バルクローリやタンクローリ、塵芥車、バキューム車など、内部に収容物を収容するタンク等の容器を載せた車両において、その収容物の重量を確認する計量装置を備えたものは既に知られている。
この種の車載計量装置として、例えば、特許文献1〜3に、車体のフレームと容器との間にロードセルを介装し、前記ロードセルの荷重受部側を容器に固定し、かつ、ロードセルの固定部側を車体のフレームに固定したものが開示されている。この構造では、ロードセルを単に車体のフレームおよび容器の両方に固定するので構成が極めて簡単となる利点がある一方、以下に述べるように、計量精度が悪い欠点がある。
この種の車載計量装置を備えた車両では、容器内の収容物が外部に漏れることがないよう安全性を極めて高く維持すべく、容器の剛性を非常に高く維持する構造となっている。一般的に、車体のフレームは、前記容器の剛性と比較すると、剛性そのものについては低い。しかし、上記した車載計量装置を有しないものでは、車体のフレームと剛性が高い容器とをボルトなどを用いて結合して一体構造としているため、これらを一体化した状態では剛性が高まり、頑丈な構造である。
これに対して、容器と車体フレームとの間にロードセルを介装して、このロードセルを容器と車体フレームとの両方に完全に固定した場合、車両の設置面が水平である場合には、高さによる車体の捩れなどが殆ど生じないため、車載計量装置の計量精度の狂いは比較的少ない。また、設置面が傾斜している場合でも、傾斜角度が一定であり、車両の四輪ともほぼ同一平面上にある場合には、例えば、特許文献4などに開示されているように、傾斜角度に対する補正値を演算するシステムなどを備えて補正することで、計算精度の狂いを小さく維持することが可能である。
しかしながら、車両が接地している路面(設置面)が均一な平面ではなくて、部分的に傾斜したり突出したりしており、いびつな形状である場合、特に、前後2輪ずつ、合計4輪を有する車両において、1つの車輪のみが、他の3つの車輪の設置面と比べて上下高さが異なっている場合には、車体フレームに捩れが作用して車体フレームが変形しようとする。
この場合に、容器は剛性が高くて丈夫であるため、結局、車体フレーム側からロードセルに変形しようとする力、すなわち横荷重が作用する。この横荷重は、計量しようとする容器内の収容物の質量の鉛直方向荷重に対して干渉力となって計量精度を阻害して低下させる。
計量精度を阻害する干渉力は、車体フレームの捻り変形以外にもある。すなわち、干渉力の要素になるものとして、車体フレームと容器との温度差、並びに熱伝導の差による熱膨張歪の差がある。この干渉力は非常に大きな値であり、車載計量装置の計量精度を大きく阻害する。
ここで、一般的に、車載計量装置が設けられる車体フレームは前後方向の長さが左右方向の長さ(すなわち車幅)よりも大きく、また、車載計量装置のロードセルは、車体フレーム上の容器が載置される領域における、平面視して前後左右の端部寄りの4箇所に配設される場合が多い。したがって、ロードセルは、車体の前後方向のロードセル間寸法が、車体左右方向のロードセル間寸法よりも大きくなるように配置される。したがって、上述したような熱膨張歪の差による横荷重(左右方向および前後方向を含む概略的に水平方向の荷重)は、左右のロードセル間で作用する力よりも前後のロードセル間で作用する力のほうが大きい。
これに対処して、車載計量装置の計量精度を大きく阻害する前後のロードセル間で作用する横方向の荷重を改善する手法として、特許文献5に、ロードセルが車体前後方向にスライド可能に構成した構造が開示されている。このような構造を採用することで、前後方向に作用する横荷重を0に近づけることができて一定の効果が期待できる。しかしながら、この特許文献5に開示されている構造では、車体左右方向の熱膨張を無視しているとともに、熱膨張以外の車体捻り等による、横方向の力も何ら考慮されておらず、この点が課題として残っている。
他の横荷重の低減を図る技術として、特許文献6には、車体フレーム上に載置した複数のロードセル(荷重検出器)により容器を支持するとともに、車体フレームに対して前後方向に容器が移動することを規制する前後移動規制装置と、車体フレームに対して左右方向に容器が移動することを規制する左右移動規制装置と、容器の上下移動を選択的に固縛規制し得る固縛装置とを設けた塵芥車の構造が開示されている。
ここで、前後移動規制装置および左右移動規制装置は、それぞれ前後左右に4箇所ずつ設けられている。前後移動規制装置は、車体外側方に立設したブラケットと、主桁外側方に立設したブラケットとの間に前後方向に延びたロッドを接続した、いわゆる、ロッドを前後方向にたすきがけにした構造であり、これにより、車体フレームに対して前後方向に容器が移動することを常に規制している。また、左右移動規制装置は、車体外側方に立設したブラケットと、容器より垂設したブラケットとの間に左右方向に延びたロッドを接続した、いわゆる、ロッドを左右方向にたすきがけにした構造であり、これにより、車体フレームに対して左右方向に容器が移動することを常に規制している。なお、これらについての、さらに具体的な構成については述べられていない。また、固縛装置は、車体内側面にシリンダを軸支させ、容器から垂設したブラケットに長孔を形成するとともに、シリンダの出退部の端部を前記長孔に係合させており、車両の走行時には、シリンダの出退部を縮小させた固縛状態として、容器が車体フレームから上方に移動することを阻止する一方、計量時には、シリンダの出退部を伸張させて固縛状態を解除するようになっている。
