JP4604667B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、記録紙に転写されたトナー像を定着させる定着装置と、それを備えた画像形成装置に関し、更に詳しくは、製品出荷時等、画像形成装置を長時間使用しない場合において、加圧ローラーが加熱ローラーに圧接しないようにするために、定着装置に取り付けられるスペーサーに関する。
従来から、像担持体によって記録紙に転写されたトナー像(未定着像)を、加熱ローラー及び加圧ローラーで記録紙に定着させる定着装置を備えた画像形成装置は知られている。このような画像形成装置の定着装置では、加圧ローラーの周面が加熱ローラーの周面に圧接する状態で、記録紙が加熱ローラーと加圧ローラーとの間を通過することにより、未定着のトナー像が熱及び圧力によって記録紙に定着される。
加圧ローラーは、その周面が耐熱弾性体層とされており、加熱ローラーに圧接することで弾性変形する構成になっている。これは、ニップ部の面積を広く確保するとともに、加熱ローラーと加圧ローラーとがその幅方向全域に亘って略均一に圧接するようにするためであり、記録紙に対して均等かつ確実にトナー像を定着するためである。
しかしながら、その加圧ローラーは、画像形成装置の稼働時には、加熱ローラーと共に回転して記録紙を搬送するので、その一部が局所的に変形することはないが、製品出荷時や保管時等、画像形成装置が長時間稼働しない状態が続く場合、即ち加熱ローラーに対する圧接部位が変化しない状態が長時間続く場合には、その圧接部位に局所的な変形が生じることがある。
このような変形が生じた状態で画像形成装置を稼働すると、異常音が発生したり、トナー像の定着不良が発生する問題が起こる。そのため、画像形成装置の製品出荷時等、長期不使用時には、加圧ローラーが加熱ローラーに圧接しないようにするためのスペーサーが定着装置に取り付けられる(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、このようなスペーサーが定着装置に取り付けられていることをユーザーが失念したり、スペーサーの存在が判り難かったりすると、スペーサーを取り付けたまま画像形成装置を稼働してしまうことがある。この場合、トナーが未定着の記録紙が排出されるので、画像形成装置内がそのトナーで汚れるなどの不具合が発生する。また、スペーサーを取り除く操作性が良好でないことも問題となる。
特開平7−92846号公報
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、スペーサーの存在が判りやすく、かつ、そのスペーサーの取り外し操作が容易にできる定着装置と、スペーサーを取り外さないと、稼働できなくなる画像形成装置を得ることを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の定着装置は、記録媒体上のトナー像を該記録媒体に定着させる加熱ローラーと、前記加熱ローラーに圧接され、該加熱ローラーとで前記記録媒体を搬送する加圧ローラーと、前記加圧ローラー及び前記加熱ローラーが回転可能に軸支される筐体と、前記筐体の記録媒体搬入口の略全幅に亘って設けられ、前記記録媒体の搬送をガイドする搬送ガイドと、一端部が前記加圧ローラーを軸支する部材に設けられ、前記加圧ローラーを前記加熱ローラーに圧接させるように、他端部が荷重スプリングにより付勢されるニップレバーと、前記荷重スプリングにより付勢される前記ニップレバーを支持するとともに、該ニップレバーの他端部よりも該ニップレバーの付勢方向側に設けられた張出部を有する軸部と、不使用状態継続時に、前記張出部と前記ニップレバーの他端部との間の前記軸部に、前記加圧ローラー及び前記加熱ローラーの軸方向内側から嵌合される嵌合部を有し、該嵌合部が前記張出部と前記ニップレバーの他端部との間に前記荷重スプリングの付勢力により狭持されることで、前記加圧ローラーが前記加熱ローラーに圧接するのを阻止するスペーサーと、を備え、前記スペーサーが、少なくとも前記筐体及び前記搬送ガイドに規制され、前記加圧ローラー及び前記加熱ローラーの軸方向内側へしか取り外し操作ができない構成とされていることを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、スペーサーの取り外し方が判りやすく、かつ、容易に取り外すことができる
