JP4612380B2 - ストローにより開口形成が可能なプラスチックキャップ - Google Patents
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しかしながら、比較的軟質で機械的強度が小さい合成樹脂からキャップを形成するとキャップの強度が不十分になり、耐落下特性及び耐衝撃性に劣る傾向がある。その一方、キャップの強度を十分なものにするために、比較的硬質で機械的強度が大きい合成樹脂から形成すると、上記破断可能ラインのストローでの破断が困難になる。
更にこのような2ピースのキャップにおいては、キャップの構造上ライナーとキャップシェルの接合部分の面積が小さいため、キャップシェル及びライナーの接着性の点から多様な充填条件に対応し得るように材料を選択することができないという問題がある。
本発明の他の目的は、キャップシェルとライナーが異なる樹脂からなる2ピース構造のキャップであっても、キャップシェルとライナーの接着性に優れたキャップを提供することである。
本発明によればまた、頂板部及び頂板部から垂下するスカート部から成り、該頂板部のほぼ中央に開口が形成されて成るキャップシェルと、該キャップシェルの開口を覆うようにキャップシェル頂板部内面に形成されているライナーとから成り、ストローにより開口形成が可能なプラスチックキャップにおいて、前記ライナーのキャップシェル開口に対応する部分の上面には、側面及び底部から成り且つ該側面がすり鉢状に傾斜する凹部が形成されており、前記凹部の少なくとも側面には、該側面上方付近に形成された非破断薄肉部から凹部中心に向かって延びる厚肉部が形成され、該厚肉部の非破断薄肉部と接する外縁以外が破断可能な薄肉部により囲繞されており、前記厚肉部が凹部の下面側に突出部を形成することにより形成され、該厚肉部に対応する凹部の側面には凹部の底部側から放射状に延びるリブが形成されていることを特徴とするプラスチックキャップが提供される。
またキャップシェルとライナーが別途形成される2ピースのキャップにおいては、キャップシェル頂板部内面とライナー上面の接合部分において、キャップシェル頂板部内面及び/又はライナー上面に係合用凹部が形成されていることが好ましい。
図1(A)は本発明のキャップの一例の側断面図、図1(B)は図1のキャップの平面図である。また図2(A)は、図1のX部分を拡大して示す部分側断面図であり、図2(B)は図2(A)の矢印Y方向からの部分平面図である。
図1に示す本発明のキャップは、キャップシェル1とライナー20の組み合わせからなる2ピースタイプのキャップである。キャップシェル1は、概略的に言って頂板部2及び頂板部2の周縁から垂下するスカート部3から成り、スカート部3の内面には螺子部4が形成されていると共に、スカート部3の下端には弱化部5を介して、下端から上方に向くフラップ片6を複数個備えて成るタンパーエビデントバンド7が形成されている。
キャップシェル1の頂板部2の内面には、外側から順に容器口部(図示せず)の外面と接触するアウターリング8、容器口部先端と接触する小突条9、容器口部内面と圧着するインナーリング10が形成されており、これらによってキャップの密封性が確保されている。
ライナー20は、図2(A)から明らかなように、開口15に対応する位置に、側面21及び底部22から成り且つ該側面21がすり鉢状に傾斜している凹部23が形成されている。図2に示す具体例においては、凹部23には、側面21の上部に環状の非破断薄肉部24が形成されていると共に、凹部中心に破断可能な中央薄肉部25a、中央薄肉部25aから放射状に延びる破断可能な放射状薄肉部25bが形成されており、非破断薄肉部24、中央薄肉部25a及び隣合う放射状薄肉部25b,25bで区画される部位が厚肉部26を形成している。
図2(A)から明らかなように、厚肉部26は、ライナーの凹部23の下面側に突出部を形成することにより形成されており、ライナー20の凹部23の側面21及び底面22はストローが当接する側には一切凹凸がなく、ライナー20のキャップ内面側に凹凸が形成されることにより、上述した非破断薄肉部24、破断可能な薄肉部25、厚肉部26が形成されている。これにより、ストローを側面に沿って中央薄肉部に案内することが可能になる。
