JP4612324B2 - 有機−無機ハイブリッド樹脂組成物及びその製造方法並びに硬化物 - Google Patents

有機−無機ハイブリッド樹脂組成物及びその製造方法並びに硬化物 Download PDF

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Description

本発明は、建築材料、舟艇、車両材料等の分野において利用することができる有機−無機ハイブリッド樹脂組成物及びその製造方法並びに硬化物に関するものである。
従来より、各種プラスチック材料等に有用な高分子材料として、有機−無機ハイブリッド高分子材料が提供されている。例えば、特許文献1によれば、耐熱性、表面硬度、透明性に優れた有機−無機ハイブリッド高分子材料が提供されている。この有機−無機ハイブリッド高分子材料は、主骨格としてポリカーボネートまたはポリアリレート部分を有し官能基として金属アルコキシド基を有する重合体と、金属アルコキシド化合物とを、共加水分解および共重縮合することにより得られるものである。
ところで、ビニルエステル樹脂や不飽和ポリエステル樹脂等も有用な高分子材料として使用されているが、通常これらの樹脂は、耐熱性、硬度、強度を向上させるため、フィラーや繊維等の充填材が添加された上で、建築材料、舟艇、車両材料等の用途に利用されている。
特開平11−255883号公報
しかし、透明性が特に必要とされる用途においては、上記のような充填材の使用はしばしば透明性を損なう原因となる。また、透明性が特に必要とされない用途においても、調色や柄付けの妨げになる場合があった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、透明性を維持しつつ、耐熱性、硬度が向上した硬化物を成形できる有機−無機ハイブリッド樹脂組成物及びその製造方法並びに硬化物を提供することを目的とするものである。
本発明の請求項1に係る有機−無機ハイブリッド樹脂組成物の製造方法は、ビニルエステル樹脂と不飽和ポリエステル樹脂のいずれか一方又は両方から選択される反応性不飽和基を有する主鎖化合物、スチレン、ビニルトルエン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、ジアリールフタレート、トリアリルイソシアネートから選択される少なくとも1種の重合性モノマーに対し、テトラアルコキシシラン、その部分的加水分解物及び重縮合物から選択される少なくとも1種の反応性ケイ素化合物と反応性ケイ素含有基を有する不飽和モノマーの両方又はいずれか一方を混合し、さらにこの混合物に、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドから選択される少なくとも1種の水との相溶性が高い溶媒を添加し、次に上記反応性ケイ素化合物と反応性ケイ素含有基を有する不飽和モノマーの両方又はいずれか一方を加水分解して縮重合した後、水、加水分解により生じたアルコール、上記溶媒を除去することを特徴とするものである。
本発明の請求項に係る有機−無機ハイブリッド樹脂組成物の製造方法は、請求項1において、加水分解して縮重合する際に酸触媒を用いることを特徴とするものである。
本発明の請求項に係る有機−無機ハイブリッド樹脂組成物は、請求項1又は2に記載の有機−無機ハイブリッド樹脂組成物の製造方法にて製造されたものであることを特徴とするものである。
本発明の請求項に係る硬化物は、請求項に記載の有機−無機ハイブリッド樹脂組成物をラジカル重合して成ることを特徴とするものである。
本発明の請求項に係る有機−無機ハイブリッド樹脂組成物の製造方法によれば、透明性を維持しつつ、耐熱性、硬度が向上した硬化物を成形できる有機−無機ハイブリッド樹脂組成物を容易に製造することができるものである。
本発明の請求項に係る有機−無機ハイブリッド樹脂組成物の製造方法によれば、脱水時において反応性ケイ素化合物や反応性ケイ素含有基を有する不飽和モノマーの反応物の分解が起こらないようにすることができるものである。
本発明の請求項に係る有機−無機ハイブリッド樹脂組成物によれば、透明性を維持しつつ、耐熱性、硬度が向上した硬化物を成形することができるものである。
本発明の請求項に係る硬化物は、透明性が維持されており、しかも耐熱性、硬度が優れているものである。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(請求項1〜の発明の実施の形態1)
まず、反応性不飽和基を有する主鎖化合物(以下適宜「主鎖化合物」という。)、重合性モノマー、反応性ケイ素化合物を混合する。このとき、主鎖化合物と重合性モノマーの総量に対して、主鎖化合物の配合量は40〜80重量%に設定することができる。また、主鎖化合物と重合性モノマーの総量100重量部に対して、反応性ケイ素化合物の配合量は5〜40重量部に設定することができる。
ここで、主鎖化合物としては、特に限定されるものではないが、末端にのみ反応性不飽和基を有する主鎖化合物を用いることができる。また、主鎖化合物としては、ビニルエステル樹脂と不飽和ポリエステル樹脂のいずれか一方又は両方を用いる。
