JP4603394B2 - プレス加工用銅又は銅合金板条 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体リードフレーム、端子・コネクター、リレー、放熱板などのプレス製品の製造に使用されるプレス加工用銅又は銅合金板条に関し、詳しくは、銅と反応してカルボン酸塩を生成する有機化合物防錆皮膜が表面に形成されたプレス加工用銅又は銅合金板状の改良に関する。本発明では、銅又は銅合金の、比較的広幅の板や、板をスリットなどした比較的狭幅の条などを適用対象としているため、これらを合わせて板条と称する。
銅又は銅合金板条の表面に、その変色防止と防食を目的として、ベンゾトリアゾール(BTA)又はその誘導体を主成分とする防錆剤により防錆処理を施すことが広く一般に行われている(特許文献1〜5参照)。また、このベンゾトリアゾールの他にも、アミン系防錆剤、エステル系防錆剤等により防錆処理を施すことも公知である(特許文献6参照)。
前記ベンゾトリアゾール又はその誘導体、あるいは前記アミン系防錆剤、エステル系防錆剤等の有機化合物防錆皮膜は、銅合金表面で、銅と反応してカルボン酸塩をつくり、銅合金の表面を覆うことにより、防錆効果を発揮する。
特開平6−88258号公報(明細書全文) 特開平7−48641号公報(明細書全文) 特開平7−113184号公報(明細書全文) 特開平9−116066号公報(明細書全文) 特開平9−302485号公報(明細書全文) 特開2003−152155号公報(明細書全文)
ただ、このように、銅合金表面で銅と反応してカルボン酸塩を生成する有機化合物防錆皮膜(以下、単に有機化合物防錆皮膜とも言う)は、銅又は銅合金板条の打ち抜き等のプレス加工の際に問題を生じやすい。
即ち、銅合金板条の表面に付着した、有機化合物防錆皮膜が銅と反応して生成したカルボン酸塩が、プレス入り側のふき取りパッドに粉状に付着、堆積するという現象が場合によって生じる。
これによって、プレス入り側のふき取りパッドに粉状に付着、堆積した、カルボン酸塩を有する(カルボン酸塩を付着させた)銅が、パッドから剥離してこぼれ落ち、プレス金型内に入るという問題が生じる。これらプレス金型内に入ったカルボン酸塩を有する銅は、プレス製品の打痕疵の原因となったり、最悪の場合には金型自体の破損につながったりする恐れがある。
これらパッドに堆積したカルボン酸塩を有する銅は、緑色もしくは黒色になるが、概して緑色になる場合が多く、通常、緑粉と称される。
このため、実操業においては、この緑粉がプレス金型内に入らないように、プレス加工時に、ふき取りパッドを頻繁に交換し、あるいは金型を清掃するなどしている。
しかし、これらの作業は、プレス加工の生産性を低下させる大きな要因となる。なお、ふき取りパッドは、本来、プレス加工される銅又は銅合金板条の表面に付着しているかも知れない銅粉、砂又はその他の異物をふき取り、プレス金型内に異物が入るのを防止するためのものである。
このため、ふき取りパッドに緑粉が堆積する問題に対し、銅合金板条の素材側では、従来から、カルボン酸塩を有する銅が主体の緑粉をいかに少なくするかの対策に注力し、例えば、過剰な防錆皮膜を洗い落とすことや、防錆液の清浄度管理などの対策を行ってきた。
しかしながら、これらの対策では、若干の改善効果はあるものの、問題を解決するまで緑粉を大きく減ずるには至っていない。なお、素板条の輸送期間や保管期間に変色する問題が発生するため、銅合金表面で銅と反応してカルボン酸塩を生成する有機化合物防錆剤の使用を止めることはできない。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、銅又は銅合金板条に対して,前記有機化合物防錆処理を行いながらも、プレス加工時においてふき取りパッドに緑粉が堆積することを防止し、これにより、銅又は銅合金板条の変色防止と防食を行うと同時に、プレス生産性を向上することを目的とする。
