JP4604309B2 - シフト制御装置、その方法及びその装置を備えた移動体 - Google Patents

シフト制御装置、その方法及びその装置を備えた移動体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動体において、第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号に基づいてシフトポジションを確定する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両では、運転者がシフトレバーによって操作したシフトポジションをシフトポジションセンサによって検出し、その検出信号に基づいてシフトポジションの確定を行っている。
【0003】
従来においては、例えば、米国特許5561416号の公報に記載されているように、シフトポジションセンサの検出の確実性を高めるために、シフトポジションセンサとしてアナログセンサとデジタルセンサの両方を用いて、シフトポジションの確定を行っていた。そして、アナログセンサからの検出信号の示す内容と、デジタルセンサからの検出信号の示す内容と、が食い違う場合、シフトポジションセンサが異常であると見なして、安全側にシフトポジションを確定するようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した文献においては、アナログセンサからの検出信号の示す内容と、デジタルセンサからの検出信号の示す内容と、が食い違う場合、安全側にシフトポジションを確定するとの記載はあるが、具体的にどのようにシフトポジションを確定するのかについては、何ら開示されていなかった。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決し、第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号の内容が食い違う場合に、より確実にシフトポジションの確定を行うことのできるシフト制御装置、その方法及びその装置を備えた移動体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記した目的の少なくとも一部を達成するために、本発明の第1のシフト制御装置は、シフトポジションを検出するための第1及び第2のシフトポジションセンサを備える移動体に搭載され、前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号に基づいてシフトポジションを確定するシフト制御装置であって、
前記移動体が停止状態にあるか否かを判定する停止状態判定手段と、
前記移動体において、運転者がブレーキ操作を行っているか否かを判定するブレーキ判定手段と、
前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号のうち、一方が特定のシフトポジションを示しているが、他方が前記特定シフトポジションを示していない場合に、前記特定シフトポジションについて異常検出がされたと判定する異常検出判定手段と、
前記異常判定手段によって異常検出がされたと判定された後に前記停止状態判定手段によって停止状態であると判定されており、かつ前記特定シフトポジション以外のシフトポジションについては、前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号が共に、前記異常検出手段が前記特定シフトポジションについて異常検出がされたと判定したときのシフトポジション以外のシフトポジションを示している場合、a)前記ブレーキ判定手段によってブレーキ操作が行われていると判定された場合には、前記シフトポジションの確定を行い、b)前記ブレーキ判定手段によってブレーキ操作が行われていると判定されていない場合には、シフトポジションの確定を行わないシフトポジション確定手段と、
を備えることを要旨とする。
【0007】
また、本発明の第1のシフト制御方法は、移動体に搭載されるシフトポジションを検出するための第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号に基づいて、シフトポジションを確定するシフト制御方法であって、
(a)前記移動体が停止状態にあるか否かを判定する工程と、
(b)前記移動体において、運転者がブレーキ操作を行っているか否かを判定する工程と、
(c)前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号のうち、一方が特定のシフトポジションを示しているが、他方が前記特定シフトポジションを示していない場合に、前記特定シフトポジションについて異常検出がされたと判定する工程と、
(d)前記工程(c)において異常検出がされたと判定された後に前記工程(a)で停止状態であると判定されており、かつ前記特定シフトポジション以外のシフトポジションについては、前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号が共に、前記工程(c)で前記特定シフトポジションについて異常検出がされたと判定したときのシフトポジション以外のシフトポジションを示している場合、イ)前記工程(b)でブレーキ操作が行われていると判定された場合に、前記シフトポジションの確定を行い、ロ)前記工程(b)でブレーキ操作が行われていると判定されていない場合には、シフトポジションの確定を行わない工程と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
このように、本発明の第1のシフト制御装置または方法においては、第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号のうち、一方が特定のシフトポジションを示しているが、他方が特定シフトポジションを示していない場合に、特定シフトポジションについて異常検出がされたと判定している。そして、異常検出がされたと判定された後に移動体が停止状態であると判定され、かつ前記特定シフトポジション以外のシフトポジションについては、前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号が共に、前記特定シフトポジションについて異常検出がされたと判定したときのシフトポジション以外のシフトポジションを示している場合、運転者がブレーキ操作を行っていると判定された場合に、シフトポジションの確定を行うようにしている。
【0009】
即ち、移動体が停止状態にある場合に、特定シフトポジションについて異常検出がされた場合でも、上記の条件を満たし、運転者によってブレーキ操作が行われていることが確認されたならば、新たなシフト制御を行っても、移動体が動き出す恐れがないため、シフトポジションの確定を認めるようにしている。
【0010】
従って、本発明の第1のシフト制御装置または方法によれば、移動体が停止状態にある場合に、特定シフトポジションについて異常検出がされた場合でも、安全性を確保しながら、適正なシフト制御を行うことができる。
【0011】
本発明の第1のシフト制御装置において、前記移動体において、前記運転者がアクセル操作を行っているか否かを判定するアクセル判定手段をさらに備えると共に、
前記シフトポジション確定手段は、前記シフトポジションの確定を、前記ブレーキ判定手段によるブレーキ操作が行われているとの判定に加えて、前記アクセル判定手段によってアクセル操作が行われていないと判定された場合に行うことが好ましい。
【0012】
このように、運転者によってブレーキ操作が行われていることが確認されると共に、アクセル操作が行われていないことが確認されたならば、移動体が動き出す恐れはさらになくなる。従って、より高い安全性を確保しながら、適正なシフト制御を行うことができる。
【0013】
本発明の第1のシフト制御装置において、前記シフトポジション確定手段は、前記シフトポジションの確定を行う際の前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号が、前記異常検出手段が前記特定シフトポジションについて異常検出がされたと判定したときのシフトポジション以外のシフトポジションであって、しかもパーキングポジション及びニュートラルポジションのうち、少なくとも一方のシフトポジションであれば、前記ブレーキ判定手段によるブレーキ操作の判定を行うことなく、前記シフトポジションの確定を行うものとしても良い。
【0014】
本発明の第1のシフト制御方法において、前記工程(d)は、前記シフトポジションの確定を行う際の前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号が、前記工程(c)で前記特定シフトポジションについて異常検出がされたと判定したときのシフトポジション以外のシフトポジションであって、しかもパーキングポジション及びニュートラルポジションのうち、少なくとも一方のシフトポジションであれば、前記工程(b)でのブレーキ操作の判定を行うことなく、前記シフトポジションの確定を行うものとしてもよい
【0016】
こうしたシフト制御装置およびシフト制御方法では、移動体が停止状態にある場合に、シフトポジションの確定を行う際の前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号が、前記特定シフトポジションについて異常検出がされたと判定したときのシフトポジション以外のシフトポジションあり、パーキングポジションやニュートラルポジションであれば、パーキングポジションでは、通常、車軸は機械的に固定されるため、また、ニュートラルポジションでは、通常、車軸に動力が伝達されないため、これらシフトポジションについては、新たなシフト制御を行っても、移動体が動き出す恐れがなく、よって、シフトポジションの確定を認めるようにしている。
【0017】
従ってこうしたシフト制御装置または方法によれば、移動体が停止状態にある場合に、特定シフトポジションについて異常検出がされた場合でも、パーキングポジションやニュートラルポジションである場合には、それらシフトポジションについて、適正なシフト制御を行うことができる。
【0019】
このように、運転者によってアクセル操作が行われていないことが確認されたならば、移動体が動き出す恐れはさらになくなるので、高い安全性を確保しながら、適正なシフト制御を行うことができる。
【0020】
本発明のシフト制御装置は、
前記シフトポジション確定手段が、更に、前記異常判定手段によって異常検出がされたと判定された後に前記停止状態判定手段によって停止状態でないと判定されており、かつ前記特定シフトポジション以外のシフトポジションについては、前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号が共に、前記異常検出手段が前記特定シフトポジションについて異常検出がされたと判定したときのシフトポジション以外のシフトポジションを示している場合には、前記ブレーキ判定手段によるブレーキ操作が行われているか否かの判定を行なうことなく前記シフトポジションの確定を行
ものとしても良い
【0021】
また、本発明のシフト制御方法は、
更に、前記工程(c)で異常検出がされたと判定された後に前記工程(a)で停止状態でないと判定されており、かつ前記特定シフトポジション以外のシフトポジションについては、前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号が共に、前記工程(c)において前記特定シフトポジションについて異常検出がされたと判定したときのシフトポジション以外のシフトポジションを示している場合には、前記ブレーキ判定手段によるブレーキ操作が行われているか否かの判定を行なうことなく、前記シフトポジションの確定を行
