JP4611514B2 - 水素ガスの分離方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力変動吸着(PSA)法を利用して、混合ガス中から不要ガスを除去して水素ガスを分離する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
混合ガス中から水素ガスなどの目的ガスを分離する方法として、PSA法がある。このPSA法は、吸着剤を充填した吸着塔を2〜4塔設け、各吸着塔において、吸着工程、減圧工程、脱着工程、および昇圧工程を含むサイクルを繰り返すことにより行われる。PSA法においては、得られる水素ガスの純度や収率の観点から種々の改良がなされている(たとえば特公昭62−38014号公報、特公平7−4498号公報、特開平8−10551号公報)。
【0003】
その一例として、脱着工程が終了した吸着塔に、吸着工程を行っている吸着塔からの製品ガスを供給し、脱着工程後に吸着塔内に残存するガスを排出して吸着塔を洗浄するものがある。他の例として、吸着工程が終了して高圧下にある1つの吸着塔と脱着工程または洗浄工程が終了して低圧下にある他の吸着塔との間で圧力の均圧化を図ることにより、1つの吸着塔については吸着塔内の減圧を行うと同時に、他の吸着塔については昇圧を行うものがある。
【0004】
このような洗浄および均圧化を行うPSA法は、たとえば図1に示したPSA分離装置Xを用いて行うことができる。この図に示したPSA分離装置Xは、3つの吸着塔A,B,C、混合ガス用配管1、製品ガス用配管2、塔内ガス回収用配管3、ガス導入用配管4、製品パージ用配管5、パージガス用配管6を有している。各配管1〜6には自動弁a〜pが、塔内ガス回収用配管3および製品パージ用配管5には流量調整弁7,8がそれぞれ設けられており、各自動弁a〜pの開閉状態を選択することにより、各吸着塔A,B,Cにおいて上記した各工程が行われる。具体的には、ステップ1〜9において各自動弁a〜pの開閉状態を、たとえば図9に示したように選択することにより、各ステップにおけるPSA分離装置Xのガス流れ状態が図10(a)〜(i)に示したようなものとされる。
【0005】
ステップ1においては、図9に示したように吸着塔Aでは第2吸着工程、吸着塔Bでは第1昇圧工程、吸着塔Cでは脱着工程が行われており、図10(a)に示したようなガス流れ状態とされている。図1および図10(a)に示したように、吸着塔Aには、混合ガス用配管1および自動弁aを介して混合ガスが導入される。吸着塔Aでは、吸着剤により不要ガスが除去されて製品ガスが塔外に排出される。製品ガスは、自動弁iおよび製品ガス用配管2を介して回収され、その一部は製品パージ用配管5、自動弁p、流量調整弁8、ガス導入用配管4、および自動弁jを介して吸着塔Bに導入される。これにより、吸着塔Bでは、塔内の昇圧が行われる。吸着塔Bに導入される製品ガス量は、流量調整弁8により調整される。吸着塔Cからは、自動弁fおよびパージガス用配管6を介して、塔内に残留するガスが排出される。
【0006】
ステップ2においては、図9に示したように吸着塔Aでは第3吸着工程、吸着塔Bでは第2昇圧工程、吸着塔Cでは洗浄工程が行われており、図10(b)に示したようなガス流れ状態とされている。図1および図10(b)に示したように、吸着塔Aには、ステップ1と同様にして混合ガスが導入され、製品ガスが塔外に排出される。製品ガスは、ステップ1と同様にして回収されるが、その一部が吸着塔Bおよび吸着塔Cに導入される。吸着塔Bでは、ステップ1と同様にして製品ガスが導入されて昇圧工程が行われる。
【0007】
吸着塔Cには、製品パージ用配管5、自動弁p、流量調整弁8、ガス導入用配管4、および自動弁mを介して製品ガスが導入される。これにより、吸着塔Cからは、塔内に残留するガスが導出され、それが自動弁fおよびパージガス用配管6を介して回収される。この場合、洗浄対象となる吸着塔Cに導入した製品ガスが吸着塔Cの外部に排出されてしまったならば、これを製品ガスとして回収するのが困難であるとの観点から、吸着塔Cに導入する製品ガスの量は常温・大気圧に換算して、吸着塔Cに充填された吸着剤の充填容積よりも小さくされ、製品ガス(水素ガス)が吸着塔Cの外部に排出されないような条件下で吸着塔Cの洗浄が行われる。
【0008】
ステップ3においては、図9に示したように吸着塔Aでは第1均圧(減圧)工程、吸着塔Bでは第1吸着工程、吸着塔Cでは第2均圧(昇圧)工程が行われており、図10(c)に示したようなガス流れ状態とされている。図9および図10(c)に示したように、吸着塔Aから導出される塔内ガスが、自動弁h、塔内ガス回収用配管3、流量調整弁7、ガス導入用配管4、および自動弁mを介して吸着塔Cに導入される。これにより、吸着塔Aの減圧と同時に、吸着塔Cの昇圧が行われる。吸着塔Bには、混合ガス用配管1および自動弁cを介して混合ガスが導入され、塔内において吸着剤により不要ガスが除去された製品ガスが塔外に排出される。製品ガスは、自動弁lおよび製品ガス用配管2を介して回収される。
【0009】
ステップ4〜6においては、図9および図10(d)〜(f)に示したように吸着塔Aではステップ1〜3における吸着塔Cと同様にして脱着工程、洗浄工程、および第2均圧(昇圧)工程が行われ、吸着塔Bではステップ1〜3における吸着塔Aと同様にして第2吸着工程、第3吸着工程、および第1均圧(減圧)工程が行われ、吸着塔Cではステップ1〜3における吸着塔Bと同様にして第1昇圧工程、第2昇圧工程、および第1吸着工程が行われる。
