[本実施形態の構成]
以下、本発明に係るシフト位置検出装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るシフト位置検出装置10の概略全体構成図である。
シフト位置検出装置10は、自動変速機を搭載した車両に適用され、運転者によるシフトレバーのシフト操作によって選択されたシフト位置(シフトレンジ)を検出する装置である。シフト位置としては、例えば、図1に示すように、駐車位置P(Pレンジ)、後退位置R(Rレンジ)、中立位置N(Nレンジ)、前進位置D(Dレンジ)、ブレーキ位置B(Bレンジ)がある。従って、前記車両では、シフト位置検出装置10で検出されたシフト位置に基づいて、運転者の所望する動作を行うように自動変速機を制御することができる。なお、Bレンジは、ハイブリッド車両において、降坂走行時等にモータによる回生制動力を増大させたい場合に選択されるシフト位置である。
ここで、シフト位置を検出するためのシフト位置検出装置10の構成について、具体的に説明する。
シフト位置検出装置10は、運転者によるシフトレバーのシフト操作によって選択されたシフト位置に対応する接点信号S1〜S5等を出力するインヒビタースイッチ12と、接点信号S1〜S5等に基づいてシフト位置を特定するECU(Electronic Control Unit)14とを有する。
インヒビタースイッチ12及びECU14は、5本の信号線L1〜L5及び2本の低電位線LAG、LLGを介して電気的に接続されている。これらのラインは、例えば、束にしてワイヤハーネスとして構成してもよい。低電位線LAG、LLGは、信号線L1〜L5を介して出力される接点信号S1〜S5よりも低レベルの低電位信号AGND、LGNDを出力させるための信号ラインである。なお、低電位線LLGは、アースラインである。
インヒビタースイッチ12は、基点Oに対して同心円状に配置された円弧状の複数の接点配置領域16〜24を有する。すなわち、基点Oから径方向に離間するように、接点配置領域16と、接点配置領域18と、接点配置領域20と、接点配置領域22及び接点配置領域24とが順に配置されている。この場合、接点配置領域22、24は、他の接点配置領域16〜20よりも狭い角度範囲に設定されている。
また、接点配置領域16〜24を跨ぐように、導電体からなる可動接点部26が基点Oから径方向に延在している。可動接点部26は、運転者によるシフトレバーのシフト操作に連動し、基点Oを中心として、接点配置領域16〜24の角度範囲内を回動可能である。可動接点部26の基点O側は、低電位線LAGと電気的に接続されると共に、抵抗器R7を介して低電位線LLGと電気的に接続されている。
接点配置領域16には、導電体からなる3つのポジション用接点30〜34が互いに離間して設けられている。また、接点配置領域18には、導電体からなる2つのポジション用接点36、38が互いに離間して設けられている。さらに、接点配置領域20には、導電体からなる3つのポジション用接点40〜44が互いに離間して設けられている。さらにまた、接点配置領域22には、導電体からなる2つのポジション用接点46、48が互いに離間して設けられ、接点配置領域24には、導電体からなる1つのポジション用接点50が設けられている。
なお、ポジション用接点30〜50は、例えば、電気絶縁基板上の所定領域を円弧状の接点配置領域16〜24に設定し、これらの接点配置領域16〜24に円弧状の導電パターンを形成することにより構成することができる。
ここで、運転者によるシフトレバーのシフト操作に起因して、可動接点部26が基点Oを中心として接点配置領域16〜24の角度範囲内を回動する場合、インヒビタースイッチ12では、可動接点部26の所定の回動角度(回動位置)を、運転者が選択したシフト位置に応じた角度(位置)として割り当てている。
具体的に、図1において可動接点部26が配置されている角度は、Pレンジ(に応じた角度)として割り当てられている。また、該Pレンジから時計方向に順に、Rレンジ、Nレンジ、Dレンジ及びBレンジ(に応じた角度)が割り当てられている。なお、図1において、可動接点部26が配置されていないRレンジ、Nレンジ、Dレンジ及びBレンジの各シフト位置は、それぞれ、破線で表示されている。
接点配置領域16〜24において、Pレンジ上に1つのポジション用接点30が配置され、Rレンジ上に2つのポジション用接点40、46が配置され、Nレンジ上に4つのポジション用接点32、36、42、48が配置され、Dレンジ上に2つのポジション用接点38、50が配置され、Bレンジ上に3つのポジション用接点34、44、50が配置されている。なお、ポジション用接点50は、接点配置領域24の大半を覆っており、Dレンジ及びBレンジの2つの位置を跨ぐように形成されている。
図2は、インヒビタースイッチ12内の電気的接続を模式的に示したものであり、説明の容易化のために、接点配置領域16〜24を矩形状に図示している。
接点配置領域16の3つのポジション用接点30〜34は、信号線L2と電気的に接続されている。接点配置領域18の2つのポジション用接点36、38は、信号線L3と電気的に接続されている。接点配置領域20の3つのポジション用接点40〜44は、信号線L4と電気的に接続されている。接点配置領域22の2つのポジション用接点46、48は、信号線L1と電気的に接続されている。接点配置領域24の1つのポジション用接点50は、信号線L5と電気的に接続されている。