ものとしても良い。
【0022】
こうしたシフト制御装置または方法においては、第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号のうち、一方が特定のシフトポジションを示しているが、他方が特定シフトポジションを示していない場合に、特定シフトポジションについて異常検出がされたと判定している。そして、異常検出がされたと判定された後に移動体が停止状態でないと判定されており、かつ前記特定シフトポジション以外のシフトポジションについては、前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号が共に、前記工程(c)において前記特定シフトポジションについて異常検出がされたと判定したときのシフトポジション以外のシフトポジションを示している場合には、前記ブレーキ判定手段によるブレーキ操作が行われているか否かの判定を行なうことなく、前記シフトポジションの確定を行うようにしている。
【0023】
即ち、移動体が走行状態にある場合において、特定シフトポジションについて異常検出がされた場合、停止状態のときのように、ブレーキ操作を求めたり、アクセル非操作を求めたりすることは、走行中のため困難である。従って、そのような場合、正常シフトポジションについては、そのまま、シフトポジションの確定を認めるようにしている。
【0024】
よって、こうしたシフト制御装置または方法によれば、移動体が走行状態にある場合に、特定シフトポジションについて異常検出がされた場合でも、適正なシフト制御を行うことができる。
【0025】
本発明のシフト制御装置において、前記第1のシフトポジションセンサは、シフトポジションを示す複数のスイッチ信号を前記検出信号として出力する複数のスイッチで構成されるスイッチ式センサ、前記第2のシフトポジションセンサは、シフトポジションを示すアナログ出力信号を前記検出信号として出力するアナログセンサであっても良く、また、前記第1及び第2のシフトポジションセンサは、共に、シフトポジションを示す複数のスイッチ信号を前記検出信号として出力する複数のスイッチで構成されるスイッチ式センサであっても良い。
【0026】
本発明のシフト制御装置において、前記第1のシフトポジションセンサがスイッチ式センサであり、前記第2のシフトポジションセンサがアナログセンサである場合に、
前記異常検出判定手段は、前記アナログセンサに異常があるが、前記スイッチ式センサには異常がないことが検出されたならば、前記特定シフトポジションについて異常検出がされたと判定した場合であっても、前記特定シフトポジションを異常シフトポジションとはせず、正常シフトポジションとすると共に、
前記シフトポジション確定手段は、前記アナログセンサからの検出信号を用いずに、前記スイッチ式センサからの検出信号のみを用いて、前記シフトポジションの確定を行うようにしても良い。
【0027】
このように、アナログセンサに異常があって、特定シフトポジションについて異常検出がされた場合でも、スイッチ式センサに異常がないことが明らかならば、特定シフトポジションについても、スイッチ式センサからの検出信号を用いて、シフトポジションの確定を行うようにして良い。
【0028】
本発明の第1の移動体は、シフトポジションを検出するための第1及び第2のシフトポジションセンサと、動力を出力するための動力システムと、該動力システムの起動/停止を行うためのイグニッションスイッチと、前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号に基づいてシフトポジションの確定を行うと共に、前記イグニッションスイッチからの信号に基づいて、前記動力システムの起動を制御するシフト制御装置と、を備え、シフトポジションがパーキングポジションにある場合に限り、前記イグニッションスイッチからイグニッションキーを抜くことができる移動体であって、
前記イグニッションスイッチに前記イグニッションキーが挿入され、前記イグニッションスイッチがオンされた際に、前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号のうち、一方がパーキングポジションを示しているが、他方がパーキングポジションを示しておらず、前記シフト制御装置が、パーキングポジションについて異常検出がされたと判定した場合において、その後、前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号が共にニュートラルポジションを示し、前記シフト制御装置が、ニュートラルポジションの確定を行った場合に、前記イグニッションスイッチがスタート位置に切り換えられたならば、前シフト制御装置は、前記動力システムを起動することを要旨とする。
【0029】
このように、本発明の第1の移動体では、イグニッションスイッチがオンされた際に、パーキングポジションについて異常検出がされた場合において、その後、ニュートラルポジションについてシフトポジションの確定が行われた場合、イグニッションスイッチが切り換えられると、動力システムを起動するようにしている。
【0030】
従って、通常時において、動力システムの起動をパーキングポジションでは認めているが、ニュートラルポジションでは認めていない移動体であっても、イグニッションスイッチをオンしたときに、パーキングポジションについて異常検出がされた場合には、ニュートラルポジションについてシフトポジションが確定することにより、ニュートラルポジションで動力システムを起動させることができる。従って、動力システム起動後に、ドライブポジションなどについて、シフトポジションの確定が可能であれば、移動体を走行させることも可能となる。
【0031】
本発明の第1の移動体において、前記動力システムは、動力源として、エンジン及び電動機を備えると共に、
前記シフト制御装置は、前記動力システムを起動する当たり、前記エンジンは起動しないことが好ましい。
【0032】
動力システムにおける動力源としてエンジン及び電動機を備える移動体では、通常、シフトポジションがニュートラルポジションで確定しているとき、エンジンが稼働していると、そのトルクを打ち消して車軸に伝達しないようにするために、電動機を駆動させる必要があるからである。
【0033】
本発明の第2の移動体は、シフトポジションを検出するための第1及び第2のシフトポジションセンサと、動力を出力するための動力システムと、該動力システムの起動/停止を行うためのイグニッションスイッチと、前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号に基づいてシフトポジションの確定を行うと共に、前記イグニッションスイッチからの信号に基づいて、前記動力システムの起動を制御するシフト制御装置と、を備え、シフトポジションがパーキングポジションにある場合に限り、前記イグニッションスイッチからイグニッションキーを抜くことができる移動体であって、
前記イグニッションスイッチに前記イグニッションキーが挿入され、前記イグニッションスイッチがオンされた際に、前記シフト制御装置が、前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号の示す内容に基づいて、パーキングポジションについて異常検出がされたと判定すると共に、パーキングポジション以外のシフトポジションについても異常検出する可能性があると判定した場合、前記シフト制御装置は、パーキングポジションについてはシフトポジションの確定を行い、その後、前記第1及び第2のシフトポジションセンサのうち、少なくとも一方からの検出信号の内容に変化があるまでの間に、前記イグニッションスイッチがスタート位置に切り換えられたならば、前記シフト制御装置は、前記動力システムを起動することを要旨とする。
【0034】
このように、本発明の第2の移動体では、イグニッションスイッチがオンされた際に、パーキングポジションについて異常検出がされ、さらに、他のシフトポジションについても異常検出する可能性がある場合に、パーキングポジションについて、一旦シフトポジションの確定を行い、その後、シフトポジションセンサからの検出信号の内容に変化があるまでの間、即ち、シフトレバーが動かされていない間に、イグニッションスイッチが切り換えられると、動力システムを起動するようにしている。
【0035】
従って、本発明の第2の移動体では、イグニッションスイッチがオンされた際に、パーキングポジションについて異常検出がなされても、パーキングポジションが確定され、シフトレバーが移動されない限り動力システムの起動が認められるので、車両内のエアコンなどを駆動させることは可能となる。
【0036】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.ハイブリッド車両の全体構成
B.ハイブリッド車両の基本動作
C.制御システムの構成
D.シフトポジションの確定
D−1.シフトポジションセンサの構成:
D−2.シフト制御装置の構成:
D−3.異常検出判定処理:
D−4.シフトポジション確定処理:
D−5.起動処理:
E.変形例
E−1.変形例1:
E−2.変形例2:
【0037】
A.ハイブリッド車両の全体構成:
図1は本発明の一実施例としてのシフト制御装置を含むハイブリッド車両の全体構成を示す説明図である。このハイブリッド車両は、エンジン150と、2つのモータ/ジェネレータMG1,MG2と、の3つの原動機を備えている。ここで、「モータ/ジェネレータ」とは、モータとしても機能し、また、ジェネレータとしても機能する原動機を意味している。なお、以下では簡単のため、これらを単に「モータ」と呼ぶ。車両の制御は、制御システム200によって行われる。
【0038】
制御システム200は、メインECU210と、ブレーキECU220と、バッテリECU230と、エンジンECU240とを有している。各ECUは、マイクロコンピュータや、入力インタフェース、出力インタフェースなどの複数の回路要素が1つの回路基板上に配置された1ユニットとして構成されたものである。メインECU210は、モータ制御部260とマスタ制御部270とを有している。マスタ制御部270は、3つの原動機150,MG1,MG2の出力の配分などの制御量を決定する機能を有している。
【0039】
動力システム300は、エンジン150と、モータMG1,MG2と、駆動回路191,192と、システムメインリレー193と、バッテリ194とを有している。
【0040】
エンジン150は、通常のガソリンエンジンであり、クランクシャフト156を回転させる。エンジン150の運転はエンジンECU240により制御されている。エンジンECU240は、マスタ制御部270からの指令に従って、エンジン150の燃料噴射量その他の制御を実行する。
【0041】
モータMG1,MG2は、同期電動機として構成されており、外周面に複数個の永久磁石を有するロータ132,142と、回転磁界を形成する三相コイル131,141が巻回されたステータ133,143とを備える。ステータ133,143はケース119に固定されている。モータMG1,MG2のステータ133,143に巻回された三相コイル131,141は、それぞれ駆動回路191,192を介し、システムメインリレー193を経て、バッテリ194に接続されている。システムメインリレー193は、バッテリ194と駆動回路191,192との接続または切り離しを行うリレースイッチである。システムメインリレー193はマスタ制御部270によって制御される。また、バッテリ194からの電力はシステムメインリレー193を経て補機(図示せず)にも供給されている。
【0042】