【0010】
ステップ7〜9においては、図9および図10(g)〜(i)に示したように、吸着塔Aではステップ1〜3における吸着塔Bと同様にして第1昇圧工程、第2昇圧工程、および第1吸着工程が行われ、吸着塔Bではステップ1〜3における吸着塔Cと同様にして脱着工程、洗浄工程、および第2均圧(昇圧)工程が行われ、吸着塔Cではステップ1〜3における吸着塔Aと同様にして第2吸着工程、第3吸着工程、および第1均圧(減圧)工程が行われる。
【0011】
そして、以上に説明したステップ1〜9を各吸着塔A,B,Cにおいて繰り返し行うことにより、混合ガスから不要ガスが除去され、水素ガス濃度の高い製品ガスが連続的に得られる。
【0012】
以上に説明したPSA法では、脱着工程の終了した吸着塔C,A,Bに対して吸着工程を行っている吸着塔A,B,Cからの製品ガスが導入されるため、吸着塔C,A,Bの塔内の不要ガス成分が有効に排出され、吸着剤の再生効率が高められる。また、上記PSA法では、吸着工程が終了した吸着塔A,B,Cと洗浄工程が終了した吸着塔C,A,Bとの間で均圧化を図っている。吸着工程が終了した吸着塔A,B,Cでは、吸着剤の再生を行うべく塔内のガスを排出して塔内の圧力を低下させておく必要があるため、当該塔内のガスを洗浄工程が終了して次に吸着工程を行う吸着塔C,A,Bの塔内に導入するようにすれば、吸着工程時の圧力を有効に利用できる。また、吸着工程後に塔内に残留するガスは水素ガス濃度が高く、多量の水素ガスを含んでいるため、当該吸着塔A,B,Cに残留するガスを他の吸着塔に移せば、それを製品ガスとして回収することができるようになる。したがって、吸着塔A,B,C相互間の均圧化を行うことは、圧力の有効利用および水素ガスの回収率を高める観点からは有用であるように思える。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、洗浄ガスとして製品ガスを用い、その洗浄ガスの量を常温・大気圧に換算して吸着剤の充填容積よりも小さくした洗浄工程を採用したとしても、水素ガスの収率の改善は十分であるとはいえず、PSA法には未だ改善の余地がある。
【0014】
また、吸着塔A,B,C相互間の均圧化を行うことは、上述した利点が得られる反面、水素ガスと同時に不要ガス成分も昇圧対象となる吸着塔A,B,Cに導入されてしまう。そのため、脱着工程において吸着剤の再生を行ったにもかかわらず、吸着工程の前に均圧ガス中の不要ガスが吸着してしまい、吸着剤の吸着可能容量が実質的に減ってしまうといった不具合が生じる。
【0015】
本願発明は、このような事情のもとに考え出されたものであって、PSA法による水素ガスの分離において、吸着剤の再生効率を高めるとともに、得られる製品ガス中の水素ガスの純度および水素ガスの収率を高めることを課題としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決すべく、本発明では次の技術的手段を講じている。すなわち、本発明により提供される水素ガスの分離方法は、吸着剤が充填された複数の吸着塔を用いて混合ガスから水素ガスを分離する方法であって、混合ガス中の不要ガスを吸着剤により吸着して水素ガス濃度の高い製品ガスを排出する吸着工程と、吸着塔内の圧力を低下させる減圧工程と、吸着剤に吸着した不要ガスを脱着する脱着工程と、吸着塔内に洗浄ガスを導入して塔内に残留するガスを排出する洗浄工程と、吸着塔内の圧力を上昇させる昇圧工程と、を含むサイクルを繰り返し行う水素ガスの分離方法において、上記減圧工程は、洗浄対象となる1つの吸着塔に対して導入すべき洗浄ガスとしての塔内ガスを排出する工程を含んでおり、上記1つの吸着塔に導入される塔内ガスの量は、常温・大気圧に換算して、当該吸着塔における吸着剤の充填容積の2〜7倍であることを特徴としている。
【0017】
この分離方法によれば、上記した範囲の量の洗浄ガスを洗浄対象となる1つの吸着塔に導入すれば、洗浄工程において吸着塔に導入した洗浄ガスの少なくとも一部は1つの吸着塔の外部に排出される。洗浄ガスとしては、減圧工程を行っている他の吸着塔の塔内ガスが使用されるが、他の吸着塔は先に吸着工程を行っていたから、他の吸着塔の塔内ガス中の不要ガスの濃度は、先に脱着工程を行っている1つの吸着塔に残留するガス中の不要ガスの濃度よりも小さい。
【0018】
そのため、1つの吸着塔に対して、当該吸着塔から洗浄ガスの少なくとも一部が排出されるまで洗浄ガスを導入すれば、事実上、不要ガス濃度の低いガスにより1つの吸着塔内のガスが置換されることになる。その結果、洗浄工程中においては1つの吸着塔内の不要ガス濃度ないし分圧が小さくなって、吸着剤からの不要ガスの脱着が促進されて吸着剤からはより多量の不要ガスが脱着されるとともに、洗浄工程の終了後においても1つの吸着塔内の不要ガス濃度を小さく維持できる。
【0019】
また、洗浄工程の終了後に1つの吸着塔において吸着工程を行ったとしても、塔内に残留するガス中の不要ガスの濃度が低いから、製品ガス中に混入する不要ガスの量は極めて小さくなる。その結果、回収される製品ガスの純度を高めることができるようになる。
【0020】