すなわち、加圧ローラー及び加熱ローラーの軸方向外側には筐体があり、記録媒体の搬送方向における筐体には搬送ガイドがあるので、スペース的に余裕がなく(制約され)、スペーサーを把持して、それらの方向へは強い力が掛け難い。
しかも、スペーサーは、加圧ローラー及び加熱ローラーの軸方向内側から軸部に嵌合されているので、加圧ローラー及び加熱ローラーの軸方向外側や記録媒体の搬送方向へ取り外し操作してもスペーサーが外れ難い。
一方、加圧ローラー及び加熱ローラーの軸方向内側にはスペース的に余裕があり(制約されず)、スペーサーは、加圧ローラー及び加熱ローラーの軸方向内側から軸部に嵌合されているので、加圧ローラー及び加熱ローラーの軸方向内側への取り外し操作がし易く、かつ、その方向への操作力が、他の方向への操作力よりも小さくて済む。
つまり、スペーサーは、加圧ローラー及び加熱ローラーの軸方向内側へしか操作できなくなるので、スペーサーの取り外し方が容易になる。
したがって、そのスペーサーを容易に取り外すことができる。
また、筐体と搬送ガイドによってスペーサーの取り外し操作方向を規制するので、スペーサーの取り外し操作方向を規制するための新たな部品を追加する必要がない
よって、製造コストが増加するような不具合もない。
更に、このスペーサーは、荷重スプリングの付勢力によって、ニップレバーと張出部との間に狭持されているので、出荷時(輸送時)等において発生する振動によって、スペーサーが脱落するような不具合もない。
また、請求項に記載の定着装置は、請求項に記載の定着装置において、前記スペーサーが、表裏対称に形成されていることを特徴としている。
請求項に記載の発明によれば、スペーサーを作る金型が1つで済むので、製造コストの低減が図れる。
また、請求項に記載の定着装置は、請求項1又は請求項に記載の定着装置において、前記スペーサーが、前記嵌合部に連設された操作用の把持部を有することを特徴としている。
請求項に記載の発明によれば、スペーサーを把持して操作することが容易にできる。したがって、取り外すときの操作性が極めて良好となる。また、その把持部により、スペーサーの存在が判りやすくなる。
また、請求項に記載の定着装置は、請求項に記載の定着装置において、前記把持部に、前記スペーサーを取り外すときの操作方向が判る指標が形成されていることを特徴としている。
請求項に記載の発明によれば、スペーサーに取り外す際の操作方向が示されているので、誰でも簡単に取り外すことができる。
また、本発明に係る請求項に記載の画像形成装置は、請求項3又は請求項に記載の定着装置と着脱可能な現像装置とを備えた画像形成装置であって、前記定着装置に取り付けられているスペーサーの把持部を、前記現像装置の装着エリアへ延伸させたことを特徴としている。
請求項に記載の発明によれば、スペーサーを取り外さないと、現像装置を装着できなくなるため、スペーサーを取り付けたまま印刷してしまうようなトラブルの発生を防止することができる。
また、請求項に記載の画像形成装置は、請求項に記載の画像形成装置において、前記スペーサーの把持部以外は、前記現像装置を着脱するための開口から視認不能とされていることを特徴としている。
請求項に記載の発明によれば、スペーサーを取り外すときに、把持部以外の部位には手指が触れなくなるので、安全性の向上が図れる。
また、請求項に記載の画像形成装置は、請求項に記載の画像形成装置において、前記スペーサーの取り外し操作は、前記開口から行う構成とされていることを特徴としている。
請求項に記載の発明によれば、スペーサーの取り外し操作が容易にできる。すなわち、現像装置を着脱する開口は、画像形成装置において最も広く開口されるので、その部位から手指を挿入してスペーサーを取り外すようになっていると、その操作が極めて容易にできる。