一方、可動接点部26は、接点配置領域16〜24のポジション用接点30〜50と接触可能な4つの摺動接点66〜74を有する。
ここで、ECU14(図1参照)から信号線L1〜L5を介して各ポジション用接点30〜50に電圧(後述する電圧VIGに応じた電圧)が供給されている場合、可動接点部26がPレンジに配置されていれば、摺動接点66とポジション用接点30とが接触する。これにより、信号線L2は、ポジション用接点30、摺動接点66、抵抗器R7を介してアースに接続されることになる。この結果、インヒビタースイッチ12は、摺動接点66に接触するポジション用接点30の電圧(抵抗器R7の低電位線LAG側の電位)を接点信号S2とし、信号線L2を介してECU14に出力する。
また、可動接点部26がRレンジに配置されていれば、摺動接点72とポジション用接点40とが接触すると共に、摺動接点74とポジション用接点46とが接触する。これにより、信号線L1、L4は、ポジション用接点40、46、摺動接点72、74、抵抗器R7を介してアースにそれぞれ接続される。この場合、ECU14から信号線L1〜L5を介して各ポジション用接点30〜50に電圧が供給されていれば、インヒビタースイッチ12は、摺動接点72に接触するポジション用接点40の電圧を接点信号S4とし、信号線L4を介してECU14に出力する。また、インヒビタースイッチ12は、摺動接点74に接触するポジション用接点46の電圧を接点信号S1とし、信号線L1を介してECU14に出力する。
さらに、可動接点部26がNレンジに配置されていれば、摺動接点66とポジション用接点32とが接触し、摺動接点68とポジション用接点36とが接触し、摺動接点72とポジション用接点42とが接触し、且つ、摺動接点74とポジション用接点48とが接触する。これにより、信号線L1〜L4は、ポジション用接点32、36、42、48、摺動接点66〜74、抵抗器R7を介してアースにそれぞれ接続される。この場合、ECU14から信号線L1〜L5を介して各ポジション用接点30〜50に電圧が供給されていれば、インヒビタースイッチ12は、摺動接点66に接触するポジション用接点32の電圧を接点信号S2とし、信号線L2を介してECU14に出力する。また、インヒビタースイッチ12は、摺動接点68に接触するポジション用接点36の電圧を接点信号S3とし、信号線L3を介してECU14に出力する。さらに、インヒビタースイッチ12は、摺動接点72に接触するポジション用接点42の電圧を接点信号S4とし、信号線L4を介してECU14に出力する。さらにまた、インヒビタースイッチ12は、摺動接点74に接触するポジション用接点48の電圧を接点信号S1とし、信号線L1を介してECU14に出力する。
さらにまた、可動接点部26がDレンジに配置されていれば、摺動接点68とポジション用接点38とが接触し、摺動接点74とポジション用接点50とが接触する。これにより、信号線L3、L5は、ポジション用接点38、50、摺動接点68、74、抵抗器R7を介してアースにそれぞれ接続される。この場合、ECU14から信号線L1〜L5を介して各ポジション用接点30〜50に電圧が供給されていれば、インヒビタースイッチ12は、摺動接点68に接触するポジション用接点38の電圧を接点信号S3とし、信号線L3を介してECU14に出力する。また、インヒビタースイッチ12は、摺動接点74に接触するポジション用接点50の電圧を接点信号S5とし、信号線L5を介してECU14に出力する。
また、可動接点部26がBレンジに配置されていれば、摺動接点66とポジション用接点34とが接触し、摺動接点72とポジション用接点44とが接触し、摺動接点74とポジション用接点50とが接触する。これにより、信号線L2、L4、L5は、ポジション用接点34、44、50、摺動接点66、72、74、抵抗器R7を介してアースにそれぞれ接続される。この場合、ECU14から信号線L1〜L5を介して各ポジション用接点30〜50に電圧が供給されていれば、インヒビタースイッチ12は、摺動接点66に接触するポジション用接点34の電圧を接点信号S2とし、信号線L2を介してECU14に出力する。また、インヒビタースイッチ12は、摺動接点72に接触するポジション用接点44の電圧を接点信号S4とし、信号線L4を介してECU14に出力する。さらに、インヒビタースイッチ12は、摺動接点74に接触するポジション用接点50の電圧を接点信号S5とし、信号線L5を介してECU14に出力する。
なお、可動接点部26がPレンジ、Rレンジ、Nレンジ、Dレンジ又はBレンジのいずれのシフト位置に配置されていても、インヒビタースイッチ12は、抵抗器R7に印加される電圧を低電位信号AGND、LGNDとし、低電位線LAG、LLGを介してECU14に出力することができる。なお、低電位信号AGNDは、抵抗器R7の低電位線LAG側の電位を示す信号であり、低電位信号LGNDは、アース電位を示す信号である。