また、重合性モノマーとしては、スチレン、ビニルトルエン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、ジアリールフタレート、トリアリルイソシアネートから選択される少なくとも1種を用いる。
また、反応性ケイ素化合物としては、アルコキシシラン、アルコキシシランの部分的加水分解物及び重縮合物から選択される少なくとも1種を用いる。なお、アルコキシシランの具体例としては、テトラエトキシシランやメチルトリエトキシシランを挙げることができる。
そして、上記の主鎖化合物、重合性モノマー、反応性ケイ素化合物からなる混合物にさらに、水との相溶性が高い溶媒(以下適宜「溶媒」という。)を添加する。この溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドから選択される少なくとも1種を用いる。その理由は、反応性ケイ素化合物を加水分解して縮重合する際に必要な水及び触媒を容易に分散させることができるからである。主鎖化合物と重合性モノマーの総量100重量部に対して、溶媒の添加量は20〜100重量部に設定することができる。
次に、上記反応性ケイ素化合物を加水分解して縮重合する。この際には、塩酸、硫酸、硝酸等の酸触媒や弱アルカリ触媒を用いることができる。これらのうち塩酸、硫酸、硝酸等の酸触媒を用いるのが好ましい(請求項)。その理由は、アルカリ触媒を用いると、脱水時にアルカリが濃縮されることにより反応性ケイ素化合物の反応物の分解が起こるおそれがあるが、酸触媒を用いれば、脱水時において反応性ケイ素化合物の反応物の分解が起こらないようにすることができるからである。酸触媒は、上記混合物を撹拌しながら添加し、酸触媒を添加した後の混合物は35〜50℃で15〜120分間撹拌するのが好ましい。その理由は、撹拌によって反応性ケイ素化合物を上記混合物中において均一に分散させることができ、また、加水分解及び縮重合により上記混合物中において微細粒子を生成することができるからである。酸触媒の添加量は、例えば、1N塩酸を用いる場合には、反応性ケイ素化合物1モル(テトラエトキシシランでは1モル=208g)に対し、15〜150gに設定することができる。
その後、水、加水分解により生じたアルコール、上記溶媒を除去する。このとき、エバポレーターを用い、40〜60℃で30〜120分間減圧加熱することにより、水、アルコール、溶媒を除去することができる。そうすると、有機−無機ハイブリッド樹脂組成物を得ることができる。
上記のようにして得られた有機−無機ハイブリッド樹脂組成物にはさらに、水酸化アルミニウム、ガラスパウダー、ガラスフリット、シリカパウダー、タルク、炭酸カルシウム、アルミナ、硫酸バリウム、ウォラスナイト、珪酸カルシウム、カオリンクレー、カーボンから選択される少なくとも1種を添加することができる。上記の水酸化アルミニウム等は、主鎖化合物、重合性モノマー、反応性ケイ素化合物を混合する際に適当量添加することができる。
上記のようにして得られた有機−無機ハイブリッド樹脂組成物は、主鎖化合物、重合性モノマー、加水分解して縮重合した反応性ケイ素化合物を含有するので、透明性を維持しつつ、耐熱性、硬度が向上した硬化物を後述するように容易に成形することができるものである。なお、主鎖化合物及び重合性モノマーのみでは、たとえ透明性を確保できたとしても、耐熱性、硬度を向上させることができない。また、反応性ケイ素化合物を含有していても、これが加水分解されていなければ、却って耐熱性や硬度が低下する場合がある。
(請求項1〜の発明の実施の形態2)
まず、主鎖化合物、重合性モノマー、反応性ケイ素含有基を有する不飽和モノマー(以下適宜「不飽和モノマー」という。)を混合する。このとき、主鎖化合物と重合性モノマーの総量に対して、主鎖化合物の配合量は40〜80重量%に設定することができる。また、主鎖化合物と重合性モノマーの総量100重量部に対して、不飽和モノマーの配合量は5〜40重量部に設定することができる。
ここで、主鎖化合物としては、特に限定されるものではないが、末端にのみ反応性不飽和基を有する主鎖化合物を用いることができる。また、主鎖化合物としては、ビニルエステル樹脂と不飽和ポリエステル樹脂のいずれか一方又は両方を用いる。
また、重合性モノマーとしては、スチレン、ビニルトルエン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、ジアリールフタレート、トリアリルイソシアネートから選択される少なくとも1種を用いる。
また、不飽和モノマーとしては、特に限定されるものではないが、p−スチリルトリメトキシシラン、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(メチルジメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(メチルジエトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランから選択される少なくとも1種を用いるのが好ましい。その理由は、不飽和モノマーが加水分解して縮重合することにより微粒子が形成され、この微粒子が樹脂骨格に結合した硬化物を得ることができ、耐熱性、硬度をさらに向上させることができるからである。