上記特許文献6に開示されている塵芥車の構造では、走行時ならびに計量時も含めて、常時、前後移動規制装置や左右移動規制装置による前後方向と左右方向との規制動作が行われる構成である。したがって、この前後移動規制装置や左右移動規制装置において設けられているロッドの連結部が、これらの両端に設けられているブラケットに対して当接して位置規制されている場合には、車体の捻り等による横荷重や熱膨張による横荷重が前記前後移動規制装置や左右移動規制装置により受けられることとなるので、これらの横荷重がロードセルに作用しなくなる利点がある。しかしその一方で、これらの当接箇所で、前後移動規制装置や左右移動規制装置によって干渉することとなり、結局、計量精度が阻害される要因となる。
このように計量精度が阻害されることを防止するためには、計量時において、前後移動規制装置や左右移動規制装置におけるロッドとブラケットとの連結部において隙間を有するように位置調整することが考えられる。しかし、走行時には隙間がないように連結する一方、計量時には隙間があるように調整することは、計量するために極めて多くの時間や手間を要することとなるとともに、その隙間寸法については、勘や経験に頼ったものとなってしまい、信頼性も極めて低いものとなってしまう。
これに対処するものとして、本出願の発明者らが既に出願している特許文献7に開示された車載計量装置がある。この車載計量装置は、車体フレームと容器とを互いに緊締する緊締装置と、容器を昇降させる昇降装置とを設け、計量時には、緊締装置による車体フレームと容器との緊締を解除し、前記昇降装置により容器を車体フレームから上昇させ、この容器をこの計量時だけ複数のロードセルで支持させて、計量する構成である。
この構成よれば、走行時には緊締装置により、容器が所定位置に位置規制された状態で支持される一方、計量時には、緊締装置を解除した状態で複数のロードセルで容器を支持させて計量するので、計量時の隙間寸法の調整などが不要であるとともに、計量時において理想に近い姿勢で、極めて高い精度で計量することができる。
特開2004−224502号公報
特開2004−69323号公報
特開2001−74540号公報
特開平8−93045号公報
特開2002−340662号公報
実開平1−164205号公報
特開2002−148108号公報
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る車載計量装置を備えたバルクローリの全体側面図、図2は、バルクローリの車体の概略的な平面図(タンクを概略的に仮想線で示す)である。図1、図2に示すように、バルクローリ1は、車体の前部に運転室2を備え、車体の後部に、収容物としての液化ガスを収納する容器としての円筒形状のタンク3を備え、さらに、後述する車載計量装置を備えている。ここで、バルクローリ1は、液化LPガスをタンク3内に収容しており、車両に備えられた電動機または原動機を駆動して、液化LPガスを、使用対象施設に設けられたバルク貯槽に充填し、充填した際に、前記車載計量装置により液化LPガスの充填重量(計量前の容器を含めた重量から計量後の重量を減算した重量)を計量・算出し、重量に応じた金額を供給先(使用対象施設)に請求するシステムに対応するよう構成されている。なお、タンク3内の収容物としては、液化LPガスがその一例であるが、これに限るものではない。
図3などに示すように、タンク3の下部における左寄り箇所と右寄り箇所とには、それぞれ前後方向に延びる断面略L字形状のタンクフレーム4が固着状態で配設されている。また、車体側には、タンクフレーム4と平行に、車両の左寄り箇所と右寄り箇所とにおいて前後方向に延びる断面略コ字形状の車体フレーム5が配設されている。また、車両の前寄り箇所と後寄り箇所とには、車幅方向に延びて左右の車体フレーム5同士を連結するクロスメンバ13が配設されている。
図3〜図9に示すように、各車体フレーム5の上面部における前寄り箇所と後寄り箇所とには、それぞれ固定用上プレート6と固定用下プレート8とこれらを連結する連結ボルト9とからなるロードセル固定用部品が取り付けられ、固定用上プレート6上にロードセル7が固定されて計量部15が構成されている。そして、上下の固定用プレート6、8で車体フレーム5を上下から挟んだ状態で、これらの固定用プレート6、8を上下に貫通して連結する連結ボルト9によりこれらのロードセル固定用部品を車体フレーム5に結合することで、ロードセル7を車体フレーム5上の所定箇所(前後左右、すなわち、平面視して、前部左側、前部右側、後部左側、後部右側の4箇所)に固定している。なお、この実施の形態では、図1に示すように、前側の計量部15は、側面視して、車体フレーム5上における車両の前輪16と後輪17との間に配置され、後側の計量部15は、側面視して、車体フレーム5上における車両の後輪17よりも後方に配置されている。
ここで、平面視して、前部右側の箇所に配置された計量部15は、図3〜図7に示すような計量部15Aとされ、残り(すなわち、平面視して、前部左側、後部左側、後部右側の3箇所)の計量部15は、図8〜図10に示すような計量部15Bとされている。
