JP4607537B2 - レーザ加工方法 - Google Patents

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本発明は、レーザ加工方法に関し、特に、加工対象物を切断するのに好適なレーザ加工方法に関する。
近年のエレクトロニクスやフォトニクスなどの先端技術分野の急速な発展に伴い、これらを支える各種デバイス素子の更なる微細化が大きく望まれている。従来、半導体デバイスを微細化する手段として、ダイヤモンドブレードなどによる機械的な切断技術が用いられてきた。これらは十分確立された技術ともいえる半面、「切りしろ」による材料の歩留まりの低下や、微細化の加工分解能といった本質的な限界に行き当たりつつある。一方、これらの機械的な加工技術に代わり、急速に進展しつつある微細加工技術として、レーザ加工法が挙げられる。
これは、加工対象物に高輝度のパルスレーザ光を照射し、焦点位置の微小な領域における物質の構造破壊や改質により発生する損傷(クラック)を起点として、加工対象物を切断する方法である。この方法では、レーザ照射で生起される損傷を切断予定ラインに沿って配列形成させた後、加工対象材料に機械的応力を印加し、当該材料を微細なチップ状に切断する。これを「ダイシング」と呼ぶ。
加工対象物として実用上特に重要なものとして、機能性半導体層(例えば、シリコンやガリウム砒素)をコーティングした誘電体基板(例えば、サファイアやガラス)からなる薄い板状のデバイスが挙げられる。
例えば、特許文献1には、ガラスなどの基板材料に対し、これに透明な波長(例えば、1064nm)を有する(つまり、吸収しない)パルスレーザ光を、対物レンズを用いて加工対象物の内部に集光し、この集光位置において、大きさが数10μm程度の乱れた形状を有する損傷(クラック)を生起させ、配列させたこのクラックを起点として、応力を印加して基板を切断する方法が開示されている。
特許文献1に開示された切断方法においては、加工対象材料の光学バンドギャップエネルギに比して、加工に使用するレーザ光の光子エネルギが1/3以下と小さいために、損傷は、バンドギャップ間の光学的多光子吸収によるものではなく、むしろいわゆる光学的絶縁破壊(ブレイクダウン)により生起されていると考えられる。そのために、損傷のサイズは比較的大きくなってしまい(数10μm)、加工分解能/精度の向上には一定の限界がある。
このような内部集光型の切断方法に対して、特許文献2には、表面集光型の光学配置によって、サファイアなどの透明誘電体材料に対し、切断起点(損傷を配列させた溝)を材料表面に加工する技術が開示されている。
特開2002−192370号公報 特開2004−114075号公報
しかしながら、特許文献1記載の技術においては、次のような問題がある。
すなわち、特許文献1記載の技術においては、レーザ光を加工対象物の内部に集光している。上記のように、実際に取り扱われる加工対象材料の形態は、ガラスやサファイアなどからなる支持基板にシリコンやガリウム砒素などの半導体層の薄膜をコーティングしたデバイスである。レーザ加工により切断起点を刻むのは、この支持基板であるが、これは通常は厚さが100〜500μm以下である極めて薄い基板である。半導体層は、デバイス動作において伝導や発光といった実際の機能を担うものであるため、これにレーザ損傷を与えればこれらの機能の大幅な劣化が生じてしまう。従って、このようなデバイスを切断する目的でレーザ加工する場合、半導体層に全く損傷を与えずに、この薄い支持基板の内部のみに、極めて正確に損傷を与えなければならない。
しかし、レーザ損傷のサイズは、特許文献1記載の技術においては30μm程度である。一方、デバイスの軽薄短小化は疑うべくもないテクノロジーの流れであり、将来的には支持基板の厚さは100μm以下になると考えられている。この厚さの値は、損傷のサイズ(30μm)と大きくは異ならないものである。従って、特許文献1記載の技術を用いた場合、半導体層への損傷を回避するには、厚さ100μmの基板の中央付近に精密にビーム焦点を合わせなければならないという困難が付きまとうことになる。さもなくば、支持基板の損傷が半導体層自身に達してしまうのである。
さらに、上記のように、極めて薄い支持基板(厚さ100μm程度)の内部に焦点を結ぶように集光すれば、焦点位置において損傷を生起したレーザ光の一部はそのまま支持基板内部を進行するが、焦点位置と半導体層が数10μmと近いために、半導体層においても損傷を与えるに十分な空間エネルギ密度を有する場合が起こりうる。その結果、このようなレーザ光による直接のデバイス層の損傷も容易に想像できる。
このように、特許文献1記載の技術においては、損傷の拡大という大きな問題がある。
