本発明者らは、トナーに使用される構成材料に関して検討を進めた結果、結着樹脂、着色剤を少なくとも含有する正帯電性非磁性トナー粒子と無機微粉末の関係を制御することで、非磁性一成分接触現像方式において、白スジなどの画像欠陥やかぶり等の無い高解像、高精細な画像を環境に依らず長期に渡り安定的に得ることが出来ることを見出した。
すなわち、本発明のトナーは、結着樹脂、着色剤を少なくとも含有する正帯電性非磁性トナー粒子と無機微粉末を少なくとも有する正帯電性非磁性一成分トナーにおいて、該無機微粉末が酸化マグネシウム微粉末であり、且つ該酸化マグネシウム微粉末が、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2deg)の42.9degにピークを有する結晶系であり、且つ該ブラッグ角(2θ±0.2deg)=42.9degにおけるX線回折ピークの半値幅が0.40deg以下であることを特徴とする。
本発明者らは、結着樹脂、着色剤を少なくとも含有する正帯電性非磁性トナー粒子に添加する無機微粉末について検討した結果、無機微粉末の中でも電気陰性度が小さい、つまり正帯電能が強い酸化マグネシウム微粉末を添加することで、摩擦機会の少ない非磁性一成分接触現像方式においても充分な帯電を環境に依存せずに得られることを見出した。その結果、良好な画質濃度が得られると共に反転かぶりの無い鮮明な画像を安定的に得ることが可能となった。
また、結着樹脂や荷電制御剤によって正帯電性を高めたトナー粒子に対して、正帯電能がほぼ等価である酸化マグネシウム微粉末を添加することで、トナーの表面の帯電が均一となり、帯電の不均一により生じるトナー間の静電的な凝集力を緩和する効果が得られることが明らかになった。さらに本発明者らは、該酸化マグネシウムが安定した結晶構造を有するため、機械的なストレスが強くかかる環境においても構造が変化することが無く安定的に存在することを見出した。そのため、上記の酸化マグネシウム微粉末特有の特性を安定的に得られると共に、トナー粒子間において適度なスペーサー効果を長期に渡り安定的に発揮することができ、機械的なストレスによる凝集性の緩和が可能であることを見出した。
その結果、非磁性一成分接触現像方式のように層厚規制ブレードと現像ローラーの間や感光体と現像ローラーの当接間等のトナーに機械的なストレスが多くかかる環境においても、酸化マグネシウム微粉末による凝集力の緩和効果により長期に渡り凝集体の発生が押さえられると共にトナー劣化が生じ難くなることを見出した。その結果、高速の現像システムにおいても白スジ等の画像欠陥やかぶりの無い高解像、高精細な画像を安定して得ることが可能となった。
以上のように、結着樹脂、着色剤を少なくとも含有する正帯電性非磁性トナー粒子に無機微粉末として酸化マグネシウム微粉末を添加することで、安定した帯電能を有するだけではなく機械的なストレスに対しても強く、トナー間の凝集力が小さい性能を有するトナーを得ることが出来る。その結果、非磁性一成分接触現像方式において、環境に依らず高解像、高精細な画像を長期に渡り安定的に得ることが可能となった。
さらに本発明者らは、本発明の特徴である安定した正帯電能と、トナー間の凝集力の緩和効果の両立を効率良く発現し、安定した構造を得る為には、異種金属の混入や、結晶格子欠陥が少ない酸化マグネシウム結晶、すなわち高純度の酸化マグネシウム微粉末を用いることが必須条件であることを見出した。この酸化マグネシウム微粉末の純度は、酸化マグネシウム微粉末のX線回折ピークの半値幅を用いて見積もることが出来る。
本発明における酸化マグネシウム微粉末はCuKα線を用いたX線回折において、ブラッグ角(2θ±0.2deg)の42.9degに、酸化マグネシウム結晶の(200)面によるピークを有し、且つ該ブラッグ角(2θ±0.2deg)=42.9degにおけるX線回折ピークの半値幅が0.40deg以下であることを特徴とする。該X線回折のピーク半値幅が0.40deg以下であることは、酸化マグネシウムの結晶性が高い、すなわち異種金属の混入や、格子欠陥等が少なく、酸化マグネシウム結晶の単一性が強く、高純度であることを示す。
該X線ピーク半値幅が0.40degより大きいことは、結晶性が悪い、すなわち酸化マグネシウム結晶の純度が低いことを示す。つまり、異種金属の混入や結晶格子欠陥により、結晶格子が歪むことにより、X線回折ピークがブロードとなって現れる。このような酸化マグネシウム微粉末の場合、異種金属による帯電のリークが生じ易く、また、結晶格子欠陥により耐水性が弱くなり、吸湿による水和が生じ、本発明における充分な正帯電能や凝集力の緩和効果を得ることが出来ない。また、形状が不均一になり、安定した構造が維持できないためにトナー粒子間のスペーサー効果が充分に得られず機械的ストレスに対して弱くなり好ましくない。さらに粒度分布がブロードになる等、物性の制御が困難になる。
本発明におけるX線回折測定はCuKα線を用い次の条件で測定したものである。
[サンプル調整]
1) 500mlのビーカーにトナー3gに対し、200mlのTHF(テトラヒドロキ
シフラン)を加える。
2) 超音波で3分間分散させ、外添剤を遊離させる。
3) 遊離した外添剤を含むTHF上澄み溶液を分離する。
4) トナーに再びTHFを200ml加え2)、3)の操作を繰り返す(3回程度
)。
5) 1)〜4)の操作を必要量のサンプルが得られるまで繰り返す。
6) 分離したTHF上澄み溶液を2μmのメンブレンフィルターにより真空ろ過を行い
固形分を回収し、外添剤サンプルを得た。
[X線回折測定条件]
使用測定機:リガク社製/試料水平型強力X線回折装置(RINT TTR II)
管球:Cu
平行ビーム光学系
電圧:50kV
電流:300mA
開始角度:30°
終了角度:50°
サンプリング幅:0.02°
スキャンスピード:4.00°/min
発散スリット:開放
発散縦スリット:10mm
散乱スリット:開放
受光スリット:1.0mm
得られたX線回折ピークの帰属及び半値幅の算出は、リガク製解析ソフト「Jade6」を用いて行った。
トナー間の凝集性の評価にはシェアスキャン TS−12(Sci−Tec社製)を用いた。シェアスキャンはProf.Virendra M.Puriによって記述された‘Characterizing Powder Flowability(2002.01.24)’記載のモールクーロンモデルによる原理で測定を行う。具体的には、直線せん断セル(直径80mm、容量140cm3)を使用し室温環境(23〜28℃,40〜70%)にて測定を行った。このセルの中にトナーを入れ、任意の垂直荷重をかけ、圧密粉体層を作製する(この圧密状態の圧力を自動で検知し個人差なく作製出来る点でシェアスキャンによる測定が本発明においては好ましい。)。そして、各荷重における破壊包絡線を得、凝集力、内部摩擦角を求める。
その凝集力、内部摩擦角から各荷重における単軸崩壊応力と最大圧密応力を算出することが可能となる。その各荷重において算出した単軸崩壊応力と最大圧密応力をプロットし(Flow Function Plot)、そのプロット(直線)の傾きをもとに、任意の圧密応力における単軸崩壊応力をトナーの解れやすさの指標として用いた。
