JP4607606B2 - 打抜き切断装置 - Google Patents

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本発明は、ビニル床タイル材等の床タイル材を打抜き切断する装置に関するものであり、特に切断刃に特徴を有する装置に関するものである。
例えば、1枚の大きなビニル床タイル材を打抜き切断して数枚から10枚程度の小さなビニル床タイル片を一度に形成するための、打抜き切断装置においては、一般に、図8及び図9に示すような切断刃が用いられていた。
図8は、片テーパ面型カット刃である切断刃81によって板体10上のコンポジションビニル床タイル材91を打抜き切断して床タイル片910を形成した状態を示している。図9は、両テーパ面型カット刃である切断刃82(特許文献1参照)によってホモジニアスビニル床タイル材92を打抜き切断して床タイル片920を形成した状態を示している。
特開2001−219397号公報
ところで、ビニル床タイルでは、高品質化や意匠的効果を目的として、図10に示すように、切断端面900の上縁部901に面取り加工を施して面取り面902を形成することがあった。なお、面取り加工は、面取り加工装置によって切断端面900の上縁部901を切削することによって、行われていた。
しかしながら、従来の面取り加工作業は、打抜き切断後のタイル片を移動させた後に面取り加工装置を用いて行っていたので、タイル片の移動作業及び面取り加工装置の設定作業が必要であり、したがって、手間がかかり、タイル片の製作作業全体の生産効率を低減する一因となっていた。
また、積層タイプのタイルの場合には、図11に示すように、面取り面902に、第1層921以外に、第2層922や第3層923等が露出することとなり、そのために、意匠的効果が損なわれていた。
更に、面取り面902にタイル中の炭酸カルシウム等の充填材が表出し、そのために、質感が損なわれていた。
なお、以上のような問題点は、ビニル床タイル材以外の床タイル材や他の被加工板材においても、また、面取り加工以外のエッジ加工においても、見られることがあった。ここで、エッジ加工とは、切断端面の上縁部に施す加工を言う。
本発明は、エッジ加工を、被加工板材の製作作業全体の生産効率を低減させることなく、行うことができ、また、意匠的効果や質感が損なわれるのを防止できる、打抜き切断装置、を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、切断刃を有する上型を降下させることにより、下型上の床タイル材を切断刃によって打抜き切断する、打抜き切断装置において、切断刃が、床タイル材を打抜き切断するカット刃と、押圧刃と、からなっており、押圧刃は、カット刃が床タイル材を打抜いた際に、床タイル材の、カット刃により形成された切断端面の、上縁部、を押圧することによって、該切断端面にエッジ加工を施す、押圧面を、有しており、押圧刃の上記押圧面が、テーパ面であり、押圧刃が、垂直面と上記テーパ面とで構成された刃先部を有しており、カット刃が、垂直面とテーパ面とで構成された刃先部を有する片テーパ面型カット刃であり、押圧刃が、その垂直面をカット刃の上記垂直面に当接した状態で、カット刃と一体に設けられており、押圧刃の上記テーパ面が、カット刃の刃先より上方に位置している、ことを特徴としている。
請求項2記載の発明は、切断刃を有する上型を降下させることにより、下型上の床タイル材を切断刃によって打抜き切断する、打抜き切断装置において、切断刃が、床タイル材を打抜き切断するカット刃と、押圧刃と、からなっており、押圧刃は、カット刃が床タイル材を打抜いた際に、床タイル材の、カット刃により形成された切断端面の、上縁部、を押圧することによって、該切断端面にエッジ加工を施す、押圧面を、有しており、押圧刃の上記押圧面が、テーパ面であり、押圧刃が、垂直面と上記テーパ面とで構成された刃先部を有しており、カット刃が、互いに逆方向の2つのテーパ面で構成された刃先部と、2つの垂直面と、を有する両テーパ面型カット刃であり、押圧刃が、その垂直面をカット刃の上記垂直面に当接した状態で、カット刃と一体に設けられており、押圧刃の上記テーパ面が、カット刃の刃先部より上方に位置している、ことを特徴としている。