よって、特許文献1記載の技術に起因する上記問題を回避するためには、レーザビームの集光位置を、深さ方向で半導体層からより遠い位置に置けばよいことになる。支持基板側からレーザを照射する場合、これは集光位置(焦点位置)を支持基板の表面付近に合わせることに対応する。すなわち、加工対象物の表面に損傷を生起し、この損傷を切断予定ラインに沿って配列形成させ、損傷の微細な溝を刻み、その後、機械的応力を印加して切断(ダイシング)を行えばよい。この際、所望の加工予定ラインに沿い、かつ、「切りしろ」をできるだけ少なくする精密なダイシングを達成するためには、損傷(溝)の断面が鋭利な、いわば「V字形」の形状を有することが望ましいことは明らかである。
上記のように、特許文献2には、特許文献1に開示されたような、加工対象物の内部集光型ではなく、加工対象物の表面集光型の光学配置によって、サファイアなどの透明誘電体材料に対し、切断起点(損傷を配列させた溝)を材料表面に加工する技術が開示されている。
特許文献2によれば、加工対象物表面において、水平方向幅で30μm以下の損傷の生起が達成されている。ここにいう「水平方向」とは、基板表面に平行でありかつ光軸方向に垂直な方向を指す。また、損傷の深さ方向のサイズは数μmから100μm程度まで、レーザパルスの照射数により変化する。しかし、この水平方向のサイズ(30μm)では、微細なダイシング加工の分解能としては水準を満足するものではない。一般には10μmまたはそれ以下が要求される。また、損傷の深さを深くする、つまり、損傷のアスペクト比を高くするためには、多数のレーザパルス照射を必要とし、高いスループットの加工は困難である。さらに、特許文献2には生起される損傷の形態/構造を明示する顕微鏡写真などは全く提示されておらず、ダイシングに好適な損傷の形態、つまり、V字形の損傷を生起するものではないと、上記の水平/深さ方向の損傷のサイズから判断することができる。
特許文献2においては、集光位置におけるレーザ光のエネルギ密度は、1パルス当たり100J/cmから、著しくは100kJ/cmにまで及ぶ。このような極めて高い光エネルギ強度においては、いかなる材料においても照射部位においてプラズマが生起されるものと考えられる。プラズマが生起されれば、高温プラズマ熱拡散や高い運動エネルギを有する自由電子の衝突過程などにより、損傷のサイズは所望のサイズを大きく上回ってしまう。これが、特許文献2の実施の形態で提示されている30μmもの大きな損傷の主要因と考えられ、勿論、このような大きな損傷は精緻なダイシングには好ましくない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、例えば、代表的な半導体デバイス用基板であるサファイアなどの透明誘電体材料基板の表面に、微細かつ鋭利な形状を有する損傷を生起し、かつ、基板の裏面に位置する半導体などのデバイス層への損傷を容易に回避しながら、当該材料基板に対して、より高い精度で効率良く精密な切断を行うことができるレーザ加工方法を提供することを目的とする。
本発明は、光学系を介して、プラズマを発生させないエネルギ強度のパルスレーザ光を加工対象物の表面上方に集光照射し、前記加工対象物に対して広がったダイバージェンス角で入射する前記パルスレーザ光と前記加工対象物の材料との相互作用により、前記加工対象物の表面にV字形の損傷を形成するようにした。
本発明によれば、例えば、代表的な半導体デバイス用基板であるサファイアなどの透明誘電体材料基板の表面に、微細かつ鋭利な形状を有する損傷を生起し、かつ、基板の裏面に位置する半導体などのデバイス層への損傷を容易に回避しながら、当該材料基板に対して、より高い精度で効率良く精密な切断を行うことができるレーザ加工方法を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明者は、加工の精度を向上させるためには、損傷のサイズと形状、さらには形状におけるアスペクト比(損傷の水平方向と垂直方向のそれぞれのサイズの比)を制御する必要があることを見出した。また、精密な切断の起点となる損傷の溝を形成するため、さらにはこれを1回または高々2回の照射走査で達成するためにも、損傷のサイズと形状、さらには形状におけるアスペクト比を制御する必要があることを見出した。これらの制御のためには、プラズマの発生を回避することが必須であり、損傷の生起には多光子吸収をトリガとする機構が最適であり、そのためには、レーザのパルスエネルギを最適化することが必要であることを見出したのである。
