JP4605406B2 - 高圧放電灯点灯装置及び光源装置 - Google Patents
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Description
近年、これらの高圧放電灯は、更なる明るさの向上や小型化、長寿命化等様々な特性の改善が要求されている。特に長寿命化は要求が高く、更なる改善が必要とされている。そして、長寿命化のためにはアーク長を寿命期間中に維持することが重要な課題となっており、より具体的には高圧放電灯の点灯電圧(以下、「ランプ電圧」という)を一定に維持することが必要とされる。
しかし実際には、高圧放電灯の累積点灯時間が数十時間程度の初期に、ランプ電圧は低下し、その後長期にわたる寿命期間中においてはランプ電圧が暫時上昇することが知られている。
また、寿命期間中においてはランプ個々のばらつき、外気温などの点灯条件のばらつきによってもランプ電圧が上昇や下降といった挙動を見せる。
その結果、確かに高周波では点灯中のランプ電圧は上昇傾向にあり、逆に低周波ではランプ電圧は下降傾向にあるものの、それは点灯時間内で長期的に観測した場合の結果であり、点灯周波数を切替えた直後にはランプ電圧が全く異なる挙動を示すことが確認された。
低周波から高周波に切り替える場合、極性反転するまでの時間が短くなる。陽極動作をしている側の電極先端での電子衝突回数が減少し、電極先端温度が低下する。切替直後は急激に電極先端温度が低下するため電極蒸発が少なく、短期間においては電極先端突起に新たな突起が形成されるため、アーク長が短くなり、ランプ電圧低下を引き起こす。しばらく高周波で点灯を続けると、既知の事実の通り、突起は蒸発し、ランプ電圧が上昇を開始する。
さらに、含有構成比又は含有率の段階的変化が1回の移行当たり10分〜30分で完了する構成とした。
また、高圧放電灯点灯装置がプロジェクタに使用される場合に、複数の周波数成分を、プロジェクタに使用される映像同期信号と干渉しない周波数成分とした。
また、本発明は使用可能な点灯周波数に制約がある場合でも、複数の点灯周波数を組み合わせ、さらにランプパラメータに応じて各周波数の単位時間あたりの含有率を変化させることで、ランプ電圧を良好に制御することができる。
また、本発明は周波数を連続的に変化させる制御ではないので、カラーホイールの回転数やセグメントの数に限定された周波数しか選択できないDLPシステムなどにも有効な制御となる。
図1は本発明の回路構成図である。図1について以下に説明する。本発明の高圧放電灯点灯装置は、全波整流回路10、全波整流回路10の直流電圧をPWM(パルス幅変調)制御回路により所定のランプ電力又はランプ電流に制御する降圧チョッパ回路20、降圧チョッパ回路20の直流出力電圧を交流矩形波電流に変換してランプ60に印加するためのフルブリッジ回路40、ランプ始動時に高圧パルス電圧をランプに印加するためのイグナイタ回路50、並びに降圧チョッパ回路20及びフルブリッジ回路40を制御するための制御回路30で構成されている。なお、図面を見やすくするために整流回路10として全波整流・コンデンサインプット型の回路を示しているが、必要に応じて昇圧回路(力率改善回路)等も含むものとする。
上記を考慮した上で、発明者らは本発明の最も好適な実施例として以下のような高圧放電灯点灯装置を設計した。
ここで、本実施例で用いた光源装置(液晶プロジェクタ)により限定された周波数が、50Hz、82Hz、110Hz、165Hz、190Hz、380Hzであったため、点灯用の周波数として、82Hz及び380Hzを選択した。なお、使用ランプの定格電力は170Wである。
ランプ点灯用の(最終的に到達する)周波数含有構成比は、C1L:(82Hz=70%/380Hz=30%)、C1H:(82Hz=30%/380Hz=70%)の2種類とした。なお、単位時間は1秒である。
C1L:(82Hz=70%/380Hz=30%)
C1a:(82Hz=60%/380Hz=40%)[5分継続]
C1b:(82Hz=50%/380Hz=50%)[5分継続]
C1c:(82Hz=40%/380Hz=60%)[5分継続]
C1H:(82Hz=30%/380Hz=70%)
設計例1同様の光源装置、及びランプにおいて、点灯周波数の含有率組合せと移行期間の仕様を下記のようにした。
点灯用の周波数として、82Hz、110Hz及び380Hzを選択し、ランプ点灯用(維持用)の周波数含有構成比を、C2M:(82Hz=40%/110Hz=20%/380Hz=40%)、C2L:(82Hz=60%/110Hz=20%/380Hz=20%)、C2H:(82Hz=20%/110Hz=20%/380Hz=60%)の3種類とし、含有率を決める単位時間を1秒とした。これらの条件で、定常点灯時はC2Mでランプを点灯させる。
C2M:(82Hz=40%/110Hz=20%/380Hz=40%)