一方、ECU14は、車両全体を制御するものであり、マイクロコンピュータ等から構成され、電圧供給回路52と、信号検出回路(信号検出手段)54、A/D変換回路56、CPU(シフト位置特定手段、異常判定手段)58、テーブル60、メモリ62及び抵抗器R6を有する。また、抵抗器R6、R7、低電位線LAG、LLG及びA/D変換回路56によって、電圧検出部(電圧検出手段)65が構成される。
電圧供給回路52は、抵抗器R1〜R5及びコンデンサC1〜C5から構成される5つの直列回路を並列に接続し、各直列回路の中点にダイオードD1〜D5をそれぞれ接続して構成される。各抵抗器R1〜R5は、車両のバッテリに接続可能であり、コンデンサC1〜C5は、接地されている。さらに、ダイオードD1〜D5のアノードは、各直列回路の中点(抵抗器R1〜R5とコンデンサC1〜C5との間の接続点)にそれぞれ接続され、カソードは、信号線L1〜L5にそれぞれ接続されている。さらにまた、前記各直列回路の中点は、信号検出回路54にそれぞれ接続されている。
この場合、運転者の操作によりイグニッションスイッチがアクセサリ位置にあれば、バッテリから抵抗器R1〜R5に直流電圧(電圧VIG)が供給される。この結果、電圧供給回路52は、ダイオードD1〜D5及び信号線L1〜L5を介してインヒビタースイッチ12の各ポジション用接点30〜50に、電圧VIGに応じた電圧を供給することが可能となる。
電圧供給回路52から各ポジション用接点30〜50への電圧供給中、運転者によるシフトレバーのシフト操作に連動して可動接点部26が回動することにより、該可動接点部26がいずれか1つのシフト位置(Pレンジ、Rレンジ、Nレンジ、Dレンジ又はBレンジ)に配置された場合、該1つのシフト位置(運転者により選択されたシフト位置)上のポジション用接点30〜50から信号線L1〜L5を介して電圧供給回路52に、選択されたシフト位置に応じた接点信号S1〜S5が出力される。
ここで、図3に示すように、抵抗器R1〜R5の抵抗値は、相対的に高く、抵抗器R6、R7の抵抗値は、相対的に低く設定されている。また、接点信号S1〜S5及び低電位信号AGND、LGNDは、各抵抗器R1〜R7にそれぞれ対応している。なお、低電位信号AGNDは、抵抗器R7の低電位線LAG側の電位を示している。
信号線L1〜L5に接続されたポジション用接点30〜50と、摺動接点66〜74とが電気的に絶縁されることにより、信号線L1〜L5と抵抗器R7とが電気的に絶縁されていれば、接点信号S1〜S5が出力されることはない。この場合、各直列回路の中点の電位は、コンデンサC1〜C5への電荷の蓄積によって、電圧VIGに応じた比較的高い電位となる。従って、インヒビタースイッチ12から接点信号S1〜S5が出力されない場合、各直列回路の中点から信号検出回路54には、電圧VIGに応じた比較的高い電圧(高レベル信号)が供給されることになる。
一方、ポジション用接点30〜50と摺動接点66〜74とが電気的に接続されることにより、信号線L1〜L5と抵抗器R7とが電気的に接続されると、インヒビタースイッチ12から信号線L1〜L5を介して各直列回路の中点に接点信号S1〜S5が出力される。前述のように、抵抗器R6、R7は低抵抗であるため、抵抗器R7の電位に応じた接点信号S1〜S5は、低レベルの信号となる。この結果、接点信号S1〜S5が供給される各直列回路の中点の電位は、該接点信号S1〜S5に応じた比較的低い電位となる。従って、インヒビタースイッチ12から接点信号S1〜S5が出力される場合、各直列回路の中点から信号検出回路54には、接点信号S1〜S5に応じた比較的低い電圧(低レベル信号)が供給されることになる。
信号検出回路54は、コンパレータ64を有する。コンパレータ64の反転入力端子は、各直列回路の中点と電気的に接続され、正転入力端子は、抵抗器R8、R9の直列回路の中点と電気的に接続されている。抵抗器R8、R9の直列回路において、抵抗器R8側には、電圧VIGが供給され、抵抗器R9側は接地されている。
ここで、電圧供給回路52からの電圧は、コンパレータ64の反転入力端子に入力されると共に、抵抗器R8、R9の直列回路によって電圧VIGから分圧された電圧VIG×R9/(R8+R9)は、コンパレータ64の非反転入力端子に入力される。
コンパレータ64は、各入力端子に入力された電圧を比較し、両者の電位差が所定値よりも大きければ「1」の値を出力し、一方で、両者の電位差が所定値よりも小さければ「0」の値を出力する。すなわち、コンパレータ64は、電圧供給回路52からの電圧と電圧VIG×R9/(R8+R9)とのアナログ入力に基づいて、「1」又は「0」の2進数のデジタル値を出力する。
具体的に、接点信号S1〜S5に応じた比較的低い電圧が反転入力端子に入力された場合、コンパレータ64は、電圧VIG×R9/(R8+R9)との電位差が大きくなるため、「1」の値をCPU58に出力する。また、電圧VIGに応じた比較的高い電圧が反転入力端子に入力された場合、コンパレータ64は、電圧VIG×R9/(R8+R9)との電位差が小さくなるため、「0」の値をCPU58に出力する。なお、コンパレータ64の出力端子には、抵抗器R10を介して電圧VCC(バッテリの電圧)も供給されている。