駆動回路191,192は、各相ごとにスイッチング素子としてのトランジスタを1対ずつ備えたトランジスタインバータである。駆動回路191,192はモータ制御部260によって制御される。モータ制御部260からの制御信号によって駆動回路191,192のトランジスタがスイッチングされると、バッテリ194とモータMG1,MG2との間に電流が流れる。モータMG1,MG2はバッテリ194からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし(以下、この動作状態を力行と呼ぶ)、ロータ132,142が外力により回転している場合には三相コイル131,141の両端に起電力を生じさせる発電機として機能してバッテリ194を充電することもできる(以下、この動作状態を回生と呼ぶ)。
【0043】
エンジン150とモータMG1,MG2の回転軸は、プラネタリギヤ120を介して機械的に結合されている。プラネタリギヤ120は、サンギヤ121と、リングギヤ122と、プラネタリピニオンギヤ123を有するプラネタリキャリア124と、から構成されている。本実施例のハイブリッド車両では、エンジン150のクランクシャフト156はダンパ130を介してプラネタリキャリア軸127に結合されている。ダンパ130はクランクシャフト156に生じる捻り振動を吸収するために設けられている。モータMG1のロータ132は、サンギヤ軸125に結合されている。モータMG2のロータ142は、リングギヤ軸126に結合されている。リングギヤ122の回転は、チェーンベルト129とデファレンシャルギア114とを介して車軸112および車輪116R,116Lに伝達される。
【0044】
制御システム200は、車両全体の制御を実現するために種々のセンサを用いており、例えば、運転者によるアクセルの踏み込み量を検出するためのアクセルセンサ165、シフトレバーの位置(シフトポジション)を検出するシフトポジションセンサ167、ブレーキの踏み込み圧力を検出するためのブレーキセンサ163、バッテリ194の充電状態を検出するためのバッテリセンサ196、およびモータMG2の回転数を測定ための回転数センサ144などを利用している。リングギヤ軸126と車軸112はチェーンベルト129によって機械的に結合されているため、リングギヤ軸126と車軸112の回転数の比は一定である。従って、リングギヤ軸126に設けられた回転数センサ144によって、モータMG2の回転数のみでなく、車軸112の回転数も検出することができる。また、センサではないが、イグニッションキー162を回すことにより動力システム300の起動/停止を行うためのイグニッションスイッチ161なども利用している。
【0045】
B.ハイブリッド車両の基本的動作:
ハイブリッド車両の基本的な動作を説明するために、以下ではまず、プラネタリギヤ120の動作について説明する。プラネタリギヤ120は、上述した3つの回転軸のうちの2つの回転軸の回転数が決定されると残りの回転軸の回転数が決まるという性質を有している。各回転軸の回転数の関係は次式(1)の通りである。
【0046】
Nc=Ns×ρ/(1+ρ)+Nr×1/(1+ρ) …(1)
【0047】
ここで、Ncはプラネタリキャリア軸127の回転数、Nsはサンギヤ軸125の回転数、Nrはリングギヤ軸126の回転数である。また、ρは次式で表される通り、サンギヤ121とリングギヤ122のギヤ比である。
【0048】
ρ=[サンギヤ121の歯数]/[リングギヤ122の歯数]
【0049】
また、3つの回転軸のトルクは、回転数に関わらず、次式(2),(3)で与えられる一定の関係を有する。
【0050】
Ts=Tc×ρ/(1+ρ) …(2)
Tr=Tc×1/(1+ρ)=Ts/ρ …(3)
【0051】
ここで、Tcはプラネタリキャリア軸127のトルク、Tsはサンギヤ軸125のトルク、Trはリングギヤ軸126のトルクである。
【0052】
本実施例のハイブリッド車両は、このようなプラネタリギヤ120の機能により、種々の状態で走行することができる。例えば、ハイブリッド車両が走行を始めた比較的低速な状態では、エンジン150を停止したまま、モータMG2を力行することにより車軸112に動力を伝達して走行する。同様にエンジン150をアイドル運転したまま走行することもある。
【0053】
走行開始後にハイブリッド車両が所定の速度に達すると、制御システム200はモータMG1を力行して出力されるトルクによってエンジン150をモータリングして始動する。このとき、モータMG1の反力トルクがプラネタリギヤ120を介してリングギヤ122にも出力される。
【0054】
エンジン150を運転してプラネタリキャリア軸127を回転させると、上式(1)〜(3)を満足する条件下で、サンギヤ軸125およびリングギヤ軸126が回転する。リングギヤ軸126の回転による動力はそのまま車輪116R,116Lに伝達される。サンギヤ軸125の回転による動力は第1のモータMG1で電力として回生することができる。一方、第2のモータMG2を力行すれば、リングギヤ軸126を介して車輪116R,116Lに動力を出力することができる。
【0055】
定常運転時には、エンジン150の出力が、車軸112の要求動力(すなわち車軸112の回転数×トルク)とほぼ等しい値に設定される。このとき、エンジン150の出力の一部はリングギヤ軸126を介して直接車軸112に伝えられ、残りの出力は第1のモータMG1によって電力として回生される。回生された電力は、第2のモータMG2がリングギヤ軸126を回転させるトルクを発生するために使用される。この結果、車軸112を所望の回転数で所望のトルクで駆動することが可能である。
【0056】
車軸112に伝達されるトルクが不足する場合には、第2のモータMG2によってトルクをアシストする。このアシストのための電力には、第1のモータMG1で回生した電力およびバッテリ149に蓄えられた電力が用いられる。このように、制御システム200は、車軸112から出力すべき要求動力に応じて2つのモータMG1,MG2の運転を制御する。
【0057】
本実施例のハイブリッド車両は、エンジン150を運転したまま後進することも可能である。エンジン150を運転すると、プラネタリキャリア軸127は前進時と同方向に回転する。このとき、第1のモータMG1を制御してプラネタリキャリア軸127の回転数よりも高い回転数でサンギヤ軸125を回転させると、上式(1)から明らかな通り、リングギヤ軸126は後進方向に反転する。制御システム200は、第2のモータMG2を後進方向に回転させつつ、その出力トルクを制御して、ハイブリッド車両を後進させることができる。
【0058】
プラネタリギヤ120は、リングギヤ122が停止した状態で、プラネタリキャリア124およびサンギヤ121を回転させることが可能である。従って、車両が停止した状態でもエンジン150を運転することができる。例えば、バッテリ194の残容量が少なくなれば、エンジン150を運転し、第1のモータMG1を回生運転することにより、バッテリ194を充電することができる。車両が停止しているときに第1のモータMG1を力行すれば、そのトルクによってエンジン150をモータリングし、始動することができる。
【0059】
C.制御システムの構成:
図2は、実施例における制御システム200のより詳細な構成を示すブロック図である。マスタ制御部270は、マスタ制御CPU272と、電源制御回路274とを含んでいる。また、モータ制御部260は、モータ主制御CPU262と、2つのモータMG1,MG2をそれぞれ制御するための2つのモータ制御CPU264,266とを有している。各CPUは、それぞれ図示しないCPUとROMとRAMと入力ポートと出力ポートを備えており、これらとともに1チップマイクロコンピュータを構成している。
【0060】
マスタ制御CPU272は、動力システム300の起動を制御したり、3つの原動機150,MG1,MG2の回転数やトルクの配分等の制御量を決定し、他のCPUやECUに各種の要求値を供給して、各原動機の駆動を制御したりする機能を有している。この制御のために、マスタ制御CPU272には、イグニッションスイッチ信号IGや、アクセル開度を示すアクセルポジション信号APや、シフトポジションを示すシフトポジション信号SP1,SP2等が供給されると共に、システムメインリレー193等に対しては起動信号STを出力する。なお、シフトポジションセンサ167は2重化されており、2つのシフトポジション信号SP1,SP2をマスタ制御CPU272に供給している。また、必要に応じて、他のセンサ、例えば、アクセルセンサ165などについても、2重化して良い。
【0061】
電源制御回路274は、バッテリ194の高圧直流電圧をメインECU210内の各回路用の低圧直流電圧に変換するためのDCDCコンバータである。この電源制御回路274は、マスタ制御CPU272の異常を監視する監視回路としての機能も有している。
【0062】
エンジンECU240は、マスタ制御CPU272から与えられたエンジン出力要求値PEreq に応じてエンジン150を制御する。エンジンECU240からは、エンジン150の回転数REVenがマスタ制御CPU272にフィードバックされる。
【0063】
モータ主制御CPU262は、マスタ制御CPU272から与えられたモータMG1,MG2に関するトルク要求値T1req,T2reqに応じて、2つのモータ制御CPU264,266にそれぞれ電流要求値I1req,I2reqを供給する。モータ制御CPU264,266は、電流要求値I1req,I2reqに従って駆動回路191,192をそれぞれ制御して、モータMG1,MG2を駆動する。モータMG1,MG2の回転数センサからは、モータMG1,MG2の回転数REV1,REV2がモータ主制御CPU262にフィードバックされている。なお、モータ主制御CPU262からマスタ制御CPU272には、モータMG1,MG2の回転数REV1,REV2や、バッテリ194から駆動回路191,192への電流値IBなどがフィードバックされている。
【0064】
バッテリECU230は、バッテリ194の充電状態SOCを監視するとともに、必要に応じてバッテリ194の充電要求値CHreq をマスタ制御CPU272に供給する。マスタ制御CPU272は、この要求値CHreq を考慮して各原動機の出力を決定する。すなわち、充電が必要な場合には、走行に必要な出力よりも大きい動力をエンジン150に出力させて、その一部を第1のモータMG1による充電動作に配分する。
【0065】
ブレーキECU220は、図示しない油圧ブレーキと、第2のモータMG2による回生ブレーキとのバランスを取る制御を行う。この理由は、このハイブリッド車両では、ブレーキ時に第2のモータMG2による回生動作が行われてバッテリ194が充電されるからである。具体的には、ブレーキECU220は、ブレーキセンサ163からのブレーキ圧力BPに基づいて、マスタ制御CPU272に回生要求値REGreq を入力する。マスタ制御CPU272は、この要求値REGreq に基づいてモータMG1,MG2の動作を決定して、ブレーキECU220に回生実行値REGpracをフィードバックする。ブレーキECU220は、この回生実行値REGpracと回生要求値REGreq の差分と、ブレーキ圧力BPとに基づいて、油圧ブレーキによるブレーキ量を適切な値に制御する。
【0066】
以上のように、マスタ制御CPU272は、各原動機150,MG1,MG2の出力を決定して、それぞれの制御を担当するECU240やCPU264,266に要求値を供給する。ECU240やCPU264,266は、この要求値応じて各原動機を制御する。この結果、ハイブリッド車両は、走行状態に応じて適切な動力を車軸112から出力して走行することができる。また、ブレーキ時には、ブレーキECU220とマスタ制御CPU272とが協調して、各原動機や油圧ブレーキの動作を制御する。この結果、電力を回生しつつ、運転者に違和感をあまり感じさせないブレーキングを実現することができる。