すなわち、本発明における非磁性一成分接触現像方式のようにトナーに機械的なストレスが強くかかった状態におけるトナー間の凝集性を評価するためには、圧密粉体層における凝集性が評価出来るシェアスキャンを用いることが最も好ましい。なお、本発明においては、凝集性の緩和効果が効果的に評価することが出来る最大圧密応力8.0kPaにおける単軸崩壊応力の値をトナーの凝集性の指標とした。
本発明で用いられる酸化マグネシウム微粉末としては、如何なるものでも使用することが出来るが、以下に示す物性であることが好ましい。
本発明のトナーにおける酸化マグネシウム微粉末のトナー粒子からの遊離率は0.1〜5.0%が好ましく、より好ましくは2.0〜4.0%、特に好ましくは2.5〜3.5%である。遊離率が5.0%よりも高い場合、トナーから酸化マグネシウム微粉末が多く遊離しているために、酸化マグネシウム微粉末によるトナー間の凝集力の緩和効果が十分に得られない。さらに、トナーが適正な帯電性能を得られなくなり好ましくない。
遊離率が0.1%よりも低い場合はトナー粒子からほとんど酸化マグネシウム微粉末が遊離していないことを示しており、このような状態は通常トナー粒子への酸化マグネシウム微粉末の埋め込まれ度合いが大きくなる場合に起こり易い。このような場合においても、酸化マグネシウム微粉末によるトナー間の凝集力の緩和効果が十分に得られない。さらに、トナーの劣化が起こり易くなるため耐久後半に濃度が低下する。
トナー粒子から遊離した酸化マグネシウム微粉末の遊離率とは、パーティクルアナライザー(PT1000:横河電機(株)製)により測定されたものであり、Japan Hardcopy97論文集の65−68ページに記載の原理で測定を行う。具体的には、該装置はトナー等の粉体を一個づつプラズマへ導入して発光させ、粉体の発光スペクトルから発光物の元素、粒子数、粒子の粒径を知ることが出来る。
そして、遊離率とは、トナー粒子用結着樹脂の構成元素である炭素(C)原子の発光と、酸化マグネシウム微粉末のMg原子の発光の同時性から次式により定義される値である。
酸化マグネシウム微粉末の遊離率(%)=100×(Mg原子のみの発光回数/C原子と同時に発光したMg原子の発光回数+Mg原子のみの発光回数)
ここで、C原子とMg原子の同時発光とは、C原子の発光から2.6msec以内に発光したMg原子の発光を同時発光とし、それ以降のMg原子の発光はMg原子のみの発光とする。具体的測定方法としては、横河電機(株)製PT1000を用い以下の条件にて測定した後、C原子を基準としたMg原子の発光の同期性を上記式に当てはめて遊離率を求める。
<横河電機(株)製PT1000の測定条件>
・1回の測定におけるC原子検出数:500〜2500
・ノイズカットレベル:1.5以下
・ソート時間:20digits
・ガス:O2 0.1%、Heガス
・分析波長
C原子 :247.860nm
Mg原子:285.210nm
・使用チャンネル
C原子 :1又は2
Mg原子:1又は2
酸化マグネシウム微粉末の遊離率は酸化マグネシウムの粒径やBET比表面積等を適正な範囲に制御し、さらには他の外添剤との相互作用も十分に考慮し、トナー粒子に機械的に外添付着することで適切な範囲に制御することが出来る。
酸化マグネシウム微粉末をトナー粒子に機械的に外添付着させる方法としては、公知の外添方法が使用出来る。すなわち、上記遊離率を有する本発明のトナーを製造するために好適な撹拌方法は、酸化マグネシウム微粉末をトナー粒子に機械的に外添付着するものであれば特に限定するものでなく、公知の撹拌装置を用いて行うことが出来る。好ましくは、ヘンシェルミキサーやホモジナイザー等が用いられ、より好ましくは、ヘンシェルミキサーが使用出来る。
また、本発明のトナーにおける酸化マグネシウム微粉末は体積平均粒子径(Dv)が0.1〜2.0μmが好ましく、より好ましくは0.9〜2.0μm、特に好ましくは1.0〜1.5μmであり、該体積平均粒子径(Dv)の1/2倍径以下の体積分布累積値が10体積%以下が好ましく、該体積平均粒子径(Dv)の2倍径以上の体積分布累積値が10体積%以下が好ましい。体積平均粒子径(Dv)が0.1μmよりも小さい酸化マグネシウム微粉末は、トナー粒子への流動性付与の面で不利となり、その結果トナーの凝集性も悪化し、耐久後半に濃度が低下する。また体積平均粒子径(Dv)が2.0μmより大きい場合、酸化マグネシウム微粉末の粒径が大きくなることでトナー粒子から遊離しやすくなるため、凝集性の緩和効果が十分得られず、さらに十分な帯電が得られず好ましくない。さらに、該体積平均粒子径(Dv)の1/2倍径以下の体積分布累積値が10体積%より多く、また該体積平均粒子径(Dv)の2倍径以上の体積分布累積値が10体積%より多いと粒度分布がブロードとなり、上記の弊害が生じ易くなるため、トナーの凝集性の緩和効果が十分に得られない。
酸化マグネシウム微粉末を体積平均粒子径(Dv)が0.1〜2.0μmであり、該体積平均粒子径(Dv)の1/2倍径以下の体積分布累積値が10体積%以下、該体積平均粒子径(Dv)の2倍径以上の体積分布累積値が10体積%以下の粒度分布を達成する手段としては一般的な分級装置を用いることが可能であり、特に制限は無い。
本発明の酸化マグネシウム微粉末の粒度分布の測定装置としては、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(HORIBA製)を用いた。測定方法としては、分散液となるイオン交換水200mlに、サンプル濃度が透過率80%前後になるようにサンプルを数mg入れる。そして、この分散液を超音波分散機で1分間分散処理し、酸化マグネシウム微粉末と水の相対屈折率を1.32に設定して前記測定装置より、酸化マグネシウム微粉末の体積基準の粒度分布を測定し、体積平均粒子径(Dv)、該体積平均粒子径(Dv)の1/2倍径以下の体積分布累積値及び、該体積平均粒子径(Dv)の2倍径以上の体積分布累積値を求めた。
また、本発明で用いられる酸化マグネシウム微粉末は公知の処理剤により表面処理を施しても良い。疎水化処理の処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物の如き処理剤を単独で或いは併用して処理しても良い。ただし本発明の酸化マグネシウム微粉末の等電点は8〜14が好ましく、より好ましくは9〜14、特に好ましくは12〜14である。酸化マグネシウム微粉末の等電点が8より低い場合、酸化マグネシウム微粉末の正帯電能が低下するため、凝集性の緩和効果は減少する。また、トナーの帯電性が不均一になるためカブリが発生し易くなる。
酸化マグネシウム微粉末の等電点はゼータ電位より求められる。本発明では、酸化マグネシウム微粉末のゼータ電位を超音波方式ゼータ電位測定装置DT−1200(Dispersion Technology社製)を用いて測定を行った。分散液として純水を用い、酸化マグネシウム微粉末の0.5Vol%水溶液を調整し、超音波分散機(Sonic&Materials社製 VCX−750)にて3分間分散させた後、約10分間脱泡しながら撹拌し分散液とした。上記装置を用いてこの分散液のゼータ電位のpH変化のグラフを描き、グラフより等電点を算出する。なお、等電点とは、ゼータ電位が0になるときのpHの値である。
また本発明で用いられる酸化マグネシウム微粉末の比表面積は1.0〜15.0m2/gが好ましく、より好ましくは1.0〜7.5m2/gである。