この目的を達成するために、本発明のプレス加工用銅又は銅合金板条の要旨は、銅と反応してカルボン酸塩を生成する有機化合物防錆皮膜が表面に形成された銅又は銅合金板条であって、基材である銅又は銅合金板条の3次元表面粗さ測定における度数分布図として、縦軸が度数、横軸が銅又は銅合金板条の表面の凹凸高さ(μm)であるとともに、この横軸が、真中の0を中心に、左側がマイナスである凹み深さ、右側がプラスである凸部高さ、を各々示した際の、この度数分布図の半値幅が0.2μm以上であることとする。
プレス加工時におけるふき取りパッドに緑粉が付着、堆積するのは、銅又は銅合金板条の表面に付着したカルボン酸塩を有する銅が剥離するためである。このため、本発明では、基材である銅又は銅合金板条の凹凸を制御する。これによって、プレス加工における、銅又は銅合金板条の前記ふき取り作業時に使用するふき取りパッド(ふき取り布)と銅又は銅合金板条表面との間の、摩擦あるいは摩耗を低減させる。
通常、銅合金板条に限らず、金属表面の粗度を粗くするなど、表面粗度を制御することはよく行なわれている。また、従来の銅合金板においても、表面粗度を規定すること自体は良く行なわれている。例えば、特開2004−2989号公報には、プレス成形性の向上のために、電子材料用銅合金板を、機械研磨や圧延工程における圧延ロールの粗さを調整することによって、圧延直角方向の算術平均粗さ(Ra)を0.07〜0.13μmの範囲とするとともに、最大高さ(Ry)を1.3μm以下とすることが開示されている。
この他、特開2004−68067号公報には、銅系合金材の摺動性や耐久性を向上させるために、銅系合金材表面の中心線平均粗さRaを、選択的化学エッチング液で処理することにより、0.5〜5μmの範囲とすることが開示されている。
ただ、このように、従来において、銅合金板の表面粗度を規定する場合、多くは、あるいは常識的には、算術平均粗さ(Ra)が汎用される。
しかし、本発明で課題とする、銅又は銅合金板条表面と、前記ふき取りパッドとの間の摩擦あるいは摩耗と、このような算術平均粗さ(Ra)とは、あまり相関しない。即ち、通常の方法で製造される銅又は銅合金板条の算術平均粗さ(Ra)の範囲では、銅又は銅合金板条表面と前記ふき取りパッドとの間の摩擦あるいは摩耗は、あまり相関しない。
これに対して、本発明者らは、銅又は銅合金板条の3次元表面粗さ測定における度数分布図の半値幅が、銅又は銅合金板条表面と前記ふき取りパッドとの間の摩擦あるいは摩耗に密接に相関することを知見した。
通常、金属材表面の3次元表面粗さ測定における度数分布図の半値幅は、表面に存在する凹凸のバラツキの指標として知られている。したがって、銅又は銅合金板条の3次元表面粗さ測定における度数分布図の半値幅は、銅又は銅合金板条の表面に存在する凹凸のばらつきの大きさを示している。即ち、表面に存在する凹凸の大きさが比較的均一であれば、上記半値幅は大きくなる。その一方で、表面に存在する凹凸の大きさのばらつきが比較的大きければ、上記半値幅は小さくなる。
そして、この表面に存在する凹凸の大きさのばらつきが比較的大きければ、即ち上記半値幅が小さくなれば、銅又は銅合金板条表面と前記ふき取りパッドとの間の摩擦あるいは摩耗が増大して、銅又は銅合金板条の表面に付着したカルボン酸塩を有する銅が剥離しやすくなり、プレス加工時においてふき取りパッドに堆積する緑粉量が増すことになる。
