JP4615605B2 - Ge−Cr合金スパッタリングターゲットの製造方法 - Google Patents
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Description
相変化光ディスクは、基板上の記録薄膜をレーザー光の照射によって加熱昇温させ、その記録薄膜の構造に結晶学的な相変化(アモルファス⇔結晶)を起こさせて情報の記録・再生を行うものであり、より具体的にはその相間の光学定数の変化に起因する反射率の変化を検出して情報の再生を行うものである。
また、上記結晶学的な相変化すなわちアモルファスと結晶との相変化を実現する上で、溶融と急冷が光ディスクの相変化記録層だけでなく周辺の誘電体保護層やアルミニウム合金の反射膜にも繰返し付与されることになる。
このなかで反射層と保護層はアモルファス部と結晶部との吸収を増大させ反射率の差が大きい光学的機能が要求されるほか、記録薄膜の耐湿性や熱による変形の防止機能、さらには記録の際の熱的条件制御という機能が要求される(例えば、非特許文献1参照)。
このように、高融点誘電体の保護層は昇温と冷却による熱の繰返しストレスに対して耐性をもち、さらにこれらの熱影響が反射膜や他の箇所に影響を及ぼさないようにし、かつそれ自体も薄く、低反射率でかつ変質しない強靭さが必要である。この意味において誘電体保護層は重要な役割を有する。
この解決方法として、記録層と保護層との間に中間層を設けることが行なわれており、特にその中間層用材料としてGeCrN系の材料が提案されている。
GeCrN系の中間層を形成するに際しては、通常Ge−Cr合金ターゲットを使用し、窒素ガス雰囲気中でのリアクティブスパッタリング(反応性スパッタリング)が行なわれている。
しかし、従来のターゲットでは成膜速度のばらつきがあり、これが原因で膜組成のずれを引き起こし不良品となって歩留まりが低下するという問題が発生した。
また、従来のGe−Cr系等のスパッタリングターゲットとして、ターゲットを構成する高純度Ge又はGe合金は、Ag含有量及びAu含有量がそれぞれ5ppm以下であり、さらに同Ag含有量及びAu含有量のバラツキがそれぞれ30%以内であるターゲットが開示されている(特許文献3参照)。
本発明はこの知見に基づき、
1.ふるい下55μm以下のCr粉と、ふるい下200μm以下でありかつBET比表面積0.1〜0.4m 2 /gであるGe粉を均一に分散混合させた後、焼結することを特徴とするGe−Cr合金スパッタリングターゲットの製造方法、を提供する。
2.ふるい下55μm以下のCr粉と、ふるい下200μm以下でありかつBET比表面積0.1〜0.4m 2 /gであるGe粉を均一に分散混合させた後、焼結し、相対密度が97%以上、ターゲット内の密度バラツキが±1.5%以内、X線回折ピークにおいて、2θが20°〜30°におけるGe相の最大ピーク強度Aと30°〜40°におけるGeCr化合物相の最大ピーク強度Bの比B/Aが0.18以上であるCr5〜50at%を含有するGe−Cr合金スパッタリングターゲットの製造方法。
3.ターゲット内の組成バラツキが±0.5%以内である上記2記載のGe−Cr合金スパッタリングターゲットの製造方法、を提供する。
この高密度Ge−Cr合金ターゲットは、75μm以下(「ふるい下75μm」本願明細書中、同様に使用する)のCr粉と、250μm以下(「ふるい下250μm」本願明細書中、同様に使用する)、BET比表面積0.4m2/g以下、好ましくは0.3m2/g以下であるGe粉を均一に分散混合させた後、焼結することによって製造することができる。
そしてこのようにして形成されるGeCrN系薄膜は、相変化光ディスクの記録層と保護層との中間層として極めて有効である。
Ge粉の比表面積とGeCrターゲットの相対密度%との関係を図1に示す。また、Cr粒径とGeCrターゲットの相対密度%との関係を図2に示す。これらは、それぞれの粉末のふるい下で使用した場合のターゲットの相関図である。また、これらはいずれもGe−20at%Cr、800°C×150kg/cm2の条件ホットプレスした場合である。