比表面積が15.0m2/gよりも大きな場合、酸化マグネシウム微粉末がトナー粒子中に埋め込まれる、すなわちトナー劣化が生じ易くなる。さらに、高湿環境下において吸湿量が多くなり、帯電が低下し耐久後半に濃度が低下する。また比表面積が1.0m2/gよりも小さい場合、トナーに十分な流動性が得られず濃度薄などの問題が生じる。
BET比表面積の測定法としては、BET比表面積法に従って、比表面積測定装置ジェミニ2375(島津製作所)を用いて、試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET比表面積多点法を用いて比表面積を計算した。
本発明で用いられる酸化マグネシウム微粉末の含有量はトナー粒子100質量部に対して0.01〜2.0質量部であることが好ましく、より好ましくは0.05〜1.5質量部である。
酸化マグネシウム微粉末含有量が2.0質量部よりも大きい場合、トナーの帯電のバランスがくずれ濃度低下やカブリなどの問題が生じやすい。酸化マグネシウム微粉末含有量が0.01質量部よりも小さい場合、トナーに対して添加量が少なくなり、酸化マグネシウム微粉末による凝集力の緩和効果が十分に得られない。
また本発明で用いられる酸化マグネシウム微粉末粒子中のMgO含有量は98.00%以上が好ましく、より好ましくは99.90%以上である。MgOの含有量が98.00%より低い、すなわちMgOの純度が低いと酸化マグネシウム微粉末による凝集力の緩和効果が十分に得られず好ましくない。また異種金属の帯電リークにより十分な正帯電性を維持することができず反転かぶりが悪化する。
本発明における酸化マグネシウム微粉体中のMgO含有量は、EDTA法に従い、EDTA標準溶液を用いて滴定し、そこからCaO質量%(実測値)を差し引き、MgO質量%として求めた。
また、本発明のトナーは酸価が0.5mgKOH/g〜20.0mgKOH/gであることが好ましい。
トナーの酸価をこの範囲に制御することで、正帯電性トナー粒子表面のカルボキシル基と酸化マグネシウム微粉末表面との親和性が向上し、確実にトナー粒子表面に酸化マグネシウム微粉末を存在させることが可能となる。その結果、トナー粒子からの酸化マグネシウム微粉末の遊離率を最適な範囲に制御することが可能となり、トナー間の凝集力緩和効果が最も効率的に誘起される。さらに、酸価の範囲を制御することでトナー粒子表面の正帯電性をより均一にすることが出来、その結果、トナー表面の正帯電性もより均一となり、非磁性一成分接触現像方式においても安定した正帯電性が得られ、耐久現像性に優れる。
トナーの酸価が0.5mgKOH/g未満の場合、トナー粒子表面と酸化マグネシウム微粉末との間の親和性が減少するために、トナー粒子表面からの酸化マグネシウム微粉末の脱離が生じやすくなる。その結果、トナー間の凝集力を緩和する効果が得られない。また、酸価が20.0mgKOH/gを超える場合、トナー粒子中の負帯電性が強くなり画像濃度が低下しカブリが増加する傾向がある。
本発明のトナーを構成する非磁性トナー粒子は、結着樹脂と着色剤とを少なくとも含有してなる。本発明において使用されるトナー用結着樹脂としては、従来より公知のものが使用可能であるが、本発明における結着樹脂の種類としては、スチレン系樹脂、スチレン系共重合樹脂、非晶質ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂が挙げられる。
また、本発明における結着樹脂は、1〜100mgKOH/gの範囲で酸価を有することが好ましい。とくに好ましくは、1〜70mgKOH/gの酸価を有する樹脂である。100mgKOH/gより大きくなると高湿下での摩擦帯電量が不十分となり、1mgKOH/gより小さいと低湿下での摩擦帯電速度が遅くなる。
結着樹脂の酸価を調整するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸、ビニル酢酸、イソクロトン酸、アンゲリカ酸などのアクリル酸及びそのα−或いはβ−アルキル誘導体、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、アルケニルコハク酸、イタコン酸、メサコン酸、ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸などの不飽和ジカルボン酸及びそのモノエステル誘導体又は無水物などがあり、このようなモノマーを単独、或いは混合し、他のモノマーと共重合させることにより所望の重合体を作ることが出来る。この中でも、特に不飽和ジカルボン酸のモノエステル誘導体を用いることが酸価値をコントロールする上で好ましい。
より具体的には、例えば、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸モノアリル、マレイン酸モノフェニル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノフェニルなどのようなα,β−不飽和ジカルボン酸のモノエステル類;n−ブテニルコハク酸モノブチル、n−オクテニルコハク酸モノメチル、n−ブテニルマロン酸モノエチル、n−ドデセニルグルタル酸モノメチル、n−ブテニルアジピン酸モノブチルなどのようなアルケニルジカルボン酸のモノエステル類などが挙げられる。
以上のようなカルボキシル基含有モノマーは、結着樹脂を構成している全モノマー100質量部に対し0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜15質量部添加すればよい。
本発明において酸価は以下の方法を用いて測定した。
基本操作はJIS K−0070に準ずる。
1)トナー0.5〜2.0(g)を精秤し、トナーの重さW(g)とする。
2)300(ml)のビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(4/1)の混合液 150(ml)を加え溶解する。
3)0.1規定のKOHのメタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する( 例えば、京都電子株式会社製の電位差滴定装置AT−400(win workst ation)とABP−410電動ビュレットを用いての自動滴定が利用出来る。)
4)この時のKOH溶液の使用量S(ml)とし、同時にブランクを測定しこの時のKO H溶液の使用量をB(ml)とする。
5)次式により酸価を計算する。fはKOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)=((S−B)×f×5.61)/W
本発明のトナー粒子の製法は特に限定されず、結着樹脂、着色剤、離型剤および必要に応じて電荷制御剤等のトナー構成材料を均一混合した後に溶融混練し、得られた混練物を冷却後、粉砕及び分級を行い、流動性改質剤等をヘンシェルミキサー等の混合機を用いて十分混合し本発明のトナーを得る、いわゆる粉砕法を用いることができる。
