JP4605160B2 - フルオロポリマー水性分散液の製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、上記含フッ素乳化剤は、一般的に高価であり、回収することが好ましい。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、後述の「フルオロポリマー水性分散液A」及び「フルオロポリマー水性分散液B」を用いて濃度調整を行うことにより「フルオロポリマー水性分散液」を製造する方法である。
本明細書において、上記「A」又は「B」を付さずに単に「フルオロポリマー水性分散液」というときは、後述の「フルオロポリマー水性分散液A」及び「フルオロポリマー水性分散液B」とは区別し、これら「フルオロポリマー水性分散液A」及び「フルオロポリマー水性分散液B」を用いて濃度調整を行うことにより得られるフルオロポリマーの水性分散液を表す。
本明細書において、「フルオロポリマー」についての説明は、他に別の記載をしない限り、上記フルオロポリマー水性分散液を構成するフルオロポリマーと、上記フルオロポリマー水性分散液Aを構成するフルオロポリマーと、上記フルオロポリマー水性分散液Bを構成するフルオロポリマーとに共通する内容である。
本発明において、工程(1)は、界面活性剤の存在下にフルオロポリマー水性分散液Aを、フルオロポリマーを実質的に含有しない相Qとフルオロポリマーを含有する相Pとに分離し上記相Qを分別する工程である。
上記フルオロポリマーとしては、例えば、エラストマー性フルオロポリマー、樹脂を構成するフルオロポリマー等が挙げられる。
上記エラストマー性フルオロポリマーは、ゴム弾性を有する非晶質のフルオロポリマーであって、通常、30〜80モル%の第1単量体の単量体単位を有するものである。
本明細書において、上記「第1単量体」とは、エラストマー性フルオロポリマーの分子構造において、全単量体単位のうち最多モル比率を占める単量体単位を構成することとなった単量体を意味する。上記第1単量体としては、例えば、ビニリデンフルオライド〔VDF〕、テトラフルオロエチレン〔TFE〕等が挙げられる。
本明細書において、上記第1単量体の単量体単位等の「単量体単位」は、フルオロポリマーの分子構造上の一部分であって、対応する単量体に由来する部分を意味する。例えば、TFE単位は、フルオロポリマーの分子構造上の一部分であって、TFEに由来する部分であり、−(CF2−CF2)−で表される。上記「全単量体単位」は、フルオロポリマーの分子構造上、単量体に由来する部分の全てである。
上記非溶融加工性フルオロポリマーとしては、PTFEが挙げられる。
上記PTFEは、TFE単独重合体のみならず、変性ポリテトラフルオロエチレン〔変性PTFE〕をも含む概念である。
本明細書において、上記「変性PTFE」とは、TFEと、TFE以外の微量単量体との共重合体であって、非溶融加工性であるものを意味する。
上記微量単量体としては、例えば、HFP、CTFE等のフルオロオレフィン、炭素原子1〜5個、特に炭素原子1〜3個を有するアルキル基を持つフルオロ(アルキルビニルエーテル);フルオロジオキソール;パーフルオロアルキルエチレン;ω―ヒドロパーフルオロオレフィン等が挙げられる。
変性PTFEにおいて、上記微量単量体に由来する微量単量体単位の全単量体単位に占める含有率は、通常0.001〜2モル%の範囲である。
本明細書において、「全単量体単位に占める微量単量体単位の含有率(モル%)」とは、上記「全単量体単位」が由来する単量体、即ち、フルオロポリマーを構成することとなった単量体全量に占める、上記微量単量体単位が由来する微量単量体のモル分率(モル%)を意味する。
上記TFE/PAVE共重合体としては、TFE/パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕共重合体〔MFA〕、TFE/パーフルオロ(エチルビニルエーテル)〔PEVE〕共重合体、TFE/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕共重合体等が挙げられ、なかでも、MFA、TFE/PPVE共重合体が好ましく、TFE/PPVE共重合体がより好ましい。