ところで、電圧供給回路52は、前述のように、5つの直列回路を有し、これらの直列回路の中点から信号検出回路54に電圧を供給する。そのため、信号検出回路54は、図示しない切替スイッチによって、各直列回路の中点とコンパレータ64の反転入力端子との電気的接続を順次切り替えながら、コンパレータ64に対して、非反転入力端子に入力される電圧VIG×R9/(R8+R9)と、反転入力端子に入力される電圧との比較を順次行わせ、「1」又は「0」の値をCPU58に出力させる。
従って、5つの直列回路の中点からの電圧に応じたデジタル値が信号検出回路54からCPU58に順次出力されることにより、CPU58は、5つの直列回路に応じた「1」又は「0」の値を示す信号パターン(2進数の5桁のビット列)を取得することができる。
一方、電圧検出部65において、A/D変換回路56は、抵抗器R6、R7に発生する電圧の値(低電位線LAG、LLG間の電位差であって、低電位信号AGND、LGNDのレベル差)をホールドしてデジタル値に変換し、変換後のデジタル値をCPU58に出力する。
CPU58は、信号検出回路54から取得した信号パターンや、電圧検出部65のA/D変換回路56から入力されたデジタル値(電圧)を用いて、運転者によるシフトレバーのシフト操作により選択されたシフト位置を検出し、さらには、信号線L1〜L5及び低電位線LAG、LLGの断線又はショート(故障状態、異常状態)の発生の有無等を判定することにより、運転者が選択したシフト位置、故障の発生の有無、故障発生箇所を確定する。CPU58は、取得した信号パターン及びデジタル値と、確定したシフト位置、故障の発生の有無、故障発生箇所とをメモリ62に記憶する。
テーブル60には、信号線L1〜L5及び低電位線LAG、LLGの断線又はショートに応じた信号パターンや、これらの故障が発生しない正常時に取得される信号パターンが記憶されている。従って、CPU58は、信号線L1〜L5及び低電位線LAG、LLGの断線又はショートの発生の有無を判定する際に、取得した信号パターンと、テーブル60内の信号パターンとを比較することにより、信号線L1〜L5及び低電位線LAG、LLGの断線又はショートの発生の有無を判定し、断線又はショートが発生している場合には、故障発生箇所を特定する。
[本実施形態の基本動作]
本実施形態に係るシフト位置検出装置10は、以上のように構成されるものであり、次に、該シフト位置検出装置10の動作のうち、信号線L1〜L5及び低電位線LAG、LLGの断線又はショート等の故障状態(異常状態)が発生していない正常時の動作について、図4A、図4B及び図5を参照しながら説明する。
ここでは、図1のように、運転者がシフトレバーをシフト操作することにより、可動接点部26がPレンジとなった場合(運転者がPレンジを選択した場合)について説明する。
図4Aは、可動接点部26がPレンジに配置された場合での電圧供給回路52からインヒビタースイッチ12を介して電圧検出部65に至るまでの等価回路図である。
運転者によるシフトレバーのシフト操作に連動して、可動接点部26がPレンジとなった場合、可動接点部26の摺動接点66とポジション用接点30とが接触し、抵抗器R2、ダイオードD2、信号線L2、ポジション用接点30、摺動接点66、可動接点部26を介して抵抗器R6、R7に電圧VIG(に応じた電圧)が印加される。この結果、インヒビタースイッチ12は、信号線L2を介して電圧供給回路52に接点信号S2を出力する。また、電圧供給回路52は、5つの直列回路の中点のうち、信号線L2に接続された中点における接点信号S2に応じた低電位の電圧を信号検出回路54に供給すると共に、他の信号線L1、L3〜L5に接続された各中点における電圧VIGに応じた高電位の電圧を信号検出回路54に供給する。
信号検出回路54では、図示しないスイッチによって、5つの直列回路の中点と、コンパレータ64の反転入力端子との電気的接続を順次切り替えており、コンパレータ64は、電気的接続が切り替わる毎に、非反転入力端子に入力される電圧VIG×R9/(R8+R9)と、反転入力端子に入力される直列回路の中点の電圧とを比較し、その比較結果を「1」又は「0」のデジタル値としてCPU58に出力する。
この場合、接点信号S2に応じた電圧は、比較的低電位であるため、コンパレータ64は、「1」のデジタル値をCPU58に出力する。一方、他の直列回路の中点から供給される電圧は、電圧VIGに応じた比較的高い電圧であるため、コンパレータ64は、「0」のデジタル値をCPU58に出力する。
図4Bは、信号検出回路54からCPU58に入力される信号パターンを示す。この場合、抵抗器R1〜R5に対応した2進数の5桁のビット列「01000」がCPU58に入力される。すなわち、抵抗器R1〜R5(を含む直列回路の中点)をビット列のbit4〜bit0に対応させると、抵抗器R2の直列回路の中点には、接点信号S2が供給されたため、bit3のデジタル値は「1」であり、他の直列回路の中点には接点信号S1、S3〜S5が供給されなかったため、bit0〜2及びbit4のデジタル値は「0」となっている。
なお、図4Bには、前記2進数のビット列を16進数(Hex)で表わした数値「8」も図示されている。また、図4Bでは、抵抗器R1に対応するbit4を最上位ビット(MSB)とし、抵抗器R5に対応するbit0を最下位ビット(LSB)としている。