混練機の例としては、KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)が挙げられ、粉砕機としては、カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボエ業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)が挙げられ、分級機としては、クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチックエ業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)が挙げられる。混合機の例としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)が挙げられ、粗粒などをふるい分けるために用いられる篩い装置としては、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボエ業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い等が挙げられる。
また他の手法として、乳化重合法や懸濁重合法などのいわゆる重合法によりトナー粒子を製造することができる。
例えば、粉砕法においては、結着樹脂の合成方法として、溶液重合法、乳化重合法や懸濁重合法が挙げ
られる。
このうち、乳化重合法は、水にほとんど不溶の単量体(モノマー)を乳化剤で小さい粒子として水相中に分散させ、水溶性の重合開始剤を用いて重合を行う方法である。この方法では反応熱の調節が容易であり、重合の行われる相(重合体と単量体からなる油相)と水相とが別であるから停止反応速度が小さく、その結果重合速度が大きく、高重合度のものが得られる。更に、重合プロセスが比較的簡単であること、及び重合生成物が微細粒子であるために、トナーの製造において、着色剤及び荷電制御剤その他の添加物との混合が容易であること等の理由から、トナー用バインダー樹脂の製造方法として有利な点がある。
しかし、添加した乳化剤のため生成重合体が不純になり易く、重合体を取り出すには塩析などの操作が必要で、この不便を避けるためには懸濁重合が好都合である。
懸濁重合においては、水系溶媒100質量部に対して、モノマー100質量部以下(好ましくは10〜90質量部)で行うのが良い。使用可能な分散剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分ケン化物、リン酸カルシウム等が用いられ、一般に水系溶媒100質量部に対して0.05〜1質量部で用いられる。重合温度は50〜95℃が適当であるが、使用する開始剤、目的とするポリマーによって適宜選択される。
本発明に用いられる結着樹脂は、以下に例示する様な多官能性重合開始剤単独あるいは単官能性重合開始剤と併用して生成することが好ましい。
多官能構造を有する多官能性重合開始剤の具体例としては、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、トリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレリックアシッド−n−ブチルエステル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−t−ブチルパーオキシオクタン及び各種ポリマーオキサイド等の1分子内に2つ以上のパーオキサイド基などの重合開始機能を有する官能基を有する多官能性重合開始剤、及びジアリルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート及びt−ブチルパーオキシイソプロピルフマレート等の1分子内に、パーオキサイド基などの重合開始機能を有する官能基と重合性不飽和基の両方を有する多官能性重合開始剤から選択される。
これらの内、より好ましいものは、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート及び2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、及びt−ブチルパーオキシアリルカーボネートである。
これらの多官能性重合開始剤は、トナー用バインダーとして要求される種々の性能を満足する為には、単官能性重合開始剤と併用されることが好ましい。特に該多官能性重合開始剤の半減期10時間を得る為の分解温度よりも低い半減期10時間の分解温度を有する重合開始剤と併用することが好ましい。
具体的には、ベンゾイルパーオキシド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシクメン、ジ−t−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾアミノアゾベンゼン等のアゾおよびジアゾ化合物等が挙げられる。
これらの単官能性重合開始剤は、前記多官能性重合開始剤と同時にモノマー中に添加しても良いが、該多官能性重合開始剤の効率を適正に保つ為には、重合工程において該多官能性重合開始剤の示す半減期を経過した後に添加するのが好ましい。
これらの開始剤は、効率の点からモノマー100質量部に対し0.05〜2質量部で用いるのが好ましい。
結着樹脂は架橋性モノマーで架橋されていることも好ましい。
架橋性モノマーとしては主として2個以上の重合可能な二重結合を有するモノマーが用いられる。具体例としては、芳香族ジビニル化合物(例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等);アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び、以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);更には、ポリエステル型ジアクリレート化合物類(例えば、商品名MANDA(日本化薬))が挙げられる。多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート;等が挙げられる。
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100質量部に対して、0.00001〜1質量部、好ましくは0.001〜0.05質量部の範囲で用いることが好ましい。
これらの架橋性モノマーのうち、トナーの定着性、耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
その他の合成方法としては、塊状重合方法、溶液重合方法を用いることが出来る。しかし、塊状重合法では、高温で重合させて停止反応速度を速めることで、低分子量の重合体を得ることが出来るが、反応をコントロールしにくい問題点がある。その点、溶液重合法は、溶媒によるラジカルの連鎖移動の差を利用して、また、開始剤量や反応温度を調整することで、所望の分子量の重合体を温和な条件で容易に得ることが出来るので好ましい。特に、開始剤使用量を最小限に抑え、開始剤が残留することによる影響を極力抑えるという点で、加圧条件下での溶液重合法も好ましい。
本発明に用いられるポリエステル樹脂の組成は以下の通りである。
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また(1)式で表わされるビスフェノール及びその誘導体;
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x、yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0〜10である。)
また(2)式で示されるジオール類;