好ましい実施の形態においては、上記洗浄工程は、第1洗浄工程と、第2洗浄工程と、を少なくとも含んでいるとともに、上記減圧工程は、第1減圧工程と、第2減圧工程と、を少なくとも含んでおり、1つの吸着塔においては、先に吸着工程が終了して次に吸着工程が行われる間では、上記第2洗浄工程に先んじて上記第1洗浄工程が行われるとともに、上記第2減圧工程に先んじて上記第1減圧工程が行われ、上記第1減圧工程および上記第2減圧工程は、製品ガス出口から塔内ガスを排出することにより行われ、かつ、1つの吸着塔における第1洗浄工程は、さらに他の吸着塔の第2減圧工程において排出された塔内ガスを製品ガス出口から洗浄ガスとして導入することにより行われるとともに、1つの吸着塔における第2洗浄工程は、他の吸着塔の第1減圧工程において排出された塔内ガスを製品ガス出口から洗浄ガスとして導入することにより行われる。
【0021】
このような分離方法によれば、1つの吸着塔に着目すれば、少なくとも2度の洗浄が行われ、1度目の洗浄(第1洗浄工程)では他の吸着塔の第2減圧工程時に排出される塔内ガスが、2度目の洗浄(第2洗浄工程)ではさらに他の吸着塔の第1減圧工程時に排出される塔内ガスがそれぞれ導入される。
【0022】
吸着工程を終了した他の吸着塔内では、製品ガス出口に近い部位ほど不要ガス濃度が低くなっているから、他の吸着塔の製品ガス出口を開放して減圧すれば、製品ガス出口から塔内ガスが排出されるとともに、そのガス中の不要ガス濃度は経時的に大きくなる。したがって、第2減圧工程で排出される塔内ガス中の不要ガス濃度は、第1減圧工程で排出される塔内ガス中の不要ガス濃度よりも大きい。
【0023】
したがって、1つの吸着塔では、第1洗浄工程により相対的に不要ガス濃度の高い他の吸着塔の塔内ガスが導入された後、第2洗浄工程により相対的に不要ガス濃度が低いさらに他の吸着塔の塔内ガスが導入される。その結果、洗浄工程全体としては、第1洗浄工程では予備的な洗浄が行われ、第2洗浄工程において本格的な洗浄が行われる。したがって、第1および第2洗浄工程の終了後においては、1つの吸着塔内の不要ガス濃度は著しく低減され、洗浄工程後に吸着工程を行ったとしても、洗浄工程後に吸着塔内に残存する不要ガスに起因する製品ガス純度の低下は抑制される。
【0024】
好ましい実施の形態においては、上記洗浄工程は、吸着工程を行っている吸着塔から洗浄ガスとして製品ガスを導入する追加の洗浄工程を含んでいる。この場合、先に吸着工程が終了して次に吸着工程が行われる間においては、減圧工程、脱着工程、第1洗浄工程、脱着工程、第2洗浄工程、および追加の洗浄工程の順序で行われる。
【0025】
このような分離方法によれば、最終的に製品ガスにより吸着塔内の洗浄が行われるから、洗浄工程後に吸着塔内に残存する不要ガス量がさらに小さくなり、回収される製品ガスの純度を高めることができる。また、製品ガスによる洗浄の前には、他の吸着塔の塔内ガスによる洗浄が行われているから、追加の洗浄工程において必要とされる製品ガスの量、ひいては洗浄工程において吸着塔から排出される製品ガスの量を少なくして水素ガスの回収率を高めることができるようになる。
【0026】
なお、吸着工程における最高圧力は、たとえば0.1〜3.5MPa(ゲージ圧)の範囲とされ、脱着工程における最低圧力は、たとえば0.05MPa(ゲージ圧)〜大気圧の範囲とされる。
【0027】
本発明は、不要ガスとして炭酸ガスを含む混合ガスから水素ガスを分離する場合に好適に採用できる。
【0028】
水素ガスは、工業的には、炭化水素系化合物(典型的にはメタノールや天然ガス)を水蒸気改質することにより得られる水素ガスと炭酸ガスを含む混合ガスから、不要ガスを除去することにより得られる。したがって、工業的に水素ガスを得る場合には、混合ガスから炭酸ガスを除去して水素ガス濃度を高める必要があり、その場合に本発明が好適に採用される。しかも、炭酸ガスは、吸着剤に対する吸着力が強いといった特性を有しており、炭酸ガスを有効に除去しなければ、他の不要ガス成分、たとえばメタンの除去効率が悪化して水素ガスの収率が低下してしまうといった問題も生じかねないため、吸着剤の再生効率に優れる本発明の分離方法は、まさに工業的な水素ガスの製造プロセスにおける分離工程に適合するものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0030】
本発明の第1の実施の形態に係る水素ガスの分離方法は、たとえば図1に示したPSA分離装置を用いて行うことができる。この図に示したPSA分離装置Xは、3つの吸着塔A,B,C、混合ガス用配管1、製品ガス用配管2、塔内ガス回収用配管3、ガス導入用配管4、製品パージ用配管5、パージガス用配管6を有している。
【0031】
各吸着塔A,B,Cには、吸着剤が充填されている。吸着剤としては、不要ガスとして炭酸ガスやメタンガスを除去する場合には、たとえばカーボン系のものが、不要ガスとして一酸化炭素や窒素ガスを除去する場合には、たとえばゼオライト系のものが、不要ガスとして水蒸気を除去する場合には、たとえばアルミナが使用される。もちろん、例示した吸着剤は2種以上を併用してもよく、また例示したもの以外の吸着剤を使用してもよい。
【0032】
各配管1〜6には自動弁a〜pが、塔内ガス回収用配管3および製品パージ用配管5には流量調整弁7,8がそれぞれ設けられている。そして、各自動弁a〜pの開閉状態を選択することにより、各吸着塔A,B,Cにおいて吸着工程、減圧工程、脱着工程、洗浄工程、および昇圧工程が行われる。
【0033】
具体的には、図2に示したようなタイミングで、各吸着塔A,B,Cにおいて各工程(ステップ1〜6)が行われる。各ステップにおいては、各自動弁a〜pの開閉状態は、図2に示したように選択されており、各ステップにおけるPSA分離装置Xのガス流れを模式的に表せば、図3(a)〜(f)に示したようなものとなっている。