CLa:(82Hz=45%/110Hz=20%/380Hz=35%)[5分継続]
CLb:(82Hz=50%/110Hz=20%/380Hz=30%)[5分継続]
CLc:(82Hz=55%/110Hz=20%/380Hz=25%)[5分継続]
C2L:(82Hz=60%/110Hz=20%/380Hz=20%)
C2L:(82Hz=60%/110Hz=20%/380Hz=20%)
CLc:(82Hz=55%/110Hz=20%/380Hz=25%)[5分継続]
CLb:(82Hz=50%/110Hz=20%/380Hz=30%)[5分継続]
CLa:(82Hz=45%/110Hz=20%/380Hz=35%)[5分継続]
C2M:(82Hz=40%/110Hz=20%/380Hz=40%)
C2M:(82Hz=40%/110Hz=20%/380Hz=40%)
CHa:(82Hz=35%/110Hz=20%/380Hz=45%)[5分継続]
CHb:(82Hz=30%/110Hz=20%/380Hz=50%)[5分継続]
CHc:(82Hz=25%/110Hz=20%/380Hz=55%)[5分継続]
C2H:(82Hz=20%/110Hz=20%/380Hz=60%)
C2H:(82Hz=20%/110Hz=20%/380Hz=60%)
CHc:(82Hz=25%/110Hz=20%/380Hz=55%)[5分継続]
CHb:(82Hz=30%/110Hz=20%/380Hz=50%)[5分継続]
CHa:(82Hz=35%/110Hz=20%/380Hz=45%)[5分継続]
C2M:(82Hz=40%/110Hz=20%/380Hz=40%)
なお、設計例1でも実使用上問題は無いが、上記パターンにより更にランプ電圧変化量を低減する事が可能であり、適切なランプ電圧制御が実現可能となった。
設計例1及び設計例2と同様のランプにおいて、反射型ミラーデバイスを用いたいわゆるDLPシステムを採用した光源装置と組合せた場合に適した仕様とした。ここで、前記DLPシステムに使用されるカラーホイールの回転数は100Hzであり、図3に示すように赤(R)、緑(G)、青(B)、白(W)、黄(Y)の5つのセグメントに分割され、それぞれのセグメントの角度は、赤(R)=100deg、緑(G)=100deg、青(B)=100deg、白(W)=30deg、黄(Y)=30degである。
C3L:(Ia:150Hz=100%/Ib:350Hz=0%)
C3a:(Ia:150Hz=80%/Ib:350Hz=20%)[5分継続]
C3b:(Ia:150Hz=60%/Ib:350Hz=40%)[5分継続]
C3c:(Ia:150Hz=40%/Ib:350Hz=60%)[5分継続]
C3d:(Ia:150Hz=20%/Ib:350Hz=80%)[5分継続]
C3H:(Ia:150Hz=0%/Ib:350Hz=100%)
上記パターンにより、カラーホイールの仕様により点灯周波数が限定された場合においても、適切なランプ電圧制御を実現できる。
上記実施例では、ランプ電圧制御を向上した高圧放電灯点灯装置を示したが、それを用いたアプリケーションとしての光源装置を図8に示す。
図8において、100は上記で説明した図1の高圧放電灯点灯装置、70はランプが取り付けられる反射鏡、110は高圧放電灯点灯装置、ランプを内蔵する筐体である。なお、図は実施例を模擬的に図示したものであり、寸法、配置などは図面通りではない。そして、図示されない映像系の部材等を筐体に適宜配置してプロジェクタが構成される。
また、DLPシステムの場合はカラーホイール(図示せず)を備えるものとする。
(1)本実施例における出力電流としての「矩形波」とは、厳密には完全な矩形波ではないような波形も含む。例えば、完全な矩形波では無く、図5のように矩形波半サイクルの開始時の電流値と終了時の電流値とが僅かに異なるような波形や、図6のように半サイクルの中盤に僅かな凹凸があるような波形、また図7のように点灯時の極性ごとに電流の時間積が異なる波形も含む。さらに、DLPシステムに使用されているカラーホイールのセグメントに同期して電流値を変化させ、極性を変化させる図4A、図4Bのような波形も含む。従って、通常点灯時におけるランプ電流はそのような波形も含む趣旨である。
10:全波整流回路
11:ダイオードブリッジ
12:コンデンサ
20:降圧チョッパ回路
21:トランジスタ
22:ダイオード
23:チョークコイル
24:コンデンサ
30:制御回路
31,32,33:抵抗
34:PWM制御回路
35:中央制御部
40:フルブリッジ回路
41,42,43,44:トランジスタ
45:ブリッジ制御回路
50:イグナイタ回路
51:イグナイタ制御回路
60:高圧放電灯
70:反射鏡
100:高圧放電灯点灯装置
110:プロジェクタ筐体
Claims (9)
- 対向配置された一対の電極を有する高圧放電灯を複数の周波数成分からなる合成電流波形で交流点灯させる高圧放電灯点灯装置であって、