上記溶融加工性フルオロポリマーとしてのVDF系共重合体としては、VDF/TFE共重合体、VDF/HFP共重合体、VDF/CTFE共重合体、VDF/TFE/HFP共重合体、VDF/TFE/CTFE共重合体等が挙げられる。
上記フルオロポリマー水性分散液Aが含み得る界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤等が挙げられ、また、含フッ素乳化剤を含むものであってよい。
本発明において、フルオロポリマー水性分散液Aが含み得る界面活性剤としては、後述する工程(1)において上清相と濃縮相とに分離するに際し存在させる界面活性剤と同じものであってもよく、従来公知の含フッ素乳化剤を用いることができ、例えば、パーフルオロオクタン酸及びその塩(以下、「パーフルオロオクタン酸及びその塩」をまとめて「PFOA」と略記することがある。)、パーフルオロオクチルスルホン酸及びその塩(以下、「パーフルオロオクチルスルホン酸及びその塩」をまとめて「PFOS」と略記することがある。)等の公知の含フッ素アニオン界面活性剤を使用することができる。上記PFOA及びPFOSは、塩である場合、特に限定されないが、アンモニウム塩等が挙げられる。
上記含フッ素乳化剤は、フルオロポリマー水性分散液Aを構成するフルオロポリマーを水性媒体中にて重合する際に乳化剤として添加したものであってよい。
上記フルオロポリマー水性分散液Aにおいて、界面活性剤濃度は公知範囲にあればよい。
本明細書において、上記固形分濃度は、後述の実施例記載の方法により測定したものである。
上記相Pは、上記フルオロポリマー水性分散液Aに含有されていたフルオロポリマーを含む相である。
上記相Qは、上記フルオロポリマー水性分散液Aに含有されていたフルオロポリマーを実質的に含まない相である。本明細書において、「フルオロポリマーを実質的に含まない相」は、フルオロポリマー水性分散液Aから、上記のフルオロポリマーを含む相Pを除去した残りであってよく、フルオロポリマーを含む相Pから分離して回収することが常法により可能な相であれば足り、ごく微量のフルオロポリマーが混入ないし残存しているものを排除するものではなく、その意味において、「フルオロポリマーを実質的に含まない相」ともいい得るものである。
上記「フルオロポリマーを実質的に含有しない」とは、後述するように、フルオロポリマーを各種用途に利用する程度に含有しないことを意味し、全く含有しないことを意味するとは限らない。
上記相Qは、一般に、本発明の製造方法により得られるフルオロポリマー水性分散液に混入してもその性質に影響しない範囲においてのみフルオロポリマーを含有し得るものである。
上記相Qは、フルオロポリマーを含有する場合、フルオロポリマー含有量が1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが更に好ましい。
本明細書において、「相Qを分別する」とは、相Pを後に残し、相Qを取り出すことを意味する。本明細書において、同様の趣旨で用いる表現「分別する」も同様であり、例えば、後述の「相Q1を分別する」等においても、同様に、相P1を後に残し、相Q1を取り出すことを意味する。
また、アルキルフェノールを構造中に有しないノニオン界面活性剤が好ましく使用される。
上記含フッ素アニオン界面活性剤としては、PFOA等が挙げられる。
上記含フッ素乳化剤100質量部あたり、ノニオン界面活性剤のより好ましい下限は、6000質量部、更に好ましい下限は8000質量部であり、より好ましい上限は17000質量部である。例えば、フルオロポリマーがTFEホモポリマー及び/又は変性PTFEである場合、含フッ素乳化剤100質量部あたりノニオン界面活性剤8000質量部以上の存在下に行うことが好ましい。