【0067】
4つのCPU272,262,264,266は、いわゆるウォッチドッグパルスWDPを用いて互いの異常を監視し、CPUに異常が発生してウォッチドッグパルスが停止した場合には、そのCPUにリセット信号RESを供給してリセットさせる機能を有している。なお、マスタ制御CPU272の異常は、電源制御回路274によっても監視されている。
【0068】
異常履歴登録回路280には、アクセルセンサ165やシフトポジションセンサ167の異常発生の履歴が登録される。また、異常履歴登録回路280の入力ポートには、マスタ制御CPU272とモータ主制御CPU262との間で送受信されるリセット信号RES1,RES2が入力されている。異常履歴登録回路280は、これらのリセット信号RES1,RES2が発生すると、これを内部のメモリに格納する。
【0069】
なお、マスタ制御CPU272と異常履歴登録回路280とは、双方向通信配線214を介して互いに各種の要求や通知を行うことができる。また、マスタ制御CPU272とモータ主制御CPU262の間にも双方向通信配線212が設けられている。
【0070】
D.シフトポジションの確定:
D−1.シフトポジションセンサの構成:
図3は、2種類のシフトポジションセンサ167a,167bの構成を示す説明図である。第1のシフトポジションセンサ167aは、シフトレバーの移動に伴って出力信号SP1が連続的に変化するアナログセンサ(例えばポテンショメータ)である。第2のシフトポジションセンサ167bは、複数のポジション位置に対応して設けられた複数のポジションスイッチSW1〜SW6で構成されたスイッチ式センサであり、ポジションスイッチ信号SP2を出力する。
【0071】
図4は、2つのシフトポジションセンサ167a,167bの入出力特性を示す説明図である。本実施例のハイブリッド車両では、5つのシフトポジション、パーキングポジション(Pポジション),リバースポジション(Rポジション),ニュートラルポジション(Nポジション),ドライブポジション(Dポジション),ブレーキポジション(Bポジション)を利用可能である。ここで、Bポジションは、Dポジションよりもエンジンブレーキの利きが良い走行モードを意味している。
【0072】
アナログセンサ出力信号SP1に関しては、グラフの縦軸に示されているように、各シフトポジションに対する有効な信号レベルの範囲が予め規定されている。この図の例ではアナログセンサ出力信号SP1の値(黒丸で示す)はPポジションの有効範囲内のレベルにある。また、ポジションスイッチ信号(スイッチ式センサ出力信号)SP2としては、Pポジションを示す第1のスイッチSW1のみがオン状態(黒丸で示す)となっている。このように、シフトポジションセンサ167を構成する2種類のセンサ167a,167bがいずれも正常に動作している場合には、2種類のセンサが同一のシフトポジションを与える。
【0073】
なお、この図の例では、アナログセンサ出力信号SP1は、横軸のシフトポジションの変化に対して斜めに直線的に変化しているが、階段状に変化するように、アナログセンサを構成しても良い。
【0074】
D−2.シフト制御装置の構成:
図5は図1のハイブリッド車両に搭載されているシフト制御装置の構成を示すブロック図である。2つのセンサ167a,167bの出力信号SP1,SP2は、マスタ制御CPU272に入力される。マスタ制御CPU272は、シフトポジション確定部272aとしての機能と、異常検出判定部272bとしての機能と、停止状態判定部272cとしての機能と、アクセル判定部272dとしての機能と、起動制御部272eとしての機能と、を有している。また、ブレーキECU220は、ブレーキ判定部220aとしての機能を有している。異常検出判定部272bは、2つのセンサ167a,167bからの出力信号SP1,SP2を基にして特定のシフトポジションについて異常検出がされたか否かを判定する。シフトポジション確定部272aは、出力信号SP1,SP2の示すシフトポジションが一致している場合、所定の条件の下にそのシフトポジションの確定を行う。停止状態判定部272cは、モータ主制御CPU262より提供されるモータMG2の回転数を示すREV2から、車軸112の回転数、即ち、車速を求め、車両が停止状態にあるか否かを判定する。アクセル判定部272dは、アクセルセンサ165からの出力信号APに基づいて運転者がアクセル操作を行っているか否かを判定する。起動制御部272eは、動力システム300におけるシステムメインリレー193やエンジン150の起動を制御する。ブレーキ判定部220aは、ブレーキセンサ163からの出力信号BPに基づいて運転者がブレーキ操作を行っているか否かを判定する。これらの各部272a〜272e,220aの機能は、図示しないROMに格納されたプログラムをマスタ制御CPU272,ブレーキECU220が実行することによって実現される。
【0075】
D−3.異常検出判定処理:
図6は図5に示すシフト制御装置による異常検出判定処理の処理手順を示すフローチャートである。図6に示す処理が開始されると、異常検出判定部272bは、アナログセンサである第1のシフトポジションセンサ167aからの出力信号SP1とスイッチ式センサである第2のシフトポジションセンサ167bからの出力信号SP2を入力し、これら出力信号SP1,SP2を基にして、特定のシフトポジションセンサについて異常検出がされたか否かを判定し(ステップS102)、異常検出がされたと判定した場合、さらに、それら出力信号SP1,SP2から、その検出した異常がどのような異常事象に属するかを決定する。異常検出がされていないと判定した場合には、ステップS102の処理が繰り返される。
【0076】
原則的には、アナログセンサ167aからの出力信号SP1の示すシフトポジションとスイッチ式センサ167bからの出力信号SP2の示すシフトポジションとが一致していない場合には、異常検出がされたと判定する。
【0077】
シフトポジションセンサの異常事象として、代表的なものには、次の4つの事象(#1〜#4)が挙げられる。
【0078】
図7はシフトポジションセンサの異常事象#1(アナログセンサ167aの断線等)を示す説明図である。この例では、実際のシフトレバーがPポジションにあって、スイッチ式センサ出力信号SP2はPポジションを正しく指しているが、アナログセンサ167aは、断線、グランド(GND)短絡、電源回り込みなどの異常によって、出力信号SP1を何ら出力しておらず、出力信号SP1,SP2の示すシフトポジションは一致していない。この場合、アナログセンサ167aからの信号SP1が出力されていないことにより、異常検出判定部272bは、アナログセンサ167aが断線等であることを即時に判定することができる。
【0079】
図8はシフトポジションセンサの異常事象#2(スイッチ式センサ167bのオン異常)を示す説明図である。この例では、実際のシフトレバーがDポジションにあって、アナログセンサ出力信号SP1はDポジションを正しく指しているが、スイッチ式センサ167bのうち、スイッチSW1がGND短絡などの異常によって常にオン状態(即ち、オン異常)となり、出力信号SP2はDポジションを示す他、Pポジションも示している。従って、出力信号SP1,SP2の示すシフトポジションは、Dポジションについては一致しているが、Pポジションについては一致していないことになる。この場合、スイッチ式センサ167bからの出力信号SP2が2つのポジションを示しているため、異常検出判定部272bは、スイッチ式センサ167bがオン異常であることを即時に判定することができる。
【0080】
但し、例えば、実際のシフトレバーがPポジションにあって、スイッチSW1がオン異常であるなどの場合には、出力信号SP2はPポジションのみを示すことになるため、シフトレバーがPポジションから他のポジションに移動するまで、異常検出判定部272bは、オン異常であることを判定することはできない。
【0081】
図9はシフトポジションセンサ167の異常事象#3(アナログセンサ出力のシフト)を示す説明図である。この例では、実際のアナログセンサ出力信号SP1’の特性が、正しい信号SP1の特性よりも上方にシフトしている。特に、Pポジション付近ではシフト量が大きく、Pポジションとは反対側にあるBポジションに近づくほどそのシフト量は少なくなっている。実際のシフトレバーはPポジションにあって、スイッチ式センサ出力信号SP2はPポジションであることを正しく指しているが、アナログセンサ出力信号SP1は出力されているものの、無効な範囲にある。従って、出力信号SP1,SP2の示すシフトポジションは、Pポジションについて一致していないことになる。この場合、アナログセンサ167aからの信号SP1が出力されているが、出力信号SP1の示すシフトポジションと出力信号SP2の示すシフトポジションとが一致していないことにより、異常検出判定部272bは、アナログセンサ167aが出力シフトしていることを即時に判定することができる。
【0082】
図10はシフトポジションセンサ167の異常事象#4(スイッチ式センサ167bのオフ異常)を示す説明図である。この例では、実際のシフトレバーがPポジションにあって、アナログセンサ出力信号SP1はPポジションを正しく指しているが、スイッチ式センサ167bのうち、スイッチSW1が断線、電源回り込みなどの故障によって常にオフ状態(即ち、オフ異常)となり、出力信号SP2はPポジションについては何ら出力されない。従って、出力信号SP1,SP2の示すシフトポジションは、Pポジションについては一致していないことになる。
【0083】
一般に、或るシフトポジションについて、アナログセンサ167aによる機械的な検出幅H1とスイッチ式センサ167bによる機械的な検出幅H2を比較すると、アナログセンサ167aによる機械的な検出幅H1の方が広くなっている。これは、アナログセンサ167aの方がばらつきが大きいため、それを考慮して、検出幅H1を広くしているからである。
【0084】
このため、スイッチ式センサ167bがオフ異常を起こしていなくても、アナログセンサ出力信号SP1が或るシフトポジションを示している場合に、スイッチ式センサ出力信号SP2がそのシフトポジションを示さない場合もあり得る。
【0085】
そこで、スイッチ式センサ167bがオフ異常を起こしているか否かを確実に判定するために、本実施例では、オフ異常について、次のような判定方法を用いている。
【0086】
即ち、異常検出判定部272bは、アナログセンサ出力信号SP1が或るシフトポジション(例えば、Pポジション)を示しているにも関わらず、スイッチ式センサ出力信号SP2が何れのシフトポジションも示していないことを検出した場合(つまり、Pポジションについてオフ異常を起こしている可能性がある場合)、まず、内部のカウンタをゼロにクリアする。そして、運転者によってシフトレバーが今のシフトポジション(Pポジション)から隣り合わない他のシフトポジション(例えば、Nポジション)まで移動され、アナログセンサ出力信号SP1がそのシフトポジション(Nポジション)を示し、スイッチ式センサ出力信号SP2もそのシフトポジション(Nポジション)を示し、シフトポジション確定部272aが、そのシフトポジション(Nポジション)についてシフトポジションの確定を行うと、異常検出判定部272bは、内部のカウンタで1をカウントする。
【0087】