さらに、本発明者は、損傷のサイズと形状、さらには形状におけるアスペクト比を制御するためには、レーザ光の焦点位置の制御が極めて重要であることを見出した。すなわち、上記した従来技術のように、材料の内部や表面ではなく、当該材料の表面よりもある範囲の距離(d)で上方外部に集光し、ビームダイバージェンスが広がった角度で当該材料に入射すれば、サイズが小さく、高アスペクト比を有する鋭利なV字形の形状を有する損傷が形成されることを初めて見出した。本発明者は、損傷のサイズと形状のd依存性を詳細に調べ、ビームの光線角度と損傷生起プロセスを考察した。これら全く新しい損傷生起過程に基づき、本発明者は以下詳述する本発明を着想するに至った。
本発明は、プラズマを生起させないエネルギ強度のパルスレーザ光を加工対象物質表面よりも上方に焦点を結ばせるよう照射し、当該物質表面に鋭利かつ微細な損傷を生起させるものである。
まず、本発明の原理を説明する。
固体における本質的なレーザ損傷機構としては、1)電子なだれ、2)多光子吸収、の2つの機構が考えられる。ここにいう「電子なだれ」とは、「電気絶縁破壊」とほぼ同義である。この絶縁破壊による加工対象物内部の改質・破壊は、領域制御に困難を伴う。すなわち、絶縁破壊によって生ずる内部クラックは径が大きく、その周辺領域に不規則な凹凸が発生するため、精密微細な加工・改質には不適であると考えられる。
使用するレーザの波長が1060nmよりも長波長の場合、上記1)の「電子なだれ」による破壊理論が適用されると解される。一方、レーザの周波数が高くなり(つまり、波長が短くなり)、または、材料の禁止帯幅(バンドギャップ)Egが狭くなり、光子エネルギhνとバンドギャップEgとの関係がhν>Eg/3となると(つまり、3光子のエネルギがバンドギャップを越えると)、破壊機構は「電子なだれ」よりもむしろ「多光子吸収」による機構となると考えられる。逆に言えば、純粋な多光子過程での破壊は3光子過程以上ではほとんど重要ではなく、4光子吸収や5光子吸収は、実際はほとんど無視できるといえる。
例えば、光子エネルギhν=1.165eVである波長1064nmレーザ光を用い、加工対象物質を、シリコン(バンドギャップEg≒1.12eV)やパイレックス(登録商標)ガラス(Eg≒4eV以上)とした場合には、多光子吸収は生じない。理由は、シリコンにおいては、1光子エネルギが既にバンドギャップとほぼ等しくなっているため、多光子吸収ではなく、単純な1光子吸収により損傷が誘起されていると考えられ、また、パイレックス(登録商標)ガラスにおいては、そもそも上記の関係hν>Eg/3が成り立たないためである。光子エネルギhν=1.165eVである波長1064nmレーザ光を加工対象物のサファイア(Eg≒8eV)に照射した場合も、もちろんhν>Eg/3の関係は成り立たない。この場合、7hν≒Egであり、多光子吸収を誘起するには7光子吸収を要することとなるが、そのような多光子吸収は実際上はほとんど無視できる。すなわち、これらにおけるレーザ損傷の機構は、いずれの場合も「多光子吸収」ではなく「電子なだれ」破壊機構によるものと考えられるのである。
本実施の形態では、光子エネルギhν=3.5eVである波長355nmレーザ光を用い、これを加工対象物のサファイアに照射する。サファイアのバンドギャップEgは約8eVである。この場合、hν>Eg/3の関係が成り立つ。波長355nmレーザ光をバンドギャップEgが約4eV以上であるパイレックス(登録商標)ガラスに照射する場合もhν>Eg/3の関係は同様である。
後述する実施例に示すように、波長355nmのレーザ光をサファイアに照射すると、波長1064nmのレーザ光を用いた場合と比べて、1/10以下の小さなクラックが形成された。これは、クラックの発生が、「多光子吸収」によって誘起されるレーザ損傷によるものであるからである。
本実施の形態において使用されるレーザ光はガウシアンビームの特性を有している。ここで、このガウシアンビームについて説明しておく。通常、レーザ光の、光軸に対して垂直な方向における強度分布はガウス型の関数に従い、このようなレーザ光をガウシアンビームという。ガウシアンビームでは、ビームの中央部で光の強度が最も高く、周辺に向かうにつれて光の強度が低くなる。ガウシアンビームがガラスやサファイアのような透明材料中を進行する場合、光の強度が低ければ、レーザ光は直進するのみであり、これをレンズで集光しても通常の幾何光学に従う角度で集光・発散される。
