JP4608225B2 - 汚染被着体の洗浄方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、かかる印刷インクによる汚染が激しくなり、グラビアロールの表面において薄膜状物を形成した場合には、酸洗浄やアルカリ洗浄によって除去することが困難となり、そのために、グラビアロールの表面を機械的に研磨して、再度表面に凹部を形成しなければならなかった。したがって、グラビアロールから汚染物としての印刷インクを除去するためには、手間や時間がかかるばかりか、グラビアロールを損傷しやすいという問題が見られた。
より具体的には、水によって膨潤する樹脂成分としてのアクリル樹脂と、水溶性化合物としてのポリエチレングリコールと、架橋剤等とからなる汚染物易除去被覆を、予めOA紙等の基材表面に積層しておき、誤ってトナー等が印刷された場合には、水で汚染物易除去被覆を膨潤させることにより、トナー等を除去しやすくする汚染物易除去被覆の使用方法が開示されている。
より具体的には、二酸化炭素と、当該二酸化炭素に非相溶である洗浄成分と、相溶化剤とを必須的に含む洗浄剤組成物を、高圧下で流体状にして、微細構造体と接触させる洗浄方法が提案されている。
また、特許文献2に開示された洗浄方法は、設備が大掛かりであるばかりか、コストが極めて高く、実用的でないという問題点が見られた。
そこで、本発明の発明者らは鋭意検討した結果、グラビアロール等の汚染被着体上に、所定の被膜を形成した後、その被膜を剥離させることにより、グラビアロールの表面における汚染物を容易に除去できることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、グラビアロールのように表面に微細な凹凸を備えるとともに、その凹部に印刷インクが残留して、独立した薄膜状物を形成しながら汚染しているような場合であっても、印刷インク等からなる汚染物を容易に除去することができる汚染被着体の洗浄方法を提供することを目的とする。
なお、グラビアロール等に使用される印刷インクは、ウレタン系樹脂やポリアミド系樹脂、あるいはニトロセルロース混合系樹脂から構成されていることが多いため、ベンジルアルコールを用いることにより、汚染被着体と、汚染物との間の密着力をさらに効果的かつ安価に低下させることができる。
また、本発明の汚染被着体の洗浄方法によれば、被膜を形成した後に、所定の膨潤工程を含むことにより、汚染被着体と、汚染物との間の密着力を効果的に低下させるとともに、所定のずりせん断応力を発生させて、汚染物をさらに容易に除去することができる。
さらにまた、本発明の汚染被着体の洗浄方法によれば、被膜形成用塗布液に、少なくとも二液熱硬化型のウレタン系樹脂を含むとともに、当該ウレタン系樹脂を所定温度に加熱することにより、汚染物と、被膜形成用塗布液からなる被膜との間の密着力を効果的に高めることができる。
なお、グラビアロール等に使用される印刷インクは、ウレタン系樹脂やポリアミド系樹脂、あるいはニトロセルロース混合系樹脂から構成されていることが多いため、ベンジルアルコールを用いることにより、汚染被着体と、汚染物との間の密着力をさらに効果的かつ安価に低下させることができる。
したがって、所定箇所に対して、被膜形成用塗布液を正確に塗布できるとともに、被膜の強度が向上するために、比較的少量の被膜形成用塗布液を用いて、被膜および汚染物を容易に剥離させることができる。
本発明は、図1に例示するように、汚染被着体10上の汚染物14を除去する汚染被着体の洗浄方法であって、以下の工程(1)および(2)を含む汚染被着体の洗浄方法である。
(1)汚染被着体10上に、被膜形成用塗布液を施して、被膜16を形成する工程(以下、被膜形成工程と称する場合がある。)、
(2)被膜16を剥離させることにより、汚染物14を除去する工程(以下、汚染物除去工程と称する場合がある。)
すなわち、一つは、汚染被着体上の汚染物を除去する汚染被着体の洗浄方法において、汚染被着体として、グラビアロール、ブリキ印刷用シリンダーロール、アニロックスロール、コート用アニロックスロール、ラミネート加工用アニロックスロール、エンボスロール、押圧ロール、印刷平板、エンボス平板、押圧平板、塗装物、プリント基板、および成形金型の少なくとも一つを準備し、当該汚染被着体上に、二液熱硬化型のウレタン樹脂を含む被膜形成用塗布液を施して、被膜を形成する工程と、膨潤剤を用いて、前記汚染物および被膜を膨潤させる工程と、当該被膜を剥離させることにより、前記汚染物を除去する工程と、を含むことを特徴とする汚染被着体の洗浄方法である。