続いて、運転者によってシフトレバーが今のシフトポジション(Nポジション)からオフ異常を起こしている可能性のあるシフトポジション(即ち、Pポジション)に戻され、異常検出判定部272bが、アナログセンサ出力信号SP1がそのシフトポジション(Pポジション)を示しているが、スイッチ式センサ出力信号SP2が何れのシフトポジションも示していないことを再び検出し、その後、運転者によってシフトレバーが今のシフトポジション(Pポジション)から再び隣り合わない他のシフトポジション(Nポジション)まで移動され、アナログセンサ出力信号SP1がそのシフトポジション(Nポジション)を示し、スイッチ式センサ出力信号SP2もそのシフトポジション(Nポジション)を示し、シフトポジション確定部272aが、そのシフトポジション(Nポジション)について再度シフトポジションの確定を行うと、異常検出判定部272bは、内部のカウンタで2をカウントする。
【0088】
以下これが繰り返され、カウンタで5をカウントすると、その時点で、異常検出判定部272bは、上記のシフトポジション(Pポジション)について、スイッチ式センサ167bがオフ異常を起こしていると確定する。但し、カウンタで5をカウントするまでに、オフ異常を起こしている可能性のあるシフトポジション(即ち、Pポジション)において、スイッチ式センサ出力信号SP2がそのシフトポジションを示した場合には、異常検出判定部272bは、カウンタの値をクリアする。
【0089】
以上のようにして、スイッチ式センサ167bがオフ異常を起こしているかどうかを確実に判定するようにしている。なお、異常検出判定部272bがオフ異常を起こしていると確定するまでの間、シフトポジション確定部272aは、オフ異常を起こしている可能性のあるシフトポジションについては、そのシフトポジションの確定は行わないが、それ以外のシフトポジションについては、通常通り、シフトポジションの確定を行う。
【0090】
また、各シフトポジションについて、隣り合わないシフトポジションとは次の通りである。
【0091】
即ち、Pポジションについては、N、D、またはBポジションであり、Rポジションについては、DまたはBポジションであり、Nポジションについては、PまたはBポジションであり、Dポジションについては、PまたはRポジションであり、Bポジションについては、P、RまたはNポジションである。
【0092】
このように、スイッチ式センサ167bがオフ異常を起こしているか否かを判定するために、オフ異常を起こしている可能性のあるシフトポジションに対し、隣り合うポジションではなく、あえて、隣り合わないポジションへのシフトレバーの移動を条件とするのは、運転者が、無意識ではなく意識してシフトレバーを動かしていることを確認するためである。
【0093】
さて、図6に戻って、以上のようにして異常事象が決定されたら、異常検出判定部272bは、その異常事象が、特定の異常事象に当たるか否かを判定する(ステップS104)。特定の異常事象とは、上記した4つの異常事象のうち、異常事象#3と#4である。
【0094】
特定の異常事象に当たらない、即ち、異常事象#1や#2であると判定した場合、異常検出判定部272bは、シフトポジション確定部272aに対し、その後のシフトポジション確定部272aにおけるシフトポジション確定処理の中止を指示する(ステップS108)。この結果、異常事象#1または#2であると判定された場合には、その後、何れのシフトポジションについても、シフトポジションの確定は行われなくなる。
【0095】
このように、異常事象#1または#2が発生した場合、シフトポジションの確定を行わないようにする理由は次の通りである。異常事象#1は前述したとおりアナログセンサ167aの断線等であり、異常事象#2はスイッチ式センサ167bのオン異常である。アナログセンサ167aの断線等の場合、特定のシフトポジションだけでなく、すべてのシフトポジションについて異常と検出され得るので、このまま、シフトポジション確定処理を継続しても、正確なシフトポジションの確定が期待できないからである。
【0096】
また、スイッチ式センサ167bのオン異常の場合は、スイッチ式センサ167bからの出力信号SP2が2つ以上のポジションを示すので、1つのポジションに特定することができないし、また、アナログセンサ167aの検出結果によってその1つのポジションに決定するにしても、アナログセンサ167aはばらつきが大きいので、アナログセンサ167aの検出結果に頼るのも確実性に欠けるからである。
【0097】
一方、特定の異常事象に当たる、即ち、異常事象#3や#4であると判定した場合、異常検出判定部272bは、シフトポジション確定部272aに対し、異常検出がされたと判定した特定のシフトポジションについて、異常検出フラグを立て(ステップS106)、その特定シフトポジションを異常シフトポジションとし、それ以外のシフトポジションを正常シフトポジションとする。この結果、異常事象#3または#4であると判定された場合には、後述するように、その後、正常シフトポジションについてのみ、一定条件の下で、シフトポジションの確定が行われる。
【0098】
このように、異常事象#3または#4が発生した場合に、シフトポジションの確定を行うことを認める理由は次の通りである。異常事象#3は前述したとおりアナログセンサ出力のシフトであり、異常事象#4はスイッチ式センサ167bのオフ異常である。アナログセンサ出力のシフトの場合、シフト量の大きいシフトポジション(異常シフトポジション)については、アナログセンサ出力信号SP1が無効範囲となるものの、それ以外の正常シフトポジションについては、アナログセンサ出力信号SP1,スイッチ式センサ出力信号SP2共、正常に出力され、正確なシフトポジションの確定が十分可能だからである。
【0099】
また、スイッチ式センサ167bのオフ異常の場合は、スイッチ式センサ167bのうち、オフ異常となったスイッチに対応するシフトポジション(異常シフトポジション)についてだけ、スイッチ式センサ出力信号SP2が出力されなくなるだけで、それ以外の正常シフトポジションについては、アナログセンサ出力信号SP1,スイッチ式センサ出力信号SP2共、正常に出力され、正確なシフトポジションの確定が十分可能だからである。
【0100】
ところで、上記した異常事象#1、即ち、アナログセンサ167aの断線等の場合、アナログセンサ167aからは出力信号SP1として正常な信号は得られないものの、スイッチ式センサ167bの方は、アナログセンサ167aとは無関係であるため、各スイッチがすべて正常であれば、出力信号SP2として、各シフトポジション毎に正常な信号を得ることができる。また、スイッチ式センサ167bは、アナログセンサ167aのようなばらつきもなく、各シフトポジションを精度よく検出することができる。従って、異常事象#1の場合でも、スイッチ式センサ167bの各スイッチがすべて正常であることが確認された場合には、スイッチ式センサ出力信号SP2のみによって正確なシフトポジションの確定が十分可能と考えられる。
【0101】
そこで、図6のステップS104,S106において、次のような処理を追加するようにしても良い。
【0102】
即ち、異常検出判定部272bは、ステップS104において、決定された異常事象が特定の異常事象には当たらないと判定した場合でも、その異常事象が異常事象#1である場合には、スイッチ式センサ167bの各スイッチがすべて正常であるか否かを判定する。そして、正常であると判定した場合に、異常検出判定部272bは、ステップS106において、シフトポジション確定部272aに対し異常検出フラグは立てるものの、すべてのシフトポジションを、異常シフトポジションではなく、正常シフトポジションとする。この結果、異常事象#1であっても、スイッチ式センサ167bが正常であることが確認された場合には、特定の異常事象(#3,#4)の場合と同様に、その後、正常シフトポジション(この場合、すべてのシフトポジション)について、一定条件の下で、シフトポジションの確定が行われる。
【0103】
よって、このような処理を追加することにより、例え、アナログセンサ167aに断線等の異常があっても、スイッチ式センサ167bが正常であるならば、シフトポジション確定処理を中止することなく、正常シフトポジションについてシフトポジションの確定を行うことができる。
【0104】
D−4.シフトポジション確定処理:
図11は図5に示すシフト制御装置によるシフトポジション確定処理の第1の具体例を示すフローチャートである。図6に示した異常検出判定処理と並行して、図11に示す処理が開始されると、シフトポジション確定部272aは、アナログセンサ167aからの出力信号SP1とスイッチ式センサ167bからの出力信号SP2を入力し、これら出力信号SP1,SP2の示すシフトポジションが互いに一致しているか否かを判定する(ステップS112)。一致していないと判定した場合には、ステップS112の処理が繰り返されて、一致するまで待機することになる。但し、その間に、図6に示したステップS108で、異常検出判定部272bからシフトポジション確定部272aに対しシフトポジション確定処理の中止の指示があった場合には、図11に示す処理は直ちに中止される。
【0105】
一方、シフトポジションが一致していると判定した場合には、シフトポジション確定部272aは、何れかのシフトポジションについて異常検出フラグが立っているか否かを判定する(ステップS114)。異常検出フラグが立っていないと判定した場合には、何れのシフトポジションについても異常検出がなされていないので、シフトポジション確定部272aは、入力された出力信号SP1,SP2が共に示すシフトポジションについて、シフトポジションの確定を行う(ステップS122)。
【0106】
一方、ステップS114において、何れかのシフトポジションについて異常検出フラグが立っていると判定した場合には、シフトポジション確定部272aは、その異常検出フラグが何れのシフトポジションについて立っているかを検出して、異常シフトポジションがどのシフトポジションであるかを認識する。そして、シフトポジション確定部272aは、入力された出力信号SP1,SP2が共に示すシフトポジションが、異常シフトポジションではなく、正常シフトポジションであることを確認する(ステップS116)。
【0107】
次に、停止状態判定部272cは、モータ主制御CPU262より提供されるモータMG2の回転数を示すREV2から、車軸112の回転数、即ち、車速を求めて、車両が停止状態にあるか否かを判定する(ステップS118)。判定の結果、停止状態でなく、走行状態であると判定された場合には、シフトポジション確定部272aは、そのまま、入力された出力信号SP1,SP2が共に示すシフトポジションについて、シフトポジションの確定を行う(ステップS122)。
【0108】
この結果、車両が走行状態にある場合には、出力信号SP1,SP2の示すシフトポジションが一致すれば、無条件に、シフトポジションの確定が行われる。
【0109】
一方、車両が停止状態であると判定された場合には、シフトポジション確定部272aは、ブレーキECU220のブレーキ判定部220aに指示して、そのブレーキ判定部220aに、ブレーキセンサ163からの出力信号BPに基づいて、運転者がブレーキ操作を行っているか(即ち、運転者がブレーキペダルを踏んでいるか)否かを判定させる(ステップS120)。
【0110】
判定の結果、シフトポジション確定部272aは、ブレーキ操作がなされていると判定された場合に、入力された出力信号SP1,SP2が共に示すシフトポジションについて、シフトポジションの確定を行う(ステップS122)。ブレーキ操作がなされていないと判定された場合には、シフトポジションの確定は行わず、ステップS112の処理に戻る。
【0111】
こうして、シフトポジション確定部272aにおいて、シフトポジションの確定が行われると、そのシフトポジションに応じた制御が、マスタ制御部270やモータ制御部260やECU240などによって行われる。
