JP5042754B2 - 電気化学キャパシタ - Google Patents
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Description
電気二重層キャパシタは、正極および負極へそれぞれアニオンおよびカチオンが吸着することによってエネルギーを蓄える。蓄えられるエネルギーはCV2/2で表され、電圧を高めることによって、より大きなエネルギーを蓄えることができるが、電圧を高くしすぎると正極および負極で化学反応(酸化還元反応)が起こり、各電極が劣化する。
そこで、近年、電気二重層キャパシタのエネルギー密度を向上させるべく、負極の材料としてリチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出可能な材料を用いることによって、電気二重層による蓄電に加え、酸化還元反応による蓄電をも併有するハイブリッドキャパシタが提案されている。
そこで、上記した不具合を解決するために、例えば、特許文献1には、活性炭を主体とする分極性電極材料とアルミニウム又はステンレスからなる集電体とからなる正極と、リチウムイオンを吸蔵、脱離しうる炭素材料に化学的方法又は電気化学的方法でリチウムイオンを吸蔵させた炭素質材料と、リチウムと合金を形成しない集電体とからなる負極と、リチウム塩を含む非水系電解液とを有する電気二重層キャパシタが開示されている。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、簡単な構成で、エネルギー密度を向上させることができる電気化学キャパシタを提供することにある。
図1において、このハイブリッドキャパシタ1は、正極2と、その正極2と間隔を隔てて対向配置される負極3と、正極2と負極3との間に介在されるセパレータ4と、正極2、負極3およびセパレータ4を収容し、これらを浸漬するように電解液5が満たされているセル槽6とを備えている。なお、このハイブリッドキャパシタ1は、ラボスケールで採用される電池セルであって、工業的には、このハイブリッドキャパシタ1を、公知の技術によって適宜スケールアップしたものが採用される。
活性炭は、例えば、活性炭原料に対して、賦活処理を施すことにより得られる。
活性炭原料としては、特に制限されないが、例えば、石油系ピッチ、石炭系ピッチ、メソフェーズ系ピッチなどのピッチ系原料、これらピッチ系材料を熱処理することにより得られるコークス系原料、やしがら、木粉などの植物系原料、フェノール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、レゾルシノール系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリブチラール、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセテートなどの合成樹脂系原料およびこれらの炭化物が挙げられ、好ましくは、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)である、ピッチ系原料、コークス系原料、合成樹脂系原料(とりわけ、塩化ビニル系、ポリアクリロニトリル)が挙げられる。
このようにして得られる活性炭の配合割合は、混合物中、例えば、80〜99重量%である。
結合剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フルオロオレフィン共重合体架橋ポリマー、フルオロオレフィンビニルエーテル共重合体架橋ポリマー、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸などが挙げられる。また、結合剤の配合割合は、混合物中、例えば、1〜10重量%である。
金属箔としては、例えば、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔、ニッケル箔などが挙げられる。
ソフトカーボンとしては、例えば、ピッチ系原料、コークス系原料および合成樹脂系原料など、上記したソフトカーボンが挙げられる。
導電剤としては、例えば、上記した導電剤が挙げられる。また、導電剤の配合割合は、混合物中、例えば、0〜20重量%である。つまり、導電剤は、配合しても配合しなくてもよい。
そして、負極3を電極形状に成形するには、例えば、ハードカーボン、ソフトカーボンもしくはグラファイト、導電剤および結合剤を配合した混合物を、溶媒中で攪拌混合し、それを集電体となる金属箔上に塗布後、乾燥し、電極形状に打ち抜いた後、乾燥させる。
金属箔としては、例えば、上記した金属箔が挙げられる。