以上のように、本発明によれば、スペーサーの存在が判りやすく、かつ、そのスペーサーの取り外し操作が容易にできる定着装置と、スペーサーを取り外さないと、稼働できなくなる画像形成装置を提供することができる。
以下、本発明の最良な実施の形態について、図面に示す実施例を基に詳細に説明する。まず、本発明に係る定着装置30を備えた画像形成装置10の概要について説明する。図1で示すように、画像形成装置10は、画像形成装置本体12と給紙装置14とで構成されている。
画像形成装置本体12には、一様に帯電した後、画像光を照射することにより、表面に静電潜像が形成される像担持体16と、像担持体16の表面に一様に帯電する帯電装置18と、画像データに基づいて像担持体16に画像光を照射し、静電電位の差による潜像を形成する光学箱24と、潜像にトナーを選択的に転移して可視化する現像装置20と、搬送路38に沿って供給される記録紙(図示省略)に像担持体16表面のトナー像(未定着像)を転写する転写装置26と、記録紙上のトナー像を加熱・加圧して融着させる定着装置30と、トナー像が転写された後の像担持体16に残留するトナーを掃除するクリーニング装置28とが備えられている。
ここで、像担持体16は、表面に感光体層を有し、一様に帯電した後の露光により、露光部の電位が減衰するようになっている。一方、帯電装置18は、像担持体16に当接されるロール状の部材であり、これらの間に電圧が印加されることによって、当接部付近の微少間隙内で放電が生じ、像担持体16の表面を略一様に帯電させる構成である。なお、帯電装置18としては、この他、電極ワイヤーに高電圧を印加し、コロナ放電によって像担持体16を帯電するものを用いることができる。
光学箱24は、点滅するレーザーを像担持体16の周面に走査させ、画像データに基づいた静電潜像を像担持体16の周面上に形成するようになっている。なお、光学箱24としては、LED等の発光素子を配列し、これらを画像データに基づいて点滅させるものでもよい。
現像装置20は、像担持体16と近接して対向するように配置された円筒状の現像ローラー22を備えており、この現像ローラー22と像担持体16との間に現像バイアス電圧が印加されるようになっている。これにより、現像ローラー22と像担持体16との間には現像バイアス電界が形成され、電荷を有するトナーが像担持体16上の露光部に転移して可視像を形成する構成である。
また、この現像装置20は、画像形成装置本体12に対して着脱可能となるようにユニット化されている。すなわち、画像形成装置本体12の上面(排紙トレイ)は、定着装置30の近傍で幅方向に架設された支軸42を中心として、上下方向に回動可能に構成された上部カバー40とされており、現像装置20は、その上部カバー40を開放させた開口41(図2参照)から着脱できるように構成されている。なお、この開口41は画像形成装置10において最も広く開口する。
転写装置26は、像担持体16と対向するように設けられたロール状の部材であり、像担持体16との間に転写電界を形成することによって、通過する記録紙上にトナー像を転写させる構成である。そして、トナー像が転写装置26によって記録紙に転写された後、記録紙は像担持体16から分離されるようになっている。
分離された記録紙は、搬送路38を通って定着装置30へ搬送される。そして、その記録紙は、定着装置30によって加熱・加圧されてトナー像が定着された後、機外(排紙トレイ上)へ排出される構成である。また、転写終了後、像担持体16の表面は、クリーニング装置28によってクリーニング処理され、次回の作像処理に備えるようになっている。
一方、画像形成装置本体12の下方には、記録紙を画像形成装置本体12内部に1枚ずつ送り出す給紙装置14が設けられている。この給紙装置14は、着脱自在な給紙カセット32を備えており、記録紙が送り出される方向と逆方向に引き抜くことができるようになっている。なお、給紙カセット32は、図示の2段に限定されるものではない。