図1(A)は、ガウシアンビームの特性を有するパルスレーザ光Lを、対物レンズ3で一旦焦点Pを結ばせてから加工対象物1の表面に照射した状態を示している。このとき、パルスレーザ光Lの集光位置(焦点位置)Pと加工対象物1の表面との距離を「d」と定義する。dの最適値は、前提条件に依存する。実験によれば、V字形の損傷生起に好適なdの値は、1〜100μmの範囲にあり、例えば、サファイアを加工対象物質にした場合は、4〜20μmの範囲であることが好ましい。従って、本実施の形態において、dは20μm以下である。パルスレーザ光Lは、加工対象物1に到達する前に既に焦点を結んでいるため、加工対象物1に到達する時には、ビームは広がったダイバージェンスを有するビームLdとなり、光強度を最適化すれば、加工対象物1の表面に、鋭利かつ微細な「V字形」の損傷5が形成される。加工対象物1は、例えば、サファイア基板(一例として、サファイア層1aとGaN層1bからなる二層構造体)である。
図1(B)は、図1(A)の要部詳細図であり、鋭利かつ微細なV字形の損傷が生起される様子をより詳細に説明した図である。
ガウシアンビームであるパルスレーザ光Lが対物レンズ3で集光されると、焦点位置P付近のビーム形状はビームウェストと呼ばれる近似的な平行光Lwに絞られ、その後、一定の広がったダイバージェンスを有するビームLdとなり、加工対象物1に照射される。ここでも、レーザビームLdはガウシアンビームとしての特性を失っておらず、ビームの中心線Cに近づくにつれてそのエネルギ密度は高い。レーザビームLdは広がり角度を有するため、加工対象物1に侵入した後は、侵入深さが深くなればなるほど、ビーム径は発散し、その空間エネルギ密度が減少することになる。従って、加工対象物1の表面7においては、レーザビームLdの空間エネルギ密度が大きいため、ビームスポット近傍の大部分は損傷を被ることになる。しかし、レーザビームLdが侵入するに従って、その空間エネルギ密度が減少するため、損傷は光エネルギ強度の強いビーム中心線Cの近傍付近でのみ生起されることになる。さらにレーザビームLdが加工対象物1のより奥方内部に侵入すれば、レーザビームLdの空間エネルギ密度はさらに弱くなり、損傷は、レーザビームLdの空間エネルギ密度が損傷のエネルギ密度のしきい値を上回るビーム中心点9でのみ起こることになる。すなわち、レーザビームLdが加工対象物1の内部に侵入していくにつれて、損傷の水平方向のサイズは徐々に減少していく。かかる作用によって、加工対象物1の表面7に微細かつ鋭利な「V字形」の損傷5が形成されるのである。
このようなV字形の損傷5は、所定の切断予定ラインに沿った多数回のビーム照射の走査により形成されるのではなく、一つの切断予定ラインに対して1回のビーム走査または高々2回のビーム走査によって充分に生起されることも本発明の特徴である。すなわち、2回目の照射によってV字形の損傷をさらに深く形成することができる。この理由は、上記した1回目のV字形損傷形成と同様のメカニズムが起こるからである。2回目の照射については、1回目の照射によってある程度の深さになっているため、1回目の照射時よりも距離dを小さくして、例えば、僅かに数μm深い位置に損傷が生起されるようにする。
上記の損傷形成過程において、懸念されるのは、パルスレーザ光の空間エネルギ密度が最も高い、ビームウェスト内の焦点位置における大気中のプラズマ発生(エアブレイクダウン)である。加工対象物1の真上で発生するプラズマは、加工対象物1の表面7にも損傷を与える可能性がある。この場合、プラズマの高い熱エネルギと高運動エネルギを有する自由電子の攻撃により、損傷のサイズは大きなり、さらにその形状も大きく乱れたものとなるであろう。従って、精緻で形状の制御された損傷を形成するためには、このようなプラズマの発生は是が非でも回避しなければならない。
プラズマ発生の回避のためには、照射光学系装置/対物レンズを通過した段階でのパルスエネルギEを十分に低減させなければならない。具体的には、レーザが波長355nmのナノ秒パルス発振YAGレーザであり、加工対象物がサファイアである場合には、Eは10μJ以下(対物レンズ通過後で測定)であることが好ましい。さらに、焦点位置Pにおけるパルスレーザ光の空間エネルギ密度を低減するため、ビームウェスト部分Lwの空間体積を大きくする必要があり、そのためには集光用の対物レンズ3の開口数(NA:Numerical Aperture)を小さくする必要があり、具体的なNA値は0.4以下であることが好ましい。すなわち、ビームウェストの深さ方向の長さ(L)は、対物レンズの開口数(NA)に依存しており、NA値が大きくなればL値が小さくなる。例えば、NA=0.25のとき、L=4μmとなり、NA=0.4のとき、L=2.8μmとなる。本実施の形態では、使用できる対物レンズのNA値の範囲は、0.1〜0.8であり、より好ましいV字加工のためには、NA=0.25〜0.4であることが好ましい。
上記損傷の形成は加工様態に応じて制御することができる。すなわち、当該「V字形」損傷において、V字の幅(水平方向のサイズ)とV字の高さ(深さ方向のサイズ)を所望のサイズに制御する。そのためには、パルスレーザ光の波長、焦点位置、およびパルスエネルギ、ならびに対物レンズの開口数およびビーム走査回数(1回または2回)を、損傷が所望の最適形状となるように制御すればよい。