2価の酸成分としては、例えばフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸などのベンゼンジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸などのアルケニルコハク酸類もしくはアルキルコハク酸類、又はその無水物、低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;等のジカルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
また架橋成分として働く3価以上のアルコール成分と3価以上の酸成分を併用することが好ましい。
3価以上の多価アルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等が挙げられる。
また、本発明における三価以上の多価カルボン酸成分としては、例えばトリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル;(3)式
(式中、Xは炭素数3以上の側鎖を1個以上有する炭素数5〜30のアルキレン基又はアルケニレン基)
で表わされるテトラカルボン酸等、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル等の多価カルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
本発明に用いられるアルコール成分としては40〜60mol%、好ましくは45〜55mol%、酸成分としては60〜40mol%、好ましくは55〜45mol%であることが好ましい。また三価以上の多価の成分は、全成分中の5〜60mol%であることが好ましい。
該ポリエステル樹脂も通常一般に知られている縮重合によって得られる。また離型効果を有する結晶性ポリエステルも用いられる。
また、重合法、例えば本発明のトナーを懸濁重合法で製造する際に用いられる重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が用いられる。前記ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することができる。
単官能性重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトンが挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテルが挙げられる。
本発明においては、上記した単官能性重合性単量体を単独で或いは2種以上組み合わせて、又は上記した単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体を組み合わせて使用する。多官能性重合性単量体は架橋剤として使用することも可能である。
また、モノビニル単量体と共に、マクロモノマーを用いると、保存性と低温での定着性とのバランスが良好になるので好ましい。マクロモノマーは、分子鎖の末端に重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合を有するもので、数平均分子量が、通常、8,000〜40,000のオリゴマーまたはポリマーである。
上記した重合性単量体の重合の際に用いられる重合開始剤としては、油溶性開始剤及び/又は水溶性開始剤が用いられる。例えば、油溶性開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルの如きアゾ化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイドの如きパーオキサイド系開始剤が挙げられる。
水溶性開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミノジノプロパン)塩酸塩、アゾビス(イソブチルアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルスルホン酸ナトリウム、硫酸第一鉄又は過酸化水素が挙げられる。本発明においては、重合性単量体の重合度を制御する為に、公知の連鎖移動剤、重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
本発明のトナー粒子に用いられる架橋剤としては、2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられる。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンの如き芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートの如き二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンの如きジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物が挙げられる。これらは単独又は混合物として用いることができる。
本発明のトナー粒子には、着色力を付与するために着色剤が含有される。本発明に好ましく使用される有機顔料または染料として以下のものが挙げられる。
シアン系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62,C.I.ピグメントブルー66等が挙げられる。
マゼンタ系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド254等が挙げられる。
イエロー系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー111、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー176、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー191、C.I.ピグメントイエロー194等が挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、上記イエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。
これらの着色剤は、単独又は混合しさらには固溶体の状態で用いることができる。本発明のトナーに用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナーへの分散性の点から適宜選択される。
着色剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対し1〜20質量部添加して用いられる。
また、本発明のトナー粒子は、正帯電性を維持するために荷電制御剤または荷電制御樹脂を含有することが好ましい。帯電制御剤および荷電制御樹脂としては、従来からトナーに用いられているすべてを制限なく用いることができる。正帯電荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等を用いることができる。正帯電制御樹脂として特開昭63−60458号公報、特開平3−175456号公報、特開平3−243954号公報、特開平11−15192号公報、特開2000−172015号公報などの記載に準じて製造される4級アンモニウム(塩)基含有共重合体等を用いることができる。
