JP4611082B2 - 電気化学キャパシタ - Google Patents
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Description
以上のことから、ハイブリッド自動車用の蓄電デバイスとして、長寿命、高出力、大容量の蓄電デバイスが求められている。そして、近年、このような要求に応えるべく、正極に活性炭を、負極にリチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出可能な炭素材料を用いるハイブリッドキャパシタが検討されている(たとえば、特許文献1参照。)。
そこで、本発明の目的は、高出力の充放電を効率よく実施することのできる、電気化学キャパシタを提供することにある。
図1において、このハイブリッドキャパシタ1は、正極2と、その正極2と間隔を隔てて対向配置される負極3と、それら正極2と負極3との間に介在されるセパレータ4と、それら正極2、負極3およびセパレータ4を収容し、それらを浸漬するように電解液5が満たされているセル槽6とを備えている。なお、このハイブリッドキャパシタ1は、ラボスケールで採用される電池セルを模式的に示したものであって、工業的には、このハイブリッドキャパシタ1を、公知の技術によって適宜スケールアップしたものが採用される。
正極2は、たとえば、活性炭、導電剤および結合剤を配合した混合物を、電極形状に成形した後、乾燥させることにより、形成する。
導電剤としては、たとえば、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどが挙げられる。また、導電剤の配合割合は、混合物中、たとえば、1〜50重量%である。
電極形状に成形するには、たとえば、活性炭、導電剤および結合剤を配合した混合物を、溶媒中で攪拌混合し、それを金属箔上に塗布後、乾燥し、電極形状に打ち抜いた後、乾燥させる。なお、金属箔は、アルミニウム箔などからなり、集電体として用いられる。
負極3は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出するものであって、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出可能な電極材料から形成されている。この負極3では、このような電極材料として、メソ孔表面積が48〜64m 2 /gであり、真密度が1.83〜1.93g/cm 3 の非晶質炭素材料が用いられる。
真密度は、JISR7212に準拠して、ブタノール置換法から求めることができる。
メソ孔表面積が上記下限未満であると、大電流充放電において、リチウムイオンが吸着・脱離および吸蔵・放出するための反応面積が不十分となる。
また、得られた非晶質炭素材料は、その比表面積が、好ましくは、300m2/g以上、さらに好ましくは、350m2/g以上である。比表面積は、BET法により測定することができる。比表面積が、300m2/g未満であると、低電流充放電において、リチウムイオンが吸着・脱離する電極表面が不足するおそれがある。
そして、負極3は、たとえば、上記の非晶質炭素材料、導電剤および結合剤を配合した混合物を、電極形状に成形した後、乾燥させることにより、形成する。
導電剤は、上記と同様の導電剤が用いられる。また、導電剤の配合割合は、混合物中、たとえば、1〜50重量%である。
電極形状に成形するには、たとえば、非晶質炭素材料、導電剤および結合剤を配合した混合物を、溶媒中で攪拌混合し、それを金属箔上に塗布後、乾燥し、電極形状に打ち抜いた後、乾燥させる。なお、溶媒としては、上記と同様のものが挙げられる。また、金属箔は、銅箔などからなり、集電体として用いられる。
また、セパレータ4は、たとえば、板状に成形されている。
電解液5は、リチウムイオンを含む有機溶媒からなり、リチウム塩を有機溶媒に溶解させることにより、調製されている。
そして、このハイブリッドキャパシタ1では、負極3が上記した非晶質炭素材料からなるので、高出力の充放電において大きな容量を確保することができる。そのため、高出力の充放電を効率よく実施することができる。
1)カーボン材A
カーボンブラック(バルカン(cabot社製):VXC72、)を非密封式のセラミックス製容器(アルミナ製)に入れ、電気炉を用いて500℃、大気雰囲気で1時間加熱し、炉冷し、冷却後、乳鉢を用いて粉砕することにより、カーボン材Aを得た。