また、もう一つは、汚染被着体上の汚染物を除去する汚染被着体の洗浄方法において、汚染被着体として、グラビアロール、ブリキ印刷用シリンダーロール、アニロックスロール、コート用アニロックスロール、ラミネート加工用アニロックスロール、エンボスロール、押圧ロール、印刷平板、エンボス平板、押圧平板、塗装物、プリント基板、および成形金型の少なくとも一つを準備し、当該汚染被着体上に、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、または湿気硬化性樹脂を含む被膜形成用塗布液を施して、被膜を形成する工程と、膨潤剤としてのベンジルアルコールを用いて、汚染物および被膜を膨潤させる工程と、当該被膜を剥離させることにより、前記汚染物を除去する工程と、を含むことを特徴とする汚染被着体の洗浄方法である。
以下、第1の実施形態である汚染被着体の洗浄方法について、構成要件等に分けて、具体的に説明する。
(1)対象物
汚染被着体である対象物の種類としては、グラビアロール(グラビア印刷用シリンダーロール)、ブリキ印刷用シリンダーロール、アニロックスロール(フレキソ印刷用アニロックスロール)、コート用アニロックスロール、ラミネート加工用アニロックスロール、エンボスロール、押圧ロール、印刷平板、エンボス平板、押圧平板、塗装物、プリント基板、および成形金型である。
そして、表面が汚染されやすい一方、洗浄するのが一般に困難であることから、印刷用ロールの一種であるグラビアロールやアニロックスロールを対象とすることがより好ましい。
また、汚染被着体における汚染物の典型例としては、グラビアインキ等の主成分であるガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、ロジンエステル、石灰硬化ロジン、亜鉛化硬化ロジン、マレイン化ロジン、フマル化ロジン、ニトロセルロース、エチルセルロース、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、アクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、イソブチレン−マレイン酸共重体、スチレン−アクリル酸共重体およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、あるいはアルキッド樹脂やシリコ−ン樹脂等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、別の汚染物としては、グラビアインキ等の添加剤である硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、セッコウ、アルミナ白、クレー、シリカ、シリカ白、タルク、ケイ酸カルシウム、沈降性炭酸マグネシウム、着色剤、可塑剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
すなわち、汚染被着体の対象物が印刷ロールであれば、汚染物として各種インク材料が該当し、コートロールであれば、各種コート材料が該当し、プリント基板であれば、各種半田材料が該当し、さらには成形金型であれば各種成形材料が該当することになる。
(1)被膜形成用塗布液
被膜形成用塗布液の種類に関して、汚染物に対して優れた密着力を有する被膜が得られるものであれば、特にその種類は制限されるものではないが、例えば、熱硬化性樹脂(室温硬化性樹脂も含む。)、光硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂等を含むことが好ましい。
この理由は、かかる熱硬化性樹脂等を含むことにより、機械的強度に優れ、汚染物に対して優れた密着力を有する被膜を形成することができるためである。また、このような熱硬化性樹脂等であれば、粘度が比較的低く、グラビアロール等の凹部深くに残留した汚染物に対して接触しやすいためである。したがって、強固かつ緻密な被膜を形成することができ、汚染物をさらに容易に除去することができる。
さらに、湿気硬化性樹脂としては、ウレタン系樹脂等が挙げられる。
また、これらの熱硬化性樹脂等のうち、少なくとも二液型のウレタン系樹脂を含むことが好ましい。
この理由は、かかるウレタン系樹脂を含むことにより、汚染物と、被膜形成用塗布液からなる被膜との間の密着力を効果的に高めることができるためである。また、グラビアロールやアニロックスローラに使用される印刷インクの主成分としては、ウレタン系樹脂、ポリアミド樹脂、ニトロセルロース混合系樹脂、あるいはアクリル樹脂が多いため、これらの樹脂との密着性に優れたウレタン系樹脂を含むことにより、汚染物をさらに容易に除去することができるためである。
この理由は、このような添加剤を加えることにより、得られる被膜の機械的強度、あるいは汚染被着体や汚染物に対する密着力を容易に変更することができ、汚染被着体から汚染物をさらに容易に除去できるためである。また、このような添加剤を加えることにより、被膜の硬化時に体積収縮を生じさせ、汚染物と汚染被着体との間に応力を発生させることもできる。