上記した算術平均粗さ(Ra)が、銅又は銅合金板条表面と前記ふき取りパッドとの間の摩擦あるいは摩耗とあまり相関しないのは、算術平均粗さ(Ra)が、表面粗さデータを単純に平均したものであることに由来する。即ち、算術平均粗さ(Ra)が小さくても、大きくても、銅又は銅合金板条の表面に存在する凹凸のばらつきの大きさとは相関しないからである。
通常の方法で製造される銅又は銅合金板条の表面に存在する凹凸のばらつきの大きさは、例えば圧延ロール表面の摩耗や、圧延潤滑状態などによっては、比較的大きくなりやすい。したがって、通常の方法で製造される銅又は銅合金板条の上記半値幅も比較的大きくなりやすい。
したがって、本発明では、積極的に、銅又は銅合金板条の表面に存在する凹凸の大きさのばらつきを抑制し、上記半値幅を大きくして、銅又は銅合金板条表面と前記ふき取りパッドとの間の摩擦あるいは摩耗を低減する。
これによって、銅又は銅合金板条に対して,前記有機化合物防錆処理を行いながらも、銅又は銅合金板条の表面に付着したカルボン酸塩を有する銅の剥離を抑制して、プレス加工時においてふき取りパッドに堆積する緑粉量を低減できる。この結果、銅又は銅合金板条の変色防止と防食を行うと同時に、プレス生産性を向上させることができる。
(銅又は銅合金板条の3次元表面粗さ測定における度数分布図の半値幅)
図1〜4に、銅又は銅合金板条の3次元表面粗さ測定における度数分布図を示す。図1〜4において、縦軸が規格化したポイント数(度数)、横軸が表面の凹凸高さ(μm)である。横軸示す表面の凹凸高さにおいて、真中の0を中心に、左側の凹凸高さがマイナスであるのは凹み(凹み深さ)、右側の凹凸高さがプラスであるのは凸部(凸部高さ)を各々示す。
銅又は銅合金板条の表面に存在する凹凸の大きさのばらつきを示す半値幅は、図1〜4における縦軸の最高度数1.0の半分である0.5(半値)における度数分布の横方向の幅(μm)を示している。図1〜3は、半値幅が0.2μm以上の、後述する実施例における発明例1、2、3の例を各々示し、図4は、半値幅が0.2μm未満の後述する実施例における比較例10の例を示している。
本発明では、前記した通り、基材である銅又は銅合金板条の表面に存在する凹凸の大きさのばらつきを抑制する。これによって、プレス加工における、銅又は銅合金板条の前記ふき取り作業時に使用するふき取りパッド(ふき取り布)と銅又は銅合金板条表面との間の、摩擦あるいは摩耗を低減させる。このため、本発明では、銅又は銅合金板条表面の上記半値幅を、図1〜3における発明例のように、0.2μm以上と大きくする。
一方、上記半値幅が、図4における比較例10のように、0.2μm未満では、半値幅が小さ過ぎる。このため、上記した通り、銅又は銅合金板条の表面に存在する凹凸の大きさのばらつきが大きくなり、前記ふき取りパッド(ふき取り布)と銅又は銅合金板条表面との間の、摩擦あるいは摩耗が大きくなり過ぎる。このため、銅又は銅合金板条の表面に付着したカルボン酸塩を有する銅の剥離を抑制できず、プレス加工時においてふき取りパッドに堆積する緑粉量を低減できない。
(銅又は銅合金板条の粗さ曲線のクルトシス値)
本発明では、銅又は銅合金板条の表面に存在する凹凸の大きさのばらつきを更に、低減させるため、上記半値幅だけでは無く、銅又は銅合金板条の3次元表面粗さ測定における、粗さ曲線のクルトシス値(Rku )を4.5以下とすることが好ましい。粗さ曲線のクルトシス値(Rku )は、銅又は銅合金板条の表面における凹凸の尖り具合(丸み具合)を表し、クルトシス値が小さくなるほど凹凸は丸みを帯びた曲線となり、クルトシス値が大きくなるほど凹凸は尖った曲線となる。
