JP4609366B2 - 樹脂部品並びにそれを用いたリニアガイド装置、直動ねじ装置および転がり軸受装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、上述した従来の技術においては、樹脂成形時における引けの抑制のみを目的として肉盗み部を形成しているため、肉盗み部とした凹部の口元(端面への開口をいう。)の形状が転動体としてのころの直径より大きくなった場合には、凹部が抜き勾配により底に向かって狭くなっているので、凹部に入り込んだころが挟まると樹脂の弾性によりころが凹部の側面に挟持されてしまい、凹部から取出すことが難しくリニアガイド装置等の転がり装置の組立効率が低下するという問題がある。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、樹脂製品に形成された凹部に転動体が入り込むことによる組立効率の低下を防止する手段を提供することを目的とする。
図1において、1は転がり装置としてのリニアガイド装置である。本実施例では転動体としてころを用いたリニアガイド装置である。
4はレール転動体ガイド面としてのレール軌道面であり、レール2の両方のレール側面の長手方向に沿って略V字状に形成された一対の傾斜面である。
6はスライダ転動体ガイド面としてのスライダ軌道面であり、スライダ5の両方の袖壁5bの内側にレール軌道面4に対向する一対の傾斜面として形成される。
8は戻り路であり、スライダ5の袖壁5bの厚肉部に形成されたころ7を循環させるための略長方形断面を有し、スライダ5の移動方向にスライダ5を貫通する貫通穴であって、それぞれのスライダ軌道面6に対応して設けられている。
10はエンドキャップであり、樹脂材料等で製作され、スライダ移動方向の前後端に配置される。
図2に示すエンドキャップ10のスライダ5側の面(裏面)には、潤滑剤供給穴15から両側の内側方向転換路11bのスライダ5側のガイド面16a(図4参照)が設けられた樹脂製のインナーガイド16へ潤滑剤を導く凹部としての油路形成溝17aが形成されている。
また、油路形成溝17cから供給される潤滑剤は、外側方向転換路11aのスライダ5側のガイド面19aが設けられた樹脂製のアウターガイド19の裏面に形成された油路形成溝17dを経由して外側方向転換路11aに供給される。
また、十字型に配置された油路形成溝17b、17cの交差部の内接円22fも、ころ7の直径Dkより小さくなるように形成される。
ここに、内接円22は、内接円22d、22eのように3角形の口元形状を有する肉盗み部21(凹部)の場合には、その3辺の内接円22をいい、内接円22a、22bのように4角形以上の多角形の口元形状を有する凹部の場合には、その3辺の内接円22の中で最も大きい直径を有する内接円22をいう。
また、内接円22は、油路形成溝17aや17b、17c、17dおよび接続溝18のような溝(凹部)の場合には、その口元形状である溝幅を構成する2辺の内接円22をいい、油路形成溝17bと17cとの交差部や油路形成溝17bと接続溝18との合流部を形成する必要のある溝においては、交差部に形成される内接円22fのようにその溝において最も大きい直径を有する内接円22をいう。
このように、本実施例では樹脂製のエンドキャップ10に形成される方向転換路11のように、ころが装填される部位、つまり負荷路を転動したころが循環する部位を除く部位に設ける肉盗み部21や油路形成溝17等の全ての凹部の口元形状の内接円22をころ7の直径Dkより小さく、またはその深さをころ7の半径より浅く形成する。このようにすればころ7が凹部に入り込むことはなく、ころ7が凹部の側面に挟持されてしまうこともない。
また、ころが装填される部位を除く部位に設ける凹部の深さを、ころの外周面の半径より浅く形成したことによって、例えころが凹部に入り込んだとしても、ころが凹部の側面に挟持されることを防止することができ、リニアガイド装置の組立効率を向上させることができる。
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図1において、31は転がり装置としての直動ねじ装置であるデフレクタ式のボールねじ装置である。