計量部15Aが取付けられている箇所のタンクフレーム4には取付用ブロック101が固着されているとともに、この取付用ブロック101から下方に突出して、ロードセル7に係合する荷重作用部としての金属製の荷重作用部材18がねじ止め等により固定されている。そして、荷重作用部材18がロードセル7に上方から係合されて、計量部15Aが構成されている。
また、この実施の形態では、図6に示すように、計量部15Aのロードセル7として、薄肉部7gにストレインゲージ7bが貼り付けられたロバーバル型の起歪体7a(金属製)が用いられており、ロードセル7の一端側をなす固定取付部7cで固定用上プレート6上にボルト103等を用いて固定されている。さらに、ロードセル7の他端部をなして荷重を受ける荷重負荷部7dには、その上面部分に、略半球形状に下方に窪む球面凹部7fが形成されている。
また、タンクフレーム4の取付用ブロック101に取付けられて、ロードセル7に係合する荷重作用部としての金属製の荷重作用部材18には、球面凹部7fに対応して、基部18aから下方に略半球形状に突出する球面凸部18bが形成されている。そして、この荷重作用部材18の球面凸部18bがロードセル7の球面凹部7fに上方から当接した状態で収納されている。ここで、ロードセル7の球面凹部7fの曲率半径は、荷重作用部材18の球面凸部18bの曲率半径よりも大きい曲率半径とされている(例えば、ロードセル7の球面凹部7fの曲率半径を65mm、荷重作用部材18の球面凸部18bの曲率半径を60mmとしている)。そして、このような配置により、タンク3側からの荷重が、タンクフレーム4および荷重作用部材18を介して、球面凸部18bからロードセル7の荷重負荷部7dに作用するように構成されている。
また、タンクフレーム4における荷重作用部材18の両側方箇所には、ロードセル7の荷重負荷部7dよりも下方に回りこむように、正面視略C字形状の上昇規制部材19がボルト19aにより取付けられている。そして、この上昇規制部材19の下部上面から上方に突出するようにストッパ19bが一体形成されている。また、このロードセル7の荷重負荷部7dの下面に、上昇規制部材19のストッパ19bが下方から近接されて配置されており、走行中にタンク3が車体フレーム5に対して浮き上がろうとした際、すなわち、球面凹部7fから球面凸部18bがある寸法以上、上方に離脱しようとした際には、上昇規制部材19のストッパ19bがロードセル7の荷重負荷部7dの下面に下方から当接して、このタンク3側の上方への相対移動が阻止されるようになっている。
図2に示すように、車体フレーム5を平面視して、前部左側、後部左側、後部右側にそれぞれ配設されている計量部15Bは、以下のような構成とされている。図8〜図10に示すように、これらの計量部15Bにおいては、各ロードセル7の上に、下から順に、ロッカーピン(負荷金具)10と、このロッカーピン10を受けるロッカーピン受け11と、タンクフレーム4の対応箇所の下面に固着されてタンク3の荷重をロードセル7側へ作用させる荷重作用部としてのタンク側取付部材12とが載せられ、これらのロッカーピン10、ロッカーピン受け11を介して、ロードセル7によりタンク3を支持するよう構成している。
詳しくは、図8〜図10に示すように、ロードセル7の上部に凸状に突出して形成された荷重受け凸部7hに、その下部の嵌合凹部10aが嵌合するロッカーピン(負荷金具)10が載せられ、ロードセル7の荷重受け凸部7h(図10参照)の上面7h’は球面形状とされている一方、この荷重受け凸部7hの球面部7h’に当接するロッカーピン10の嵌合凹部10aの底面は湾曲せずに単なる平面形状とされている。また、ロッカーピン10の上部にも凸状に突出して形成された荷重受け凸部10bが形成され、この荷重受け凸部10bに、ロッカーピン受け11の下部に形成された嵌合凹部11aが嵌合された状態で載せられている。ロッカーピン10の荷重受け凸部10bの上面は球面形状とされている一方、この荷重受け凸部10bの球面部10b’(図10参照)に当接するロッカーピン受け11の嵌合凹部11aの底面は湾曲せずに単なる平面形状とされている。そして、これらの球面部7h’、10b’と平面部との当接関係により、ロードセル7によりタンク3を支持した際に、タンク3側からの荷重がロードセル7に対して鉛直方向(水平面に直交する方向)に作用するように調芯される構成とされている。ロッカーピン受け11の上部には円柱状部11bが一体形成され、この円柱状部11bが、タンク側取付部材12の下部に突出して形成された下筒状部12a内に嵌入された姿勢で、ロッカーピン受け11に対してタンク側取付部材12が昇降自在に配設されている。また、タンク側取付部材12の下筒状部12aの外周箇所における、タンク側取付部材12とロッカーピン受け11との間に複数枚(この実施の形態では2枚)の皿ばね14が介装され、これらの皿ばね14によって、車両が凹凸のある路面などを走行した場合などにタンク3側と車体フレーム5側との間で上下方向の衝撃力が発生した場合でもこのような衝撃力を吸収できるよう構成されている。なお、この実施の形態では、タンク側取付部材12上端の鍔状部分と、この下方に嵌め込まれた上平座金53aとの間に皿ばね14が介装され、また、上平座金53aとこの下方のタンク側取付部材12の下筒状部12a外周にはめ込まれた下平座金53bとの間に皿ばね14が介装され、さらに、下平座金53bとロッカーピン受け11の拡径下部との間に皿ばね14が介装され、皿ばね14の付勢力(弾性力)が個別に作用するように配置されている。