図2は、本発明の一実施の形態に係るレーザ加工方法を実現するレーザ加工装置の構成を示すブロック図である。
このレーザ加工装置100は、上記の原理に基づき、特定のレーザ光を利用して加工対象物を切断する装置であって、例えば、レーザ光源101、テレスコープ光学系103、偏光板105、ダイクロイックミラー107、対物レンズ109、保護用窓プレート111、ステージ113、計測用光源115、ビーム整形器117、ハーフミラー119、光検出器121、コントローラ123、照明用光源125、CCDカメラ127、コンピュータ129、およびモニタ131を有する。このレーザ加工装置100による加工対象物1は、例えば、サファイア/GaN層からなる二層構造体である。
レーザ光源101は、加工用のレーザ光を発生する。レーザ光源としては、サファイアに対して効率的に多光子吸収を起こすことができるナノ秒パルス発振のパルスレーザを用いる。例えば、レーザ光源101は、波長355nm、パルス幅10ナノ秒(1〜50ナノ秒で可変)、発振繰り返し周波数50〜300kHzのパルスレーザ光を発生するNd:YAGレーザである。上記のように、サファイアは、355nmのレーザ光に対して透明である(つまり、吸収を持たない)。
なお、レーザ光源101に用いることができるレーザとしては、Nd:YAGレーザ以外に、Nd:YVOレーザ、Nd:YLFレーザ、チタンサファイアレーザなどがある。また、使用する波長としては、サファイアに対して3光子吸収を誘起する355nm以外に、サファイアに対して2光子吸収を誘起する266nmでもよいし、加工対象物によっては、可視光(例えば、532nm)や近赤外光(例えば、1064nm)でもよい。
テレスコープ光学系103は、好ましい加工形状を得るために、レーザ光源101から出力された加工用レーザ光のビーム径を最適化する。
偏光板105は、好ましい加工形状を得るために、加工予定ラインに対して平行/垂直な直線偏光や、円偏光に、テレスコープ光学系103を通過したレーザビームを調整する。
ダイクロイックミラー107は、偏光板105を通過した加工用レーザ光をほぼ100%反射し、計測用光源115からの計測用レーザ光をほぼ100%透過するミラーである。
対物レンズ109は、顕微鏡用の対物レンズであって、ダイクロイックミラー107で反射された加工用レーザ光を集光する。対物レンズ109の開口数(NA)によって集光特性が異なる。本実施の形態では、上記のように、NA<0.4の対物レンズ109を用いる。なお、集光位置は、加工対象物の手前に位置させる。
保護用窓プレート111は、加工対象物1の表面を加工する場合に、加工によって表面から飛散する微小な破片などから対物レンズ109を保護するために設けられる。
ステージ113は、図示しない載置台を有し、この載置台の上に、対物レンズ109によって集光されたレーザ光が照射される加工対象物1が載置される。また、ステージ113は、載置台をXYZ軸方向に移動させるとともにXYZ軸の回りに回転させることができる駆動機構(図示せず)を有する。この駆動機構によって、ステージ113は、ステージ113上の加工対象物1に対して加工予定ライン(XY軸方向)および加工予定位置(Z軸方向)に沿って損傷が形成されるよう、XYZ軸方向に駆動(平行移動および回転)される。
具体的には、Z軸方向は加工対象物1の表面に直交する方向、つまり、加工対象物1に入射するレーザ光に対して平行な方向(加工対象物1の深さ方向)であるため、ステージ113をZ軸方向に移動させることによって加工対象物1に対するレーザ光の集光位置を所定のZ軸方向の位置に合わせることができる。また、加工対象物1に対するレーザ光の照射位置の走査は、ステージ113をXY軸方向(つまり、水平方向)に移動させることによって行う。ステージ113の傾き制御は、ステージ113をXYZ軸の回りに回転させることによって行う。このようなステージ113によって加工対象物1の位置と姿勢が三次元制御される。なお、図3には、加工対象物1の前方表面に加工を施した様子が模式的に示されている。
計測用光源115は、ステージ113上の加工対象物1の表面の位置を計測するためのレーザ光を発生する。
ビーム整形器117は、計測用レーザ光を最適化するために、計測用光源115から出力されたレーザ光のビーム形状を調整する。
ハーフミラー119は、計測用レーザ光を半透明に反射/透過するミラーである。ビーム整形器117を通過した計測用レーザ光は、ハーフミラー119、ダイクロイックミラー107、および対物レンズ109を透過して加工対象物1の表面に到達し、反射される。この反射光は、再び対物レンズ109およびダイクロイックミラー107を透過し、一部がハーフミラー119で反射されて光検出器121に到達する。
