JP4609620B2 - 車両用物入れ構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車室内のインストルメントパネルに開口形成されて小物を保管する車両用物入れ構造に関するものである。
【0002】
【関連する背景技術】
近年の車両には、乗員による使い勝手を向上させるための種々の配慮がなされており、例えば眼鏡やカード等の小物を保管するためのスペースとして、車室内の各所には小物入れが設けられている。この種の小物入れは車室内に向けて開口した状態でインストルメントパネルに設けられ、小物を簡単に出入れできるようにリッドが省略される代わりに、その下面を奥部に向けて傾斜させたり凹状に形成したりして、車両の加減速等による小物の飛び出しを防止している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、周知のように車両が炎天下で長時間放置されたとき等には、車室内温度は外気温より遥かに上昇し、必然的に上記した小物入れの内部も非常に高温となる。ここで、小物入れにタバコ点火用のガスライタ等が保管されていると、内部圧力の異常上昇を防止すべく、それに設けられたリリーフ弁が作動して内部のガスが適宜放出されるため、空気より重いガスが小物入れ内に滞留して次第に開口部から外部に漏れ、ガス臭により乗員に不快感を与えてしまうことがある。特に、この種の小物入れは使い勝手を考慮して乗員付近に設置される場合が多い上に、狭い車室内ではガスの拡散がほとんど期待できずに、小物入れ内に滞留したガスが高い濃度のまま乗員付近に漂うことから、上記不具合は顕著なものとなっている。
【0004】
又、イグニションスイッチのキー操作時には微弱な電気火花が発生することがあるため、スイッチ近傍に小物入れを設ける場合には、小物入れ内に滞留したガスの火花による引火を確実に防止する必要がある。この対策として、小物入れの開口部にリッドを設けてガスの漏洩を防止することが考えられるが、特にイグニションスイッチ近傍の小物入れは頻繁に使用することが予想されるため、リッドの開閉操作は使い勝手の悪化に繋がる上に、部品点数の増加によりコストアップの要因となってしまう。
【0005】
本発明の目的は、内部にガスライタを保管したときのガス臭による乗員の不快感を確実に防止できると共に、リッドを設けることなくキー操作時の火花によるガス引火を防止して、リッドの付設による使い勝手の悪化やコストアップ等の弊害を未然に回避することができる車両用物入れ構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、車両フロアに対して開放された開放部を有するインストルメントパネルと、インストルメントパネルに設けられて、一側を車室内に向けて開口し、ガスライタを収納する箱状収納部とを備えた車両用物入れ構造において、箱状収納部内の最下位置近傍に、上記ガスライタから漏れたガスを上記車両フロア上に流下させるべくインストルメントパネルの開放部を介して箱状収納部の内部と車両フロアとを連通状態とする連通孔が形成されたものである。
【0007】
従って、温度上昇により箱状収納部内に保管されたガスライタからガスが漏れると、ガスは空気より重いため箱状収納部内の最下位置へと流れ、最下位置近傍に設けられた連通孔を経てインストルメントパネル内に流下し、更にインストルメントパネルの開放部を経て車両フロア上に流下する。結果としてガスは、箱状収納部内に滞留している場合に比較して乗員の頭部から離間すると共に、広い面積の車両フロア上で拡散されてガス臭が弱められるため、乗員がガス臭を感じることがなくなる。
【0008】
又、ガスが箱状収納部内に滞留することなく、速やかにフロア上に拡散するため、イグニションスイッチのキー操作に伴って電気火花が発生したとしても、箱状収納部内でガスに引火する虞は皆無であり、引火防止のために箱状収納部にリッドを設ける等の対策が必要なくなる。
しかも、箱状収納部内でのガス引火の虞がなくなることから、箱状収納部を積極的にイグニションスイッチの近傍、つまり、運転者の手元に近い位置に設置可能となり、その使い勝手が向上する。
【0009】
又、請求項2の発明は、箱状収納部は車室内で後方に向けて開口して、最奥部の底面、底面にそれぞれ連結された下面、上面及び両側面を有すると共に、開口側から底面側に向けて下方に傾斜して配設され、連通孔は、底面と下面との連結部分近傍に形成されたものである。
従って、箱状収納部は開口側から底面側に向けて下方に傾斜し、底面と下面との連結部分が箱状収納部内の最下位置に相当することになる。そして、ガスライタから漏れたガスは、箱状収納部の傾斜に沿って上記した底面と下面との連結部分へと確実に流れ、連結部分近傍に形成された連通孔を経てフロア上に流下される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した車両用物入れ構造の一実施形態を説明する。
図1は本実施形態の車両用物入れ構造が適用されたインストルメントパネルの部分斜視図、図2は同じく車両用物入れ構造が適用されたインストルメントパネルの断面図である。これらの図に示すように、車両のフロアを構成するフロントフロアパン1の前端にはダッシュパネル2がスポット溶接により接合され、このダッシュパネル2によりエンジンルームR1と車室内R2とが区画されている。ダッシュパネル2の車室内R2側には車体補強用のデッキクロスメンバ3が車幅方向に架設され、このデッキクロスメンバ3を利用して、合成樹脂材料により射出成形されたインストルメントパネル4が固定されている。
【0011】
図示はしないが、インストルメントパネル4内にはエアコンの室内ユニットやダクト等が設置される一方、インストルメントパネル4の外側には、車両を運転操作するための各種メータやスイッチ類、或いはエアコンやオーディオ装置が設けられている。
インストルメントパネル4の下部は開放部4aとして下方に向けて開放され、この開放部4aを介してインストルメントパネル4内とフロントフロアパン1上とが連通している。例えば上記したエアコンの室内ユニットのメンテナンス等は、この開放部4aより実施されるようになっている。尚、図中の5aはアクセルペダル、5bはブレーキペダルである。