粗さ曲線のクルトシス値(Rku )は、金属材の3次元表面粗さ測定における、凹凸の尖り具合の指標として知られている。このクルトシス値(Rku )は、下記式で表され、3次元表面粗さのZ軸方向の凹凸(山の)高さであって、基準長さlr における山の高さZ(x)の下記四乗平均を、下記二乗平均平方根粗さRqの四乗で割ったものである。
基準長さlr における山の高さの四乗平均:
{(1/lr )×∫Z4 (x)dx(但しインテグラルは 0からlr までの積算値)}
二乗平均平方根粗さ:Rq
Rq:√{(1/lr )×∫Z2 (x)dx(但しインテグラルは 0からlr までの積算値)}
粗さ曲線のクルトシス値:Rku
Rku =(1/Rq4 )×{(1/lr )×∫Z4 (x)dx(但しインテグラルは 0からlr までの積算値)}
前記した通り、銅又は銅合金板条の表面における凹凸の尖り具合、尖り方が険しい程、粗さ曲線のクルトシス値(Rku )は大きくなる。そして、凹凸の尖り具合、尖り方が険しい程、上記半値幅ほどでは無いが、銅又は銅合金板条の表面に存在する凹凸の大きさのばらつきが大きくなる。
したがって、上記半値幅の制御に加えて、凹凸の形状を制御することを示す粗さ曲線のクルトシス値(Rku )を制御すれば、より銅又は銅合金板条の表面に存在する凹凸の大きさのばらつきを、より抑制することができる。
(算術平均粗さ)
本発明において、3次元表面粗さ測定における算術平均粗さ(Ra)は、前記した通り、銅又は銅合金板条の表面に存在する凹凸の大きさのばらつきの低減指標とはなり得ない。しかし、本発明では、前提として、あるいは実際問題として、通常製造される銅又は銅合金板条の、算術平均粗さ(Ra)を、ことさら小さくする、あるいは、ことさら大きく(粗く)する必要は無い。このため、本発明における銅又は銅合金板条の3次元表面粗さ測定における算術平均粗さ(Ra)は、通常製造される銅又は銅合金板条の算術平均粗さ(Ra)レベルの0.07μm以上であって良い。
(防錆皮膜)
本発明における、銅又は銅合金板条表面の防錆処理(防錆皮膜)は、前記特許文献1〜6などに開示の、変色防止と防食を目的とした、既存のベンゾトリアゾール(BTA)又はその誘導体を主成分とする防錆剤や、あるいは前記アミン系防錆剤、エステル系防錆剤等、銅合金表面で、銅と反応してカルボン酸塩をつくる公知の有機化合物防錆皮膜が適宜使用できる。
これら防錆剤の粘度は、変色防止と防食の効果維持と、作業性やリードフレーム製造工程でのめっき未着帽子などの観点から、1〜30cst(40℃における)の範囲が好ましい。また、防錆皮膜の塗布量乃至付着量は、同じく変色防止と防食の効果維持と、作業性やリードフレーム製造工程でのめっき未着帽子などの観点から、0.01〜10mg/m2 の範囲が好ましい。なお、これら防錆剤の塗布方法は、静電塗布、ローラーコートなど、公知の方法を適宜選択することができる。
(銅又は銅合金板条素材)
本発明における銅又は銅合金板条は、前記した、半導体リードフレーム、端子・コネクター、リレー、放熱板などのプレス製品の製造に使用される、既存の銅又は銅合金板条が適宜使用できる。言い換えると、これら用途に要求される、導電率、加工性、強度などの諸特性を満足する、既存のリードフレーム用銅又は銅合金など、種々の銅又は銅合金板条が用途特性に合わせて適宜使用できる。
本発明における銅又は銅合金板条の製造工程自体は、特別な工程は不要で、通常の方法と同じ工程で製造できる。具体的には、各組成範囲に成分調整した銅合金成溶湯を鋳造し、鋳塊を面削後、加熱または均質化熱処理した後に熱間圧延し、熱延後の板を水冷する。その後、中延べと言われる冷間圧延をする。この中延べ後の銅合金板は、焼鈍、洗浄後に溶体化処理されて、仕上げ冷間圧延後に、最終焼鈍や、必要により時効処理されて、製品板厚の銅合金板とされる。