34はボールねじ装置31のナットであり、合金鋼等の鋼材で製作された円筒状部材であって、その内周面には軸軌道溝33と対向する略半円弧形状のナット軌道溝35が軸軌道溝33と同じリードで形成されている。
37は転動体としてのボールであり、合金鋼等の鋼材等で製作された球体である。
本実施例のボール37は、対向配置された軸軌道溝33とナット軌道溝35とにより形成される負荷路に複数装填されてねじ軸32とナット34を螺合させる。
40はエンドデフレクタであり、樹脂材料等で製作され、ナット34の厚肉部34aに形成された戻り路38の軸方向の両方の端部に形成された嵌着穴41に嵌め込まれて取付けられ、そのナット34側には対向配置されたナット軌道溝35と軸軌道溝33とにより形成される負荷路とナット34の戻り路38とをそれぞれ接続する湾曲した通路である方向転換路42が形成されている。
ここに、内接円22は、内接円22gのように少なくとも1辺に円弧を含む3角形の口元形状を有する肉盗み部21(凹部)の場合においても、上記実施例1と同様に3辺(この辺には円弧により形成された辺を含む。)の内接円22をいい、内接円22hのように少なくとも1辺に円弧を含む4角形以上の多角形の口元形状を有する凹部の場合には、その3辺(この辺には円弧により形成された辺を含む。)の内接円22の中で最も大きい直径を有する内接円22をいう。
更に、ボールねじ装置31に設けられた樹脂製の部品に凹部としての溝や段付ボルト穴の大径部を形成する場合は、上記実施例1と同様に、溝幅等の内接円22や円形状に内接する内接円22の直径をボール37の直径Dbより小さく、またはそれらの深さをボール37の半径より浅く形成する。
以上説明したように、本実施例では、ボールねじ装置に用いられる樹脂部品のボールが装填される部位を除く部位に設ける凹部の口元の形状の内接円の直径を、ボールの直径Dbより小さく形成したことによって、上記実施例1と同様に、転動体としてのボールが凹部に入り込むことを防止することができ、ボールねじ装置の組立効率を向上させることができる。
なお、本実施例においては、エンドデフレクタを用いて連通路を形成したエンドデフレクタ式の循環方式を用いたボールねじ装置に本発明を適用した場合を例に説明したが、連通路は前記に限らず、連通路をリターンチューブを用いたチューブ式やこま式、エンドキャップ式等とした循環方式のボールねじ装置の樹脂部品に本発明を適用しても同様の効果を得ることができる。
更に、本実施例においては、転動体をボールとした直動ねじ装置としてのボールねじ装置を例に説明したが、直動ねじ装置は前記に限らず、転動体としてころを用いたころねじ装置においても同様である。この場合に負荷路を形成する軸軌道溝とナット軌道溝は直角3角形断面形状で形成される。
なお、上記実施例1および実施例2と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図9において、51は転がり装置としての転がり軸受装置である深溝型の玉軸受であり、グリース等の潤滑剤により潤滑される。
54は内輪であり、合金鋼等の鋼材で製作され、その外周面に略半円弧形状の内輪軌道溝55が形成され、その内周面は円筒面に成形されて図示しない軸等に嵌合し、連動して回転する。
57は保持器であり、樹脂材料や鋼板等で製作され、転動体としてのボール37を所定のピッチで保持してボール37の互いの接触を防止する。本実施例の保持器57は樹脂材料等により形成された図2に示す一体の冠型形状に成形された冠型保持器である。
図10において、61はポケットであり、冠型の保持器57の円周方向に所定のピッチで複数設けられ、一つの球面である球状凹面からなるポケット面が形成されており、これによってボール37を転動自在に保持する。
爪部63は、その先端部にボール37の直径Dbより小さい開口径を有する開口部が設けられており、開口部からボール37をポケット61に装填する際に樹脂材料の弾性を利用しやすいように肉薄に成形され、ボール37の装填後はポケット61からのボール37の脱落を防止するためのストッパとして機能する。