この理由は、このように着色することにより、汚染被着体の洗浄程度を目視によって、判断することができるためである。例えば、汚染物の色が赤色である場合には、被膜形成用塗布液の段階で、酸化チタンや白色染料等を添加して、得られる被膜を白色とすることにより、被膜形成用塗布液からなる被膜に転写される汚染物量を目視によって、判断することができる。
また、このように被膜形成用塗布液を着色することにより、被膜形成用塗布液の塗布状態についても塗布膜厚の薄い箇所や濃い箇所を目視で判断することができ、被膜形成用塗布液を、むらなく、かつ、塗り直すことなく塗布することができるためである。
なお、通常、汚染被着体には、印刷インク等として、白以外のカラー化された汚染物が付着していることが多いため、得られる被膜を白色とすることがより好ましい。
被膜形成用塗布液の積層方法については特に制限されるものではないが、当該技術分野で一般的に公知の方法、例えば、かけ流し塗布、はけ塗り、浸漬塗り、スプレー塗り等により、被膜形成用塗布液を汚染被着体上に積層することが好ましい。
また、図3(a)〜(d)に示すように、被膜形成補助部材16を用いて被膜18を形成したり、被膜形成補助部材16を含んで被膜18を形成したりすることが好ましい。さらに、図4(a)〜(e)に示すように、被膜形成用塗布液16を積層した汚染被着体10を、被膜形成補助部材13により被覆した後、その上から被膜形成用塗布液16を塗布することも好ましい。
すなわち、被膜の形成に際して、被膜形成補助部材を用いたり、当該被膜形成補助部材を被膜中に含ませたりすることによって、被膜形成用塗布液の液流れを有効に防止して、被膜の膜厚を容易に調整することができる。したがって、被膜形成用塗布液を被膜形成補助部材中に十分に浸透させた状態で、被膜を形成することができ、強度に優れた被膜を形成することができる。
なお、このような被膜形成補助部材としては、例えば、不織布、織布、紙、網目状物、繊維状物、多孔質材料、穴開き材料等が挙げられる。そして、被膜形成用塗布液を有効に吸収し、被膜形成用塗布液と一体化して、比較的薄膜の被膜を形成できることから、ガーゼ等の網目状物を使用することがより好ましい。
この理由は、かかる加熱温度が30℃未満になると、被膜を形成する樹脂の硬化程度が不足したり、汚染物に対する密着力が低下したりする場合があるためである。一方、かかる加熱温度が150℃を超えると、過度に硬化して、形成される被膜がひび割れたり、汚染物に対する密着力が低下したりする場合があるためである。
したがって、例えば、ウレタン系樹脂を用いた場合、40〜120℃に加熱することがより好ましく、50〜100℃に加熱することがさらに好ましい。
なお、被膜形成用塗布液から被膜を形成するにあたり、加熱硬化させるとともに湿気硬化を併用することも好ましく、あるいは、湿気硬化を単独使用して硬化させることも好ましい。
例えば、紫外線を用いた場合、その照射量を50〜3,000mJ/cm2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる紫外線照射量が50mJ/cm2未満になると、被膜を形成する樹脂の硬化程度が不足したり、汚染物に対する密着力が低下したりする場合があるためである。一方、かかる紫外線照射量が3,000mJ/cm2を超えると、被膜の一部の機械的強度が低下する場合があるためである。
したがって、紫外線を用いた場合、その照射量を100〜1,000mJ/cm2の範囲内の値とすることがより好ましく、300〜500mJ/cm2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、かかる被膜の厚さが10μm未満になると、連続層の形成が不十分になって、汚染物の除去が不十分になる場合があるためである。一方、被膜の厚さが3,000μmを超えると、被膜の形成に過度の時間がかかったり、汚染被着体からの剥離が困難になったりする場合があるためである。
したがって、被膜形成用塗布液からなる被膜の厚さを20〜1,000μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
この理由は、汚染被着体10と汚染物14との間、および被膜16と汚染物14との間のそれぞれの密着力に関して、このような関係式を満足することにより、被膜16の構成設計を容易に実施することができるためである。
なお、所定の被膜を形成するにあたり、図2(a)に示すように、被膜16の凝集力(M1´)および汚染物14の凝集力(M2´)についても考慮することが好ましい。すなわち、M1´>M1>M2´>M2の関係を満足することが好ましい。
被膜形成用塗布液から被膜を形成するにあたり、専用の被膜形成装置を設け、汚染被着体の表面に、所定の被膜を形成することが好ましい。
例えば、所定量の被膜形成用塗布液を汚染被着体の汚染物に対して吹出すためのノズルや、被膜形成用塗布液を積層するための塗布装置を備えることが好ましい。そして、積層した被膜形成用塗布液を硬化させるための、加熱装置や光照射装置をさらに備えることが好ましい。