【0034】
ステップ1においては、図2に示したように吸着塔Aでは第1吸着工程、吸着塔Bでは洗浄工程、吸着塔Cでは減圧工程が行われており、図3(a)に示したようなガス流れ状態とされている。
【0035】
図1および図3(a)に示したように、吸着塔Aには、混合ガス用配管1および自動弁aを介して混合ガスが導入される。吸着塔Aでは、吸着剤により不要ガスが除去されて製品ガスが塔外に排出される。製品ガスは、自動弁iおよび製品ガス用配管2を介して回収される。
【0036】
吸着塔Bには、自動弁n、塔内ガス回収用配管3、流量調整弁7、ガス導入用配管4、および自動弁jを介して、吸着塔Cから排出された塔内ガス(洗浄ガス)が導入される。吸着塔Cは、先に吸着工程を行っているのに対して吸着塔Bは先に脱着工程を行っていたから(ステップ6(図2、図3(f)参照))、吸着塔Cの塔内のほうが吸着塔Bの塔内よりも高圧となっている。そのため、吸着塔Cの塔内ガスを吸着塔Bに導入することにより、吸着塔Cの塔内が減圧され、吸着塔Bからは塔内に残留するガスが排出される。このガスは、自動弁dおよびパージガス用配管6を介して回収される。
【0037】
吸着塔Cから吸着塔Bに導入する塔内ガスの量は、常温・大気圧に換算して吸着塔Bにおける吸着剤の充填容積の2〜7倍の範囲内に流量調整弁7により調整される。吸着塔Bに導入される洗浄ガスの量を上記した範囲とすれば、洗浄ガスの少なくとも一部は吸着塔Bから排出される。吸着塔Cでは先に吸着工程を行っている一方、吸着塔Bでは先に脱着工程を行っていたから(ステップ6(図2および図3(f)参照))、吸着塔Bに導入される洗浄ガス中の不要ガス濃度は、吸着塔Bに残存しているガス中の不要ガス濃度よりも小さい。その結果、洗浄工程の最中は、洗浄工程前よりも吸着塔B内の不要ガス濃度ないし分圧が小さくなっており、吸着剤からの不要ガスの脱着が助長されるとともに、それが確実に排出される。そのため、洗浄工程の終了後には、吸着塔B内の不要ガス濃度が小さくなり、また吸着剤の再生効率が高くなる。
【0038】
なお、吸着塔A(吸着工程)における最高圧力は、0.1〜3.5MPa(ゲージ圧)の範囲とされる。
【0039】
ステップ2においては、図2に示したように吸着塔Aでは第2吸着工程、吸着塔Bでは昇圧工程、吸着塔Cでは脱着工程が行われており、図3(b)に示したようなガス流れ状態とされている。
【0040】
図1および図3(b)に示したように、吸着塔Aには、ステップ1と同様にして混合ガスが導入され、製品ガスが塔外に排出される。製品ガスは、ステップ1と同様にして回収されるが、その一部が製品パージ用配管5、自動弁p、流量調整弁8、およびガス導入用配管4、および自動弁jを介して吸着塔Bに導入され、吸着塔Bの塔内の昇圧が行われる。
【0041】
一方、吸着塔Cは、図2に示したようにステップ1において塔内が減圧されているとともに、自動弁e,m,n,oが閉鎖され、自動弁fが開放状態とされている。そのため、吸着塔Cの内部では吸着剤から不要ガスが脱着し、これが吸着塔C内のガスとともに塔外に排出される。この脱着ガスは、パージガス用配管6および自動弁fを介して回収される。
【0042】
なお、吸着塔C(脱着工程)における最低圧力は、0.05MPa(ゲージ圧)〜大気圧の範囲とされる。
【0043】
ステップ2においては、製品ガスにより吸着塔Bの内部の昇圧が行われるため、本ステップにおいて吸着塔Bに導入されるガス中の不要ガス濃度は低い。しかも、ステップ1においては、吸着塔Bは、吸着工程が終了した直後にある吸着塔Cから、不要ガス濃度が低い塔内ガスを導入することにより洗浄されている。そのため、昇圧工程後の吸着塔Bの塔内の不要ガス濃度は小さい。したがって、吸着塔Bにおいて吸着工程を行う場合には、昇圧工程後に吸着塔Bの内部に残留するガスは製品ガスとして回収されるが、このときに製品ガスに混入する不要ガスの量は極めて少なくなる。その結果、本発明の第1の実施の形態に係る水素ガスの分離方法によれば、回収される製品ガスの純度が高くなる。
【0044】
ステップ3および4においては、図2および図3(c)および(d)に示したように、吸着塔Aではステップ1および2における吸着塔Cと同様にして減圧工程および脱着工程が行われ、吸着塔Bではステップ1および2における吸着塔Aと同様にして第1吸着工程および第2吸着工程が行われ、吸着塔Cではステップ1および2における吸着塔Bと同様にし洗浄工程および昇圧工程が行われる。
【0045】
ステップ5および6においては、図2および図3(e)および(f)に示したように、吸着塔Aではステップ1および2における吸着塔Bと同様にして洗浄工程および昇圧工程が行われ、吸着塔Bではステップ1および2における吸着塔Cと同様にして減圧工程および脱着工程が行われ、吸着塔Cではステップ1および2における吸着塔Aと同様にして第1吸着工程および第2吸着工程が行われる。
【0046】
そして、以上に説明したステップ1〜6を各吸着塔A,B,Cにおいて繰り返し行うことにより、混合ガスから不要ガスが除去され、水素ガス濃度の高い製品ガスが連続的に得られる。
【0047】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る水素ガスの分離方法について、図1、図4および図5を参照して説明する。
【0048】