図5には、各シフト位置に応じた信号パターンが16進数で表記されている。これらの信号パターンの一覧は、テーブル60に記憶されている。前述のように、信号検出回路54からCPU58に2進数のビット列「01000」が入力され、このビット列が16進数で「8」であるため、CPU58は、テーブル60を参照することにより、「8」がPレンジを示していることを特定(確定)することができる。
なお、図5には、正常時の信号パターンや、故障時の信号パターンも格納されている。
この場合、太枠で囲われた信号パターンは、信号検出回路54から入力された信号パターンと、図5中の信号パターンとを比較するだけで、シフト位置や、シフト位置検出装置10の正常又は故障、さらには、故障発生箇所を特定できる信号パターンである。すなわち、太枠で囲われた信号パターンは、図5中に同じ信号パターンが存在せず、従って、シフト位置、シフト位置検出装置10の正常又は故障、故障発生箇所を一意的に特定(確定)することのできるパターンである。
また、斜線で囲われた信号パターンは、図5中に同じ信号パターンがあるため、信号検出回路54から入力された信号パターンと、図5中の信号パターンとを比較するだけでは、シフト位置や、シフト位置検出装置10の正常又は故障、さらには、故障発生箇所を特定できないパターンである。
また、太枠で囲われておらず、且つ、白抜きの信号パターンは、信号検出回路54から入力された信号パターンと、図5中の信号パターンとを比較することにより、シフト位置を特定することはできるが、シフト位置検出装置10の正常又は故障や故障発生箇所を特定できないパターンである。
一方、電圧検出部65のA/D変換回路56は、抵抗器R6、R7に発生する電圧の値をホールドしてデジタル値に変換しCPU58に出力する。
図5に示すように、Pレンジの場合には、正常時の信号パターンと、一部の故障の信号パターンとが互いに同じ信号パターンとなっている。
従って、CPU58は、正常時の電圧のデジタル値(正常値)が予め分かっていれば、A/D変換回路56から入力されたデジタル値と正常値とを比較し、両者が略同じ値であれば、信号線L1〜L5及び低電位線LAG、LLGに断線又はショート等の故障が発生していないことを直ちに判定(確定)することができる。
なお、故障が発生している場合におけるシフト位置検出装置10の動作については、以下に説明する。
[第1の故障形態]
次に、信号線L1がショートした場合について、図4C〜図6を参照しながら説明する。ここでも、図6のように、運転者がシフトレバーをシフト操作することにより、可動接点部26がPレンジとなって、該運転者がPレンジを選択した場合について説明する。なお、第1の故障形態においても、電圧供給回路52からインヒビタースイッチ12を介して電圧検出部65に至るまでの等価回路図は、図4Aと同様である。
但し、第1の故障形態では、信号線L1のショートにより、信号線L1及びダイオードD1を介して、抵抗器R1を含む直列回路の中点が接地されることになるため、該中点は比較的低電位となり、この中点から信号検出回路54に低電位の電圧が供給される点で、図4A及び図4Bで説明した正常時の動作とは異なる。そのため、信号検出回路54において、コンパレータ64は、ショートした信号線L1に接続される中点からの比較的低い電圧が反転入力端子に入力された場合、「1」のデジタル値をCPU58に出力する。
この結果、図4Cに示すように、信号検出回路54からCPU58に入力される信号パターンは、正常時のビット列「01000」と比較して、信号線L1に応じたMSB(bit4)が「1」となった2進数のビット列「11000」となる。また、図4Cには、ビット列「11000」を16進数で表わした数値「18」も図示されている。
CPU58では、入力された信号パターン(2進数で「11000」、16進数で「18」)と、テーブル60に記憶された信号パターン(図5参照)とを比較する。この場合、16進数で「18」の信号パターンは、図5中、シフト位置がPレンジで信号線L1がショートしている場合(「Pレンジ」且つ「L1ショート」)の信号パターンに該当するため、CPU58は、運転者がPレンジを選択し、且つ、信号線L1がショートしていることを速やかに確定することができる。すなわち、第1の故障形態では、故障の発生に関わりなく、運転者が選択したシフト位置(Pレンジ)を容易に確定することができると共に、故障の有無や故障発生箇所を瞬時に検知することができる。
この結果、運転者の意図したシフト位置で自動変速機が制御されて、車両が移動することになる。また、故障の発生の有無及び故障発生箇所の特定が全てCPU58で行われるため、運転者が関与する必要もなくなる。
なお、CPU58には、A/D変換回路56から抵抗器R6、R7の電圧値に応じたデジタル値も入力されている。この場合、接点信号S2が出力される信号線L2がショートしておらず、従って、A/D変換回路56から入力されたデジタル値と正常値とは略同じ値となるため、CPU58は、低電位線LAG、LLGの断線又はショートが発生していないことを速やかに判定(確定)することもできる。
[第2の故障形態]