光検出器121は、加工対象物1の表面からの反射光を検出して加工対象物1の表面位置を検出する。検出結果は、コントローラ123に出力される。
コントローラ123は、フィードバック回路を有し、光検出器121によって得られた加工対象物1の表面位置の情報に基づいて、加工用レーザ光の集光位置が加工予定ラインXY軸方向)および加工予定位置(Z軸方向)に合うように、ステージ113をフィードバック制御する。
照明用光源125は、ステージ113の下方に配置され、ステージ113上の加工対象物1の加工部位を観察するための照明光を発生する。
CCDカメラ127は、照明用光源125から放射され加工対象物1を透過した照明光を取り込んで、加工対象物1の加工部位を撮像し、撮像データをコンピュータ129に出力する。
コンピュータ129は、レーザ光源101、計測用光源115、コントローラ123、およびCCDカメラ127に接続されており、これら各部を総合的に制御する。例えば、コンピュータ129は、所定のプログラムに従って、コントローラ123によるフィードバック制御を通じてステージ113を駆動させることにより、レーザ光の集光位置を任意の加工予定ラインおよび加工予定位置に沿って走査させる。
モニタ131は、CCDカメラ127が撮像した映像を表示する。すなわち、加工対象物1の加工部位(表面に形成されたV字形損傷)は、CCDカメラ127およびモニタ131によって観察される。
なお、加工対象物1としては、サファイアのほか、シリカガラス(Eg≒9eV)やパイレックス(登録商標)ガラスなどのガラス類、ダイヤモンド(Eg≒5.5eV)などでもよい。
次いで、上記構成を有するレーザ加工装置100を用いた加工工程について、図3に示すフローチャートを用いて説明する。なお、適宜、図4に示す説明図も参照する。ここでは、加工対象物1は、サファイア層1aとGaN層1bからなる二層構造体である。
まず、ステップS1000では、加工対象物1に対するレーザ光源101の最適なレーザ強度を決定する。上記のように、355nmレーザ光は多光子吸収を効率良く誘起することができる。上記のように、サファイアに対しては1パルス当たり10μJ以下のエネルギ(対物レンズ通過後で測定)を有するレーザ光を用いることにより、プラズマを生起することなく、加工対象物1の切断に好適な損傷を生起することができる。このような光学配置とパルスエネルギの低いレーザ光を用いることにより、半導体層(GaN層1b)に与える光学的損傷を大幅に回避することができる。
そして、ステップS1100では、加工用レーザ光の集光位置を決定する。鋭利なV字形の損傷を形成するために、加工対象物1の上方にレーザ光の焦点を結ばせる(図4(A)参照)。焦点位置と基板表面間の距離dは、20μm以下が好ましく、より好ましくは10μm以下である。
そして、ステップS1200では、コンピュータ129に対して切断予定ラインのプログラミングを行う。
そして、ステップS1300では、加工対象物1をステージ113の載置台に載置して位置決めを行う。このとき、計測用光源115および照明用光源125をオンする。
そして、ステップS1400では、レーザ光源101をオンして355nmレーザ光を加工対象物1の切断予定ラインに照射する(図4(A)参照)。そして、切断予定ラインに沿うようにステージ113をXY軸方向(水平方向)に走査して、損傷11を切断予定ラインに沿うように加工対象物1の表面に形成する(図4(B)参照)。
そして、ステップS1500では、切断を確実なものとするため、ステップS1400と同じ切断予定ラインに沿って2回目のレーザ照射を行う。このとき、集光位置はステップS1400の場合よりも僅かに変更される。これにより、V字形損傷のアスペクト比を向上させることができる。実験によれば、このような工程により、幅10μm、深さ50μmのサイズを有する、高アスペクト比で鋭利なV字形の断面を有する微細な損傷11を表面に刻むことができた。
なお、ステップS1500の操作はオプションであって、常に行う必要はない。ただし、加工対象物1の厚さによっては、この処理を追加することにより、確実に切断を行うことが可能になる。
すなわち、ステップS1400およびステップS1500を通じて、加工対象物1の前方表面に鋭利なV字形の断面を有する微細な損傷11が形成される(図4(A)参照)。このようなレーザ光照射プロセスを切断予定ラインに沿って加工対象物1を水平方向に走査しながら行うことにより、切断予定ラインに沿った損傷11が形成される(図4(B)、図4(C)参照)。
