JP4616184B2 - 液体状態検知センサ - Google Patents

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Description

本発明は、被測定液体の状態を検知する液体状態検知センサに関する。
ディーゼルエンジン等を搭載した自動車の排気ガスには、窒素酸化物(NOx)等の物質が含まれる。近年、特に環境保護及び生活環境の汚染防止等の目的で、これらの自動車の排気ガスを浄化すべく種々の対策が講じられている。このような排気ガスの浄化対策の一つとして、排気ガス浄化装置が挙げられる。
この排気ガス浄化装置は、自動車に搭載され、有害な窒素酸化物(NOx)をNOx選択還元触媒(SCR)により分解して無害化する。NOx選択還元触媒(SCR)には尿素水溶液が還元剤として用いられ、自動車に搭載した収容タンク内に収容される。
この尿素水溶液は、窒素酸化物(NOx)を効果的に分解させるため、尿素水溶液の濃度(尿素水溶液中に含まれる尿素の濃度)が適正な範囲に保たれることを必要としている。
ところで、適正な濃度の尿素水溶液を収容タンクに収容しても、経時変化等に起因して尿素水溶液の濃度が適正な範囲から外れてしまうことがある。また、収容タンクに作業者が誤って軽油や水を混入してしまうこともある。これを受けて、尿素水溶液が適正な濃度の範囲にあるかを検知するものとして、尿素水溶液タンク内の尿素水溶液に含まれる尿素の濃度を識別することができる尿素水溶液の識別装置が開発されている(特許文献1)。
この特許文献1に開示された識別装置は、濃度識別センサ部及び支持部からなる。このうち、濃度識別センサ部は、発熱体及び感温体を含む濃度検知部と、尿素水溶液の温度を測定する液温検知部とを有している。
一方、支持部は、この識別装置の上端部に位置し、尿素水溶液タンクの開口部と取付け可能な取付け部と、その上方に位置する回路基板とを有し、取付け部の下方に位置する濃度識別センサ部を筒状管部材で支持している。この支持部のうち、回路基板は、濃度検知回路を構成し、蓋部材によって覆われている。また、この回路基板は、識別装置のうち、配線により濃度識別センサ部の濃度検知部及び液温検知部と電気的に接続されている。この特許文献1に係る識別装置では、一端側で回路基板と電気的に接続された配線は、その一部を機械的に保持、拘束しないまま、支持部の筒状部材の内側を通して、他端側で濃度検知部及び液温検知部の所定部位に電気的に接続されている。
特開2005−84026号公報
しかしながら、この特許文献1に係る識別装置のような形態からなる液体状態検知センサを車載等して実使用する場合には、振動や衝撃、特に上下方向の振動や衝撃が液体状態検知センサに掛かる虞がある。この場合、リード線が、ハンダ付け等により配線基板に機械的に接続された状態で、下方に延びる形態とされていると、リード線の自重や、上下方向の振動や衝撃に起因して、リード線と配線基板との機械的接続部分に、大きな繰り返し応力や衝撃力が掛かる虞がある。
このため、繰り返し応力による疲労によって経時的に、あるいは衝撃力により瞬間的に、機械的接続部分に亀裂や破断が生じる。
これにより、液体状態検知センサのうち、センサ素子からの出力にノイズが生じたり、
極端な場合には断線して適切にセンサを使用できなくなる虞がある。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、液体の状態を検知する液体状態検知センサに振動や衝撃が掛かった場合でも、導電経路部材と配線基板との機械的接続部分における損傷の発生が抑制できる液体状態検知センサを提供することを目的とする。
その解決手段は、被測定液体に少なくとも一部を浸漬して、上記被測定液体の状態を検知する液体状態検知センサであって、上記被測定液体と少なくとも一部が接触して、上記被測定液体の状態を検知するセンサ素子と、上記センサ素子の上方に配置され、上記センサ素子を駆動し、上記センサ素子から上記被測定液体の状態に関する信号を取得する駆動制御回路を含む配線基板と、上記配線基板に機械的に接続され下方に延び、上記駆動制御回路と上記センサ素子とを電気的に導通してなる導電経路部材と、上記配線基板の下方で上記センサ素子の下端よりも上方に位置し、上記導電経路部材を遊挿状態に包囲する包囲管と、上記導電経路部材のうち上記配線基板と上記センサ素子との間に位置する被保持部を固定して保持する固定保持部と、を備え、上記導電経路部材は、1本または複数のリード線を含む中実円柱状のケーブルであり、前記固定保持部は、前記包囲管の上端よりも上方に位置してなる液体状態検知センサである。
本発明の液体状態検知センサでは、導電経路部材のうち被保持部が固定保持部に固定されている。
このため、このセンサでは、振動や衝撃が加わっても、少なくとも導電経路部材のうち被保持部よりも下方の部分の自重、振動や衝撃によって生じる繰り返し応力や衝撃力などの荷重が、配線基板とリード線との機械的接続部分に加わることを防止できる。従って、機械的接続部分に亀裂や破断が生じることが防止され、適切にセンサを使用し続けることができる。
導電経路部材のうち被保持部よりも下方の下方部の自重が大きいほど、上述のようにすることによる、導電経路部材と配線基板との機械的接続部分における損傷抑制の効果が高くなる。本発明では、導電経路部材にケーブルを用いているので、この点でも特に好ましい。
しかも、本発明の液体状態検知センサは、固定保持部を、包囲管の上端よりも上方に配置している。液体状態検知センサに固定保持部を設けるに当たり、包囲管内の適切な位置に固定保持部を設けることも可能であるが、包囲管の加工や導電経路部材の挿通などの組立が面倒となる虞がある。これに対し、包囲管の上端よりも上方に固定保持部を設ける構成とすることで、固定保持部の構造に自由度が高く、組立も容易に出来る。
なお、液体状態検知センサとしては、例えば、液体温度センサや液体濃度センサ、液体の種類を識別するセンサ、さらにはこれらと他のセンサとを複合したセンサ等が挙げられる。
また、導電経路部材としては、駆動制御回路とセンサ素子との間を電気的に導通し、かつ配線基板に機械的に接続しうる部材であれば良いが、例えば、撚り線をポリエチレン等の樹脂で被覆した被膜線、エナメル線などのリード線のほか、複数のリード線を1つのケーブルとしてまとめた多芯ケーブル、芯線と同軸に配置した編組を有する同軸ケーブル等を挙げることができる。
さらに、配線基板と導電経路部材との機械的接続としては、例えば、リード線の芯線を配線基板にハンダ付けにより接続する方法が挙げられる。また、配線基板とリード線とを端子部材を介して接続する方法も挙げられる。
さらに、上記の液体状態検知センサであって、前記固定保持部は、前記導電経路部材のうち前記被保持部よりも下方に位置する部分の自重の10倍以上の引き抜き強度で、上記導電経路部材を保持してなる液体状態検知センサとすると良い。
