JP4625050B2 - ZnS−SiO2スパッタリングターゲット - Google Patents
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Description
相変化光ディスクは、基板上の記録薄膜をレーザー光の照射によって加熱昇温させ、その記録薄膜の構造に結晶学的な相変化(アモルファス⇔結晶)を起こさせて情報の記録・再生を行うものであり、より具体的にはその相間の光学定数の変化に起因する反射率の変化を検出して情報の再生を行うものである。
また、上記結晶学的な相変化すなわちアモルファスと結晶との相変化を実現する上で、溶融と急冷が光ディスクの相変化記録層だけでなく周辺の誘電体保護層やアルミニウム合金の反射膜にも繰返し付与されることになる。
このなかで反射層と保護層はアモルファス部と結晶部との吸収を増大させ反射率の差が大きい光学的機能が要求されるほか、記録薄膜の耐湿性や熱による変形の防止機能、さらには記録の際の熱的条件制御という機能が要求される(雑誌「光学」26巻1号頁9〜15参照)。
このように、高融点誘電体の保護層は昇温と冷却による熱の繰返しストレスに対して耐性をもち、さらにこれらの熱影響が反射膜や他の箇所に影響を及ぼさないようにし、かつそれ自体も薄く、低反射率でかつ変質しない強靭さが必要である。この意味において誘電体保護層は重要な役割を有する。
これらの材料は、高周波スパッタリング(RF)装置、マグネトロンスパッタリング装置又はターゲット材に特殊な処理を施してDC(直流)スパッタリング装置を使用して成膜される。
ZnS−SiO2ターゲットの結晶粒を微細化し、且つ高密度化することで、ターゲットのスパッタ面を均一かつ平滑にすることが可能であり、パーティクルやノジュールを低減させ、さらにターゲットライフも長くなるという特徴を有する。その結果として光ディスクの生産性が向上することは知られている。
しかし、従来ZnS−SiO2ターゲットに使用されるSiO2は、4N以上の高純度で平均粒径が0.1〜20μmのものが使用されており、通常800〜1200°Cの間で焼結して製造されているが、このような温度範囲ではSiO2自体の変形等は発生せず、ZnSとの反応も起こらない。
したがって、このようにして製造されたZnS−SiO2ターゲットはZnSとSiO2の間に空隙を生じ易く、SiO2を微細にするほどそれが顕著となり、ZnSの緻密化も阻害されるため、ターゲット密度が低下するという問題があった。
逆に、生産量を減少させないように、ホットプレス装置を大きくし、グラファイト型自体も大きくすることも考えられるが、ホットプレス装置やグラファイト型等のコストが上昇する。
このようなことから、従来は高密度のZnS−SiO2相変化型光ディスク保護膜用スパッタリングターゲットを低コストで得ることができなかった。
したがって、一般には低密度のターゲットを使用せざるを得ず、この結果スパッタリングによって膜を形成する際に、スパッタ時に発生するパーティクル(発塵)やノジュールが発生するため、成膜の均一性及び品質が低下し、生産性も劣るという問題があった。
本発明はこの知見に基づき、
1.添加物としてアルカリ土類金属又はこれらの酸化物から選択した1種以上を0.001〜5wt%含有することを特徴とするZnS−SiO2スパッタリングターゲット
2.添加物としてアルカリ金属又はこれらの酸化物から選択した1種以上を、アルカリ土類金属又はこれらの酸化物との総量で0.001〜5wt%含有することを特徴とする上記1記載のZnS−SiO2スパッタリングターゲット
3.添加物として硼素、アルミニウム、りん、砒素又はこれらの酸化物から選択した1種以上を0.001〜10wt%含有することを特徴とする上記1又は2記載のZnS−SiO2スパッタリングターゲット
4.相対密度95%以上であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載のZnS−SiO2スパッタリングターゲット
5.SiO2部の結晶粒の平均粒径が0.1〜30μmであることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載のZnS−SiO2スパッタリングターゲット、を提供する。
また、上記アルカリ土類金属又はこれらの酸化物から選択した1種以上を0.001〜5wt%含有するZnS−SiO2系スパッタリングターゲットにさらに、アルカリ金属又はこれらの酸化物から選択した1種以上を0.001〜5wt%含有させることができる。アルカリ金属はLi、Na、K、Rb、Cs、Frを含み、アルカリ土類金属はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Raを含む。
上記に、さらに硼素、アルミニウム、りん、砒素又はこれらの酸化物を0.001〜10wt%含有させることもできる。これらの材料の添加に際しては、特に上記Na、K若しくはアルカリ土類金属又はこれらの酸化物から選択した添加物等の2倍以下が望ましい。