(1)膨潤剤
膨潤剤としては、アルコール化合物、窒素化合物、ケトン化合物、グリコールエーテル化合物、エーテル化合物、水、アルカリ剤、酸等であることが好ましい。
より好ましくは、ベンジルアルコール、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム等からなる一種単独または二種以上の組み合わせである。
特に、グラビアロール等に使用される印刷インクは、ウレタン系樹脂やポリアミドおよびニトロセルロース混合系樹脂から構成されていることが多いため、少なくともベンジルアルコールを用いることにより、汚染被着体と、汚染物との間の密着力を効果的かつ安価に低下させることができる。
この理由は、かかる増粘剤等を添加することにより、膨潤剤の流動性や親水性を容易に調整できるため、被膜を形成した汚染被着体との間の密着力が向上し、無駄なく、かつ、短時間で被膜および汚染物を膨潤させることができるためである。
また、膨潤工程において、膨潤剤を吹きつけたり、塗布したりすることもできるし、あるいは膨潤剤を収容した容器内に、汚染被着体を浸漬することも好ましい。その場合、容器内の膨潤剤を、汚染物のガラス転移温度以上に加温したり、加圧したり、さらには振動させたりすることにより、膨潤剤の浸透速度を調節することができることから好ましい態様である。
また、被膜および汚染物を膨潤させるにあたり、図2(b)に示すように、膨潤した被膜18の、膨潤した汚染物15に対する密着力をT1とし、膨潤した汚染物15の汚染被着体10に対する密着力をT2としたときに、T1>T2の関係を満足することが好ましい。
そして、図2(b)に示すように、膨潤した被膜18の凝集力(T1´)および膨潤した汚染物15の凝集力(T2´)についても考慮することが好ましく、すなわち、T1´>T1>T2´>T2の関係を満足することが好ましい。
また、膨潤工程において、専用の膨潤装置を設け、被膜および汚染被着体の汚染物をそれぞれ効率的に膨潤させることが好ましい。
例えば、グラビア印刷装置の近傍または一部に、所定量の膨潤剤を被膜および汚染被着体の汚染物に対して吹出すためのノズルや、膨潤剤を収容した容器を備え、被膜および汚染被着体の汚染物を浸漬するための膨潤装置とすることが好ましい。
また、汚染物を除去するにあたり、被膜を自然剥離させることも好ましいが、強制的に引き剥すことも好ましい。その場合、剥離速度を0.1〜500mm/分の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかる被膜の引き剥し速度が0.1mm/分未満になると、付着剤が凝集破壊したり、汚染被着体が大きくなった場合に過度に時間を要したりする場合があるためである。一方、かかる被膜の引き剥し速度が500mm/分を超えると、被膜自体が機械的破壊する場合があるためである。
1.汚染被着体の準備
アクリルウレタン樹脂/硬化剤/溶媒/滑走性微粒子を主成分とする滑走剤を、円筒形のアニロックスローラ(直径:300mm、長さ:1,000mm)を用いて、熱転写ファックス用のインクリボン用のフィルムに対して5日間連続塗布した。この段階で、アニロックスローラの表面を顕微鏡観察したところ、ローラのセルに滑走剤が残留し、目詰まりが生じていることを確認した。
次いで、滑走剤が付着して、汚染されたアニロックスローラの表面に、剥離剤としての二液型のウレタン系樹脂を塗布した。次いで、その上からガーゼを巻きつけ、さらに二液型のウレタン系樹脂を塗布し、60℃、16時間の条件で加熱硬化させて、被膜を形成した。
次いで、220リットルの容器内に、膨潤剤として、160リットルのベンジルアルコール(100%)を収容し、温度を80℃に加温して維持した。そして、被膜を形成したアニロックスローラを、ベンジルアルコールを収容した容器内に浸漬し、そのまま1〜10時間放置した。
(1)汚染物剥離性1
被膜を形成したアニロックスローラを、ベンジルアルコールが収容された容器内に24時間程度浸漬し、被膜の自然剥離の程度を観察して、以下の基準に準じて、汚染物剥離性を評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:3時間以内に、被膜の自然剥離が可能である。
○:10時間以内に、被膜の自然剥離が可能である。
△:24時間以内に、被膜の自然剥離が可能である。
×:24時間以内に、被膜の自然剥離が困難である。
アニロックスローラに残留していた滑走剤の付着面積と、1時間の浸漬により被膜を剥離させた後のアニロックスローラにおける滑走剤の面積を、それぞれ光学顕微鏡で観察して、面積比から以下の基準に準じて、汚染物剥離性を評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:98%以上の汚染物の剥離が可能である。
○:95%以上の汚染物の剥離が可能である。
△:90%以上の汚染物の剥離が可能である。