前記複数の周波数成分の単位時間当たりの含有構成比を制御する制御手段、
該含有構成比に従った合成電流波形を前記高圧放電灯に印加する出力手段、及び
前記高圧放電灯に関するランプパラメータを検出する検出手段
を備え、
前記制御手段が、前記ランプパラメータが第1の状態となった場合に該含有構成比を第1の含有構成比へ移行させ、前記ランプパラメータが第2の状態となった場合には該含有構成比を第2の含有構成比へ移行させ、前記第1の含有構成比から前記第2の含有構成比への移行の際に、又は前記第2の含有構成比から前記第1の含有構成比への移行の際に含有構成比を段階的に変化させるよう構成された高圧放電灯点灯装置。 - 対向配置された一対の電極を有する高圧放電灯を周波数成分f1及びf2(f1<f2)からなる合成電流波形で交流点灯させる高圧放電灯点灯装置であって、
前記周波数成分f1及びf2の単位時間当たりの各含有率を制御する制御手段、
該含有率に従った合成電流波形を前記高圧放電灯に印加する出力手段、及び
前記高圧放電灯のランプ電圧を検出する検出手段
を備え、
前記制御手段が、ランプ電圧が所定値Vを超えた場合に前記f2の含有率をRL%へと移行させ、ランプ電圧が所定値V´未満となった場合に前記f2の含有率をRH%(0≦RL<RH≦100)へと移行させるよう構成され、さらに、該含有率RL%からRH%への移行の際に、又は該含有率RH%からRL%への移行の際に含有率を段階的に変化させるよう構成された高圧放電灯点灯装置。 - 対向配置された一対の電極を有する高圧放電灯を複数の周波数成分f1〜fn(n≧3、fn−1<fn)からなる合成電流波形で交流点灯させる高圧放電灯点灯装置であって、
前記周波数成分f1〜fnの単位時間当たりの含有構成比を制御する制御手段、
該含有構成比に従った合成電流波形を前記高圧放電灯に印加する出力手段、及び
前記高圧放電灯のランプ電圧を検出する検出手段
を備え、
前記制御手段が、ランプ電圧が所定値Vを超えた場合に該含有構成比を第1の含有構成比C1へ移行させ、ランプ電圧が所定値V´未満となった場合に該含有構成比を第2の含有構成比C2へ移行させるよう構成され、該第2の含有構成比C2における平均周波数が該第1の含有構成比C1における平均周波数がよりも高く、さらに、該第1の含有構成比C1から第2の含有構成比C2への移行の際に、又は該第2の含有構成比C2から第1の含有構成比C1への移行の際に含有構成比を段階的に変化させるよう構成された高圧放電灯点灯装置。 - 請求項1から3いずれか一項に記載の高圧放電灯点灯装置において、前記含有構成比又は含有率の段階的変化が1回の移行当たり1分〜1時間で完了する高圧放電灯点灯装置。
- 請求項1から3いずれか一項に記載の高圧放電灯点灯装置において、前記含有構成比又は含有率の段階的変化が1回の移行当たり10分〜30分で完了する高圧放電灯点灯装置。
- 請求項1から3いずれか一項に記載の高圧放電灯点灯装置において、該高圧放電灯点灯装置がプロジェクタに使用される場合に、前記複数の周波数成分が前記プロジェクタに使用される映像同期信号と干渉しない周波数成分である高圧放電灯点灯装置。
- 請求項1から6いずれか一項に記載の高圧放電灯点灯装置及び前記高圧放電灯を内包したプロジェクタからなる光源装置。
- カラーホイールを用いるDLPシステムに使用され、対向配置された一対の電極を有する高圧放電灯を合成電流波形で交流点灯させる高圧放電灯点灯装置であって、
前記合成電流波形が第1のセットの電流波形及び第2のセットの電流波形の組み合わせからなり、該第1及び第2のセットが前記カラーホイールの回転速度及び該カラーホイールのセグメントの分割位置の少なくとも1つに対応して反転される波形であり、該第1及び第2のセットの各期間長が該カラーホイールの1回転に相当する長さであり、該第2のセットにおける平均周波数が該第1のセットにおける平均周波数よりも高く、
前記合成電流波形における前記第1及び第2のセットの単位時間当たりの含有率を制御する制御手段、
前記カラーホイールの回転についての同期信号を検知する検知手段、
前記同期信号及び前記含有率に従った合成電流波形を前記高圧放電灯に印加する出力手段、及び
前記高圧放電灯のランプ電圧を検出する検出手段
を備え、
前記制御手段が、ランプ電圧が所定値Vを超えた場合に前記第2のセットの含有率をRL%とし、ランプ電圧が所定値V´未満となった場合に該第2のセットの含有率をRH%(0≦RL<RH≦100)とするよう構成され、さらに、該含有率RL%からRH%への移行の際、又は該含有率RH%からRL%への移行の際に含有率が段階的に変化するよう構成された高圧放電灯点灯装置。 - 請求項8記載の高圧放電灯点灯装置、前記高圧放電灯及び前記カラーホイールを備えたDLPシステムからなる光源装置。
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