なお、図1などに示すように、タンクフレーム4は計量部15(15A、15B)により支持される箇所だけ、上方に少し窪む形状とされている一方、横移動規制緊締装置20が設けられている箇所はタンクフレーム4の下端位置で横移動が規制されるようになっており、車体フレーム5に対してタンク3ができるだけ低い位置に配置されるよう図られている。
図1、図2に示すように、車体フレーム5の後部に配設されたクロスメンバ13と車体フレーム5との連結部近傍の箇所には、車体フレーム5側箇所とタンク3側箇所とを互いに緊締する緊締装置と、車体フレーム5に対してタンク3が横方向(前後方向や左右方向)に移動することを規制する横移動規制装置とを1つのユニットとして組み合わせて、両機能を備えてなる横移動規制緊締装置20を設けている。
図11、図12、図15に示すように、各横移動規制緊締装置20は、車体フレーム5のクロスメンバ13接合箇所の外側箇所に固着されている箱枠形状の車体側ブラケット21と、車体側ブラケット21の底面部上に固定された油圧シリンダ22と、油圧シリンダ22の本体部から上方に延びる姿勢で出退する出退ロッド22aに固定された第1駆動リンク23と、この第1駆動リンク23に第1連結ピン24を介して連結された短い長さの第2駆動リンク25と、車体側ブラケット21内において前後方向に延びるように取り付けられた枢支軸26を中心として揺動自在に取り付けられ、第2駆動リンク25の上端に第2連結ピン27を介してその一端が回転自在に連結された背面視して逆L字形状の第1従動リンク28と、車体側ブラケット21の底面部に形成されたガイド孔21aに挿入された案内ロッド29が取付けられて車体側ブラケット21内で昇降自在に配置された背面視して略コ字形状の昇降ブロック30と、第1従動リンク28の他端に第3連結ピン31を介してその上端が連結され、昇降ブロック30の下部に第4連結ピン40を介してその下端が連結された第2従動リンク32と、車体側ブラケット21の上面部から上方に延びる姿勢で複数のボルト33aによりそのフランジ部33fが固定され、中央の軸心に沿って貫通孔が形成された挿入軸体33と、昇降ブロック30の上部から挿入軸体33の貫通孔に内嵌されたブッシュ42を通して上方に延びる姿勢で取り付けられて昇降ブロック30と一体的に昇降する昇降ロッド34と、タンクフレーム4から側方に水平に延びるようにタンクフレーム4およびタンク3下部に固着されたタンク側ブラケット35と、このタンク側ブラケット35の下部に設けられた水平面部35a上に固着され、タンク側ブラケット35の水平面部35aに設けた貫通孔と同形状の貫通孔がブッシュ37を介して形成された平面視矩形の受け板36と、昇降ロッド34の上部に取付けられ、鍔状部38cから下方に開口するように筒状部38aが形成されているカップ状体38と、受け板36の角部からタンク側ブラケット35の水平面部35aを通して下方に突出し、その突出量を調整して位置決め可能な状態で取付けられ、横移動規制緊締時に、その先端が挿入軸体33のフランジ部33fに当接して、車体フレーム5側に当接する複数の当接ボルト61と、緊締時に、カップ状体38を下方に押圧する複数の皿ばね62とを備えている。なお、カップ状体38を下方に押圧する皿ばね62は、昇降ロッド34の上端部に取り付けられた取付板63とカップ状体38との間に、押さえ板64を介して介装されている。
そして、油圧シリンダ22の出退ロッド22aが伸長されて上方に駆動された際には、図13に示すように、第1従動リンク28の下部と、第2従動リンク32と、これらを連結する第3連結ピン31とが、油圧シリンダ22の出退ロッド22a側に近接するように(図13の紙面において左側となるように)揺動および屈曲して、昇降ブロック30、昇降ロッド34およびカップ状体38が上昇され、カップ状体38が挿入軸体33から上方にほぼ離脱する状態となるよう構成されている。
一方、油圧シリンダ22の出退ロッド22aが縮退されて下方端に駆動された際には、図11に示すように、第1従動リンク28の下部と第2従動リンク32とこれらを連結する第3連結ピン31とが、油圧シリンダ22の出退ロッド22a側から離反するように(図11の紙面において右側に)揺動して、昇降ブロック30、昇降ロッド34およびカップ状体38が下降され、カップ状体38内に挿入軸体33が挿入されるようになっている。なお、この場合に、第1従動リンク28と第2従動リンク32とを連結する第3連結ピン31の軸心O位置は、第1従動リンク28の回転中心である枢支軸26と、第2従動リンク32の回転中心である第4連結ピン40とを結ぶ線L1よりも、油圧シリンダ22の出退ロッド22a側から離反する側(図11の紙面において右側)にずれた位置とされている。
なお、図11〜図14における51は、油圧シリンダ22の出退ロッド22aが突出されて昇降ブロック30が上端位置まで移動されたことを検知するリミットスイッチ等からなる上限検知スイッチ、52は、油圧シリンダ22の出退ロッド22aが縮退されて昇降ブロック30が下端位置まで移動されたことを検知するリミットスイッチ等からなる下限検知スイッチである。