【0112】
以上のように、本実施例では、特定のシフトポジションについて異常検出がされた場合でも、正常シフトポジションについては、一定の条件の下でシフトポジションの確定を認めるようにしている。即ち、車両が停止状態である場合は、運転者によってブレーキ操作が行われていることが確認されたならば、新たなシフト制御を行っても、車両が動き出す恐れがないため、シフトポジションの確定を認めるようにしている。また、車両が走行状態であれば、停止状態の時のようにブレーキ操作を求めたりすることは困難であるため、正常シフトポジションについては、そのまま、シフトポジションの確定を認めるようにしている。
【0113】
従って、本実施例によれば、特定のシフトポジションについて異常検出がされた場合でも、停止状態の時には、正常シフトポジションについて、安全性を確保しながら、適正なシフト制御を行うことができ、走行状態の時には、その走行状態を保ちながら、適正なシフト制御を行うことができる。
【0114】
図12は図5に示すシフト制御装置によるシフトポジション確定処理の第2の具体例を示すフローチャートである。図12に示す第2の具体例が図11に示した第1の具体例と異なる点は、新たに、車両が停止状態である場合のシフトポジションの確定を行うための条件として、運転者によるブレーキ操作の他、アクセル非操作を要求する点である。
【0115】
図12において、ステップS118までの処理は、図11に示した処理と同様なので、説明は省略する。ステップS118において、車両が停止状態であると判定された場合、シフトポジション確定部272aは、ブレーキECU220のブレーキ判定部220a、及びアクセル判定部272dにそれぞれ指示し、ブレーキECU220のブレーキ判定部220aに対しては、ブレーキセンサ163からの出力信号BPに基づいて、運転者がブレーキ操作を行っているか否かを判定させ(ステップS120)、アクセル判定部272dに対しては、アクセルセンサ165からの出力信号APに基づいて、運転者がアクセル操作を行っていないか(即ち、運転者がアクセルペダルを踏んでいないか)どうかを判定させる(ステップS124)。
【0116】
以上の判定の結果、シフトポジション確定部272aは、ブレーキ操作がなされており、かつ、アクセル操作がなされていないと判定された場合にのみ、入力された出力信号SP1,SP2が共に示すシフトポジションについて、シフトポジションの確定を行う(ステップS122)。それ以外の場合には、シフトポジションの確定は行わず、ステップS112の処理に戻る。
【0117】
以上のように、運転者によるブレーキ操作が行われていることが確認されると共に、アクセル操作が行われていないことが確認されたならば、車両が動き出す恐れはさらになくなるため、より高い安全性を確保しながら、適正なシフト制御を行うことができる。
【0118】
図13は図5に示すシフト制御装置によるシフトポジション確定処理の第3の具体例を示すフローチャートである。図13に示す第3の具体例が図12に示した第2の具体例と異なる点は、車両が停止状態である場合、PポジションやNポジションについては、シフトポジションの確定を行うための条件(即ち、運転者によるブレーキ操作やアクセル非操作)を課さない点である。
【0119】
図13において、ステップS118までの処理は、図11または図12に示した処理と同様なので、説明は省略する。ステップS118において、車両が停止状態であると判定された場合、シフトポジション確定部272aは、入力された出力信号SP1,SP2が共に示すシフトポジションが、PポジションまたはNポジションであるか否かを判定する(ステップS126)。判定の結果、PポジションまたはNポジションであると判定した場合には、そのまま、出力信号SP1,SP2が共に示すシフトポジションについて、シフトポジションの確定を行う(ステップS122)。
【0120】
反対に、PポジションでもNポジションでもないと判定した場合には、ブレーキ判定部220aに、運転者がブレーキ操作を行っているか否かを判定させる(ステップS120)と共に、アクセル判定部272dに、運転者がアクセル操作を行っていないかどうかを判定させ、ブレーキ操作がなされ、かつ、アクセル操作がなされていないと判定された場合にのみ、シフトポジション確定部272aは、出力信号SP1,SP2が共に示すシフトポジションについて、シフトポジションの確定を行う(ステップS122)。
【0121】
以上のように、この具体例では、特定のシフトポジションについて異常検出がされた場合でも、PポジションやNポジションが正常シフトポジションの場合、Pポジションにおいては、車軸が機械的に固定されるため、また、Nポジションにおいては、車軸に動力が伝達されないため、これらのシフトポジションについては、新たなシフト制御を行っても、車両が動き出す恐れがなく、よって、シフトポジションの確定を認めるようにしている。
【0122】
従って、この具体例によれば、特定のシフトポジションについて異常検出がされた場合でも、停止状態の時、PポジションやNポジションが正常シフトポジションである場合には、それらシフトポジションについて適正なシフト制御を行うことができる。
【0123】
なお、図13に示した具体例では、Pポジション及びNポジション以外のシフトポジションについては、図12の具体例と同様に、アクセル非操作を条件として課しているが、図11の具体例のように、この条件を外すようにしても良い。
【0124】
図14は図5に示すシフト制御装置によるシフトポジション確定処理の第4の具体例を示すフローチャートである。図14に示す第4の具体例が図13に示した第3の具体例と異なる点は、PポジションやNポジションについて、運転者によるアクセル非操作のみを、シフトポジションの確定を行うための条件として課すようにした点である。
【0125】
図14において、ステップS118までの処理は、図11または図12に示した処理と同様なので、説明は省略する。ステップS118において、車両が停止状態であると判定された場合、シフトポジション確定部272aは、入力された出力信号SP1,SP2が共に示すシフトポジションが、PポジションまたはNポジションであるか否かを判定する(ステップS126)。判定の結果、PポジションまたはNポジションであると判定した場合には、シフトポジション確定部272aは、アクセル判定部272dに指示して、そのアクセル判定部272dに、アクセルセンサ165からの出力信号APに基づいて、運転者がアクセル操作を行っていないかどうかを判定させる(ステップS124)。
【0126】
そして、アクセル操作が行われていないと判定された場合、シフトポジション確定部272aは、入力された出力信号SP1,SP2が共に示すシフトポジションについて、シフトポジションの確定を行う(ステップS122)。逆に、アクセル操作が行われていると判定された場合には、シフトポジションの確定は行わず、ステップS112の処理に戻る。
【0127】
このように、運転者によってアクセル操作が行われていないことが確認されたならば、車両が動き出す恐れはさらになくなるため、より高い安全性を確保しながら、適正なシフト制御を行うことができる。
【0128】
D−5.起動処理:
ところで、ハイブリッド車両においては、シフトポジションがNポジションである場合、エンジン150のトルクとモータMG1のトルクを零にしてニュートラル状態を保っている。しかし、運転者が最初イグニッションスイッチ161にイグニッションキー162を挿入して、動力システム300を起動する場合、エンジン起動時においてはエンジン150の回転数が不安定となるために、エンジン150の回転数に合わせたモータMG1のトルク制御ができないため、Nポジションでの動力システム300の起動は認めていない。従って、動力システム300の起動は、シフトポジションがPポジションにある場合(即ち、Pポジションが確定している場合)にのみ行うようにしている。
【0129】
しかしながら、Pポジションについて異常検出された場合には、Pポジションが確定されなくなってしまうため、動力システム300を一切起動することができなくなってしまう。
【0130】
そこで、本実施例では、動力システム300を起動するに当たり、Pポジションについて異常検出されている場合には、Pポジションに代えて、Nポジションでの起動を認めるようにしている。
【0131】
また、上記した異常が異常事象#1や#2である場合には、シフトポジションの確定処理そのものが中止されてしまうため、Pポジションのみならず、Nポジションでの起動も不可能となってしまう。
【0132】
そこで、本実施例では、動力システム300を起動するに当たり、異常事象#1または#2が発生している場合には、Pポジションについて1回に限りシフトポジションの確定を認めて、Pポジションでの起動を可能としている。但し、これは、ハイブリッド車両自体が、シフトポジションがPポジションにある場合に限り、イグニッションスイッチ161からイグニッションキー162を抜くことができる構成となっていることが、前提となっている。即ち、このように構成されている場合には、イグニッションキー162が抜かれた状態では、シフトポジションは常にPポジションとなっており、次回、イグニッションキー162が挿入された時も、シフトポジションがPポジションとなっていることが保証されているからである。
【0133】
それでは、そのような動力システム300の起動処理について、図15を参照しながら説明する。
【0134】
図15は図5に示すシフト制御装置による起動処理の処理手順を示すフローチャートである。運転者によって、イグニッションスイッチ161にイグニッションキー162が挿入され、イグニッションスイッチ161が「オン」位置に切り換えられてオンされると、マスタ制御CPU272が起動し、図6に示した異常検出判定処理に並行して、図15に示す処理が開始される。
【0135】
起動制御部272eは、まず、異常検出判定部272bからシフトポジション確定部272aにシフトポジション確定処理の中止が指示されたかどうかを、シフトポジション確定部272aに確認する(ステップS130)。
【0136】
中止が指示されていない場合には、並行して、図11〜図14に示したシフトポジション確定処理が行われていることになる。そこで、起動制御部272eは、次に、Pポジションについて異常検出フラグが立っているかどうかを、シフトポジション確定部272aに確認する(ステップS132)。そして、Pポジションについて異常検出フラグが立っていない、即ち、異常検出がなされていない場合には、さらに、Pポジションが確定しているかどうかを確認した上で(ステップS134)、イグニッションスイッチ161からのイグニッションスイッチ信号IGに基づいて、イグニッションスイッチ161が「オン」位置からさらに「スタート」位置に切り換えられたかどうかを判定する(ステップS136)。切り換えられていない場合には、切り換えられるまで待機する。切り換えられた場合には、起動制御部272eは、起動信号STによって、動力システム300のシステムメインリレー193を制御してオンする(ステップS138)と共に、エンジンECU240やモータ主制御CPU262に対して、エンジン150の起動指示を発する(ステップS140)。システムメインリレー193がオンされると、バッテリ194は駆動回路191,192や補機などと接続されて、それらに電力が供給される。また、モータ主制御CPU262及びエンジン150は、前述したように、モータMG1を力行し、そのトルクによってエンジン150をモータリングして、エンジン150を起動する。
【0137】
このようにして、Pポジションについて異常検出がされていない、即ち、Pポジションが正常シフトポジションである場合には、通常通りの起動処理が行われる。
【0138】