肉盗み部21の口元の形状は、それぞれの肉盗み部21の内接円22が実施例1および実施例2と同様にボール37の球体の直径Dbより小さくなるように形成される。
更に、玉軸受51に設けられた樹脂製の部品に凹部としての溝や段付ボルト穴の大径部を形成する場合は、上記実施例1および実施例2と同様に、溝幅等の内接円22や円形状に内接する内接円22の直径をボール37の直径Dbより小さく、またはそれらの深さをボール37の半径より浅く形成する。
以上説明したように、本実施例では、玉軸受に用いられる樹脂部品のボールが装填される部位を除く部位に設ける凹部の口元の形状の内接円の直径を、ボールの直径Dbより小さく形成したことによって、上記実施例1および実施例2と同様に、転動体としてのボールが凹部に入り込むことを防止することができ、玉軸受の組立効率を向上させることができる。
なお、本実施例においては、転がり軸受装置は、深溝玉軸受であるとして説明したが、転がり軸受装置は前記に限らず、アンギュラ玉軸受や円筒ころ軸受、円錐ころ軸受等の樹脂部品に本発明を適用しても同様の効果を得ることができる。
2 レール
2a レール上面
3 レール取付穴
3a 設置穴大径部
4 レール軌道面
5 スライダ
5a ねじ穴
5b 袖壁
6 スライダ軌道面
7 ころ
8、38 戻り路
10 エンドキャップ
11、42 方向転換路
11a 外側方向転換路
11b 内側方向転換路
12 グリースニップル
15 潤滑剤供給穴
16 インナーガイド
16a、19a ガイド面
17、17a、17b、17c、17d 油路形成溝
18 接続溝
19 アウターガイド
21 肉盗み部
22、22a〜22h 内接円
31 ボールねじ装置
32 ねじ軸
33 軸軌道溝
34 ナット
34a 厚肉部
35 ナット軌道溝
36 フランジ部
36a ボルト穴
37 ボール
40 エンドデフレクタ
41 嵌着穴
45 リブ
51 玉軸受
52 外輪
53 外輪軌道溝
54 内輪
55 内輪軌道溝
57 保持器
58 シールド板
61 ポケット
62 基体部
62a 端面
63 爪部
Claims (8)
- ボールが転動する転がり装置に用いられる樹脂部品において、
前記ボールが装填される部位を除く部位に、深さが前記ボールの半径より深い凹部からなる肉盗み部を設け、前記凹部の口元の形状の内接円の直径を、前記ボールの直径より小さく形成したことを特徴とする樹脂部品。 - ころが転動する転がり装置に用いられる樹脂部品において、
前記ころが装填される部位を除く部位に、深さが前記ころの外周面の最小半径より深い凹部からなる肉盗み部を設け、前記凹部の口元の形状の内接円の直径を、前記ころの外周面の最小直径より小さく形成したことを特徴とする樹脂部品。 - 請求項1または請求項2に記載の樹脂部品において、
前記凹部の口元の形状が、3以上の辺(辺が円弧で形成されているものを含む。)を有する場合は、前記内接円の直径を、前記各辺の中の3辺に内接する内接円の中で最も大きい直径としたことを特徴とする樹脂部品。 - 請求項1または請求項2に記載の樹脂部品において、
前記凹部の口元の形状が、平行な2辺を有する場合は、前記内接円の直径を、前記2辺に内接する内接円の直径としたことを特徴とする樹脂部品。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の樹脂部品において、
前記肉盗み部は、樹脂成形時に生ずる引けおよびボイドを防止するための凹部であることを特徴とする樹脂部品。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の樹脂部品を用いたことを特徴とするリニアガイド装置。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の樹脂部品を用いたことを特徴とする直動ねじ装置。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の樹脂部品を用いたことを特徴とする転がり軸受装置。
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