(図1において右手前側)を係止突片4が設けられた壁面パネル2上に位置合せをして落し込む。このことにより、天井11に取り付けられたサイド金具3の内側に、図3並びに図4に示すように係止突片4と受金具5が嵌まり込み、天井11は、これらの金具4,5の係合により横方向に移動不可に連結される。
【0025】
次に、この状態から図5に矢印で示すようにスライド金具7を押し込むと、このスライド金具7に取り付けられた引掛け金具8は、壁面パネル2に取り付けられた受金具5の切欠部5aに嵌まり込み、図6に示すように係合する。よって、天井11は、この受金具5と引掛け金具8の係合により、壁面パネル2から隔離する方向に移動不可に、この壁面パネルに連結されることとなる。
【0026】
なお、図5と図6においては、煩雑になることを避けるためサイド金具3を省略しているが、壁面パネル2側に取り付けられた受金具5は、図4に示すように天井11側に取り付けられたサイド金具3の内側に嵌め込まれている。
【0027】
また、上記スライド金具7の押し込み操作は、壁面パネル2に平天井(図示せず)が取り付けられる開放側(図1において左奥側)から行われ、押し込み後は、スライド金具7が移動しないように固定ねじ9を締め込み、スライド金具7を天井11側に不動に固定する。
【0028】
以上のようにして浴室ユニット10のドーム形の天井11が取り付けられ、その後、この天井11の側方の開放部分に、平坦な平天井12を取り付けることにより、浴室ユニット10の天井1が完成する。なお、この平天井12の取り付けは、平天井12に設けられた点検口(図示せず)から身を乗り出してその周囲を、図示しない固定金具などの適宜手段を用いて壁面パネル2の上端に固定することによりなされる。
【0029】
このように本発明の浴室ユニット10の天井取付構造では、天井11を位置合せをして落し込み、スライド金具7を押し込んで固定するだけで、ドーム形の天井11が壁面パネル2の上端に位置ずれ不可に連結固定される。なお、この時、天井11に取り付けられた目地押え金具6は、図2に示すように壁面パネル2の合わせ目2aの外側に位置し、浴室の内側からこの合わせ目2aの部分に外側に押される方向の力が作用した際、強度的に弱いこの合わせ目2aを保護し、この合わせ目2aが外方に撓むことを阻止するように作用する。
【0030】
なお、図示した実施の形態では、受金具5が引掛け金具8とサイド金具3の何れにも係合するようにしたものを示したが、受金具5と引掛け金具8の係合が確実であれば、天井11周囲のこの受金具5に対応する位置には、必ずしもサイド金具3を設けなくても良い。
【0031】
また、天井11に、壁面パネル2の合わせ目2aが外方に撓むことを阻止する目地押え金具6を取り付けた例を示したが、壁面パネル2,2同士の連結が確実で外方に撓むおそれがない場合には、この目地押え金具6も必ずしも設けなくても良い。
【0032】
なお、本発明の取付構造が用いられる浴室ユニットの天井11は、周囲より中央部分が上方に膨らんだものであれば良く、図示した実施の形態の形状に限られるものではないことは、言うまでもない。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のうち、請求項1記載の発明は、浴室ユニットの壁面パネルの上端に係止突片と受金具を取り付け、天井には、前記係止突片と係合する略コ字形のサイド金具を取り付けると共に、前記受金具と係合する引掛け金具を備えたスライド金具を摺動可能に設けたので、天井を位置合せをして落し込み、スライド金具を押し込むだけで、これらの金具が係合し、天井が壁面パネル上に不動に連結固定される。よって、上方に膨れたドーム形の天井であってもその取付作業が、浴室ユニットの内側から容易に行える。また、天井の上側に作業スペースを必要としないので、従来は、この種のドーム形の天井を有する浴室ユニットの設置が、困難であった個所への導入が促進されるという効果がある。
【0034】
請求項2記載の発明は、天井に、壁面パネルの合わせ目部分が外方に撓むことを阻止する目地押え金具を設けたので、上記請求項1記載の発明の効果に加え、この構造を有する天井を備えた浴室ユニットの壁面の強度を向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の天井取付構造を示す浴室ユニットの要部分解斜視図である。
【図2】図1の符号Aで示した部分の係合状態を示した拡大図である。
【図3】図1の符号Bで示した部分の係合状態を示した拡大図である。
【図4】図1の符号Cで示した部分の係合状態を示した拡大図である。
【図5】スライド金具の押し込み前の状態を示す斜視図である。
【図6】受金具と引掛け金具の係合状態を示した斜視図である。
【図7】浴室ユニットの設置状態を示した簡略図である。
【図8】従来の天井取付作業を説明した浴室ユニットの要部簡略斜視図である。
【図9】天井取付構造の従来例を示した要部断面図である。
【図10】天井取付構造の他の従来例を示した要部断面図である。
【符号の説明】
1,11 天井
2 壁パネル
2a 合わせ目
3 サイド金具
4 係止突片
5 受金具
5a 切欠部
6 目地押え金具
7 スライド金具
8 引掛け金具
9 固定ねじ
Claims (2)
- ドーム形に湾曲した天井を備えた浴室ユニットにおいて、
浴室ユニットの壁面を構成した壁面パネルの上端の所定位置に、複数の係止突片が突設されると共に、側方が切欠された受金具が取り付けられ、
この壁面パネル上に載置される天井の周囲の所定位置には、略コ字形のサイド金具が取り付けられると共に、引掛け金具を備えたスライド金具が摺動可能に取り付けられ、
天井を壁面パネル上に位置合せをして落し込むことにより、係止突片が天井の周囲とサイド金具との間に嵌入され、天井が水平方向に位置ずれ不可に壁面パネルに連結され、スライド金具を押し込むことにより、引掛け金具が受金具に係止され、天井が隔離する方向に移動不可に壁面パネルに連結されるようになされたことを特徴とする浴室ユニットの天井取付構造。 - 天井周囲の所定位置に、壁面パネルの合わせ目の外方に位置し、この合わせ目部分が外方に撓むことを阻止する目地押え金具が下方突設されたことを特徴とする請求項1記載の浴室ユニットの天井取付構造。
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