一方、ステップS132において、Pポジションについて異常検出フラグが立っている、即ち、異常検出がなされていることが確認された場合には、起動制御部272eは、Nポジションが確定するまで待機する(ステップS142)。そして、運転者によって、シフトレバーがPポジションからNポジションに切り換えられ、シフトポジション確定部272aによってNポジションの確定が行われたことが確認されたら、起動制御部272eは、イグニッションスイッチ161からのイグニッションスイッチ信号IGに基づいて、イグニッションスイッチ161が「オン」位置から「スタート」位置に切り換えられたかどうかを判定する(ステップS144)。切り換えられていない場合には、切り換えられるまで待機する。切り換えられた場合には、起動制御部272eは、起動信号STによって、動力システム300のシステムメインリレー193を制御してオンする(ステップS146)。但し、この場合、前述したようなエンジン150の起動処理は行わない。
【0139】
ハイブリッド車両では、Nポジションで確定しているとき、エンジン150が稼働していると、トルクが車軸に伝達しないようにするために、モータMG1とモータMG2を駆動させない。Nポジションでの動力システム300の起動では、エンジン150の起動は行わないようにしている。
【0140】
以上のように、Pポジションについて異常検出がされている場合でも、Nポジションが正常シフトポジションであって、Nポジションについてシフトポジションが確定している場合には、Pポジションに代えて、Nポジションでの起動を認めることによって、動力システム300が一切起動されないという事態を回避することができる。
【0141】
また、この場合、Nポジション以外にも正常シフトポジションがあれば、動力システム300起動後に、それら正常シフトポジションへの切り換えも可能である。例えば、Dポジジョンも正常シフトポジションであれば、運転者がシフトレバーをNポジションからDポジションに動かすことにより、車両をモータMG2などによって走行させることができる。その場合、走行後、必要に応じて、動力システム300起動時には起動されていなかったエンジン150も、起動される。
【0142】
ところで、シフトポジション確定部272aが上記したNポジションを確定するに当たり、図13に示したシフトポジション確定処理を用いている場合には、次のようになる。即ち、運転者が、例えば、ブレーキペダルを離し(ブレーキ操作をせず)、かつ、アクセルペダルを踏みながら(アクセル操作を行いながら)、シフトレバーをPポジションからNポジションまで動かしても、シフトポジション確定部272aは、Nポジションについてシフトポジションの確定を行う。その後、運転者がイグニッションキー162を回しイグニッションスイッチ161が「スタート」位置に切り換えられると、起動制御部272eが、システムメインリレー193をオンして、動力システム300を起動する。しかし、運転者が上記の状態のまま、さらにシフトレバーをDポジションまで動かしても、運転者はブレーキペダルを踏み(ブレーキ操作を行い)、かつ、アクセルペダルを離していない(アクセル操作を行っていない)ので、シフトポジション確定部272aは、Dポジションについて、シフトポジションの確定は行わない。従って、このような場合、動力システム300の起動はされるが、車両は暴走したりすることはない。
【0143】
さて、図15に戻り、ステップS130において、シフトポジション確定処理の中止が指示されていることが確認されたならば、シフトポジション確定部272aは、アナログセンサ167aからの出力信号SP1とスイッチ式センサ167bからの出力信号SP2を参照して、Pポジションについて、シフトポジションの確定を行う(ステップS148)。次に、これを受けて、起動制御部272eは、シフトポジション確定部272aに対し、それら出力信号SP1,SP2の内容に変化がないか確認した上で(ステップS150)、イグニッションスイッチ161からのイグニッションスイッチ信号IGに基づいて、イグニッションスイッチ161が「オン」位置から「スタート」位置に切り換えられたかどうかを判定する(ステップS152)。切り換えられていない場合には、切り換えられるまで待機する。但し、待機している間に、運転者によって、シフトレバーがPポジションから動かされ、それによって、アナログセンサ167a,スイッチ式センサ167bからの出力信号SP1,SP2の何れかの内容に変化があった場合には、起動制御部272eは、直ちに処理を終了する。
【0144】
しかし、Pポジションの確定(ステップS148)後から、シフトレバーが動かされずに、イグニッションスイッチ161が「スタート」位置に切り換えられた場合には、起動制御部272eは、起動信号STによって、動力システム300のシステムメインリレー193を制御してオンする(ステップS138)と共に、エンジンECU240やモータ主制御CPU262に対して、エンジン150の起動指示を発する(ステップS140)。これによって、シフト確定処理が中止されていても、動力システム300は起動することが可能となる。
【0145】
但し、この場合、シフト確定処理が中止されているので、動力システム300起動後に、運転者により、シフトレバーがPポジションから例えばDポジジョンに動かされても、Dポジジョンについては、シフトポジションの確定が行われないため、車両を走行させることはできない。しかしながら、動力システム300が起動したことによって、エアコンなどの補機類は駆動可能であるため、車両内の環境は平常通りに保つことができる。
【0146】
このように、動力システム300を起動するに当たり、異常事象#1または#2が発生し、シフトポジション確定処理が中止されている場合でも、Pポジションについて1回に限りシフトポジションの確定を認めて、Pポジションでの起動を可能としているので、エアコンなどの補機類を駆動させることができるようになる。
【0147】
E.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0148】
E−1.変形例1:
上記各実施例では、プラネタリアギアを用いて、エンジンの動力を車軸と第1のモータMG1とに分配するいわゆる機械分配式のハイブリッド車両について説明したが、本発明は、プラネタリアギアを用いずにモータ/ジェネレータを用いて電気的にエンジンの動力を分配するいわゆる電気分配式のハイブリッド車両にも適用可能である。電気分配式のハイブリッド車両については、例えば本出願人により開示された特開平9−46965号公報に開示されているので、ここではその説明は省略する。
【0149】
また、本発明は、ハイブリッド車両以外の他の車両(例えば、通常のガソリン車や、ディーゼル車や、メタノール車や、電気自動車など)や、飛行機、船舶などの種々の移動体に適用可能である。すなわち、本発明は、シフトポジションセンサを備え、少なくとも1つの原動機を用いた移動体に適用可能である。さらに、本発明は、移動体以外の制御にも適用することが可能である。
【0150】
E−2.変形例2:
上記実施例では、第1のシフトポジションセンサとしてアナログセンサを、第2のシフトポジションセンサとしてスイッチ式センサを用いるようにしたが、第1及び第2のシフトポジションセンサ共、スイッチ式センサを用いるようにしても良い。このように、第1及び第2のシフトポジションセンサ共、スイッチ式センサを用いるようにした場合、スイッチ式センサは比較的検出精度が高いため、より精度よくシフトポジションを検出することができる。また、アナログセンサの場合、断線等が生じると、信号は一切出力されないが、スイッチ式センサの場合、各スイッチは各々独立であるため、断線等が起きても、他のスイッチに波及することがなく、断線等が生じていないスイッチについては正常な信号を出力することができるので、第1及び第2のシフトポジションセンサ共にスイッチ式センサを用いた場合、より信頼性が向上する。
【0151】
また、上記した実施例では、スイッチ式センサの各スイッチは、それぞれ、シフトレバーが或るシフトポジションにある場合に、そのシフトポジションに対応するスイッチがオンし、対応しないスイッチはオフするようになっていたが、逆に、そのシフトポジションに対応するスイッチがオフし、対応しないスイッチがオンするような構成であっても良い。その場合、前述したスイッチ式センサのオン異常とオフ異常は、形式的に入れ替わることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としてのシフト制御装置を含むハイブリッド車両の全体構成を示す説明図である。
【図2】制御システム200のより詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】2種類のシフトポジションセンサ167a,167bの構成を示す説明図である。
【図4】2つのシフトポジションセンサ167a,167bの入出力特性を示す説明図である。
【図5】図1のハイブリッド車両に搭載されているシフト制御装置の構成を示すブロック図である。
【図6】図5に示すシフト制御装置による異常検出判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】シフトポジションセンサの異常事象#1(アナログセンサ167aの断線等)を示す説明図である。
【図8】シフトポジションセンサの異常事象#2(スイッチ式センサ167bのオン異常)を示す説明図である。
【図9】シフトポジションセンサ167の異常事象#3(アナログセンサ出力のシフト)を示す説明図である。
【図10】シフトポジションセンサ167の異常事象#4(スイッチ式センサ167bのオフ異常)を示す説明図である。
【図11】図5に示すシフト制御装置によるシフトポジション確定処理の第1の具体例を示すフローチャートである。
【図12】図5に示すシフト制御装置によるシフトポジション確定処理の第2の具体例を示すフローチャートである。
【図13】図5に示すシフト制御装置によるシフトポジション確定処理の第3の具体例を示すフローチャートである。
【図14】図5に示すシフト制御装置によるシフトポジション確定処理の第4の具体例を示すフローチャートである。
【図15】図5に示すシフト制御装置による起動処理の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
112…車軸
114…デファレンシャルギア
116R,116L…車輪
119…ケース
120…プラネタリギヤ
121…サンギヤ
122…リングギヤ
123…プラネタリピニオンギヤ
124…プラネタリキャリア
125…サンギヤ軸
126…リングギヤ軸
127…プラネタリキャリア軸
129…チェーンベルト
130…ダンパ
131,141…三相コイル
132,142…ロータ
133,143…ステータ
144…回転数センサ
149…バッテリ
150…エンジン
156…クランクシャフト
161…イグニッションスイッチ
162…イグニッションキー
163…ブレーキセンサ
165…アクセルセンサ
167…シフトポジションセンサ
167a…アナログセンサ
167b…スイッチ式センサ
191,192…駆動回路
193…システムメインリレー
194…バッテリ
196…バッテリセンサ
200…制御システム
210…メインECU
212…双方向通信配線
214…双方向通信配線
220…ブレーキECU
220a…ブレーキ判定部
230…バッテリECU
240…エンジンECU
260…モータ制御部
262…モータ主制御CPU
264,266…モータ制御CPU
270…マスタ制御部
272…マスタ制御CPU
272a…シフトポジション確定部
272b…異常検出判定部
272c…停止状態判定部
272d…アクセル判定部