本発明の液体状態検知センサでは、上述の引き抜き強度を有した固定保持部で導電経路部材を固定保持している。
これにより、この液体状態検知センサを自動車等に搭載した場合において、この液体状態検知センサに振動や衝撃が加わったときでも、固定保持部で導電経路部材を確実に保持できる。このため、配線基板と導電経路部材とのハンダ付け等の機械的接続の部分における亀裂等の不具合発生を確実に防止することができる。
なお、固定保持部は、導電経路部材のうち被保持部よりも下方に位置する部分の自重の20倍以上の引き抜き強度を有することが、保持力を高める観点から好ましい。
さらに、上述のいずれかに記載の液体状態検知センサであって、前記固定保持部は、前記導電経路部材の前記被保持部のうち、その外周の一部を径方向内側に変形させて上記被保持部を咬持する咬持部を含む液体状態検知センサとすると良い。
本発明の液体状態検知センサは、その固定保持部に咬持部を含む。これにより、固定保持部は、その咬持部で咬むように導電経路部材の被保持部を保持するので、確実に導電経路部材を保持できる。
なお、咬持部は、被保持部の外周の一部を径方向内側に変形させて上記被保持部を咬持する形態を有するものであればよいが、例えば、導電経路部材の被保持部について、その外周のうち周方向の一部、複数箇所(例えば対向する2箇所)を径方向内側に変形させるように押圧して咬持する形態や、外周を歯車状に規則的に径方向内側に押圧変形させて咬持する形態が挙げられる。
さらに、上述のいずれか1項に記載の液体状態検知センサであって、前記包囲管は、円筒形状であり、上記包囲管の内径と前記ケーブルのうち上記包囲管の内側に位置する部位の外径との径差が1.5mm以下とされてなる液体状態検知センサとすると良い。
本発明の液体状態検知センサでは、包囲管の内側に遊挿状態に配置される導電経路部材は、包囲管の内周との径差が1.5mm以下とされた、外径を有する中実円柱状のケーブルによって構成されている。
従って、外部からの振動により、この包囲管内で導電経路部材がその径方向に振れることがあっても、その振動は包囲管で制限されるため、導電経路部材のうち、被保持部、さらには、配線基板と機械的に接続された部分への、このような振動の影響を抑制することができる。
さらに、上述のいずれか1項に記載の液体状態検知センサであって、前記液体は、尿素水溶液である液体状態検知センサとすると良い。
本発明の液体状態検知センサで検知する液体は尿素水溶液である。この液体状態検知センサは、例えば、背景技術で述べたように、ディーゼルエンジン等を搭載した自動車に搭載される排気ガス浄化装置で使用される尿素水溶液について、その温度や尿素の濃度を検知するセンサとして用いることができる。
このような自動車の排気ガス浄化装置にこの液体状態検知センサを用いた場合、自動車の動き等に起因して、特に上下方向の振動や衝撃による外力が加わった場合でも、固定保持部が導電経路部材のうち被固定保持部を保持している。このため、リード線と配線基板との機械的接続部分にこのような外力が及ぶのを抑制することができる。
(実施形態)
本発明を具体化した液体状態検知センサの一実施の形態について、図1〜図6を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る液体状態検知センサ1の形態及び構造を示す部分破断断面図である。図2は、基部10の縦断面図である。図3は、基部10を別方向から見たときの縦断面図である。図4は、内筒ケーブル保持部60についての分解斜視図である。図5は、絶縁板90を示す図であり、(a)は上面図、(b)は正面図である。図6は、リード線保持具110を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は上面図である。
なお、以下、本実施形態の液体状態検知センサ1及び各部品の説明では、図1において軸線P方向に沿う方向(軸線方向)のうち、図1中上方を基端側とし、図1中下方を先端側とする。
本発明の実施の形態における液体状態検知センサ1は、例えば、ディーゼルエンジン等を搭載した自動車の排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を、尿素水溶液で還元して無害化する排気ガス浄化装置において、収容タンクに収容された尿素水溶液の濃度や、尿素水溶液の液位を検知する装置である。
この液体状態検出センサ1は、液体状態検出センサ1の基端側に位置する基部10と、この基部10から先端側に延びる筒状のセンサ部210とを備える。
センサ部210は、液面レベルセンサ部220とこれの先端部分に位置する液体濃度センサ部250とを有する。また、基部10は、本体部材20、蓋部材30、及びこれらに包囲された配線基板40、さらに、配線基板40と液体濃度センサ部250とを接続するケーブル50と、液面レベルセンサ部220の内筒221及びケーブル50を本体部材20内に保持する内筒ケーブル保持部60とを有する。
この液体状態検出センサ1は、その基部10を、尿素水溶液を収容した収容タンク(図示せず)に取り付けて、基部10より先端側に設けたセンサ部210を尿素水溶液に浸漬させて用いる。
液体状態検出センサ1のうち、まず、基部10について説明する。
基部10のうち、本体部材20は、金属からなり、図1に示すように、大略矩形板状の本体部21と、この本体部21の周縁部分から基端側に延びる矩形筒壁状の包囲部22と、本体部21の側面から径方向外側に突出する鍔状のフランジ部23と、本体部21の中央から先端側に突出する円筒状の外筒接続部24とを備える。
図2及び図3に示すように、またこの本体部材20の中央には、軸線Pに沿って本体部21及び外筒接続部24を貫通するケーブル挿通孔20Hが形成されている。このケーブル挿通孔20Hは、先端側に位置する断面円形の円孔部20Haと、これより基端側に位置し円孔部20Haの径より一辺の寸法が大きな断面略正方形状の角孔部20Hbとからなり、本体部21内においてこれらの間には段差面21cが形成されている。このケーブル挿通孔20H内には、内筒ケーブル保持部60をなす各部材が配置保持されている。
本体部21のうち基端側の底面21bには、後述する押え板120をネジ止めするための雌ネジ孔21dが、ケーブル挿通孔20Hを挟んで2箇所形成されている。
また、包囲部22は矩形筒状であり、その直方体形状の内部空間である基板収納孔22hは、本体部21の基端側の底面21bを底面とする有底孔をなしつつも、中央部分で本体部22のケーブル挿通孔20Hと互いに連通している。この基板収納孔22h内には、包囲部22の四隅から内向きに突出する基板支持部22aが形成されている。このうち基端側の基板支持面22auに自身の四隅を当接させてネジ止め(図示しない)することにより、配線基板40が保持されている。この基板支持面22auは、その軸線P方向の位