本実施の形態に係る分離方法は、図4に示したように製品ガスによる追加の洗浄工程が加えられている。具体的には、本発明の第1の実施の形態と同様にしてステップ1〜6が行われるが、ステップ1,3,5の後に追加の洗浄工程としてのステップ1′,3′,5′が加えられている。
【0049】
追加の洗浄工程では、図4に示したように各自動弁a〜pの開閉状態が選択され、図5(a)〜(c)に示したようなガス流れ状態とされている。
【0050】
ステップ1′では、図1および図5(a)に示したように吸着塔Aには、本発明の第1の実施の形態に係る分離方法のステップ2と同様にして混合ガスが導入され、製品ガスが塔外に排出される。製品ガスは、第1の実施の形態に係る分離方法のステップ2と同様にして回収され、その一部が製品パージ用配管5、自動弁p、流量調整弁8、およびガス導入用配管4、および自動弁jを介して吸着塔Bに導入される。吸着塔Bに洗浄ガスとしての製品ガスを導入すれば、吸着塔Bからは塔内に残留するガスが排出され、これが自動弁dおよびパージガス用配管6を介して回収される。
【0051】
吸着塔Cでは、第1の実施の形態に係る分離方法のステップ2と同様にして第1脱着工程が行われる。
【0052】
なお、追加の洗浄工程において吸着塔Bに導入される洗浄ガスの量は、吸着塔Bにおける吸着剤の充填容積の0.1〜1倍の範囲に流量調整弁8により調整される。
【0053】
ステップ3′では、図4および図5(b)に示したように、吸着塔Aではステップ1′における吸着塔Cと同様にして第1脱着工程が、吸着塔Bではステップ1′における吸着塔Aと同様にして第2吸着工程が、吸着塔Cではステップ1′における吸着塔Bと同様にして追加の洗浄工程が行われている。
【0054】
ステップ5′では、図4および図5(c)に示したように、吸着塔Aではステップ1′における吸着塔Bと同様にして追加の洗浄工程が、吸着塔Bではステップ1′における吸着塔Cと同様にして第1脱着工程が、吸着塔Cではステップ1′における吸着塔Aと同様にして第2吸着工程が行われている。
【0055】
本実施の形態に係る分離方法のように、吸着工程が終了した吸着塔C,A,Bからの塔内ガスによる洗浄工程(ステップ1,3,5)の後に、吸着工程を行っている吸着塔A,B,Cからの製品ガスによる追加の洗浄工程(ステップ1′,3′,5′)を行えば、より確実に吸着塔A,B,Cの内部を洗浄し、吸着剤の再生効率を高めることができる。つまり、吸着工程の終了後の吸着塔A,B,Cからの塔内ガスよりも吸着工程を行っている吸着塔A,B,Cからの製品ガスのほうが不要ガスの濃度が低いため、吸着塔A,B,C内をより確実に洗浄することができる。しかも、先に塔内ガスにより洗浄を行っておけば、製品ガスにより洗浄する場合に必要とされる製品ガスの量は少なく済み、洗浄工程において吸着塔から排出される製品ガスの量を少なくし、あるいはなくすことができ、水素ガスの回収率を高めることができるようになる。
【0056】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る水素ガスの分離方法について、図6ないし図8を参照して説明する。
【0057】
本実施の形態に係る分離方法は、図6に示した4塔式のPSA分離装置X′を用いて行われる。このPSA分離装置X′の基本的な構成は、図1を参照して先に説明したPSA分離装置Xを同様である。ただし、図6のPSA分離装置X′は、吸着塔A′,B′,C′,D′を4塔有していることにともない、自動弁a′〜u′の数などに若干の相違がある。
【0058】
本実施の形態に係る分離方法では、各自動弁a′〜u′の開閉状態を選択することにより、各吸着塔A′,B′,C′,D′において吸着工程、減圧工程、脱着工程、洗浄工程、および昇圧工程が行われる。
【0059】
具体的には、図7に示したようなタイミングで、各吸着塔A′,B′,C′,D′において各工程(ステップ1〜12)が行われる。各ステップにおいては、各自動弁a′〜u′の開閉状態は、図7に示したように選択されており、各ステップにおけるPSA分離装置X′のガス流れを模式的に表せば、図8(a)〜(l)に示したようなものとなっている。
【0060】
ステップ1においては、図7に示したように吸着塔A′では第1吸着工程、吸着塔B′では第2洗浄工程、吸着塔C′では第2脱着工程、吸着塔D′では第1減圧工程が行われており、図8(a)に示したようなガス流れ状態とされている。
【0061】
図6および図8(a)に示したように、吸着塔A′には、混合ガス用配管1′および自動弁a′を介して混合ガスが導入される。吸着塔A′では、吸着剤により不要ガスが除去されて製品ガスが塔外に排出される。製品ガスは、自動弁k′および製品ガス用配管2′を介して回収される。
【0062】
吸着塔B′には、自動弁s′、塔内ガス回収用配管3′、流量調整弁7′、ガス導入用配管4′、および自動弁l′を介して、吸着塔D′から排出された塔内ガス(洗浄ガス)が導入される。吸着塔D′は、先に吸着工程を行っているのに対して吸着塔B′は先に(第3)脱着工程を行っていたから(ステップ12(図7、図8(l)参照))、吸着塔D′の塔内のほうが吸着塔B′の塔内よりも高圧とされている。そのため、吸着塔D′の塔内ガスを吸着塔B′に導入することにより、吸着塔D′の塔内が減圧され、吸着塔B′からは塔内に残留するガスが排出される。このガスは、自動弁d′およびパージガス用配管6′を介して回収される。
【0063】
吸着塔D′から吸着塔B′に導入する塔内ガスの量は、常温・大気圧に換算して、吸着塔B′における吸着剤の充填容積の2〜5倍の範囲に流量調整弁7′により調整される。