また前述した通り、ライナー20はキャップシェル頂板部の係合用環状凹部11内に嵌合するように接着固定されているため、水平方向の接着面11aのみならず、軸線方向の接着面11bでもキャップシェルに接着されているため、係合用凹部を設けずにキャップシェル頂板部内面に接着固定した場合に比して接着面積が多く、ライナーを強固にキャップシェルに固定することが可能となる。
キャップシェル2に対応する金型30中にキャップシェル2を形成する樹脂Aが射出されて、キャップシェル2が先に成形されると、キャップシェルの開口15周囲に係合用凹部11を形成するための型31が下方に移動する(図5右半分)。次いでライナー20を形成する樹脂Bがライナー形成空間32に射出されることにより、ライナーの形成とキャップシェルとライナーの接着固定を同時に行うことが可能となる。
図4及び図5は、本発明の他の態様を示すものであり、図4(A)は本発明のキャップの一例の側断面図、図5(B)は図3のキャップの平面図である。また図5(A)は、図4のX部分を拡大して示す部分側断面図であり、図5(B)は図4(A)の矢印Y方向からの部分平面図である。
図4及び図5に示す本発明のキャップは、ライナーのキャップシェル頂板部の開口に対応する部分の形状、及びキャップシェル頂板部とライナーの接合部分の形状を除いて、図1及び図2と同一形状を有している。
この態様においても、ライナー20には、キャップシェルの開口15に対応する位置に、側面21及び底部22から成り且つ該側面がすり鉢状に傾斜している凹部23が形成されている。図4及び図5示す具体例においては、凹部23には、側面21の上部の一部に弧状の非破断薄肉部24が形成され、図5(B)から明らかなように、この非破断薄肉部24から凹部中心(底部22の中心O)に至る側面21a及び底部22aが厚肉に形成されて厚肉部26が形成されている。この態様においては、開口形成の際ストロー先端が厚肉部に当接すると破断可能薄肉部の破断が容易に行われなくなるため、厚肉部26は底部22の中心Oを超えて形成されないことが重要である。
図5(A)から明らかなように、この態様においても、ライナー20の凹部23の側面21及び底面22はストローが当接する側には一切凹凸がなく、ライナー20のキャップ内面側に凹凸が形成されることにより、上述した非破断薄肉部24、破断可能な薄肉部25、厚肉部26が形成されている。これにより、ストローによる開口形成を行おうとすると、ストロー先端は凹部23のすり鉢状側面21に沿って容易に凹部底部22に位置することが可能となる。凹部中心(底部22の中心O)は破断可能な薄肉部25bと厚肉部26の境界であるため、この部分から厚肉部26の周囲に形成された破断可能な薄肉部25aへと破断が容易に進行する。ストローを更に容器内に挿入するのに伴って厚肉部26が非破断薄肉部24をヒンジとしてキャップ内方に撓むため、空気孔の形成も同時に行われ、しかも厚肉部26はキャップから離脱することがなく、厚肉部がキャップ内に脱落してしまうこともないのである。
図4及び図5に示した態様においても、図3に示した方法と同様の方法により成形することができ、キャップシェル頂板部内面に形成される係合用凹部を形成するための型31が下方に移動することによりライナー形成用の型の一部をなすため、ライナーの下面の外周部分28に係合用凹部12の一部と同じ形状が形成されている。
図6に示す具体例は、キャップシェル頂板部及びライナーの接着面に複数の同心円状の係合用環状凹部27a及び27bを形成することにより、接着面積を増加させた例である。この場合においても図3に示した製法により同様に成形することができるため、ライナー下面にもキャップシェル頂板部内面に形成された係合用環状凹部27a及び27bと同様の凹部が形成されている。
図7は、ライナー20の一部に突出部28を形成させて、キャップシェルの開口15の側面14に当接させることにより、キャップシェル頂板部内面とライナー上面の水平方向の接着面11aのみならず、軸方向の接着面11bを設けてキャップシェルとライナーの接着面積を増加させた例である。
また、図1及び図4に示した具体例では、ライナーはキャップシェルの開口周縁にだけ設けられているが、勿論インナーリング近傍まで形成してライナーとキャップシェルの接着面積を多くすることもできる。
図8及び図9に示すキャップにおいては、ライナーの凹部23の側面21の上面に、厚肉部26に対応する位置に、凹部23の底部22側から放射状に延びるリブ29が形成されている点を除いて、図1及び図2と同一形状を有している。