次に、信号線L2がショートしている場合に、運転者がシフトレバーをシフト操作することにより、可動接点部26がRレンジとなって、該運転者がRレンジを選択した場合について、図7〜図8Bを参照しながら説明する。
運転者によるシフトレバーのシフト操作に連動して、可動接点部26がRレンジとなった場合、可動接点部26の摺動接点72とポジション用接点40とが接触すると共に、摺動接点74とポジション用接点46とが接触する。
これにより、抵抗器R1、ダイオードD1、信号線L1、ポジション用接点46、摺動接点74、可動接点部26を介して抵抗器R6、R7に電圧VIG(に応じた電圧)が印加されると共に、抵抗器R4、ダイオードD4、信号線L4、ポジション用接点40、摺動接点72、可動接点部26を介して抵抗器R6、R7に電圧VIG(に応じた電圧)が印加される。すなわち、第2の故障形態では、電圧供給回路52からインヒビタースイッチ12を介して電圧検出部65に至るまでの等価回路図は、図8Aのようになる。
この結果、インヒビタースイッチ12は、信号線L1を介して電圧供給回路52に接点信号S1を出力すると共に、信号線L4を介して電圧供給回路52に接点信号S4を出力する。電圧供給回路52は、信号線L1、L4に接続された各中点における接点信号S1、S4に応じた低電位の電圧を信号検出回路54にそれぞれ供給すると共に、他の信号線L3、L5に接続された各中点における電圧VIGに応じた高電位の電圧を信号検出回路54に供給する。
一方、前述のように、第2の故障形態では、信号線L2がショートしているため、第1の故障形態における信号線L1のショートと同様に、信号線L2及びダイオードD2を介して、抵抗器R2を含む直列回路の中点が接地されることになる。そのため、該中点は比較的低電位となり、この中点から信号検出回路54に低電位の電圧が供給される。
信号検出回路54において、コンパレータ64は、信号線L1、L4に接続される中点、又は、ショートした信号線L2に接続される中点からの比較的低い電圧が反転入力端子に入力された場合、「1」のデジタル値をCPU58に出力する。
この結果、図8Bに示すように、信号検出回路54からCPU58に入力される信号パターンは、正常時のビット列「01000」と比較して、信号線L1、L2、L4に応じた桁が「1」となった2進数のビット列「11010」となる。また、図8Bには、ビット列「11010」を16進数で表わした数値「1A」も図示されている。
CPU58では、入力された信号パターン(2進数で「11010」、16進数で「1A」)と、テーブル60に記憶された信号パターン(図5参照)とを比較する。
この場合、16進数で「1A」の信号パターンは、図5中、2つのシフト位置(Rレンジ、Nレンジ)及び2つの故障発生箇所を示している。そのため、信号パターンのみでは、運転者により選択されたシフト位置がRレンジであるのか、あるいは、Nレンジであるのか区別することができず、しかも、故障の発生の有無や故障発生箇所も特定することができない。
このように、信号パターンのみで判定しようとすれば、運転者の操作したシフト位置と、特定したシフト位置とが不一致となり(運転者が操作したシフト位置をCPU58側で見失ってしまい)、車両のエンジンの始動時等において、運転者が意図しないような車両の移動が行われるおそれがある。
そこで、CPU58は、このような意図しない移動を防止するために、信号パターンに加え、A/D変換回路56から入力されるデジタル値も用いてシフト位置等の特定を行う。すなわち、正常時や故障時等におけるRレンジ及びNレンジでのデジタル値(参照値)が予め分かっている場合、CPU58は、A/D変換回路56から入力されるデジタル値と参照値とを比較して、入力されたデジタル値に略一致する参照値があれば、該参照値の示すシフト位置等を、運転者により選択されたシフト位置と特定すると共に、前記参照値の示す故障発生の有無の結果及び故障発生箇所を、現在の故障発生の有無の結果及び故障発生箇所として特定する。
従って、第2の故障形態では、信号パターンの結果のみでは、運転者により選択されたシフト位置、故障の発生の有無、及び、故障発生箇所を確定することができない場合に、A/D変換回路56から入力されるデジタル値も用いることにより、運転者により選択されたシフト位置、故障の発生の有無、故障発生箇所を特定することが可能となる。
この結果、運転者の意図したシフト位置にて自動変速機が制御されて、車両を移動させることができる。また、故障の発生の有無及び故障発生箇所の特定が全てCPU58で行われるため、運転者が関与する必要もなくなる。
[第3の故障形態]
次に、低電位線LAG又は低電位線LLGが断線している場合に、運転者がシフトレバーをシフト操作することにより、可動接点部26がRレンジとなって、該運転者がRレンジを選択した場合について、図9〜図10Cを参照しながら説明する。
この場合も、第2の故障形態と同様に、可動接点部26がRレンジとなれば、可動接点部26の摺動接点72とポジション用接点40とが接触すると共に、摺動接点74とポジション用接点46とが接触する。