また、ふるい下75μmを超えるCr粉、ふるい下250μmを超えかつBET比表面積0.4m2/gを超えるGe粉を使用して焼結した場合、相対密度95%以上が達成できず、同様に成膜速度及び膜組成のばらつきが増加し、製品歩留まりが低下する。
また、Ge−Cr合金スパッタリングターゲット内の密度バラツキが±1.5%以内であること、さらにはターゲット内の組成バラツキが±0.5%以内であることが望ましい。これによって成膜速度及び膜組成のばらつきをさらに改善することができる。
Ge−Cr合金スパッタリングターゲット内には、GeCr化合物相及びGe相が存在し、X線回折ピークにおいて、2θが20°〜30°におけるGe相の最大ピーク強度Aと30°〜40°におけるGeCr化合物相の最大ピーク強度Bの比B/Aが0.18以上であることが望ましい。これによって、均一性をさらに改善することができる。
さらに、上記焼結に際しては、ホットプレスを使用し、焼結温度760〜900°C、面圧75〜250kg/cm2の条件で焼結することが望ましい。
これによって、さらに安定した相対密度が95%以上のGe−Cr合金スパッタリングターゲットを製造することができる。
また、スパッタリングターゲットの密度の向上は、空孔を減少させ結晶粒を微細化し、ターゲットのスパッタ面を均一かつ平滑にすることができるので、スパッタリング時のパーティクルやノジュールを低減させ、さらにターゲットライフも長くすることができるという著しい効果を有する。
純度5N(99.999%)、ふるい下100μmのGe粉と3N(99.9%)、ふるい下55μmのCr粉を準備し、これらの粉をGe−20at%Crとなるように調合し、これを乾式混合した後、カーボン製ダイスに充填し、温度800°C、圧力150kg/cm2の条件でホットプレスを行った。
この焼結体を仕上げ加工してターゲットとした。ターゲットの相対密度は99%(100%密度で5.54g/cm3)であった。このターゲットの3箇所から任意に採取したサンプルの密度をアルキメデスにより測定した。この結果を表1に示す。
次に、このターゲットを用いて、窒素含有アルゴン雰囲気(Ar:N2=25:50sccm)下、電力200Wの条件でリアクティブスパッタリングし、基板上に300Åの厚さにGeCrN膜を形成した。膜厚及び透過率のばらつきの測定結果をそれぞれ表4及び表5に示す。
純度5N(99.999%)、ふるい下200μmのGe粉と3N(99.9%)、ふるい下55μmのCr粉を準備し、これらの粉をGe−20at%Crとなるように調合し、これを乾式混合した後、カーボン製ダイスに充填し、温度800°C、圧力100kg/cm2の条件でホットプレスを行った。
この焼結体を仕上げ加工してターゲットとした。ターゲットの相対密度は96%(100%密度で5.54g/cm3)であった。このターゲットの3箇所から任意に採取したサンプルの密度をアルキメデスにより測定した。この結果を表1に示す。
次に、このターゲットを用いて、窒素含有アルゴン(Ar:N2=25:50sccm)雰囲気下、電力200Wの条件でリアクティブスパッタリングし、基板上に300Åの厚さにGeCrN膜を形成した。膜厚及び透過率のばらつきの測定結果をそれぞれ表4及び表5に示す。
純度5N(99.999%)、ふるい下75μmのGe粉と3N(99.9%)、ふるい下25μmのCr粉を準備し、これらの粉をGe−50at%Crとなるように調合し、これを乾式混合した後、カーボン製ダイスに充填し、温度800°C、圧力150kg/cm2の条件でホットプレスを行った。
この焼結体を仕上げ加工してターゲットとした。ターゲットの相対密度は97%(100%密度で5.97g/cm3)であった。このターゲットの3箇所から任意に採取したサンプルの密度をアルキメデスにより測定した。この結果を表1に示す。