置(配線基板40の下面の位置)が、後述する内筒ケーブル保持部60のうちリード線保持具110のアーチ部111(リード線保持部113)よりも基端側に位置するように構成されている。かくして、この基板支持部22aは、配線基板40を底面21bから基端側に離した位置で、この配線基板40を支持する。
また、フランジ部23は、矩形状の本体部21のうち先端側のタンク取付面21aと面一のフランジ取付面23aを形成して、径方向外側に向けて四方(図2,3においてそれぞれ左右方向)に拡がった平面視ロ字状の鍔形状を有している。このフランジ部23の各所には、ボルト挿通孔23c(図3参照)が穿孔されており、このボルト挿通孔23cを用いて、図示しない収容タンクの開口部の周縁に、フランジ取付面23aを向けて液体状態検知センサ1を取付ける。このフランジ取付面23aと反対側の蓋部材当接面23bは、後述する蓋部材30のフランジ部31の本体部材当接面31aと当接している。
また、外筒接続部24のうち先端側には、基端部側よりもやや径小の接続段部24aが形成されており、液面レベルセンサ部220を構成する外筒231の基端部分が、この接続段部24aを覆うように嵌め込まれ、溶接等の接合により互いに固着されている。そして、本体部材20と、配線基板40上に形成される駆動制御回路41の接地電位をなすパターンとを電気的に接続させることで、外筒231は、接続段部24aを含む本体部材20を介して配線基板40上の駆動制御回路41と導通するとともに、接地電位とされる。
次に、基部10をなす部材のうち、配線基板40について説明する。この配線基板40は、矩形平板状であり、詳細は図示しないが、この配線基板40上には駆動制御回路41が構成されている。この駆動制御回路41は、CPU、ROM、RAM、その他の電気回路等を備えており、外部接続ケーブル42を通じて供給された電力を用いて、液面レベルセンサ部220及び液体濃度センサ部250を駆動するとともに、これらの出力信号を処理する。さらに、その処理結果を、外部ケーブル42を通じて図示しない外部の電気回路(例えば、ECUなど)に出力可能に構成されている。
この駆動制御回路41は、液面レベルセンサ部220においては、後述する内筒221及び外筒231の間に交流電圧を印加して、これらの間に生じるキャパシタンスの大きさを検知し、これに基づいて尿素水溶液の液位を算出し、出力信号として外部へ送信する。
また、液体濃度センサ部250においては、ケーブル50を通じて尿素水溶液に浸漬された濃度センサ素子260に設けられた図示しない発熱抵抗体に所定の時間定電流を流して濃度センサ素子260を発熱させると共に、所定時間の通電による発熱抵抗体の両端の電圧(電位)変化を検知して、尿素水溶液の濃度を算出し出力信号として外部へ送信する。
なお、外部接続ケーブル42は、これに含まれるリード線43の一端を配線基板40の所定部位にハンダ付けすることで、駆動制御回路41と接続している。
この配線基板40は、前述したように、包囲部22内の基板収納孔22h内に配置されており、さらに断面略コ字状の蓋部材30により覆われて保護されている。この蓋部材30は、有底方形筒状で、その開口端周縁にフランジ部31を備えている。この蓋部材30の側部(図2中、左側面)には、グロメット孔30bが穿孔されており、このグロメット孔30bには、ゴム製のグロメット44が嵌め込まれている。グロメット44の挿通孔45には、外部接続ケーブル42が遊挿されている。またこの蓋部材30は、そのフランジ部31の本体部材当接面31aを本体部材20のフランジ部23における蓋部材当接面23bに当接させて、配線基板40及び包囲部22の外側面を覆い、配線基板40等を外部から保護している。なお、図示はしてないが、基部10の包囲部22の内側にはウレタン樹脂が充填され、配線基板40等を収容した包囲部22内の防水性を確保している。
次に、ケーブル50について説明する。このケーブル50は、駆動制御回路41と濃度センサ素子260との間を電気的に導通し、かつ配線基板40に機械的に接続してなるケーブルであり、その内部に2本のリード線52を含む中実円柱状の2芯ケーブルである。このケーブル50は、後述する内筒221内に遊挿されている。但し、このケーブル50の外径D1(6.4mm)は、後述する内筒221の内径D2(7.0mm)との径差△D(D2−D1)が△D=0.6mmである。このように、径差△Dが1.5mm以下となるように寸法を調整することで、ケーブル50が内筒221内でその径方向に大きく動くことが抑制されている。
次に、内筒ケーブル保持部60について、図2〜図6を参照して説明する。
本実施形態における内筒ケーブル保持部60は、図4の分解斜視図に示すように、5つの部材からなる。具体的には、最も先端側(図4において下方)の位置に配置する電極支持部材70から、基端側(図4中、上方)に向けて順に、電極部材80、絶縁板90、リード線保持具110、及び押え板120から構成されている。
これらの部材からなる内筒ケーブル保持部60では、センサ部210のうち、液面レベルセンサ部220の一方の電極として用いる内筒221を、機械的に保持するとともに、電極部材80を介して配線基板40上の駆動制御回路41に電気的に接続する。また、後述する濃度センサ素子260と配線基板40上の駆動制御回路41とを電気的に接続するケーブル50を、絶縁板90の固定保持部94でぶら下げるようにして保持している。
この内筒ケーブル保持部60の各部材について、順に説明する。まず、電極支持部材70は、絶縁性の硬質樹脂(例えば、ナイロン)からなり、基端側に位置する正方形板状の支持フランジ部71と、この支持フランジ部71の先端側の面である本体部材当接面70aから先端側に延びる円筒状の内筒包囲部74とを有する。この電極支持部材70のうち、支持フランジ部71の基端側には、次述する電極部材80(電極基体81)に適合する二面取りされた略円板状の電極部材収納凹部72が凹設されており、この底面は電極部材80(電極基体81)が当接する電極部材当接面70bとなっている。
一方、内筒包囲部74内には、内筒挿通孔73が貫通して形成されており、この内筒挿通孔73は、支持フランジ部71の電極部材収納凹部72と連通している。この内筒挿通孔73には、内筒221が挿通されている。
この電極支部部材70は、図1〜図3に示すように、本体部材20のケーブル挿通孔20H内に配置されている。具体的には、ケーブル挿通孔20Hの円孔部20Ha内に、従って、外筒接続部24の内側に内筒包囲部74が配置され、また、角孔部20Hb内に、従って、本体部22内に支持フランジ部71が配置されている。これにより、支持フランジ部71の本体部材当接面70aと、本体部21の段差面21cとが当接してなる。