そして、ステップS1600では、ステップS1400およびステップS1500を通じて加工対象物1の表面に切断予定ラインに沿って配列形成された損傷を利用して、切断を行う。すなわち、加工対象物1に機械的応力を印加すれば、所望の精密切断が達成される。これにより、加工対象物1(ここでは、サファイア基板/GaN層からなるデバイスの板)は微小なチップに切断(分割)される。
このように、本実施の形態によれば、確実かつ効率的に多光子吸収を誘起可能なレーザ光を利用し、焦点位置を加工対象物の外部(上方)に設定するため、サファイアなどの硬質結晶体に対しても、鋭利なV字形の断面を有する微細な損傷を1回または高々2回の照射走査により達成できるのである。
例えば、本実施の形態によれば、サファイアに対し、10μm以下の精度で精密な切断を行うことができる。このとき、形成されるV字形クラックの幅は10μm程度であり、切りしろも5μm以下に低減することができ、歩留まりも大きく向上することができる。
本発明者は、本発明の効果(特許文献1および特許文献2に記載の発明に対する優位性)を実証するために実験を行った。なお、本発明は、次の実施例に限定して解釈されるものではない。
本実施例では、本発明のレーザ加工方法を用いて加工対象物の表面にV字形の溝を形成して切断を行う実験を行った。条件は、次の通りである。
・加工対象物:サファイア/GaN(サファイア側からレーザ照射)
・レーザ:波長355nmのNd:YAGレーザ、パルス幅10ナノ秒
・レーザ出力:6.3μJ(1パルス当たり、対物レンズ通過後の試料位置において測定)
・レーザパルス発振繰り返し周波数:130kHz
・対物レンズ:開口数(NA)=0.28
・ビーム走査回数:1回
・試料ステージ駆動速度:10mm/s
・照射集光位置:サファイア基板から6μm上方
図5(A)は、上記条件で形成した損傷の断面を示す顕微鏡写真、図5(B)は、その損傷溝の上面(サファイア側)を示す顕微鏡写真、図5(C)は、加工対象物の裏面(GaN側)を示す顕微鏡写真である。図5(A)からわかるように、本実施例では、鋭利なV字形の断面を有する損傷が観測されており、その幅は10μmであり、深さは33μmであった。また、図5(B)からは、このような断面を有する損傷の溝がサファイア基板に刻まれていることがわかる。また、図5(C)からは、照射側の裏面、つまり、GaNデバイス層には全く損傷がないことがわかる。
図6(A)は、上記損傷を起点にし、機械的応力により実際に当該加工対象物を切断した時の切断面を示す顕微鏡写真、図6(B)は、その拡大写真である。
本実施例によれば、本発明のレーザ加工方法により刻まれた損傷以外の箇所には、クラックの成長や破壊などは全く観測されず、損傷の深さも一定値(33μm)を保っており、本発明に係る技術が高い加工精度と加工形状制御性を有していることがわかる。
本実施例では、次の条件の下で、本発明のレーザ加工方法を用いて加工対象物の表面にV字形の溝を形成して切断を行う実験を行った。
・加工対象物:サファイア/GaN(サファイア側からレーザ照射)
・レーザ:波長355nmのNd:YAGレーザ、パルス幅10ナノ秒
・レーザ出力:4μJ(1パルス当たり、対物レンズ通過後の試料位置において測定)
・レーザパルス発振繰り返し周波数:130kHz
・対物レンズ:開口数(NA)=0.28
・ビーム走査回数:2回
・試料ステージ駆動速度:9mm/s
・照射集光位置:サファイア基板から20μm上方の焦点で1回目の走査、次に8μm上方の焦点で2回目の走査
図7(A)は、上記条件で形成した損傷の断面を示す顕微鏡写真、図7(B)は、その損傷溝の上面(サファイア側)を示す顕微鏡写真、図7(C)は、加工対象物の裏面(GaN側)を示す顕微鏡写真である。図7(A)からわかるように、本実施例でも、鋭利なV字形の断面を有する損傷が観測されており、その幅は13μmであり、深さは33μmであった。実施例2は実施例1よりもパルスエネルギが小さいが、2回の照射走査により、同様の損傷を生起できたことがわかる。また、図7(B)からは、このような断面を有する損傷の溝がサファイア基板に刻まれていることがわかる。また、図7(C)からは、照射側の裏面、つまり、GaNデバイス層には全く損傷がないことがわかる。従って、本実施例からも、本発明に係る技術が高い加工精度と加工形状制御性を有していることがわかる。
本実施例では、次の条件の下で、本発明のレーザ加工方法を用いて加工対象物の表面にV字形の溝を形成して切断を行う実験を行った。
・加工対象物:サファイア/GaN(サファイア側からレーザ照射)
・レーザ:波長355nmのNd:YAGレーザ、パルス幅10ナノ秒
・レーザ出力:6.3μJ(1パルス当たり、対物レンズ通過後の試料位置において測定)
・レーザパルス発振繰り返し周波数:130kHz