工程(1)における分離・分別の操作は、1回行うものであってもよいし、2回以上行うものであってもよい。
上記工程(1)は、フルオロポリマー水性分散液Aを相Qと相Pとに分離し上記相Qを分別する操作を1回行うものであり、上記ノニオン界面活性剤を、上記フルオロポリマー水性分散液A中の含フッ素乳化剤100質量部あたり500〜20000質量部存在させるものであることが好ましい。
上記工程(1)において、相分離濃縮、電気濃縮及び/又はイオン交換濃縮を上記範囲のノニオン界面活性剤の存在下に行う場合、含フッ素乳化剤の含有量が低いフルオロポリマー水性分散液が得られやすいので好ましい。
上述の含フッ素乳化剤100質量部あたりのノニオン界面活性剤の存在量の範囲は、特に、工程(1)における分離・分別の操作として相分離濃縮を1回行う場合、好適である。
上記電気濃縮としては、例えば、特表平10−510472号公報に記載の電気デカンテーション法が挙げられる。
上記限外ろ過膜法としては、特開昭55−120630号公報に記載の方法が挙げられる。
上記相分離濃縮としては、例えば、熱濃縮法が挙げられる。
上記工程(1)を行う方法としては、相分離濃縮が好ましく、中でも、熱濃縮法を用いることがより好ましい。
上記熱濃縮法としては、例えば国際公開第2004/050719号パンフレット記載の熱濃縮を複数回行う方法等を用いることができる。上記相Qと相Pとの分離・分別操作は、相Qと相Pの境界面を乱すことなく、その境界面を維持したまま分離し分別することが好ましい。
本明細書において、「熱濃縮法」は、通常、ノニオン界面活性剤の曇点以上の温度に加熱することにより行う濃縮方法であり、「曇点濃縮」と称することもある。
本発明は、フルオロポリマー重合反応液を濃縮する等の後工程により生じたフルオロポリマーを実質的に含まない相が、界面活性剤を含有するものであることに着目し、該相を用いて、フルオロポリマー水性分散液の濃度調整を極めて効率的に行うことができること、更にこの結果得られたフルオロポリマー水性分散液が極めて優れた安定性を示すことを見出すことにより、完成したものである。
上記工程(1)により分別した相Qは、該工程(1)において存在させた界面活性剤を含む。
本明細書において、「相Qを用いる」とは、(i)相Qをそのまま用いてもよいし、また、(ii)相Qに対して濃縮、イオン交換体処理、膜処理等の後処理を施して得られるものであって、工程(1)において相Qと相Pとに分離するに際し存在させた界面活性剤を含有するものを用いてもよいことを意味する。後者の(ii)の後処理により得られ上記界面活性剤を含有するものは、通常、液体組成物であり、水性液体組成物であることが好ましい。
上記「界面活性剤組成物」に含有される界面活性剤としては、上述のとおり、ノニオン界面活性剤が好ましい。
本明細書において、界面活性剤としてノニオン界面活性剤を含有する上記「界面活性剤組成物」を「ノニオン界面活性剤組成物」ということがある。
上記ノニオン界面活性剤組成物は、更に、フルオロポリマー水性分散液Aに含まれていたフルオロポリマーが混入したものであってもよいし、又、フルオロポリマー水性分散液Aに含まれていた含フッ素乳化剤、電解質、水溶性有機溶剤等を含有することがある。
上述の工程(1)において熱濃縮法を用いて相分離を行った場合、通常、上清(相Q)中に含まれるノニオン界面活性剤量は1〜30質量%、HLBは10〜15であり、水は99〜70質量%であるが、本発明において、フルオロポリマー水性分散液Bの濃度調整に使用するノニオン界面活性剤組成物は、上記上清そのままであってもよいし、あるいは濃縮、イオン交換体処理、膜処理等の操作を行うことにより、フルオロポリマー含有量、ノニオン界面活性剤含有量、HLB、含フッ素乳化剤含有量、電気伝導度等を適宜コントロールしたものであってもよい。
上記ノニオン界面活性剤組成物は、フルオロポリマーを含有する場合、フルオロポリマー含有量が5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましい。