【0012】
上記インストルメントパネル4のステアイングホイール6近傍にはイグニションスイッチ7が設けられ、このイグニションスイッチ7の右側には箱状収納部8が設けられている。箱状収納部8はインストルメントパネル4から車室内R2側、即ち後方に向けて開口して、最奥部の底面8a、該底面8aにそれぞれ略直交して連結された下面8b、上面8c、左右両側面8dの計5面から構成されている。この箱状収納部8は、インストルメントパネル4の射出成形時に同時に一体成形してもよいし、別体として後で組付けてもよい。
【0013】
箱状収納部8は、全体として開口側から底面8a側に向けて下方に傾斜しているため、その底面8aと下面8bとを連結する隅部9が箱状収納部8内の最下位置に相当している。隅部9上には4個の円形状をなす連通孔10が等間隔(図2の紙面と直交する方向に)で貫通形成され、これらの連通孔10を介して箱状収納部8内とインストルメントパネル4内とが連通している。尚、連通孔10の位置は隅部9でなくてもよく、例えば底面8aの下面8b側、又は下面8bに直に設けてもよい。
【0014】
以上のように構成された車両用物入れ構造では、従来技術でも説明したように、箱状収納部8にガスライタWを保管した状態で、車両が炎天下で長時間放置されると、リリーフ弁の作動に伴ってガスライタWから箱状収納部8内にガスが放出される。ガスは空気より重いため、図2に矢印Gで示すように、箱状収納部8内の傾斜に沿って最下位置の隅部9へと流れ、この隅部9の連通孔10を経てインストルメントパネル4内に流下し、更にインストルメントパネル4の開放部4aを経てフロントフロアパン1上に流下する。
【0015】
乗員の足元に相当するフロントフロアパン1上まで流下することで、箱状収納部8内に滞留している場合に比較して、ガスは乗員の頭部から遥かに離間すると共に、流下したガスは広い面積のフロントフロアパン1上で十分に拡散されて、ガス臭が格段に弱められる。従って、乗員がガス臭を感じることがなくなり、ガス臭による不快感を確実に防止することができる。そして、フロントフロアパン1上のガスは車両の乗降用ドアを開く度に外部に排出されるため、譬えガスライタからガスが継続して漏れた場合であっても、フロントフロアパン1上のガス濃度は常に低い値に抑制される。
【0016】
一方、このようにガスが箱状収納部8内に滞留することなく、速やかにフロントフロアパン1上に拡散するため、イグニションスイッチ6のキー操作に伴って電気火花が発生したとしても、箱状収納部8内でガスに引火する虞は皆無である。よって、引火防止のために箱状収納部8にリッドを設ける等の対策が必要なくなり、リッドの付設による使い勝手の悪化やコストアップ等の弊害を未然に回避することができる。
【0017】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、イグニションスイッチ7付近に、後方に向けて開口するように箱状収納部8を設けたが、箱状収納部8の設置位置や形状はこれに限らず、例えば図3に示すように、インストルメントパネル4上に、上方に開口するように箱状収納部11を設けてもよい。この場合でも、箱状収納部11内の最下位置に相当する底面11aに連通孔12を貫通形成すれば、箱状収納部11内に保管したガスライタWからガスが漏れた場合に、矢印Gで示すように、連通孔12を経てインストルメントパネル4内に流下・拡散させることができるため、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0018】
又、上記実施形態では、箱状収納部8内の隅部9上に円形状をなす4個の連通孔10を形成したが、その形状や個数は任意に変更可能であり、例えば隅部9に沿って単一の連通孔を細長い溝状に形成してもよい。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の車両用物入れ構造によれば、内部にガスライタを保管したときのガス臭による乗員の不快感を確実に防止できると共に、リッドを設けることなくキー操作時の火花によるガス引火を防止して、リッドの付設による使い勝手の悪化やコストアップ等の弊害を未然に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の車両用物入れ構造が適用されたインストルメントパネルの部分斜視図である。
【図2】実施形態の車両用物入れ構造が適用されたインストルメントパネルの断面図である。
【図3】箱状収納部を上方に開口させた別例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1 フロントフロアパン(フロア)
4 インストルメントパネル
4a 開放部
8,11 箱状収納部
8a 底面
8b 下面
8c 上面
8d 側面
9 隅部(最下位置)
10,12 連通孔
11a 底面(最下位置)
R2 車室内
Claims (2)
- 車両フロアに対して開放された開放部を有するインストルメントパネルと、
上記インストルメントパネルに設けられて、一側を車室内に向けて開口し、ガスライタを収納する箱状収納部と
を備えた車両用物入れ構造において、
上記箱状収納部内の最下位置近傍に、上記ガスライタから漏れたガスを上記車両フロア上に流下させるべく上記インストルメントパネルの開放部を介して該箱状収納部の内部と上記車両フロアとを連通状態とする連通孔が形成されていることを特徴とする車両用物入れ構造。 - 上記箱状収納部は上記車室内で後方に向けて開口して、最奥部の底面、該底面にそれぞれ連結された下面、上面及び両側面を有すると共に、上記開口側から底面側に向けて下方に傾斜して配設され、
上記連通孔は、上記底面と下面との連結部分近傍に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用物入れ構造。
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