図15(a)、(b)に拡大して示すように、挿入軸体33には、カップ状体38に対する挿入時に、カップ状体38に対して挿入軸体33が導入されやすいように、挿入軸体33の上部に細径部33bが形成されているとともに、これに続いて、下方ほど太径となるテーパ面33cと、これに続く太径部33dとが形成されている。また、カップ状体38の下端部内周にも下方ほど広がるテーパ面を有するガイド部材41が嵌め込まれ、挿入軸体33の先端部をカップ状体38の筒状部38a内に案内するようになっている。なお、挿入軸体33の先端部内周には、昇降ロッド34を案内するブッシュ42が嵌め込まれ、また、受け板36の内周には、カップ状体38を案内するブッシュ37が嵌め込まれている。また、挿入軸体33の太径部33dと横移動規制部材としてのカップ状体38の筒状部38a内面との間には所定寸法の隙間(以下、横方向規制用隙間と称す)が、形成されている。
なお、本実施の形態では、図12に示すように、受け板36に取り付けられている当接ボルト61の軸部分が、横移動規制緊締時に、挿入軸体33のフランジ部33f(この実施の形態においては、図12に示すように、挿入軸体33のフランジ部33fが、当接ボルト61の先端に臨む箇所が半径方向外側に延設されている。)に必ず当接するように位置調整されて配設されている。
上記構成において、図1などに示すように、車体フレーム5に固定された計量部15(15A、15B)のロードセル7によって、タンク3は常時支持される。
車両の走行時等、タンク3の重量を計測しない時には、図11、図12、図15(a)に示すように、横移動規制緊締装置20において、油圧シリンダ22の出退ロッド22aが最も縮退した位置とされて下方端に移動されている。これに伴って、第1、第2駆動リンク23、25、第1、第2従動リンク28、32などからなるリンク機構を介して、昇降ブロック30が下方側の位置とされ、これとともに、昇降ロッド34を介してカップ状体38が、その上部に形成された鍔状部38cが、タンク側ブラケット35に固定されている受け板36に上方から当接され、かつ、カップ状体38の筒状部38aが、挿入軸体33の太径部33dを外周からほぼ覆うように位置している(横移動が規制され、かつ緊締された状態)。
したがって、カップ状体38の鍔状部38cにより、タンク3側が上方に移動しないように規制されている。また、車体フレーム5に対して、タンク3が上方に移動しようとする力が作用した場合には、カップ状体38、昇降ロッド34、昇降ブロック30を相対的に上方に押し上げようとする力が作用するので、第2の従動リンク32をf方向(図12参照)に揺動させようとする力が作用する。しかしながら、油圧シリンダ22の出退ロッド22aが最も縮退した位置とされて、さらに下方に移動できない状態であるので、第1従動リンク28に連結されている第2連結ピン27が下方に移動せず、この結果、第1従動リンク28がe方向に移動することはなく、カップ状体38は上方に移動せず、タンク3の相対的な上方への移動を確実に阻止できる。すなわち、図11に示すように、第2の従動リンク32が、第2従動リンク32の回転中心である第4連結ピン40とを結ぶ線L1(すなわち、第2の従動リンク32と、第1従動リンク28の下部とが一直線となる死点)よりも、油圧シリンダ22の出退ロッド22a側から離反する側(図11の紙面において右側)にずれた位置とされているので、カップ状体38がさらに下方に移動することは無く、タンク3側が上方に浮き上がることが確実に阻止される。
また、カップ状体38の筒状部38aが、挿入軸体33の太径部33dを外周からほぼ覆うように配置されているので、挿入軸体33の太径部33dがカップ状体38の筒状部38aの内面(孔部38b)に当接する寸法規制用隙間の範囲内でしか、横方向に移動することはできず、これにより、車体フレーム5に対してタンク3側が横方向に移動することが規制される。
また、走行時など、計量時以外の時には、上述したように油圧シリンダ22の出退ロッド22aが縮退されるとともに、昇降ブロック30が下方側の位置とされて、カップ状体38の上に設けられている皿ばね62の付勢力に抗して、カップ状体38が押し下げられる。その結果、当接ボルト61の下端部が挿入軸体33のフランジ部33fに当接して、この当接箇所により大きな摩擦力が発生し、当接ボルト61とフランジ部33fとの摩擦力により横方向への規制が増加されると同時に、皿ばね62の付勢力によって、フランジ部33f(すなわち、車体フレーム5側)に対して当接ボルト61(すなわち、タンク3側)が、上下方向の隙間が開く方向にも狭まる方向にも強い力で規制できる。
したがって、走行時などに、大きな横荷重が作用しない限り、この当接ボルト61の下端部と挿入軸体33のフランジ部33fとの当接箇所での摩擦力により、車両フレーム5側に対してタンク3側が全く移動せず、この結果、走行時においても、通常、タンク3の車体フレーム5に対するがたつきが生じず、がたつき時の衝突(当接)によって発する異音も生じない。
なお、この当接ボルト61の下端部と挿入軸体33のフランジ部33fとの当接箇所での摩擦力以上の横荷重などが、走行時などに負荷した場合でも、挿入軸体33の太径部33dがカップ状体38の孔部38b内周面に当接することで位置規制され、タンク3の横方向への移動を良好に阻止できる。