上記ノニオン界面活性剤含有量は、蒸発法、ノニオン界面活性剤の曇点を利用した熱相分離法、膜濃縮法、未使用の新たに用意した(バージンの)ノニオン界面活性剤を追加する方法等により調整される。
上記ノニオン界面活性剤含有量が低いと、ノニオン界面活性剤組成物における水含有量が高くなり、フルオロポリマー及び/又は含フッ素乳化剤の濃度調整に有効な量を入れるためにフルオロポリマー水性分散液Bに加えるノニオン界面活性剤組成物が多くなるので、多量の水を共に添加することになり、濃縮に時間を要する。また濃度を高くするためには、ノニオン界面活性剤組成物中にある多量の水を予め除去すればよいが、経済的不利を解消する点で、工程(1)において存在させる界面活性剤の量を工程(1)について上述したように比較的多くすることもできる。
ノニオン界面活性剤組成物のHLB範囲は、含フッ素乳化剤濃度調整に用いる場合には、12〜14が好ましい。これは、例えば、上述の相Qにバージンのノニオン界面活性剤を加えることによって調整することができる。
ノニオン界面活性剤組成物の好ましい含フッ素乳化剤含有量は、1000ppm以下、より好ましい上限は100ppm、含フッ素乳化剤濃度調整に用いる場合には、特に10ppm以下に調整することが好ましい。含フッ素乳化剤含有量は、イオン交換体接触法、含フッ素乳化剤の錯体を形成させ沈殿として分離する方法、電気泳動法等で調整される。
ノニオン界面活性剤組成物における電気伝導度は、好ましくは2000mS/cm以下、より好ましくは100mS/cm以下、更に好ましくは10mS/cm以下である。上記電気伝導度は、イオン交換体接触法、キレート剤処理法、イオン交換水による希釈等の方法で調整することができる。
上記フルオロポリマー水性分散液Bにおけるフルオロポリマー及び水性媒体は、それぞれ上述と同様のものである。
上記フルオロポリマー水性分散液Bは、更に、上述のような界面活性剤をも含むものであってもよい。上記フルオロポリマー水性分散液Bが含み得る界面活性剤としては、工程(1)において上清相と濃縮相とに分離するに際し存在させる界面活性剤として上述したものを用いることができ、例えば含フッ素乳化剤等であってよい。
本発明におけるフルオロポリマー水性分散液Bとしては、また、工程(1)に用いたフルオロポリマー水性分散液Aであってもよいし、該フルオロポリマー水性分散液Aから上清相(相Q)を分別した残り、即ち、濃縮相(相P)であってもよい。
本発明のフルオロポリマー水性分散液の製造方法は、フルオロポリマー水性分散液Bとして、工程(1)に用いたフルオロポリマー水性分散液Aから得られる濃縮相(相P)を用いる場合、効率良く濃度調整を行うことができる。
上記フルオロポリマー水性分散液Bは、界面活性剤濃度が、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜7質量%である。
上記混合工程において、相Qは、フルオロポリマー水性分散液Bと相Qとの混合液における界面活性剤量が、工程(1)時に存在させる界面活性剤と同じ含有量となるよう添加することが好ましい。
上記混合工程により得られる混合液を、フルオロポリマーを実質的に含有しない相Q1とフルオロポリマーを含有する相P1とに分離する相分離工程、及び、
上記相Q1を分別する分別工程
を含むものであることが好ましい。
上記相分離工程は、熱濃縮法により行うことが好ましい。
本発明において、上記熱濃縮法を行う場合、国際公開第2004/050719号パンフレットに記載の条件にて行うことが好ましい。
相Qの濃縮方法としては、例えば、工程(1)において相Qと相Pとに分離する方法、及び、上述のノニオン界面活性剤組成物の調整に関し説明した各種方法を行うことができる。