【0064】
一方、吸着塔C′では、ステップ12に引き続き脱着工程が行われている。ステップ11においては塔内が減圧されているとともに、ステップ1では図7に示したようにステップ12と同様にして自動弁e′,o′,p′,q′が閉鎖され、自動弁f′が開放状態とされている。そのため、吸着塔C′の内部では吸着剤から不要ガスが脱着し、これが吸着塔C′内のガスとともに塔外に排出される。
この脱着ガスは、自動弁f′およびパージガス用配管6′を介して回収される。
【0065】
ステップ2においては、図7に示したように吸着塔A′では第2吸着工程、吸着塔B′は待機工程、吸着塔C′では第1洗浄工程、吸着塔D′では第2減圧工程が行われており、図8(b)に示したようなガス流れ状態とされている。
【0066】
図6および図8(b)に示したように、吸着塔A′では、ステップ1と同様に吸着工程が行われている。
【0067】
吸着塔B′は、自動弁c′,d′,l′,m′,n′が閉鎖状態とされて、待機工程とされている。
【0068】
吸着塔C′には、自動弁s′、塔内ガス回収用配管3′、流量調整弁7′、ガス導入用配管4′、および自動弁o′を介して、吸着塔D′から排出された塔内ガス(洗浄ガス)が導入される。吸着塔D′は、ステップ1において第1減圧工程を行っているが、ステップ1において先に(第2)脱着工程を行っていた吸着塔C′に比べると、塔内の圧力は高い。そのため、吸着塔D′の塔内ガスを吸着塔C′に導入することにより、吸着塔D′の塔内がさらに減圧されると同時に、吸着塔C′からは塔内に残留するガスが排出される。このガスは、自動弁f′およびパージガス用配管6′を介して回収される。
【0069】
吸着塔D′から吸着塔C′に導入する塔内ガスの量は、常温・大気圧に換算して、吸着塔C′における吸着剤の充填容積の1〜3倍の範囲に流量調整弁7′により調整される。
【0070】
ステップ3においては、図7に示したように吸着塔A′では第3吸着工程、吸着塔B′は昇圧工程、吸着塔C′では第3脱着工程、吸着塔D′では第1脱着工程が行われており、図8(c)に示したようなガス流れ状態とされている。
【0071】
図6および図8(c)に示したように、吸着塔A′には、ステップ1と同様にして混合ガスが導入され、製品ガスが塔外に排出される。製品ガスは、ステップ1と同様にして回収されるが、その一部が製品パージ用配管5′、自動弁u′、流量調整弁8′、ガス導入用配管4′、および自動弁l′を介して吸着塔B′に導入され、吸着塔B′の塔内の昇圧が行われる。
【0072】
吸着塔C′では、ステップ1の場合と同様にして吸着剤からの不要ガスの脱着が行われており、脱着ガスが自動弁f′およびパージガス用配管6′を介して回収される。
【0073】
吸着塔D′は、ステップ2においては塔内が減圧されているとともに、図7に示したように自動弁g′,r′,s′,t′が閉鎖され、自動弁h′が開放状態とされている。そのため、吸着塔D′の内部では吸着剤から不要ガスが脱着し、これが吸着塔D′内のガスとともに塔外に排出される。この脱着ガスは、自動弁h′およびパージガス用配管6′を介して回収される。
【0074】
ステップ4〜6においては、図7および図8(d)〜(f)に示したように、吸着塔A′ではステップ1〜3における吸着塔D′と同様にして第1減圧工程、第2減圧工程、および第1脱着工程が行われ、吸着塔B′ではステップ1〜3における吸着塔A′と同様にして第1吸着工程、第2吸着工程、および第3吸着工程が行われ、吸着塔C′ではステップ1〜3における吸着塔B′と同様にして第2洗浄工程、待機工程および昇圧工程が行われ、吸着塔D′ではステップ1〜3における吸着塔C′と同様にして第2脱着工程、第1洗浄工程、および第3脱着工程が行われる。
【0075】
ステップ7〜9においては、図7および図8(g)〜(i)に示したように、吸着塔A′ではステップ1〜3における吸着塔C′と同様にして第2脱着工程、第1洗浄工程、および第3脱着工程が行われ、吸着塔B′ではステップ1〜3における吸着塔D′と同様にして第1減圧工程、第2減圧工程、および第1脱着工程が行われ、吸着塔C′ではステップ1〜3における吸着塔A′と同様にして第1吸着工程、第2吸着工程、および第3吸着工程が行われ、吸着塔D′ではステップ1〜3における吸着塔B′と同様にして第2洗浄工程、待機工程、および昇圧工程が行われる。
【0076】
ステップ10〜12においては、図7および図8(j)〜(l)に示したように、吸着塔A′ではステップ1〜3における吸着塔B′と同様にして第2洗浄工程、待機工程、および昇圧工程が行われ、吸着塔B′ではステップ1〜3における吸着塔C′と同様にして第2脱着工程、第1洗浄工程、および第3脱着工程が行われ、吸着塔C′ではステップ1〜3における吸着塔D′と同様にして第1減圧工程、第2減圧工程、および第1脱着工程が行われ、吸着塔D′ではステップ1〜3における吸着塔A′と同様にして第1吸着工程、第2吸着工程、および第3吸着工程が行われる。
【0077】
なお、各吸着塔A′,B′,C′,D′での第1〜第3吸着工程における最終圧力は、0.1〜3.5MPa(ゲージ圧)の範囲とされ、各吸着塔A′,B′,C′,D′での脱着工程における最低圧力は、0.05MPa(ゲージ圧)〜大気圧の範囲とされる。
【0078】
そして、以上に説明したステップ1〜12を各吸着塔A′,B′,C′,D′において繰り返し行うことにより、混合ガスから不要ガスが除去され、水素ガス濃度の高い製品ガスが連続的に得られる。
【0079】