また本発明においては、トナーに離型性を与えるために次のようなワックス類を含有させることが好ましい。
本発明に用いられるワックスには次のようなものがある。例えば低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;又は、それらのブロック共重合物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろうの如き植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろうの如き動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムの如き鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの如き脂肪族エステルを主成分とするワックス類;ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ジペンタエリスリトールヘキサミリステートなどの多官能エステル化合物;脱酸カルナバワックスの如き脂肪族エステルを一部又は全部を脱酸化したものが挙げられる。更に、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、或いは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カウナビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、或いは更に長鎖のアルキル基を有するアルキルアルコールの如き飽和アルコール;ソルビトールの如き多価アルコール;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪族アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪族ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
離型剤は1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は融液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたものや低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも好ましく用いられる。
また、本発明のトナーにおいては、帯電安定性、現像性、流動性、耐久性向上のため、シリカ微粉末を添加することを特徴とする。また、トナー粒子表面へのトナーへの流動性付与能が高く、一次粒子の個数平均粒径のより小さいシリカを併用することで、酸化マグネシウム微粉末をトナー中に均一に分散させることが可能であることが判明した。酸化マグネシウム微粉末を均一に分散していない場合、粒子間凝集力への緩和効果に偏りが生じ、トナーの高速印刷に対する劣化が進行しやすくなる。その結果、トナーの帯電量低下による耐久後半の濃度低下が生じる。
シリカ微粉体としてはケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3-等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能でありそれらも包含する。
また本発明においてシリカは、疎水化処理されたものであることが好ましい。シリカを疎水化処理することによって、シリカの高湿環境における帯電性の低下を防止し、シリカが表面に付着したトナー粒子の摩擦帯電量の環境安定性を向上させることで、トナーとしての画像濃度、カブリ等の現像特性の環境安定性をより高めることができる。疎水化処理の処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物の如き処理剤を単独で或いは併用して処理しても良い。その中でも特に、窒素元素を有する置換基を有するシラン化合物,シリコーンオイルで処理すると帯電性の面から好ましい。
但し、シラン化合物は、シリカに正帯電性を付与することに大きく寄与しており、処理量が多いと正帯電性が強くなるが、アミノ基の親水性により吸湿性が増大する。そのため、シラン化合物を使用する場合は、シリコーンオイルと併用して処理する方が好ましい。処理は公知の方法に従って行うことができる。
本発明のトナーには、必要に応じて他の外部添加剤を添加しても良い。
例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、熱ローラー定着時の離型剤、滑剤、研磨剤等の働きをする樹脂微粒子や無機微粒子などである。
例えば滑剤としては、ポリ弗化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末等が挙げられ、中でもポリフッ化ビニリデン粉末が好ましい。また研磨剤としては、酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末等が挙げられる。
これらの外添剤はヘンシェルミキサー等の混合機を用いて十分混合し本発明のトナーを得ることができる。
以上本発明の基本的な構成と特色について述べたが、以下実施例に基づいて具体的に本発明について説明する。しかしながら、これによって本発明の実施の態様がなんら限定されるものではない。
[樹脂(A−1)製造例]
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(平均付加モル数:2.2モル)34.0mol%、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(平均付加モル数:2.2モル)19.5mol%、イソフタル酸23.5mol%、n−ドデセニルコハク酸13.5mol%、トリメリット酸9.5mol%及びジブチル錫オキシドを全酸成分に対して0.03質量部添加し窒素気流下、22.0℃にて6時間攪拌しつつ反応させポリエステル樹脂(A−1)を得た。
[樹脂(A−2)製造例]
上記ポリエステル樹脂A−1反応終了後、計算上の合成ポリマー量に対して5質量%のシロヘキサメチレンジイソシアネートを反応させイソシアネート変性ポリエステル樹脂(A−2)を得た。
[樹脂(A−3)製造例]
1,4ブタンジオール51.0mol%、フマル酸49.0mol%及び酸化ジブチル錫3.0gを窒素雰囲気下、180℃で4時間かけて反応させた後、220℃に昇温して2時間反応させた。さらに9.5kPaにて反応させてMW=150万のポリエステル樹脂(A−3)を得た。
[樹脂(A−4)製造例]
攪拌機、温度計、還流冷却管、分水管および窒素ガス導入管を備えた三ツ口フラスコに、4−メチル−ヘキサヒドロフタル酸無水物542質量部、ヘキサヒドロテレフタル酸ビス(β−ヒドロキシエチル)100質量部、5−アミノヘキサヒドロイソフタル酸ジメチルエステル35質量部、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロへキシル)−プロパン275質量部、及びエチレングリコール170質量部を仕込んだ。窒素ガスを導入しながら攪拌を行い、反応中に生成するアルコールを除去しながら230℃で2.5時間反応させた。次にテトラブトキシチタネート7.5質量部を添加し、反応温度を250℃に上げてフラスコ内の圧力を少しずつ減じ、1.0時間後に5mmHg以下にし、その後さらに5時間反応を続けて、ポリエステル樹脂(A−4)を得た。