また、上記フルオロポリマー水性分散液は、含フッ素乳化剤濃度を、通常、1800ppm以下とすることができ、より好ましくは1600ppm以下とすることができ、更に好ましくは1500ppm以下とすることができる。特に、上記フルオロポリマー水性分散液におけるフルオロポリマーがPVDFである場合、含フッ素乳化剤濃度を800ppm以下とすることもできるし、また、該含フッ素ポリマーがTFE/VDF/HFP共重合体である場合、該濃度を300ppm以下とすることもできる。
上記フルオロポリマー水性分散液は、上記範囲内のフルオロポリマー濃度を有するものであるので、例えば塗料組成物、成形品等に簡易に調製することができる。また、上記フルオロポリマー水性分散液は、含フッ素乳化剤濃度が低いので、各種用途に使用する際、含フッ素乳化剤による影響を受けることなく、フルオロポリマーの特性を発揮することができる。
上記フルオロポリマー水性分散液は、含フッ素乳化剤による影響を受けないので、例えば、温度変化に伴う粘度変化が僅かである等、安定性に優れている。
(1)ノニオン界面活性剤、フルオロポリマー濃度の測定
試料約1g(X)を直径5cmのアルミカップにとり、100℃1時間で乾燥した加熱残分(Y)、さらにこれを300℃1時間乾燥した加熱残分(Z)より、ノニオン界面活性剤濃度(N)、フルオロポリマー濃度(P)を下式で決定した。
N=(Y−Z)/X×100(%)
P=Z/X×100(%)
(2)含フッ素乳化剤含有量(パーフルオロオクタン酸アンモニウム〔PFOA〕濃度)
サンプルに等量のメタノールを添加してソックスレー抽出を行ったのち、高速液体クロマトグラフィー〔HPLC〕を以下の条件にて行うことにより求めた。なお、含フッ素乳化剤含有量の算出にあたり、既知の濃度の含フッ素乳化剤について上記溶出液及び条件にてHPLC測定して得られた検量線を用いた。
(測定条件)
カラム;ODS−120T(4.6φ×250mm、トーソー社製)
展開液;アセトニトリル/0.6質量%過塩素酸水溶液=1/1(vol/vol%)
サンプル量;20μL
流速;1.0ml/分
検出波長;UV210nm
カラム温度;40℃
パドル型攪拌機を備えた1Lのガラス製ビーカーに、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕ディスパージョン(フルオロポリマー濃度32.6%、PFOA534ppmを含有する)498gを入れ、10%アンモニア水溶液でpHを6に調整した後、攪拌下にイオン交換水154g、ノイゲンTDS−80(第一薬品工業社製のポリオキシエチレンアルキルエーテル型ノニオン界面活性剤)24.4gを添加し、均一に混合した。これを65℃温水浴中で6時間静置すると、上清相とポリマー濃縮相に分離した。上部より吸引ポンプを用いて上清部417gを回収した。上記LCによる測定で上清部のPFOA濃度は503ppm、ノニオン界面活性剤濃度は、4.6%、フルオロポリマー濃度は、0.1%であった。また、濃縮相のフルオロポリマー濃度は69%、ノニオン濃度は3%であった。得られた濃縮相に、ノイゲンTDS−80を19g、イオン交換水を410g加え均一に混合後、65℃温水浴中で6時間静置、上記と同様に上清相410gを回収した(ノニオン界面活性剤組成物A)。PFOA濃度は54ppm、ノニオン界面活性剤濃度は、5%、フルオロポリマー濃度は、0.1%以下であった。
ノニオン界面活性剤組成物Aを80℃で6時間濃縮し、冷却後0.5μmのメンブランフィルターでろ過を行い、ノニオン界面活性剤組成物B28.5gを得た。ノニオン界面活性剤濃度は60%、PFOA濃度は98ppmであった。
陰イオン交換樹脂(ローム&ハース社製、アンバーライトIRA402BL)をパイレックス(登録商標)ガラス製カラム(内径16mmφ×高さ600mm)に、充填層の高さが200mmになるように充填し、1N−NaOH200mlを通液してOH型にした後、イオン交換水500mlを通液した。これに、ノニオン界面活性剤組成物A200gを通液し、198gを回収した後に、80℃で6時間濃縮し、冷却後0.5μmのメンブランフィルターでろ過を行い、ノニオン界面活性剤組成物Cを得た。ノニオン界面活性剤濃度は60%、PFOA濃度は3ppmであった。