また、内筒包囲部74の外周には、図2〜図4に示すように、外側Oリング埋設溝74aが形成されており、この外側Oリング埋設溝74a内に外側Oリング131が配置されて、本体部材20(外筒接続部24)と電極支持部材70(内筒包囲部74)との間が液密にシールされている。
さらに、この内筒包囲部74の内周には、内側Oリング埋設溝74bが形成されており、この内側Oリング埋設溝74b内に内側Oリング132が配置されて、内筒221(詳細には、その外周の絶縁性被膜222)と電極支持部材70(内筒包囲部74)との間が液密にシールされている。
ついで、内筒ケーブル保持部60の電極部材80について説明する。金属からなるこの電極部材80は、図4から容易に理解できるように、外側面が二面取りされた略円環板状をなす電極基体81と、これに固着された2つの電極端子82とからなる。この電極基体81の中央には、内筒221と嵌合可能な内径とされ、電極基体81のうち基端側の電極
端子接続面81bと先端側の支持部材当接面81aとの間を貫通する内筒挿通孔81cが形成されている。
この電極基体81の内筒挿通孔81cには内筒221の基端部分が嵌合され、電極基体81と内筒221とが溶接により一体とされている。なお、内筒221の基端側端221uの面(端面)と、電極基体81の電極端子接続面81bとは面一にされている。
なお、後述するように、内筒221の外表面には絶縁性被膜222が形成されるが、電極基体81の内筒挿通孔81c内の部分(内筒221の基端部分)には、この絶縁性被膜222は形成されていない。従って、内筒221と電極基端81とは直接接触して、電気的に導通している。
さらに、この電極基体81の電極端子接続面81bには、2つの電極端子82の電極固定部84が、内筒挿通孔81cを挟んで対称に配置され、スポット溶接により機械的に固着され、電気的に接続されている。この電極端子82は、基板挿通部83と電極固定部84との間で直角に曲げられたL字状の端子部材である。
なお、本実施形態では電極端子82は2ヶとした。この電極端子は、少なくとも1つあればよいが、配線基板40上の駆動制御回路41と内筒221とを確実にかつ低抵抗で接続するために、2ヶとしたものであるが、さらに多数の電極端子で駆動制御回路41と内筒221とを接続することもできる。
この電極部材80は、前述した電極支部部材70の電極部材収納凹部72内に、電極基体81の一部が嵌め込まれて、電極部材当接面70bと支持部材当接面81aとが当接して位置決めされている。
また、電極端子82の基板挿通部83は、後述する絶縁板90の電極端子挿通孔92及び押え板120の電極端子挿通孔122内を貫通し、さらに、配線基板40を貫通して駆動制御回路41にハンダ付けにより電気的に接続している(図3,4参照)。
次に、内筒ケーブル保持部60の絶縁板90について説明する。この絶縁板90は、絶縁性を有する硬質樹脂からなり、図4及び図5から容易に理解できるように、矩形板状である。この絶縁板90の中央部には、先端側の電極部材当接面90aと、基端側の押え板当接面90bとの間を貫通するケーブル挿通孔91が穿孔されている。しかも、押え板当接面90bのうちケーブル挿通孔91の周縁には、基端側(図4中、上方)に向けて立ち上がる突起爪状の固定保持部94が、ケーブル挿通孔91を挟んで対向する形態で、2つ形成されている。
この固定保持部94は、押え板当接面90bのうちケーブル挿通孔91の周縁から、基端側(図4中、上方)に向けて円弧状に延び、その外周面94aは概略円筒面とされている。またこの固定保持部94は、その先端部分において、先端を径方向内側に向けて曲げた形状とされている。従って、この固定保持部94の先端部分は、ケーブル挿通孔91に挿通されたケーブル50のうち被保持部51の外周面をその径方向内側に向けて押圧し、変形させ、この被保持部51を咬持する咬持部95となっている(図3参照)。このように、本実施形態では、一対の固定保持部94の咬持部95で、ケーブル50の被保持部51を咬むようにして保持するので、十分な保持力で確実にケーブル50を保持できる。
また、本実施形態では、内筒221の基端側端221uよりも基端側(図2,3において上方)の位置に固定保持部94(咬持部95)を配置し、ケーブル50の被保持部51を固定し保持している。つまり、本実施形態では、内筒ケーブル保持部60において、ケーブル50のうち、内筒211の基端側端211uよりも基端側の部分、即ち径方向外周に内筒211が存在しない部分に被保持部51を設定し、ここを固定保持する構成としている。従って、内筒211内に、ケーブル50を固定保持する固定保持部を形成する場合に比して、形成容易であり、また保持力の設定も容易である。
また、この絶縁板90のうち、固定保持部94の外側には、前述したように、電極端子82の基板挿通部83を挿通する電極端子挿通孔92が穿孔されている。また、ケーブル挿通孔91の径方向外側で、固定保持部94及び電極端子挿通孔92の位置とは軸線P周りに90度回転した位置に、保持具配置孔93が、ケーブル挿通孔91を挟んで2箇所穿孔されている。この保持具配置孔93内に、次述するリード線保持具110のベース部112を配置することで、リード線保持具110が位置決めされる。
絶縁板90は、電極部材当接面90aで、電極部材80(電極基体81)の電極端子当接面81bと当接して、軸線P方向の位置決めがなされている。また、絶縁板90の周方向の位置決めは、本体部材20のケーブル挿通孔20Hの角孔部20Hbとの嵌め合いにより決定されている。
次に、内筒ケーブル保持部60のリード線保持具110について説明する。リード線保持具110は、絶縁性の樹脂からなり、図4及び図6に示すように、2箇所のベース部112と、この間を結び基端側にアーチ状に突出するアーチ部111とを含む。このアーチ部111のうち、その頂部には、基端側が平坦面とされたリード線保持部113を含む。このリード線保持部113には、ケーブル50の2本のリード線52を側方から嵌め込み可能とする2つの切り欠き113a,113aが互いに離間して形成されている。この切り欠き113aのうち奥部分には、入り口部分よりもやや径大とされたリード線保持部位113bが形成され、この部分にリード線52を保持できるように構成されている。
リード線保持具110のうちベース部112は、絶縁板90と同じ厚さとされており、前述したように、保持具配置孔93内に配置されて、リード線保持具110の位置決めがなされている。このベース部112のうち基端側の基端側面112aは、次述する押え板120の押え面120aと当接して押え板120に押圧されて固定される。