請求項1又は請求項2に記載の発明によれば、床タイル材を切断すると同時に、切断されてできたタイル片の切断端面の上縁部に、押圧面で押圧することによるエッジ加工を行うことができる。したがって、エッジ加工を、タイル片の製作作業全体の生産性を低減させることなく、行うことができる。
図1は本発明の打抜き切断装置の一例を示す側面図である。この打抜き切断装置1は、切断刃部20を有する平板状の上型3を降下させることによって、平板状の下型4上の被加工板材5を切断刃部20によって打抜き切断するようになっている。上型3は、被加工板材5を打抜き切断して例えば11枚の板材片に一度に分割するために、12列の切断刃部20を下面に備えている。
(実施形態1)
本実施形態は、上記構成の打抜き切断装置1において、より具体的に以下のような構成を有している。
被加工板材5として、コンポジションビニル床タイル材を用いている。なお、該タイル材のバインダーは、塩化ビニル樹脂である。
そして、切断刃部20が、次のような構成を有している。
図2は図1のX部分の拡大断面図に相当する図である。図2に示すように、両側以外の列の切断刃部20は、2個の切断刃2Aを背中合わせで一体化して構成されている。
図3は、切断刃2Aによって床タイル材5を打抜き切断して床タイル片5Aを形成した状態を示している。また、図4は、形成された床タイル片5Aを示している。切断刃2Aは、床タイル材5を打抜き切断するカット刃6Aと、押圧刃7Aと、からなっている。カット刃6Aは、垂直面61とテーパ面62と垂直面63とで構成された片テーパ面型カット刃であり、テーパ面62と垂直面63とで構成された刃先部60Aを有している。垂直面63は、床タイル片5Aの切断端面51が形成される側に位置している。押圧刃7Aは、垂直面71とテーパ面72と垂直面73とで構成されており、垂直面71とテーパ面72とで構成された刃先部70Aを有している。押圧刃7Aは、カット刃6Aの刃先601Aの少し上方の高さ位置において、垂直面71が垂直面63に当接した状態で、カット刃6Aと一体化されている。テーパ面72はテーパ面62とは逆方向となっている。押圧刃7Aのテーパ面72は、カット刃6Aが床タイル材5を打抜いた際に、床タイル片5Aの切断端面51の上縁部52を押圧するよう、位置している。すなわち、押圧刃7Aは、押圧面としてのテーパ面72を有している。
なお、両側以外の列の切断刃部20は、2個の切断刃2Aが垂直面61同士を当接させた状態で一体化して構成されている。
上記構成の打抜き切断装置1においては、上型3を降下させると、図3に示すように、カット刃6Aによって床タイル材5が打抜き切断されて床タイル片5Aが形成され、それと同時に、押圧刃7Aのテーパ面72によって床タイル片5Aの切断端面51の上縁部52が押圧される。したがって、得られた床タイル片5Aにおいて、テーパ面72によって押圧された切断端面51の上縁部52は、図4に示すように、テーパ面53となり、よって、面取り加工を施した場合と同様の断面形態となる。すなわち、床タイル片5Aの切断端面51は、エッジ加工されたこととなる。
なお、上記切断作業においては、カット刃6Aの刃先601Aが下型4に僅かに食い込むので、床タイル材5はカット刃6Aによって完全に切断される。
また、本実施形態では、床タイル材5がコンポジションビニル床タイル材であり、片テーパ面型カット刃であるカット刃6Aを用いているので、切断端面51の、垂直性すなわち床タイル片5Aの表裏面に対する直角性が、良好に維持される。
また、切断刃部20の2つの切断刃2Aの間には、図2に一点鎖線で示すように、不要なタイル片50が形成される。
上記構成の打抜き切断装置1によれば、次のような効果を発揮できる。
(1)床タイル材5を切断すると同時に、床タイル片5Aの切断端面51の上縁部52にテーパ面53を形成できる。すなわち、切断と同時に、面取り加工のようなエッジ加工を行うことができる。したがって、エッジ加工を、床タイル片5Aの製作作業全体の生産効率を低減させることなく、行うことができる。
(2)押圧刃7Aがテーパ面72を有しているので、切断端面51に、面取り面であるテーパ面53を形成できる。
(3)面取り面であるテーパ面53を、切削ではなく押圧により形成できるので、テーパ面53に、タイル中の炭酸カルシウム等の充填材が表出するのを、防止できる。したがって、面取りによる意匠的効果を発揮できると共に質感も良好な、床タイル片5Aを、得ることができる。