このように、走行時など、計量時以外の時には、横移動規制緊締装置20により車体フレーム5側とタンク3側とがその後部において緊締され、横移動が規制されるとともに上下方向にも位置規制されて、相対的に移動することが阻止される。なお、この際、車体フレーム5側とタンク3側との前部側においては、横移動規制緊締装置20が設けられていないため、車体フレーム5側に対してタンク3側の相対位置がずれることがあるが、計量部15Aにおいて、ロードセル7の荷重負荷部7dに設けられた球面凹部7fの球面上を、タンク3側に取付けられた荷重作用部材18の球面凸部18bが摺動する範囲内で移動するだけであり、過度の横荷重が作用した場合や、振動等により車体フレーム5側に対してタンク3側が過度に浮き上がろうとした場合には、上昇規制部材19のストッパ19bがロードセル7の荷重負荷部7dに下方から当接して、タンク3側が上方へ大きく移動することが阻止される。また、球面凹部7fにおいて球面凸部18bが上方へ移動可能な範囲内で、横方向についても位置規制される。
なお、車両を停車した状態であるが、まだ横移動規制緊締装置20による緊締を解除する前の状態では、設置面の凹凸や傾斜等による車体フレーム5の捩れや、車体フレーム5とタンク3との熱膨張の違いによる歪などにより、タンク3に対して車体フレーム5が伸び縮みしようとするが、横移動規制緊締装置20によりタンク3と車体フレーム5との相対位置が固定されているので、車体フレーム5とタンク3とは互いに応力が作用した状態となっている。
また、タンク3の重量を計測する時には、図13、図14、図15(b)に示すように、横移動規制緊締装置20において、油圧シリンダ22の出退ロッド22aが最も上方に突出した位置とされて上方端に移動される。これに伴って、第1、第2駆動リンク23、25、第1、第2従動リンク28、32などからなるリンク機構を介して、昇降ブロック30が上方側の位置とされ、これとともに、昇降ロッド34を介してカップ状体38が、その上部に形成された鍔状部38cが、タンク側ブラケット35に固定されている受け板36に対して上方に浮き上がるような姿勢とされ、かつ、カップ状体38の筒状部38aが、挿入軸体33の太径部33dに対して離脱するような位置とされている(横移動の規制ならびに緊締が解除された状態)。
これにより、カップ状体38の鍔状部38cが、受け板36より上方に離反しているため、この箇所を介してタンク3側から車体フレーム5に対して荷重が作用することがない。また、カップ状体38の筒状部38aが、挿入軸体33の太径部33dに対してほぼ離脱しているので、当然ながら、カップ状体38と挿入軸体33とは当接しておらず、したがって、カップ状体38側から挿入軸体33に対して横方向に力が作用することが無い。
しかしながら、このように、横移動規制緊締装置20による緊締を解除すると、車体フレーム5とタンク3との相対位置を規制するものがなくなるので、設置面の凹凸や傾斜等による車体フレーム5の捩れや、車体フレーム5とタンク3との熱膨張の違いによる歪などに応じて、タンク3に対して車体フレーム5が伸び縮みすることとなる。
したがって、タンク3に対して車体フレーム5が伸び縮みした状態で、計量部15(15A、15B)のロードセル7のみによって、タンク3側からの荷重を受ける状態となる。
この場合に、上記のように、横移動規制緊締装置20による緊締を解除すると、計量部15Aにおいては、ロードセル7の荷重負荷部7dに設けられた球面凹部7f内において、荷重作用部材18の球面凸部18bが点接触で支持された状態であるので、この計量部15Aにおいてタンク3側からの荷重が車体フレーム5側に対して、真上から真下に作用する状態となるように、タンク3側と車体フレーム5側との相対位置が自動的に調整されて、球面凸部18bと球面凹部7fとが接触する。すなわち、球面凹部7fが設けられているロードセル7の姿勢や、球面凸部18bが設けられている荷重作用部材18の姿勢が、車両が本来の水平面にある場合と同様な姿勢である場合には、球面凹部7fの中心部に球面凸部18bが接した状態となる。また、球面凹部7fが設けられているロードセル7、または球面凸部18bが設けられている荷重作用部材18の何れかが傾斜している場合でも、球面凸部18bが球面凹部7fの水平となる点に接した状態に位置調整される。この結果、計量部15Aにおいては、ロードセル7の荷重負荷部7dには、タンク3側からの荷重(重力)のみが作用して、横荷重による悪影響が殆どない良好な状態で計量でき、高精度の計量を行うことができる。
このように、横移動規制緊締装置20による緊締を解除した際に、車体フレーム5の捩れや熱膨張の違いによる歪などによって、タンク3に対して車体フレーム5が伸び縮みすることとなるが、計量部15Aでは、この伸び縮みによる影響は殆ど無く、球面凹部7f上の所定位置に球面凸部18bが位置決めされることとなる。
一方、計量部15Bにおいては、車体フレーム5の捩れや熱膨張の違いによる歪などによるタンク3に対する車体フレーム5の伸び縮みの影響をそのまま受けることとなる。すなわち、計量部15Bにおいては、計量部15Aにおける、球面凸部7pと球面凹部18dとの位置決めと、車両の姿勢や温度差(車両の設置場所が傾斜したり、凹凸があったり、または、タンク3側と車体フレーム5側との間の温度差を生じたりした場合)に基づく変形量に応じて、ロッカーピン10およびロッカーピン受け11が傾斜しながら自動調心して、ロードセル7によって計量される。