×:90%未満であれば、汚染物の剥離が可能である。
実施例2では、汚染物除去工程において、膨潤剤として増粘させたベンジルアルコールを用いた。すなわち、ベンジルアルコールの全体量に対して、増粘剤(ヒドロキシプロピルセルロース)を1.2重量%添加して増粘させた後、ヘラを用いてアニロックスローラの表面に塗布した。次いで、アニロックスローラの周囲に、紙をさらに巻きつけ、その状態で、50℃のオーブンに1〜10時間放置して、被膜を形成した。そして、被膜を形成したアニロックスローラにつき、実施例1と同様にして、汚染物剥離性評価を行った。
実施例3では、ウレタン系グラビアインクを、円筒形のグラビアロール(直径:182mm、長さ:1000mm)を用いて、レトルト製品用のパッケージフィルムに対して、5時間×4回印刷を実施した。次いで、使用後の汚染されたグラビアロールを、ベンジルアルコールが収容された容器内に浸漬して、実施例1と同様に汚染物剥離性評価を行った。
実施例4では、アミノアルキッド塗料を、ノート型パソコンのボデー底板としての金属部品に塗装して、実質的に平面状の汚染被着体とした。この汚染被着体に対して、剥離剤としてのアミノアルキッド系の熱硬化性樹脂液を塗布した後、150℃、40分の条件で焼き付けて、被膜を形成した。次いで、膨潤剤として、80℃に加温したベンジルアルコールが収容された容器内に浸漬して、実施例1と同様に汚染物剥離性評価を行った。
比較例1では、被膜形成用塗布液を塗布せず、被膜を形成しない状態で、使用後のアニロックスローラを、ベンジルアルコールが収容された容器内に浸漬して、実施例1と同様に汚染物剥離性評価を行った。
12:凹部
13:被膜形成補助部材
14:汚染物
15:膨潤後の汚染物
16:被膜
18:膨潤後の被膜
Claims (8)
- 汚染被着体上の汚染物を除去する汚染被着体の洗浄方法において、
前記汚染被着体として、グラビアロール、ブリキ印刷用シリンダーロール、アニロックスロール、コート用アニロックスロール、ラミネート加工用アニロックスロール、エンボスロール、押圧ロール、印刷平板、エンボス平板、押圧平板、塗装物、プリント基板、および成形金型の少なくとも一つを準備し、当該汚染被着体上に、二液熱硬化型のウレタン樹脂を含む被膜形成用塗布液を施して、被膜を形成する工程と、
膨潤剤を用いて、前記汚染物および被膜を膨潤させる工程と、
当該被膜を剥離させることにより、前記汚染物を除去する工程と、
を含むことを特徴とする汚染被着体の洗浄方法。 - 前記汚染物および被膜を膨潤させる工程において、膨潤剤として、ベンジルアルコールを用いることを特徴とする請求項1に記載の汚染被着体の洗浄方法。
- 前記被膜を形成する工程において、被膜形成補助部材を用いて被膜を形成するか、あるいは被膜形成補助部材を含んで被膜を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の汚染被着体の洗浄方法。
- 前記被膜形成用塗布液に、前記二液熱硬化型のウレタン樹脂以外の熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の汚染被着体の洗浄方法。
- 前記被膜形成用塗布液が、前記汚染物とは異なる色に着色してあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の汚染被着体の洗浄方法。
- 前記汚染物を除去する工程において、前記被膜の汚染物に対する密着力をM1とし、前記汚染物の汚染被着体に対する密着力をM2としたときに、M1>M2の関係を満足することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の汚染被着体の洗浄方法。
- 前記汚染被着体の対象が、グラビアロールあるいはアニロックスロールであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の汚染被着体の洗浄方法。
- 汚染被着体上の汚染物を除去する汚染被着体の洗浄方法において、
前記汚染被着体として、グラビアロール、ブリキ印刷用シリンダーロール、アニロックスロール、コート用アニロックスロール、ラミネート加工用アニロックスロール、エンボスロール、押圧ロール、印刷平板、エンボス平板、押圧平板、塗装物、プリント基板、および成形金型の少なくとも一つを準備し、当該汚染被着体上に、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、または湿気硬化性樹脂を含む被膜形成用塗布液を施して、被膜を形成する工程と、
膨潤剤としてのベンジルアルコールを用いて、前記汚染物および被膜を膨潤させる工程と、
当該被膜を剥離させることにより、前記汚染物を除去する工程と、
を含むことを特徴とする汚染被着体の洗浄方法。
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