給紙カセット32の先端部近傍には、給紙カセット32から記録紙を送り出す給紙ローラー34がそれぞれ設けられている。また、給紙カセット32の先端部側には、給紙ローラー34に圧接される捌き部材(図示省略)がそれぞれ設けられており、給紙カセット32内の記録紙が1枚ずつ給紙されるようになっている。そして、給紙装置14から送り出された記録紙は、給紙装置14の近傍に設けられたレジストローラー対36によって、所定のタイミングでトナー像の転写位置へ搬送されるようになっている。
次に、定着装置30について説明する。図1乃至図3で示すように、定着装置30は画像形成装置本体12に対して着脱可能となるようにユニット化されており、画像形成装置本体12には、定着装置30を着脱するための開口を開閉する背面カバー46が支軸48を中心に回動可能となるように配設されている。
定着装置30は、略直方体形状とされた筐体50を有しており、筐体50には、加圧ローラー52及び加熱ローラー54が回転可能に軸支されている。そして、加圧ローラー52と加熱ローラー54は、互いの周面が対向して所定の圧力で圧接(ニップ)された状態となるように構成されている。
すなわち、図5で示すように、加圧ローラー52を軸支する部材(図示省略)には、ニップレバー62が一体に連設されており、そのニップレバー62は、荷重スプリング64により、加圧ローラー52が加熱ローラー54に所定の圧力で圧接(ニップ)するように付勢されている。
加圧ローラー52は、ステンレス又は鉄製の芯金に、耐熱弾性体層(シリコンスポンジ、アスカー硬度:40度)が設けられており、表層には低摩擦係数の離型層(PFAチューブ:膜厚30μm)が設けられている。一方、加熱ローラー54は、表層に低摩擦係数の離型層(PFAチューブ:膜厚30μm)を設けた中空の芯金(鉄又はアルミニウム素管:肉厚1.0mm〜1.5mm)からなり、内部にはヒーター(図示省略)が配置されている。
また、定着装置30には、加圧ローラー52と加熱ローラー54とで構成される記録紙の搬入口と搬出口が幅方向に沿って設けられており、搬送路38を通って案内された記録紙は、搬入口から搬入され、加圧ローラー52と加熱ローラー54とで構成されるニップ部を通過して、搬出口から搬出される。なお、搬入口には、記録紙の搬送をガイドする用紙搬送ガイド60が、その略全幅に亘って設けられている(図3参照)。
更に、定着装置30には、図3で示すように、コネクター56が設けられており、そのコネクター56を画像形成装置本体12に設けられた電源部44に接続することにより、加熱ローラー54のヒーター(図示省略)が所定の温度に上昇して、搬送される記録紙上のトナー像を融解させる構成である。
また、定着装置30には、図3、図5で示すように、従動ギア58が設けられており、画像形成装置本体12の駆動ギア(図示省略)と噛合することにより、加熱ローラー54が回転する構成である。これにより、記録紙はニップされた状態で搬送され、記録紙にトナー像が定着される構成である。
また、このような定着装置30には、それが配設される画像形成装置10の製品出荷時等、長期間不使用状態が続く場合に、加圧ローラー52が加熱ローラー54に長期間圧接状態となるのを防ぐためのスペーサー70が取り付けられる。
このスペーサー70は、加圧ローラー52の左右両端近傍の所定位置に取り付けられ、図2、図4で示すように、現像装置20の装着エリアまで延伸するような大きさの略台形状とされた把持部72と、後述する嵌合部80等が形成された係合部74とが一体に連設された形状に、例えば樹脂材等で成形されている。
係合部74は、把持部72の先端に連設され、図4、図5で示すように、その把持部72側から順に、筐体50の左右両端側で、かつ内方側に張り出す張出部68に係合する屈曲部76と、用紙搬送ガイド60の外方側端面に掛止される掛止部78と、掛止部78とは反対側の面に形成され、荷重スプリング64が挿嵌されている軸部66の周面に嵌合する嵌合部80と、荷重スプリング64の付勢力に抗してニップレバー62に当接する当接部82とを有している。