硼素、アルミニウム、りん、砒素又はこれらの酸化物の添加は耐食性の向上にさらに効果がある。0.001wt%未満では添加の効果がなく、また10wt%を超えると膜特性が大きく変り好ましくないので、添加により耐食性を向上させる場合には、総量で0.001〜10wt%とする。ZnS−SiO2相変化型光ディスク保護膜形成用スパッタリングターゲットの要求特性に応じて上記添加物及び添加量を適宜選択し調節する。
ターゲットの製造に際しては、上記の添加元素をZnS粉末とSiO2粉末に均一に分散混合して、これをホットプレス等により成形する。好ましくは、上記添加元素又はその塩とSiO2粉末を混合加熱した後、残部ZnS粉末と混合しホットプレスにより成形する。
これにより、ZnSとSiO2間の空隙が少なく、相対密度95%以上であるZnS−SiO2相変化型光ディスク保護膜形成用スパッタリングターゲットを得ることができる。
SiO2の結晶粒の平均粒径を0.1〜30μmとすることによって、上記の特性をさらに改善することができる。
純度99.99%以上のSiO2系粉末をZnSに対し20mol%の比率で混合し、さらにこれに対し0.1wt%Na2Oを添加して混合した。
この混合粉をグラファイトダイスに充填し、Ar雰囲気、面圧150kg/cm2、温度1000°Cの条件でホットプレスを行った。これによって得られたターゲットの相対密度は99%であった。このターゲットの表面顕微鏡写真を図1に示す。
図1の黒色球形部はSiO2を示しており、SiO2の結晶粒の平均粒径は10μm以下であり、ZnSとSiO2間の表面に空隙は殆ど認められない。この結果、高密度ZnS−SiO2相変化型光ディスク保護膜形成用スパッタリングターゲットが得られた。
純度99.99%以上のSiO2系粉末をZnSに対し20mol%の比率で混合し、さらにこれに対し0.1wt%Na2O及び0.01wt%MgOを添加して混合した。
この混合粉を実施例1と同様にグラファイトダイスに充填し、Ar雰囲気、面圧150kg/cm2、温度1000°Cの条件でホットプレスを行った。これによって得られたターゲットの相対密度は97%であった。
実施例1と同様に、SiO2の結晶粒の平均粒径は10μm以下であり、ZnSとSiO2間の表面に空隙は殆ど認められなかった。この結果、ZnS−SiO2相変化型光ディスク保護膜形成に好適な高密度スパッタリングターゲットが得られた。
純度99.99%以上のSiO2系粉末をZnSに対し20mol%の比率で混合し、さらにこれに対し1.0wt%Na2O及び0.3wt%Al2O3を添加して混合した。
この混合粉を実施例1と同様にグラファイトダイスに充填し、Ar雰囲気、面圧150kg/cm2、温度1000°Cの条件でホットプレスを行った。これによって得られたターゲットの相対密度は97%であった。
実施例1と同様に、SiO2の結晶粒の平均粒径は10μm以下であり、ZnSとSiO2間の表面に空隙は殆ど認められなかった。この結果、ZnS−SiO2相変化型光ディスク保護膜形成に好適な高密度スパッタリングターゲットが得られた。
純度99.99%以上のSiO2系粉末を用いZnSに対し20mol%の比率で均一に混合する。さらにこれに対しNa2Oを0.1wt%、CaO0.01wt%、Al2O3を0.1wt%添加して混合した。
この混合粉をグラファイトダイスに充填し、Ar雰囲気、面圧150kg/cm2、温度1000°Cの条件でホットプレスを行った。これによって得られたターゲットの相対密度は97%であった。この結果、高密度ZnS−SiO2相変化型光ディスク保護膜形成用スパッタリングターゲットが得られた。このSEM写真を図2に示す。
図2の黒色球形部はSiO2を示しており、その平均粒径は10μm以下であり、ZnSとSiO2間の空隙が少ないことが分かる。
純度99.99%以上のSiO2系粉末をZnSに対し20mol%の比率で混合し、さらにこれに対し1.0wt%Na2O、0.5wt%BaO及び0.1wt%P2O5を添加して混合した。
この混合粉を実施例1と同様にグラファイトダイスに充填し、Ar雰囲気、面圧150kg/cm2、温度1000°Cの条件でホットプレスを行った。これによって得られたターゲットの相対密度は97%であった。
実施例1と同様に、SiO2の結晶粒の平均粒径は10μm以下であり、ZnSとSiO2間の表面に空隙は殆ど認められなかった。この結果、ZnS−SiO2相変化型光ディスク保護膜形成に好適な高密度スパッタリングターゲットが得られた。
純度99.99%以上のSiO2系粉末をZnSに対し20mol%の比率で混合し、さらにこれに対し0.1wt%K2Oを添加して混合した。
この混合粉を実施例1と同様にグラファイトダイスに充填し、Ar雰囲気、面圧150kg/cm2、温度1000°Cの条件でホットプレスを行った。これによって得られたターゲットの相対密度は99%であり、特に密度向上が著しかった。
また、実施例1と同様にSiO2の結晶粒の平均粒径は10μm以下であり、ZnSとSiO2間の表面に空隙は殆ど認められなかった。この結果、ZnS−SiO2相変化型光ディスク保護膜形成に好適な高密度スパッタリングターゲットが得られた。