セパレータ4には、絶縁材料が用いられ、例えば、ガラス繊維、シリカやアルミナの繊維、セラミックス繊維、ウィスカなどの無機繊維、例えば、セルロースなどの天然繊維、例えば、ポリオレフィン、ポリエステルなどの有機繊維などが挙げられる。また、セパレータ4は、例えば、板状に成形されている。
リチウム塩としては、例えば、LiClO4、LiCF3SO3、LiC(SO2CF3)3、LiB(C6H5)4、LiC4F9SO3、LiC8F17SO3、LiB[C6H3(CF3)2−3,5]4、LiB(C6F5)4、LiB[C6H4(CF3)−4]4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiCF3CO2、LiN(CF3SO2)2などが挙げられる。なお、上式中[C6H3(CF3)2−3,5]は,フェニル基の3位と5位に、[C6H4(CF3)−4]はフェニル基の4位に、それぞれ−CF3が置換されているものを意味する。
また、このハイブリッドキャパシタ1においては、正極2に電位範囲を拡大するための不可逆容量を発現させるための方法として、上述したように、充放電サイクルにおいて、正極2の電位を4V vs.Li/Li+以上とする方法のほか、例えば、電解液5に電気化学的に酸化分解し易い添加剤を添加することができる。
そして、このハイブリッドキャパシタ1では、充放電サイクルにおいて、正極2が電位範囲を拡大するための不可逆容量を発現する。
第1の電流値としては、例えば、0.1〜10mA/cm2、好ましくは、1〜5mA/cm2である。
次いで、セル電圧が、0〜4V、好ましくは、1〜3V(このときの正極2の電位は、1.5〜4V vs.Li/Li+、好ましくは、2〜3V vs.Li/Li+)に達するまで、0.1〜10mA/cm2、好ましくは、1〜5mA/cm2の電流値で定電流放電する。そして、2サイクル目以降は、例えば、セル電圧が、0〜5V、好ましくは、1〜5V(このときの正極2の電位は、1.5〜5V vs.Li/Li+、好ましくは、2〜4.6V vs.Li/Li+)となるように充放電する。
すなわち、従来のハイブリットキャパシタでは、図2に、その充放電の一般的なプロファイルが示されるように、負極3に生じる不可逆容量(例えば、QNc1−QNd1)に起因して、正極2の電位範囲がV1からV1´へと小さくなる結果、正極2の電気容量がC1V1(C1:正極2における電気二重層の静電容量)からC1V1´へと低下する。このように、正極2は、本来C1V1の電気容量を有しているにもかかわらず、その電気容量を十分に活用できず、C1V1´分の電気容量しか発現することができず、比較的低いエネルギー密度しか得られない。そのため、このようなハイブリッドキャパシタにおいては、正極2において負極3と同様に十分な電気容量を得ようとすると、極めて多量の正極2(活性炭)が必要となり、これがエネルギー密度の向上を図る上で、大きな障害となる。
負極活性阻害物質が生成する過程として、例えば、正極2の不可逆容量の発現に起因してHFが生成する過程を、以下説明する。
(1)2H2O→O2+4H++4e-
(2)R−H→R+H++e-(Rは、アルキル基)
そして、生成したプロトンが、電解液5に含まれるアニオン(例えば、LiPF6に含まれるPF6 -など)と反応し、HFが生成する(下記式(3)参照)。
(3)PF6 -+H+→PF5+HF
また、リチウム箔7の表面積は、正極2および負極3の表面積と略同一面積、または、より広い面積であることが好ましい。リチウム箔7の表面積がこのような面積であると、負極活性阻害物質(例えば、HFなど)を、効率よく捕捉することができる。
また、リチウム箔7には、その厚み方向に複数の孔が形成されている。このような孔が形成されることによって、電解液5が、セパレータ4aとセパレータ4bとの間を通過することができ、充放電することができる。
また、上記したリチウム金属のほか、Si−N結合を有する化合物(例えば、ペルヒドロポリシラザン、メチルポリシラザンなど)をセル槽6内に含めることによっても、負極活性阻害物質を捕捉することができる。この場合、負極活性阻害物質は、Si−N結合を有する化合物に捕捉されて安定化する。
炭酸塩は、例えば、セパレータ4aとセパレータ4bとの間に配置されていてもよく、また、セパレータ4を兼ねていてもよい。また、炭酸塩は、正極2および/または負極3の表面にコーティングされていてもよい。
炭酸塩がセパレータ4を兼ねるには、例えば、炭酸塩および結合剤を配合した混合物を、例えば、セパレータ4と同様に板状に形成する。