すなわち、計量時に、車両の設置場所が凹凸のない完全な水平面上にあれば(厳密には、前輪16や後輪17の接地箇所で形成される面が凹凸のない完全な水平面である場合には)、計量部15Bにおいては、図10(a)に示すように、ロードセル7の荷重受け凸部7hの真上にロッカーピン10およびロッカーピン受け11が位置して、ロードセル7には下方への重力しか作用せず、良好に計量できるだけでなく、図10(b)に示すように、車両の設置場所が傾斜(傾斜角度β)したり、凹凸があったりした場合でも、ロッカーピン10およびロッカーピン受け11の自動調心作用により、ロッカーピン10が自動的に傾斜して、ロードセル7には下方への重力しか作用せず、良好に計量でき、高精度の計量を行うことができる。また、一時的に、タンク3側と車体フレーム5側との間に温度差があり、一部の計量部15において、ロードセル7に対してロッカーピン受け11の横方向の位置が少しずれた場合でも、このずれ量に応じて、図10(c)に示すように、ロッカーピン10が角度γだけ自動的に傾斜し、この結果、ロードセル7には下方への重力しか作用せず、良好に計量でき、高精度の計量を行うことができる。すなわち、計量時に、横移動規制緊締装置20の緊締作用および横移動規制状態を解除した際には、ロッカーピン10およびロッカーピン受け11の自動調心作用により、タンク3側からの荷重がロードセル7に対して、真下に、すなわち重力のみが作用し、かつ、安定した状態で、作用することになり、極めて高精度に計量を行うことができる。
このように、計量時に、計量部15Aでは、球面凹部7fと球面凸部18bとの関係により所定位置に位置決めされた状態で計量され、計量部15Bでは、タンク3側と車体フレーム5側との伸び縮みに応じてロッカーピン10およびロッカーピン受け11が傾倒して自動的に調芯した状態で計量される。そして、何れの計量部15(15A、15B)においても、ロードセル7には下方への重力しか作用せず、良好に計量でき、高精度の計量を行うことができる。また、従来、移動規制装置を設けた場合のような隙間の調整なども不要であるので、そのための時間や手間も当然不要である。
また、横移動規制緊締装置20を車両の後部側だけに設けているので、横移動規制緊締装置20を車両の後部側だけでなく、前部側に設ける場合と比較して、製造コストを低減できる利点がある。さらに、特許文献7などに示されているようなタンクを昇降させる昇降装置が不要であるので、これによっても、製造コストを低減できるとともに構造も簡素化できる。
なお、上記実施の形態では、計量部15Aのロードセル7として、いわゆるロバーバル型のものを用いた場合を述べたが、これに限るものではなく、図16、図17に示すように、荷重受け部として球面を有する柱状部材を用いてもよい(第1の実施の形態の変形例)。このロードセル7は、円柱状のロードセル本体7kの下部に設けられたフランジ部7mにより、車体フレーム5の上面側に固定された固定用上プレート6にねじで固定され、また、ロードセル本体7kの上部には、上方に延びてロードセル7への荷重を受ける荷重負荷部7nが形成され、さらに、この荷重負荷部7nの上部には、略半球形状に突出する球面凸部7pが形成されている。
また、タンクフレーム4における前記ロードセル7の配置箇所と対応する箇所には、ロードセル7に上方から係合する荷重作用部としての金属製の荷重作用部材18(18’)が設けられている。荷重作用部材18(18’)は、その本体部18cの上面に取付けられたフランジ部18eでタンクフレーム4に固定され、また、本体部18cの下部は太径とされ、この太径部18fの下部に、略半球形状に上方に窪む球面凹部18dが荷重作用部として形成されている。そして、この荷重作用部材18の球面凹部18dがロードセル7の球面凸部7pに上方から当接して外側から被さった状態で配設されている。ここで、荷重作用部材18の球面凹部18dの曲率半径は、ロードセル7の球面凸部7pの曲率半径よりも大きい曲率半径とされている(例えば、荷重作用部材18の球面凹部18dの曲率半径を65mm、ロードセル7の球面凸部7pの曲率半径を60mmとする)。そして、このような配置により、タンク3側からの荷重が、タンクフレーム4および荷重作用部材18を介して、球面凹部18dからロードセル7の球面凸部7pに作用するように構成されている。
また、荷重作用部材18の本体部18cの外側に隙間を有した状態で外嵌する姿勢で、ストッパ(上昇規制部材)102が設けられている。このストッパ102は、固定用上プレート6におけるロードセル7の両側方箇所に取り付けられたロッド部材103およびこのロッド部材103に挿通されたボルト104により下方から支持された状態で取付けられている。そして、このストッパ102の中央に形成された孔部近傍箇所が、その下面に、荷重作用部材18の太径部18fの上端に近接した(例えば、外力を受けていない状態で)状態で配置されており、走行中にタンク3が車体フレーム5に対して浮き上がろうとした際、すなわち、ロードセル7の球面凸部7pが設けられている箇所から荷重作用部材18の球面凹部18dがある寸法以上、上方に離脱しようとした際には、荷重作用部材18の太径部18fがストッパ102の下面に下方から当接して、このタンク3側の上方への相対移動が阻止されるようになっている。
この構成によっても、車両の走行時等に車体フレーム5側とタンク3側との前部側においては、計量部15Aにおいて、タンク3側に取付けられた荷重作用部材18の球面凹部18d内を、車体フレーム5側に取付けられたロードセル7の球面凸部7pが摺動する範囲内で移動するだけであり、過度の横荷重が作用した場合や、振動等により車体フレーム5側に対してタンク3側が過度に浮き上がろうとした場合には、荷重作用部材18の太径部18fがストッパ102に下方から当接して、タンク3側が上方へ大きく移動することが阻止される。また、球面凹部18dにおいて球面凸部7pが下方へ移動可能な範囲内で、横方向についても位置規制される。