そして、上記の主鎖化合物、重合性モノマー、不飽和モノマーからなる混合物にさらに、溶媒を添加する。この溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドから選択される少なくとも1種を用いる。その理由は、不飽和モノマーを加水分解して縮重合する際に必要な水及び触媒を容易に分散させることができるからである。主鎖化合物と重合性モノマーの総量100重量部に対して、溶媒の添加量は20〜100重量部に設定することができる。
次に、上記不飽和モノマーを加水分解して縮重合する。この際には、塩酸、硫酸、硝酸等の酸触媒や弱アルカリ触媒を用いることができる。これらのうち塩酸、硫酸、硝酸等の酸触媒を用いるのが好ましい(請求項)。その理由は、アルカリ触媒を用いると、脱水時にアルカリが濃縮されることにより不飽和モノマーの反応物の分解が起こるおそれがあるが、酸触媒を用いれば、脱水時において不飽和モノマーの反応物の分解が起こらないようにすることができるからである。酸触媒は、上記混合物を撹拌しながら添加し、酸触媒を添加した後の混合物は35〜50℃で15〜120分間撹拌するのが好ましい。その理由は、撹拌によって不飽和モノマーを上記混合物中において均一に分散させることができ、また、加水分解及び縮重合により上記混合物中において微細粒子を生成することができるからである。酸触媒の添加量は、例えば、1N塩酸を用いる場合には、不飽和モノマー1モル(p−スチリルトリメトキシシランでは1モル=224.3g)に対し、15〜150gに設定することができる。
その後、水、加水分解により生じたアルコール、上記溶媒を除去する。このとき、エバポレーターを用い、40〜60℃で30〜120分間減圧加熱することにより、水、アルコール、溶媒を除去することができる。そうすると、有機−無機ハイブリッド樹脂組成物を得ることができる。
上記のようにして得られた有機−無機ハイブリッド樹脂組成物にはさらに、水酸化アルミニウム、ガラスパウダー、ガラスフリット、シリカパウダー、タルク、炭酸カルシウム、アルミナ、硫酸バリウム、ウォラスナイト、珪酸カルシウム、カオリンクレー、カーボンから選択される少なくとも1種を添加することができる。上記の水酸化アルミニウム等は、主鎖化合物、重合性モノマー、不飽和モノマーを混合する際に適当量添加することができる。
上記のようにして得られた有機−無機ハイブリッド樹脂組成物は、主鎖化合物、重合性モノマー、加水分解して縮重合した不飽和モノマーを含有するので、透明性を維持しつつ、耐熱性、硬度が向上した硬化物を後述するように容易に成形することができるものである。なお、主鎖化合物及び重合性モノマーのみでは、たとえ透明性を確保できたとしても、耐熱性、硬度を向上させることができない。また、不飽和モノマーを含有していても、これが加水分解されていなければ、却って耐熱性や硬度が低下する場合がある。
(請求項1〜の発明の実施の形態3)
まず、主鎖化合物、重合性モノマー、反応性ケイ素化合物、不飽和モノマーを混合する。このとき、主鎖化合物と重合性モノマーの総量に対して、主鎖化合物の配合量は40〜80重量%に設定することができる。また、主鎖化合物と重合性モノマーの総量100重量部に対して、反応性ケイ素化合物及び不飽和モノマーの合計の配合量は5〜40重量部に設定することができる。反応性ケイ素化合物と不飽和モノマーの配合比(Si比)は1:10〜10:1に設定することができる。
ここで、主鎖化合物としては、特に限定されるものではないが、末端にのみ反応性不飽和基を有する主鎖化合物を用いることができる。また、主鎖化合物としては、ビニルエステル樹脂と不飽和ポリエステル樹脂のいずれか一方又は両方を用いる。
また、重合性モノマーとしては、スチレン、ビニルトルエン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、ジアリールフタレート、トリアリルイソシアネートから選択される少なくとも1種を用いる。
また、反応性ケイ素化合物としては、アルコキシシラン、アルコキシシランの部分的加水分解物及び重縮合物から選択される少なくとも1種を用いる。なお、アルコキシシランの具体例としては、テトラエトキシシランやメチルトリエトキシシランを挙げることができる。
また、不飽和モノマーとしては、特に限定されるものではないが、p−スチリルトリメトキシシラン、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(メチルジメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(メチルジエトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−アクリロシキプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランから選択される少なくとも1種を用いるのが好ましい。その理由は、不飽和モノマーが加水分解して縮重合することにより微粒子が形成され、この微粒子が樹脂骨格に結合した硬化物を得ることができ、耐熱性、硬度をさらに向上させることができるからである。