そして、嵌合部80は、軸部66の曲率に合致し、かつ、その周面に半分以上嵌合するように(スナップフィットするように)平面視略半円弧状となる曲面状に形成されている(図4等参照)。したがって、スペーサー70は、定着装置30に対して、簡単に取り付けられるとともに、簡単に取り外すことができる構成である。
すなわち、スペーサー70を定着装置30へ取り付ける際には、まず、把持部72を把持し、当接部82をニップレバー62に当接させ、荷重スプリング64の付勢力に抗して、そのニップレバー62を押し込むとともに、掛止部78を用紙搬送ガイド60の外方側端面に差し入れる。そして、把持部72を外方側へ回動操作して、嵌合部80を軸部66の周面に嵌合するとともに、屈曲部76を張出部68に係合させる。これにより、スペーサー70を定着装置30に簡単に取り付けることができる。
一方、スペーサー70を定着装置30から取り外すときには、把持部72を把持して内方側へ回動操作し、屈曲部76を張出部68から離間させるとともに、嵌合部80を軸部66から外し、用紙搬送ガイド60の外方側端面から掛止部78を抜き出せばよい。これにより、スペーサー70を定着装置30から簡単に取り外すことができる。
また、スペーサー70を取り外す際の把持部72の回動操作方向は、上記の通り、加圧ローラー52及び加熱ローラー54の幅方向内側(内方側)である。これは、図5で示すように、嵌合部80が軸部66の周面に対して内側から半周以上嵌合し、かつ把持部72側から順に張出部68、用紙搬送ガイド60が配置され、スペーサー70を介して、張出部68が外側、用紙搬送ガイド60が内側にそれぞれ位置しているからである。
つまり、把持部72を把持し、外方側へ回動操作しようとしても、嵌合部80、屈曲部76、掛止部78は、それぞれ軸部66、張出部68、用紙搬送ガイド60に干渉する(当たってしまう)位置関係になっているので、外方側への回動操作は不能となっている。したがって、スペーサー70を取り外すための操作方向は、必然的に加圧ローラー52及び加熱ローラー54の幅方向で内方側のみとなる。そして、その内方側は、図2、図6で示すように、スペース的に制約されないので(広く開放されているので)、ユーザー等は容易にスペーサー70の取り外し操作が実行できる。
なお、このスペーサー70は、表裏対称に形成されており、左右どちらにも使用できる構成とされている。つまり、嵌合部80は、軸部66と、張出部68及び用紙搬送ガイド60との位置関係により、把持部72に対して図4で示す矢印A方向にオフセットされるため、左右どちらにも対応できるように、2つ並設されている。これにより、スペーサー70を成形する金型が1つで済み、製造コストの低減が図れる構成である。
また、把持部72の表裏両面には、図4で示すように、その操作方向を示す指標としての矢印72A等を1つ又は複数形成することが好ましい。これによれば、誰でも容易に、その取り外し方向が判るようになる。更に、スペーサー70はユーザー等が認識しやすい色(例えばオレンジ色)等にすることが好ましい。これによれば、ユーザー等が容易にスペーサー70の存在を認識することができる。
次に、以上のような構成のスペーサー70の作用について説明する。画像形成装置10の製品出荷時には、現像装置20が画像形成装置本体12から外され、かつ定着装置30の両端にスペーサー70が取り付けられた状態で出荷される。すなわち、各スペーサー70は、当接部82がニップレバー62に当接し、掛止部78が用紙搬送ガイド60の外方側端面に掛止され、嵌合部80が軸部66に嵌合し、屈曲部76が筐体50の張出部68に係合することで、定着装置30に取り付けられている。
このように、スペーサー70の係合部74が、定着装置30に対して上記4箇所、特にニップレバー62と張出部68との間に荷重スプリング64の付勢力によって狭持されるとともに、嵌合部80が軸部66に嵌合されていると、輸送時等の振動により、スペーサー70が定着装置30から外れるような不具合が発生しない。また、スペーサー70の取付方も上記の通り簡単であるため、製品出荷時のスペーサー70の取付作業が煩瑣になるような不具合もない。