一方、アーチ部111は、図2,図3に示すように、絶縁板90の基端側の面である押え板当接面90bから基端側(図2,3中、上方)に突出するように配置されている。絶縁板90の固定保持部94よりも基端側に位置するリード線保持部113には、その切り欠き113aのリード線保持部位113bに、ケーブル50のリード線52がそれぞれ嵌め込まれて個別に保持されると共に、互いに離間されて絶縁を保つようにされている。このリード線52は、図2,図3に示すように、それぞれ配線基板40に挿通され、これに形成された駆動制御回路41に、接続部位SLにおいてハンダ付け等により電気的及び機械的に接続されている。
なお、リード線52と駆動制御回路41との接続方法は、ハンダ付けに限定されるものでなく、例えば、各種端子部材を介して接続される方法でも良い。
次に、内筒ケーブル保持部60の押え板120について説明する。この押え板120は、金属からなり、外側面が2面取りされた略円板状をなしている。この押え板120は、その中央部に、長辺の中央部分が弧状に膨らんだ固定保持部包囲部位121aを有する概略細長矩形状の保持具挿通孔121を有する。この固定保持部包囲部位121aの径方向外側には、これを挟むようにして、2つの電極端子挿通孔122を有する。この押え板120は、さらに、保持具挿通孔121の径方向外側で、その固定保持部包囲部位121a及び電極端子挿通孔122の位置とは軸線P周りに90度回転した方向に、保持具挿通孔121を挟んで、2つの止めネジ挿通孔123を有する。
保持具挿通孔121は、その中に、リード線保持具110のアーチ部111及び絶縁板90の固定保持部94(咬持部95)を挿通してなり、その固定保持部包囲部位121aは、絶縁板90の固定保持部94の外周面94aと嵌合して、この固定保持部94を径方向内側に押圧している。これにより、固定保持部94(咬持部95)において、ケーブル50の被保持部51を咬持(固定保持)する保持力がより大きくされている。
さらに、この固定保持部94(咬持部95)でケーブル50の被保持部51を咬持(固
定保持)し続けた場合、被保持部を押圧する押圧力の反力で、固定保持部94(咬持部95)が径方向外側に移動し、ケーブル50の被保持部51を咬持(固定保持)する保持力が経時的に低下する虞がある。しかし、本実施形態では、保持具挿通孔121の固定保持部包囲部位121aで、絶縁板90の固定保持部94を径方向内側に押圧しているため、ケーブル50の被保持部51を咬持(固定保持)する力の経時的低下が防止される。従って、固定保持部94(咬持部95)でケーブル50の被保持部51を咬持(固定保持)し続ける保持力を、長期間に渡って維持することができる。
なお、押え板120の電極端子挿通孔122には、前述したように、電極端子82の基板挿通部83が挿通されている。
また、この押え板120は、止めネジ挿通孔123を挿通し、本体部材20の本体部21に形成したネジ孔21dに螺入した押え板止めネジ29により、押え板120を先端側(図2,3において下方)に向けて付勢した状態で、本体部材20の本体部21に固定されている。
このため、リード線保持具110のベース部112がその基端側面112aで、また絶縁板90がその押え板当接面90bで、押え板120の押え面120aにより先端側に押圧され、電極部材80の電極基体81との間に挟持される。また、電極基体81は、その支持部材当接面81aで、電極支持部材70の電極部材当接面70bを押圧し、さらに、この電極支持部材70は、その本体部材当接面70aで、本体部材20の本体部21の段差面21cを押圧する。
かくして、内筒ケーブル保持部60を構成する各部材が、ケーブル挿通孔20H内で固定される。また、内筒122も固定される。さらに、ケーブル50も、その被保持部51で内筒ケーブル保持部60に、具体的には、絶縁板90の固定保持部94の咬持部95に、固定保持されている。
次に、センサ部210について説明する。このうちまず、液面レベルセンサ部220について説明する。
液面レベルセンサ部220は、図1に示すように、軸線Pに沿う方向(軸線方向)に延びた円筒形状の外筒231と、その内部においてこの外筒231と同軸に配置された円筒形状の内筒221とを含む。この外筒231と内筒221とは、所定間隔で離間している。なお、本実施形態の内筒221は、本件発明における包囲管に対応している。
この液面レベルセンサ部220のうち、内筒221は、金属からなり、液面レベルを測定するための一方の電極として、外筒231と電気的に絶縁しつつ外筒231と対向した形態に配置されている。また、前述したように、内筒ケーブル保持部60(電極部材80)を経由して、駆動制御回路41に電気的に導通している。この内筒221の外周面には、外筒231との絶縁を確実に取るため、例えば、PTFE,PFA,ETFE等のフッ素系樹脂やエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などからなる絶縁性被膜222が形成されている。
また、この内筒221は、前述したように、内筒ケーブル保持部60のうち、電極支持部材70の内筒包囲孔74内、及び電極基体81の内筒挿通孔81c内に挿入され、基端側端221uの面が電極端子接続81bと面一になるようにして、溶接等により電極基体81に固着されてなる。
また、外筒231も、金属からなり、液面レベルを検出するための他方の電極として、駆動制御回路41に導通してグランド電位とされている。この外筒231は、軸線P方向を長手方向とした細幅形態のスリット232を、所定位置に複数有しており、このスリット232を通じて、外筒231と内筒221との間の空間に、外部と連通した状態で、尿素水溶液(被測定液体)を収容できるようになっている。また、外筒231のうち、その
先端側は開口する一方、その基端側は、本体部材20の外筒接続部24に溶接されている。また、外筒231のうち、その先端部分には、後述するゴムブッシュ300が内筒221の先端部分との間に介在した形態で配置されており、このゴムブッシュ300の突起部312と係合させるための係合孔223が、外筒231の周方向の所定位置に、等間隔で複数箇所に穿孔されている(図1参照)。
液面レベルセンサ部220で尿素水溶液の液位を検知する原理を簡単に説明する。液面レベルセンサ部220を尿素水溶液に浸漬して、尿素水溶液をスリット232等を通じて、外筒231と内筒221(絶縁性被膜222)との間に流入させておく。すると、外筒231と内筒221との間では、液位に応じ、尿素水溶液が存在する部分と、存在しない部分とができる。内筒221と外筒231の間に交流電圧を印加すると、これらの間に生じた静電容量に応じた交流電流が流れるが、液位が変化するとそれに応じて内筒221と外筒231の間の静電容量も変化し、流れる交流電流も変化する。そこで、静電容量(交流電流)の大きさから尿素水溶液の液位を検知する。
次に、液体濃度センサ部250について、図1を参照して説明する。