炭酸塩を正極2および/または負極3の表面にコーティングするには、例えば、炭酸塩および結合剤を配合した混合物を、溶媒中で攪拌混合し、それを正極2および/または負極3上に塗布後、乾燥させる。
溶媒としては、例えば、上記した溶媒が挙げられ、好ましくは、NMP(N−メチルピロリドン)や水が挙げられる。
そして、上記した捕捉剤および捕捉部材は、正極2で発現する不可逆容量1mAhに対して、2×10-5mol〜175×10-5molの割合で含まれていることが好ましい。捕捉剤の量が、このような範囲であると、より一層優れたエネルギー密度を発現することができる。
また、Li2CO3を捕捉剤として用いた場合、下記式(4)に示すように、HFがLi2CO3に捕捉されて(Li2CO3と反応して)、LiFおよびH2CO3が生成する。
(4)Li2CO3+2HF→2LiF+H2CO3
実施例1
(正極)メソフェーズ系ピッチ(三菱ガス化学株式会社製 AR樹脂)を窒素雰囲気下、750℃で焼成し、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)を得た。得られたソフトカーボンに水酸化カリウム(KOH)を、ソフトカーボン:KOH=1:4の配合重量比で混合し、窒素雰囲気下、800℃で焼成(KOH賦活)した後、純水で洗浄することにより、KOH賦活ソフトカーボンを得た。
(負極)ハードカーボン(株式会社クレハ製 カーボトロンPS(F)):PVdF(ポリフッ化ビニリデン)を9:1の配合重量比で混合し、NMP(1−メチル−2−ピロリドン)中で十分攪拌した後、アルミ箔に約50μmの厚さに塗工し、乾燥した後、φ10のサイズに打ち抜き、さらに100℃で12時間真空乾燥することにより、負極を作製した。
(セパレータ)厚さ400μmのセラミックスフィルタ(ADVANTEC社製 GB−100R)を、φ24に打ち抜くことにより、セパレータを作製した。
(電解液)LiPF6のエチレンカーボネート/ジエチレンカーボネート溶媒(1:1体積比)を調製することにより、LiPF6濃度が1mol/Lの電解液を作製した。
(充放電条件)
1サイクル目
セル電圧が4.8Vになるまで1mA/cm2で定電流充電した後、電流値が0.2mA/cm2に下がるまで4.8Vで定電圧保持した。次いで、セル電圧が2Vになるまで1mA/cm2で定電流放電した。
2サイクル目以降
2.0〜4.6Vの電圧範囲で充放電した。
比較例1
(正極)活性炭(クラレケミカル株式会社製 RP−15):カーボンブラック:PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を85:5:10の配合重量比で混合し、ロールプレスを用いて加圧・圧延することにより、厚み520μmの電極シートを得た。この電極シートをφ10のサイズに打ち抜き、さらに100℃で12時間真空乾燥することにより、正極を作製した。
(負極)ハードカーボン(株式会社クレハ製 カーボトロンPS(F)):PVdF(ポリフッ化ビニリデン)を9:1の配合重量比で混合し、NMP(1−メチル−2−ピロリドン)中で十分攪拌した後、アルミ箔に約50μmの厚さに塗工し、乾燥した後、φ10のサイズに打ち抜き、さらに100℃で12時間真空乾燥することにより、負極を作製した。
(セパレータ)厚さ400μmのセラミックスフィルタ(ADVANTEC社製 GB−100R)を、φ24に打ち抜くことにより、セパレータを作製した。
(電解液)LiPF6のエチレンカーボネート/ジエチレンカーボネート溶媒(1:1体積比)を調製することにより、LiPF6濃度が1mol/Lの電解液を作製した。
比較例1では、図7に示すように、負極に生じる不可逆容量に起因して、正極の電位範囲が約1V vs.Li/Li+(正極電位が3〜4V vs.Li/Li+の範囲)から約0.5V vs.Li/Li+(正極電位が3.5〜4V vs.Li/Li+の範囲)へと小さくなっている。
すなわち、実施例1のハイブリッドキャパシタにおいては、比較例1のハイブリッドキャパシタでは活用できない、正極の2.5〜3.5V vs.Li/Li+および4〜4.5V vs.Li/Li+の電位範囲を活用できることによって、正極の使用量を低減できるため、セル全体としてのエネルギー密度が向上する。
実施例2
(正極)
メソフェーズ系ピッチ(三菱ガス化学株式会社製 AR樹脂)を大気中350℃で2時間加熱し、次いで、窒素雰囲気下800℃で2時間予備焼成し、ソフトカーボンを得た。得られたソフトカーボンをアルミナ坩堝に入れ、ソフトカーボン1重量部に対して4重量部のKOHを加えた。そして、ソフトカーボンをKOHとともに、窒素雰囲気下800℃で、2時間焼成(KOH賦活)した。次いで、KOH賦活したソフトカーボンを超純水で洗浄した。この洗浄は、洗浄による廃液が中性になるまで行なった。これにより、KOH賦活ソフトカーボン(正極材)を得た。洗浄後、KOH賦活ソフトカーボンを乳鉢で粉砕し、篩(32μm)で分級した。篩を通過しなかった粉末は、再度乳鉢で粉砕し、分級を繰り返した。