更に、スペーサー70が定着装置30に取り付けられているときには、そのスペーサー70の把持部72が現像装置20の装着エリアに延伸する構成とされており、現像装置20の装着を、その把持部72によってスペース的に邪魔する構成になっている。つまり、スペーサー70を取り外さないと、現像装置20を画像形成装置本体12に装着できない構成になっている。したがって、スペーサー70が定着装置30に取り付けられたまま印刷される(画像形成装置10が稼働される)ようなトラブルは発生しない。
さて、画像形成装置10を稼働できる状態にするには、まず、ユーザー等が上部カバー40を上方へ向かって回動して、現像装置20を着脱する開口41を開放する。そして、図6で示すように、スペーサー70の把持部72を把持し、その把持部72に記載されている矢印72Aの方向、即ち内方側に向かって回動操作する。
内方側はスペース的に制約される部分がなく、かつ、この操作は、現像装置20を装着するための最も広い開口41から手指を入れて行うので、ユーザー等は、極めて簡単にスペーサー70を取り外す作業を実行することができる。そして、スペーサー70は、その内方側への回動操作により簡単に外れる。
すなわち、図7で示すように、屈曲部76が張出部68から離間し、軸部66から嵌合部80が外されるとともに、掛止部78が用紙搬送ガイド60とニップレバー62の間から抜き取られる。すると、ニップレバー62は、荷重スプリング64の付勢力により、張出部68側へ移動し、加圧ローラー52の周面を加熱ローラー54の周面へ圧接させる。
こうして、スペーサー70を取り外したら、現像装置20を装着できるようになるので、そのまま現像装置20を装着すればよい。なお、定着装置30は、スペーサー70が取り付けられてから、画像形成装置本体12に、背面カバー46を開放させることによって装着される構成であり、定着装置30を画像形成装置本体12から取り外さない限り、再度スペーサー70を定着装置30に取り付けることはできない構成になっている。
つまり、スペーサー70が取り付けられる定着装置30の左右両端部(スペーサー70の把持部72以外)は、開口41から覗き込んでも見えない構成に(視認不能に)なっており(図2、図6参照)、定着装置30が画像形成装置本体12に装着されている状態では、スペーサー70の取り付けができない構成になっている。
このような構成にすると、スペーサー70を取り付けるときや取り外すときに、手指が画像形成装置本体12の奥(定着装置20の下側)まで挿入されるのを心理的に防止することができるので(把持部72以外の部位には手指が触れないようにできるので)、ユーザー等の安全性の向上を図ることができる。
以上、説明したように、本発明に係るスペーサー70は、現像装置20を着脱できる最も広い開口41から手指を挿入し、スペース的に余裕のある(制約のない)内方側への回動操作によってのみ取り外すことができる構成とされている。すなわち、このスペーサー70は、少なくとも筐体50(張出部68)及び用紙搬送ガイド60、更には軸部66により、外方側やそれと直交する方向(内方側以外の方向)への操作が不能とされている。
したがって、スペーサー70の取り外し方が判りやすく、かつ容易に取り外すことができる。また、既存の筐体50や用紙搬送ガイド60等を利用して取り付けるので、スペーサー70を取り付けるための新たな部品等が必要なく、製造コストが増加するような不具合も発生しない。
更に、スペーサー70は、その係合部74が荷重スプリング64の付勢力によってニップレバー62と張出部68の間に狭持され、嵌合部80が軸部66に嵌合する構成になっているので、出荷時(輸送時)等において発生する振動で定着装置30から脱落するような不具合もない。また、スペーサー70は把持部72を有しているので、取り外すときの操作性が良好であり、その把持部72には、取り外す際の回動操作方向まで示されているので、誰でも簡単にスペーサー70を取り外すことができる。