これにより、抵抗器R1、ダイオードD1、信号線L1、ポジション用接点46、摺動接点74、可動接点部26を介して抵抗器R7に電圧VIG(に応じた電圧)が印加されると共に、抵抗器R4、ダイオードD4、信号線L4、ポジション用接点40、摺動接点72、可動接点部26を介して抵抗器R6又は抵抗器R7に電圧VIG(に応じた電圧)が印加される。
この場合、低電位線LLGが断線していれば、電圧供給回路52からインヒビタースイッチ12を介して電圧検出部65に至るまでの等価回路図は、図10Aのようになり、抵抗器R6に電圧が印加され、A/D変換回路56は、抵抗器R6の電圧値をデジタル値に変換することになる。すなわち、断線前は抵抗器R6、R7の合成抵抗の電圧値がデジタル値に変換されるが、低電位線LLGの断線によって、抵抗器R6の電圧値がデジタル値に変換されることになる(断線によって電圧値に応じたデジタル値が大きくなる)。
また、低電位線LAGが断線していれば、電圧供給回路52からインヒビタースイッチ12を介して電圧検出部65に至るまでの等価回路図は、図10Bのようになり、抵抗器R7のみ電圧が印加されるため、A/D変換回路56は、略0レベルのデジタル値を出力することになる。すなわち、断線前は抵抗器R6、R7の合成抵抗の電圧値がデジタル値に変換されるが、低電位線LAGの断線によって、抵抗器R6に電圧が印加されることはないため、略0レベルの電圧値をデジタル値に変換することになる(断線によって電圧値に応じたデジタル値が略0レベルに低下する)。
一方、インヒビタースイッチ12は、信号線L1を介して電圧供給回路52に接点信号S1を出力すると共に、信号線L4を介して電圧供給回路52に接点信号S4を出力する。電圧供給回路52は、信号線L1、L4に接続された各中点における接点信号S1、S4に応じた低電位の電圧を信号検出回路54にそれぞれ供給すると共に、他の信号線L2、L3、L5に接続された各中点における電圧VIGに応じた高電位の電圧を信号検出回路54に供給する。
信号検出回路54において、コンパレータ64は、信号線L1、L4に接続される中点からの比較的低い電圧が反転入力端子に入力された場合、「1」のデジタル値をCPU58に出力し、一方で、信号線L2、L3、L5に接続される中点からの比較的高い電圧が反転入力端子に入力された場合、「0」のデジタル値をCPU58に出力する。
この結果、図10Cに示すように、信号検出回路54からCPU58に入力される信号パターンは、正常時のビット列「01000」と比較して、信号線L1、L4に応じた桁が「1」となった2進数のビット列「10010」となる。また、図10Cには、ビット列「10010」を16進数で表わした数値「12」も図示されている。
CPU58では、入力された信号パターン(2進数で「10010」、16進数で「12」)と、テーブル60に記憶された信号パターン(図5参照)とを比較する。この場合、16進数で「12」の信号パターンは、図5中、Rレンジを示しているため、運転者によりRレンジが選択されたことを確定することができる。
一方、図5中、Rレンジにおいて、「12」に対応する信号パターンは複数存在しており、故障の発生の有無、及び、故障発生箇所を特定することが容易ではない。
そこで、CPU58は、A/D変換回路56から入力されるデジタル値を用いて、故障の発生の有無、及び、故障発生箇所を特定する。すなわち、CPU58は、A/D変換回路56から入力されるデジタル値と、予め分かっている通常時及び故障時におけるデジタル値(参照値)とを比較して、入力されたデジタル値に略一致する参照値があれば、該参照値の示す故障発生の有無の結果及び故障発生箇所を、現状での故障発生の有無の結果及び故障発生箇所として特定する。
なお、第3の故障形態では、低電位線LAG又は低電位線LLGの断線であるため、入力されたデジタル値と参照値との比較に基づいて、断線の有無や、断線しているラインを特定することができる。
従って、第3の故障形態でも、信号パターンの比較だけでは、故障の発生の有無、及び、故障発生箇所を確定することができなくても、A/D変換回路56から入力されるデジタル値も用いることにより、故障の発生の有無を判定し、故障が発生している場合には、故障発生箇所を特定することが可能となる。
また、第3の故障形態では、2つの低電位線LAG、LLGのうち、一方のラインが断線した場合には、どちらのラインが断線されたのかを、A/D変換回路56からのデジタル値を用いて容易に特定することが可能となる。つまり、本実施形態では、低電位側の配線を2つの低電位線LAG、LLGの二重系にするだけではなく、該低電位線LAG、LLGの断線検出や、信号線L1〜L5の断線又はショートの検出にも利用している。しかも、断線等に伴って抵抗器R6、R7の合成抵抗が変化し、この結果、デジタル値も増減するため、断線等の検出も容易に行うことができる。
[第1〜第3の故障形態に共通する他の動作]
上述した第1〜第3の故障形態における動作では、下記(1)〜(3)のような態様を採用してもよい。
(1) 上述した第1〜第3の故障形態において、ECU14は、メモリ62を有するため、CPU58で信号パターン及びデジタル値を用いて判定する毎に、信号パターン、デジタル値及び判定結果(シフト位置、故障の発生の有無、故障発生箇所)を記憶すればよい。