そして、上記の主鎖化合物、重合性モノマー、反応性ケイ素化合物、不飽和モノマーからなる混合物にさらに、溶媒を添加する。この溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドから選択される少なくとも1種を用いる。その理由は、反応性ケイ素化合物及び不飽和モノマーを加水分解して縮重合する際に必要な水及び触媒を容易に分散させることができるからである。主鎖化合物と重合性モノマーの総量100重量部に対して、溶媒の添加量は20〜100重量部に設定することができる。
次に、上記反応性ケイ素化合物及び不飽和モノマーを加水分解して縮重合する。この際には、塩酸、硫酸、硝酸等の酸触媒や弱アルカリ触媒を用いることができる。これらのうち塩酸、硫酸、硝酸等の酸触媒を用いるのが好ましい(請求項)。その理由は、アルカリ触媒を用いると、脱水時にアルカリが濃縮されることにより反応性ケイ素化合物及び不飽和モノマーの反応物の分解が起こるおそれがあるが、酸触媒を用いれば、脱水時において反応性ケイ素化合物及び不飽和モノマーの反応物の分解が起こらないようにすることができるからである。酸触媒は、上記混合物を撹拌しながら添加し、酸触媒を添加した後の混合物は35〜50℃で15〜120分間撹拌するのが好ましい。その理由は、撹拌によって反応性ケイ素化合物及び不飽和モノマーを上記混合物中において均一に分散させることができ、また、加水分解及び縮重合により上記混合物中において微細粒子を生成することができるからである。酸触媒の添加量は、例えば、1N塩酸を用いる場合には、反応性ケイ素化合物及び不飽和モノマー1モルに対し、15〜150gに設定することができる。
その後、水、加水分解により生じたアルコール、上記溶媒を除去する。このとき、エバポレーターを用い、40〜60℃で30〜120分間減圧加熱することにより、水、アルコール、溶媒を除去することができる。そうすると、有機−無機ハイブリッド樹脂組成物を得ることができる。
上記のようにして得られた有機−無機ハイブリッド樹脂組成物にはさらに、水酸化アルミニウム、ガラスパウダー、ガラスフリット、シリカパウダー、タルク、炭酸カルシウム、アルミナ、硫酸バリウム、ウォラスナイト、珪酸カルシウム、カオリンクレー、カーボンから選択される少なくとも1種を添加することができる。上記の水酸化アルミニウム等は、主鎖化合物、重合性モノマー、反応性ケイ素化合物、不飽和モノマーを混合する際に適当量添加することができる。
上記のようにして得られた有機−無機ハイブリッド樹脂組成物は、主鎖化合物、重合性モノマー、加水分解して縮重合した反応性ケイ素化合物及び不飽和モノマーを含有するので、透明性を維持しつつ、耐熱性、硬度が向上した硬化物を後述するように容易に成形することができるものである。なお、主鎖化合物及び重合性モノマーのみでは、たとえ透明性を確保できたとしても、耐熱性、硬度を向上させることができない。また、反応性ケイ素化合物及び不飽和モノマーを含有していても、これらが加水分解されていなければ、却って耐熱性や硬度が低下する場合がある。
次に、上記のようにして得られた有機−無機ハイブリッド樹脂組成物を用いて、樹脂シート等の硬化物を製造する方法について説明する。
(請求項の発明の実施の形態)
プレス成形法、注型成形法、ハンドレイアップ成形法、スプレイアップ成形法のいずれかの方法を用い、有機−無機ハイブリッド樹脂組成物をラジカル重合することによって硬化物を製造することができる。このようにラジカル重合させるためには、有機−無機ハイブリッド樹脂組成物にはあらかじめ硬化剤、必要に応じて硬化促進剤を添加しておくものである。例えば、主鎖化合物としてビニルエステル樹脂が用いられている場合には、有機−無機ハイブリッド樹脂組成物に、硬化剤としてt−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートのフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)溶液を添加することができる。この溶液の濃度は適宜に設定することができ、添加量も適宜に設定することができる。また、主鎖化合物として不飽和ポリエステル樹脂が用いられている場合には、有機−無機ハイブリッド樹脂組成物に、硬化促進剤としてナフテン酸コバルトを添加すると共に、硬化剤としてメチルエチルケトンパーオキサイドのフタル酸ジメチル溶液を添加することができる。この溶液の濃度は適宜に設定することができ、添加量も適宜に設定することができる。
プレス成形法は、次のようにして行うことができる。すなわち、プレス成形機の上下の台盤の間に、硬化剤等を添加して混合した有機−無機ハイブリッド樹脂組成物を挿入して、それに力を加えて加圧成形を行うものである。これにより、樹脂シート等の硬化物を得ることができる。