そして、これら銅合金板は、脱脂、酸洗、水洗などの前処理を経て、前記銅合金表面で銅と反応してカルボン酸塩をつくる有機化合物防錆剤により防錆処理され、製品銅又は銅合金板(巻き取られたコイル状態を含む)とされるか、更に、スリットされて、狭幅の製品銅又は銅合金条(巻き取られたコイル状態を含む)とされる。
(銅又は銅合金板条の3次元表面粗さ測定における度数分布図の半値幅やクルトシス値の制御)
なお、銅又は銅合金板条の上記半値幅やクルトシス値の制御は、上記銅又は銅合金板条の製造工程において、潤滑を含めた圧延条件や、圧延工程における銅又は銅合金板条表面に転写される圧延ロール目を精密に(細かく)制御するなどにより行なう。
但し、通常の方法で製造される銅又は銅合金板条表面の上記半値幅やクルトシス値は、前記した通り、例えば圧延ロール表面の摩耗や、圧延潤滑状態などによって、比較的大きくなりやすい。このため、前記銅又は銅合金板条表面の防錆処理工程の前までに、化学研磨や機械研磨等の方法により、銅又は銅合金板条の上記半値幅やクルトシス値の制御を行なうことも、場合によっては、上記半値幅やクルトシス値を保証するために必要となる。
以下に本発明の実施例を説明する。最終冷間圧延の際の1パス当たりの冷延率と潤滑条件、更にはロール粗度など、種々の圧延条件を変えて、銅又は銅合金板条の上記半値幅やクルトシス値の制御を行ない、種々の上記半値幅やクルトシス値を有する銅合金条を製造した。そして、前記したプレス加工時におけるふき取りパッドに堆積した緑粉量によって、効果を評価した。これらの結果を表1に示す。
具体的には、半導体リードフレームに用いられるCDA19400合金、厚さ0.25mm×幅30mm×長さ2000mの銅合金条を、上記仕上げ冷間圧延の後、アルカリ脱脂処理液で洗浄した後、水洗し、80℃のBTA濃度0.5%の水溶液に約5秒間浸漬してBTA処理した後、乾燥し、試験材とした。
(表面粗さ)
これらの銅合金条(試験材)表面の上記半値幅やクルトシス値(Rku )、そして算術平均粗さ(Ra)を測定した。これらの測定には、Veeco社製3次元表面形状測定装置WYKO−NT3300を使用し、測定倍率を50倍に設定し、試験材の120μm×91μmのエリアを、163.1nmの分解能で測定し、736×480箇所のデータを採取後、サンプルの異方性を排除するために、80μm×80μmの正方形のエリア内のみのデータを取り出し、各々の値を解析して求めた。
(摩擦係数による評価)
各銅合金条(試験材)表面の摩擦係数(μ)を測定した。摩擦係数は、銅合金条(試験材)表面の上記半値幅が小さくなるほど、またクルトシス値(Rku )が大きくなるほど大きくなる。そして、この動摩擦係数μが0.4未満を、銅又は銅合金板条の表面に付着したカルボン酸塩を有する銅の剥離を抑制して、プレス加工時においてふき取りパッドに堆積する緑粉量を低減できると評価した。一方、動摩擦係数μが0.4以上では、銅又は銅合金板条の表面に付着したカルボン酸塩を有する銅の剥離を抑制できず、プレス加工時においてふき取りパッドに堆積する緑粉量を低減できないと評価した。
摩擦係数(μ)の測定には、新東科学株式会社製表面性測定機HEIDON TYPE:14DRを使用した。ふき取り布を巻きつけた銅製の圧子(10×10×50mm)を、その長手方向が条の圧延方向に向くように当該銅合金条の表面に置き、垂直荷重200g/cm2 をかけて6000mm/minで水平にオートグラフで引っ張る。その際の引張力(F)をロードセルにより測定することで、動摩擦係数(μ)を下記式Aにより計算した。
μ=F/N ------------ 式A(但し、Nは垂直荷重200g/cm2
(堆積緑粉量による評価)