図10から明らかなように、ストロー40が凹部23の破断可能な薄肉部25を破断すると、ストローのキャップ内への進入に伴って凹部の側面21及び底部22がキャップ内方に撓むが、この際ストロー40はリブ29と接触し、ストロー29と側面21の間にはリブ29の厚みの分だけ空間41が形成されるため、空気孔を確実に形成することが可能となる。
また本発明のキャップにおいて、キャップシェルとライナーを同一の樹脂で一体的に成形することも勿論でき、この場合においても、図1、図4及び図8に示したライナーの形状をキャップシェルの開口部分に形成することにより同様に成形することができる。
またキャップシェルの形状は図に示した螺子キャップであればストローによる内容物の取り出しのほかキャップを取り外すことによる内容物の取り出しが可能であるが、勿論これに限定されず、スカート内周面に設けられた係合手段を容器口部の係合手段と係合させて容器口部に打込みにより装着するタイプのキャップにも適用可能である。
キャップシェル及びライナーに使用し得る樹脂としては、従来キャップシェル及びライナーに使用されていた、ポリエチレン、ポリプロピレン等を使用することができるが、特にキャップシェルとライナーを異なる樹脂で成形する2ピース構造の場合には、キャップシェルには高密度ポリエチレン、ライナーには線状低密度ポリエチレンの組み合わせを採用することが望ましい。またこの場合ライナー材料には酸素吸収剤を配合することもできる。
またキャップシェル及びライナーを同一の樹脂で成形する場合には、低密度ポリエチレンを用いることが好ましい。
また、厚肉部、非破断薄肉部、破断可能薄肉部の厚みは、厚肉部≧非破断薄肉部>破断可能薄肉部であり、具体的な厚みは用いる樹脂の種類や形成する薄肉部の幅等によっても相違し一概に規定できないが、線状低密度ポリエチレンから成るライナーで、使用するストローの外径が6.0mmの場合には、厚肉部で1.0乃至2.5mm、非破断薄肉部で0.3乃至0.6mm、破断可能薄肉部で0.13乃至0.30mmの範囲にあることが望ましい。
12 係合用環状凹部、15 開口、20 ライナー、21 側面、22 底部、
23 凹部、24 非破断薄肉部、25 破断可能薄肉部、26 厚肉部、
27 係合用環状凹部、28 突出部。
Claims (4)
- 頂板部及び頂板部から垂下するスカート部から成り、ストローにより開口形成が可能なプラスチックキャップにおいて、
前記頂板部には、側面及び底部から成り且つ該側面がすり鉢状に傾斜する凹部が形成されており、前記凹部の少なくとも側面には、該側面上方付近に形成された非破断薄肉部から凹部中心に向かって延びる厚肉部が形成され、該厚肉部の非破断薄肉部と接する外縁以外が破断可能な薄肉部により囲繞されており、前記厚肉部が凹部の下面側に突出部を形成することにより形成され、該厚肉部に対応する凹部の側面には凹部の底部側から放射状に延びるリブが形成されていることを特徴とするプラスチックキャップ。 - 頂板部及び頂板部から垂下するスカート部から成り、該頂板部のほぼ中央に開口が形成されて成るキャップシェルと、該キャップシェルの開口を覆うようにキャップシェル頂板部内面に形成されているライナーとから成り、ストローにより開口形成が可能なプラスチックキャップにおいて、
前記ライナーのキャップシェル開口に対応する部分の上面には、側面及び底部から成り且つ該側面がすり鉢状に傾斜する凹部が形成されており、前記凹部の少なくとも側面には、該側面上方付近に形成された非破断薄肉部から凹部中心に向かって延びる厚肉部が形成され、該厚肉部の非破断薄肉部と接する外縁以外が破断可能な薄肉部により囲繞されており、前記厚肉部が凹部の下面側に突出部を形成することにより形成され、該厚肉部に対応する凹部の側面には凹部の底部側から放射状に延びるリブが形成されていることを特徴とするプラスチックキャップ。 - 前記厚肉部を囲繞する破断可能な薄肉部が、凹部中心に形成された中央薄肉部及び該中央薄肉部から放射状に形成された放射状薄肉部から成る請求項1又は2記載のプラスチックキャップ。
- 前記キャップシェル頂板部内面とライナー上面の接合部分において、キャップシェル頂板部内面及び/又はライナー上面に係合用凹部が形成されている請求項2記載のプラスチックキャップ。
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