(負極)
人造黒鉛とソフトカーボンと結合剤(株式会社クレハ製 PVdF)とを、固形分22.5:67.5:10の配合重量比で、NMP(N−メチルピロリドン)に投入し、室温(25℃〜30℃)で12時間攪拌した。攪拌により得られたスラリー(負極材)を銅箔に塗工し、その後、80℃で12時間乾燥した。乾燥後の銅箔を、ハンドプレスで加圧・圧延することにより、厚み29μmの電極シートを得た。この電極シートを、φ10のサイズに打ち抜き、さらに乾燥機に搬入し、120℃で12時間真空乾燥した。そして、乾燥機内を窒素パージした後、電極シートを、大気に触れないように、ドライAr雰囲気のグローブボックスへ搬入することにより、負極を作製した。
(セパレータ)厚さ400μmのセラミックスフィルタ(ADVANTEC社製 GB−100R)を、φ13に打ち抜くことにより、セパレータを作製した。
(電解液)1mol/LのLiPF6/エチレンカーボネート+ジエチレンカーボネート溶媒(1:1体積比)を調製することにより、電解液を作製した。
(捕捉剤)
Li2CO3粉末とPTFEとを、80:20の配合重量比で混合し、ロールプレスを用いて加圧・圧延することにより、厚み30μmのシートを得た。このシートを、φ13のサイズに打ち抜き、さらに乾燥機に搬入し、120℃で12時間真空乾燥した。そして、乾燥機内を窒素パージした後、電極シートを、大気に触れないように、ドライAr雰囲気のグローブボックスへ搬入することにより、捕捉剤シートを作製した。
(充放電条件)
1サイクル目
セル電圧が4.8Vになるまで1mA/cm2で定電流充電した後、電流値が0.5mA/cm2に下がるまで4.8Vで定電圧保持した。次いで、セル電圧が2.3Vになるまで1mA/cm2で定電流放電した。
2サイクル目以降
2.3〜4.6Vの電圧範囲で充放電した。
比較例2
(正極)正極材としての活性炭(クラレケミカル株式会社製 RP−15)と導電剤(ライオン株式会社製 ケッチェンブラックECP)と結合剤(ダイキン工業株式会社製 PTFEディスパーション)とを、固形分85:5:10の配合重量比で、乳鉢で混練し、ロールプレスを用いて加圧・圧延することにより、厚み270μmの電極シートを得た。この電極シートを、φ10のサイズに打ち抜き、さらに乾燥機に搬入し、120℃で12時間真空乾燥した。そして、乾燥機内を窒素パージした後、電極シートを、大気に触れないように、ドライAr雰囲気のグローブボックスへ搬入することにより、正極を作製した。
(負極)難黒鉛化炭素(株式会社クレハ製)と結合剤(株式会社クレハ製 PVdF)とを、固形分90:10の配合重量比で、NMP(N−メチルピロリドン)に投入し、室温(25℃〜30℃)で12時間攪拌した。攪拌により得られたスラリー(負極材)を銅箔に塗工し、その後、80℃で12時間乾燥した。乾燥後の銅箔を、ハンドプレスで加圧・圧延することにより、厚み25μmの電極シートを得た。この電極シートを、φ10のサイズに打ち抜き、さらに乾燥機に搬入し、120℃で12時間真空乾燥した。そして、乾燥機内を窒素パージした後、電極シートを、大気に触れないように、ドライAr雰囲気のグローブボックスへ搬入することにより、負極を作製した。
(セパレータ)厚さ400μmのセラミックスフィルタ(ADVANTEC社製 GB−100R)を、φ24に打ち抜くことにより、セパレータを作製した。
(電解液)1mol/LのLiPF6/エチレンカーボネート+ジエチレンカーボネート溶媒(1:1体積比)を調製することにより、電解液を作製した。
(充放電条件)
セル電圧を1.9〜3.8Vの電圧範囲、電流1mA/cm2で充放電した。
測定結果
図10は、実施例2の充放電サイクルにおけるエネルギー密度を示すグラフである。また、図11は、比較例2の充放電サイクルにおけるエネルギー密度を示すグラフである。なお、図10および図11の縦軸において「Wh/L−carbon electrodes」で示される単位は、正極と負極との総和(正極材および負極材を担持する集電体(例えば、Al箔やCu箔)の体積を除いた正極材と負極材との総和(電極層))の単位体積(1L)当りのエネルギー(Wh)を示す。
試算例1〜2