注型成形法は、次のようにして行うことができる。すなわち、硬化剤等を添加して混合した有機−無機ハイブリッド樹脂組成物を金型に流し込んで固化させた後、これを金型から外すことにより、樹脂シート等の硬化物を得ることができる。
ハンドレイアップ成形法は、次のようにして行うことができる。すなわち、この方法はFRP成形法の一種であり、型の上に強化材を手作業で積み重ね、硬化剤等を添加して混合した有機−無機ハイブリッド樹脂組成物を含浸、脱泡し、所定の形状、寸法に仕上げるものである。これにより、樹脂シート等の硬化物を得ることができる。
スプレイアップ成形法は、次のようにして行うことができる。すなわち、硬化剤等を添加して混合した有機−無機ハイブリッド樹脂組成物とガラス繊維をスプレーガンを用いて型の上に同時に吹き付けて積層するものである。これにより、樹脂シート等の硬化物を得ることができる。
上記のいずれの方法を用いても、硬化物としては、透明性が維持されており、しかも耐熱性、硬度が優れているものを得ることができる。このような硬化物を少なくとも表層に用いて形成される樹脂シートは、表面品質が向上しているのはもちろん、コスト面でも有利である。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
<実施例1>
主鎖化合物として、反応性不飽和基を有するビスフェノール型ビニルエステル樹脂を用いると共に、重合性モノマーとして、スチレンを用い、これらをビニルエステル樹脂系「ビスフェノール型ビニルエステル樹脂の60重量%スチレン溶液」(ジャパンコンポジット(株)製「KSV−15」)として用いた。また、反応性ケイ素化合物として、テトラエトキシシランを用いた。
そして、ビニルエステル樹脂系「ビスフェノール型ビニルエステル樹脂の60重量%スチレン溶液」100重量部に対し、これを撹拌しながらテトラエトキシシランを9重量部添加し、さらに溶媒であるアセトンを50重量部添加して、混合物を得た。次に、反応性ケイ素化合物を加水分解して縮重合させるため、上記混合物を撹拌しながら1N塩酸を3重量部添加した後、40℃で30分間撹拌した。その後、エバポレーターを用いて45℃で60分間減圧加熱して、水、アルコール、アセトンを除去することにより、有機−無機ハイブリッド樹脂組成物を得た。
次に、上記のようにして得た有機−無機ハイブリッド樹脂組成物に、硬化剤である「t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの50重量%フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)溶液」を2重量部添加して混合し、これを金型内に注入した。そのまま90℃で60分間加熱硬化させた後、脱型し、さらにオーブンにて90℃で30分間加熱することにより、厚さ8.5mmの樹脂シート(硬化物)を得た。
<実施例3>
主鎖化合物として、反応性不飽和基を有するビスフェノール型ビニルエステル樹脂を用いると共に、重合性モノマーとして、スチレンを用い、これらをビニルエステル樹脂系「ビスフェノール型ビニルエステル樹脂の60重量%スチレン溶液」(ジャパンコンポジット(株)製「KSV−15」)として用いた。また、不飽和モノマーとして、p−スチリルトリメトキシシランを用いた。
そして、ビニルエステル樹脂系「ビスフェノール型ビニルエステル樹脂の60重量%スチレン溶液」100重量部に対し、これを撹拌しながらp−スチリルトリメトキシシランを20重量部添加し、さらに溶媒であるアセトンを40重量部添加して、混合物を得た。次に、不飽和モノマーを加水分解して縮重合させるため、上記混合物を撹拌しながら1N塩酸を5重量部添加した後、40℃で30分間撹拌した。その後、エバポレーターを用いて45℃で60分間減圧加熱して、水、アルコール、アセトンを除去することにより、有機−無機ハイブリッド樹脂組成物を得た。
次に、上記のようにして得た有機−無機ハイブリッド樹脂組成物に、硬化剤である「t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの50重量%フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)溶液」を2重量部添加して混合し、これを金型内に注入した。そのまま90℃で60分間加熱硬化させた後、脱型し、さらにオーブンにて90℃で30分間加熱することにより、厚さ8.5mmの樹脂シート(硬化物)を得た。
<実施例4>
主鎖化合物として、反応性不飽和基を有するビスフェノール型ビニルエステル樹脂を用いると共に、重合性モノマーとして、スチレンを用い、これらをビニルエステル樹脂系「ビスフェノール型ビニルエステル樹脂の60重量%スチレン溶液」(ジャパンコンポジット(株)製「KSV−15」)として用いた。また、反応性ケイ素化合物として、テトラエトキシシランを用いると共に、不飽和モノマーとして、p−スチリルトリメトキシシランを用いた。