純度99.99%以上のSiO2系粉末をZnSに対し20mol%の比率で混合し、さらにこれに対し0.1wt%K2O及び0.1wt%Al2O3を添加して混合した。
この混合粉を実施例1と同様にグラファイトダイスに充填し、Ar雰囲気、面圧150kg/cm2、温度1000°Cの条件でホットプレスを行った。これによって得られたターゲットの相対密度は97%であった。
実施例1と同様に、SiO2の結晶粒の平均粒径は10μm以下であり、ZnSとSiO2間の表面に空隙は殆ど認められなかった。この結果、ZnS−SiO2相変化型光ディスク保護膜形成に好適な高密度スパッタリングターゲットが得られた。
純度99.99%以上のSiO2系粉末をZnSに対し20mol%の比率で混合し、さらにこれに対し2.0wt%K2O、0.1wt%MgO及び0.1wt%Alを添加して混合した。
この混合粉を実施例1と同様にグラファイトダイスに充填し、Ar雰囲気、面圧150kg/cm2、温度1000°Cの条件でホットプレスを行った。これによって得られたターゲットの相対密度は97%であった。
実施例1と同様に、SiO2の結晶粒の平均粒径は10μm以下であり、ZnSとSiO2間の表面に空隙は殆ど認められなかった。この結果、ZnS−SiO2相変化型光ディスク保護膜形成に好適な高密度スパッタリングターゲットが得られた。
純度99.99%以上のSiO2系粉末をZnSに対し20mol%の比率で混合し、さらにこれに対し0.2wt%MgO、0.01wt%CaOを添加して混合した。
この混合粉を実施例1と同様にグラファイトダイスに充填し、Ar雰囲気、面圧150kg/cm2、温度1000°Cの条件でホットプレスを行った。これによって得られたターゲットの相対密度は98%であった。
実施例1と同様に、SiO2の結晶粒の平均粒径は10μm以下であり、ZnSとSiO2間の表面に空隙は殆ど認められなかった。この結果、ZnS−SiO2相変化型光ディスク保護膜形成に好適な高密度スパッタリングターゲットが得られた。
純度99.99%以上のSiO2系粉末をZnSに対し20mol%の比率で混合し、さらにこれに対し0.5wt%CaO、0.1wt%Al2O3を添加して混合した。
この混合粉を実施例1と同様にグラファイトダイスに充填し、Ar雰囲気、面圧150kg/cm2、温度1000°Cの条件でホットプレスを行った。これによって得られたターゲットの相対密度は97%であった。
実施例1と同様に、SiO2の結晶粒の平均粒径は10μm以下であり、ZnSとSiO2間の表面に空隙は殆ど認められなかった。この結果、ZnS−SiO2相変化型光ディスク保護膜形成に好適な高密度スパッタリングターゲットが得られた。
純度99.99%以上のSiO2粉を用い、ZnSに対し20mol%の比率SiO2粉を均一に混合する。
この混合粉をグラファイトダイスに充填し、Ar雰囲気、面圧150kg/cm2、温度1000°Cの条件でホットプレスを行った。これによって得られたターゲットの相対密度は94%であった。この結果、本発明の実施例よりも密度に劣るZnS−SiO2相変化型光ディスク保護膜形成用スパッタリングターゲットとなった。
このターゲットの表面顕微鏡写真を図3に示す。上記と同様に、図3の黒色球形部はSiO2を示しており、その平均粒径は10〜20μmであり、ZnSとSiO2間に多くの空隙が認められた。
純度99.99%以上のSiO2粉を用い、ZnSに対し20mol%の比率SiO2粉を均一に混合する。さらにこれに対し0.5wt%Al2O3を添加して混合した。
この混合粉をグラファイトダイスに充填し、Ar雰囲気、面圧150kg/cm2、温度1000°Cの条件でホットプレスを行った。これによって得られたターゲットの相対密度は91%であった。この結果、本発明の実施例よりも密度に劣るZnS−SiO2相変化型光ディスク保護膜形成用スパッタリングターゲットとなった。また、このターゲットの平均粒径は10〜20μmであり、ZnSとSiO2間に多くの空隙が認められた。
Claims (3)
- 添加物としてアルカリ土類金属又はこれらの酸化物から選択した1種以上を0.21〜5wt%含有し、相対密度が95%以上、SiO 2 部の結晶粒の平均粒径が0.1〜10μmであることを特徴とするZnS−SiO2スパッタリングターゲット。
- 添加物としてアルカリ土類金属又はこれらの酸化物から選択した1種以上と、アルカリ金属又はこれらの酸化物から選択した1種以上を、総量で0.11〜5wt%含有し、相対密度が95%以上、SiO 2 部の結晶粒の平均粒径が0.1〜10μmであることを特徴とするZnS−SiO2スパッタリングターゲット。
- 添加物として硼素、アルミニウム、りん、砒素又はこれらの酸化物から選択した1種以上を0.1〜10wt%含有することを特徴とする請求項1又は2記載のZnS−SiO2スパッタリングターゲット。
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