[トナー粒子(B−1)製造例]
(結着樹脂) イソシアネート変性ポリエステル樹脂(A−2) 100質量部
(着色剤) カーボンブラック 5質量部
(荷電制御樹脂) 下記(4)構造式に示す三置換アンモニオ基を側鎖に有するスチレン
−アクリル系樹脂(MW=8,000、スチレン比率70.25モル
%、nブチルアクリレート比率29.5モル%、三置換アンモニオ基
含有モノマー比率0.25モル%) 3質量部
(離型剤) 低分子量ポリプロピレン(「ビスコール550P」三洋化成社製)
1質量部
これらをそれぞれヘンシェルミキサーに投入・混合した後、二軸押し出し機で溶融混練し、ドラムフレーカーで冷却した。次にハンマーミルで粗粉砕した後、ジェットミルで微粉砕し、風力分級機を用いて分級して、重量平均粒径7.3μmのトナー粒子(B−1)を得た。
(式中、R
1,R
2は、メチル基、R
3はn−ブチル基、X−はモリブデン酸イオンを示す。)
[トナー粒子(B−2)製造例]
イオン交換水400質量部に0.1モル/リットル−Na3PO4水溶液450質量部を投入して50℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、10000rpmにて攪拌した。これに1.0モル/リットル−CaCl2水溶液68質量部を添加し、リン酸カルシウム塩を含む水系媒体を得た。
一方、
(モノマー)スチレン 75質量部
n−ブチルアクリレート 25質量部
ポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名「AA6」)
0.4質量部
t−ドデシルメルカプタン 1.5質量部
メタクリル酸 5質量部
(着色剤) カーボンブラック 7質量部
(帯電制御樹脂)4級アンモニウム塩基含有共重合体(MW=50,000、スチレン比率90.25モル%、nブチルアクリレート比率9.50モル%、4級アンモニウム塩基含有モノマー比率0.25モル%) 5質量部
(離型剤) ジペンタエリスリトールヘキサミリステート 10質量部
上記材料を50℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて9000rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、50℃、窒素雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて8000rpmで攪拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル攪拌翼で攪拌しつつ、2時間で60℃に昇温して5時間反応させた。その後、昇温速度40℃/hrで80℃に昇温して5時間反応させた。重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去してから冷却後塩酸を加え6時間攪拌した。この後、濾過、イオン交換水による水洗、乾燥を行いブラックトナー粒子(B−2)を得た。ブラックトナー粒子(B−2)は、重量平均粒径6.8μmであった。
[トナー粒子(B−3)製造例]
(結着樹脂) ポリエステル樹脂(A−1) 100質量部
(着色剤) カーボンブラック 6.5質量部
(荷電制御剤) 4級アンモニウム塩「TP−415」(保土谷化学工業社製)
0.1質量部
(離型剤) ポリプロピレンワックス「NP−105」(三井化学社製)2質量部
これらをそれぞれヘンシェルミキサーに投入・混合した後、二軸押し出し機で溶融混練し、ドラムフレーカーで冷却した。次にハンマーミルで粗粉砕した後、ジェットミルで微粉砕し、風力分級機を用いて分級して、重量平均粒径7.5μmのトナー粒子(B−3)を得た。
[トナー粒子(B−4)製造例]
結着樹脂としてポリエステル樹脂(A−1)を80質量部、ポリエステル樹脂(A−3)20質量部を、離型剤としてカルナバワックス「カルナバワックス No.1」(加藤洋行社製)1.5質量部を用いた以外はトナー粒子製造例(B−3)と同様にして重量平均粒径7.5μmのトナー粒子(B−4)を得た。
[トナー粒子(B−5)製造例]
結着樹脂 ポリエステル樹脂(A−4) 100質量部
着色剤 カーボンブラック 6質量部
離型剤 ジペンタエリスリトールヘキサミリステート 10質量部
これらをそれぞれヘンシェルミキサーに投入・混合した後、二軸押し出し機で溶融混練し、ドラムフレーカーで冷却した。次にハンマーミルで粗粉砕した後、機械式粉砕機で微粉砕し、風力分級機を用いて分級して、重量平均粒径7.1μmのトナー粒子(B−5)を得た。
[トナー粒子(B−6)製造例]
トナー粒子(B−2)製造例において着色剤をイエロー着色剤(C.I.Pigment Yellow 74)に変更し、その添加量を5質量部にした以外は上記製造例(B−2)と同様の方法を用いて重量平均粒径6.6μmのイエロートナー粒子(B−6)を製造した。
[トナー粒子(B−7)製造例]
トナー粒子(B−2)製造例において着色剤をマゼンタ着色剤(C.I.Pigment Red 122)に変更し、その添加量を5質量部にした以外は上記製造例(B−2)と同様の方法を用いて重量平均粒径6.6μmのマゼンタトナー粒子(B−7)を製造した。
[トナー粒子(B−8)製造例]
トナー粒子(B−2)製造例において着色剤をシアン着色剤(C.I.Pigment Blue 15:3)に変更し、その添加量を5質量部にした以外は上記製造例(B−2)と同様の方法を用いて重量平均粒径6.5μmのシアントナー粒子(B−8)を製造した。
本発明における酸化マグネシウム微粉末は、前記の要件を満足する限り、その調製法は特に制限を受けない。
[酸化マグネシウム微粉末(C−1)の製造例]
予め精製処理を施した水溶性マグネシウム塩1当量に対しアルカリ性物質0.80当量を、30℃以下で混合して反応させ、その後反応物を反応母液とともに約7.8MPaの加圧下に約4時間加熱させて水酸化マグネシウムを得た。この水酸化マグネシウムをカンタル炉で1400℃で4時間焼成した。焼成物を気流分級機構のついた粉砕機を用いて粉砕、分級を行い酸化マグネシウム微粉末(C−1)を得た。得られた酸化マグネシウム微粉末(C−1)の物性値を表1に示す。
[酸化マグネシウム微粉末(C−2)の製造例]
製造例(C−1)において焼成時間を2時間とする以外は製造例(C−1)と同様にして酸化マグネシウム微粉末(C−2)を調製した。
[酸化マグネシウム微粉末(C−3)の製造例]
製造例(C−1)において水溶性マグネシウム塩1当量に対しアルカリ性物質0.70当量混合する以外は製造例(C−1)と同様にして酸化マグネシウム微粉末(C−3)を調製した。
[酸化マグネシウム微粉末(C−4)の製造例]
製造例(C−1)において焼成温度を1700℃にする以外は製造例(C−1)と同様にして酸化マグネシウム微粉末(C−4)を調製した。
[酸化マグネシウム微粉末(C−5)の製造例]