拭き取りパッドに堆積する緑粉の量は、得られた銅合金条(試験材)を巻き解きながら、拭き取り布を用い、面圧力10g/cm2で全長両面を拭き取り、その拭き取り布に付着した緑粉の量を目視で観察した。
そして、拭き取りパッドに緑粉の付着が認められない場合を、実際のプレス加工時においても、ふき取りパッドに緑粉の付着が無いと認め、◎と評価した。また、拭き取りパッドに緑粉の付着が部分的に若干認められた場合を、BTA防錆皮膜の改善によっては、実際のプレス加工時においても、ふき取りパッドに緑粉の付着が無い程度に使用可能と認め、○と評価した。更に、拭き取りパッドに緑粉の付着が認められるが、従来に比して、付着量が顕著に減少している場合を、△と評価した。そして、拭き取りパッド全面に緑粉の付着が認められ、従来に比して、付着量が減少していない場合を、実際のプレス加工には使用できないとして×と評価した。
表1から明らかな通り、発明例1〜9は、3次元表面粗さ測定における度数分布図の半値幅が0.2μm以上であり、この半値幅が0.2μm未満である比較例10〜15に比して、動摩擦係数μが0.4未満と低い。
この発明例の中でも、更に、3次元表面粗さ測定におけるクルトシス値(Rku)が4.5以下を満たす発明例は、クルトシス値(Rku)が比較的高い発明例に比して、動摩擦係数μが低い。
また、算術平均粗さ(Ra)は、発明例と比較例との比較では、明瞭な差があるものと、明瞭な差が無いものとがある。このため、臨界的な境目(境界)が不明確である。したがって、算術平均粗さ(Ra)は、緑粉発生抑制の評価には使用できないことが分かる。
したがって、これらの結果から、本発明における、3次元表面粗さ測定における度数分布図の半値幅、クルトシス値の好ましい意義が裏付けられる。
Figure 0004603394
以上説明したように、本発明によれば、銅又は銅合金板条に対し防錆処理を行って、銅又は銅合金板条に防錆効果(変色防止と防食)を付与すると同時に、打ち抜き等のプレス加工に際して緑粉の発生を抑え、ふき取りパッドへの緑粉の堆積を防止することができる。これにより、緑粉がプレス金型内へ入るのが防止され、プレス製品への打痕疵の発生や金型の破損を防止し、かつふき取りパッドの交換や金型の手入れを減じて、半導体リードフレーム、端子・コネクター、リレー、放熱板などのプレス製品の生産性及び品質を向上することができる。したがって、本発明銅又は銅合金板条はこれら用途へ適用されて最適である。
実施例発明例1の3次元表面粗さ測定による半値幅を示す度数分布図である。 実施例発明例2の3次元表面粗さ測定による半値幅を示す度数分布図である。 実施例発明例7の3次元表面粗さ測定による半値幅を示す度数分布図である。 実施例比較例10の3次元表面粗さ測定による半値幅を示す度数分布図である。

Claims (3)

  1. 銅と反応してカルボン酸塩を生成する有機化合物防錆皮膜が表面に形成された銅又は銅合金板条であって、基材である銅又は銅合金板条の3次元表面粗さ測定における度数分布図として、縦軸が度数、横軸が銅又は銅合金板条の表面の凹凸高さ(μm)であるとともに、この横軸が、真中の0を中心に、左側がマイナスである凹み深さ、右側がプラスである凸部高さ、を各々示した際の、この度数分布図の半値幅が0.2μm以上であることを特徴とするプレス加工用銅又は銅合金板条。
  2. 前記銅又は銅合金板条の3次元表面粗さ測定における粗さ曲線のクルトシス値(Rku)が4.5以下である請求項1に記載のプレス加工用銅又は銅合金板条。
  3. 前記銅又は銅合金板条の3次元表面粗さ測定における算術平均粗さ(Ra)が0.07μm以上である請求項1または2に記載のプレス加工用銅又は銅合金板条。
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