(4)下型4が、カット刃6Aの刃先601Aを食い込ませることが可能な素材で構成されているので、上型3を、カット刃6Aの刃先601Aが下型4に食い込む位置まで降下させることにより、床タイル材5を完全に切断することができる。
(実施形態2)
本実施形態では、被加工板材5として、3層積層タイプのホモジニアスビニル床タイル材を用いている。なお、該床タイル材のバインダーは、塩化ビニル樹脂である。また、切断刃部20が、以下のような構成を有している。その他は実施形態1と同じである。
図5は図1のX部分の拡大断面図に相当する図である。図5に示すように、各列の切断刃部20は、1個の切断刃2Bからなっている。
図6は、切断刃2Bによって床タイル材5を打抜き切断して床タイル片5Bを形成した状態を示している。また、図7は、形成された床タイル片5Bを示している。切断刃2Bは、床タイル材5を打抜き切断するカット刃6Bと、2個の押圧刃7Bと、からなっている。カット刃6Bは、互いに逆方向の2つのテーパ面65、66と、垂直面67と、垂直面68と、で構成された両テーパ面型カット刃であり、テーパ面65、66により構成された刃先部60Bを有している。2個の押圧刃7Bは、カット刃6Bの両側にそれぞれ設けられており、カット刃6Bと一体となっている。押圧刃7Bは、垂直面75と、テーパ面76と、垂直面77と、で構成されており、垂直面75とテーパ面76とで構成された刃先部70Bを有している。一方の押圧刃7Bは、カット刃6Bの刃先部60Bより上方の高さ位置において、垂直面75が垂直面67に当接した状態で、カット刃6Bと一体化されている。他方の押圧刃7Bも、上記一方の押圧刃7Bと同じ高さ位置において、垂直面75が垂直面68に当接した状態で、カット刃6Bと一体化されている。押圧刃7Bのテーパ面76は、カット刃6Bが床タイル材5を打抜いた際に、床タイル片5Bの切断端面55の上縁部56を押圧するよう、位置している。すなわち、押圧刃7Bは、押圧面としてのテーパ面76を有している。
ちなみに、本実施形態の3層積層タイプの床タイル材5は、透明層である第1層51Aと、印刷層である第2層51Bと、第3層51Cと、で構成されている。
上記構成の打抜き切断装置1においても、上型3を降下させると、図6に示すように、カット刃6Bによって床タイル材5が打抜き切断されて床タイル片5Bが形成され、それと同時に、押圧刃7Bのテーパ面76によって床タイル片5Bの切断端面55の上縁部56が押圧される。したがって、得られた床タイル片5Bにおいて、テーパ面76によって押圧された切断端面55の上縁部56は、図7に示すように、テーパ面57となり、よって、面取り加工を施した場合と同様の断面形態となる。すなわち、床タイル片5Bの切断端面55は、エッジ加工されたこととなる。
なお、上記切断作業においては、カット刃6Bの刃先601Bが下型4に僅かに食い込むので、床タイル材5はカット刃6Bによって完全に切断される。
また、本実施形態では、床タイル材5がホモジニアスビニル床タイル材であるので、両テーパ面型カット刃であるカット刃6Bを用いても、切断端面55の、垂直性すなわち床タイル片5Bの表裏面に対する直角性が、良好に維持される。したがって、図5に一点鎖線で示すように、1個のカット刃6Bの両側に床タイル片5Bがそれぞれ形成される。すなわち、実施形態1の場合のような不要なタイル片50は形成されない。
上記構成の打抜き切断装置1によれば、次のような効果を発揮できる。
(1)床タイル材5を切断すると同時に、床タイル片5Bの切断端面55の上縁部56にテーパ面57を形成できる。すなわち、切断と同時に、面取り加工のようなエッジ加工を行うことができる。したがって、エッジ加工を、床タイル片5Bの製作作業全体の生産効率を低減させることなく、行うことができる。
(2)押圧刃7Bがテーパ面76を有しているので、切断端面55に、面取り面であるテーパ面57を形成できる。
(3)面取り面であるテーパ面57を、切削ではなく押圧により形成できるので、次の効果を発揮できる。
(i)テーパ面57に、第2層51B以下の層が露出するのを防止できる。したがって、意匠的効果が第2層51B以下の層が露出することによって損なわれるのを、防止できる。