この液体濃度センサ部250は、液面レベルセンサ部220の先端部分に配置され、濃度センサ素子260、セパレータ270、ホルダ部材280、プロテクタ290及びゴムブッシュ300等から構成されている。
このうち、濃度センサ素子260は、ホルダ部材280から先端側(図1中、下方)に向けて、自身の一部が突出した形態で、このホルダ部材280内に保持されている。この濃度センサ素子260の基端側には、一対の接続端子261が基端側に突出する形態で接続されており、この接続端子261には、それぞれケーブル50のリード線52がハンダ付けによって接続されている。かくして、濃度センサ素子260は、接続端子261及びケーブル50を介して、配線基板40上の駆動制御回路41と電気的に接続されている。
また、濃度センサ素子260及びホルダ部材280のうち、これらの基端側では、この濃度センサ素子260とホルダ部材280との間に内筒221が挿入されている。このため、内筒221の先端部分では、その内側に、濃度センサ素子260のうち基端側の一部、及び接続端子261が位置している。また、前述したように、この内筒221内には、ケーブル50が挿通されている。なお、この内筒221(絶縁性被膜222)の外周面と、ホルダ部材280の内周面との間には、2つのOリング301,302が配置されて、これらの間から、内筒221内に尿素水溶液(被測定液体)が浸入するのを防止している。また、この内筒221は、配線基板40よりも先端側(図1中、下方)で、濃度センサ素子260の下端260dよりも基端側(図1中、上方)に位置していることとなる。
ここで、液体濃度センサ部250(具体的には、濃度センサ素子260)で尿素水溶液中の尿素濃度を検知する原理を簡単に説明する。まず、尿素水溶液に含まれる尿素の濃度によって、尿素水溶液の熱伝導率が異なることが知られている。このことから、濃度センサ素子260に設けられる発熱抵抗体を用いて、この濃度センサ素子260の周囲に位置する尿素水溶液を一定時間加熱した場合、尿素水溶液の濃度が異なると、尿素水溶液の温度上昇率が異なる。また、発熱抵抗体に定電流を流した場合、発熱抵抗体の周囲の温度上昇に略比例して、発熱抵抗体の抵抗値が変化することも知られている。このことから、濃度センサ素子260に設けられる発熱抵抗体に一定時間通電して濃度センサ素子260を発熱させ、通電開始から通電終了までの発熱抵抗体の抵抗値変化に対応したこの発熱抵抗体の両端に発生する電圧(電位)の変化量を検出することで、尿素水溶液中の尿素濃度を検出することができる。
内筒221の先端部分には、セパレータ270が嵌め込まれている。セパレータ270は、絶縁性のゴム状弾性体からなり、内筒221内において、濃度センサ素子260のう
ち基端側の一部、及び接続端子261を内部に収容し、接続端子261と内筒221との間、及び接続端子261同士の間に介在して、これらの部材間の絶縁を行っている。
さらに、ホルダ部材280は、その先端部分にこれと嵌合するプロテクタ290が係合されてなり、このプロテクタ290によって、濃度センサ素子260のうち、ホルダ部材280から先端側に突出した部分を包囲し保護している。なお、このプロテクタ290には、自身の内外を尿素水溶液が流通可能とするための液流通孔を適数かつ適宜の位置に備えている。
ゴムブッシュ300は、ホルダ部材280の外形と嵌合する形状のホルダ保持孔300aを備えている。自身の内部にホルダ部材280を保持した状態で、このゴムブッシュ300は、突起部312を外筒231の係合孔223に係合させて、この外筒231の先端部分に固定保持されている。かくして、液体濃度センサ部250は、内筒221と外筒231の先端部分において、これらの間に保持されている。
ついで、ケーブル50によって生じる荷重について説明する。前述したように、ケーブル50は、自身の先端側(図1中、下方)において、濃度センサ素子260の接続端子261に接続されている。一方、自身の基端側(図1,2,3中、上方)において、被保持部51が、内筒ケーブル保持部60の、さらに詳細には、絶縁板90の固定保持部94の咬持部95に咬持され、固定保持されている。また、その基端は、リード線52とされて、接続部位SLにおいて、配線基板40上の駆動制御回路41にハンダ付けにより、電気的にも機械的にも接続されている。
ところで、ケーブル50は、内筒122内に遊挿状に挿通されている。
このため、もし、絶縁板90に固定保持部94(咬持部95)を設けず、ケーブル50を固定保持しなかった場合には、このケーブル50自身の重量は、リード線52を通じて、配線基板40(駆動制御回路41)との接続部位SLに掛かることとなる。しかも、本実施形態の液体状態検知センサ1は、尿素水溶液の収容タンクとともに車等に搭載されるので、その走行時に、振動や衝撃が掛かる。すると、ケーブル50の自重に加えてこのような振動や衝撃、特に軸線P方向の振動や衝撃による荷重が接続部位SLに掛かる。従って、繰り返し振動が掛かることで経時的に、あるいは大きな衝撃が掛かることで瞬間的に、この接続部位SLにおいて、ハンダに亀裂が入る、リード線52が断線する、リード線52が配線基板40から抜けるなどの不具合を生じる虞がある。
しかるに、本実施形態の液体状態検知センサ1は、図3に示すように、接続部位SLにおいてリード線52を配線基板40にハンダ付けしているのみならず、絶縁板90に固定保持部94(咬持部95)を設け、ケーブル50を、その被保持部51において咬持(固定保持)している。
具体的には、本実施形態の液体状態検知センサ1では、また、絶縁板90に固定保持部94(咬持部95)におけるケーブル50の保持力を、引き抜き強度で測定して、ケーブル50の下方部50aの自重(約50gf=約0.49N)の10倍以上の20Nとしている。
従って、この被保持部51より先端側(下方)の下方部50a(図3参照)の自重を、固定保持部94(咬持部95)で支えることができる。また、振動や衝撃が本実施形態の液体状態検知センサ1に掛かっても、それによる荷重をも固定保持部94(咬持部95)で支えることができる。このため、配線基板40とリード線52との接続部位SLに過大な荷重が掛かることが防止され、この接続部位SLでハンダに亀裂が入る、リード線52が断線する、リード線52が配線基板40から抜けるなどの不具合を生じる虞がなく、適切に液体状態検知センサ1を使用し続けることができる。
なお、ケーブル50の引き抜き強度は、液体状態検知センサ1において、内筒221、
外筒231、及び液体濃度センサ250を除去したものを用意し、万能強度試験機を用いて、本体部材20を固定するとともに、ケーブル50の先端部分を軸線P方向に100mm/分のスピードで引っ張り、ケーブル50が固定保持部94(咬持部95)から抜けた時点での引張力を引き抜き強度(保持力)とした。