製造例(C−1)において焼成時間を6時間とし、焼成温度を1700℃にする以外は製造例(C−1)と同様にして酸化マグネシウム微粉末(C−5)を調製した。
[酸化マグネシウム微粉末(C−6)の製造例]
製造例(C−1)において焼成温度を1100℃とする以外は製造例(C−1)と同様にして酸化マグネシウム微粉末(C−6)を調製した。
[酸化マグネシウム微粉末(C−7)の製造例]
製造例(C−1)において水溶性マグネシウム塩1当量に対しアルカリ性物質0.60当量混合し、焼成時間を2時間とし、焼成温度を900℃にする以外は製造例(C−1)と同様にして酸化マグネシウム微粉末(C−7)を調製した。
[酸化マグネシウム微粉末(C−8)]
酸化マグネシウム微粉末(C−8)として気相酸化法マグネシア(宇部マテリアルズ社製2000A)を用いた。
[酸化マグネシウム微粉末(C−9)の製造例]
Mg源として海水、アルカリ源として生石灰を用い、製造例(C−1)において焼成時間を2時間とし、焼成温度を700℃にする以外は製造例(C−1)と同様にして酸化マグネシウム微粉末(C−9)を調製した。
[酸化マグネシウム微粉末(C−10)の製造例]
Mg源として海水、アルカリ源として生石灰を用い、製造例(C−1)において焼成時間を6時間とし、焼成温度を1800℃にする以外は製造例(C−1)と同様にして酸化マグネシウム微粉末(C−10)を調製した。
上記酸化マグネシウム微粉末(C−1)〜(C−10)のX線回折ピーク半値幅等の物性を表1に示す。
[実施例1]
トナー粒子(B−2)100質量部に対して、表1に記載の物性の酸化マグネシウム微粉末(C−1)を0.1質量部とシリカ微粉末(E−1)(ヘキスト社製、商品名「HVK2150」)0.5質量部をヘンシェルミキサーで混合しトナー1を得た。トナー物性値を表2記す。
このトナー1を市販の非磁性一成分現像方式のプリンターの改造機(ブラザー工業社製、商品名「HL1670N」を1.5倍のプリントスピードに改造)したものを用い、高温高湿環境下(32.5℃,80%RH),常温常湿環境下(23℃,50%RH),常温低湿環境下(23℃,5%RH)で一枚間欠で15000枚のプリントを行い以下の評価を行った。評価結果を表3,4,5に示す。
[評価方法]
(画像濃度)
画像濃度はマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して、耐久初期、15000枚連続プリント試験終了後の反射濃度測定を行い、5mm角の画像を測定した。
(紙上かぶり)
紙上カブリの測定は、15000枚連続プリント試験終了後、東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用いた。カブリの数値は、ベタ白画像で下記の式より算出した。紙上カブリは、2.0%以下であれば良好な画像である。
カブリ(反射率)(%)=標準紙上の反射率(%)−サンプル非画像部の反射率(%)
(ハーフトーン画像におけるスジ状の画像抜け)
15000枚連続プリント試験終了後、各試験環境において十分調湿された普通紙を用いて、全ハーフトーン画像をプリントした。この画像において幅0.5mm以下の白スジの本数をカウントしてその本数により判断した。
A:白スジの発生が全くない。
B:白スジの本数が1〜3本である。
C:白スジの本数が4〜7本である。
D:白スジの本数が8〜10本である。
E:白スジの本数が11本以上、或いは幅0.5mmを超える白スジが発生している。
(フィルミング)
15000枚連続プリント試験終了後、各試験環境においてサンプル画像上のドラム融着跡を数え、10cm2当たりのドラム融着跡の数により以下のようにランク分けした。
A:1.0個未満
B:1.0個以上3.0個未満
C:3.0個以上7.0個未満
D:7.0個以上
(トナー規制部材のトナー固着状態の観察)
15000枚連続プリント試験終了後、各試験環境においてトナー規制部材を観察した。
A:トナーの固着が全く見られない。
B:トナーがわずかに固着している。
C:少量のトナーが固着している。
D:多量のトナーが固着している。
[実施例2]
表2に記載の処方で、表1に記載の物性の酸化マグネシウム微粉末(C−2)を0.1質量部と、シリカ微粉末(E−4)(日本アエロジル製、商品名「RA200」)0.6質量部を添加した以外は実施例1と同様にトナー2を作製した。このようにして得られた物性値を表2に示し、実施例1と同様の試験をした結果を表3,4,5に示す。
[実施例3]
表2に記載の処方で、表1に記載の物性の酸化マグネシウム微粉末(C−3)を0.1質量部とシリカ微粉末(E−3)(クラリアントジャパン製、商品名「HDK H3050VP」)0.3質量部を添加した以外は実施例1と同様にトナー3を作製した。このようにして得られた物性値を表2に示し、実施例1と同様の試験をした結果を表3,4,5に示す。
[実施例4]
表2に記載の処方で、表1に記載の物性の酸化マグネシウム微粉末(C−4)を0.1質量部とシリカ微粉末(E−3)を0.3質量部添加した以外は実施例1と同様にトナー4を作製した。このようにして得られた物性値を表2に示し、実施例1と同様の試験をした結果を表3,4,5に示す。
[参考例5]
表2に記載の処方で、表1に記載の物性の酸化マグネシウム微粉末(C−5)を0.1質量部添加した以外は実施例1と同様にトナー5を作製した。このようにして得られた物性値を表2に示し、実施例1と同様の試験をした結果を表3,4,5に示す。
[参考例6]
表2に記載の処方で、表1に記載の物性の酸化マグネシウム微粉末(C−6)を0.1質量部とシリカ微粉末(E−2)(クラリアントジャパン製、商品名「HDK2150」)0.6質量部を添加した以外は実施例1と同様にトナー6を作製した。このようにして得られた物性値を表2に示し、実施例1と同様の試験をした結果を表3,4,5に示す。
[参考例7]
表2に記載の処方で、表1に記載の物性の酸化マグネシウム微粉末(C−7)を0.02質量部とシリカ微粉末(E−4)を0.6質量部添加した以外は実施例1と同様にトナー7を作製した。このようにして得られた物性値を表2に示し、実施例1と同様の試験をした結果を表3,4,5に示す。
[参考例8]
表2に記載の処方で、表1に記載の物性の酸化マグネシウム微粉末(C−8)を1.8質量部とシリカ微粉末(E−4)を0.6質量部添加した以外は実施例1と同様にトナー8を作製した。このようにして得られた物性値を表2に示し、実施例1と同様の試験をした結果を表3,4,5に示す。
[実施例9]
トナー粒子製造例2、6〜8で得られたトナー粒子B−2、B−6〜8のそれぞれ100質量部に対して実施例1と同様の処方で外添混合し、各色トナー13を作製した。
これらの各色トナー13を、市販のカラープリンタ(京セラミタ社製 商品名「FS−C5016」)のプリントスピードを1.5倍、一成分接触現像方式に改造したものを用いて、実施例1と同様の評価を行った結果、何れの環境においても全ての評価が良好であった。
[比較例1〜4]
表2に記載の処方、外添条件でトナー9〜12を作製した。このようにして得られた物性値を表2に示し、実施例1と同様の試験をした結果を表3,4,5に示す。尚、表2に記載の処方において無機微粉末としては、海水法により得られた酸化マグネシウム微粉末(C−9)、(C−10)の他に、酸化チタン微粉末(粒径0.27μm、等電点5.0)を使用した。