パドル型攪拌機を備えた1Lのガラス製ビーカーに、PTFEディスパージョン(ポリマー含有量32.6%、PFOA534ppmを含有する)498gを入れ、10%アンモニア水溶液でpHを6に調整した後、ノニオン界面活性剤組成物Aを162g、TDS80を8.1g添加し均一に混合した。これを65℃温水浴中で静置したところ、濃縮相の体積が全体の50%に到達するまでの時間は、70分であった。静置後5000rpm(1677G)で30分遠心分離し、上清相中に含まれるPFOA濃度及びフルオロポリマー濃度を測定したところ、それぞれ195ppm、0.1%であった。
パドル型攪拌機を備えた1Lのガラス製ビーカーに、PTFEディスパージョン(ポリマー含有量32.6%、PFOA534ppmを含有する)498gを入れ、10%アンモニア水溶液でpHを6に調整した後、ノニオン界面活性剤組成物B27g、イオン交換水144gを添加し均一に混合した。これを65℃温水浴中で静置したところ、濃縮相の体積が全体の50%に到達するまでの時間は、60分であった。静置後5000rpm(1677G)で30分遠心分離し、上清相中に含まれるPFOA濃度及びフルオロポリマー濃度を測定したところ、それぞれ190ppm、0.1%であった。
パドル型攪拌機を備えた1Lのガラス製ビーカーに、PTFEディスパージョン(ポリマー含有量32.6%、PFOA534ppmを含有する)498gを入れ、10%アンモニア水溶液でpHを6に調整した後、ノニオン界面活性剤組成物Cを27g、イオン交換水144gを添加し均一に混合した。これを65℃温水浴中で静置したところ、濃縮相の体積が全体の50%に到達するまでの時間は、90分であった。静置後5000rpm(1677G)で30分遠心分離し、上清相中に含まれるPFOA濃度及びフルオロポリマー濃度を測定したところ、それぞれ202ppm、0.1%であった。
パドル型攪拌機を備えた1Lのガラス製ビーカーに、PTFEディスパージョン(ポリマー含有量32.6%、PFOA534ppmを含有する)498gを入れ、10%アンモニア水溶液でpHを6に調整した後、TDS−80を16.2g、イオン交換水155gを添加し均一に混合した。これを65℃温水浴中で静置したところ、濃縮相の体積が全体の50%に到達するまでの時間は、120分であった。静置後水性分散液を5000rpm(1677G)で30分遠心分離し、上清相中に含まれるPFOA濃度及びフルオロポリマー濃度を測定したところ、それぞれ201ppm、1.3%であった。
アンカー型攪拌機、温水ジャケットを備えた1Lの密閉できるステンレス製容器に、PTFEディスパージョン(ポリマー含有量32.6%、PFOA534ppmを含有する)498gを入れ、10%アンモニア水溶液でpHを6に調整した後、攪拌下にイオン交換水154g、ノイゲンTDS−80(第一薬品工業社製のポリオキシエチレンアルキルエーテル型ノニオン界面活性剤)32.5gを加え、均一になるまで混合した。内温を65℃にした後6時間静置し、相分離した後に下部抜き出し口より濃縮相を抜き出した。引き続き、上清相を下部より抜き出した。濃縮相を、容器に戻し、イオン交換水350g、ノイゲンTDS−80を27.5g加え、均一になるまで混合したのち、再び65℃で濃縮を行った。この操作を繰返し、合計3回濃縮を行った。3回の濃縮後に回収した、上清(ノニオン界面活性剤組成物D)は、376.5g、ノニオン界面活性剤濃度は7.3%、PFOA濃度は60ppm、フルオロポリマー濃度は0.1%であった。
合成例4において、2回濃縮後にイオン交換水350g、ノイゲンTDS−80を27.5g加える代わりに、ノニオン界面活性剤組成物Dを375g使用した以外は、合成例4と同様にして、合計3回の濃縮操作を行った。回収した上清は393g、ノニオン界面活性剤濃度は7.0%、PFOA濃度は65ppmであった。また濃縮相のフルオロポリマー濃度は64%、ノニオン界面活性剤濃度は1.9%であった。この濃縮相に、イオン交換水264g、TDS−120を6.5g添加し均一に混合して、PTFE水性分散液を調製した。フルオロポリマー濃度は60%であり、25℃、45℃における粘度をB型粘度計で測定したところ、それぞれ23cps、22cpsであり、温度変化に対する粘度変化が小さかった。