また、タンク3の重量を計測する時において、荷重作用部材18の球面凹部18d内でロードセル7の球面凸部7pが点接触で支持された状態であるので、この計量部15Aにおいてタンク3側からの荷重が車体フレーム5側に対して、真上から真下に作用する状態となるように、タンク3側と車体フレーム5側との相対位置が自動的に調整されて、球面凸部7pと球面凹部18dとが接触する。すなわち、球面凹部18dが設けられている荷重作用部材18の姿勢や、球面凸部7pが設けられているロードセル7の姿勢が、車両が本来の水平面にある場合と同様な姿勢である場合には、球面凹部18dの中心部に球面凸部7pが接した状態となる。また、球面凹部18dが設けられている荷重作用部材18、または球面凸部7pが設けられているロードセル7の何れかが傾斜している場合でも、球面凸部7pが球面凹部18dの水平となる点に接した状態に位置調整される。この結果、計量部15Aにおいては、ロードセル7には、タンク3側からの荷重(重力)のみが作用して、横荷重による悪影響が殆どない良好な状態で計量でき、高精度の計量を行うことができる。
次に、図18、図19を参照しながら、本発明の第2の実施の形態を説明する。図18、図19に示すように、この実施の形態においては、車両の前部側において、1つの計量部15Aだけが車幅方向中央部に1つだけ設けられている。なお、この実施の形態ではクロスメンバー13上に配置されているが、クロスメンバー13とは別途に車幅方向に延びる連結部材を設けてこの連結部材上に設置してもよい。
この構成によれば、上記実施の形態と比較して、さらに、計量部15Bを1つ分省くことができるので、製造コストをさらに低減することができる。
また、図20、図21は、本発明の第2の実施の形態に係る車載計量装置を備えた車両の変形例としての塵芥車の例を示す全体側面図、および塵芥車の車体の概略的な平面図(塵芥収容タンクを概略的に仮想線で示す)である。塵芥車80の塵芥収容タンク81はその後端部に、押込み板や回転板などを有するいわゆるパッカーと呼ばれるごみ投入室82を有するため、塵芥収容タンク81としての重心Gが後部側に寄った位置(車両の後輪17よりも後方)にある。これに対応して、この実施の形態では、図20、図21に示すように、横移動規制緊締装置20が、側面視して、塵芥収容タンク81の重心Gの下方近傍位置となる左右の2箇所だけに配設されている。この場合には、図11〜図15に示す横移動規制緊締装置20を2箇所設けたことにより、上下方向並びに横方向(前後方向および車幅方向)にも移動しないように規制することとなる。また、車体フレーム5の前部側に、ストッパ19b、102を有する計量部15Aを設けたことにより、車体フレーム5とタンク3とが上下方向に分離することが阻止される。
この構成を採用すると、横移動規制緊締装置20を2つのみで済ますことができながら、これらの横移動規制緊締装置20が、塵芥収容タンク81の重心Gの近くに配置されているため、緊締時には塵芥収容タンク81を安定した姿勢で緊締して保持することができ、すなわち、車両の走行時においても、塵芥収容タンク81を前後左右の水平力に対して安定じて保持できる利点がある。そして、塵芥収容タンク81からの重心Gから離れており、塵芥収容タンク81の重量があまり作用しない、車体フレーム5の前部側のタンク3の浮き上がりや、横荷重については、計量部15Aに設けられたストッパ19b、102によって上下方向に位置規制でき、かつ、球面凹部7f、18dと球面凸部18b、7pとがストッパ19b、102の上下位置変動範囲に対応する球面部分において互いに接して位置規制することで横移動を規制できる。
なお、この場合にも、横移動規制緊締装置20としては、図13〜図16に示す構造を採用すると好適であるが、これに限るものではなく、緊締時の緊締力を増やすことができるように、当接部の当接表面部分を、摩擦係数の大きな部材に変更するなどして摩擦力を増加させた構造を採用してもよい。
なお、上記実施の形態における計量部15Aにおいては、図12に示す当接ボルト61のように過負荷を受ける部材を設けていないので、計量部15Aのロードセル7として、過負荷耐力が大きいものを選択することが望ましい。しかし、これに限るものではなく、走行中などに下方に作用する過負荷を受ける過負荷防止用のストッパなどを別途に設けてもよい。
また、上記実施の形態においては、球面凹部7f、18dおよび球面凸部18b、7p、並びにストッパ19b、102を設けた計量部15Aを、車両の一部だけに設けた場合を述べたが、これに限るものではなく、車両が、凹凸の無い設置面で計量する場合に限られたり、温度差の無い環境で使用されたりして、タンク3に対して車体フレーム5が変形しない場合においては、前記計量部15Aを、全ての計量部15で用いることも可能である。また、複数設けられる計量部15として、計量部15Aと計量部15Bとを適宜組み合わせて用いてもよい。また、上記実施の形態では、ストッパ19b、102を計量部15Aにユニットとして組込んでいるが、これに限るものではなく、ストッパ19b、102を計量部15Aの近傍に設けて、タンク3と車体フレーム5とが分離しない構造としてもよい。