次に、正極で発現する不可逆容量に対する捕捉剤の添加量によって、ハイブリッドキャパシタのエネルギー密度がどのように変化するかを確認するため、試算例1〜2を実施した。試算例1〜2は、実施例2および比較例2のエネルギー密度(実測値)に基づき、図12に示すセルを組み立てた場合のエネルギー密度を、以下の試算条件で計算することにより行なった。
(試算条件)
試算例1(実施例2)
正極:Al箔の両面に正極材が塗工されることにより形成されたものを正極とする。
捕捉剤:Li2CO3
捕捉剤の形状:Li2CO3粉末とPTFEとを、80:20の配合重量比で混合し、ロールプレスを用いて加圧・圧延することによりシート化されたものを捕捉剤シートとする。この捕捉剤シートは、セパレータを兼ねる。
電極層のエネルギー密度:145Wh/L−carbon electrodes
セパレータ(捕捉剤を含む)の厚みT1:Li2CO3の添加量により変動する。
Cu箔の厚みT4:15μm
Al箔の厚みT5:15μm
試算例2(比較例2)
正極:Al箔の両面に正極材が塗工されることにより形成されたものを正極とする。
捕捉剤:なし
電極層の厚みT2+T3:120μm
電極層のエネルギー密度:28.2Wh/L−carbon electrodes
セパレータの厚みT1:30μm
Cu箔の厚みT4:15μm
Al箔の厚みT5:15μm
測定結果
図13は、試算例1〜2において、不可逆容量に対するLi2CO3の添加量(係数)を変化させたときのエネルギー密度の変化を示すグラフである。なお、図13の縦軸において「Wh/L−cell」で示される単位は、セル1ユニット(電極層(正極材+負極材)+セパレータ+Cu箔の厚み方向中央よりもセパレータ側半分+Al箔の厚み方向中央よりもセパレータ側半分)の単位体積(1L)当りのエネルギー(Wh)を示す。
次に、捕捉剤の種類により、負極の電気容量がどのように変化するかを確認するため、試験例1〜7を実施した。
(正極)活性炭(クラレケミカル株式会社製 RP−15)と導電剤(ライオン株式会社製 ケッチェンブラックECP)と結合剤(ダイキン工業株式会社製 PTFEディスパーション)とを、固形分85:5:10の配合重量比で、乳鉢で混練し、ロールプレスを用いて加圧・圧延することにより、厚み130μmの電極シートを得た。この電極シートを、φ10のサイズに打ち抜き、さらに乾燥機に搬入し、120℃で12時間真空乾燥した。そして、乾燥機内を窒素パージした後、電極シートを、大気に触れないように、ドライAr雰囲気のグローブボックスへ搬入することにより、正極を作製した。
(負極)難黒鉛化炭素(株式会社クレハ製)と結合剤(株式会社クレハ製 PVdF)とを、固形分9:1の配合重量比で、NMP(N−メチルピロリドン)に投入し、室温(25℃〜30℃)で12時間攪拌した。攪拌により得られたスラリーを銅箔に塗工し、その後、80℃で12時間乾燥した。乾燥後の銅箔を、φ10のサイズに打ち抜き、さらに乾燥機に搬入し、120℃で12時間真空乾燥した。そして、乾燥機内を窒素パージした後、電極シートを、大気に触れないように、ドライAr雰囲気のグローブボックスへ搬入することにより、負極を作製した。
(セパレータ)厚さ400μmのセラミックスフィルタ(ADVANTEC社製 GB−100R)を、φ24に打ち抜くことにより、セパレータを作製した。
(電解液)1mol/LのLiPF6/エチレンカーボネート+ジエチレンカーボネート溶媒(1:1体積比)を調製することにより、電解液を作製した。
(捕捉剤)各試験例について、下記表1に示す捕捉剤を、負極活性阻害物質を捕捉することができる十分な量で用いた。
図14に、試験例1〜7の充放電サイクルにおける負極の電気容量の変化を示す。なお、図14の縦軸において「mAh/cc−negative electrode」で示される単位は、負極(負極材を担持する集電体(例えば、Cu箔)の体積を除いた負極材)の単位体積(1cc)当りの容量(mAh)を示す。
2 正極
3 負極
4 セパレータ
5 電解液
7 リチウム箔
Claims (1)
- 充放電サイクルにおいて、電位範囲を拡大するための不可逆容量を発現する正極と、
リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出可能な材料からなる負極と、
リチウムイオンを含む有機溶媒からなる電解液とを備え、
前記正極の不可逆容量の発現に起因して前記電解液に含まれるアニオンから誘導される負極活性阻害物質を捕捉する捕捉剤を含み、
前記捕捉剤が、前記不可逆容量1mAhに対して、2×10 −5 mol〜175×10 −5 molの割合で含まれていることを特徴とする、電気化学キャパシタ。
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