図6ないし図8を参照して説明した分離方法では、ステップ1および2から分かるように(図8(a)および(b)参照)、吸着工程を終了した吸着塔D′からは、第1減圧工程(ステップ1)として吸着塔B′に塔内ガスが導入され、第2減圧工程(ステップ2)として吸着塔C′に塔内ガスが導入される。つまり、1つの吸着塔D′の塔内ガスが2つの吸着塔B′,C′の洗浄に使用される。このとき、第1および第2減圧工程では、製品ガス出口側から塔内ガスが排出されるが、吸着工程終了後の吸着塔D′では、製品ガス出口の近いほうが不要ガスの濃度が低い。そのため、吸着塔D′の第1減圧工程により吸着塔B′に供給される塔内ガスのほうが、吸着塔D′の第2減圧工程により吸着塔C′に供給される塔内ガスのよりも不要ガス濃度は低い。もちろん、2度に分けて塔内ガスを排出した場合には、先に排出される塔内ガスのほうが後に排出される塔内ガスよりも圧力は高い。
【0080】
一方、ステップ1〜4から分かるように(図8(a)〜(d)参照)、吸着塔C′に着目すれば、第2脱着工程、第1洗浄工程、第3脱着工程、および第2洗浄工程といったように、脱着工程と洗浄工程とが繰り返し行われる。
【0081】
吸着塔C′に着目すれば、塔内を減圧して脱着した後は、圧力が低く不要ガス濃度の相対的に高い洗浄ガスが導入される。第2減圧工程により排出される塔内ガスといえども、第2脱着工程終了後の吸着塔C′内に残留するガスよりも不要ガス濃度は低い。そのため、第1洗浄工程においては、洗浄ガスの導入により吸着塔C′に残留するガスが排出され、塔内での不要ガス濃度が第1洗浄工程前よりは低減される。その結果、塔内における不要ガスの分圧が小さくなって吸着剤からの不要ガスの脱着が助長され、次いで行う第3脱着工程において、吸着剤の再生が確実ならしめられる。そして、吸着塔C′内に残留するガスは、第1減圧工程を行っている吸着塔A′からの塔内ガスの導入により排出される。この塔内ガスは、先にも触れたように不要ガス濃度が低いものであるから、吸着塔C′内の不要ガス濃度がさらに低減されるとともに、吸着剤に吸着した不要ガスをより多く脱着することにより再生効率が高められる。
【0082】
なお、第1および第2洗浄工程の後に、図8(b),(e),(h),(k)に破線で示したように、製品ガスのよる追加の洗浄工程を設けてもよい。この場合のガス流れ状態は、図7におけるステップ2,5,8,11に括弧書きで示したように、一部の自動弁の開閉状態を変更することにより達成される。
【0083】
追加の洗浄工程において導入される洗浄ガスは、製品ガスであり、第2洗浄工程において導入される他の吸着塔の塔内ガスよりも不要ガス濃度は低い。そのため、追加の洗浄工程を設けることにより、さらに徹底的に塔内の洗浄を行うことができるようになる。また、先に第1および第2洗浄工程を行っていれば、追加の洗浄工程において必要とされる洗浄ガス(製品ガス)の量は少なくて済む結果、吸着塔の外部に排出される水素ガスの量が少なくなり、回収できる水素ガスの量が多くなる。
【0084】
【実施例】
次に、本発明の有用性を実施例および比較例により説明する。
【0085】
〔実施例1〕
本実施例では、吸着塔を3つ有する図1に示したPSA分離装置Xを用いて、図2に示す各工程からなる分離方法(本発明の第1の実施の形態に係る方法)により、以下に示す条件下で混合ガスから水素ガスを分離した。その結果を表1に示した。
【0086】
吸着塔としては、直径が50mmの円筒状のものを用い、その内部には吸着剤としてのゼオライトモレキュラーシーブ(Ca5A型)とカーボンモレキュラーシーブとを1:1.3の体積割合で合計2.935リットル充填した。混合ガスとしては、容積基準で、水素ガス77.77%、炭酸ガス19.62%、一酸化炭素1%、窒素ガス0.0008%、およびメタンガス1.61%を含むものを使用した。この混合ガスは、851Nリットル/hrで供給した。吸着工程における最高圧力は、850kPa(ゲージ圧)、脱着工程における最低圧力は、6kPa(ゲージ圧)、減圧工程における最終圧力は、350kPa(ゲージ圧)とした。洗浄工程を行っている吸着塔に対して、吸着工程が終了した他の吸着塔から導入された洗浄ガスの量は、吸着剤の充填容積の約5倍であった。
【0087】
〔実施例2〕
本実施例では、減圧工程における最終圧力を650kPa(ゲージ圧)とし、洗浄工程において導入された洗浄ガスの量は吸着剤の充填容積の約2倍であった以外は実施例1と同様にして混合ガスから水素ガスの分離を行った。その結果を表1に示した。
【0088】
〔実施例3〕
本実施例では、減圧工程における最終圧力を450kPa(ゲージ圧)とし、洗浄工程において導入された洗浄ガスの量は吸着剤の充填容積は約4倍であった以外は実施例1と同様にして混合ガスから水素ガスの分離を行った。その結果を表1に示した。
【0089】
〔実施例4〕
本実施例では、減圧工程における最終圧力を250kPa(ゲージ圧)とし、洗浄工程において導入された洗浄ガスの量は吸着剤の充填容積の約6倍であった以外は実施例1と同様にして混合ガスから水素ガスの分離を行った。その結果を表1に示した。
【0090】
〔実施例5〕
本実施例では、減圧工程における最終圧力を150kPa(ゲージ圧)とし、洗浄工程において導入された洗浄ガスの量は吸着剤の充填容積の約7倍であった以外は実施例1と同様にして混合ガスから水素ガスの分離を行った。その結果を表1に示した。
【0091】
〔比較例1〕