また、ケーブル50が、外部からの振動により横揺れすると、これによっても、咬持部95(被保持部51)や配線基板40とリード線52との接続部位SLに、この振動(横揺れ)に伴う応力が掛かる虞がある。
しかるに、本実施形態の液体状態検知センサ1では、前述したように、ケーブル50の外径D1(6.4mm)と内筒221の内径D2(7.0mm)との径差△Dを△D=0.6mm(=D2−D1)としてある。このように、径差△Dを小さく、具体的には△D≦1.5mmとすることにより、外部からの振動によりこの内筒221内でケーブル50がその径方向に振れることがあっても、その振動は内筒221で制限される(図1参照)。したがって、ケーブル50のこのような振動による、被保持部51や配線基板40とリード線52との接続部位SLへの影響を抑制することができる。
(変形形態)
ついで、上述の実施形態の変形形態について、図7〜図11を用いて説明する。
実施形態では、基部10の内筒ケーブル保持部60では、ケーブル50を固定保持する固定保持部94(咬持部95)を絶縁板90において一体的に構成し、固定保持部94の咬持部95でケーブル50の被保持部51を咬むようにしてこのケーブル50を保持させた。
これに対し、本変形形態にかかる内筒ケーブル保持部460では、ケーブル50を固定保持するケーブル保持部500を絶縁板490とは別体で構成している点で実施形態と異なり、残余の部分は同様である。
従って、実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様な部分は、その説明を省略または簡略化する。また、各図において、同様の部材、部位については、実施形態と同じ符号を用いることとする。
図7は、変形形態に係る液体状態検知センサ401のうち、基部410の縦断面図である。また、図8は、液体状態検知センサ401のうち、図7と直交する方向から見た基部410の縦断面図である。図9は、内筒ケーブル保持部460についての分解斜視図である。図10は、絶縁板490を示す図であり、(a)は上面図、(b)は正面図である。図11は、固定保持具500を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は下面図である。
図9に示すように、本変形形態における内筒ケーブル保持部460は、実施形態と同様の電極支持部材70、電極部材80、リード線保持具110、及び押え板120のほか、前述の実施形態における絶縁板90に代えて、絶縁板490及びケーブル保持具500を含む。
このうち、絶縁板490は、絶縁性を有する硬質樹脂からなり、図9及び図10に示すように、矩形板状で、その中央部にケーブル保持具500を挿通する保持具挿通孔496を有している。そのほか、実施形態の絶縁板90における電極端子挿通孔92及び保持具配置孔93と同様の、電極端子挿通孔492及び保持具配置孔493を有する。
また、ケーブル保持具500は、図9及び図11に示すように、それぞれ略C字形状を有する第1ケーブル保持具500A及び第2ケーブル保持具500Bの2つの部材からなる。この第1ケーブル保持具500A及び第2ケーブル保持具500Bは、それぞれ絶縁性の硬質樹脂からなり、図9及び図11に示すように、両者を互いに対向させて、概略、段付き円筒形状となるようにして用いる。この第1ケーブル保持具500A及び第2ケー
ブル保持具500Bは、実質的に同じ形態のものである。この第1ケーブル保持具500A及び第2ケーブル保持具500Bは、それぞれ、大径の円弧形状を有する絶縁板内配置部504A,504Bと、これより小径の円弧形状を有する押え板内配置部503A,503Bとが2段に重ねられた形状を有している。
このうち、絶縁板内配置部504A,504Bは、それぞれ前述の絶縁板490の保持具挿通孔496内に配置される部位であり、押え板内配置部503A,503Bは、その外周面が押え板120(図9参照)の保持具挿通孔121の固定保持部包囲部121aに当接して径方向内側に向けて押圧される部位である。
また、絶縁板内配置部504A,504Bと押え板内配置部503A,503Bとの段差部分をなす押え板当接面502A,502Bは、押え板120に、具体的には、その押え面120aに押圧される面である。
さらに、第1ケーブル保持具500A及び第2ケーブル保持具500Bの先端側に位置する電極部材当接面501A,501Bは、電極基体81の電極端子接続面81b及び内筒221の基端側端221uと当接する面である。
またさらに、第1ケーブル保持具500A及び第2ケーブル保持具500Bの内側部分は、図11(a)に示すように、周方向に歯車状の凹凸を繰り返しかつこの凹凸が軸線P方向に延びてなる形状を有する咬持部505A,505Bとされている。また、第1ケーブル保持具500Aと第2ケーブル保持具500Bとを対向させたとき、咬持部505A,505Bに内接する仮想円Lの径は、ケーブル50の外径D1よりやや小さくされている。
本変形形態の液体状態検知センサ401における内筒ケーブル保持部460では、図7,図8に示すように、ケーブル50を絶縁板490の保持具挿通孔496内に挿通した状態で、第1ケーブル保持具500A及び第2ケーブル保持具500Bとを対向させて、絶縁板490の保持具挿通孔496内に嵌め込む。さらに、実施形態と同様、リード線保持具110のベース部112を保持具配置孔493内に配置して、押え板120の保持具挿通孔121内に、リード線保持具110のアーチ部111及び第1ケーブル保持具500A及び第2ケーブル保持具500Bの押え板内配置部503A,503Bを挿通する。これと共に、押え板120の保持具挿通孔121の固定保持部包囲部位121aで、第1ケーブル保持具500A及び第2ケーブル保持具500Bの押え板内配置部503A,503Bの外周面を、それぞれ径方向内側に押圧する。これにより、第1ケーブル保持具500A及び第2ケーブル保持具500Bの咬持部505A,505Bにおける複数の凸条部分が、ケーブル50の被保持部51の外周の一部を、それぞれ径方向内側に向けて押圧して変形させるから、この被保持部51においてケーブル50を高い保持力(引き抜き強度)で保持できる。
かくして、この液体状態検知センサ401を自動車等に搭載することで、これに振動や衝撃が加わった場合でも、内筒ケーブル保持部460で、具体的には、第1ケーブル保持具500A及び第2ケーブル保持具500Bの咬持部505A,505Bでケーブル50を確実に保持する。このため、このケーブル50のうち、被保持部51よりも先端側(下方)に位置する下方部50a(図8参照)の自重、振動や衝撃による荷重を、咬持部505A,505Bで支えるから、配線基板40とケーブル50のリード線52と接続部位SLにおいて、ハンダに亀裂が入る、リード線52が断線する、リード線52が配線基板40から抜けるなどの不具合の発生を確実に防止することができ、適切に液体状態検知センサ401を使用し続けることができる。