次に、このターゲットを用いて、窒素含有アルゴン(Ar:N2=25:50sccm)雰囲気下、電力200Wの条件でリアクティブスパッタリングし、基板上に300Åの厚さにGeCrN膜を形成した。膜厚及び透過率のばらつきの測定結果をそれぞれ表4及び表5に示す。
純度5N(99.999%)、ふるい下300μmのGe粉と3N(99.9%)、ふるい下150μmのCr粉を準備し、これらの粉をGe−20at%Crとなるように調合し、これを乾式混合した後、カーボン製ダイスに充填し、温度800°C、圧力50kg/cm2の条件でホットプレスを行った。
この焼結体を仕上げ加工してターゲットとした。ターゲットの相対密度は90%(100%密度で5.54g/cm3)であった。このターゲットの3箇所から任意に採取したサンプルの密度をアルキメデスにより測定した。この結果を表1に示す。
次に、このターゲットを用いて、窒素含有アルゴン(Ar:N2=25:50sccm)雰囲気下、電力200Wの条件でリアクティブスパッタリングし、基板上に300Åの厚さにGeCrN膜を形成した。膜厚及び透過率のばらつきの測定結果をそれぞれ表4及び表5に示す。
純度5N(99.999%)、ふるい下350μmのGe粉と3N(99.9%)、ふるい下75μmのCr粉を準備し、これらの粉をGe−20at%Crとなるように調合し、これを乾式混合した後、カーボン製ダイスに充填し、温度750°C、圧力100kg/cm2の条件でホットプレスを行った。
この焼結体を仕上げ加工してターゲットとした。ターゲットの相対密度は93%(100%密度で5.54g/cm3)であった。このターゲットの3箇所から任意に採取したサンプルの密度をアルキメデスにより測定した。この結果を表1に示す。
次に、このターゲットを用いて、窒素含有アルゴン(Ar:N2=25:50sccm)雰囲気下、電力200Wの条件でリアクティブスパッタリングし、基板上に300Åの厚さにGeCrN膜を形成した。膜厚及び透過率のばらつきの測定結果をそれぞれ表4及び表5に示す。
これらに対し、比較例1及び比較例2の相対密度は95%未満であり、ターゲット内の密度ばらつきが±1.5%を超えていた。
表2は組成のばらつきを示すものであるが、実施例1〜3のターゲット内の組成ばらつきはいずれも±0.5%以内であった。
これらに対し、比較例1及び比較例2のターゲット内の組成ばらつきは±0.5%を超えていた。
以上の特性を持つターゲットを使用して、膜厚及び透過率のばらつきをみた評価結果を表4に示したが、実施例1〜3は膜厚及び透過率のばらつきが著しく少ないことが分かる。これに対して比較例1〜2はいずれも膜厚及び透過率のばらつきが大きく、ターゲットとして好ましくないことが分かる。
以上から、本発明の製造方法によって得られたスパッタリングターゲットは、相変化光ディスクの記録層と保護層との間中間層として、リアクティブスパッタリングによって成膜されるGeCrN系層の形成に極めて有効であることが分かる。
Claims (3)
- ふるい下55μm以下のCr粉と、ふるい下200μm以下でありかつBET比表面積0.1〜0.4m 2 /gであるGe粉を均一に分散混合させた後、焼結することを特徴とするGe−Cr合金スパッタリングターゲットの製造方法。
- ふるい下55μm以下のCr粉と、ふるい下200μm以下でありかつBET比表面積0.1〜0.4m 2 /gであるGe粉を均一に分散混合させた後、焼結し、相対密度が97%以上、ターゲット内の密度バラツキが±1.5%以内、X線回折ピークにおいて、2θが20°〜30°におけるGe相の最大ピーク強度Aと30°〜40°におけるGeCr化合物相の最大ピーク強度Bの比B/Aが0.18以上であるCr5〜50at%を含有するGe−Cr合金スパッタリングターゲットの製造方法。
- ターゲット内の組成バラツキが±0.5%以内である請求項2記載のGe−Cr合金スパッタリングターゲットの製造方法。
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