そして、ビニルエステル樹脂系「ビスフェノール型ビニルエステル樹脂の60重量%スチレン溶液」100重量部に対し、これを撹拌しながら、まずp−スチリルトリメトキシシランを10重量部添加し、次にテトラエトキシシランを9重量部添加し、さらに溶媒であるアセトンを40重量部添加して、混合物を得た。反応性ケイ素化合物及び不飽和モノマーを加水分解して縮重合させるため、上記混合物を撹拌しながら1N塩酸を5重量部添加した後、40℃で30分間撹拌した。その後、エバポレーターを用いて45℃で60分間減圧加熱して、水、アルコール、アセトンを除去することにより、有機−無機ハイブリッド樹脂組成物を得た。
次に、上記のようにして得た有機−無機ハイブリッド樹脂組成物に、硬化剤である「t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの50重量%フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)溶液」を2重量部添加して混合し、これを金型内に注入した。そのまま90℃で60分間加熱硬化させた後、脱型し、さらにオーブンにて90℃で30分間加熱することにより、厚さ8.5mmの樹脂シート(硬化物)を得た。
<実施例5>
主鎖化合物として、反応性不飽和基を有する不飽和ポリエステル樹脂を用いると共に、重合性モノマーとして、スチレンを用い、これらを不飽和ポリエステル樹脂系「不飽和ポリエステル樹脂の60重量%スチレン溶液」(ジャパンコンポジット(株)製「G−227」)として用いた。また、不飽和モノマーとして、p−スチリルメトキシシランを用いた。
そして、不飽和ポリエステル樹脂系「不飽和ポリエステル樹脂の60重量%スチレン溶液」100重量部に対し、これを撹拌しながらp−スチリルメトキシシランを20重量部添加し、さらに溶媒であるアセトンを40重量部添加して、混合物を得た。次に、不飽和モノマーを加水分解して縮重合させるため、上記混合物を撹拌しながら1N塩酸を5重量部添加した後、40℃で30分間撹拌した。その後、エバポレーターを用いて45℃で60分間減圧加熱して、水、アルコール、アセトンを除去することにより、有機−無機ハイブリッド樹脂組成物を得た。
次に、上記のようにして得た有機−無機ハイブリッド樹脂組成物に、硬化促進剤である「6%ナフテン酸コバルト」(ジャパンコンポジット(株)製「ポリホープ促進剤」)を0.5重量部及び硬化剤である「メチルエチルケトンパーオキサイドのフタル酸ジメチル溶液(活性酸素量10%)」を1重量部添加して混合し、これを金型内に注入した。そのまま60℃で60分間加熱硬化させた後、脱型し、さらにオーブンにて80℃で120分間加熱することにより、厚さ8.5mmの樹脂シート(硬化物)を得た。
<比較例1>
主鎖化合物として、反応性不飽和基を有するビスフェノール型ビニルエステル樹脂を用いると共に、重合性モノマーとして、スチレンを用い、これらをビニルエステル樹脂系「ビスフェノール型ビニルエステル樹脂の60重量%スチレン溶液」(ジャパンコンポジット(株)製「KSV−15」)として用いた。また、反応性ケイ素化合物及び不飽和モノマーはいずれも用いなかった。
そして、ビニルエステル樹脂系「ビスフェノール型ビニルエステル樹脂の60重量%スチレン溶液」100重量部に対し、硬化剤である「t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの50重量%フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)溶液」を2重量部添加して混合し、これを金型内に注入した。そのまま90℃で60分間加熱硬化させた後、脱型し、さらにオーブンにて90℃で30分間加熱することにより、厚さ8.5mmの樹脂シート(硬化物)を得た。
<比較例2>
主鎖化合物として、反応性不飽和基を有するビスフェノール型ビニルエステル樹脂を用いると共に、重合性モノマーとして、スチレンを用い、これらをビニルエステル樹脂系「ビスフェノール型ビニルエステル樹脂の60重量%スチレン溶液」(ジャパンコンポジット(株)製「KSV−15」)として用いた。また、反応性ケイ素化合物及び不飽和モノマーはいずれも用いず、これらの代わりにフィラーとしてシリカ粉(平均粒径7μm)を用いた。
そして、ビニルエステル樹脂系「ビスフェノール型ビニルエステル樹脂の60重量%スチレン溶液」100重量部に対し、これを撹拌しながらシリカ粉を5重量部添加することにより、樹脂組成物を得た。
次に、上記のようにして得た樹脂組成物に硬化剤である「t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの50重量%フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)溶液」を2重量部添加して混合し、これを金型内に注入した。そのまま90℃で60分間加熱硬化させた後、脱型し、さらにオーブンにて90℃で30分間加熱することにより、厚さ8.5mmの樹脂シート(硬化物)を得た。
<比較例3>