272e…起動制御部
274…電源制御回路
280…異常履歴登録回路
300…動力システム
MG1…第1のモータ
MG2…第2のモータ

Claims (13)

  1. シフトポジションを検出するための第1及び第2のシフトポジションセンサを備える移動体に搭載され、前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号に基づいてシフトポジションを確定するシフト制御装置であって、
    前記移動体が停止状態にあるか否かを判定する停止状態判定手段と、
    前記移動体において、運転者がブレーキ操作を行っているか否かを判定するブレーキ判定手段と、
    前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号のうち、一方が特定のシフトポジションを示しているが、他方が前記特定シフトポジションを示していない場合に、前記特定シフトポジションについて異常検出がされたと判定する異常検出判定手段と、
    前記異常判定手段によって異常検出がされたと判定された後に前記停止状態判定手段によって停止状態であると判定されており、かつ前記特定シフトポジション以外のシフトポジションについては、前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号が共に、前記異常検出手段が前記特定シフトポジションについて異常検出がされたと判定したときのシフトポジション以外のシフトポジションを示している場合、a)前記ブレーキ判定手段によってブレーキ操作が行われていると判定された場合には、前記シフトポジションの確定を行い、b)前記ブレーキ判定手段によってブレーキ操作が行われていると判定されていない場合には、シフトポジションの確定を行わないシフトポジション確定手段と、
    を備えるシフト制御装置。
  2. 請求項1に記載のシフト制御装置において、
    前記移動体において、前記運転者がアクセル操作を行っているか否かを判定するアクセル判定手段をさらに備えると共に、
    前記シフトポジション確定手段は、前記シフトポジションの確定を、前記ブレーキ判定手段によるブレーキ操作が行われているとの判定に加えて、前記アクセル判定手段によってアクセル操作が行われていないと判定された場合に行うことを特徴とするシフト制御装置。
  3. 請求項1記載のシフト制御装置であって、
    前記シフトポジション確定手段は、前記シフトポジションの確定を行う際の前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号が、前記異常検出手段が前記特定シフトポジションについて異常検出がされたと判定したときのシフトポジション以外のシフトポジションであって、しかもパーキングポジション及びニュートラルポジションのうち、少なくとも一方のシフトポジションであれば、前記ブレーキ判定手段によるブレーキ操作の判定を行うことなく、前記シフトポジションの確定を行う
    シフト制御装置。
  4. 請求項2に記載のシフト制御装置において、
    前記シフトポジション確定手段は、前記シフトポジションの確定を行う際の前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号が、前記異常検出手段を前記特定シフトポジションについて異常検出がされたと判定したときのシフトポジション以外のシフトポジションであって、しかもパーキングポジション及びニュートラルポジションのうち、少なくとも一方のシフトポジションであれば、前記ブレーキ判定手段によるブレーキ操作の判定および前記アクセル判定手段によるアクセル操作の判定を行うことなく、前記シフトポジションの確定を行う
    シフト制御装置。
  5. 請求項1記載のシフト制御装置であって、
    前記シフトポジション確定手段は、更に、前記異常判定手段によって異常検出がされたと判定された後に前記停止状態判定手段によって停止状態でないと判定されており、かつ前記特定シフトポジション以外のシフトポジションについては、前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号が共に、前記異常検出手段が前記特定シフトポジションについて異常検出がされたと判定したときのシフトポジション以外のシフトポジションを示している場合には、前記ブレーキ判定手段によるブレーキ操作が行われているか否かの判定を行なうことなく前記シフトポジションの確定を行
    シフト制御装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のうちの任意の1つに記載のシフト制御装置において、
    前記第1のシフトポジションセンサは、シフトポジションを示す複数のスイッチ信号を前記検出信号として出力する複数のスイッチで構成されるスイッチ式センサであり、
    前記第2のシフトポジションセンサは、シフトポジションを示すアナログ出力信号を前記検出信号として出力するアナログセンサであることを特徴とするシフト制御装置。
    (請求項7削除)
  7. 請求項1ないし請求項5のうちの任意の1つに記載のシフト制御装置において、
    前記第1及び第2のシフトポジションセンサは、共に、シフトポジションを示す複数のスイッチ信号を前記検出信号として出力する複数のスイッチで構成されるスイッチ式センサであることを特徴とするシフト制御装置。
  8. 移動体に搭載されるシフトポジションを検出するための第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号に基づいて、シフトポジションを確定するシフト制御方法であって、
    (a)前記移動体が停止状態にあるか否かを判定する工程と、
    (b)前記移動体において、運転者がブレーキ操作を行っているか否かを判定する工程と、
    (c)前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号のうち、一方が特定のシフトポジションを示しているが、他方が前記特定シフトポジションを示していない場合に、前記特定シフトポジションについて異常検出がされたと判定する工程と、
    (d)前記工程(c)において異常検出がされたと判定された後に前記工程(a)で停止状態であると判定されており、かつ前記特定シフトポジション以外のシフトポジションについては、前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号が共に、前記工程(c)で前記特定シフトポジションについて異常検出がされたと判定したときのシフトポジション以外のシフトポジションを示している場合、イ)前記工程(b)でブレーキ操作が行われていると判定された場合に、前記シフトポジションの確定を行い、ロ)前記工程(b)でブレーキ操作が行われていると判定されていない場合には、シフトポジションの確定を行わない工程と、
    を備えるシフト制御方法。
  9. 請求項8記載のシフト制御方法であって、
    前記工程(d)は、前記シフトポジションの確定を行う際の前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号が、前記工程(c)で前記特定シフトポジションについて異常検出がされたと判定したときのシフトポジション以外のシフトポジションであって、しかもパーキングポジション及びニュートラルポジションのうち、少なくとも一方のシフトポジションであれば、前記工程(b)でのブレーキ操作の判定を行うことなく、前記シフトポジションの確定を行う
    シフト制御装置。
  10. 請求項8記載のシフト制御方法であって、
    更に、前記工程(c)で異常検出がされたと判定された後に前記工程(a)で停止状態でないと判定されており、かつ前記特定シフトポジション以外のシフトポジションについては、前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号が共に、前記工程(c)において前記特定シフトポジションについて異常検出がされたと判定したときのシフトポジション以外のシフトポジションを示している場合には、前記ブレーキ判定手段によるブレーキ操作が行われているか否かの判定を行なうことなく、前記シフトポジションの確定を行
    シフト制御方法。
  11. シフトポジションを検出するための第1及び第2のシフトポジションセンサと、動力を出力するための動力システムと、該動力システムの起動/停止を行うためのイグニッションスイッチと、前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号に基づいてシフトポジションの確定を行うと共に、前記イグニッションスイッチからの信号に基づいて、前記動力システムの起動を制御するシフト制御装置と、を備え、シフトポジションがパーキングポジションにある場合に限り、前記イグニッションスイッチからイグニッションキーを抜くことができる移動体であって、
    前記イグニッションスイッチに前記イグニッションキーが挿入され、前記イグニッションスイッチがオンされた際に、前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号のうち、一方がパーキングポジションを示しているが、他方がパーキングポジションを示しておらず、前記シフト制御装置が、パーキングポジションについて異常検出がされたと判定した場合において、その後、前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号が共にニュートラルポジションを示し、前記シフト制御装置が、ニュートラルポジションの確定を行った場合に、前記イグニッションスイッチがスタート位置に切り換えられたならば、前シフト制御装置は、前記動力システムを起動することを特徴とする移動体。
  12. 請求項11に記載の移動体において、
    前記動力システムは、動力源として、エンジン及び電動機を備えると共に、
    前記シフト制御装置は、前記動力システムを起動する当たり、前記エンジンは起動しないことを特徴とする移動体。
  13. シフトポジションを検出するための第1及び第2のシフトポジションセンサと、動力を出力するための動力システムと、該動力システムの起動/停止を行うためのイグニッションスイッチと、前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号に基づいてシフトポジションの確定を行うと共に、前記イグニッションスイッチからの信号に基づいて、前記動力システムの起動を制御するシフト制御装置と、を備え、シフトポジションがパーキングポジションにある場合に限り、前記イグニッションスイッチからイグニッションキーを抜くことができる移動体であって、
    前記イグニッションスイッチに前記イグニッションキーが挿入され、前記イグニッションスイッチがオンされた際に、前記シフト制御装置が、前記第1及び第2のシフトポジションセンサからの検出信号の示す内容に基づいて、パーキングポジションについて異常検出がされたと判定すると共に、パーキングポジション以外のシフトポジションについても異常検出する可能性があると判定した場合、前記シフト制御装置は、パーキングポジションについてはシフトポジションの確定を行い、その後、前記第1及び第2のシフトポジションセンサのうち、少なくとも一方からの検出信号の内容に変化があるまでの間に、前記イグニッションスイッチがスタート位置に切り換えられたならば、前記シフト制御装置は、前記動力システムを起動することを特徴とする移動体。
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