・対物レンズ:開口数(NA)=0.28
・ビーム走査回数:2回
・試料ステージ駆動速度:10mm/s
・照射集光位置:サファイア基板から10μm上方の焦点で1回目の走査、次に4μm上方の焦点で2回目の走査
図8(A)は、上記条件で形成した損傷の断面を示す顕微鏡写真、図8(B)は、その損傷溝の上面(サファイア側)を示す顕微鏡写真、図8(C)は、加工対象物の裏面(GaN側)を示す顕微鏡写真である。図8(A)からわかるように、本実施例では、鋭利なV字形の断面を有する損傷が観測されており、その幅は10μmであり、深さは50μmであった。このように実施例1と同じパルスエネルギで、ビーム走査回数を2回にすれば、このように極めて鋭利で高いアスペクト比を有するV字形損傷を刻むことができる。また、図8(B)からは、このような断面を有する損傷の溝がサファイア基板に刻まれていることがわかる。また、図8(C)からは、照射側の裏面、つまり、GaNデバイス層には全く損傷がないことがわかる。
図9(A)は、上記損傷を起点にし、機械的応力により実際に当該加工対象物を切断した時の切断面を示す顕微鏡写真、図9(B)は、その拡大写真である。
本実施例によれば、本発明のレーザ加工方法により刻まれた損傷以外の箇所には、クラックの成長や破壊などは全く観測されず、損傷の深さも一定値(50μm)を保っており、本発明に係る技術が高い加工精度と加工形状制御性を有していることがわかる。
本発明に係るレーザ加工方法は、例えば、代表的な半導体デバイス用基板であるサファイアなどの透明誘電体材料基板の表面に、微細かつ鋭利な形状を有する損傷を生起し、かつ、基板の裏面に位置する半導体などのデバイス層への損傷を容易に回避しながら、当該材料基板に対して、より高い精度で効率良く精密な切断を行うことができるレーザ加工方法として有用である。
(A)パルスレーザ光を加工対象物の表面上方に集光させて照射した状態を示す図、(B)その要部の詳細を示す図 本発明の一実施の形態に係るレーザ加工方法を実現するレーザ加工装置の構成を示すブロック図 本発明の一実施の形態における加工工程を示すフローチャート 本発明の一実施の形態における加工工程を示す工程別概略図 (A)本発明の実施例1における損傷の断面を示す顕微鏡写真、(B)その損傷溝の上面(サファイア側)を示す顕微鏡写真、(C)加工対象物の裏面(GaN側)を示す顕微鏡写真 (A)本発明の実施例1における切断面を示す顕微鏡写真、(B)その拡大写真 (A)本発明の実施例2における損傷の断面を示す顕微鏡写真、(B)その損傷溝の上面(サファイア側)を示す顕微鏡写真、(C)加工対象物の裏面(GaN側)を示す顕微鏡写真 (A)本発明の実施例3における損傷の断面を示す顕微鏡写真、(B)その損傷溝の上面(サファイア側)を示す顕微鏡写真、(C)加工対象物の裏面(GaN側)を示す顕微鏡写真 (A)本発明の実施例3における切断面を示す顕微鏡写真、(B)その拡大写真
符号の説明
1 加工対象物
3、109 対物レンズ
5、11 損傷
7 加工対象物表面
100 レーザ加工装置
101 レーザ光源
103 テレスコープ光学系
105 偏光板
107 ダイクロイックミラー
109 対物レンズ
111 保護用窓プレート
113 ステージ
115 計測用光源
117 ビーム整形器
119 ハーフミラー
121 光検出器
123 コントローラ
125 照明用光源
127 CCDカメラ
129 コンピュータ
131 モニタ
L パルスレーザ光
P 集光位置(焦点位置)

Claims (4)

  1. 光学系を介して、プラズマを発生させないエネルギ強度で、かつパルス幅がナノ秒域のパルスレーザ光をサファイア基板の表面上方に集光照射し、前記サファイア基板に対して広がったダイバージェンス角で入射する前記パルスレーザ光と前記サファイア基板との相互作用により、前記サファイア基板の表面にV字形の損傷を形成するステップを含むレーザ加工方法であって、
    前記サファイア基板の表面と前記パルスレーザ光の集光位置との距離dは、4μm≦d≦20μmの範囲内である、レーザ加工方法。
  2. 前記パルスレーザ光の照射走査は、1回または2回行う請求項1記載のレーザ加工方法。
  3. 前記パルスレーザ光の照射走査を2回行う場合、2回目の照射走査における前記パルスレーザ光の集光位置は、1回目の照射走査における前記パルスレーザ光の集光位置よりも前記サファイア基板の表面に近づくように変更される請求項2記載のレーザ加工方法。
  4. 前記光学系内のレンズの開口数NAは、0.1≦NA≦0.8の範囲内にある請求項1記載のレーザ加工方法。
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