(ii)テーパ面57に、タイル中の炭酸カルシウム等の充填材が表出するのを、防止できる。したがって、面取りによる意匠的効果を発揮できると共に質感も良好な、床タイル片5Bを、得ることができる。
(4)下型4が、カット刃6Bの刃先601Bを食い込ませることが可能な素材で構成されているので、上型3を、カット刃6Bの刃先601Bが下型4に食い込む位置まで降下させることにより、床タイル材5を完全に切断することができる。
(別の実施形態)
実施形態1の切断刃2Aを用いてホモジニアスビニル床タイル材を打抜き切断してもよく、実施形態2の切断刃2Bを用いてコンポジションビニル床タイル材を打抜き切断してもよい。更に、実施形態1、2の切断刃2A、2Bを用いて、塩化ビニル樹脂以外の樹脂をバインダーとして用いる床タイル材や、他の板材を、打抜き切断してもよい。なお、上記塩化ビニル樹脂以外の樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂等の共重合樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂;若しくはそれらの混合樹脂;又はこれらの樹脂と塩化ビニル樹脂との混合樹脂;を用いることができる。
本発明の打抜き切断装置は、切断と同時にエッジ加工も行うことができるので、作業性を著しく向上でき、産業上の利用価値が大である。
本発明の打抜き切断装置の側面図である。 図1のX部分の拡大断面図に相当する図である。 実施形態1の切断刃の断面拡大部分図である。 実施形態1で得られる床タイル片の断面拡大部分図である。 図1のX部分の拡大断面図に相当する図である。 実施形態2の切断刃の断面拡大部分図である。 実施形態2で得られる床タイル片の断面拡大部分図である。 従来の切断刃の一例を示す断面部分図である。 従来の切断刃の別の例を示す断面部分図である。 面取り加工装置による面取り加工及び得られた床タイル片の一例を示す断面部分図である。 面取り加工装置による面取り加工によって得られた床タイル片の別の例を示す断面部分図である。
1 打抜き切断装置 2A、2B 切断刃 3 上型 4 下型 5 床タイル材 6A、6B カット刃 60A、60B 刃先部 62、65、66 テーパ面 7A、7B 押圧刃 72、76 テーパ面(押圧面)

Claims (2)

  1. 切断刃を有する上型を降下させることにより、下型上の床タイル材を切断刃によって打抜き切断する、打抜き切断装置において、
    切断刃が、床タイル材を打抜き切断するカット刃と、押圧刃と、からなっており、
    押圧刃は、カット刃が床タイル材を打抜いた際に、床タイル材の、カット刃により形成された切断端面の、上縁部、を押圧することによって、該切断端面にエッジ加工を施す、押圧面を、有しており、
    押圧刃の上記押圧面が、テーパ面であり、
    押圧刃が、垂直面と上記テーパ面とで構成された刃先部を有しており、
    カット刃が、垂直面とテーパ面とで構成された刃先部を有する片テーパ面型カット刃であり、
    押圧刃が、その垂直面をカット刃の上記垂直面に当接した状態で、カット刃と一体に設けられており、
    押圧刃の上記テーパ面が、カット刃の刃先より上方に位置している、ことを特徴とする打抜き切断装置。
  2. 切断刃を有する上型を降下させることにより、下型上の床タイル材を切断刃によって打抜き切断する、打抜き切断装置において、
    切断刃が、床タイル材を打抜き切断するカット刃と、押圧刃と、からなっており、
    押圧刃は、カット刃が床タイル材を打抜いた際に、床タイル材の、カット刃により形成された切断端面の、上縁部、を押圧することによって、該切断端面にエッジ加工を施す、押圧面を、有しており、
    押圧刃の上記押圧面が、テーパ面であり、
    押圧刃が、垂直面と上記テーパ面とで構成された刃先部を有しており、
    カット刃が、互いに逆方向の2つのテーパ面で構成された刃先部と、2つの垂直面と、を有する両テーパ面型カット刃であり、
    押圧刃が、その垂直面をカット刃の上記垂直面に当接した状態で、カット刃と一体に設けられており、
    押圧刃の上記テーパ面が、カット刃の刃先部より上方に位置している、ことを特徴とする打抜き切断装置。
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