また、本変形形態でも、押え板120の保持具挿通孔121の固定保持部包囲部位121aで、第1,第2ケーブル保持部500A,500Bの押え板内配置部503A,50
3Bを径方向内側に押圧しているため、ケーブル50の被保持部51を咬持(固定保持)する力の経時的低下が防止される。従って、咬持部505A,505Bでケーブル50の被保持部51を咬持(固定保持)し続ける保持力を、長期間に渡って維持することができる。
なお、本変形形態でも、内筒221の基端側端221uよりも基端側(図7,8において上方)の位置に咬持部505A,505Bを配置し、ケーブル50の被保持部51を固定し保持している。つまり、本変形形態でも、内筒ケーブル保持部460において、ケーブル50のうち、内筒211の基端側端211uよりも基端側の部分に被保持部51を設定し、ここを固定保持する構成としている。従って、内筒211内に、ケーブル50を固定保持する固定保持部を形成する場合に比して、形成容易であり、また保持力の設定も容易である。
以上において、本発明を実施形態及び変形形態に即して説明したが、本発明は、実施形態等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
前述の実施形態等では、ケーブル50のうち、基端(上端)付近を被保持部51として例を示した。しかし、例えば、基部10の形状や配線基板40の位置などに応じ、ケーブルなど導電経路部材のうち、配線基板とセンサ素子との間の適宜の位置を被保持部とすれば良い。この場合でも、被保持部を固定保持部(咬持部)で支えることで、この被保持部より下方の下方部についての自重や振動時や衝撃時にこの下方部にかかる荷重が、導電経路部材と配線基板との機械的接続部分に掛かることを防止できるから、その分、導電経路部材と配線基板との機械的接続部分における損傷を抑制することができる。
また、前述の実施形態等では、2本のリード線52を包含するケーブル50を用いたが、2本のリード線それぞれを内筒221内を挿通させて用いても良い。但し、被保持部よりも下方の下方部の自重が大きいほど、本発明による導電経路部材と配線基板との機械的接続部分における損傷抑制の効果が高くなるので、ケーブルを用いた場合に本発明を適用するのがさらに好ましい。
実施形態に係る液体状態検知センサ1の形態及び構造を示す部分破断断面図である。 液体状態検知センサ1のうち、基部10の縦断面図である。 液体状態検知センサ1のうち、基部10を別方向から見た場合の縦断面図である。 内筒ケーブル保持部60についての分解斜視図である。 絶縁板90を示す図であり、(a)は上面図、(b)は正面図である。 リード線保持具110を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は上面図である。 変形形態に係る液体状態検知センサ401のうち、基部410を縦断面図である。 液体状態検知センサ1のうち、基部410を別方向から見た場合の縦断面図である。 ケーブル保持部460についての分解斜視図である。 絶縁板490を示す図であり、(a)は上面図、(b)は正面図である。 ケーブル保持具500を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は下面図である。
P (液体状態検知センサの)軸線
1,401 液体状態検知センサ(液体状態検知センサの)
10,410 基部
20 本体部材
40 配線基板
SL (リード線と配線基板との)接続部位
41 駆動制御回路
50 ケーブル(導電経路部材)
50a (ケーブルのうち被保持部の)下方部
51 被保持部
52 (ケーブルの)リード線
D1 (ケーブルの)外径
60,460 内筒ケーブル保持部
70 電極支持部材
80 電極部材
90,490 絶縁板
94 固定保持部
95 (固定保持部のうちの)咬持部
110 リード線保持具
120 押え板
210 センサ部
220 液面レベルセンサ部
221 内筒(包囲管)
221u (内筒の)基端側端
D2 内筒の内径
250 液体濃度センサ部
260 濃度センサ素子
260d (濃度センサ素子の)下端
500 ケーブル保持具
500A (一方側の)第1ケーブル保持具
500B (他方側の)第2ケーブル保持具
505A,505B 咬持部(固定保持部)

Claims (5)

  1. 被測定液体に少なくとも一部を浸漬して、上記被測定液体の状態を検知する液体状態検知センサであって、
    上記被測定液体と少なくとも一部が接触して、上記被測定液体の状態を検知するセンサ素子と、
    上記センサ素子の上方に配置され、上記センサ素子を駆動し、上記センサ素子から上記被測定液体の状態に関する信号を取得する駆動制御回路を含む配線基板と、
    上記配線基板に機械的に接続され下方に延び、上記駆動制御回路と上記センサ素子とを電気的に導通してなる導電経路部材と、
    上記配線基板の下方で上記センサ素子の下端よりも上方に位置し、上記導電経路部材を遊挿状態に包囲する包囲管と、
    上記導電経路部材のうち上記配線基板と上記センサ素子との間に位置する被保持部を固定して保持する固定保持部と、を備え
    上記導電経路部材は、1本または複数のリード線を含む中実円柱状のケーブルであり、
    前記固定保持部は、
    前記包囲管の上端よりも上方に位置してなる
    液体状態検知センサ。
  2. 請求項1に記載の液体状態検知センサであって、
    前記固定保持部は、
    前記導電経路部材のうち前記被保持部よりも下方に位置する部分の自重の10倍以上の引き抜き強度で、上記導電経路部材を保持してなる
    液体状態検知センサ。
  3. 請求項1または請求項2に記載の液体状態検知センサであって、
    前記固定保持部は、
    前記導電経路部材の前記被保持部のうち、その外周の一部を径方向内側に変形させて上記被保持部を咬持する咬持部を含む
    液体状態検知センサ。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の液体状態検知センサであって、
    前記包囲管は、円筒形状であり、
    記包囲管の内径と前記ケーブルのうち上記包囲管の内側に位置する部位の外径との径差が1.5mm以下とされてなる
    液体状態検知センサ。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の液体状態検知センサであって、
    前記被測定液体は、
    尿素水溶液である
    液体状態検知センサ。
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