合成例4で3回濃縮操作して得られた濃縮相に、TDS−120を6.5g添加し均一に混合して、PTFE水性分散液を調製した。フルオロポリマー濃度は60%であり、25℃、45℃における粘度をB型粘度計で測定したところ、それぞれ25cps、30cpsであり、温度上昇に伴う僅かな粘度増加が見られた。
Claims (9)
- 濃度調整を行うことよりなるフルオロポリマー水性分散液の製造方法であって、
前記フルオロポリマー水性分散液の製造方法は、
界面活性剤の存在下にフルオロポリマー水性分散液Aを、フルオロポリマーを実質的に含有しない相Qとフルオロポリマーを含有する相Pとに分離し前記相Qを分別する工程(1)、及び、
前記工程(1)により分別した前記相Qを用いてフルオロポリマー水性分散液B中のフルオロポリマー濃度を調整することにより前記フルオロポリマー水性分散液を製造する工程(2)
を含む
ことを特徴とするフルオロポリマー水性分散液の製造方法。 - 濃度調整を行うことよりなるフルオロポリマー水性分散液の製造方法であって、
前記フルオロポリマー水性分散液の製造方法は、
界面活性剤の存在下にフルオロポリマー水性分散液Aを、フルオロポリマーを実質的に含有しない相Qとフルオロポリマーを含有する相Pとに分離し前記相Qを分別する工程(1)、及び、
前記工程(1)により分別した前記相Qを用いてフルオロポリマー水性分散液B中の含フッ素乳化剤濃度を調整することにより前記フルオロポリマー水性分散液を製造する工程(2)
を含む
ことを特徴とするフルオロポリマー水性分散液の製造方法。 - 工程(2)は、工程(1)により分別した相Qを用いてフルオロポリマー水性分散液B中の含フッ素乳化剤濃度と、更にフルオロポリマー濃度とを調整することによりフルオロポリマー水性分散液を製造するものである請求項2記載のフルオロポリマー水性分散液の製造方法。
- フルオロポリマー濃度を調整することは、相Qをフルオロポリマー水性分散液Bに加える混合工程を含む請求項1又は3記載のフルオロポリマー水性分散液の製造方法。
- 含フッ素乳化剤濃度を調整することは、
相Qをフルオロポリマー水性分散液Bに加える混合工程、
前記混合工程により得られる混合液を、フルオロポリマーを実質的に含有しない相Q1とフルオロポリマーを含有する相P1とに分離する相分離工程、及び、
前記相Q1を分別する分別工程
を含む請求項2又は3記載のフルオロポリマー水性分散液の製造方法。 - 相分離工程は、熱濃縮法により行う請求項5記載のフルオロポリマー水性分散液の製造方法。
- 混合工程は、相Qを濃縮して加える請求項4、5又は6記載のフルオロポリマー水性分散液の製造方法。
- 工程(1)は、熱濃縮法により行う請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のフルオロポリマー水性分散液の製造方法。
- 工程(1)は、界面活性剤の存在下にフルオロポリマー水性分散液Aを、フルオロポリマーを実質的に含有しない相Qとフルオロポリマーを含有する相Pとに分離し前記相Qを分別する操作を1回行うものであり、
前記界面活性剤は、ノニオン界面活性剤からなるものであり、
前記フルオロポリマー水性分散液Aは、含フッ素乳化剤を含有するものであり、
前記ノニオン界面活性剤は、前記フルオロポリマー水性分散液A中の含フッ素乳化剤100質量部あたり500〜20000質量部存在させるものである請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のフルオロポリマー水性分散液の製造方法。
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