これにより、A/D変換回路56からCPU58にデジタル値の入力がない場合にも、CPU58は、メモリ62に記憶されている前回の信号パターン(運転者によるシフト位置への選択操作前にCPU58に入力された信号パターン)と、今回新たに判定する信号パターンとを比較して、運転者が選択したシフト位置や、故障の発生の有無や、故障発生箇所を特定(確定)することが可能となる。
(2) 第1〜第3の故障形態の説明では、信号パターンを用いて運転者が選択したシフト位置等を特定するようにし、信号パターンのみではシフト位置等の特定ができない場合に、A/D変換回路56からのデジタル値を用いてシフト位置等を特定する場合について説明した。第1〜第3の故障形態では、A/D変換回路56からのデジタル値を用いてシフト位置等を特定するようにし、デジタル値のみではシフト位置等の特定ができない場合に、信号パターンを用いてシフト位置等を特定してもよい。
例えば、シフト位置の数が増えると、隣接するシフト位置間で抵抗値R6、R7の電圧値の差が小さくなる可能性があるので、このような場合には、信号パターンを用いることにより、運転者がどちらのシフト位置を選択したのかを特定することができる。
(3) 第1〜第3の故障形態の説明では、5つのシフト位置(Pレンジ、Rレンジ、Nレンジ、Dレンジ、Bレンジ)の選択について説明したが、シフト位置を6つ以上設定してもよい。なお、シフト位置を多くした場合には、前記(2)の態様を採用してもよいし、あるいは、第1〜第3の故障形態で説明したように、信号パターンを用いた判定に加え、デジタル値を用いた判定を併用してもよい。
[本実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態に係るシフト位置検出装置10によれば、CPU58は、信号検出回路54から入力された信号パターン(2進数のビット列、16進数の数値)、及び、電圧検出部65のA/D変換回路56から入力された抵抗器R6、R7の電圧値に応じたデジタル値のうち、一方の結果だけでは、運転者により選択されたシフト位置が確定しない場合には、他方の結果を用いてシフト位置を特定するようにしている。
このように、本実施形態では、信号パターンとデジタル値との組み合わせで、運転者により選択されたシフト位置を特定することができるため、特許文献1のように運転者により選択可能なシフト位置(に応じた信号パターン)が増えたとしても、接点信号S1〜S5を出力する複数のポジション用接点30〜50の組み合わせが煩雑にはならない。
また、運転者により選択可能なシフト位置が増えることにより、特許文献2のようにシフト位置間の電圧差が小さくなっても、本実施形態では、信号パターンとデジタル値との組み合わせでシフト位置を特定するため、デジタル値に応じた電圧を検出するための分解能を上げる必要はない。
従って、本実施形態によれば、簡単な構成でシフト位置を特定可能なシフト位置検出装置10を構成することができる。
また、CPU58は、信号パターンだけでは故障の発生の有無や故障発生箇所が確定しない場合には、デジタル値を用いて故障の発生の有無や故障発生箇所を特定する。つまり、本実施形態では、車両内の信号線L1〜L5及び低電位線LAG、LLGの断線又はショート等の故障状態(異常状態)が発生した場合に、信号パターンとデジタル値とを用いて故障の発生の有無や故障発生箇所を特定するため、特許文献1のように、信号パターンのみで故障発生箇所に対応する値(シフトパターン)を設定する必要がなくなる。この結果、故障の発生の有無や故障発生箇所を特定するために、シフト位置検出装置10の構成が複雑化することを抑制することができる。
また、CPU58は、故障状態に応じた信号パターンが入力された場合に、該故障状態に応じた信号パターンだけでは、運転者により選択されたシフト位置が確定しないとき、デジタル値を用いてシフト位置を特定するので、故障状態に応じた信号パターンを、運転者により選択されたシフト位置に応じた信号パターンと誤検出することを回避することができる。この結果、運転者により選択されたシフト位置と、CPU58で特定したシフト位置とが不一致となることを防止することができる。
さらに、今回の信号パターンが複数の故障状態に応じた信号パターンであることにより、該今回の信号パターンだけでは、運転者により選択されたシフト位置が確定しない場合、CPU58は、運転者によるシフト位置への選択操作前に入力された前回の信号パターンと、今回の信号パターンとに基づいて、シフト位置を特定するようにしている。
これにより、CPU58において、複数の故障状態に対応する信号パターンを1つの信号パターンに予め重複して設定し、その後、CPU58で今回の信号パターンを検出した際に、該今回の信号パターンのみではシフト位置の特定が困難となる場合であっても、前回の信号パターンと今回の信号パターンとの比較に基づいてシフト位置を特定することが可能となる。
特に、電圧検出部65の故障によって、デジタル値を用いたシフト位置の特定が行えず、信号パターンのみでシフト位置を特定せざるを得ない場合であっても、CPU58は、前回の信号パターンと今回の信号パターンとに基づいて、シフト位置を特定することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることは勿論である。