また、このようなスペーサー70が取り付けられる定着装置30を備えた画像形成装置10は、そのスペーサー70の把持部72により、現像装置20の装着が阻止される、換言すれば、スペーサー70を取り外さないと、現像装置20を装着できない構造になっている。したがって、従来のように、スペーサー70を取り付けたまま印刷してしまう(画像形成装置10を稼働してしまう)ようなトラブルの発生を確実に防止することができる。
定着装置を備えた画像形成装置の構成を示す概略側面図 定着装置を備えた画像形成装置の上部カバーを開放させた状態を示す概略斜視図 スペーサーを備えた定着装置を示す概略斜視図 スペーサーの構成を示す概略斜視図 定着装置に対するスペーサーの取付構造を示す概略斜視図 定着装置を備えた画像形成装置内からスペーサーを取り外す様子を示す説明図 定着装置から取り外されるスペーサーの様子を示す概略斜視図
符号の説明
10 画像形成装置
20 現像装置
30 定着装置
40 上部カバー
50 筐体(規制部材)
52 加圧ローラー
54 加熱ローラー
60 用紙搬送ガイド(規制部材)
62 ニップレバー
64 荷重スプリング
66 軸部
68 張出部
70 スペーサー
72 把持部
74 係合部
76 屈曲部
78 掛止部
80 嵌合部
82 当接部

Claims (7)

  1. 記録媒体上のトナー像を該記録媒体に定着させる加熱ローラーと、
    前記加熱ローラーに圧接され、該加熱ローラーとで前記記録媒体を搬送する加圧ローラーと、
    前記加圧ローラー及び前記加熱ローラーが回転可能に軸支される筐体と、
    前記筐体の記録媒体搬入口の略全幅に亘って設けられ、前記記録媒体の搬送をガイドする搬送ガイドと、
    一端部が前記加圧ローラーを軸支する部材に設けられ、前記加圧ローラーを前記加熱ローラーに圧接させるように、他端部が荷重スプリングにより付勢されるニップレバーと、
    前記荷重スプリングにより付勢される前記ニップレバーを支持するとともに、該ニップレバーの他端部よりも該ニップレバーの付勢方向側に設けられた張出部を有する軸部と、
    不使用状態継続時に、前記張出部と前記ニップレバーの他端部との間の前記軸部に、前記加圧ローラー及び前記加熱ローラーの軸方向内側から嵌合される嵌合部を有し、該嵌合部が前記張出部と前記ニップレバーの他端部との間に前記荷重スプリングの付勢力により狭持されることで、前記加圧ローラーが前記加熱ローラーに圧接するのを阻止するスペーサーと、
    を備え、
    前記スペーサーは、少なくとも前記筐体及び前記搬送ガイドに規制され、前記加圧ローラー及び前記加熱ローラーの軸方向内側へしか取り外し操作ができない構成とされていることを特徴とする定着装置。
  2. 前記スペーサーは、表裏対称に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記スペーサーは、前記嵌合部に連設された操作用の把持部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記把持部に、前記スペーサーを取り外すときの操作方向が判る指標が形成されていることを特徴とする請求項に記載の定着装置。
  5. 請求項3又は請求項4に記載の定着装置と着脱可能な現像装置とを備えた画像形成装置であって、
    前記定着装置に取り付けられているスペーサーの把持部を、前記現像装置の装着エリアへ延伸させたことを特徴とする画像形成装置。
  6. 前記スペーサーの把持部以外は、前記現像装置を着脱するための開口から視認不能とされていることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
  7. 前記スペーサーの取り外し操作は、前記開口から行う構成とされていることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
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