主鎖化合物として、反応性不飽和基を有するビスフェノール型ビニルエステル樹脂を用いると共に、重合性モノマーとして、スチレンを用い、これらをビニルエステル樹脂系「ビスフェノール型ビニルエステル樹脂の60重量%スチレン溶液」(ジャパンコンポジット(株)製「KSV−15」)として用いた。また、不飽和モノマーとして、p−スチリルトリメトキシシランを用いた。
そして、ビニルエステル樹脂系「ビスフェノール型ビニルエステル樹脂の60重量%スチレン溶液」100重量部に対し、これを撹拌しながらp−スチリルトリメトキシシランを20部添加することにより、樹脂組成物を得た。ただし、上記不飽和モノマーの加水分解は行わなかった。
次に、上記のようにして得た樹脂組成物に硬化剤である「t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの50重量%フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)溶液」を2重量部添加して混合し、これを金型内に注入した。そのまま90℃で60分間加熱硬化させた後、脱型し、さらにオーブンにて90℃で30分間加熱することにより、厚さ8.5mmの樹脂シート(硬化物)を得た。
<比較例4>
主鎖化合物として、反応性不飽和基を有するビスフェノール型ビニルエステル樹脂を用いると共に、重合性モノマーとして、スチレンを用い、これらをビニルエステル樹脂系「ビスフェノール型ビニルエステル樹脂の60重量%スチレン溶液」(ジャパンコンポジット(株)製「KSV−15」)として用いた。また、反応性ケイ素化合物として、テトラエトキシシランを用いると共に、不飽和モノマーとして、p−スチリルトリメトキシシランを用いた。
そして、ビニルエステル樹脂系「ビスフェノール型ビニルエステル樹脂の60重量%スチレン溶液」100重量部に対し、これを撹拌しながら、まずp−スチリルトリメトキシシランを10重量部、次にテトラエトキシシランを9重量部添加することにより、樹脂組成物を得た。ただし、上記反応性ケイ素化合物及び不飽和モノマーの加水分解は行わなかった。
次に、上記のようにして得た樹脂組成物に硬化剤である「t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの50重量%フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)溶液」を2重量部添加して混合し、これを金型内に注入した。そのまま90℃で60分間加熱硬化させた後、脱型し、さらにオーブンにて90℃で30分間加熱することにより、厚さ8.5mmの樹脂シート(硬化物)を得た。
<比較例5>
主鎖化合物として、反応性不飽和基を有するビスフェノール型ビニルエステル樹脂を用いると共に、重合性モノマーとして、スチレンを用い、これらをビニルエステル樹脂系「ビスフェノール型ビニルエステル樹脂の60重量%スチレン溶液」(ジャパンコンポジット(株)製「KSV−15」)として用いた。また、反応性ケイ素化合物として、テトラエトキシシランを用いた。
そして、ビニルエステル樹脂系「ビスフェノール型ビニルエステル樹脂の60重量%スチレン溶液」100重量部に対し、これを撹拌しながらテトラエトキシシランを9重量部添加して、混合物を得た。次に、反応性ケイ素化合物を加水分解して縮重合させるため、上記混合物を撹拌しながら1N塩酸を3重量部添加した後、40℃で30分間撹拌した。しかし、テトラエトキシシランが加水分解して縮重合した硬化物が分離したので、成形可能な樹脂組成物を得ることができなかった。
<比較例6>
主鎖化合物として、反応性不飽和基を有する不飽和ポリエステル樹脂を用いると共に、重合性モノマーとして、スチレンを用い、これらを不飽和ポリエステル樹脂系「不飽和ポリエステル樹脂の60重量%スチレン溶液」(ジャパンコンポジット(株)製「G−227」)として用いた。また、反応性ケイ素化合物及び不飽和モノマーはいずれも用いなかった。
そして、不飽和ポリエステル樹脂系「不飽和ポリエステル樹脂の60重量%スチレン溶液」100重量部に対し、硬化促進剤である「6%ナフテン酸コバルト」(ジャパンコンポジット(株)製「ポリホープ促進剤」)を0.5重量部添加すると共に、硬化剤である「メチルエチルケトンパーオキサイドのフタル酸ジメチル溶液(活性酸素量10%)」を1重量部添加して混合し、これを金型内に注入した。そのまま60℃で60分間加熱硬化させた後、脱型し、さらにオーブンにて80℃で120分間加熱することにより、厚さ8.5mmの樹脂シート(硬化物)を得た。
<評価方法>
上記のようにして得た各樹脂シートについて、下記のような方法で試験を行い、透明性、硬度、耐熱性を評価した。
透明性:新聞紙上に樹脂シートを置き、この樹脂シートを通して文字の識別が可能か否かで評価した。文字の識別が可能であるものを「○」とし、文字の識別が不可能であるものを「×」として、結果を下記[表2]に示す。
硬度:鉛筆引っかき試験(JIS K 5400:塗料一般試験方法)を行い、表面鉛筆硬度で評価した。
耐熱性:TMA法により、40℃から75℃までの線膨張係数及びガラス転移温度を測定し、これらの測定値で評価した。
Figure 0004612324
Figure 0004612324