2)カーボン材B
カーボンブラック(バルカン:VXC72)を非密封式のセラミックス製容器(アルミナ製)に入れ、電気炉を用いて500℃、大気雰囲気で1時間加熱し、炉冷することにより、カーボン材Bを得た。
3)カーボン材C
カーボンブラック(バルカン:VXC72)を非密封式のセラミックス製容器(アルミナ製)に入れ、電気炉を用いて400℃、大気雰囲気で1時間加熱し、炉冷することにより、カーボン材Cを得た。
4)カーボン材D
カーボンブラック(バルカン:VXC72)を、そのままカーボン材Dとして用いた。
5)カーボン材E
カーボンブラック(バルカン:VXC72)を非密封式のセラミックス製容器(アルミナ製)に入れ、電気炉を用いて600℃、大気雰囲気で1時間加熱し、炉冷することにより、カーボン材Eを得た。
6)カーボン材F
Liイオン電池用負極材(呉羽化学:カーボトロンPS(F))を、そのままカーボン材Fとして用いた。
7)カーボン材G
活性炭(クラレケミカル:RP−15)を、そのままカーボン材Gとして用いた。
8)カーボン材H
フルフリルアルコールと、これに対し0.5重量%のシュウ酸二水和物を混合して溶解させた後、80℃、大気雰囲気の電気炉で72時間加熱し、炉冷した。その後、冷却した後、1000℃、N2気流中で1時間加熱し、炉冷した。そして、冷却後、乳鉢で粉砕することにより、カーボン材Hを得た。
9)カーボン材I
Liイオン電池用負極材(呉羽化学:カーボトロンPS(F))と、これに対し400重量%の水酸化カリウムを混合し、800℃、N2気流中で1時間加熱し、炉冷した。そして、冷却後、純水および硫酸水溶液で洗浄し、その後、乾燥した後、乳鉢で粉砕することにより、カーボン材Iを得た。
10)カーボン材J
Liイオン電池用負極材(大阪ガス:MCMB25−28)を、そのままカーボン材Jとして用いた。
[カーボン電極の製造]
上記により得られたカーボン材A〜Jを用いて、それらに対応する実施例1〜3(カーボン材A〜C)および比較例1〜7(カーボン材D〜J)のカーボン電極を、以下に述べる方法により作製した。
[試験セルの組立]
対極(兼参照極)としてリチウムメタル箔、作用極として各実施例および各比較例のカーボン電極、セパレータとして厚さ50μmのセルロース系セパレータ(日本高度紙製)を24mmφに打ち抜いたもの、電解液として1M LiPF6のエチレンカーボネート/ジエチレンカーボネート溶媒(1:1体積比)1mLを用いて、図2に示す2極式試験セル(東洋システム社製)を組み立てた。
[充放電試験]
TOSCAT(東洋システム社製)を用いて、電位範囲:3〜0V・vs・Li/Li+、電流密度:1〜20mA/cm2の条件で充放電試験を実施し、カーボン電極単極の評価を行なった。各実施例および各比較例の各カーボン電極を用いた各試験セルでの充放電における電流密度と容量との関係を図3に示す。
[物性測定]
カーボン材A〜Jのメソ孔表面積、真密度および比表面積を測定した。その結果を表1に示す。
真密度は、JISR7212に準拠して、ブタノール置換法を用いて測定した。
比表面積は、BET法に準拠し、相対圧0〜0.1の範囲で解析した。
図3から、比較例1〜7(カーボン材D〜J)は、10mA/cm2での高出力充放電時に極めて低い容量しか得られないのに対して、実施例1〜3(カーボン材A〜C)は、高出力充放電時においても、高い容量が得られることがわかる。
表1から、高い容量を得るためには、メソ孔表面積:48〜64m 2 /g、真密度1.83〜1.93g/cm 3 が必要となることがわかる。
2 正極
3 負極
4 セパレータ
5 電解液
Claims (2)
- 比表面積100m2/g以上の正極と、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出可能な材料からなる負極と、リチウムイオンを含む有機溶媒からなる電解液とを備える電気化学キャパシタにおいて、
前記負極が、メソ孔表面積48〜64m 2 /g、真密度1.83〜1.93g/cm 3 の非晶質炭素材料からなることを特徴とする、電気化学キャパシタ。 - 前記非晶質炭素材料の比表面積が、300m2/g以上であることを特徴とする、請求項1に記載の電気化学キャパシタ。
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