本比較例では、図1に示すPSA分離装置Xを用いて、図9に示す各工程からなる分離方法(均圧工程を有する従来の分離方法)により、混合ガスから水素ガスの分離を行った。洗浄ガスの由来(種類)以外の条件は、実施例1と同様とした。その結果を表1に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
表1から明らかなように、洗浄ガスとして吸着工程を終了した吸着塔の塔内ガスを使用し、その洗浄ガス量を吸着剤の充填容積の2〜7倍の範囲とした場合には(実施例1〜5)、回収される製品ガスの量および水素ガス収率に優れている。
【0094】
また、洗浄ガスの量を実施例1〜5における範囲内にした場合には、吸着工程を終了した吸着塔内の塔内ガスにより他の吸着塔の昇圧を行うとともに、脱着工程を終了した吸着塔の洗浄を製品ガスのみにより行う場合(比較例1)に比べて、良好な結果が得られている。
【0095】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明では、PSA法による水素ガスの分離において、吸着剤の再生効率を高めるとともに、得られる製品ガス中の水素ガスの純度および水素ガスの収率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】PSA法を実施するための3塔式のPSA分離装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る分離方法の各ステップにおいて、各吸着塔で行われている工程およびそのときの弁の開閉状態を示す表である。
【図3】第1の実施形態に係る分離方法の各ステップにおけるPSA分離装置のガス流れ状態を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る分離方法の各ステップにおいて、各吸着塔で行われている工程およびそのときの弁の開閉状態を示す表である。
【図5】第2の実施形態に係る分離方法における追加のステップでのPSA分離装置のガス流れ状態を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る分離方法を実施するための4塔式のPSA分離装置の概略構成図である。
【図7】第3の実施の形態に係る分離方法の各ステップにおいて、各吸着塔で行われている工程およびそのときの弁の開閉状態を示す表である。
【図8】第3の実施形態に係る分離方法の各ステップにおけるPSA分離装置のガス流れ状態を示す図である。
【図9】従来の分離方法における各ステップにおいて、各吸着塔で行われている工程およびそのときの弁の開閉状態を示す表である。
【図10】従来の分離方法の各ステップにおけるPSA分離装置のガス流れ状態を示す図である。
【符号の説明】
X,X′ PSA分離装置
A,B,C,A′,B′,C′,D′ 吸着塔
1,1′ 混合ガス用配管
2,2′ 製品ガス用配管
3,3′ 塔内ガス回収用配管
4,4′ ガス導入用配管
5,5′ 製品パージ用配管
6,6′ パージガス用配管
7,8,7′,8′ 流量調整弁
a〜p,a′〜u′ 自動弁
Claims (4)
- 吸着剤が充填された複数の吸着塔を用いて混合ガスから水素ガスを分離する方法であって、混合ガス中の不要ガスを吸着剤により吸着して水素ガス濃度の高い製品ガスを排出する吸着工程と、吸着塔内の圧力を低下させる減圧工程と、吸着剤に吸着した不要ガスを脱着する脱着工程と、吸着塔内に洗浄ガスを導入して塔内に残留するガスを排出する洗浄工程と、吸着塔内の圧力を上昇させる昇圧工程と、を含むサイクルを繰り返し行う水素ガスの分離方法において、
上記減圧工程は、洗浄対象となる1つの吸着塔に対して導入すべき洗浄ガスとしての塔内ガスを排出する工程を含んでおり、
上記1つの吸着塔に導入される塔内ガスの量は、常温・大気圧に換算して、当該吸着塔における吸着剤の充填容積の2〜7倍であり、
上記洗浄工程は、第1洗浄工程と、第2洗浄工程と、を少なくとも含んでいるとともに、上記減圧工程は、第1減圧工程と、第2減圧工程と、を少なくとも含んでおり、1つの吸着塔においては、先に吸着工程が終了して次に吸着工程が行われる間では、上記第2洗浄工程に先んじて上記第1洗浄工程が行われるとともに、上記第2減圧工程に先んじて上記第1減圧工程が行われ、
上記第1減圧工程および上記第2減圧工程は、製品ガス出口から塔内ガスを排出することにより行われ、かつ、
1つの吸着塔における第1洗浄工程は、他の吸着塔の第2減圧工程において排出された塔内ガスを製品ガス出口から洗浄ガスとして導入することにより行われるとともに、1つの吸着塔における第2洗浄工程は、さらに他の吸着塔の第1減圧工程において排出された塔内ガスを製品ガス出口から洗浄ガスとして導入することにより行われる、水素ガスの分離方法。 - 上記洗浄工程は、吸着工程を行っている吸着塔から洗浄ガスとして製品ガスを導入する追加の洗浄工程を含んでいる、請求項1に記載の水素ガスの分離方法。
- 上記吸着工程における最高圧力は、0.1〜3.5MPa(ゲージ圧)の範囲であり、上記脱着工程における最低圧力は、0.05MPa(ゲージ圧)〜大気圧の範囲である、請求項1または2に記載の水素ガスの分離方法。
- 上記混合ガスは、不要ガスとしての炭酸ガスを少なくとも含んでいる、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の水素ガスの分離方法。
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