比較例1の樹脂シートは、上記[表1]から明らかなように、実施例1〜4で用いたビニルエステル樹脂系のみを硬化させたものである。
比較例2の樹脂シートは、ビニルエステル樹脂系にシリカ粉を5重量部添加したものであるが、上記[表2]にみられるように、表面硬度及び耐熱性が向上するものの、不透明であった。
比較例3の樹脂シートは、比較例2の樹脂シートとほぼ同量のSi量(シリカ粉)となるように、ビニルエステル樹脂系に不飽和モノマーとしてp−スチリルトリメトキシシランを添加したものである。上記[表2]にみられるように、透明な硬化物が得られ、表面硬度は向上したものの、耐熱性が低下した。
比較例4の樹脂シートは、比較例3の樹脂シートにおけるp−スチリルトリメトキシシランの量を半分とすると共に、比較例2の樹脂シートとほぼ同量のSi量(シリカ粉)となるように、ビニルエステル樹脂系に反応性ケイ素化合物としてテトラエトキシシランを添加したものである。上記[表2]にみられるように、透明な硬化物は得られたものの、耐熱性が低下した。
比較例5においては、ビニルエステル樹脂系にテトラエトキシシランを9重量部、続けて1N塩酸を3重量部添加したところ、この混合物が白濁して分離した。これを40℃に加熱して加水分解及び縮重合を試みたが、テトラエトキシシランの反応による硬化物が発生し、次の成形に用いることができる樹脂組成物を得ることができなかった。
実施例1は、上記[表1]から明らかなように溶媒としてアセトンを用いており、このようにアセトンを添加することにより、テトラエトキシシラン及び1N塩酸添加時の白濁及び分離を抑制することができた。実施例1の硬化物は、若干白濁が認められたものの、新聞の文字は十分に識別できる透明性を有していた。また、上記[表2]にみられるように、耐熱性の向上も認められた。
実施例3は、上記[表1]から明らかなように溶媒としてアセトンを用いており、このようにアセトンを添加することにより、有機−無機ハイブリッド樹脂組成物の白濁を抑制することができた。実施例3の硬化物は、実施例2の硬化物とほぼ同等の外観を呈していた。また、上記[表2]にみられるように、表面硬度及び耐熱性の向上も認められ、耐熱性については実施例2よりも優れるものであった。
実施例4の樹脂シートは、実施例3の樹脂シートにおけるp−スチリルトリメトキシシランの量を半分とすると共に、比較例2〜4及び実施例2、3とほぼ同量のSi量となるように、ビニルエステル樹脂系にテトラエトキシシランを添加したものである。実施例4の硬化物は、若干白濁が認められたものの、新聞の文字は十分に識別できる透明性を有していた。また、実施例2、3の樹脂シートで発生したクラックは、実施例4の樹脂シートについては認められなかった。さらに、実施例4の樹脂シートは、上記[表2]にみられるように、実施例3の樹脂シートとほぼ同等の表面硬度及び耐熱性を有していた。
比較例6の樹脂シートは、上記[表1]から明らかなように、実施例5で用いた不飽和ポリエステル樹脂系のみを硬化させたものである。
実施例5の樹脂シートは、実施例3で用いたビニルエステル樹脂系を不飽和ポリエステル樹脂系に置き換えたものである。いずれも、上記[表2]にみられるように、新聞の文字が十分に識別できる透明性を有しており、また、表面硬度及び耐熱性の向上が認められた。このように、不飽和ポリエステル樹脂系においても、ビニルエステル樹脂系と同様の効果が確認された。

Claims (4)

  1. ビニルエステル樹脂と不飽和ポリエステル樹脂のいずれか一方又は両方から選択される反応性不飽和基を有する主鎖化合物、スチレン、ビニルトルエン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、ジアリールフタレート、トリアリルイソシアネートから選択される少なくとも1種の重合性モノマーに対し、テトラアルコキシシラン、その部分的加水分解物及び重縮合物から選択される少なくとも1種の反応性ケイ素化合物と反応性ケイ素含有基を有する不飽和モノマーの両方又はいずれか一方を混合し、さらにこの混合物に、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドから選択される少なくとも1種の水との相溶性が高い溶媒を添加し、次に上記反応性ケイ素化合物と反応性ケイ素含有基を有する不飽和モノマーの両方又はいずれか一方を加水分解して縮重合した後、水、加水分解により生じたアルコール、上記溶媒を除去することを特徴とする有機−無機ハイブリッド樹脂組成物の製造方法。
  2. 加水分解して縮重合する際に酸触媒を用いることを特徴とする請求項1に記載の有機−無機ハイブリッド樹脂組成物の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の有機−無機ハイブリッド樹脂組成物の製造方法にて製造されたものであることを特徴とする有機−無機ハイブリッド樹脂組成物。
  4. 請求項に記載の有機−無機ハイブリッド樹脂組成物をラジカル重合して成ることを特徴とする硬化物。
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